修斗 5.31 ABEMA生中継:岡田遼、投神・倉本一真攻略の“オンラインレッスン”成功しバンタム級暫定王者に
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サステイン「プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2020 Vol.3 ABEMAテレビマッチ Supported by ONE Championship」
2020年5月31日(日)会場非公開(ABEMA 格闘チャンネルで生配信)
レポート:井原芳徳 写真:(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN
プロ修斗のプロモーター、サステインは5月31日に予定していた後楽園ホール大会を、新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため、会場非公開(後楽園とは別会場)・無観客で開催し、ABEMA格闘チャンネルで生配信した。
サステインは3月29日の後楽園大会をコロナの影響で中止しており、4月17日にはONE Championship、ABEMA、TRIBE TOKYO M.M.Aと協力し、無観客大会「Road to ONE:2nd」を既に開催している。今回もその4社が協力し、前回の感染予防のノウハウを活かすと共に、選手の減量による免疫力低下を防止するため、チャンピオンシップ以外の試合では通常の階級より1階級上・当日計量で行われた。修斗の競技を統括する修斗コミッションも「一連の事態が収束するまで」は、該当試合をクラス昇格およびランキング選考の評価基準に加える方針を発表している。
第8試合 メインイベント 修斗世界バンタム級暫定王者決定戦 5分5R
○岡田 遼(パラエストラ千葉/世界1位、環太平洋王者)
×倉本一真(修斗GYM東京/世界2位)
2R 3’02” KO (左ストレート)
※岡田が暫定王者に
岡田は17年7月の試合から6戦連続で無敗。昨年9月には安藤達也と引き分け、環太平洋王座を初防衛し、着実に結果を残してきた。対する倉本はレスリング天皇杯を3連覇し、17年12月のMMAプロデビューから7戦全勝。レスリング仕込みの連続ジャーマンで大きなインパクトを残し、昨年の修斗のMVPとベストバウトをダブル受賞した。
岡田は今回の試合に備え、2月の1カ月間、フロリダの名門・アメリカントップチームで武者修行。BOUTREVIEWの独占インタビューで、正規王者・佐藤将光が返上せず、修斗初の暫定王座戦となったことに対し「1つの団体の1つの階級に3本のベルトがあるのはおかしくないですか?」と不満を述べ、対・倉本に関しては「引出しの数が全然違う」「投神・倉本一真の倒し方、観ている人にオンラインレッスンします」と発言していた。試合ではその発言通り、引き出しの差を活かし、闘牛士のような華麗な攻めで、見事に投神攻略を果たすことに成功する。
1R、開始すぐに倉本は右の前蹴りを放ちながら前に詰め、さっそく倒して、金網に岡田を押さえ込む。岡田は隙を突いてギロチンチョークを極めるが、倉本はもがいて引き抜く。その後も倉本が上をキープし、3分過ぎに倉本がパスガードして袈裟固めで押さえるが、岡田は脱出して立ち、左ハイを当てる。
倉本はアゴが上がり、早くも少し疲れた様子で、終盤、詰めてパンチを当てるが、岡田はかわして終える。記者採点は岡田。岡田のギロチンを評価したが、ジャッジは割れ、長瀬サブレフェリーのみ岡田を支持し、田澤・豊永サブレフェリーはグラウンドで上になり続けた倉本を支持する。
2R、倉本が圧力をかけ、パンチを振るって追い掛けるが、岡田はかわし続ける。中盤、倉本が組み付いて押し込んで倒そうとし、時折バックに回るが、得意のジャーマンには持ち込めず、これも岡田は対処する。
岡田は立って組んだ状態で膝も当てる等して、倉本をじわじわ消耗させる。中盤過ぎ、倉本が離れ際にバックハンドブローの奇襲を仕掛け、岡田のアゴに当てる。だがその直後、岡田は隙を突き右ストレートをクリーンヒット。倉本がダウンすると、岡田がパウンドラッシュで追い詰める。倉本は立つが、岡田は追いかけてパンチを振るい、最後は金網に詰め、左ストレートをクリーンヒットし、倉本をマットに沈めた。勝った岡田は「俺がチャンピオンだ」と何度も絶叫し大喜びした。
岡田は環太平洋のベルトを肩にかけつつ、世界暫定王座のベルトを腰に巻くと、「何度も辞めようと思ったこともありましたけど、鶴屋さん、ここまで育ててくれて、夢をかなえてくれてありがとうございます」と、師匠の鶴屋浩氏に感謝の言葉を述べ、「人生万事塞翁が馬です。今、コロナで苦しい時間を過ごしている方がいたら、今は苦しくても、いつか笑える日が来ると思います。師匠はよく、かなえたいことは言葉に出してと言います。だから俺は12年間ずっと、修斗のチャンピオンと言って夢をかなえました。なので、一刻も早くお客さん一杯の会場で修斗が、格闘技が開催される日が戻って来るようにと口に出します」と画面の向こうのファンにアピールした。
さらに「修斗バンタム級、激戦区と言われています。だけど、倉本、安藤、ラカイの化け物、藤井、祖根、みんな俺に勝てないよ。なぜ勝てないか、オンラインレッスンします。彼らより俺のほうが修斗を愛しているから。今日はありがとうございました。以上」と、恒例の修斗愛を叫ぶアピールを展開し、大会を締めくくった。
第7試合 セミファイナル ライト級 5分3R
×西浦ウィッキー聡生(KRAZY BEE)
○SASUKE(マスタージャパン/世界フェザー級6位)
判定0-3 (片岡27-30/田澤27-30/長瀬27-30)
西浦は昨年9月のRoad to ONEでクレベル・コイケに1Rダースチョークで一本負けして以来の試合。プロ修斗では06年に新人王を獲得し、14年5月の高橋遼伍戦で判定勝ちして以来6年ぶりの参戦となる。迎え撃つSASUKEは16年にデビューしたが、17年からは休養し、昨年に復帰すると鈴木淑徳、稲葉聡、山本健斗デリカット相手に3連勝している成長株だ。
1R、西浦が左ローを当てると、SASUKEは足をすくって倒して上になる。SASUKEは西浦を金網に押しつけて上をキープし、時折パウンド、肘を当てる。記者採点はSASUKE。
2R、西浦が左のテンカオを放つと、SASUKEが足を抱えてから金網に押し込み倒す。SASUKEは再び金網に押さえつけて上をキープする。
3R、序盤に西浦がノーモーションでの右ストレートを当てる。だがSASUKEは連打を許さず、1分過ぎに胴タックルで倒して、またも金網に押さえつけて上をキープする。終盤、SASUKEがバックを取り、パウンドを当て、裸絞めを狙って終える。SASUKEが西浦を圧倒し判定勝ちした。
第6試合 AOKI PROJECT 提供マッチ グラップリングルール(判定決着無し) 72kg契約 10分1R
△世羅智茂(CARPE DIEM/柔術IBJJFアジア選手権2017黒帯フェザー級準優勝)
△岩本健汰(IGLOO/ZST GTF.3フェザー級王者、ADCC 2019アジア&オセアニア代表)
時間切れ
青木真也によるマッチメイク企画「AOKI PROJECT」の一戦。3月29日の修斗後楽園大会に平良達郎 vs. 清水清隆が提供されたが、コロナの感染拡大の影響で中止となっていた。青木は4月12日のRoad to ONEで世羅とグラップリングルールで対戦。終盤は激しく両者が動いたものの、大半の時間は青木が上で押さえたまま膠着し、結果は時間切れドローに終わった。青木も「この前の試合がしょっぱすぎて、各所から何してんだと言われた。風当りが辛い」と落ち込んだが、練習仲間の岩本に「AOKI PROJECT」の一環として世羅とのグラップリングマッチを提案したところ、岩本も「前から世羅さんとやりたかった」と快諾した。修斗には「修斗グラップリングルール」が存在し、判定決着があり、5分ごとのラウンド制(エキスパートルール)だが、この試合は10分一本勝負、判定決着無しで行われた。
世羅は序盤からギロチン狙って引き込むが、岩本は対処し、しばらく金網に押し込む。2分半過ぎ、世羅が引き込むようにして下になるが、その際にバッティングとなり、世羅が頭の上から出血し、ドクターチェックが入る。出血は収まり、すぐ再開する。
岩本はじわじわ動いてハーフになった後、逆のサイドを取り、上四方、逆サイドと動く。その後も押さえ続け、7分過ぎにはマウントを奪う。岩本は肩固めを狙うが、世羅は防御する。その後、お互い足関を狙うが、残り1分、岩本は切り替えて再び上になる。最後、岩本がヒールホールドを狙うが極まらず、最後はマウントになったところで時間切れとなり、ドローで終わった。
第5試合 バンタム級 5分3R
○清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A/世界フライ級2位、元パンクラス・フライ級王者)
×小堀貴広(ゴンズジム/世界フライ級7位)
2R 4’34” KO (グラウンドパンチ)
清水は昨年5月の扇久保博正の世界チャンピオンシップで無念のテクニカル判定負けを喫したものの、以降は2連続KO勝ち中だ。小堀は1月の後楽園で輝龍に判定勝ちして以来の試合。
1R、スタンドの展開が続き、清水がじわじわ圧力をかけ、左手で細かくフェイントをかけ、右のフック、右ローを随所で当てる。お互い慎重だが、小堀はより攻撃が少ない。終盤、小堀がタックルを仕掛けるが、清水は難なく切る。記者採点は清水。
2Rもスタンドの展開が続き、清水が圧をかけるが、お互い攻撃は少ないままだ。それでも少しずつお互い手数が上がり、終盤、小堀が右フックを当てると、清水が一瞬ダウンするが、すぐ立って、詰めて来た小堀に右フックを当て返すと、小堀が後ろに倒れる。清水が上から一気にパウンドを連打すると、小堀は背中を向けて亀になり、清水が引き続きパウンドを当て続けたところで豊永レフェリーがストップした。
試合後マイクを持った清水は「(ベルトを)返すか、俺とやるか、はっきりしろ」と、王者・扇久保との再戦を熱望した。
第4試合 THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント準決勝 5分3R
○黒部三奈(マスタージャパン/元DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者)
×大島沙緒里(AACC/全日本アマ修斗2019アトム級優勝)
3R 1’54” KO (グラウンドパンチ)
昨年11月と今年1月に一回戦が行われた女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメントが準決勝に突入する。元々は3月29日の後楽園大会で予定されていたが、約2か月延期した。
黒部はDEEP JEWELSの元王者でRIZINの大舞台も経験。昨年から修斗に参戦し、7月と11月に海外勢を一本・KOで下した。大島はMMAを始めたのは昨年4月からだが、3歳から柔道を習い、素質が高く評価されている。
1R、黒部が左ローを放ったタイミングで、大島が足元へのタックルで倒し、一旦立たれた後もすぐ倒してバックを奪う。黒部は防御するが、その後も大島がテイクダウンを重ねる。中盤、黒部はようやく大島のタックルを切り、組んで膝を当てたり、ボディにパンチを当てて削るように。終了間際には顔面に左肘とパンチを連打し、最後は上になってパウンドを落とし好印象を残す。記者採点は黒部。ジャッジは割れ、田澤・豊永サブレフェリーは黒部、長瀬サブレフェリーは大島を支持する。
2Rも黒部が大島のタックルを切って膝をボディを当てる。一瞬大島が倒すが、黒部はすぐ立つ。金網際でのスクランブル状態が続いた後、立って黒部がパンチを当てる。中盤過ぎ、大島がタックルを仕掛けてからバックを取りかけるが、黒部は脱出する。終盤、黒部が上からパウンドと肘を連打して大島を追い詰める。記者採点は黒部。
3R、大島のタックルを潰し、黒部が上になってパウンドを落とす。1分半には黒部がマウントを奪い、パウンドを当て続け、大島が防戦一方となったところで片岡レフェリーがストップした。
第3試合 THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント準決勝 5分3R
○杉本 恵(AACC/Women’s SHOOTO -50kgインフィニティリーグ2019優勝)
×中村未来(マルスジム/全日本アマ修斗2019アトム級準優勝)
2R 3’32” 裸絞め
杉本は昨年のインフィニティリーグで全勝優勝し、トーナメントには準決勝からのシード出場。トーナメント1回戦では韓国のイ・イェジが梅原拓未を下したが、コロナの影響で来日できず、代わって2月のニューピア大会でのプロデビュー戦で梅原を打撃で圧倒した中村が抜擢された。
1R、開始すぐから杉本がタックルを仕掛けて金網に押し込む。膠着ブレイクと、杉本が押し込む展開が繰り返される。中村は金網を背にして耐え続け、3分半過ぎにギロチンを仕掛けるが、杉本は対処し外す。記者採点は杉本。
2R、杉本は序盤からタックルでテイクダウンに成功する。杉本は金網際で上になり、パウンドを当てようとするが、中村は下からヒールホールドを狙う等して抵抗する。だが3分過ぎ、中村が立ちかけて体を横に向けたタイミングで、杉本が裸絞めを極め、そのままバックからの四の字で捕獲して締め上げてタップを奪取。下馬評通り杉本が決勝に駒を進めた。
次の試合で黒部が勝利後、杉本もリングに上がり、両者が決勝への意気込みを語った。杉本は「7月、決勝まで準備期間があるので、しっかり準備して、狙うはベルトなので負けません」、黒部は「なんとかあと一歩のところまでたどり着けました。ケージに入る時は活きるか死ぬかで入ってきています。ここで死んでいいと思っています。杉本さんにその覚悟はありますか?奥さん?(杉本が苦笑しながらも「あります」と答えると)わかりました、7月はいい試合をします」と話した。
第2試合 フェザー級 5分3R
○石井逸人(TRIBE TOKYO M.M.A/世界バンタム級10位)
×齋藤 翼(総合格闘技津田沼道場/FIGHT FARM)
判定3-0 (長瀬29-28/片岡29-28/田澤29-27)
石井は2月のニューピア大会で一條貴洋に判定勝ちして以来の試合。齋藤は昨年9月に藤井伸樹に判定負けし、修斗での連続負け無しが8でストップした。
1R、齋藤は構えを切り替えつつ、ローを当て、パンチを振るうが、1分半過ぎ、石井がそのタイミングで胴タックルを仕掛けて倒す。齋藤は間もなく立ち、金網際で両者組んだ状態が続く。3分過ぎ、石井が大外刈りで倒すが、齋藤は立つ。齋藤は金網に押し込まれながらも、横から肘を連打し好印象を作る。記者採点は石井。
2R、30秒過ぎに石井の右フックが炸裂し、齋藤がダウンする。石井はすぐ上になりマウントを奪う。もがく石井のバックマウントを奪い、裸絞めを狙い、パウンドもコツコツと当てる。3分過ぎ、齋藤は体をひねって上になり、肘を当ててからスタンドに戻す。齋藤は組み付いてテイクダウンを狙うが、石井は耐える。記者採点は石井。田澤サブレフェリーは石井に10-8とつける。
3R、齋藤は序盤から圧力を強め、パンチを振るう。石井は回って距離を取る状況が続く。齋藤はヒットは少ないが時折パンチを当てて好印象だ。終盤、胴タックルで倒し、金網に押し込み、優位を維持する。記者採点は齋藤。合計29-28で石井。ジャッジ3者も石井を支持し、石井が逃げ切る形で判定勝ちした。
第1試合 ライト級 5分2R
×木下タケアキ(和術慧舟會HEARTS)
○西川大和(西川道場)
判定0-3 (田澤18-20/長瀬18-20/片岡18-20)
西川は17歳。山本喧一が主催する北海道のPFCでキャリアを積み、立ち技系ルールの試合にも出場。昨年はシュートボクシングで元日本スーパーウェルター級王者・坂本優起を下し、4月17日のRoad to ONE:2ndでは新日本キックの元ウェルター級王者の緑川創に敗れるも、打たれ強さを発揮し好印象を残した。木下は極真空手をベースとし、ABEMAの「格闘代理戦争」で第2回優勝者のユン・チャンミンをハイキックでKOし話題を呼んだ。
1R、サウスポーの木下に対し、西川が右のインローを連続で当てた後、胴タックルで押し込んで倒し、サイドポジションで押さえる。西川は1分過ぎに早くもマウントポジションを奪う。パウンドを当て、バックマウントに移行し、腕十字を仕掛ける。木下は耐え、中盤に脱出しスタンドに戻す。スタンドの攻防が続き、終盤にも西川がタックルで捕まえ、テイクダウンを狙い続ける。
2Rも西川がタックルを仕掛け、1分足らずで倒す。一旦立たれるが、中盤に西川がテイクダウンに成功する。その後も西川は立とうとする木下からテイクダウンを繰り返し奪い続け、主導権を維持し判定勝ちした。