RIZIN 8.10 ぴあアリーナMM:朝倉海、扇久保博正を1Rで粉砕しバンタム級王者に「堀口選手との試合を実現させてください」。元谷友貴、斎藤裕、原口健飛、神龍誠が快勝
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RIZIN.23 – CALLING OVER –
2020年8月10日(月/祝) 神奈川・ぴあアリーナMM
レポート&写真:井原芳徳
第9試合 RIZIN第3代バンタム級(61kg)王座決定戦 MMAルール(肘有り) 5分3R
○朝倉 海(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)
×扇久保博正(パラエストラ松戸/修斗フライ級(56.7kg)世界王者)
1R 4’31” TKO (レフェリーストップ:サッカーボールキック)
※朝倉が王者に
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大会の中止が続いていたRIZINが、8月9日のぴあアリーナMM大会で半年ぶりに再開し、続く10日にも大会が行われた。会場のキャパはコロナ対策のため通常の半分の約5千で、主催者発表の観衆は4,410人。
朝倉兄弟の弟・海は昨年の大晦日のRIZINで、マネル・ケイプとのバンタム級王座決定戦に臨んだがTKO負け。その後、ケイプがUFC参戦のため王座を返上し、同じ大晦日の大会での王座挑戦者決定戦で石渡伸太郎に判定勝ちした扇久保博正と海の間で、新王者決定戦が行われた。
1R、海が開始すぐから左ボディを強打。その後もプレッシャーをかけ続け、左の飛び蹴りを放つと、扇久保は蹴り足をつかんで倒そうとするが、海は離れる。扇久保も左ミドルを当てるが、その後はほとんど攻撃が出せず、海に圧をかけられ、回る状態が続く。
海は右アッパーで扇久保をひるませ、右ボディから左フックのコンビネーション、左のテンカオ等でじわじわ扇久保にダメージを与える。すると最後、再び右アッパーをクリーンヒットすると、コーナーに下がった扇久保に、左の飛び膝をヒット。ダウンした扇久保に、パウンドとサッカーボールキックを連打したところで豊永レフェリーがストップした。
完勝でベルトを巻いた海は「扇久保選手が下を向く癖があったので、アッパーと膝を狙っていました。一発効いたら絶対仕留める気持ちで行きました。本当に気持ちいいです。でもみんなが見たいカードは(海が去年8月の名古屋大会のノンタイトル戦で1R KO勝ちしている初代王者の)堀口(恭司)選手との試合だと思うので、実現させてください。日本の格闘技を盛り上げたいんで、僕が先頭に立ってRIZINを盛り上げるんで応援お願いします」とアピールした。
バックステージで海は「連敗で負けたら終わりだと思っていたので、素直にうれしいですね。リーチの差があったので、扇久保選手の届かない距離があったので、そこで戦っていました。テイクダウンは取られない自信はありました。ウェイトトレーニングで、大晦日と比べ物にならないぐらいパワーがついたので、それが見せられたと思います。兄貴の言う言葉通り動きました」「大晦日に負けて、練習場所を変えたり、練習量を増やしたり、兄貴と練習する時間を増やし、細かいテクニックを学びました」「堀口選手とは万全の状態でやりたいですね。元谷選手が強いと思いましたけど、負けないですね」と話した。扇久保は「(海は)速くて強かったです。思ったより打撃が重かったです」と試合を振り返った。
第8試合 MMAルール(肘有り) 61kg契約 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級(61.2kg)&フライ級(56.7kg)王者)
×魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS/修斗バンタム級(61.2kg)世界5位)
3R 2’19” フロントチョーク
元谷は3月のDEEPで大塚隆史を完封し、RIZINバンタム級戦線での再浮上を目指す一戦。最近は武居由樹のいるPOWER OF DREAMで打撃を磨いている。魚井は昨年6月の神戸大会でカナ・ハヤットに3R TKO勝ちして以来2度目のRIZIN出場だ。
1R、元谷はオーソドックス、魚井はサウスポーに構え、お見合いが続く。魚井は時折左フックを振るうが、空振りが続き、元谷は右ミドルを当てるが、攻撃は少ない。
2R、元谷の圧力が強まり、次第に魚井がコーナーを背負う時間が長くなる。終盤、元谷が右の飛び膝を当ててダウンさせ、パウンド、サッカーボールキックで追い詰める。
3R、魚井もセコンドの大沢ケンジ氏の声を聞きながら、左フック、アッパーを振るうが、流れは変えられず。元谷がバックスピンキックを空振りさせてから、魚井をコーナーに詰めると、後の無い魚井が前のめりの右フックで詰めてきたタイミングで、元谷がギロチンで捕まえて極めてタップを奪った。
元谷は「手数が少なくて、微妙な試合になりそうだったんですけど、最後勝てて良かったです。半年東京で練習して、進化していると思うので、この後のタイトルマッチの勝者(=海)に絡みたいです」とアピールした。
第7試合 MMAルール 66kg契約 5分3R
○斎藤 裕(パラエストラ小岩/修斗フェザー級(65.8kg)王者)
×摩嶋一整[まじま かずまさ](毛利道場/パンクラス・フェザー級(65.8kg)6位、Rebel FC同級王者)
2R 0’24” TKO (レフェリーストップ:グラウンド膝蹴り)
両者ともRIZIN初参戦。斎藤は2011年のデビュー後、VTJ含め修斗一筋で戦って来た選手。摩嶋はMMA 14勝1敗で、16年12月の試合から6連続一本勝ち中。昨年5月のパンクラスではUFC出場経験のある田村一聖に一本勝ちしている。
1R、斎藤が押し込んでから先に倒して上になるが、摩嶋は脱出すると、上からコントロールを続ける。終盤、一旦立って押し込んだ後、終了間際に倒すと、マウントをすぐ取って、攻勢を印象付けて終える。
だが2R開始すぐ、摩嶋が低空タックルを仕掛けると、斎藤はRIZINルールで有効なサッカーボールキックをクリーンヒット。ひるんだ摩嶋を押さえつけ、膝とパウンドを連打し、速攻でフィニッシュした。
中継のゲスト解説は、同じフェザー級の朝倉未来が務めた。未来がこの試合を見て「俺がやってやりますかね」と話したとアナウンサーから伝え聞くと、斎藤は「タイミングが合えばやりたい」と回答した。
第6試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約 3分3R
○原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISEライト級(63kg)王者)
×大雅(TRY HARD GYM/元K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王者)
1R 2’50” KO (3ダウン:左ストレート)
原口と大雅は18年9月、揃ってRIZINに初参戦した際に対戦し、3R判定ドローに終わっている。今回が決着戦となったが、原口が進化を見せつける結果に。
1R、サウスポーの大雅に対し、原口は圧力をかけ、右の蹴り主体で攻める。大雅も時折左のクロスを当てる等、パンチで応戦。スピーディーな攻防が続いていたが、残り1分、原口が右フックを振って前に詰めてから、左フックをすぐに放ってクリーンヒット。大雅はダウンする。大雅は立ち上がるがダメージが大きく、原口は詰めて右フックでダウンを重ねる。最後もパンチの連打からの左フックでマットに沈めた。
原口は「楽勝でしたね。大雅選手の王者としての貫禄にびびってしまうところもあったんで。でも、大雅選手と戦ってきた人が違うので、負けられへんって思いました。勝ってうれしいというかホッとしています」とコメント。「僕が倒せる人がいたら誰でも挑戦を受けます」とアピールした。
第5試合 MMAルール(肘有り) 66kg契約 5分3R
×朴 光哲(KRAZY BEE/元ONE Championshipライト級(70kg)王者、元修斗ライト級(70kg)環太平洋王者)
○青井 人(BLOWS/修斗フェザー級(65.8kg)世界9位)
判定0-3 (片岡=青井/松宮=青井/田澤=青井)
朴はONEで17年12月のクリスチャン・リー戦から3連続で1Rで敗れ、ONEとの契約が終了。4月のRIZIN横浜アリーナ大会でRIZINに初参戦し、朝倉未来と戦う予定だったが、大会が中止となっていた。青井は15年の修斗でのプロデビュー後、修斗一筋で戦って来た23歳。43歳の朴との20歳差対決となる。カード発表時、朴は「これで負けたら辞めます。Road to 朝倉未来を目指し頑張ります。引退勝負です」とコメントしていた。
1R、終始スタンドで、お互い攻めあぐねる展開。朴は少し低めに構え、プレッシャーをかけ、青井が回って距離を取る時間が中心。時折青井が右フックを当てるが、クリーンヒットにはならない。
2R、青井が右ローを当ててからの左フックで少し朴をひるませる。青井はラッシュで詰めるが、朴は押し込んで難を逃れてから離れる。その後も青井が度々右フックをきっかけにパンチラッシュで詰める場面があり、やや優位に。朴も左ボディを当てるが、手数が少なく、もらった時に背中を半分見せて逃げる場面が多く、印象が悪い。
3Rも基本的に青井が詰める場面が目立つ構図だが、青井もなかなかその先まで追い込むことができない。朴は反撃の糸口をつかめず終了。青井が文句なしの判定勝ちを果たした。朴はこれで4連敗となった。
第4試合 MMAルール(肘有り) 59kg契約 5分3R
×伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/元ZSTフライ級(56.7kg)王者)ま
○神龍 誠(フリー/DEEPフライ級(56.7kg)王者)
2R 4’30” フロントチョーク
伊藤は昨年4月の横浜大会でマネル・ケイプにKO負けして以来のRIZIN出場。神龍は12月29日のベラトールとの合同興行で中村優作に判定勝ちして以来の試合。
1R、神龍が序盤から組んで崩しを再三決めてから、オンブになって裸絞めを狙う。伊藤は自軍コーナーまで運んでセコンドのアドバイスを聞きながら脱出。終盤は神龍を押し込み、右肘を当てて挽回する。
2R、伊藤が神龍の蹴り足をすくって倒す。神龍は動いてバックを奪い、崩れて腕十字を狙うが、伊藤は対処し上に戻す。スタンドに戻って、神龍が伊藤をコーナーに押し込むが、伊藤がすぐ押し返す。両者の目まぐるしく攻守の入れ替わる攻防に場内からも度々拍手が巻き起こる。
両者は離れた後もまた組み付き、今度は伊藤が倒してからもトップをキープする。伊藤はパスガードに成功し、流れをつかんだかに見えたが、神龍は脱出しスタンドに戻す。すると神龍は飛び膝を放ち、伊藤は組み付くと、神龍は掴まれたままギロチンを仕掛ける。神龍はグラウンドに引き込んで下になってからもギロチンを外さず、ガッチリと極めると、伊藤はタップ。見事奇襲に成功し一本勝ちした。
神龍は「まだまだ強くなるんで、年末出してほしいです。僕が未来のMMAを引っ張っていきます」とアピールした。
第3試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 73kg契約 3分3R
○海人(TEAM F.O.D/シュートボクシング日本スーパーライト級(65kg)王者、S-cup 65kg世界トーナメント2018優勝)
×ロクク・ダリ(コンゴ/TRI.H Studio/元GRANDウェルター級(77.1kg)王者)※ルクク・ダリから表記変更
判定3-0 (豊永30-28/片岡30-28/田澤30-28)
海人は18年夏にウザ強ヨシヤ、小川翔に2連勝して以来となるRIZIN出場。65kg戦線で結果を残してきたが、外国人選手相手にパワー負けする試合が続いたことから、最近はシュートボクシングでも上の階級での試合を続けて来た。ダリはコンゴ出身で柔道のナショナルチームに選ばれたことがあり、2010年に来日してからMMAを始め、GRACHANを主戦場に活躍し、RIZIN初登場となる。
1R、海人は右のローを、カーフキック主体で蹴り続ける。ダリは時折詰めて大振りのパンチを振るうが、海人はかわす。ダリはカーフキックを嫌ってか、時折スイッチするが、まだふらつく状態ではない。
2Rも基本的に同じ構図だが、海人のカーフでダリが少しバランスを崩す場面も。海人は顔面狙いの右膝、右の三日月蹴りも当て、主導権を維持する。ポイントは取ったか。
3Rも海人がしつこくカーフキックを当てるが、ダリは持ちこたえ、海人はなかなかその先に持ち込めない。少しダリのパンチをもらうものの、ダメージは小さく、危なげないまま終了。順当に判定勝ちしたものの、上の階級ということもあり、快勝とまではいかなかった。
第2試合 MMAルール(肘有り) 58kg契約 5分3R
×中村優作(チーム・アルファメール・ジャパン/元WSOF-GFフライ級(56.7kg)王者)
○竿本樹生(BRAVE/ZSTフライ級(56.7kg)王者)
1R 4’06” TKO (レフェリーストップ:左フックでダウン後)
中村は12月29日のベラトールとの合同興行で神龍誠に判定負けして以来の試合。竿本は18年5月にZST王座を獲得し、同年10月に伊藤盛一郎にも判定勝ちし、その後も勝利を重ね10連勝中の23歳の新鋭で、RIZINに初参戦した。
1R、スタンドの攻防の後、中村が右のテンカオで詰めたところで、竿本が足をつかんで倒すが、膠着しブレイク。中村はガードを下げ、日本拳法仕込みの独特のリズムと間合いから、右フック、アッパー、右ミドル、テンカオを当てる。竿本はタックルを繰り返し、中村のセコンドからも「タックルしか来えへんよ」という声が飛んでいたが、竿本は足元へのタックルのフェイントを見せてから、左のオーバーハンドフックをクリーンヒット。中村は腰から崩れ落ち、すぐさまレフェリーがストップした。
竿本はマイクを持ち、ZSTのベルトを首にかけ、涙を流しながら「18で和歌山の高校を卒業し、大学行かず就職せず、BRAVEで格闘技をやってきました。RIZINで最高の勝ち方ができ、忘れられない日になると思いました」と話し、最後は「これから58kg、59kg、フライ級を盛り上げられるようがんばります」と宣言した。
第1試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 73kg契約 3分3R
○松倉信太郎(TRY HARD GYM/RISEミドル級(70kg)1位)
×森 興二(FJ KICKASS/元ZSTフェザー級(65kg)王者)
1R 1’28” KO (右フック)
松倉は18年8月にRIZINに初参戦し奥山貴大にKO勝ち。その後はRISEを主戦場にしてきた。森はMMAでの12勝の全てがKO勝ちで、キックでも3勝(3KO)1敗のハードパンチャーだが、松倉とのスキル差は歴然としていた。
1R、パンチを振り回すサウスポーの森に対し、松倉が右のミドル、三日月蹴りを的確に当てて効かせた後、ロープに詰め、パンチラッシュからの右フックでダウンを奪う。森は立つが、再び右ミドル、左右のフックを当て、2ダウン目を奪ったところで、レフェリーがストップした。
RIZINの榊原信行CEOの大会後の総括(抜粋)
メインが仕事をしてくれたことで、2日間、満足のいく興行になりました。フィニッシュ含め、バラエティに富んだ、格闘技の魅力をお見せできたかと思います。2日間で死闘を繰り広げた36人の選手に心から感謝したいです。クラウドファンディングも血肉になり、心から感謝したいです。
総評としては、海が強いな、と。ケイプ戦の敗北が、彼を強くしたと思いました。夏に強い男ですね。堀口戦を思い出すぐらい圧勝だったと思います。今後の堀口戦に向け、大晦日だと思いますが、準備して、堀口選手にもそのメッセージを送りたいと思います。恭司もそれしか考えていないと思うので。9月に恭司を出して様子見とかしなくていいと思うんですよね。ただ1年半ぶりの試合でいきなりダイレクトリマッチですから、本人に秋口に1試合挟ませて欲しいと言われるかもしれないので、話し合います。
フェザー級は、斎藤選手も青井選手もクレベル・コイケ選手も、未来とやる前に、1・2試合インパクトを残して勝って欲しいですね。未来には初代フェザー級タイトルマッチをやらせたいと思っているので、未来と戦うのにふさわしい相手が誰か考えたいです。斎藤選手といきなりってことは無いかなと思います。例えば昨日勝った萩原(京平)選手と斎藤選手がやって、修斗王者の強さを見せてからとかですね。
神龍誠も若いし将来を感じますね。原口はやっぱり強いですね。大雅はあの体格ならMMAに転向したほうがいいですね。キックでやるなら体重を落とさないと。あのリーチで戦うには白鳥にも原口にも負けていますし。
大会はソーシャルディスタンスを保つ等、コロナ対策をして行いました。無観客じゃなく、ファンがいるこの空間だからこそ、選手たちも後押しされ、熱気が生まれると思います。できればこの(客を入れる)スタイルのまま、今回のように半分だったとしてもやりたいです。満員にならなかったですが、このコロナ禍の中で及第点だと思います。
次の大会は9月末をイメージしています。年末は29と31にやるのかどうしようか考えていますけど、コロナの状況を見ながら、少し時間をいただけたらと思います。