RISE 9.23 横浜 ぴあアリーナMM(レポ2/2):無冠の風音、江幡睦・政所仁・志朗を飲み込みDoA -53kg制覇。同門の那須川天心に宣戦布告
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2021年9月23日(木/祝) 神奈川・ぴあアリーナMM
レポート&計量写真:井原芳徳 試合写真:久保与志
※ワンマッチは別記事でお伝えします
RISE DEAD OR ALIVE -53kgトーナメント、志朗は滉大を翻弄し決勝へ
8選手参加のDoA -53kgトーナメントは7月の大阪大会で一回戦が行われ、今大会では風音 vs. 政所仁、滉大 vs.志朗の準決勝と決勝が1日で行われる。
志朗は相手が二転。最初の相手の大﨑一貴が怪我で欠場し、代わりの相手の大﨑孔稀は大会前日の計量で2.95kgオーバーして失格となり、リザーブマッチにエントリーしていた滉大と、一回戦に引き続き対戦することに。前回は延長Rに志朗がダウンを奪い判定勝ち。相次ぐアクシデントに前日会見で志朗は「53kgトーナメントは呪われていますね」と口にしたが、果たして試合はどうなるか?
第5試合 リザーブマッチ 3分3R(延長1R)
―滉大(及川道場/HOOST CUP日本スーパーフライ級王者)
―金子 梓(新宿レフティージム/RISEスーパーフライ級(53kg)8位)
中止 (金子の計量オーバー)
第6試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×滉大(及川道場/HOOST CUP日本スーパーフライ級王者)※大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)3位)の計量失格で変更
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISEバンタム級(55kg)1位)
判定0-3 (秋谷29-30/長瀬28-30/小川28-30)
1R、中央で構える滉大に対し、序盤から志朗が右ボディ、右ローを的確にヒットし続け、やや優位。終盤には右ストレート、左フックで少し滉大をひるませる。滉大は右まぶたをカットしドクターチェックを受ける。大沢レフェリーは有効打と判断するがバッティングによるものの可能性もある。記者採点は志朗。
2Rも志朗が的確に右ストレート、右ロー等をヒット。滉大は出血が止まり、時折左ミドルを当てるが、その先には持ち込めない。ポイントを先取した志朗は決勝を見据えてダメージを気にしてか?無理はせず、時折右ローを当てるに留める。記者採点はイーブン。
3R、後の無い滉大は圧力を強めてパンチを振るうが、志朗はステップでかわしつつクリンチも絡めて寸断し、右ローを随所で当てる。中盤、滉大は再び出血が激しくなりドクターチェックが入る。止血が行われたが止まらない。再開後も志朗は滉大のパンチをかわし、クリンチも絡め、右ローを当て続け、滉大の反撃を封じ終了。記者採点はイーブン。合計29-30で志朗。スピードや反応の良さはもちろん、本場タイのムエタイで培った試合運びも活かして判定勝ちし、危なげなく決勝に駒を進めた。
風音、親友・政所仁との打ち合い制し決勝へ
第7試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○風音(TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級(53kg)4位)
×政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級(53kg)1位、WBKF世界スーパーフライ級王者)
判定2-0 (小川30-29/長瀬29-29/佐藤30-29)
一回戦で風音は下馬評を覆して江幡睦を下し、政所は田丸辰にリベンジし、準決勝に進出。京都出身の風音は大阪出身の政所とは旧知の間柄だ。
1R、お互い慎重な攻防。風音は右ロー、左ボディ、政所は右ロー、テンカオ等を当てるが、まだ攻撃は少ない。
2R、序盤からお互いパンチを積極的に振り回すが、なかなかはっきりしたヒットには繋げられない。中盤、お互いローを絡めるが、すぐパンチ主体の攻防に戻る。終盤、お互いロー、カーフ主体に戻るが。最後もパンチの攻防。少し風音の左フックが目立ち、政所は少しバランスを崩すが、すぐに戻り、はっきりした差はない。ここまで記者採点はイーブン。
3Rもパンチの展開で風音が左フックをヒット。中盤には離れたところから右ストレートも叩き込む。どちらも空振りは多いながらしっかりヒットしているのは風音だ。終盤にも右ストレートを当て、右ミドル、左ジャブをヒット。政所はバックブローやバックスピンも絡め起死回生を狙うが空振りが続く。終了ゴングが鳴ると両者抱き合って称え合う。記者採点は30-29で風音。ジャッジ1者はイーブンだったが、2者は記者と同じ採点で、風音が決勝に駒を進めた。
無冠の風音、江幡睦・政所仁・志朗を飲み込みDoA -53kg制覇。同門の天心に宣戦布告
第13試合 セミファイナル RISE DEAD OR ALIVE -53kgトーナメント 決勝 3分3R(最大延長2R)
×志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISEバンタム級(55kg)1位)
○風音(TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級(53kg)4位)
4R 判定0-3 (佐藤9-10/長瀬9-10/小川9-10)
3R 判定0-1 (佐藤29-30/長瀬29-29/小川30-30)
※風音が優勝。記念ベルトと賞金500万円を獲得
決勝は55kgから落とし優勝有力候補と目されてきた志朗と、5月の予選の孔稀戦の不戦勝から這い上がった、天心の後輩・風音の顔合わせとなった。
1R、志朗が先に前に出るが、中盤から途中から風音が出てくると、志朗は右ロー、右ストレートをヒット。終盤には風音も左ミドルを返す。だがお互い単発止まりで、フェイントを細かく掛け合い、なかなか攻撃が出ない展開が続く。記者採点はイーブン。
2R、お互いフェイントをより細かくしつつ、パンチと蹴りを積極的に出すように。風音は右ボディ、潜って中に入ってから右フックを当てる。志朗は手数では劣るものの、随所で右ロー等を返し、大差はつけさせない。記者採点はイーブン。
3R、風音は回転を上げ、細かく右のフックを当て、右ローも絡め、右ミドルも強打する。志朗も右フックを返す場面があるが、さすがに53kgに階級を落とした減量の影響もあってか?1日通算6R目になって疲れが見え始める。パンチを返すが振りが荒くなり、ヒットが伸びない。対照的に風音は終盤になっても変わらず積極的にパンチを振るう。クリーンヒットまではいかないまでも細かいヒットは多くやや好印象だ。ジャッジは風音につけても不思議ではないが、志朗はもらってほとんどひるまなかったため、記者採点はイーブンとした。合計30-30でイーブン。ジャッジは割れ、やはり1者が風音を支持し、2者はイーブンで延長へ。
決勝の延長は最大2R。延長1R、風音は変わらず圧力をかけ、積極的にパンチを振るう。志朗も中盤、左右の連打を決めるが、風音の勢いは止まらず、右ストレート、右ボディを強打。志朗がクリンチでしのいだり、体が横に流れる場面も目立つように。終盤も風音が攻め続けていると、志朗は組もうとした際にバッティングになってしまい、秋谷レフェリーから注意される。後の無い志朗は、珍しく胴廻し回転蹴りで起死回生を狙うがブロックされ、流れは変えられないまま終了。記者採点は風音。ジャッジ3者も風音を支持し、風音が勝利した。前日会見で志朗は、準決勝までの相次ぐ相手変更に「53kgトーナメントは呪われていますね」と口にしたが、最後はジョーカー的存在の風音の術中にはまってしまった。
無冠ながら予選から這い上がり、優勝を果たした風音は「見たかボケ!」と、一回戦の江幡戦後と同じ第一声。トーナメントを開催したRISEと出場メンバーに感謝の言葉を述べ「まだ成長段階ですけど、皆さんのおかげで強くなれました。この濃密な期間をありがとうございました」と話した。続けて「本当に苦しかったんですよ。会長やトレーナーが嫌いになるんじゃないかと思うぐらい」と話して涙を浮かべると「会長はずっとミット持ってくれて。寝る間も惜しんで作戦を考えてくれて。リングの上でこの瞬間を一緒に味わえたのがうれしいです」と、TEPPEN GYMの那須川弘幸会長に感謝した。
しかしその後、風音は同門にして弘幸会長の息子・天心に言及。「ここが全然ゴールじゃないんで。ベルトを取って新しいステージ見えて来るんで。このメンバーで勝ったら53kg最強と言っていいと思います。この後の鈴木真彦さんとの対戦の前に水差すようで申し訳ないですけど、言っていいですか?」と前振りしてから「世界最強がジムにいるんですよ。那須川天心選手っていう。世界一なりたくて格闘技やってるんで。会長、言わせてください。那須川天心選手が認めてる志朗選手に勝ったぞ。やる権利あるんじゃないですかね?天心としてじゃなく天心選手とやりたいです。いつもジムで死ぬほどボコボコにされているけど(キック界から)いなくなる日が迫っています。アホなんで色んな兼ね合いはわからないんですけど、僕は世界一なりたいです」と、天心に宣戦布告した。
風音「準決勝も決勝も一回戦も全部、飲み込めた」、志朗「風音選手の勢いに飲まれてしまった」
大会後のインタビューで志朗は「トーナメントに参戦してからの風音選手の勢いに飲まれてしまったのが大きな敗因だったと思います」「(風音は)型にハマってない感じがなくてやりにくくて、それが彼の強味だと感じました」「ジャブのタイミングがわかりにくいですね。言い方は悪いですけどプロの打ち方の綺麗な感じじゃなくて、余計見辛いと感じました」とコメント。「左手は試合前から怪我して、(右手の)親指は準決勝で痛くて、人差し指は決勝で腫れて、1日2試合ってこんなに疲れるんだな、って。昔のK-1の選手の3試合って本当に凄いんだなって思いました」と怪我について明かしつつも「自分の実力不足です」とキッパリ。準決勝の相手変更については「(孔稀の体重オーバーを)知ったのが計量直前で、(冒頭の写真のように)計量が終わってポーズを取るのを忘れるぐらいでした」と明かして苦笑した。
風音は優勝の要因について「対策もありましたけど最後は気持ちでした。何がなんでも取ってやるっていう。準決勝も決勝も、一回戦もですけど、全部、飲み込めたんかなって思うんですよね。技術レベルは皆さんが上やと思うんですよ。技術とかを気持ちで飲み込めたんじゃないかと思います」とコメント。一方で、志朗のローキック対策に関しては「入り込んで来る時に蹴って来ると思っていたんで、入り込んだフリしてスカしたりとか、中途半端な距離にいないようにして、意外とハマりましたね」と明かし、志朗が「タイミングがわかりにくい」と振り返ったパンチに関しても「変なタイミングで来るのが僕のパンチで、タイミングをズラす練習は意識してやっていました」と話しており、気持ちで相手を飲み込む上でベースとなる技術向上や対策も万全だったことを明かしている。
大会後、天心と会話したかと聞かれると、「会った瞬間に『100年早いよ。ジャブだけで勝てるよ』って。ジムでもそうなんですよね、今は。ジャブだけでプイプイッってやられるんで。ただ、でもわかんないっすよ。このトーナメント見てもらったわかるんですけど、僕、化けちゃうんで、わかんないっすよ」と笑顔でコメント。「会長が泣いているのを始めて見ました。この人と作り上げて本当に良かったです」とも話したが、天心戦となれば弘幸会長は天心のセコンドにつく可能性が高いことについては「ホンマっすね。全く考えてなかったです」と話して苦笑いした。