RIZIN 8.9 ぴあアリーナMM:ホベルト・サトシ・ソウザ、矢地祐介を1Rパウンド葬。浜崎朱加&浅倉カンナも完勝|那須川天心、皇治の対戦要求に「ボッコボコにしてやります」
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RIZIN.22 – STARTING OVER –
2020年8月9日(日) 神奈川・ぴあアリーナMM
レポート&写真:井原芳徳
RIZINは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月19日の横浜アリーナ大会、5月17日の仙台大会、7月5日の大阪大会を中止し、2月22日の浜松大会以来6カ月ぶりに大会を再した。海外勢が来日できないため、日本在住の選手のみによるマッチメイクとなった。
8月9日と10日の2日間の大会の会場、ぴあアリーナMMは、横浜のみなとみらい地区に4月にオープンしたばかりだが、約4か月、イベントが軒並み中止となり、6月14日のRISEも中止に。RIZINがこの会場で初の格闘技のイベントとなる。
2大会とも政府の感染予防方針に従い、収容人数1万の会場の半分の5千人を収容人数としての開催となり(※この日の主催者発表の観衆は2,805人)、来場者に対しても検温、消毒、歓声の禁止、連絡先の登録、規制入退場、食品販売の中止などのコロナ予防対策が実施された。選手・セコンド・審判団・大会運営スタッフはPCR検査を受け、スタッフの1名以外は陰性だったという。(右下写真:第1試合ではお笑いタレントの宮迫博之さんがリングアナを務めた。)
チケット料金は値上げされたものの、RIZINの興行収入が大幅に減ることから、RIZINはクラウドファンディングを大会開催発表の7月7日から実施し、約1か月で目標金額の5000万円を達成した。
これまで衛星放送のスカパー!とネット配信サービスのGYAO!で大会が生中継されていたが、今回はGYAO!での配信は無く、新しいRIZIN独自の映像配信サイト・RIZIN LIVEを通じて生配信された。視聴料も1大会5,000円~5,500円。スカパー!は3,300円、GYAO!は2,200円だったため、チケット同様に大幅な値上げとなった。
第9試合 MMAルール 71kg契約 5分3R
×矢地祐介(KRAZY BEE/元修斗フェザー級(65kg)環太平洋王者、PXCフェザー級(65.8kg)王者)
○ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
1R 1’52” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
矢地は12月29日のベラトールとの合同興行での上迫博仁との激闘を制して連敗を3で止めて以来の試合。サトシは昨年10月の大阪大会のRIZINライト級GP一回戦でジョニー・ケースに1R TKO負けして以来の試合。
1R、最近はジークンドーを学んでいる矢地は、サウスポーに構えつつ、ブルース・リー的な右の前蹴りを、サトシの左の前足の膝に目掛けて放ち続ける。サトシは前に出て大振りのパンチを振り回したり、右のハイを放つが、矢地はかわす。だがじわじわ距離が縮まると、ロープ際に下がった矢地が右の前蹴りを出したタイミングで、サトシが矢地の蹴り足をつかんで倒し、コーナー際ですぐにマウントを奪う。するとサトシはパウンドを当て続け、矢地もしばらくもがいていたが、サトシはバランスを崩さず打ち続け、矢地が防戦一方で動きが止まったところでレフェリーがストップした。
第8試合 MMAルール(肘有り) 女子52kg契約 5分3R
○浜崎朱加(AACC/元RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)王者、元INVICTA世界アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者)
×前澤 智(リバーサルジム立川ALPHA/DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者)
2R 1’26” アームロック
浜崎は昨年大晦日のRIZINで、ハム・ソヒに判定負けし、RIZINの王座を失って以来のMMAの試合。前澤は昨年7月にRIZINに初参戦し、ハム・ソヒに1R TKO負けして以来のRIZIN出場。浜崎と前澤は7月23日のDEEP JEWELSでのグラップリングタッグマッチで対戦し、浜崎は腕十字で一本勝ちしている。試合後、前澤がMMAルールでの再戦を浜崎に要求し、浜崎もその場で快諾し、正式に試合が組まれた。
1R、スタンドの打ち合いで、序盤こそ少し被弾した浜崎だが、中盤以降、サウスポーで前澤の突進をかわし、的確に右ジャブ、左ストレートを当て続ける。終盤にはタックルで倒し、サイドから鉄槌を連打し、アームロックを仕掛け追い詰める。2R、浜崎は打撃に付き合わず、序盤から倒して上になり、今度はアームロックを極めてタップを奪い、下馬評通り完勝した。
第7試合 MMAルール(肘有り) 女子49kg契約 5分3R
○浅倉カンナ(パラエストラ松戸)
×古瀬美月(Y&K MMA ACADEMY)
1R 1’35” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
浅倉は昨年末のベラトールとの合同興行でジェイミー・ヒンショーに3Rアームロックで一本勝ちして以来の試合。古瀬はABEMA「格闘代理戦争」に出場経験があり、DEEP JEWELSで力をつけ、RIZINに初参戦した。
1R、両者打撃を軽く交錯させた後、意外にも古瀬がレスリングの得意な浅倉に対し、タックルを仕掛ける。浅倉は難なく切って潰すと、上から鉄槌を連打しダメージを与え、バックマウントからパウンドを打ち続けたところでレフェリーストップ。レベルの違いを見せつけた。
浅倉は「圧勝して勝たないといけない試合だったので、パウンドで初めて勝てて良かったです」と話し「同じ階級には勝っていない選手がいるので、そこの中に入っていきたいです。一番はベルトを持っている浜崎選手とやらせていただきたいんですけど、(山本)美憂さんとも、もう一回試合をさせていただきたいです」と今後について語った。
第6試合 MMAルール(肘有り) 61kg契約 5分3R
○井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
×渡部修斗(ストライプル新百合ヶ丘/Fighting NEXUSバンタム級(61.2kg)王者)
1R 1’40” 裸絞め
2月の浜松大会でのRIZIN初参戦で勝利した元UFCファイターの井上直樹が連続出場し、DEEPで活躍しRIZIN初参戦の渡部修斗と対戦した。
1R、渡部はシューズを履いており、開始すぐから低空タックルを仕掛け、テイクダウンを狙う。井上が切った際、下半身がロープの外に出たためブレイク。それでも渡部は低空タックルを仕掛けるが、井上はロープ際で切ってかわして背後に回り込むと、裸絞めを極めてタップを奪取。レベルの違いをまざまざと見せつけた。
第5試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 56kg契約 3分3R
○江幡 塁(伊原道場本部/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55.5kg)王者&WKBA世界スーパーバンタム級(55.33kg)王者)
×植山征紀(龍生塾ファントム道場/シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)王者)
判定3-0 (田澤29-28/片岡29-27/和田30-28)
双子の江幡兄弟の弟・塁は、昨年の大晦日にRIZINに初参戦し、那須川天心とキックルールで対戦したが、1Rに天心のパンチで3ダウンを奪われ、2分46秒でTKO負けした。その試合の入場時、兄の睦(むつき)と共に塁の持つタイトルベルトを肩に抱えていたのが、茨城県土浦市の中学時代の同級生だった俳優の三浦春馬さん。塁も公開練習で話した通り、中学の頃にお互い将来の夢を語り合った間柄だったが、三浦さんは7月18日に急死した。その後、今回の試合の決まった塁は「格闘技で輝くことが、彼(=三浦さん)も一番喜ぶことだと思うので、RIZINで生き様を見せたいです」とコメントしていた。
対する植山は昨年6月の神戸大会、10月の大阪大会に参戦し、拳剛、梅井泰成に勝利している(いずれもキックルール)。12月のシュートボクシングTDC大会で栗秋祥梧に肘で切られ2R TKO負けして以来の試合となる。
1R、圧力をかける植山に対し、塁は回って距離を取ってかわしながら、時折左ミドル等の蹴りを当てる。植山も右のクロス、左ストレート等を返すが、お互いヒットは乏しい。
2R、植山が左フック、左ボディを当て、少し流れが傾いたが、塁は左ミドルを当て続け、終盤には左ハイでも脅かして巻き返す。植山も終了間際に左ストレートを返し、お互い引かない展開に。ジャッジは2者がパンチを当てた植山につけたようだ。
3R、塁はパンチの空振りを繰り返し、やや印象が悪いが、植山が突っ込んできたタイミングで右ストレートを合わせ、ダウンを奪う。以降、植山も必死に前に出るが、塁はパンチの打ち合いに応じつつ必死に反撃を封じる。両者顔面から出血するが、最後まで近距離でのパンチの攻防を続け終了。塁がダウン分のポイント差で判定勝ちした。
塁は「小さい頃から夢を語ってきた親友が無くなりました。目の前が見えないぐらい辛くて。でも、僕はファイターです。僕の生き様はリングでしか見せることができません。どんなに辛いことがあってもリングでメッセージを送り続けます。コロナでみんなも辛いと思います。僕はここで輝いてメッセージを送りました。皆さんも各々の生き方で輝いてください」とアピールした。
その試合後、リングに皇治が上がり、那須川天心にリングインを呼びかけ「神童を泣かしたろうと思います。今年中にやろう」とアピールした。皇治からメイウェザーのお面を受け取り苦笑した天心は「僕と試合したいってことですか?別にいいんですけど、相手になるのかなってのが正直あるんで」と見下しつつも「皆さん盛り上がってくれてるんで。受けた以上、何も言わせないよう全力で叩き潰します」「いつやるかわからないですけどボッコボコにしてやります」と続け、対戦を受諾した。
榊原信行RIZIN CEOは大会後の総括で、皇治について聞かれ「プロレスじゃないんで。色んな人に喧嘩を売りながら、マスコミでもSNSでもかき回しているのに腹が立ちます。いつも都合のいいことを言うので、(天心との)決着の場をつけたいです」と、不快感を示しつつも実現に前向きな姿勢を示した。マスコミからの「RIZIN初戦から天心戦になるのか?」という質問にも「化けの皮がはがれる前に天心とやりたいのか、皇治に聞いてください」と答え、皇治に対する苛立ちを隠さなかった。
第4試合 キックルール(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 50.8kg契約 3分3R
○吉成名高[名高・エイワスポーツジム](エイワスポーツジム/元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級(47.6kg)王者、BOMフライ級(50kg)王者)
×優心(京都野口ジム/NJKFフライ級(50.8kg)2位)
2R 3’08” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちで2ダウン後)
両者ともRIIZN初参戦。地元神奈川の名高はムエタイの2大王座であるルンピニーとラジャダムナンを両方獲得した初の日本人選手で、RIZIN初参戦。今回は肘有りルールでの出場となる。ただし通常のRIZINキックルール同様、つかんでからの攻撃は1回のみとなる。優心はNJKF所属の新鋭。名高は19歳、優心は18歳と、フレッシュな顔合わせとなる。
1R、名高がサウスポーに構え、序盤から左ミドルを当て、中盤には左ボディを効かせる。後半は度々崩しを決めて主導権を維持する。
2Rも名高が再三崩しを決めた後、中盤から左右の肘を当て続ける。名高が右肘で1ダウンを奪った後、優心はフラフラで防戦一方。再び名高が左肘打ちでダウンを奪った後、優心は立ったが、意識朦朧としているため、和田レフェリーがストップした。
第3試合 MMAルール(肘有り) 66kg契約 5分3R
○関 鉄矢(SONIC SQUAD/ZSTフェザー級(65.8kg)王者)
×神田コウヤ(パラエストラ松戸)
2R 3’47” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
両者ともRIIZN初参戦。関は地元神奈川の選手で、16年11月からZSTでの8試合、オーストラリアでの1試合で8勝1分負け無しと好調。神田はDEEPを主戦場とし、レスリング天皇杯ベスト8の実績もある。
1R、神田が序盤からタックルでテイクダウンを奪い、グラウンドでもコントロールを続け主導権を握る。
2Rも神田が序盤からタックルで倒すものの、関はすぐ立つ。緊急出場だった神田は早くもバテており、関はタックルを切るようになると、少しずつパンチ、肘、ミドルを返して神田を追い詰め、最後はフラフラの神田に右ストレートを当てて後退させたところでレフェリーがストップした。
第2試合 MMAルール(肘有り) 66kg契約 5分3R
×白川陸斗(志道場)
○萩原京平(SMOKER GYM)
3R 4’40” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
両者ともRIIZN初参戦。白川は朝倉兄弟を輩出したTHE OUTSIDER出身で、現在、トライフォース赤坂で朝倉兄弟と練習している。15年のDEEPでのプロデビュー後はDEEPを主戦場としてきた。萩原はDEEP、GLADIATOR、KROSS×OVERに上がっていた選手。
1Rはスタンドの打撃戦。度々パンチが交錯するが、まだクリーンヒットは無い。萩原は右のハイ、カーフキックも織り交ぜる。
2R、萩原はコーナー際で白川につかまり、バックを取られそうになるが、膠着ブレイクでスタンドに戻ると、右のカーフキックを効かせ、やや好印象を残す。
3R、萩原が右のカーフキックを序盤から当てると、白川はスリップする。白川が立つと、パンチの打ち合いとなるが、萩原が的確に当て、白川は鼻血を出す。前に出る白川をかわし、萩原は左ジャブ、右ストレートを当て続け、最後は連打をまとめて白川が棒立ちになったところでレフェリーがストップした。
第1試合 MMAルール(肘有り) 61kg契約 5分3R
×山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE 22)
○加藤ケンジ(K.O.SHOOTO GYM/3POUND/修斗バンタム級(61.2kg)環太平洋10位)
1R 3’32” KO (右フック)
アーセンは昨年6月の神戸大会のティム・エスクトゥルース戦でKO勝ちして以降、怪我を療養し、1年2カ月ぶりの試合。加藤は2月の浜松大会で金太郎に裸絞めで敗れ、2度目のRIZIN出場となる。
1R、開始すぐから、加藤が左フックでアーセンをダウンさせる。アーセンは組み付いて膝を連打するが、加藤が右肘をお返しすると、アーセンはぐらつく。アーセンは組み力の差を発揮し、倒して上になり、マウントを奪う。加藤はハーフガードに戻してからスタンドに戻すと、左右のフックを効かせる。アーセンは立っているものの表情は虚ろで、加藤が右フックで再びダウンを奪ったところで、和田レフェリーがストップした。