RIZIN 11.21 大阪城ホール:斎藤裕、朝倉未来との接戦制しフェザー級王者に。扇久保博正、瀧澤謙太に完勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム中野
本場のムエタイ、教えます。初心者、ダイエット目的の方も大歓迎!まずは見学・体験を!
Yogibo presents RIZIN.25
2020年11月21日(土)大阪城ホール
レポート:井原芳徳 写真提供: (C) RIZIN FF
第10試合 RIZINフェザー級(66kg)初代王座決定戦 MMAルール(肘有り) 5分3R
×朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級・60-65kg級王者)
○斎藤 裕(パラエストラ小岩/修斗フェザー級(65.8kg)世界王者)
判定0-3 (大藪=斎藤/片岡=斎藤/田澤=斎藤)
※斎藤が王者に
RIZIN初の大阪城ホール大会は、コロナ対策で半分の収容人数で行われた。主催者発表の観客数は5,487人だった。
朝倉兄弟の兄・未来は2月の浜松大会でダニエル・サラスにKO勝ちしRIZIN 7連勝となって以来の試合。今回は修斗フェザー級世界王者の斎藤裕と、RIZIN同級初代王座を懸けて対戦する。
斎藤は2011年のデビュー後、VTJ含め修斗一筋で戦って来た33歳。15年に修斗フェザー級環太平洋王座、16年に同世界王座を獲得。宇野薫とリオン武に判定勝ちし、髙谷裕之にKO勝ちし、対ベテラン日本勢相手では結果を出しているが、昨年5月の修斗ではアギー・サルダリ(オランダ)にレスリングで攻め込まれ判定負けしている。8月10日の横浜大会でRIZINに初参戦し、摩嶋一整に2R TKO勝ち。その直後、未来との対戦に同意していた。
1か月前のカード発表会見で未来は斎藤について「俺の相手じゃないかなってところですね」とキッパリ。2月以降、スパーリングでは組み技が8割だったといい、YouTubeの企画でのボクサーやK-1ファイターとのスパーからも技術を吸収。コロナ禍の影響で海外勢がベルトに絡まない状況も意識し「今回のタイトルマッチで証明されるベルトの価値はあんまり高くない」と冷静に位置づけ「今後、世界の強敵を倒して、RIZINのベルトの価値を高めていきたい」と話す。
対する斎藤は未来を「勝つイメージを明確に持っていて、試合で遂行するのが上手」と評し、勝敗のポイントを聞かれると「5分3R通して必ずチャンスが来ると思う」と発言。公開練習では未来より勝っている点を聞かれると「根性です」と答えた。下馬評は低い斎藤だが、果たしてその根性でチャンスをものにできるか?それとも未来が言葉通り差を見せつけ、年末あるいは来年へのステップとするのか?
1R、未来がサウスポーに構えるのに対し、斎藤がオーソドックスに構えて細かく前後に動きつつ左に回る。未来は左ミドル、テンカオを当てる。1分半頃、斎藤がパンチが交錯する中で左フックを当てる。中盤、未来の左ローがローブローとなる。斎藤のダメージが大きく、ルールに定められた約5分間、しっかり休んで再開する。緊張感のあふれるフェイント合戦が続き、未来が右フック、左ストレートを当てるが、まだ当たりは浅い。終盤、お互いパンチが当たり、斎藤がタックルを仕掛けるが、未来は耐え、斎藤がコーナーに押し込んで終える。ここまではイーブンか。
2R、今度は斎藤の左ローがローブローとなり、一時中断する。当たりは浅く、数十秒で再開する。斉藤は右ハイを当て、詰めて右ストレートも放ち、未来はギリギリでかわす。未来が左ローを放つが、斎藤は蹴り足をすくってタックルを仕掛け、コーナーに押し込む。未来は自軍の赤コーナー付近で耐え、膠着ブレイクが入る。未来は左の三日月蹴りを当てるが、斎藤は右ミドルを返し、パンチを振り回してから組み付いて、今度はニュートラルコーナーに押し込む。これも未来が耐え膠着ブレイクに。未来はテイクダウンを防御する際に場外に出る動きになってしまい、ロープもつかんだため、福田レフェリーは警告を出す。斎藤は右ミドルを当て、未来の左フックに合わせ右フックを当てるが、未来はひるまない。だが組みを含め、流れは斎藤に次第に傾くラウンドに。
3R、未来は左テンカオから一気に詰めようとするが、斎藤は離れ、右ミドルを当て返す。お見合いが続くが、中盤、斎藤がタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。ロープ際で斎藤は押さえ続けるが、膠着してしまい、ブレイクがかかる。斎藤はまたも右ミドルをヒットし、立っても寝ても主導権を維持する。
だが残り1分、未来は左フックを当て、斎藤はひるんでマットに片手をつく。ようやく未来がチャンスを作るが、すぐ斎藤は立つ。場内が一気に沸く中、斎藤が詰めて挽回を狙って右フックを当てると、今度は未来も少しひるむ。しかし未来も打ち合いですぐに左フックを当て返し、斎藤の腰が落ちる。一進一退のスリリングな展開となり、終了間際、未来がタックルを仕掛けて倒そうとするが、斎藤はロープにもつれた状態で耐えて終了する。終盤の攻防でパンチをもらった斎藤は右目を腫らし鼻血を出している。未来はゴングが鳴ると手を上げ勝ちを確信した様子だ。
採点の難しい試合だが記者は未来につけた。RIZINルールの判定ではダメージ、アグレッシブネス、ジェネラルシップの順で評価される。斎藤が2R中盤あたりからヒット数とテイクダウンで上回り主導権を握り、アグレッシブネス、ジェネラルシップでは上回っていたが、3R残り約1分に未来が左フックで2度ダウンに近い状態を作り、斎藤の顔面にダメージを与えたため、未来を評価した。ジャッジは3者とも斎藤を支持したが、終盤に未来も被弾していたため、その裁定も不思議ではないぐらいの大接戦だった。
未来は敗戦が確定すると、信じられないといった様子の表情を浮かべ、呆然とした様子のまま退場。斎藤の腰には、先ごろ引退した元阪神タイガースの藤川球児さんが真新しいチャンピオンベルトを巻いた。
斎藤は「僕の勝利を信じ、会場に来てくれた皆さんありがとうございます。対戦を受けてくれた朝倉選手、ありがとうございます。またこのリングで戦い続ければ出会うかもしれないので、その時はよろしくお願いします」と話した後、涙を浮かべ、「いつも応援してくださる皆さんありがとうございます。人生いいことばかりじゃないですけど、一生懸命やれば何か結果が残せるので、皆さん頑張ってください。これからもっと試合して実力を証明したいと思います」とアピールした。
斎藤は大会後のインタビューの後、右目の検査のため病院に直行。未来は試合後のコメントでダイレクトリマッチ(※他の選手との試合を挟まない再戦)を希望した。榊原信行RIZIN CEOは「斎藤選手のコンディションが整うなら、続きの4R目を大晦日でもいいのかなと思います」と話している。
◆斎藤
朝倉選手、滅茶苦茶強かったです。紙一重で、今日は自分に運があったと思います。(相手の印象は試合前と違った?)色々試合前に言いますけど、試合は冷静な選手だと思っていたので、そのままでしたね。攻撃が冷静でした。(今後の展望は?)ベラトールとかの海外勢が入ったらもっと戦いが厳しくなると思うので、このままではいけないと思っています。フェザー級自体のレベルが上がるよう、自分も精進していきたいなと思います。
◆未来
斎藤選手、強かったですね。(試合直後は)勝ってたと思っていたんで、試合を見返したいですけど、審判3人ともあっちに上げたので、そういうことなんだなって感じですね。(相手の印象は試合前と違った?)パワーがありましたね、パンチも組みも。(今後の展望)ダイレクトリマッチしたいですね。今からでも戦いたい感じです。
(試合前に斎藤と言い合ったが、試合を含め全体を今振り返って)シンプルになんか、勝った時よりうれしい気分というか。格闘技、やっぱ辞められないなってのと、早く練習したいですね。やり返したいなってところですね。
(来年2月28日のMEGA2021東京ドーム大会のフロイド・メイウェザーの相手が未来になるのではと言われているが?)噂になっていましたけど、まだ聞いてないんですよね。そんなこと言っている場合じゃなくて、斎藤選手にやり返したいのが第一優先ですね。
(斎藤が右まぶたの負傷で病院に行ったため、大晦日の再戦は難しいかもしれないが?)大晦日は期間が短いので、その次の大会ぐらいでやれたらいいなと思います。
(左の蹴りをつかまれて、後半使い辛くなった?)対策しているなと思いましたね。最初から打ち辛かったです。僕の試合やスパーリングはYouTubeとかたくさんありますけど、逆に斎藤選手の試合は(8月の)摩嶋選手の試合以外は昔の試合しかないので、前より総合的に強くなったんじゃないですか?でも次やったら俺が勝ちますよ。絶対に。
◆榊原氏
大半の人が朝倉未来の勝利を信じて疑わなかったのかもしれませんが、斎藤裕の地道に作り上げた強さというか、修斗の重厚さを感じる試合でした。判定に色んな意見もあるかもしれませんが、僕もリングサイドでひいき目無しに見て、ジャッジはしっかり見ていたと感じました。未来選手はダイレクトリマッチをしたいと言っているそうですが、4R目を見たくなるような試合展開だったので、斎藤選手のコンディションが整うなら、続きの4R目を大晦日でもいいのかなと思います。勝利の美酒に酔いしれる斎藤君にこんなことを言うのは胸が痛いですけど、大晦日、お祭りなので、ここはいっちょやって欲しいなと。ゆっくり口説こうかと思っています。
第9試合 MMAルール(肘有り) 61kg契約(バンタム級相当) 5分3R
○扇久保博正(パラエストラ松戸/修斗フライ級(56.7kg)世界王者)
×瀧澤謙太(フリー/パンクラス・バンタム級(61.2kg)2位)
判定3-0 (大藪=扇久保/和田=扇久保/長瀬=扇久保)
扇久保は8月10日のRIZIN横浜大会で朝倉兄弟の弟・海に1R KO負けして以来の試合。対する瀧澤はパンクラスの王座戦線で活躍し、9月27日の埼玉大会でRIZINに初参戦。金太郎に判定勝ちし、早くも2戦目を迎えた。
1R、スタンドでお互い見合い、瀧澤が次第に圧をかける側になる時間が続くようになり、バックスピンキック、右ミドル、左ハイを出す。3分過ぎ、瀧澤がパンチの連打から左膝蹴りにつなぐ。だが扇久保はひるまず、随所でロー、カーフキックを返す。
2Rもスタンドが続き、お互いローを当てるが、均衡状態が続く。中盤、扇久保が左アッパーのフェイントから組み付く。瀧澤は離れるが、扇久保は追い掛けながら左ミドルを当てる。扇久保は時折スイッチしながらパンチと蹴りを当て、手数で積極性を印象付ける。瀧澤は少し鼻血を出している。
インターバル後、リングアナウンサーから、瀧澤が2Rに扇久保に倒されそうになった際、ロープに上から触ったとして、レフェリーが注意したとアナウンスされる。少し瀧澤は動揺したか?3Rが始まり、瀧澤が左のテンカオを放つが、届かず着地すると、扇久保が左右のパンチを振り回してから、高角度の左ハイをヒット。瀧澤がひるむと、タックルで倒して上から押さえる。瀧澤は立つが、扇久保はすぐ組み付いて抱え上げて倒し、バックマウントを奪う。扇久保はトップポジションに移るが、トップをキープ。終盤にはバックを奪い、下になってもすぐギロチンを狙う。最後、スタンドも通り、両者打撃を出すが、扇久保の優勢は揺るがず終了。記者採点もジャッジ3者も扇久保で、扇久保の判定勝ち。扇久保が総合力の差を見せつけRIZINバンタム級上位の座を保った。
マイクを持った扇久保は「8月に負けてどん底でしたけど、支えてくれる道場のみんな、(師匠の)鶴屋(浩)さん、彼女に感謝しています」と話し、「社長、来年バンタム級GPを開いてください」とアピールした。
第8試合 MMAルール(肘有り) 77kg契約(ウェルター級相当) 5分3R
○住村竜市朗(TEAM ONE/DEEPウェルター級(77.1kg)王者)
×レッツ豪太(総合格闘技道場コブラ会/GLADIATORウェルター級(77.1kg)王者、元パンクラス王者)
判定2-1 (片岡=レッツ/大藪=住村/長瀬=住村)
住村は昨年末のベラトール埼玉大会でジョン・タックに1R TKO負け。今年3月のDEEPで悠太に判定勝ちし防衛して以来の試合。対するレッツはRIZIN初参戦。2月のGLADIATORで脇本恭平に腕十字で一本勝ちして以来の試合となる。
1R、住村がオーソドックス、レッツがサウスポーに構え、前手を出してチャンスをうかがう。3分半過ぎ、住村が詰めて左ストレートを当てて、そのまま組んでコーナーに押し込む。
2R、レッツが左ハイを放つが、住村は蹴り足をつかんで倒して上になり、ハーフで押さえる。中盤、スタンドに戻り、お見合い状態に戻る。和田レフェリーは両者に攻撃を促すが、状況は変わらない。
3Rもお見合いが続くが、中盤、レッツのパンチのタイミングで住村がタックルを仕掛けて倒して上をキープする。住村はハーフまで行き、足を抜きたいが、膠着しブレイク。すぐに住村がタックルを仕掛け、レッツはロープを背に座って耐える状態で終了する。両者決め手に乏しい試合だったが、記者採点はテイクダウンを重ねた住村。ジャッジは割れたが、2者が住村を支持し住村の判定勝ちとなった。
第7試合 MMAルール(肘有り) 57kg契約(フライ級相当) 5分3R
○竿本樹生(BRAVE/ZSTフライ級(56.7kg)王者)
×北方大地(パンクラス大阪稲垣組/パンクラス・ストロー級(52.2kg)王者)
判定3-0 (長瀬=竿本/片岡=竿本/大藪=竿本)
竿本は8月10日のRIZINでRIZINに初参戦し、中村優作にKO勝ちし現在11連勝中。対する北方は昨年はONEに上がり、RIZINには初参戦。
1R、竿本がサウスポーに構えて時折スイッチし、北方がオーソドックスに構える。中盤、竿本が片足タックルで倒すが、北方はロープとコーナー際で中腰で耐え、得意のギロチンを狙いながら、竿本の頭に右膝を連打し好印象を残す。終盤、スタンドに戻ると、竿本が左前蹴りを当てるが、北方は蹴り足をすくって倒し、上からパウンドを当てる。
2R、竿本が左飛び膝からタックルを仕掛けて倒し、サイドを奪うが、北方はすぐ動いて中腰でコーナーを背にして膠着状態に持ち込みブレイクを誘う。竿本が時折、左ボディ、右フックを当てるが、スタンドでお見合いになる時間が長く、均衡状態で終える。
3R、北方の右フックで竿本は押し倒されるようになるが、すぐタックルを仕掛け、北方はコーナーを背にして座って耐える。北方はギロチンを狙い、竿本はパウンドにつなげられない。中盤、北方が立とうとすると、竿本は抱えて倒すが、竿本は押さえつけに固執せず、スタンドに自ら戻す。竿本は再びタックルを仕掛けるが、北方はロープ際でがぶって耐えると、右肘を当てて、またもギロチンを狙う。終盤、膠着ブレイクとなるが、お互い有効打はなく終了。記者採点は1Rに頭部への膝でチャンスを作り、ギロチンも再三狙った北方。ジャッジは3者とも竿本のテイクダウンと2Rの打撃の積極性を評価したか?竿本の判定勝ちとなった。
柔術デモンストレーション
ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術/元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
クレベル・コイケ(ボンサイ柔術/元KSWフェザー級王者)
坂本ハリ(アラバンカ柔術/ヒクソン・グレイシー杯2018グレー帯優勝・14歳)
秋田美咲(アラバンカ柔術/第2回SJJJF全日本柔術選手権優勝・12歳)
第6試合 MMAルール(肘有り) 66kg契約(フェザー級相当) 5分3R
×内村洋次郎(イングラム/パンクラス・フェザー級(65.8kg)7位)
○萩原京平(SMOKER GYM)
1R 0’22” KO (右ストレート)
内村は8月大会で関鉄也と対戦予定だったが負傷欠場し、今回RIZIN初参戦。対する萩原は8月9日の横浜大会で白川陸斗にKO勝ちしたが、9月の埼玉大会で芦田崇宏に1Rアームロックで一本負けしている。
ストライカー対決は、1R開始早々の決着に。サウスポーの内村に対し、序盤から萩原がオーソドックスで詰め、内村の右フックの空振りの後、右ストレートをこめかみにヒットする。内村がふらついて下がると、萩原が追い掛け、右ストレートをアゴに当てると、内村はダウン。内村はうつぶせで倒れ、萩原が踏みつけたところで和田レフェリーがストップした。
なお、大会終了後、榊原代表は「萩原選手がMVPと言えるような活躍を見せてくれて、フェザー級の台風の目になりそうな素晴らしい試合でした」と絶賛。無傷のため、大晦日大会の起用も十分あるだろう。
第5試合 キックルール(肘無し、つかんでからの攻撃は1回) 60.5kg契約 3分3R
○大雅(TRY HARD GYM/元K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王者)
×山畑雄摩(心将塾/DEEP☆KICK -63kg王者、NJKFライト級(61.23kg)3位)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
大雅は8月10日のRIZINで原口健飛に1R KO負けして以来の試合。対戦相手の山畑雄摩はRIZIN初出場だ。1R、両者サウスポーに構え、山畑が高く構えながら圧をかけ、大雅が左に回り続ける。終盤、山畑が左ハイを当て、大雅もボディから顔面へのパンチの連打を返し、少し動きが出るが、まだ均衡は崩れない。記者採点はイーブン。
2Rも山畑が右フックを当てつつもローなどの蹴り主体、大雅が左ローも当てつつもパンチ主体の構図。なかなか均衡状態は崩れない。記者採点はイーブン。
3R、大雅は随所で左ボディをヒット。山畑は前に出るが空振りが多く、ヒットが減ってしまう。終盤、大雅が山畑のガードの上からでもパンチを当てて手数を上げ、ようやく差を印象付け終了。記者採点は大雅。合計30-29で大雅。ジャッジ3者は30-28で大雅を支持し、大雅の判定勝ちとなった。
マイクを持った大雅は「何も言うことないです」と第一声を放ちつつも「怪我もないと思うんで、年末、もう1回やらせてください。誰と見たいですか?」と、那須川天心を思わせる形で観客への呼びかけを行う。コロナ対策で歓声禁止だが、観客の「総合」という声に大雅は「総合はちょっとキツいです」と苦笑しつつ、「皇治選手、相手決まってるんですか?」と、皇治戦を希望した。両者は17年6月のK-1で対戦し、大雅が判定勝ちしている。前回は皇治が挑発する立場だったが、今回は皇治が挑発される構図となった。
なお、皇治はここでは姿を見せず、2試合後の第7試合の終了後にリングイン。「来年、4月か5月、ここで試合しようと思うんで、応援してもらえるとうれしいです。大晦日は皆さんが元気になれるような挑戦する試合がしたいです。ボブ・サップとかチェ・ホンマンとか、大きい奴に挑もうと思います」とアピールし、大雅については言及しなかった。
第4試合 キックルール(肘無し、つかんでからの攻撃は1回) 83kg契約 3分3R
×江畑秀範(フリー/全日本テコンドー協会男子80kg級2011-2020優勝)
○佐野勇海[いさみ](拳之会)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
江畑は全日本テコンドー協会の男子80kg級の全日本選手権で2011年から9連覇中の28歳。身長197cmと長身が持ち味で、18年の全日本選手権決勝では菊野克紀に勝利している。昨年、全日本テコンドー協会の金原昇・前会長らの不誠実な組織運営を告発したことでも知られる。今年8月にはプロ格闘技挑戦を表明し、今回がプロデビュー戦。キックボクシングルールにも初挑戦となる。対する佐野はNJKFの大阪と岡山のアマの試合にに上がっていた20歳で、同じくプロデビュー戦だ。
1R、江畑がサウスポーからの左ハイを序盤から当て、場内はどよめく。だが佐野が詰めてパンチを振るうと、江畑はガードが低く、被弾してしまい、まだキックボクシングにアジャストできてない様子だ。江畑はガードを下げたまま回って佐野の圧をかわす時間が続き、やや消極的な印象となってしまう。記者採点はイーブン。
2Rも佐野が追いかける展開が続き、時折右フックを当てる。江畑は離れて連打を免れるが、背中を向けてしまう場面も。記者採点は佐野。
3Rも佐野が前に出続け、江畑は疲れが見え始め、ホールディングの多用で豊永レフェリーから注意を受ける。中盤、佐野が左右のストレートを連打し、江畑はダウン。その後も佐野が攻め続けて優位を維持。記者採点は10-8で佐野。合計30-27で佐野。佐野がキックボクサーとしての経験差を見せつけ完勝した。
第3試合 MMAルール(肘有り) 66kg契約(フェザー級相当) 5分3R
×朴 光哲(KRAZY BEE/元ONE Championshipライト級(70kg)王者、元修斗ライト級(70kg)環太平洋王者)
○白川陸斗(志道場)
3R 4’19” TKO (レフェリーストップ:右ストレート→右サッカーボールキック)
朴は8月10日の横浜大会で青井人に判定負けし4連敗。対する白川は8月9日の横浜大会で萩原京平に3R TOK負けしたが、11月1日のDEEPで大原樹里の兄・オーロラ☆ユーキに1R TKO勝ちすると「怪我も無いんで、11月、僕の地元の大阪のRIZIN、間に合いますかね?」とアピールし、試合が組まれた。
1R、白川が序盤から圧をかけ、1分過ぎ、右フックを立て続けに当てる。中盤、朴は左ジャブのヒットを増やし、距離をうまく作る。終盤、お互い手数が落ちるが、細かく動く白川に対し、朴は口が開き少ししんどそうだ。インターバル中、朴のセコンドがマットを水で濡らす反則を犯し、朴に和田レフェリーがイエローカードを出す。
2Rもスタンド勝負が続く。朴が右のカーフキックを当てると、白川は左足の踏ん張りが少し弱くなる。中盤、白川は左ボディを当て、そこから詰めるが、バッティングでインターバルが入り、追撃のチャンスを逃す。終盤、白川が下がる時間が長くなり、終了間際、朴が右ストレート、左ボディを立て続けに当て、若干優位となるが時間切れに。
3Rもスタンド勝負。なかなか均衡状態が崩れなかったが、中盤、白川が右ストレートを当てると、朴はダウンし、白川は上になる。朴は下から両足を組んでしっかりガードし、白川は捕まりっぱなしになってしまう。膠着状態が続き、1分程で和田レフェリーはブレイク。すると白川が左ボディを散らしつつ、左右のパンチを連打すると、朴はダウン。白川がさらにサッカーボールキックを当てたところでレフェリーがストップした。
第2試合 キックルール(肘無し、つかんでからの攻撃は1回) 53kg契約 3分3R
○政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級(53kg)2位、J-NETWORKフライ級(50.8kg)王者)
×佐藤執斗(グラップリングシュートボクサーズ名古屋/韓国MAX FCフライ級王者)
判定3-0 (30-28/30-28/29-28)
1R序盤、佐藤が左フックを当て、政所を押し倒すと、顔面に膝を入れる反則を犯し、豊永レフェリーから注意される。その後もお互いパンチを当てるが、その先は続かず、まだ大差は無い。記者採点はイーブン。
2R、政所が中盤、詰めて右ボディを効かせると、パンチラッシュからの右のバックハンドブローでダウンを奪う。その後もラッシュを続けるが、佐藤は耐える。記者採点は10-8で政所。
3R、佐藤が序盤から左ハイをヒットするが、政所は圧をかけ、右ボディストレートを返す。終盤、佐藤も左ボディからの右ストレートを当てると、一瞬政所はフラつく。佐藤は前に出てパンチを振るうが、右ボディをもらった影響か?息が苦しそうで、追い詰めることができず、政所も攻撃を返して終える。記者採点は佐藤。合計29-28で政所。政所が判定勝ちしたが、終盤苦戦したせいもあってか不満げな表情だった。
第1試合 キックルール(肘無し、つかんでからの攻撃は1回) 63kg契約 3分3R
×山口侑馬(山口道場/RISEスーパーライト級(65kg)1位、元INNOVATIONライト級(61.23kg)王者、元DEEP☆KICK -60kg王者)
○麻原将平(パウンドフォーパウンド/RISEライト級(63kg)5位、元HOOST CUPスーパーライト級王者)
3R 2’59” TKO (レフェリーストップ:右フックでダウン後)
1R、序盤から麻原が圧をかけ、右ストレートを効かせる。侑馬も右カーフキック、左フックを返す。終盤、麻原が左フックを立て続けに当てると、侑馬はフラつき、一瞬マットに手をつく場面も。記者採点は麻原。
2R、麻原は左ジャブを増やし、侑馬は執拗にカーフキックを当てるが、麻原はひるまない。終盤、左フックの相打ちで、両者少しひるむ場面も。記者採点イーブン。
3R、侑馬は圧を強めるが、麻原も左ジャブを随所で返し、反撃を許さない。すると終盤、麻原がカウンターで左フックを合わせダウンを奪う。侑馬はダメージが大きく、最後は右フックの連打で2ダウン目を奪ったところで豊永レフェリーがストップした。