修斗 5.31 ABEMA生中継:岡田遼インタビュー「投神・倉本一真の倒し方、観ている人にオンラインレッスンします」
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「PROFESSIONAL SHOOTO 2020 Vol.3 ABEMAテレビマッチ Supported by ONE Championship」(5月31日(日)ABEMA格闘チャンネルで無観客配信)の最大の目玉となるのが、修斗世界バンタム級暫定王者決定戦・岡田遼(パラエストラ千葉/世界1位、環太平洋王者)vs. 倉本一真(修斗GYM東京/世界2位)だ。
岡田は17年7月の試合から6戦連続で無敗。昨年9月には環太平洋王座を防衛し、着実に結果を残してきた。対する倉本は17年12月のプロデビューから7戦全勝。レスリング仕込みの連続ジャーマンで大きなインパクトを残し、昨年の修斗のMVPとベストバウトをダブル受賞した。
そんなスター候補の超新星を、頭脳派と言われる岡田がどう攻略するのか? そのプランの一端を探るべく、独占インタビューを行った。今回の試合に備えての米国・フロリダのアメリカントップチーム(ATT)での武者修行、“暫定”の2文字への思い、そして4月から始めたYouTubeチャンネルについても聞いている。(聞き手・写真:井原芳徳)
「みんなが『アメリカが凄い』と言う理由がわかりました」
今日からしばらくアメリカに滞在して修行します。快く送り出してくれた鶴屋師匠は出発前日の夜中いきなり1人で家の近くまで来てくれて餞別まで渡して下さり直ぐに帰っていきました…18歳からお世話になってて今年30ですが師はまだまだ大きいです。 pic.twitter.com/XuYZg4Gf8K
— ryo okada (@The_rychiba) February 2, 2020
――2月の間の約1か月、ATTで練習されていました。海外修行に出た経緯を聞かせてください。
岡田「実はその時には、5月31日に修斗の世界戦があるという話が内々にあったので、それに向けての準備と、みんな『アメリカが凄い』と言うので、純粋に興味があって、ずっと行きたいと思っていたので、このタイミングかなと思って行ってみました」
――ATTを選んだ理由は?
岡田「候補がいくつかあって、西海岸のジムとか、あとフィリピンのチーム・ラカイとかも考えていましたけど、やっぱり堀口(恭司)選手が世界のトップで、しかも同じバンタム級の選手でいるのが大きい理由の一つです。他にもUFCのトップどころがゴロゴロいるので、自分が世界のトップ選手とどれぐらい差があるのか、立ち位置を探るためにもATTにしました」
――どなたかのツテを辿ったのですか?
岡田「試合のバンテージ巻きでお世話になっているニック永末さんのマネージャーさんを、ニックさん経由で紹介していただいて、ATTへの交渉から、向こうで滞在する家から、飛行機の搭乗券まで、全部やっていただきました。本当に助かりました」
――ATTでの練習の感想を聞かせてください。
岡田「技術を凄く大事にしているなと一番に思いました。日本の練習だと毎日スパーリングする感じになるんですけど、ATTだとスパーリングは週2日だけで、ずっと技術の練習で、あとはフィジカルトレーニングという感じでした」
向こうで驚いた事の1つが打ち込みに割く時間が長いこと。打撃もレスもロールも10分や6分で数round回してた。日本だとどうしてもスパー中心になるけど今だからこそ打ち込み沢山。頌貴捕まえて笑 pic.twitter.com/7Kv5DXGzdX
— ryo okada (@The_rychiba) April 14, 2020
――Twitterでも「向こうで驚いた事の1つが打ち込みに割く時間が長いこと」等と書かれていましたね。
岡田「全分野でその道のエキスパートのコーチがいて、そのコーチがはっきりと答えを教えてくれるんで、手っ取り早いというか、これは滅茶苦茶強くなるなと思いました。例えば日本だったら、鶴屋浩さんのいるパラエストラ千葉ネットワークに、キックのコーチが那須川天心君、グラップリングが青木真也さん、レスリングが宮田和幸さん、柔術が橋本知之選手がいて教えてくれるみたいな。プロフェッショナルのコーチが、こういう局面になったらこういうテクニックだよと、毎日たくさん教えてくれるので、毎日めちゃくちゃ楽しかったですね」
日本ではやった事ない関節蹴りのドリル。膝がおっかない。 pic.twitter.com/PhGbiw6yim
— ryo okada (@The_rychiba) February 29, 2020
――そこで学んだ新技術も今度の試合で活かせそう?
岡田「はい。引出しは凄く増えました。1カ月しかいなかったですけど、もうちょっといたら凄え強くなれるなって思いました。みんなが『アメリカが凄い』と言う理由がわかりました」
――現地で印象に残った選手はいましたか?
岡田「ヨアンナ(・イェンドジェイチェク)は(3月のUFCでのUFC女子ストロー級チャンピオンシップ)ジャン・ウェイリー戦の前のタイミングで、女子にそんなにたくさん練習する人がいるんだなって思いましたね。凄いATTのメンツの中でも異彩を放っていました。僕より小さいんですけど、近寄りがたい、怖いぐらいのオーラがありました」
rollはハニヤヒーラ無双。今日も挑むも撃沈…階級上のUFCファイターもバシバシ極めるしアドリアーノモラエスもやられてた。堀口選手も『ヤヒーラ寝技ヤバイっすよ』 pic.twitter.com/LtckkMyPN1
— ryo okada (@The_rychiba) February 15, 2020
――実際、ヨアンナのあの試合での打たれても打たれても立ち向かう気迫は凄まじかったですね。Twitterには「ハニヤヒーラ無双」とも書かれていました。
岡田「ATTはみんな(柔術)黒帯だし強いんですけど、ヤヒーラは軽量級ではズバ抜けていましたね。毎回フルボッコにされました。ヤヒーラとやった田中路教選手とか金原正徳選手とかKID選手とか凄いなあって思いました。堀口選手も『ヤヒーラはヤバい』と言っていたんで」
――その堀口選手とも交流があったそうですね。
岡田「凄くお世話になりました。僕は英語がほとんどできないんで、初日に練習スケジュールすらわからなかった時に、堀口選手が通訳して、コーチに掛け合ってくれて。ATTの練習メニューは1週間でこんな感じだとか、僕が行っていいクラスはこれだとか、細かく教えてくれました」
こっちに来て初めて日本人にお会いしました。めちゃくちゃ親切な方でした。
勉強させてください! pic.twitter.com/bXYEBNVE6E— ryo okada (@The_rychiba) February 3, 2020
フロリダの先輩がとっても親切にしてくださる…涙 ありがとうございます。今日もHard workだ! pic.twitter.com/4ttmQKRTsV
— ryo okada (@The_rychiba) February 12, 2020
――UFCに参戦中の佐藤天選手とも接点があったそうですね。
岡田「天君はフロリダのサンフォードMMAという、ATTからすぐ近くのジムにいます。天君とはTRIBE(TOKYO M.M.A)の出稽古で、ニックさんのラントレで一緒に練習していて、向こうで一度食事をさせていただいて、色々教えていただきました」
――ATTで仲良くなった選手は?
岡田「みんなフレンドリーですけど、一番お世話になったのは、この間のUFCにも出ていたチャールズ・ローザという選手で、いつも『リョー、やろうぜ』と言って練習してくれて、技術を教えれくれて、食事にも誘ってくださって、お世話になりました。(ONE Championshipのフライ級王者の)アドリアーノ・モラエスは、練習はちゃんとしているんですけど、いつも冗談ばっかり言っていて、行った時はデメトリアス・ジョンソンとの試合が流れていない時だったんですけど、そうと思えないぐらいヘラヘラしていましたね」
「とにかく、“暫定”の文言が邪魔です」
――そんな中で岡田選手は、既に倉本戦を想定していましたか?(上写真は倉本)
岡田「アメリカに行く前々日ぐらいに、次の試合は倉本戦になって、暫定王座戦になって、という話を聞いて、激萎えしたんですけど、アメリカでも倉本選手を想定して、(コーチの)マイク・ブラウンに倉本選手の映像を見せて、どうしたらいいか色々聞きました」
――倉本選手といえば連続ジャーマンスープレックスといった投げ技です。
岡田「向こうにも滅茶苦茶強いレスラーがたくさんいるので、倉本選手に近いタイプを用意しれくれて、色々やってもらいました」
――改めて、倉本選手の印象は?
岡田「凄いですよね。自分には絶対できないような試合をする人で、やっぱりジャーマンに尽きますよね。あれだけ連発して、よくスタミナが切れないなって思います」
『MMAにおける投神の倒し方』
お教えします。試合で。@ABEMA で是非ご視聴ください。#shooto0531 https://t.co/2t5JqyhBQk— ryo okada (@The_rychiba) May 5, 2020
――5月5日のカード発表直後のツイートで「『MMAにおける投神の倒し方』お教えします。試合で。」と書かれていました。今、言える倒し方のヒントは?
岡田「引出しの数が全然違うんで。倉本選手は、ある引出しが滅茶苦茶分厚くて、その引出しにとんでもない量が入っていて、その一点突破で、引出し一段でここまで来ているような選手だと思っています。でも僕は何段も引出しを準備しているので、引出しの数で色々誤魔化しつつ。MMAだったら色んな局面があるので、今までの彼のキャリアでは無いような展開になると思います。僕の中ではもう攻略していますね」
――さきほど「激萎え(げきなえ)」という言い方をされていましたけど、そこはどういった思いでしょう?
岡田「ハハハ。とにかく、“暫定”の文言が邪魔です」
――そうでしょうねぇ(笑)
岡田「そもそも修斗に暫定のチャンピオンベルトができるという発想が無かったんで。フライ級に暫定ベルトを作るなら、まだわかるんですよ。でも僕のバンタム級は環太平洋のベルトがあるじゃないですか。環太平洋と世界で既に2本のベルトがあって、暫定のベルトを作ったら、3本目のベルトを作るってことじゃないですか。1つの団体の1つの階級に3本のベルトがあるのはおかしくないですか?」
――修斗で環太平洋タイトルというのは長らく、世界タイトル挑戦に向けてのステップという感じはありましたから、3本目のベルトというのは複雑なものはあります
岡田「環太平洋のベルトを獲って、去年9月に防衛もして(=安藤達也を相手にドロー防衛)、世界ランク1位で、正規王者になれないってところで、僕は本当に激萎えしました。こんなおかしなことを押し通してまで、修斗は佐藤将光を正規王者に据え置いておきたいと言われたようなものだと思って、滅茶苦茶悔しかったですけど、その“こなくそ”根性を胸に、日々練習しています。倉本選手が相手だからという話じゃなく、“暫定”の文言が付いたことに激しく萎えました」
(注:プロ修斗では暫定王座の設置が今年2月に決まり、岡田対倉本がその初の試合となる。日本修斗協会公式サイトの2月の発表記事には、暫定王座の設置の目的について「・修斗とONE Championshipとのパートナーシップにより、世界王者のONE Championshipへの出場機会が増えた為。・指名試合の実施によるランキングの活性化を促す。」と記されている)
「おうち時間のお供に、最高品質の修斗を」
――試合まで約半月になりましたが、新型コロナウイルスの影響で練習に変化はありますか?
岡田「普段はTRIBEとかボクシングジムに行っていますけど、今回は出稽古は一切行っていなくて、パラエストラ千葉ネットワークで、決まった人とやっています。でも十分良い環境なので、そんなに問題は無いです」
――自身が運営しているDIVAS船橋でのパーソナルトレーニングのお仕事の影響は?
岡田「コロナの影響で減りましたけど、パーソナルなので、7割方のお客さんは来ていますね」
――パーソナルだと密集にはならないですからね。このコロナを巡る現状をどう捉えていますか?
岡田「起きてしまっていることはしょうがないんで、その状況にその都度、適応して、できることをやっていくしかないですよね」
――4月から岡田選手はYouTubeチャンネルをスタートしました。きっかけは?
岡田「僕のパーソナルトレーニングジムのお客様で、YouTubeの制作事業をやっている方がいて、『岡田君、やってみない?』と声を掛けていただいて、このご時世、チャンネルを持っておくのもアリかなと思って。まだユルくですけど、やってみました」
――ダイエットや筋トレの動画を上げていますけど、千葉大学と大学院で元々、運動生理学や栄養学を学んできましたから、根拠がしっかりしていますよね。
岡田「ありがとうございます。おぎちゃんねる。(=ジムの先輩の扇久保博正のチャンネル)ほど全然登録者数が伸びていないですけど」
――やっぱり対抗意識がある(笑)
岡田「全然向こうのほうが上ですけど。僕にYoutubeで興味を持ってもらって、試合を見てもらって、あるいは試合を観てからYouTubeを見てもらって、格闘技を使ってつなげたいですね」
――減量方法についても投稿されて、Twitterでも同業の選手から勉強になったといった反応もありました。
岡田「YouTubeで偉そうに語っているから失敗できないですね」
――そういうプレッシャーもありますね。実際に今回の試合に向けてこうやったという体験談も投稿のネタにできそうです。今後の展開は?
岡田「個人的には、もうちょっと肩肘張らない感じもいいと思いますけど」
――唄ったりは?
岡田「おぎちゃんねる。を参考にしつつ(笑)、再生回数が伸びるよう、試行錯誤してみます。でも、倉本戦で勝てば、自然と数も付いて来ると思うんで」
――扇久保選手も実際にそうですし、朝倉兄弟は典型でしょうけど、試合とYouTubeの面白さの相乗効果ですよね。
岡田「YouTubeを伸ばすためにも負けられないなって」
――ホント、今の時代だなって感じです。こういった現象はここ1年ぐらいで一気に進みました。最後、改めてアピールしたいことや、ファンにメッセージ的なことがありましたら、お願いします。
岡田「もう、本当に試合を観てもらいたいです。緊急事態宣言が(東京・千葉などで)解除されていなくて、おうち時間の方が多いと思うので、おうち時間のお供に、5月31日、ABEMAで岡田対倉本、観てください。僕も今までで一番強いし、最高品質の修斗を彼とお見せしようと思います」
――「投神の倒し方」、楽しみです。チャンピオンシップは5分5Rあります。序盤に倉本選手にジャーマンを多用させて、疲れさせるという長期戦向きの戦略もありえますよね。
岡田「何パターンかは用意していて、今まで倉本選手と戦った選手たちにはできなかった戦い方を確実にしようと思っています。こうやって倉本選手を倒せばいいんだってのを、観ている人にオンラインレッスンします」◆◆◆
対戦カード
修斗世界バンタム級暫定王者決定戦 5分5R
岡田 遼(パラエストラ千葉/世界1位、環太平洋王者)
倉本一真(修斗GYM東京/世界2位)
THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント準決勝 5分3R
黒部三奈(マスタージャパン/元DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者)
大島沙緒里(AACC/全日本アマ修斗2019アトム級優勝)
THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント準決勝 5分3R
杉本 恵(AACC/Women’s SHOOTO -50kgインフィニティリーグ2019優勝)
中村未来(マルスジム/全日本アマ修斗2019アトム級準優勝)
ライト級 5分3R
SASUKE(マスタージャパン/世界フェザー級6位)
西浦ウィッキー聡生(KRAZY BEE)
フェザー級 5分3R
石井逸人(TRIBE TOKYO M.M.A/世界バンタム級10位)
齋藤 翼(FIGHT FARM/総合格闘技津田沼道場)
ライト級 5分2R
木下タケアキ(和術慧舟會HEARTS)
西川大和(西川道場)
概要
大会名 プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2020 Vol.3 ABEMAテレビマッチ Supported by ONE Championship
日時 2020年5月31日(日)開始・未定
中継 ABEMA 格闘チャンネル
お問い合わせ サステイン 03-3788-3042 http://www.shooto-mma.com/