RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ:堀口恭司、朝倉海に1Rでリベンジ。那須川天心、武尊が見守るなかタイ強豪に判定勝ち。朝倉未来が再起戦でKO勝ち
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Yogibo presents RIZIN.26
2020年12月31日(木) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
中継 フジテレビ系(18:00~23:45) RIZIN LIVE(生中継/¥5,500) スカパー!(生中継/¥5,500)
例年は2大会以上で開催されるRIZIN恒例の年末大会だが、2020年は大晦日の1大会のみの開催となった。2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)が世界に蔓延し、RIZINも2月から8月の半年間イベントを休止。8月のイベント再開後も、政府の大規模イベントの人数制限に従い、収容人数の半数を上限としてきた。今年のRIZIN大晦日大会も会場の半数以下の収容人数の9,978人(主催者発表で超満員札止め)の観衆を集めた。下写真のとおり、貼り紙のされた席は、コロナの感染予防対策で来場者の距離を保つため着席禁止となっている。2020年後半のコロナ禍以降のイベントではおなじみの光景だ。(追記:フジテレビの視聴率に関する記事はこちら。)
第15試合 MMAルール(肘有り) RIZINバンタム級(61kg)タイトルマッチ 5分3R
×朝倉 海(トライフォース赤坂/王者、元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)※初防衛戦
○堀口恭司(アメリカン・トップチーム/挑戦者、元RIZIN・ベラトール・修斗世界同級王者、元UFCフライ級(56.7kg)3位)
1R 2’48” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※堀口が王者に
2020年の大晦日のRIZINのメインイベントは朝倉海×堀口恭司のバンタム級タイトルマッチ。朝倉兄弟の弟・海は昨年8月の名古屋大会でRIZIN&ベラトール・バンタム級2冠王(当時)堀口恭司を68秒でKOする波乱を起こした。続く10月の大阪大会では佐々木憂流迦をわずか54秒でKO。その試合後、堀口がリングに上がり、大晦日のRIZINで堀口のRIZIN王座を賭けて再戦することを約束した。
しかし堀口が右膝の靭帯断裂で長期欠場することになり、2本のベルトも返上。海は昨年の大晦日のRIZINで、マネル・ケイプとの第2代王座決定戦に臨んだが2R TKO負けした。その後、ケイプがUFC参戦のため王座を返上。同じ大晦日の大会での王座挑戦者決定戦で石渡伸太郎に判定勝ちした扇久保博正と海の間で、8月10日の横浜大会にて第3代王座決定戦が行われ、海が1R TKO勝ちで第3代王者となった。
海は続く9月27日の埼玉大会でのノンタイトル戦で昇侍を1R KO。堀口も夏から本格的な練習を再開し、ようやく両者の再戦の環境が整った。堀口はこれまで同様フロリダのATTでの練習後、日本政府の方針に従い、来日後は2週間の隔離生活を送っていた。右膝の具合を含めた仕上がり具合が気になるところだ。
1R、堀口は軽快なステップで距離を取り、右膝の調子は問題なさそう。最近はボクシングを強化している海が、やや低めの重心で構えてパンチを狙うと、堀口は右のカーフキックを当てる。早くも海はバランスを少し崩す。
海も右のカーフをお返しするが、またも堀口が右のローを当てると、海の足の踏ん張りが効かなくなる。すると堀口は左フックを当て、パンチの連打で詰め、右フックでダウンさせると、パウンドで追い打ちをかけたところでレフェリーがストップ。リマッチは前回と真逆で、堀口の完勝に終わった。
堀口は「コロナで大変な時期ですが、やることやってれば結果が残せて、いいことあると思うので、頑張ってください」とファンにメッセージを送り、「終わんないっすよ、こっからこっから」と満面の笑顔で語った。
第14試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 57kg契約 3分3R
○那須川天心(TARGET/Cygames/RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント優勝、RISE世界フェザー級(57.15kg)王者、ISKAフリースタイル世界フェザー級王者、ISKAオリエンタル世界バンタム級王者)
×クマンドーイ・ペットジャルーンウィット[Kumandoi Phetjaroenvit](タイ/ペットジャルーンウィットジム/ラジャダムナン認定バンタム級(53.5kg)1位、ルンピニー認定同級5位)
判定3-0 (片岡30-28/大藪30-27/松宮30-27)
天心は9月27日の埼玉大会で皇治に判定勝ちし、続く11月1日のRISE大阪大会で裕樹に2R飛び膝蹴りでKO勝ちし、14年7月のプロデビューからの連勝を37とした。
対するクマンドーイは初来日の26歳。今回のフェザー級(57.15kg)相当の契約体重よりも2階級下で活躍する選手で、最近も現在のラジャダムナン同級王者のサオトーに勝利し、天心を苦しめたロッタンに約2年前に勝ったこともあるという。
試合前にはなんとリングサイドの最前列席に座る武尊の姿が映り出され、場内がどよめく。1R、天心がサウスポーに構え、左ミドルを積極的にヒットし、左ハイにつなげようとする。飛び膝も織り交ぜクマンドーイを脅かす。クマンドーイは蹴り足をつかんで投げたり、時折右ミドルを返すが、攻撃が少ない。
2R、クマンドーイも右ミドルを増やし、1Rよりも積極的になる。だが中盤過ぎ、クマンドーイの右ミドルの直後、天心が左フックをヒット。下がったクマンドーイにさらに左フックを当てて、クマンドーイを倒すが、和田良覚レフェリーはムエタイ的な基準に近い判断をしたか?ダウンは取らない。その後も天心がパンチでクマンドーイを脅かす。
3R、天心はパンチ主体の攻めで、左ストレートでふらつかせ、右ボディも強打するが、クマンドーイは耐える。クマンドーイはしつこく右ミドルを当て続けると、天心の左の上腕は赤くなる。少し左のパンチの威力もこれで低下したか?最後までダウンは奪えず終了したものの、天心が各ラウンドで差をつけ判定勝ちした。
マイクを持った天心は「固くなっちゃって、クマンドーイ選手、思ったより蹴りが硬くて苦戦しましたが、判定で勝てて良かったです。急なオファーで受けてくれて、素晴らしいファイターでした。自分は未熟で、チームの皆さんや父親に怒られてばかりですが、色んなことを経験し強くなります。コロナ禍で来てくれてありがとうございます。今、やりたいことをやれない状況がたくさんあると思うんですけど、格闘技だけじゃなく色んなことと戦っていると思います。日々精進することが最高の人生が送れると思います。今日、会場に武尊選手、来てくれてありがとうございます。まだ何も決まっていないですけど、一緒に格闘技、盛り上げましょう」とアピールした。試合後、天心が退場の際、武尊の元に歩み寄ると、武尊が肩を組み、数秒何か声を掛け合っていた。
武尊は大会後、マスコミの取材に応じ、RIZIN訪問の理由について「この試合が実現しないことに悔しい気持ちもあり、それを変えるためですね」「同じK-1で戦っているファイターたち、僕に憧れてK-1を始めた子たちに、ちょっとでも希望を見せたくて、僕の意思表示と、来年実現させる決意を持って、RIZINに来場しました」と答えた。
さらに武尊は「中立なリングで、僕はK-1チャンピオンとして、天心選手はRISE・RIZINのチャンピオンとして、格闘技界を一つにするための試合にしないといけない。RIZINでもK-1でもない中立なリングを作ってそこでやりたいです」「天心選手がいてくれたからこそ今でも現役やっていると思うので感謝しています」「間近で初めて見ましたけど、本当に強い選手だなと思いました。早くリングで向かい合いたいです」とコメント。天心の退場時の会話については「2人だけの秘密です」とのことで、最後は「天心選手も僕の試合(=対レオナ・ペタス)を見に来て欲しいです。1月24日、K’FESTAで待っています」と呼びかけた。
一方の天心は武尊のK’FESTA来場の呼びかけを伝え聞くと「予定が無ければ行きたいです」と回答。武尊との会話については「『お疲れ様でした』って感じです」とだけ明かし、武尊の来場については「今まで見に来ることも無かったので、うれしく思います」「一歩前進できたと格闘技界全体が感じていると思います」と話した。クマンドーイの印象については「手のダメージはあまりないですけど、動いたところで(蹴りが)入って来て。今までやった中で一番スネが硬かったです」と話した。
この日は第10試合終了後にRIZINの榊原信行CEOがリングに上がり、来年2021年3月14日(日)に東京ドーム大会を開催すると発表した。武尊は1月24日のK-1でのレオナ・ペタスとのスーパー・フェザー級王座防衛戦、天心は2月28日のRISEでの志朗との再戦を控えている。大会後の総括で榊原氏は「それぞれのプロモーションで結果を出した上での話で、実現するとしても(7~8月の)オリンピック前で、3月や4月に実現することは無いと思います」とコメント。K-1との関係については「武尊対天心(の実現を煽ったこと)でK-1に損害賠償で訴えられたこともあります。でも今はK-1のトップの人たちと武尊対天心を実現のための話し合いができるところまで来ています」といい、「K-1に内緒で来たわけではなく、オフィシャルで話し合った中で来ました。武尊が来ることが格闘技界の新しいアクションのキックオフになったらいいと思います」「(武尊×天心は)別にRIZINのリングじゃなくていいです。格闘技界みんなが手を携え、天心のスポンサーのCygamesさんとか、色んな方々のご理解やご協力を得て形にすべきかと思っています」と話した。
なお、K-1の中村拓己プロデューサーは大会後のツイートで「武尊選手、お疲れ様でした。ファンのみなさまの夢のカードが実現できるよう、K-1として前向きに頑張っていきます」と記した。RISEの伊藤隆代表はツイートで「那須川天心は無事に判定勝ち!今年最後の仕事が終わりました。時は流れていく。来年は新しい動きもありそうですね!」と記した。
RIZIN 3.14 東京ドーム:PRIDE時代以来約17年ぶりに旗揚げの地へ、榊原信行CEO「コロナ禍で自分たちが生きていくために打って出ていくべきと考えた」
第13試合 MMAルール(肘有り) 68kg契約 5分3R
○朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級・60-65kg級王者)
×弥益ドミネーター聡志(team SOS/元DEEPフェザー級(65.8kg)王者)
1R 4’20” KO (右フック)
朝倉兄弟の兄・未来は11月21日の大阪大会でのRIZINフェザー級初代王座決定戦で斎藤裕に惜敗し、わずか40日間隔で大晦日のリングに上がった。
対する弥益(やます)は30歳。茨城県出身で筑波大学時代にMMAをはじめ、大学院を卒業後は大手食品会社に勤務。未来が少年院にいた過去は有名だが、弥益は大学院卒業で、同じ“院卒”でも対照的なキャリアを歩んできた。弥益はMMAデビュー当時からDEEPを主戦場とし、18年6月には当時DEEPフェザー級王者だった芦田崇宏にアームロックで一本勝ちし、同年10月の再戦で判定勝ちしベルトを奪取。19年5月にはDJ.taikiにKO勝ちし初防衛。今年9月、牛久絢太郎に判定負けし王座陥落して以来の試合となる。
1R、未来がサウスポーで圧力をかけるが、弥益はオーソドックスを主体にしつつ、サウスポーにも度々変える、いわゆるシャッフル状態で距離を取る。弥益が右ミドルを当てると、そのまま引き込むが、未来はグラウンド勝負を拒みスタンドに戻る。お互いインローを当てる中で、弥益の内腿の腫れが少しずつ目立つように。未来は左ミドルも効かせ、じわじわ弥益を削る。
すると終盤、距離が縮まりパンチが交錯する場面が増えると、バッティングも発生。和田良覚レフェリーは「お互い頭気をつけろ。お互い行ってるからな」と注意する。バッティングをもらった弥益はややダメージが残っている様子だが、すぐ続行を希望し、両者グローブタッチして再開する。すると未来が右ボディから左フックを連続でヒット。弥益の動きが少し止まると、その隙を逃さずすぐに左ハイを当てて、ふらついた弥益に右ストレートで追い打ちをかけて見事マットに沈めた。
未来は「前回判定負けでファンの期待を裏切ってしまいすみませんでした。来年から格闘技にもっと真剣に向き合って、朝倉未来に期待してもらえるよう頑張ります」と宣言。さらに「正直、前回の負けを取り返せたと思わないので、うれしくないですね。斎藤選手に借りを返したいです。今日もフェザー級でいい選手がいて、誰とやっても面白いので、ファンが決める相手とやって、斎藤選手に辿り着きたいです」と謙虚にコメントした。
第12試合 RIZINスタンディングバウト特別ルール 3分3R
○五味隆典(イーストリンカンラスカルジム/元PRIDEライト級(73kg)王者、元修斗世界ウェルター級(70kg)王者)
×皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
判定2-0 (片岡30-29/和田29-29/松宮29-28)
※ボクシングに近い形式で実施。シューズは非着用。両者12オンスグローブ着用。バックハンドブローは可。規定体重は五味78kg、皇治65kg。3ノックダウン制。ジャッジ3名の判定ありだがマスト判定ではない。
9月のRIZIN初戦で天心に敗れた皇治は、元々、亀田和毅との大晦日のエキシビションマッチが計画されていたが、交渉が決裂し、五味とのボクシング形式のエキシが組まれた。五味は18年7月のRIZINでのメルヴィン・ギラード戦でKO勝ちして以来のRIZIN登場で現在42歳。大会10日前の発表会見で五味は「勝負論とかはほとんど無いんですけど」と話していたが、その1週間後・大会3日前のルール発表時には、3ノックダウン制、判定ありと発表されると共に、対戦カード画像でも「SPECIAL EXHIBITION」の文字が消え、公式戦のような扱いに変わった。だが軽い方の皇治にもなぜか65kgという規定体重が設けられる。
1R、五味が圧力をかけ、皇治が距離を取り、五味がサウスポーからの左ジャブと右ストレートを積極的に放つ展開。皇治はある程度かわせているものの、受けに回る展開が続き、時折パンチを返すが攻撃が少ない。体格差も影響しているが、皇治は蹴りが無いこともあって戦いにくそうだ。記者採点は五味。
2R、久々の試合の五味はインターバルをまたぐと、ややスタミナが厳しくなってきた感が出てくる。逆にコンスタントに試合をしている上、打たれ強さに定評のある皇治は、パンチの積極性を増す。中盤以降、足を止めて打ち合う場面が増え、五味が右ボディを当てても、皇治は耐え、右フックをお返しする。記者採点は皇治。
3R、五味は己を鼓舞するように雄たけびを上げつつ、右ジャブで距離を取り、打ち合いも展開し、何度か右ボディを強打。皇治もパンチをお返しし、最後は左フックを叩き込んで良い印象で終える。記者採点はイーブンで合計はドロー。ジャッジは1者がイーブン、2者が五味で、五味の勝利となった。
カード発表会見で皇治は、かつて「火の玉ボーイ」と呼ばれた五味の金髪姿を見て「金玉おじさん」と揶揄していたが、この試合で勝った五味はマイクを持つと「皇治君、いい金玉持ってる。でもお前も気づいたらおっさんだからな」と、エールを送りつつ言い返した。マイクを受け取った皇治は「生意気言いましたが負けて情けないです。五味選手尊敬しています。パンチ力アホほど強かったです。こんなビッグな金玉持ってる選手になりたいです」と答えた。2人そろってフジテレビの生中継スタッフをヒヤヒヤさせたことだろう。
第11試合 MMAルール(肘無し) RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)王座決定戦 5分3R
○浜崎朱加(AACC/元王者、元INVICTA世界アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者)
×山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE 22)
1R 1’42” 洗濯ばさみ(ネックシザース)
※浜崎が王者に
浜崎は昨年の大晦日にハム・ソヒに判定負けし王座から陥落したが、10月16日にソヒが王座を返上し空位となっていた。ソヒがONE Championshipと契約したことから、浜崎もソヒを追いかけてONEへの移籍も考えたが、日本のファンに試合を見てもらいたい思いが上回り残留した。8月9日のRIZINで浜崎は前澤智に完勝している。対する美憂は山本“KID”徳郁の兄。レスリングでの活躍を経て16年にMMAに初挑戦し、19年6月に浅倉に判定勝ちし、10月にソヒにTKO負け。続く大晦日の試合でアム・ザ・ロケットに判定勝ちして以来の試合となる。
1R、両者サウスポーに構え、浜崎が序盤からジャブを突いてプレッシャーをかけ、右インローを当てる。美憂は右膝をテープで固め、動きがぎこちなく、ローもらうと足が流れる。それでも片足タックルを仕掛けて倒したが、浜崎は逆らわずに倒れつつアームロックで捕獲する。浜崎はそのまま上に。浜崎は腕十字に移行しつつ、両足で美憂の頸動脈を挟んで締め上げると美憂はタップ。浜崎が無傷で完勝した。
第10試合 MMAルール(肘有り) バンタム級(61kg) 5分3R
×元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級(61.2kg)&フライ級(56.7kg)王者)
○井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
1R 3’00” 裸絞め
元谷は今年、3月にDEEPで大塚隆史、8月10日のRIZINで魚井フルスイング、11月のDEEPで米山千隼相手に3連勝。井上はDEEP、UFCを経て2月の浜松大会でRIZINに初参戦し、トレント・ガーダムに判定勝ち、8月9日のRIZINの渡部修斗戦で一本勝ちし2連勝。大晦日大会全体のトリは朝倉海と堀口恭司のバンタム級タイトルマッチだが、コロナ禍で海外勢の来日が難しい状況が続けば、元谷×井上の技巧派対決の勝者がタイトルに絡む可能性が高まるだろう。
1R、井上が圧力をかける場面でもかわす場面でも、着実に右ストレート、左ジャブ等をヒット。元谷がタックルを仕掛け打開を図るが、井上は切って素早くバックに回り込むと、裸絞めを極めタップを奪取。完勝の井上はマイクを持って、しどろもどろな口調ながらも、「タイトルマッチぜひお願いします」とアピールした。
第9試合 MMAルール(肘有り) 67kg契約 5分3R
×カイル・アグオン(米国/SPIKE 22/パンクラス・フェザー級(65.8kg)2位)
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元KSW&REBEL FCフェザー級(65.8kg)王者)
1R 4’22” フロントチョーク
アグオンは2月のRIZIN浜松大会でヴガール・ケラモフに判定負けして以来の試合。今回は妻の山本美憂と揃って出場する。
コイケはソウザ兄弟と同門で柔術をベースとし、MMAではポーランドのKSW、シンガポールのREBEL FCでベルトを獲得し、5年前には芦田崇宏に勝利している。昨年9月のRoad to ONEでは西浦“ウィッキー”聡生に1Rダースチョークで一本勝ちしている。以前からRIZIN出場を熱望しようやく初参戦した。
1R、スタンドの攻防主体で、お互い上になるが短時間でスタンドに戻り続ける。すると終盤、コイケがアグオンをロープに詰めると、右フックを当ててダウンさせる。アグオンはタックルでしのごうとするが、コイケは上から押さえつつギロチンを極め、タップを奪った。
第8試合 MMAルール(肘有り) 68kg契約 5分3R
○萩原京平(SMOKER GYM)
×平本 蓮(THE PANDEMONIUM/K-1甲子園2014 -65kg優勝)※K-RIVER/AX GYMから所属変更
2R 1’29” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
平本はK-1で活躍後、昨年末のBELLATOR JAPANでのキックルール戦でRIZIN関連の試合に初出場し、芦田崇宏に1R KO勝ち。その後、MMA転向を表明し、岡見勇信らの指導の元で準備を続け、今回MMAデビューする。
対する萩原は9月の埼玉大会で芦田に1Rアームロックで一本負けしたが、11月21日の大阪大会で内村洋次郎をわずか22秒でKOしインパクトを残した。斎藤裕が王座にいるフェザー級の選手だが、今回は2kg重い契約体重となる。
両者はカード発表会見やTwitterでも舌戦を展開。その火の粉は萩原の2R TKO勝ちを予想した萩原の兄貴分・朝倉未来にも及び、平本は「朝倉のバカは2021年中に必ず仕留める」とツイートしていた。だがその前に新天地での初戦から大きくつまづくことに。
1R、萩原が開始すぐに右フックを当てると、タックルを繰り返し、中盤には倒して顔面に膝を当て平本を苦しめる。その後もマウント、バックを奪い、パウンド、顔面への膝で痛めつけ、裸絞めも狙って平本を圧倒する。
2R、平本は口が開いて疲れが目立ち、萩原が序盤から抱え上げてテイクダウンに成功し、あっさりとマウントを奪取。パウンドを連打し平本の動きが止まったところでコーナーがストップした。完勝の萩原はうなだれる平本に対し、剣で切り裂くジェスチャーで勝ち誇った。
未来の予想通り2R TKO勝ちした萩原は「弱い者イジメしただけでうれしくないですね。平本君、盛り上げてくれてありがとう。アマチュア修斗からやり直したほうがいいよ。朝倉兄貴、俺が勝ったから次の相手は俺でしょ。来年そこも倒して、フェザー級のベルト取るんで応援してください」とアピールした。
第7試合 MMAルール(肘無し) バンタム級(61kg) 5分3R
○所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
×太田 忍(フリー/2016年リオデジャネイロ五輪レスリング・グレコローマン59kg級2位)
2R 2’24” 腕ひしぎ十字固め
太田は今年予定されていた東京五輪を目指していたが、昨年にその道が途絶え、今年9月末に所属先のALSOKを退社。11月21日のRIZIN大阪大会の休憩明けに対戦相手の所と共にリングインし、MMA転向を表明していた。所は01年にMMAデビューし現在43歳。RIZINではこれまでも才賀紀左衛門、山本アーセンといった他競技からの転向組の相手を務めいずれも一本勝ちしており、MMAの試合は17年7月の堀口恭司戦でTKO負けして以来3年半ぶりとなる。
1R、太田がプレッシャーをかけるが、所が右ストレートを当て、太田が上になっても、下からの蹴り上げで脱出する。中盤、グラウンドの展開で、所が再三下から腕十字を仕掛けるが、太田は持ち上げて叩きつけて脱出を繰り返し、パワーを印象付ける。終盤、所が左ジャブ、飛び膝で太田を脅かす。
2R、太田が倒し上になるが、所は下から腕十字を狙う。今度はスラムを警戒し、一旦所が腕をつかんだまま上になってから、再び腕十字を仕掛けて、伸び切ったところで太田がタップ。所が総合力の差と健在ぶりを見せつけ完勝した。
第6試合 キックルール(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 50kg契約 3分3R
○吉成名高(エイワスポーツジム/元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級(47.6kg)王者、BOMフライ級(50kg)王者)
×ペットマライ・ペットジャルーンウィット[Petmalai Phetjaroenvit](タイ/ペットジャルーンウィットジム/ムエサイアム・フライ級(50.8kg)&ライトフライ級(48.9g)王者)
1R 2’20” KO (3ダウン:パンチ連打)
吉成は8月のRIZINでRIZIN初の肘有りキックルールの試合に出場し、優心に2R肘でTKO勝ちして以来2度目のRIZIN出場。対戦相手のペットマライはRIZIN初参戦。天心と戦うクマンドーイと同門だ。
和田レフェリーはタイ語で「チョン(英語でファイトに該当)」と合図して試合スタート。試合はラジャ&ルンピニーで実績のある吉成が圧倒する展開に。ムエタイでは1Rは様子見が定番だが、吉成は序盤から積極的に攻め、組んで左膝を当ててから、つかんだまま左肘を当ててダウンを奪う。その後もサウスポーからの左ミドルを当てつつ、再び組んで左肘を当ててダウンを奪う。最後は鼻血を出しているペットマライに、左膝をボディに効かせてから、左右のストレートを連打してペットマライをマットに沈めた。
吉成はマイクを持つと「戦いたい選手がいて、来年キックボクシングを卒業するみたいですけど、僕が勝つことでこれから僕が引っ張るというのを見せたいです」とアピールし、天心戦を希望した。大会後の会見で天心は吉成の対戦要求について思うところはあるかと聞かれると「特に無いです。階級が違うし。よくあるパターンじゃないですか、注目されて。でも彼は僕より年下で勢いのある選手なので、別の方向で頑張ってもらいたいです」と答えて、吉成の要求をかわした。天心は色んな契約体重で試合をしているが、この日は58kg、軽くても55kgで、吉成は5kg近く上げないといけないことになる。
第5試合 MMAルール(肘有り) バンタム級(61kg) 5分3R
○佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイト・チーム/元修斗環太平洋バンタム級(60kg)王者、元UFCフライ級(56.7kg)15位)
×瀧澤謙太(フリー/パンクラス・バンタム級(61.2kg)3位)
判定3-0 (豊永=佐々木/和田=佐々木/大藪=佐々木)
憂流迦は昨年10月の朝倉海戦でTKO負けし、顎の骨折の手術を経て今回が復帰戦。瀧澤は11月21日の大阪大会でのRIZIN 2戦目で扇久保博正に判定負けしたばかりだ。
1R、憂流迦がサウスポーからの左ミドル、膝を当てるが、瀧澤も左フックをお返し。瀧澤がテイクダウンを奪うが、憂流迦はオモプラッタで返してスタンドに戻し、中盤にもタックルでテイクダウンを奪う。そこから憂流迦はトップキープし、最後はパウンドと肘を当て続けて追い詰める。
2R、スタンドの打ち合いで両者当て、瀧澤のダメージが溜まってくると、憂流迦がタックルで倒す。憂流迦はバックを奪い、裸絞めを狙い続ける。最後は瀧澤が上になるがパウンドに力が入りきらない。
3R、瀧澤はパンチを顔面とボディに当てるが、憂流迦はひるまず、中盤にタックルで倒してまたも上に。瀧澤はギロチンを狙うが憂流迦は対処。憂流迦はトップキープして終了。瀧澤にダメージを与えた憂流迦の完勝に終わった。憂流迦は「榊原さん、この内容ですけど、来年一発目、扇久保(博正)選手とやりたいです」とマイクアピールした。
第4試合 MMAルール(肘有り) 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
○浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント2017優勝)
×あい(フリー)※KRAZY BEEから所属変更
判定3-0 (大藪=浅倉/和田=浅倉/松宮=浅倉)
浅倉は8月9日のRIZINで古瀬美月に1R TKO勝ち。あいは昨年末の昨年末のBELLATOR JAPANでアンディ・ウィンに勝利して以来の試合となる。
1R、両者サウスポーに構え、浅倉が圧力をかけ、左ロー、左ストレートを的確に当て続ける。あいはタックルで打開を図るが、浅倉は難なく切り、あいが押し込み続けて膠着ブレイクがかかる。その後も浅倉が打撃を当て、あいが押し込んで終わる。
2Rも浅倉が打撃戦では優位。組み合った攻防で、あいがギロチンを狙う場面もあるが、極まりは浅く効果には至らない。
3R、序盤こそあいがテイクダウンを奪うが、中盤以降は浅倉が的確にパンチを当て続け、テイクダウンを2度奪い、最後は鉄槌を連打して差を印象付け終了し判定勝ちした。
第3試合 ミックスルール(1R キックボクシング・2R MMA/オープンフィンガーグローブ着用/判定無し) 3分2R
×HIROYA(TRY HARD GYM/元Krushスーパー・ライト級(65kg)王者、K-1甲子園2008優勝)
○シバター(フリー)
2R 0’38” 腕ひしぎ十字固め
大会7日前の試合順発表時、突如「X vs. シバター」がカード表に記載された。シバターはパンクラスP’s LAB横浜出身のプロレスラーで、朝倉未来との共演でも有名な人気ユーチューバーでもある。だが相手のX、ルールなどの詳細はRIZINから全く明かされず、当日を迎えた。シバターは前日計量で92.6kgだったが規定体重は無い。
試合前の紹介VTRで、XがHIROYAと発表される。試合形式は1R キックボクシング、2R MMAの各3分の、いわゆるミックスルール。両ラウンドともオープンフィンガーグローブ着用で、時間切れになっても判定無し。HIROYAの発表体重は74.8kg。MMAではウェルター級相当で、ライトヘビー級相当のシバターと17.8kgもの差がある。
キックルールの1R、HIROYAが右ロー、右フックを当て続け主導権。シバターはロープに飛んだり、トリッキーなダンスを見せたりして観客を楽しませつつも、プロのMMAの試合経験もあるだけに、回転蹴りやバックハンドブローは素早い。終盤のパンチの打ち合いでカウンターの右フックを当ててダウンを奪う。体重が大幅に軽いHIROYAのダメージが気がかりだ。
MMAルールの2R、開始すぐからシバターがテイクダウンを奪うと、腕十字を極める。HIROYAはタップのような動きで外そうとしたためか、シバターが極めを緩める。シバターは「タップした」と口にするが、レフェリーは構わず続行する。スタンドに戻ると、HIROYAがパンチと蹴りを当て続けてシバターを苦しめるが、時間切れとなった。
シバターは「HIROYA選手、次はパチンコで勝負だ。格闘技で世界一になるよりもユーチューバーで世界一になるのは難しいんだ。ユーチューバーは強い。次はメイウェザーだ」とアピール。HIROYAは「打撃が思ったより強くて、治療中の歯が全部吹っ飛びました。このような試合に批判的な人も多く、受けるか迷いましたが、格闘技を盛り上げるためにやりました。この試合をきっかけに格闘技を見る人が増えると思うので、これからも本当に強い選手の試合、このように面白い注目を集める試合もやっていけたらと思います」とマイクで語った。
なお、この5試合後の試合の終了後、場内アナウンスで、2Rのシバターの腕十字でHIROYAがタップしたことがサブレフェリーの映像検証で認められ、シバターの一本勝ちに裁定が変更されたと発表された。
第2試合 MMAルール(肘有り) 63kg契約 5分3R
×中原太陽(佐山道場)
○倉本一真(修斗GYM東京/修斗バンタム級(61.2kg)世界7位)
1R 2’12” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
両者RIZIN初参戦。中原は02年にMMAデビューし、HERO’S、戦極にも上がり、近年は韓国のROAD FCなどアジアの大会に上がっていた。試合は17年2月のROAD FCのムン・ジェフン戦以来約3年10ヵ月ぶり。現在38歳で、今年8月に修斗創始者の佐山聡氏が代表の佐山道場に加入した。
倉本は34歳。全日本レスリング選手権大会男子グレコローマン59kg級・60kg級で12年から3連覇を達成。18年に修斗でプロデビューし、連続ジャーマンスープレックスで話題を呼んだ。5月の修斗バンタム級暫定世界王者決定戦で岡田遼に2R KO負けして以来の試合となる。8月にはリオ五輪女子レスリング48kg級金メダリストの登坂絵莉と結婚したことでも話題を呼んだ。
1R、倉本がタックルのフェイントを織り交ぜながら右フックをヒット。組み付いて突き放し、中原がバランスを崩すと、倉本は右のサッカーボールキックを当てる。下になった中原に、三角絞めにも警戒しつつ、的確に右のパウンドを当て続けると、最後はサッカーボールキックとパウンドを連打したところでレフェリーがストップ。倉本がジャーマンを出すまでもなく完勝した。
第1試合 MMAルール(肘無し) 120kg契約(ヘビー級相当) 3分3R
×ミノワマン(フリー)
○スダリオ剛(フリー)
1R 3’19” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
元十両・貴ノ富士改めスダリオ剛は、昨年9月に付け人への2度目の暴力行為が発覚し大相撲を引退。今年7月にMMA転向を表明し、9月のRIZIN埼玉大会でMMAデビューし、ディラン・ジェイムスに1R TKO勝ちしている。ミノワマンは19年6月のパンクラスでの石川英司戦で判定負けして以来のMMAで現在44歳。
1R、体格で勝るスダリオが右のカーフキックを当てると、ミノワマンは早くも足が流れる。スタンドのお見合い状態の中で、スダリオがカーフを当て続けると、ミノワマンは顔をしかめて後ろに倒れこむ。スダリオが立ったまま鉄槌を落とすと、和田レフェリーがミノワマンの足のダメージを察知し、すぐさまストップした。勝ったスダリオは「来年は日本のヘビー級の人たちを一人ずつ潰していきます」とアピールした。
オープニングマッチ RIZINチャレンジマッチ MMA(肘無し) 女子51kg契約 5分3R
―さくら(フリー)
―竹林エル(総斗會三村道場所属)※竹林愛留 改め
無効試合
※さくらが計量1.7kgオーバー。竹林が勝った場合のみ公式記録となる。
RIZINが「女子の若い選手にも活躍の場を与えたい」という方針の元、DEEP JEWELSで経験を積んだ高校生対決を、開会式前のオープニングマッチで組んだ。なお、前日の公式計量ではさくらが1.7kgオーバー。超過体重が0.5kg以上のため減点(レッドカード/50%減)。カード発表は試合9日前だったため、育ちざかりの高校3年生が活躍するのに適した契約体重だったかは気になるところだ。
試合は序盤からさくらがテイクダウンを奪うと、すぐさまバックマウントを奪い、そこから動いて腕十字を極め、1分37秒でタップを奪い完勝した。公式記録上では無効試合となる。
RIZIN.26 対戦カード発表記事まとめ
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RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ:皇治と五味隆典がパンチのみのエキシビションマッチ。那須川天心の相手は数日中に発表へ
RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ:那須川天心×クマンドーイは57kg契約。五味隆典×皇治は3ノックダウン制、判定ありに