UFC 3.7 ラスベガス:ジャン・ウェイリー、ヨアンナとの死闘制し女子ストロー級王座初防衛。アデサニヤ、ロメロ相手に持ち味出ず辛勝
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UFC 248: Adesanya vs. Romero
2020年3月7日(土/現地時間) 米国ネバダ州ラスベガス:T-モバイル・アリーナ
レポート:井原芳徳
第10試合 セミメインイベント UFC女子ストロー級タイトルマッチ 5分5R
○ジャン・ウェイリー(王者)
×ヨアンナ・イェンドジェイチェク(4位、元王者)
判定2-1 (47-48/48-47/48-47)
※ジャンが初防衛
ウェイリーはUFC 4戦目の昨年8月の中国・深圳大会で 1R、ジェシカ・アンドラージに42秒でTKO勝ちし王座を獲得。UFC史上初のアジア人王者となった。今回はコロナウイルスの影響で2月上旬から中国を離れ、タイ、アブダビでの練習を経て米国入りした。
ヨアンナは15年にストロー級王者になり5度防衛。17年にローズ・ナマユナスに敗れ王座から陥落。ナマユナスとのリターンマッチでも敗れると、フライ級に上げ、ヴァレンティーナ・シェフチェンコの王座に挑戦したが敗れた。昨年10月、ミシェル・ウォーターソンとのストロー級戦で勝利し、王座奪還を目指す。
1R、ヨアンナが右ストレートを序盤からクリーンヒットし、中盤にはパンチから右ローのコンビネーションも決める。ウェイリーは次第に圧を強め右ロー、右ストレート、右ミドルを当てるように。ヨアンナは終盤にかけて攻撃が減ってしまう。記者採点は僅差だが序盤の右ストレートが印象的だったヨアンナ。
2R、ヨアンナが先に圧をかけ、コンビネーションから右ローを当てる。ウェイリーは右まぶたが腫れてきた。1分過ぎ、ウェイリーがタックルを仕掛けるが、ヨアンナは切って押し込む。ヨアンナは首相撲で右膝を当てるが、ウェイリーが右肘を返すと、ヨアンナは突き放す。するとウェイリーは圧をかけ、右ストレートをヒットすると、少しヨアンナがふらつく。ウェイリーは組み付いて一瞬倒す場面も。その後はスタンドの攻防が続き、ウェイリーは右ロー、左ミドルを当てて好印象。最後、ヨアンナが左ハイを当てて詰めてきたが、ウェイリーが組み倒して終える。記者採点はウェイリー。
3R、ヨアンナは圧をかけ、サウスポーからの左ミドル、右ローを当てる。ウェイリーは2R終盤のバッティングの影響もあってか、口と鼻から出血し少ししんどそうだ。中盤、ウェイリーは組み付いて押し込み、テイクダウンを一瞬するが、ヨアンナはすぐ立って離れる。その後も一度倒しかけるが、ヨアンナはすぐ立つ。ヨアンナはクリーンヒットは少ないもののパンチと蹴りを積極的に出し、やや優位で終える。記者採点はヨアンナ。
4R、ウェイリーは先に圧をかけ、打ち合いで右と左のストレートを当て挽回する。とはいえヨアンナも組んで膝を当て、完全に主導権を与えない。スタンド戦が続き、終盤、ヨアンナが押し込むが、ウェイリーは突き放す。僅差で終えるが、記者採点はヒット数がわずかに多かったウェイリー。ジャッジは割れても不思議ではない。
5R、ヨアンナが先に右ロー、左ミドルを当て、やや積極的だが、打ち合いでウェイリーも左右のフックを当て返す。中盤以降、ウェイリーが前に出て、時折ローを当てるが、はっきりした差はつけられない。長期戦に強いヨアンナも、顔を腫らし、さすがに疲れが目立ち、左ミドル、ローを時折返すが、やや消極的か。記者採点はウェイリー。合計48-47でウェイリー。僅差のラウンドが多かったため、ジャッジは割れたが、ウェイリーが勝利宣告されると、敗れたヨアンナも拍手した。
過酷な消耗戦を制したウェイリーは「新型コロナウイルスの影響で今日まで長い道のりになりました。コロナウイルスともこのように戦いたいです。皆さん大変だと思いますが、勇気を与えられたと思います」と話した。
第11試合 メインイベント UFCミドル級タイトルマッチ 5分5R
○イズラエル・アデサニヤ(王者)
×ヨエル・ロメロ(3位)
判定3-0 (48-47/48-47/49-46)
※アデサニヤが初防衛
アデサニヤは暫定王者だった昨年10月、王者・ロバート・ウィテカーに2R KO勝ちし、MMA 18戦全勝でUFC王者になった。ロメロは18年12月にルーク・ロックホールドとの暫定王座決定戦で3R KO勝ちしたが、計量オーバーのため王者と認定されなかった。その後2試合はウィテカーとパウロ・コスタに判定負けしている。コスタが王座挑戦予定だったが、負傷で試合できないため、アデサニヤが実績のある42歳のベテラン・ロメロを指名した。
1R、25センチ背の高いアデサニヤに対し、ロメロはサウスポーでガードを固め、ベタ足でしばらく動かない。ロメロが少しステップしただけでも場内が沸く。お見合いが続き、少しずつ両者動きが増え、中盤、アデサニヤもサウスポーに切り替えるが、なかなかお互い攻撃が出ない。3分過ぎ、アデサニヤがオーソドックスに戻してから詰めるが、ロメロは左フックで迎撃し、場内を沸かせる。アデサニヤはスイッチを繰り返すが、結局最後までほとんど攻めないまま終える。記者採点は僅差だがロメロ。
2Rも序盤、詰めてきたアデサニヤの肩口にロメロが左フックを当てる。中盤、アデサニヤの細かい動きが増え、ローを当てる場面が少しずつ増える。3分過ぎ、ロメロは詰めて左フックを連打する。終盤、お互いスイッチを繰り返すが、相変わらず攻撃が少ない。記者採点は僅差だがヒット数が少し多いアデサニヤ。
3Rもロメロは左フックを放つが、アデサニヤはかわし続ける。両者サウスポーでのお見合いが続く。アデサニヤも左ミドル、左前蹴りを当てるが、その先につなげられない。ロメロはフェイントを色々使うが序盤のようにパンチが出ない。次第に観客からブーイングが起こるように。記者採点は僅差だがアデサニヤ。
4Rも両者サウスポーでのお見合いが続く。中盤、アデサニヤが詰めて倒すが、すぐロメロは立ち、元の状態に戻る。アデサニヤが若干積極的に蹴りを出し、左ローを強打する場面もあるが、その先の攻めは乏しく、はっきりした差はつけられない。記者採点はアデサニヤ。
山場の無いまま迎えた5R、少しずつ両者の細かい動きが増え、パンチをお互い増やすが、ヒット自体は乏しい。中盤、アデサニヤの左ローをロメロがすくって倒しそうになるが、アデサニヤは耐えてすぐ元の状態に戻す。終了間際、少しロメロが左フックを当てるが、明確に差をつけられないまま試合を終える。記者採点は僅差だがロメロ。合計48-47でアデサニヤ。ジャッジ3者もアデサニヤを支持した。
苦戦ながら防衛したアデサニヤは「彼は俺のローをもらってステップを踏めなくなっていた。もう少し何かできれば良かったが、彼のダンスに付き合った」と言い張った。敗れたロメロも「本当の闘いをみんな見たいのに、あいつは逃げてばかりだった」と悪びれずに主張した。
第9試合 ライト級 5分3R
○ベニール・ダリウシュ
×ドラッカー・クロース
2R 1’00” KO (左フック)
第8試合 ウェルター級 5分3R
○ニール・マグニー
×リー・ジンリャン
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第7試合 ウェルター級 5分3R
○アレックス・オリベイラ
×マックス・グリフィン
判定1-2 (28-29/29-28/29-28)
第6試合 バンタム級 5分3R
○ショーン・オマリー
×ホセ・キノネス
1R 2’02” TKO
第5試合 ライト級 5分3R
○マルク・マドセン
×オースティン・ハバード
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第4試合 ミドル級 5分3R
○ホドルフォ・ヴィエラ
×サパルベク・サファロフ
1R 2’58” 肩固め
第3試合 ミドル級 5分3R
○ジェラルド・マーシャート
×デロン・ウィン
3R 2’13” 裸絞め
女子ストロー級 5分3R
―エミリー・ウィットマイア
―ポリアナ・ヴィアナ
中止 (ウィットマイアは計量1.5ポンド(約0.7kg)オーバー。当日入院し中止)
第2試合 フェザー級 5分3R
○ギガ・チカゼ
×ジャマル・エマース
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
第1試合 バンタム級 5分3R
○ダナー・バットゲレル
×グイド・カネッティ
1R 3’01” KO