RISE 4.2 代々木第一体育館(レポ):那須川天心、同門・風音との接戦制し判定勝ち。原口健飛、鈴木真彦、志朗、海人、YA-MAN、中村寛ら勝利し6.19 東京ドーム参戦アピール
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Cygames presents RISE ELDORADO 2022 ~Tenshin Nasukawa RISE Final Match~
2022年4月2日(土)国立代々木競技場第一体育館
レポート:井原芳徳 写真:久保与志
那須川天心、同門・風音との接戦制し判定勝ち「こんな試合してるようじゃ6月は勝てない」
第12試合 メインイベント 那須川天心 RISE Final Match バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○那須川天心(TARGET/Cygames/RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント優勝、RISE世界フェザー級(57.15kg)王者、ISKAフリースタイル世界フェザー級(57kg)王者、ISKAオリエンタル世界バンタム級(55kg)王者、元RISE同級王者)
×風音[かざね](TEAM TEPPEN/RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント優勝、RISEスーパーフライ級(53kg)1位)
判定2-0 (佐藤30-29/和田29-29/豊永30-29)
天心は昨年9月のRISE横浜ぴあアリーナMM大会で鈴木真彦に判定勝ちし、デビュー以来のキックルールでの連勝を40の大台に乗せて以来、約半年ぶりとなる公式戦。リングに上がるのは昨年大晦日のRIZINでの五味隆典とのボクシング形式の非公式戦以来となる。
クリスマスイブの発表の通り、K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者・武尊戦を控え、今大会の前日には6月19日・東京ドームが大一番の舞台と発表されたばかり。今回は14年のプロデビュー以来主戦場としてきたRISEでの最後の試合で、風音戦、武尊戦の残り2試合でボクシングに転向する。
風音は昨年7~9月のDoA -53kgトーナメントで江幡睦、政所仁、志朗の3選手を破り、下馬評を覆して優勝すると、TEPPEN GYMで共に練習する天心との対戦を熱望していた。通常なら実現しない試合だが、コロナ禍の影響で天心の相手にふさわしい海外勢の招へいも難しく、風音との対戦が決定。2月のカード発表会見で天心は「今回は通過点に過ぎない。練習していると(武尊が)頭によぎる」、風音は「黒星つけて6月に送り込んでやる」等とコメント。前日計量後の天心は声がかすれ、頬がこけ気味で、武尊戦の58kg契約に向けての体作りの影響が少し見受けられた。
天心の父・弘幸会長は風音のセコンドに。天心のセコンドには朝倉未来の姿も。試合前にはK-1 WORLD GPを4度制したアーネスト・ホースト氏が両者に花束を贈呈する。
1R、天心はサウスポーで構え、いきなり飛び込んで距離を詰め、左ミドル、左ボディをヒット。風音が前に詰めれば、かわして右手でつかんで左ボディを当てる。中盤、風音は飛び込んでの左ジャブを一発ヒット。終盤、風音は右ミドルも当て、最後は右インローを当てるが、天心も左ストレートを返す。記者採点はイーブン。さすがの天心も同門の風音相手で、相手陣営に父がいると心理的にやりにくそうだ。
2R、前に出る風音に、天心は右フックをヒット。中盤、バッティングで天心が被弾し、一旦ストップするが、数十秒で再開する。風音が飛び込んで右ストレートを当てると、天心はのけぞり、場内はどよめく。だが終盤、天心は左ストレートを2度ヒットし巻き返す。記者採点はイーブンだが、右ストレートで印象を残した風音についても不思議ではない。
3R、風音は前に出てパンチを振るうが、天心はかわしながら自分の左フックを当てる。とはいえなかなか均衡は崩れない。中盤、天心が胴廻し回転蹴りを当てると、風音は倒れるが、すぐ立って効いていないとアピールする。
終盤、天心は右アッパーもヒット。風音はそれでも前に出るが、天心はクリンチから右膝を当てて反撃を封じる。雄たけびをあげて前に出る風音に、天心は左右のストレートを当ててやや優位のまま終える。記者採点は僅差だが天心。合計30-29で天心。ジャッジは1者が29-29でイーブンとしたが、2者が記者と同じ採点で天心を支持し、天心の判定勝ちとなった。敗れた風音は悔しさを露わにし、叫びながらリングを後にした。
試合後にはRISEの伊藤隆代表から、天心のこれまでの功績を称える「RISEスーパーチャンピオンベルト」が天心に贈呈された。また、ロッタン、サッカーの三浦知良、歌手の矢沢永吉さんからのビデオメッセージが上映された。
◆天心のマイクアピール
RISE最後の試合で圧倒してKOしたかったんですけど、敵に父がいて、相手も風音で、力んじゃいました。せっかくのイケメンが(苦笑)。顔が腫れました。僕は殴り合いや喧嘩をしたことがなくて、今日は作戦を考えず行きましたが、新しいことをやるのは上手くいかないですね。ムキになって試合するのは良くないです。ただ、前に出て打ちにに出るスタイルで、皆さんにいいものを見せられたと思います。
キックを始めた頃、ここまで大きくなるとは思ってなかったですけど、変な自信があったんですね。伊藤会長だからRISEに来ました。K-1とか他の大会に負けたくなくて、そっちとか色んなところからオファーが来ましたけど、RISEで良かったと改めて思います。今日、RISE見て楽しかったですか?ボクシングに行ってもRISEファイターのつもりで戦います。今後もいい選手が出ると思うので、RISEをサポートしてください。僕からのお願いです。伊藤会長、たくさんの思い出ありがとうございます。高校時代、青春があんまり無かったんですけど、この舞台で青春できてるなって改めて実感できます。伊藤会長に感謝しています。
本来、この試合で引退のはずだったんですけど、6月のもう1個の試合に向けて、あと2カ月、今のままじゃ、こんな試合してるようじゃ勝てないと思っています。しっかり仕上げて、相手がどうだからじゃなく、自分のスタイルを貫いて、最後まで勝ちに行こうと思います。6月、皆さん、僕の応援に来てくれますよね?僕のこと応援してくれますよね?みんな拍手して。俺はRISE代表として格闘技・キックボクサー代表として、6月、戦います、そして僕とRISEに注目してください。ありがとうございました。
◆天心のバックステージでの談話
風音の前に出てくる感じとか、気持ちのこもっているパンチとか、強くなっていましたね。見慣れた顔が相手サイドにいてやりにくかったです。(減量の影響は?)6月の試合があるので、筋肉を落とさないよう水抜きで意識しました。(風音のパンチをもらったダメージは?)いつも以上に被弾しましたけど、効いたとかは無かったです。(セコンドの未来のアドバイスは?)もっと蹴ったほうがいいと言ってくれて、的確にアドバイスしてくれました。(武尊戦に向け「こんな試合してるようじゃ勝てない」と話したことについて)気持ちで揺さぶれるようじゃ勝てる世界じゃないので、揺さぶられない試合をしないといけないと思いました。
◆風音のバックステージでの談話
リングで戦って、世界最高峰を感じました。延長もあるかなと感じたんですけど、プロのジャッジがつけてくれはったから、出た結果だけなので、なんとも思わないです。もう負けたくないです。勝って世界変えようと本気で思ってたから、凄く悔しいですね(涙声で)。
(天心のゴング直後の飛び膝について)会長に来るかもしれんから気を付けろと言われていたんで冷静でした。会長の言ってきたこと、やってきたこと通りの戦い方でした。でもスピードやよけるのは速かったです。(この試合で得られたことは?)何も怖くないなって。精神的にも技術的にも成長して、もう何も怖いものないなと思いました。
(6月のビッグマッチに出たい?)出たいですね。勝って言いたかったですけど。53kgで世界一になるんで出たいです。(誰とやりたい?)あんまりわからないんですよ。K-1とKrushのチャンピオンを知らなくて。強いのならやりたいですね。
原口健飛、1R KO勝ち。明日K-1で防衛戦の山崎秀晃に「絶対勝ってください」
第11試合 セミファイナル ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE -63kgトーナメント2020優勝、元RISEライト級王者)
×ロンペット[Lompetch]・Y’ZD GYM(タイ/Y’ZD豊見城[とみぐすく]/ISKAムエタイ世界スーパーライト級王者)
1R 1’56” KO (3ダウン:左ストレート)
原口は昨年11月の大阪大会でGLORYフェザー級(65kg)王者のペットパノムルン・ギャットムーカオに判定負けして以来の試合。9月の横浜大会ではタップロン・ハーデスワークアウトと対戦しているため、3試合連続でタイ人との戦いとなる。
ロンペットは24歳。タイ時代にはロッタンとも試合経験がある。4年前に来日し、19年6月のK-SPIRIT沖縄大会で伊藤伴恭をKO。20年2月の新日本キックでは勝次を圧倒し判定勝ち。昨年9月のBOMでは梅野源治と5Rドローに終わったものの、膝蹴りで梅野の右上腕二頭筋を断裂させた。12月のホーストカップでは北野克樹に判定勝ちした。
1R、両者サウスポーで構え、原口が開始すぐから積極的にパンチラッシュを仕掛ける。しばらくしてロンペットも左ミドルとローを返し、原口の少し攻撃が緩むが、原口が左ミドルの後にワンツーでの左ストレートをクリーンヒットし1分足らずでダウンを奪う。さらに原口はパンチを連打し、少し被弾するが、変わらず連打すると、ロンペットは再びダウンする。だが原口のパンチラッシュの際、ロンペットが右フックを当ててダウンを奪い返す。しかし後頭部に引っかけて押し倒すような形のため、ダメージは小さく、原口がすぐにパンチラッシュを仕掛け、左ストレートを当て、ロンペットを膝立ちにさせたところでレフェリーがストップした。
原口は「前回GLORYの王者に完敗して、期待を裏切りすみませんでした」「今日で天心がいなくなりますが、これからは僕がRISEを引っ張っていきます。だからこそRISEにはもっとチャンピオンを大切にして欲しいです」と話した後、「6月(の天心×武尊の大会)、もちろん僕も出ます。対戦相手の名前は出さないですけど、明日ここでタイトルマッチをします。絶対勝ってください」とアピールした。明日のK-1ではスーパー・ライト級王者の山崎秀晃が大和哲也と防衛戦を行うが、原口は昔から憧れの存在である山崎との試合を希望していた。インタビューでも原口は山崎について「向こうはナメてると思うけど、僕は昔から好きで、人間としても男としてもファイターとしても尊敬しているんで、ぶつかって行きたいですね」と熱い思いを語った。
鈴木真彦、江幡睦に完勝。K-1・金子晃大との55kgトップ対決を希望
第10試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級(55kg)王者、元WBCムエタイ日本&ホーストカップ日本同級王者)
×江幡 睦(伊原道場/WKBA世界バンタム級王者,元新日本フライ級王者)
判定3-0 (佐藤30-27/秋谷30-26/小川30-26)
鈴木は20年11月の大阪大会での-55kgトーナメント準決勝で江幡塁に勝ったが、決勝で志朗に判定負け。昨年9月に那須川天心へのリベンジ戦に臨んだが判定負けした。その後は11月の塁との再戦、今年1月の拳剛とのバンタム級王座防衛戦で2連続1R KO勝ちしている。
双子の江幡兄弟の兄・睦は、長年打倒ムエタイ路線一本だったが、昨年7月からのRISEの53kgトーナメントでRISEに初参戦。だが一回戦でダークホースの風音に延長判定負けし、風音はトーナメントで優勝し、今大会での天心戦につなげている。今回は昨年11月に弟・塁が1R KO負けした相手・鈴木への敵討ちのような構図となる。
1R、鈴木がプレッシャーをかけ、睦は回って距離を取る構図からスタート。鈴木はパンチの空振りが続き、自ら振ってスリップすると、その後はしばらく睦がプレッシャーをかけるように。だが鈴木が右のカーフキックを当てて睦がバランスを崩すと、鈴木が圧をかける展開に戻る。鈴木のパンチの連打が目立つが、睦はクリーンヒットはもらわず、左ジャブや右ストレートを的確に返す。とはいえ鈴木も崩れず、接戦のまま終わる。記者採点はイーブン。
2Rも鈴木が前に出ると、睦は右のローをコツコツ返すが、それでも鈴木がしぶとく前に出でいると、右フックでひるませてから、再び右フックを当ててダウンを奪う。鈴木は素早くパンチを休まず連打し続けるが、睦は変わらずカウンターでパンチをお返し。スリリングな打ち合いが続く。記者採点は10-8で鈴木。
3R、鈴木が変わらず前に出て右フック、左ボディ等を振るう。睦はクリーンヒットこそもらわず、随所で蹴りとパンチを返すものの、鈴木の圧力はいつまでも落ちず、睦が受けに回り続けている印象に。記者採点は鈴木。合計30-27で鈴木。ジャッジ3者も鈴木を支持し鈴木の勝利となったが、2者の30-26は鈴木に甘い感がした。
鈴木は「判定まで行ってすみません。でも江幡選手がいい選手やったんで。今日はメインで一人の格闘家がRISE卒業ですけど 僕の時代はまだ始まってもいないんで、ここから盛り上げていくんで注目してください。6月、メガイベントあるんですけど、RISEバンタム級王者として、K-1の55kgの王者と、どうですか?メインカードに負けないぐらい盛り上げるんでぜひお願いします」とアピールし、リングサイド席で見ていたK-1スーパー・バンタム級王者・金子晃大とのトップ対決を希望した。
なお、この日のリングサイド席には金子と並んで、K-1スーパー・ウェルター級王者・和島大海、金子晃大、元Krushスーパー・バンタム級王者・玖村将史、元Krushスーパー・フェザー級王者・レオナ・ペタスが座った。6月19日の天心×武尊の大会のK-1側の候補メンバーのようだ。
志朗、江幡塁をKOし「ストーリーは完全決着」。6.19東京ドームに名乗り
第9試合 56kg契約 3分3R(延長1R)
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISE -55kgトーナメント2020優勝、RISE -53kgトーナメント2021準優勝、ISKAムエタイ世界バンタム級王者)
×江幡 塁(伊原道場/WKBA世界スーパーバンタム級王者、元KNOCK OUT同級王者、元新日本バンタム級王者)
2R 1’39” KO (右ハイキック)
両者は若手時代に新日本キックで2度対戦し、11年の初対決では塁が判定勝ちしたが、12年のバンタム級タイトルマッチの再戦では5Rの末に引き分けている。その後、志朗は塁との決着戦を熱望し続けたが実現せず、新日本を離れ、タイを主戦場にし、RISE参戦をきっかけに知名度を上げた。
志朗は20年11月の大阪大会での-55kgトーナメント決勝で鈴木真彦に判定勝ちし優勝。昨年2月の那須川天心との再戦につなげたが判定負けした。昨年7月からのRISEの53kgトーナメントでは勝ち上がり、9月の決勝に進んだものの、風音に延長判定負けした。
双子の江幡兄弟の弟・塁は19年大晦日のRIZINで天心に1R KO負け。20年11月の大阪大会での-55kgトーナメント準決勝では鈴木真彦に判定負けした。昨年2月の拳剛戦では1R KO勝ちしたが、11月の大阪大会での鈴木との再戦では1R KO負けした。
1R、志朗が序盤からプレッシャーをかけ、右ローを的確にヒット。塁はもらい続けず次第に防御するようになるが、塁も左ミドル等を強打させてもらえない。終了間際に塁のパンチの空振りの後に志朗が右インローを当て、塁は少しバランスを崩すが、まだ印象は薄く、はっきりした差の無いまま終わる。記者採点はイーブン。
2R、志朗は変らずプレッシャーをかけ、塁は回る構図。これまで同様静かな攻防が続いたが、志朗が左の前蹴りを散らしつつ、左インローも増やし、じわじわ流れをつかむ。中盤、志朗が右ローを当てると、塁が少しバランスを崩すように。すると回る塁の左ミドル、左フックを志朗がしっかりブロックすると、左の前蹴りのフェイントの直後に右ハイをクリーヒット。塁は横倒れし、すぐさまレフェリーがストップした。
マイクを持った志朗は「復帰戦で強くなった姿を見せられて良かったです。これで江幡選手とのストーリーは完全決着できたと思います。6月(天心×武尊の大会)、自分も枠があれば対抗戦で、世界の強豪と戦うチャンスがもらえるなら出たいと思います」とアピールした。試合後のインタビューでは「ハイキックは天心君と練習しながら入るんじゃないかと思いました。三日月やミドルを凄く嫌がっていて、ハイが当たると思いました。僕がハイを打つのは意外だったと思います」と話していた。
海人、ベイノアを41秒殺。ソンヒョン、GLORY、野杁に宣戦布告
第8試合 71.5kg契約 3分3R(延長1R)
○海人(TEAM F.O.D/KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)王者、SB日本同級1位、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者、S-cup 2018 65kgトーナメント優勝)
דブラックパンサー”ベイノア(極真会館/元RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級王者)
1R 0’41” KO (右フック)
両者は19年12月のシュートボクシングTDCホール大会で対戦し、海人が5R判定勝ち。当時からRISEルールでの再戦が期待されていた。以降も海人はSBのエースとして活躍しつつ、RIZINやRISEにも上がり、RISEビッグマッチでは緑川創、中島将志を撃破している。最近は海外進出を目標に掲げつつ、6月19日の天心×武尊の大会でのK-1ウェルター級王者・野杁正明戦も希望し、野杁も対戦に前向きな姿勢を示している。
ベイノアは昨年からRIZINでMMAに挑戦し1勝2敗だが、大晦日のRIZINでは武田光司を右フックでひるませ印象を残した。RISEおよびキックルールの試合は昨年9月のねぎ魔神戦以来となる。
なお、RISEの伊藤代表は前日会見で「この試合は国内70kg最強を決める戦い。勝者にはRISEミドル級王者のイ・ソンヒョン(韓国)に挑戦してほしい。8月のGLORYとの対抗戦に出場してほしい」と話しており、その前哨戦としても注目される。
1R、ベイノアはサウスポーで左ミドルを積極的に放つが、オーソドックスの海人はブロックや蹴り足キャッチで防御し、右ミドルと右ストレートを続けて当て、少しベイノアをひるませる。するとベイノアはオーソドックスに切り替えるが、海人が右のカーフキックを当てると、またサウスポーに戻す。少しずつ手詰まりになったベイノアは、パンチを振り回して前に出るが、海人はステップでかわすと、右フックと左フックを立て続けにクリーンヒットしダウンを奪う。ベイノアは立ち上がるが、前のめりにフラついてコーナーにもたれかかったため、和田レフェリーがストップ。海人が無傷で完勝した。
海人は「シュートボクサーの海人です。今、見てもらってわかったと思います。自分が世界一になる男です。日本には70kgには相手いてないんで、RISEの70のベルトも、ソンヒョン選手とこのRISEルールでやらせてもらいます。GLORYとの対抗戦も自分がRISEの70kgの代表としてやるんで応援お願いします。それと6月19日、野杁さんと必ずやるので、RISEファンの皆さんも僕の応援に来てください」とアピールした。試合後のインタビューでは「パワーでガツガツ来るのは想定していました。普段の練習で出ていたパンチが当たった感じです。絶対野杁さんとやりたいです。今しか無いと思います。RISEのタイトルマッチやGLORYもあるので、野杁さんは通過点やと思っています」とコメントした。
山田洸誓、直樹を逆転KO
第7試合 スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×直樹(BRING IT ONパラエストラAKK/RISEライト級(63kg)王者、元スック・ワンキントーン・スーパーライト級)
○山田洸誓(正道会館KCIEL/RISEスーパーライト級(65kg)王者)
3R 0’24” KO (右フック)
直樹は20年10月のRISE -63kgトーナメント一回戦で白鳥大珠にTKO勝ちし、決勝で原口に1R KO負け。だがその後は秀樹、白鳥、ジャルンチャイ相手に3連勝中だ。山田は昨年6月、過去に唯一の黒星をつけられた北野克樹にリベンジして以来の試合。RISEの伊藤代表は「今回のRISE王者対決はGLORYの対抗戦の査定試合です」と位置付ける。
階級は直樹が下だが、長身の直樹がやや大きく見える。1R、距離を取って慎重に出方を伺う構図が続く。両者カウンター狙いか、まだ目立った攻撃が少ない。
2Rも同様の状態が続く。終盤、山田がパンチと蹴りの手数を上げるが、空振りが多く、その中で直樹が左ストレートを的確にヒット。最後、直樹が山田をロープに詰めると、右ボディを当て、山田に左フックを空振りさせてから、右ストレートを当ててダウンを奪う。
だが3R、山田が最初から直樹をロープ際に詰めると、右ボディを当ててから、直樹の右フックのカウンターで右フックをクリーンヒットし、ダウンを奪い返す。直樹は立ち上がったが、足元から崩れ、すぐさまレフェリーがストップ。一気に試合が動いた中で、階級が上の山田が破壊力の差を示して逆転KO勝ちした。
マイクを持った山田は「入場前の煽りVから直樹選手の脇役みたいな感じでムカついたんで、見返そうと思ったんですが、2R目にプロ初のダウンをして焦りました。でもセコンドに『自分を信じて行ったら行ける』と言われ、信じて行って良かったです」「直樹選手、65の階級に上げて戦ってくれてありがとうございます。大半の人が僕が負けると思ってたと思うんで、見返せて良かったです。あと何回やるかわからないですけど、できる限りのことはやりたいです」と話した。
白鳥大珠、秀樹との再戦制す
第6試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISE 1位・元王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝)
×秀樹(新宿レフティージム/RISE 2位、K-1 REVOLUTION FINAL -65kg級王者)
4R 判定3-0 (豊永10-9/佐藤10-9/和田10-9)
3R 判定1-0 (和田29-29/佐藤30-29/豊永30-30)
両者は19年2月の第5代RISEライト級王座決定戦で対戦し、秀樹の左スネの裂傷で不完全決着で終わり、白鳥の3R TKO勝ちだった。この勝利でRISE WORLD SERIES 61kgトーナメント出場権を獲得した白鳥は、そのトーナメントで優勝。以降もRIZIN等で脚光を浴びているが、RISEでは原口健飛、直樹相手に3連敗中だ。秀樹も白鳥戦以降、原口と直樹に敗れた以外は6試合とも勝利し、最近では畠山隼人とウザ強ヨシヤに連勝している。
1R、両者サウスポーで構え、秀樹が圧を掛け、リーチで勝る白鳥が回って距離を取る構図。次第に両者の蹴りの頻度が増えると、途中白鳥が圧をかける場面も。秀樹が顔面とボディにパンチを放つが、まだクリーンヒットにはつながらず、均衡状態が続く。記者採点はイーブン。
2R、ロー主体の攻防が続く中で、少し白鳥の左ローが目立つように。すると終盤、白鳥がパンチの連打から右ミドルにつなげ、最後も左右のストレートから左膝につなげ、コンビネーションを増やし好印象を作る。記者採点は白鳥だが、イーブンの可能性はある。
3R、白鳥が手数多めで攻めるが、秀樹も左フックを返す。しかし終盤、白鳥の左ローで秀樹の足が流れる。秀樹は防御のためもあってか投げが多く、RISEルールでは印象が悪く、レフェリーからイエローカードをもらってしまう。記者採点は白鳥。合計30-28で白鳥。いずれのラウンドも僅差だったせいもあってか、ジャッジは1者のみ30-29で白鳥を支持し、2者はイーブンで延長へ。
4R、白鳥が左フック、ロー、ミドルを手数多く当てやや優位。終盤、パンチの連打からインローのコンビネーションも決める。最後は左アッパーで少しひるませる。秀樹はローのダメージの蓄積もあって疲れも目立ち、なかなか攻撃が返せず終える。記者採点は白鳥。ジャッジ3者も順当に白鳥を支持し、白鳥の勝利となった。
YA-MAN、伊藤澄哉とのダウンの応酬制し「6月、誰と見たい?芦澤無しで」
第5試合 オープンフィンガーグローブ(OFG)マッチ 64kg契約 3分3R
○YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEライト級(63kg)9位)
×伊藤澄哉(戦ジム/RISEスーパーライト級(65kg)5位)
1R 2’33” KO (3ダウン:右アッパー)
YA-MANは昨年5月のRISEから始まったOFGマッチで山口侑馬、北井智大をKO。その後、通常のボクシンググローブをつけた試合でも、11月のRISE大阪大会で中村寛と激戦を繰り広げ判定勝ち。大晦日のRIZINでは皇治に判定勝ちし知名度を上げた。
伊藤は「地下格闘技」と呼ばれる益荒男や飛車角といった大会で活躍後、19年11月のRISEでプロ格闘家デビューし、キック4勝3敗(2KO)1分。これまで森香津眞、川島史也、水落洋祐に勝利し、実方拓海に判定負けしている。今回はYA-MANが伊藤を指名。YA-MANは「埼玉のヤンキー」が「東京の本物のアウトロー」に挑む構図を会見でアピールしていた。
1R、伊藤は最初オーソドックスだったが、サウスポーに切り替え左ストレートを当てると、YA-MANは右眉をカットし出血する。すると危機感を持った様子のYA-MANは、圧を強めてパンチを連打しダウンを奪う。すると伊藤も打ち合いに応じ、右ストレートをYA-MANのアゴに当ててダウンを奪い返す。ここで小川レフェリーは出血したYA-MANにドクターチェックを命じ、1分程して再開。YA-MANにとっては回復の時間を得た形となり、パンチの打ち合いの中で今度はYA-MANが右フックでダウンを奪い返す。2ダウンを喫した伊藤はダメージが大きく、少し朦朧とした様子で、最後はYA-MANが右アッパーを軽く合わせ、伊藤が倒れフィニッシュとなった。
マイクを持ったYA-MANは「天心に3年前、ここまで上がって来いと言われました。3年前、俺、何も持ってなかったけど、去年の1年でこんなに人生変われるんで、1日1日大事に生きれば絶対に成り上がれるんで、みんなも頑張ってください。6月(天心と武尊の)世紀の一戦、あると思うけど、誰と見たい?芦澤(竜誠)無しで。勝敗わかるでしょ。相手になんないから。みんなSNSで誰がいいかつぶやいて」とアピールした。バックステージでのインタビューでも「(芦澤は)速攻で終わるので、だったら打ち合える選手がいいかな」と発言。右拳を包帯で巻いて会見し「親指は折れているかもしれないです」と話したが「6月は余裕っすよ。どっちでもいいけどオープンフィンガーでやりたいですね。今日みたいに倒し倒されをやれたら最高じゃないですか」とビッグイベント出場に燃えていた。
中村寛、6.19ドームに「俺が出たら盛り上がるでしょ」
第4試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×北井智大(チームドラゴン/RISE 3位)
○中村 寛(BK GYM/元DEEP☆KICK -60kg王者)
1R 2’13” KO (左ストレート)
中村は昨年11月の大阪大会でYA-MANに判定負けして以来の試合。北井は昨年9月の横浜大会でYA-MANに1R KO負けして以来のRISEでの試合で、12月のホーストカップでは小川翔に2R TKO負けしている。
1R、中村がサウスポーで構え、左のインローをカーフキックの要領で当て続け主導権。さらに右ロー、左ストレートも絡める。北井が距離を詰めれば、左フックを当ててひるませる。最後はロープを背にした北井に、中村が手を振って挑発し、右ストレートを出させてから、カウンターの左ストレートをクリーンヒットし、見事北井をマットに沈めた。北井は担架で運ばれた。北井は3連続KO負けとなった。
中村は「これから1位、2位とも戦うんかな。北井選手、強いと思うけど、3位でこのレベルの差なんで、次、チャンピオン戦、そろそろお願いします。6月(の天心×武尊の大会)とか僕のこと騒いでるけど、俺が出たら盛り上がるでしょ。俺が普通にやったら最強やから」とアピールした。
南原健太、キック4戦目で初黒星
第3試合 ヘビー級(体重無差別) 3分3R(延長1R)
○カルリ・ギブレイン[Callyu Gibrainn](ブラジル/ブラジリアン・タイ/元HEAT MMAヘビー級王者)
×南原健太(極真会館/RISE 4位)
1R 2’06” KO (3ダウン:左ストレート)
南原は極真会館の重量級のホープとして活躍し、昨年RISEでキックプロデビュー後3戦全てKO勝ちしている。ギブレインはHEATのMMAルールの元王者でMMA 4勝1敗、キックは初挑戦。
ギブレインは105.7kg、南原は89.5kg。南原は実質1階級上の相手との戦いに。1R、体格で勝るギブレインがいきなりパンチラッシュで前に出ると、南原は左ハイで応戦するが、ギブレインの勢いが止まらず、パンチの連打をもらった南原はダウンする。南原はコーナーに詰められ、パンチの連打をもらい再びダウン。南原はフラフラで、長瀬レフェリーはそれでも止めなかったが、ギブレインの左ストレートで真後ろに倒れたところで3ダウンとなり、ギブレインのKO勝ちとなった。
YA-MANと同門・常陸飛雄馬も快勝
第2試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×石月祐作(KAGAYAKI/RISE 1位、KROSS×OVER&DBS王者)
○常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/RISE 2位)
1R 2’59” KO (パンチ連打)
石月は5連勝後、昨年11月に一馬とRISEスーパーフェザー級暫定王座を争ったが5R KO負けした。常陸は1月の後楽園大会で岩郷泰成に2R KO勝ち。現在7戦連続負け無し(6勝1分)と勢いに乗る。
1R、石月が圧をかけるが、30秒過ぎに常陸が回りながら左フックを当てて早速ダウンを奪う。先手を取った常陸は圧を強め、ボディにパンチと蹴りを散らしつつ、終盤、コーナーに詰めて顔面にパンチを集める。常陸は防戦一方に。30秒を切り、右フックの連打で常陸が棒立ちになったところで豊永レフェリーはダウンを宣告する。さらに常陸がコーナーに詰めてパンチを連打すると、ラウンド終了間際にレフェリーはストップ。常陸が見事1R KO勝した。
マイクを持った常陸は「タイトルマッチやらせてください。一馬選手、自分しかいないんじゃないですかね。(正規王者の)チャンヒョン・リー選手が来られるなら待ちますけど、自分と一馬選手でチャンピオンを決めたほうがいいんじゃないですかね。6月のビッグマッチ、自分を使ってもらえたらRISEを代表して出ます」とアピールした。
天心の弟・那須川龍心、デビュー戦は判定勝ち
第1試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R
○那須川龍心[りゅうじん](TEAM TEPPEN)
×笠原直希(シーザージム)
判定3-0 (秋谷30-28/長瀬30-28/豊永30-28)
龍心は天心の弟、直希はシュートボクシングの主力の笠原弘樹・友樹の弟。両選手ともアマチュアでの活躍を果て、この春に中学を卒業し今回プロデビューする。
両者構えはオーソドックス。天心も弟のデビュー戦をリングサイド席で見守る。1R、中盤まで蹴り主体の攻防だったが、終盤、パンチの打ち合いとなると、龍心の左フックが連続してヒットし、直樹はひるむ。記者採点は龍心。
2R、両者距離を取る状態に戻り、龍心は左右のカーフキックを随所で当てるが、その先の印象的な攻撃は乏しい。記者採点はイーブン。
3R、直樹は前に出るが、龍心が左フック、左ボディ、右ハイを的確に当て優勢。直樹は1R開始時にも同じことがあったが、このラウンドも序盤に右ストレートをもらった際にマウスピースを吐き出してしまう。記者採点は龍心。合計30-28で龍心。ジャッジ3者も同じ採点で、龍心がプロデビュー戦を白星で飾った。
オープニングファイト第4試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○鷹介[ようすけ](魁塾/RISE 10位)
×福井萌矢[ともや](建武館/Stand up King of Rookieトーナメント2021 -55kg級優勝)
2R 2’35” KO (右ストレート)
オープニングファイト第3試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
×佐藤九里虎[ぐりこ](FAITH/RISE 10位)
○彪司[ひゅうが](TEAM TEPPEN/Stand up King of Rookieトーナメント2021 -53kg級優勝)
1R 2’58” KO (右ストレート)
オープニングファイト第2試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
×藍之輔(STRIFE)
○細越竜之介(TEAM TEPPEN)
判定0−3 (28-30/28-30/28-30)
オープニングファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○野村勇人(GONG-GYM坂戸)
×永松進之介(FJ KICK ASS)
3R 0’35” KO (左ストレート)