修斗 5.6 後楽園ホール(第2部):扇久保博正、清水清隆下し防衛「RIZINで元谷選手とやらせてください」。宇野薫、プロ修斗30周年大会出場も判定負け
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サステイン主催「プロフェッショナル修斗公式戦 SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR 30周年記念大会 Supported by ONE Championship 第2部」
2019年5月6日(月/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第6試合 メインイベント 修斗世界フライ級チャンピオンシップ 5分5R
○扇久保博正(パラエストラ松戸/王者、元バンタム級世界王者/56.6kg)
×清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A/世界1位、元パンクラス王者/56.7kg)
4R 0’40” テクニカル判定3-0 (福田40-37/片岡40-36/横山40-36)
※扇久保が2度目の防衛
※当初発表は4R 0’40” KO (グラウンドパンチ) での扇久保の勝利だったが、映像検証の結果、試合終了の要因が偶発的なバッティングによるものだったと認められ、その時点までのサブレフェリーによる採点が改めて集計された。(詳細)
プロ修斗30周年を記念した今大会は後楽園ホールの昼夜興行となり、この試合は夜の第2部のメインイベントで、記念大会のフィナーレとなる。清水は1月の後楽園大会のセミファイナルで世界2位の前田吉朗に1R TKO勝ち。試合後、5月6日の後楽園でのタイトル戦を扇久保に要求し、扇久保も承諾していた。扇久保は17年10月の舞浜大会でオニボウズに1R裸絞めで一本勝ちし王座を初防衛。試合は昨年7月のRIZINで堀口恭司に判定負けして以来となる。扇久保はデビュー当時から現在まで修斗に軸足を置きつつ、UFC(出場権争奪トーナメント)・RIZINといったビッグイベントに挑んだ選手の代表格。記念大会の最後でもしっかりその役目を果たす。
1R、扇久保が圧力をかけ、回る清水が右フックを放ったタイミングで、扇久保が胴タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。清水は立つが、扇久保が圧力をかけ続け、テイクダウンを狙いつつ、右フック、左ミドルをヒット。清水も得意の右フックを振るうが読まれており、右ローは当てるものの、有効打は乏しい。記者採点は扇久保。サブレフェリー3者の採点も同じだ。
2Rは終始スタンドで、扇久保がスイッチやしゃがむ動作を織り交ぜながらプレッシャーをかけ続け、右ローを随所で当てる。清水は回り続け、右フックは空振りを繰り返し、なかなか攻撃が返せない。記者採点は扇久保。サブレフェリー3者の採点も同じだ。
3Rも扇久保ペース。右ロー、左インローを当て続けていると、清水の左膝の周りは赤くなる。扇久保は左ハイも織り交ぜて、時折パンチラッシュでも追いかける。清水も終盤、右ロー、左ジャブを返すが、全般に攻撃が乏しい。最後の扇久保の左ハイで清水は右まぶたをカットし、少し表情も苦しそうに見えてきた。記者採点は扇久保。片岡・横山サブレフェリーも同じで、福田サブレフェリーはイーブンとする。
扇久保は清水を見てここが勝負所と感じたか?4R序盤から右フック、左ミドルなどで積極的に攻める。すると扇久保が右フックを放った直後、清水がうつぶせでダウンし、扇久保がパウンドをまとめたところで豊永レフェリーがストップした。なお、冒頭記述通り、当初発表は4R 0’40” KO (グラウンドパンチ) での扇久保の勝利だったが、映像検証の結果、試合終了の要因が偶発的なバッティングによるものだったと判明し、その時点までのサブレフェリーによる採点を改めて集計する「テクニカル判定」での清水の勝利に、裁定が変更されている。
昼の第1部のメインでライト級世界王座を防衛した松本光史には、修斗が1月にパートナーシップ契約を結んだONE Championshipの出場権のプレートが贈呈されたが、RIZINとの契約が残る扇久保には渡されなかった。扇久保はベルトを巻き、マイクを持つと、「(大会主催のサステインの)坂本(一弘)さん、30年間、修斗を引っ張ってくれてありがとうございます。僕ら選手は感謝しています。ただ一言だけ言わせてください。僕はRIZINでやり残したことがあるんで、元谷(友貴)選手とやらせてください、よろしくお願いします」とアピールした。
第5試合 フェザー級(ノンタイトル戦) 5分3R
×斎藤 裕(パラエストラ小岩/世界王者/65.7kg)
○アギー・サルダリ[Agy Sardary](オランダ/スポーツヴィジョン/65.8kg)
判定0-2 (長瀬28-29/横山29-29/福田28-29)
フェザー級世界王者の斎藤裕と元ライト級世界王者の宇野薫は、かつて修斗で活躍したマルタイン・デ・ヨングが送り込むオランダ勢と対戦。斎藤と戦うサルダリは9戦7勝(4一本・2KO)2敗の25歳。
1R、サルダリの右ローをすくって、斎藤が倒して上になるが、サルダリは脱出する。斎藤は組んで反り投げを狙うが、耐えたサルダリは金網に押し込んで肘を当て、斎藤の前頭部を切り裂き出血させる。離れたところでドクターチェックが入るが再開する。終盤、斎藤がテイクダウンを奪うが、最後は立って終える。記者採点は出血のダメージ重視でサルダリとしたが、サブレフェリーはそこは重視しなかった模様で、福田・長瀬サブレフェリーはコントロールを続けた斎藤につけ、横山サブレフェリーはイーブンとする。
2R、序盤に斎藤がパンチの連打でチャンスを作る。サルダリが組んできて倒すと、斎藤はギロチンで迎撃するが、簡単に外される。中盤以降はサルダリが再三金網に押し込み、倒し、立たれれば倒しという状態を繰り返し、レスリングで圧倒する。記者と福田・長瀬サブレフェリーはサルダリ、横山サブレフェリーは斎藤につける。
3Rも同じようにサルダリが金網際でのレスリングで主導権をキープする。斎藤は防戦一方のまま試合終了。記者採点はサルダリでジャッジ3者も同じ。合計27-30でサルダリ。サブレフェリー2者がサルダリを支持し、斎藤がノンタイトル戦ながら判定負けを喫した。
第4試合 フェザー級 5分3R
×宇野 薫(UNO DOJO/世界10位・環太平洋10位、元ライト級世界王者/65.7kg)
○デュアン・ヴァン・ヘルフォート[Duane Van Helvoirt](オランダ/グレイシーバッハ・ネーデルランド/65.5kg)
判定0-3 (横山27-30/片岡27-30/豊永26-30)
宇野は99年のプロ修斗10周年大会で佐藤ルミナと王座を争い、14年の25周年大会ではルミナの弟子・土屋大喜に勝利した過去があり、30周年でも試合をすることに。5月8日で44歳になるが闘志は衰えず、柔術やグラップリングの試合を経て2年ぶりにオープンフィンガーグローブを付けて戦う。対するヘルフォートは柔術をベースとし、25戦17勝(13一本・4KO)8敗と極めの強い選手だ。
1R、開始すぐからヘルフォートがタックルを仕掛けて倒してバックを奪うが、かつて「宇野逃げ」という呼び方もあったように、ここからの脱出は得意とするところで、宇野は体をひねって上になる。ヘルフォートは下から関節技を執拗に狙い、パウンドも当て、宇野は左まぶたから出血するが、宇野はセコンドの青木真也のアドバイスを聞きながら対処し、パウンドを当てる。終盤、パスガードを狙うと失敗し、ヘルフォートが脱出して上になり、パウンドラッシュで宇野を追い詰めるが、宇野は耐える。記者採点はヘルフォート。
2R、ヘルフォートが体格差を活かしての組んでの膝の連打で追い詰めてから、金網際で上になる。中盤にはヘルフォートがバックをキープし、裸絞めを狙い続け、終盤にはパウンドも連打し追い詰める。宇野は防戦一方だ。記者採点は8-10でヘルフォート。豊永サブレフェリーも同じ採点だ。インターバルに宇野にドクターチェックが入る。
3Rも開始すぐからヘルフォートがバックマウントを奪うと、場内はため息に包まれるが、宇野がアームロックで抵抗すると、場内は大歓声に一転する。だがヘルフォートに外されると、その後はヘルフォートがポジショニング、パウンド、サブミッションで圧倒し続ける。記者採点は9-10でヘルフォート。合計26-30でヘルフォート。宇野は完敗に終わったものの、最後まであきらめないファイトで観客を感動させた。
第3試合 バンタム級 5分3R
○根津優太(&MOSH/世界2位、環太平洋1位、元環太平洋王者/60.8kg)
×祖根寿麻(ZOOMER/世界4位、環太平洋3位、元環太平洋王者/61.1kg)
3R 2’51” KO (パンチ連打)
1R、根津が右ローを執拗に当て続けると、終盤に効き目を発揮し、根津が金網に祖根を詰める時間が長くなる。記者採点は根津。
2Rも根津が執拗に右ローを当て続け、なかなかその先の手が出なかったものの、終了間際に右ストレートでダウンさせて追い詰める。記者採点は根津。
3Rも根津が右ローで執拗に攻め続け、中盤、タックルを仕掛けて倒すと、祖根が金網を背にしての立ち際にボディに左ミドルを当て、棒立ちになった祖根にパンチを連打したところ豊永レフェリーがストップした。
マイクを渡された根津はサステインの坂本代表と北森代紀広報兼リングアナに感謝の言葉を述べつつ、最後に「(祖根に)SNSで色々言われたけど、修斗に口だけ野郎はいらねえんだよ」と勝ち誇った。
第2試合 ストロー級 5分3R
×阿部マサトシ(AACC/52.2kg)
○中川マイケル(グレイシー・テクニックス/52.0kg)
1R 4’12” KO (右ストレート)
ハワイ在住の逆輸入ファイター・中川が序盤からサウスポーの阿部に圧力をかけ、右ストレートでダウンを奪う。中川はそこでガッツポーズをして追撃のチャンスを逃したが、その後も右ストレート、右テンカオ、右ハイなどで、7年ぶり復帰の阿部を圧倒。最後は阿部に右テンカオを当てた直後の右ストレートでマットに沈めた。初参戦で快勝の中川は「修斗みたいな歴史のある大会に出られてうれしいです。6月30日の大阪大会も出たいと思います」と日本語でアピールした。
第1試合 バンタム級 5分3R
○魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS/世界3位、環太平洋4位/61.1kg)
×加藤ケンジ(K.O.SHOOTOジム/61.2kg)
2R 0’16” KO (左フック)
1R、加藤が打撃戦で左ミドル主体でやや積極的に攻める状況が続いたが、終盤、魚井が左フックを当てて加藤をダウンさせ、抱え上げて倒し優位を印象づける。2R開始すぐ、セコンドの大沢ケンジ氏から「下見せとけ」という声が飛ぶと、魚井はおそらく下へのフェイントで意識を散らせてから、左のオーバーハンドのフルスイングのフックをクリーンヒットし、一撃で加藤を沈めた。
キッズ修斗 キッズ6 女子45kg契約 3分1R
×小助川綾乃(心技館)
○木村美海(パラエストラ松戸)
判定1-2 (9-10/10-9/9-10)
休憩時間明けには、日本修斗協会からオフィシャルカメラマンの長尾迪(すすむ)氏に、長年の貢献を称える感謝状が贈呈された。この日は会場隣接の展示場で過去の修斗の写真展も開催した長尾氏。「全くのサプライズだったので、知っていればもうちょっとましな格好で来れば良かったです」と話して観客を和ませ、「長くやってきたことは無駄ではなかったです。ありがとうございます。まだまだ現役で写真を撮って行きます。プロ修斗40周年まで頑張ります」と力強くコメントした。
修斗 5.6 後楽園ホール(第1部):松本光史、小谷直之に4R KO勝ちしライト級王座2度目の防衛。ラカイとの対抗戦は修斗勢が全勝