RISE 8.26 大田区総合体育館(レポ/後半):田丸辰が大﨑一貴を、クマンドーイが志朗を下し-54kgトーナメント決勝進出。YA-MAN、山口裕人とのダウンの応酬を2R KOで制しRISE初のOFG王者に
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
現場で役立つ格闘技医学を研究/公開/実践中!
ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2023 2nd Round
2023年8月26日(土)東京都大田区総合体育館
レポート&写真:井原芳徳
※大会前半(第8試合まで)は別記事でお伝えします。
YA-MAN、山口裕人とのダウンの応酬を2Rで制しRISE初のOFG王者に
第14試合 メインイベント 初代RISEオープンフィンガーグローブマッチ -65kg級王座決定戦 3分3R(無制限延長R)
○YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEスーパーライト級(65kg)3位)
×山口裕人(道化倶楽部/元WPMF世界暫定・WBCムエタイ日本統一・INNOVATIONスーパーライト級王者、元DEEP☆KICK-63&-65kg王者)
2R 1’05” KO (右フック)
※YA-MANが王者に
RISEが対世界を意識し、海外勢との試合を主軸に19年3月の大田区総合体育館大会からスタートした「RISE WORLD SERIES」。今年7月の大阪大会から開幕した-54kg世界トーナメントの準決勝が今大会で行われたが、その2試合はセミファイナルとセミ前に置かれ、メインイベントではYA-MAN vs. 山口裕人の日本勢同士によるオープンフィンガーグローブ(OFG)王座決定戦が行われる。
大会を独占中継するABEMAの作成したイメージ画像には、学ラン姿の両選手が起用され、書かれたキャッチコピーは「殴り合い血戦、夏」。同時間帯に同じABEMAではBreakingDownが放送され、視聴ページには「日本全国から集まった喧嘩自慢のNo.1を決める『喧嘩最強決定戦』」と見所が記載されている。RISE側もYA-MAN×裕人を中継のトリに置くことで、絶大な人気を誇るBreakingDownの視聴者層を強く意識した感がある。
RISEのOFGマッチは、コロナ禍の影響で海外勢の招へいが困難だった時期に生まれたコンテンツで、話題をリードしてきたのがYA-MANと裕人だった。21年5月の無観客大会・RISE on ABEMAで初めて行われ、裕人 vs. 松本芳道は時間切れドローで終わったが、YA-MANは裕人の弟・侑馬を2R右ストレートでKOし、ブレイクのきっかけとなった。
裕人はその後、4試合とも全てOFGマッチで戦績は3勝1敗で、最近では3月のRISE ELDORADOでタリソン・フェレイラと激しい打ち合いを繰り広げた上でKO勝ちしている。YA-MANはOFGマッチで北井智大、伊藤澄哉、芦澤竜誠を1R KO。5月6日のRIZINではMMAデビューし三浦孝太に1R TKO勝ち。昨年10月のRISE大田大会では通常ルールで白鳥大珠に判定負けしたが、ダウン後の猛反撃で観客を沸かせた。OFGマッチ以外の試合形式を含めてファンを魅了し続け、無冠ながらも話題性や認知度では“ポスト天心”の筆頭となる。6月のRISEのイベントでYA-MANは「煽りとかいらないでしょ。バチバチの殴り合いになることが決まっているんで、楽しみにしてください。最高のエンターテイメントを見せます」とコメント。裕人も「タイトルマッチでYA-MANとできるのはいいですね」と感慨深そうに話していた。
1R、YA-MANは右足にテーピングをしており、やや足を引きずり気味ながらも、開始すぐから前に出て右フックを振るう。だが空振りが続くと、ロープを背負った裕人が左フックを当ててダウンを先取する。だがYA-MANは変わらず前に出ると、中盤に右フックを連続でヒットしダウンを奪い返す。終盤にもYA-MANは打ち合いで右フックを当ててダウンを奪う。オープンスコアリングのジャッジは和田氏と豊永氏が10-9とし、北尻氏が10-8とする。
2R、YA-MANは開始すぐからパンチラッシュを仕掛けると、軽い当たりだが裕人はダウンする。裕人はダメージがかなり溜まっている様子。YA-MANが再び右フックでダウンを奪うと、裕人はすぐ立ったが、小川レフェリーはストップを宣告した。裕人は不満げだったが、すぐに受け入れ、YA-MANと笑顔で握手した。
ベルトを巻いてマイクを持ったYA-MANは「一日一日できることを積み重ねた結果が今日のベルトだと思っています。凡人と言われる人も一日一積み重ねれば何か手にできるので頑張ってください。まだ成り上がっていない人は俺の背中についてきてください」とアピール。最後は「既に成功している人は応援してください」とつなげて、しっかり観客を笑わせた。バックステージでのインタビューでYA-MANは「第1章はこれで終わりで、第2章はRISEを盛り上げたい。僕がエースになります」と話した。今後の試合について聞かれると「色々決まっているんで楽しみにしてください」と話している。
クマンドーイ、志朗からダウン奪い判定勝ちし-54kgトーナメント決勝進出
第12試合 RISE WORLD SERIES 2023 -54kgトーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISE世界バンタム級(55kg)王者、元ISKAムエタイ世界同級王者、RISE -53kgトーナメント2021準優勝、RISE -55kgトーナメント2020優勝)
○クマンドーイ・ペッティンディーアカデミー(タイ/ペッティンディーアカデミー/ラジャダムナン&True4Uスーパーフライ級王者、オムノーイ認定フライ級王者、WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王者)
判定0-3 (小川28-30/大沢27-29/秋谷27-30)
RISEはコロナ禍以前のような海外勢を招いてのトーナメントをこの夏から再開した。体重はスーパーフライ級(53kg)とバンタム級(55kg)の中間の54kg。一回戦は7月2日のエディオンアリーナ大阪大会で行われ、準決勝は8月26日の大田区総合体育館大会、決勝は10月末~11月の首都圏での大会で行われる。賞金は優勝1000万円、準優勝100万円。RISEの認知度を高めた那須川天心がボクシングに転向し、RISEの軽量級を今後リードするのは誰になるかも、このトーナメントの大事なテーマとなる。
天心と2度戦った志朗は、昨年6月のTHE MATCHではK-1の玖村将史に判定負けしたが、10月のRISE大田大会では大﨑一貴の弟・孔稀に延長判定勝ちし、12月の両国大会ではRISEバンタム級王者・鈴木真彦とのノンタイトル戦で判定勝ち。3月のRISE ELDORADOでディーゼルレックに5R右ハイでKO勝ちし初代RISE世界バンタム級王者になった。7月2日の-54kgトーナメント一回戦ではルペン・セオアネ(スペイン)に判定勝ちし4連勝中だ。
クマンドーイは後にONEの王者となるロッタンに勝ったことがあり、20年大晦日のRIZINで天心と対戦し判定負けしている。クマンドーイの参戦について志朗は「ロッタンに近い感じの戦い方をする選手」「出てくるとイメージしていた選手なので純粋に楽しみです」「天心君は判定勝ちだったので、もし戦うならKOを狙いたいですね」と5月のカード発表会見で話していた。7月のトーナメント一回戦でクマンドーイはモハメッド・カルーア(ベルギー)に判定勝ちしている。
試合はクマンドーイがRISEルールにアジャストした姿を見せて志朗を苦しめる形に。1R、クマンドーイは右フック等パンチ主体で攻めつつ、左ミドル、左ハイを当てる。中盤まで志朗は攻撃が少なかったが、次第に右ストレート、ミドル、ロー等のヒットを増やし、終盤はほぼ五分の状態となる。記者採点はイーブン。
2R、クマンドーイは開始すぐ、左ミドルを立て続けに当てた後、志朗の右ミドルのタイミングで不意打ちの右ストレートを当て、ダウンを奪う。志朗はダメージが小さいものの、その後もクマンドーイは何発も左ミドルをヒットし優勢。志朗は右ローを時折返すが、クマンドーイの勢いを止めることができない。志朗の右腕と脇腹は真っ赤になる。記者採点は8-10でクマンドーイ。
3R、志朗は前に出続け、クマンドーイをロープに詰めるものの、パンチの空振りが続き、クマンドーイを捕まえられない。クマンドーイは執拗に左ミドル等の蹴りを当て続け、反撃を封じて終了する。記者採点はクマンドーイ。合計27-30でクマンドーイ。ジャッジは意外にも1者が28-30とし、志朗に1ポイントつけたジャッジもいたが、3者ともクマンドーイを支持し、クマンドーイが判定勝ちした。
田丸辰、大﨑一貴にリベンジしクマンドーイとの-54kgトーナメント決勝進出
第13試合 セミファイナル RISE WORLD SERIES 2023 -54kgトーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×大﨑一貴(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)王者、ISKAオリエンタルルール世界フライ級(53.5kg)王者、元WMC日本&LPNJ同級王者)
○田丸 辰[とき](TRY HARD GYM/RISEフライ級(51.5kg)王者、同スーパーフライ級(53kg)6位・元王者)
判定0-2 (小川29-30/大沢29-29/和田28-30)
大﨑兄弟の兄・一貴は20年9月に田丸辰を下しRISEスーパーフライ級王者に。その後も川上叶、一航、石井一成、田渕神太、サンチャイを下し、昨年10月の大田大会では風音を返り討ちにし初防衛。今年1月の後楽園大会ではムァンコーンを、3月のRISE ELDORADOではハビエル・セシーリオをKO。4月の後楽園大会ではニコラス・リヴァースに4R左後ろ上段廻し蹴りでKO勝ちし、ISKA王座を獲得した。7月2日の-54kgトーナメント一回戦では緊急出場のアイマン・ラマー(スペイン)を2R右カーフキックでKOしている。現在19連勝、RISE 13連勝中だが、優勝への対抗馬の志朗とはまだ戦っていない。21年に弟・孔稀の新型コロナウイルス感染および一貴の怪我が理由で2度、志朗戦が流れている。
田丸はRISEスーパーフライ級王者だった19年9月、1階級上の王者・鈴木真彦に延長判定負けし、プロデビュー以来の連勝が10で止まって以降、所属先の閉鎖や怪我等の影響もあり苦戦が続き、大﨑一貴、政所仁にも敗れた。だが昨年10月、数島大陸に判定勝ちし初代RISEフライ級(51.5kg)王者に。1月にはクンスックノーイに判定勝ち。3月のRISE ELDORADで組まれた世界54kgトーナメントの予選では、風音に判定勝ち。7月の一回戦ではクマンドーイに勝った実績のあるペッシラーを1R終盤にボディへの左膝蹴りでKOした。
試合は「予想を覆せるのは自分です」等と話していた田丸が番狂わせを起こす結果に。1R、一貴がオーソドックスでプレッシャーをかけ、田丸がサウスポーで右回りで距離を取る構図が続く。一貴が広いスタンスから右のインローを当て、ボディや顔面にもパンチを当てるが、ヒットは伸びず。田丸も攻撃が少ないものの、左インロー等を返し、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、一貴が変わらず前に出て、右インロー、膝蹴り、左ボディを執拗に当て、手数で上回る状態が続く。だが田丸は耐え、終盤には左アッパー、ミドルを立て続けに当てて巻き返して終える。記者採点はイーブン。
3R、一貴はこれまで同様、前に出て右インロー、膝を当て続ける。田丸は苦しそうではあるがひるまず、終盤にはまたも左ストレート、右フックを立て続けにヒットし、一貴を追い詰め終える。記者採点は僅差だが田丸。合計29-30で田丸。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者は2Rと3R終盤の田丸の攻勢を評価した模様で、田丸が判定勝ちし、番狂わせを起こした。
マイクを持った田丸は「TRY HARD GYMが今日全員勝ってプレッシャーになったんですけど、大﨑選手にもリベンジできてうれしいです。暗い話になるんですが、前回ペッシラー戦の後にお母さんが亡くなり、棄権するか迷ったんですけど、自分やチームが世界一になることを望んでいたので、ここで勝って世界一になろうと決めました。急に大切な人はいなくなるので、皆さんも身近な人に感謝を伝えてください。望んでいた通りクマンドーイ選手が勝ってくれたので、決勝を盛り上げて世界一になります」と話した。
クマンドーイは「自分も田丸選手が勝ってうれしいです。(同じタイ人の)ペッシラーに勝った田丸選手に僕がリベンジできると思うとうれしいです。決勝は頑張りましょう。僕も頑張ます」と話した。
RISEの伊藤隆代表は大会後の総括で、54kgトーナメントについて「クマンドーイは完全にRISEにアジャストしていました。志朗とこんなに差があることに驚きました」「志朗と一貴は3位決定戦のような形になるので、タイミングはわかりませんが、両方と話し合って実現させたいです」等と話した。
秀樹、引退試合でチャンヒョンに判定勝ち
第11試合 秀樹 Final Match ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×チャンヒョン・リー[イ・チャンヒョン](韓国/RAON/RISEスーパーフェザー級(60kg)王者)
○秀樹(新宿レフティージム/RISEライト級2位、K-1 REVOLUTION FINAL -65kg級世界王者)
判定0-3 (豊永27-30/秋谷27-30/小川27-30)
チャンヒョンは1月の後楽園大会で常陸飛雄馬を相手に6R判定勝ちしRISEスーパーフェザー級王座の防衛に成功すると「これからは1個上の階級に挑戦したいです」とコメントした。7月2日の大阪大会ではライト級(63kg)でのOFGマッチで山口侑馬をわずか71秒でKOし、今回もライト級での試合となる。
秀樹は27戦21勝6敗(11KO)の32歳。チャンヒョンとは18年2月に対戦し秀樹が判定勝ちしているが、チャンヒョンが計量オーバーで減点1の状態での試合だった。秀樹は白鳥大珠、原口健飛、直樹には勝てなかったものの、RISEライト級のトップ勢の一人として長年活躍。昨年4月に白鳥に延長判定負けして以来の今回の試合で引退する。
秀樹は妻であり元選手でもある、いつかの生歌唱の後、花道から登場する。1R、サウスポーの秀樹は前に出て来るチャンヒョンをかわし、序盤から右のバックハンドブロー、左ハイを当て、場内を沸かせる。以降も秀樹は右ジャブを随所で当てる。チャンヒョンは前に出続けるが、元々右足を痛めていたか?少し足を引きずり気味で、今一つ詰め切れず、パンチも空振りが多い。だが秀樹も中盤以降は攻撃が減ってしまう。記者採点はイーブン。
2R、チャンヒョンは変わらず前進するが、息が上がっており、パンチの空振りが続く。秀樹が右アッパーを当てると、チャンヒョンはマウスピースを吐き出す。秀樹は左ハイ、ミドル、ロー、右ジャブ、バックハンドブローを随所で当て、手数で上回り好印象を残す。記者採点は秀樹。
3R、秀樹は終始左ミドル、ロー、ボディ等を当て続けて主導権を維持。バックハンドブローも当て、終盤には左ハイも連続で当て、チャンヒョンをダウン寸前まで追い詰めて終了する。記者採点は秀樹。合計28-30で秀樹。ジャッジ3者とも27-30で秀樹を支持し、秀樹が引退試合を見事白星で飾った。
家族と共に記念撮影した秀樹は「最後に上位ランカーの意地を見せられて良かったです。苦しい日々を過ごしましたが、仲間のおかげで勝てました。皆さんも苦しいこともベストを考えて乗り越えてもらえればと思います」とアピールし、同僚らと記念撮影してリングを降りた。
中村寛、左肩の負傷で無効試合に
第10試合 ライト級(63kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
―中村 寛(BK GYM/RISEライト級王者、元DEEP☆KICK -60kg級王者)
―アリシェル・カルメノフ[Alisher Karmenov](カザフスタン/ニューラルスポーツスクール)
1R 無効試合
中村は昨年6月のTHE MATCHではK-1代表のレオナ・ペタスに判定勝ち。10月のRISEのチャンヒョン戦ではKO負けを喫したものの、12月の後楽園大会では伊藤澄哉をKOし、今年4月には直樹に5R判定勝ちし、RISEライト王者となった。今回はノンタイトル戦で初来日の海外選手を迎え撃つ。カルメノフは戦績6戦5勝1敗の26歳。フルコンタクト空手の豊富な試合経験があり胴回し回転蹴りが得意だとい、最近ではブルガリアでのキック大会でも勝利している。
1R、中村はサウスポーで構え、スイッチを織り交ぜつつ、ガードを下げて距離を取ってパンチとローを出す。カルメノフは素早く飛び込んでパンチを振るう、スリリングな展開に。中盤、両者がもつれ、中村の倒れ際にカルメノフが腕を抱えると、中村は左肩を脱臼してうずくまる。北尻レフェリーは偶発的なアクシデントと判断し、ドクターを呼び、外れた肩を入れる治療をし、問題無いと判断し続行する。だが終盤、今度はカルメノフの左膝蹴りがローブローとなり、再び中断する。するとドクターは中村の左腕が脱力した状態なのを見て、ストップをかけ、ノーコンテスト(無効試合)となった。中村は「行ける」と言い続け不満を示したが、左腕が上がらないため妥当な判断だろう。
大雅、常陸飛雄馬との延長戦制す「チャンヒョンとタイトルマッチをやりたい」
第9試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/2位)
○大雅(TRY HARD GYM/9位、元K-1同級王者、元Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)
4R 判定0-3 (北尻9-10/長瀬9-10/豊永9-10)
3R 判定0-1 (北尻29-30/長瀬29-29/豊永29-29)
YA-MANの後輩・常陸はテコンドーをベースとし学生キックでも2度王座を獲得している。13戦9勝(7KO)3敗1分と高いKO率を誇り、昨年9月のSBでは笠原友希をKO。今年1月にはチャンヒョンのRISEスーパーフェザー級王座に挑戦し、延長戦まで持ち込んだものの判定負けし、連続負けなしが9で止まった。
大雅は21年11月以降、梅野源治ら相手に3勝1分負け無しだったが、3月のRISEの試合の前日、減量苦の影響で肺の2箇所が破ける縦隔気腫(じゅうかくきしゅ)となり、一馬戦を欠場した。6月には武尊の出場したパリの大会に参戦し、ポール・カーポウィッツに判定勝ちしている。
1R、常陸がオーソドックスでプレッシャーをかけ、大雅がサウスポーで回って距離を取り、ロープ・コーナーを背負う構図に。常陸が積極的にパンチを当て、大雅も中盤から左フックを返すように。だが終盤、常陸が左ボディを立て続けに当てると、大雅はクリンチし、少し苦しそうだ。記者採点はイーブンだが常陸につく可能性はある。
2R、常陸は変わらず前に出て、右ボディ、ミドル、左右のローを随所で的確に当てる。大雅も左フックやハイを返すものの、一発狙いになりがちで、クリーンヒットにつながらない。記者採点は常陸だがイーブンの可能性はある。
3R、大雅も前に出るようになり、お互い激しくパンチを出す展開に。中盤から常陸の左ボディ、左右のフックのヒットが目立つようになり、押し気味になったが、最後は大雅も左フックのヒットを増やし、お互い譲らぬまま終わる。記者採点はイーブンだが大雅につく可能性もある。合計30-29で常陸。ジャッジは1者が大雅を支持したが、2者がイーブンで延長へ。
4R、常陸は雄たけびを上げながら前に出るが、体力の消耗が激しく、攻撃が出ない。大雅はステップで距離を取り、右ジャブを当てつつ、左フックを随所で絡め、手数で上回り終える。記者採点は大雅。ジャッジ3者も同様で、大雅が延長戦を制し、一気にスーパーフェザー級上位に進出することになった。マイクを持った大雅は「タイトルマッチやりたいです。今日、田丸勝って、決勝の日にチャンヒョン・リーとやりたいです」とアピールした。