RISE 12.12 後楽園ホール(レポ):直樹KO勝ちし「来年は対世界で」。秀樹、白鳥大珠に再戦要求し白鳥も快諾。初参戦RYOTARO、緑川創撃破。erika♡、AKARI下し寺山日葵の王座挑戦へ
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RISE 153
2021年12月12日(日)後楽園ホール
レポート&写真:久保与志 試合紹介文:井原芳徳
直樹KO勝ちし「来年は対世界で」
第9試合 メインイベント スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○直樹(BRING IT ONパラエストラAKK/RISEライト級(63kg)王者)
×ジャルンチャイ・ライオンジム(タイ/LION GYM/元ラジャダムナン&WBCムエタイ世界ライト級王者)
3R 0’46” TKO(レフェリーストップ:パンチ連打)
直樹は昨年10月の横浜大会で1R TKO勝ちした相手・白鳥大珠と、今年9月の横浜大会で再戦し苦戦するも、延長戦の末に判定勝ちした。
対するジャルンチャイは来年2月9日で40歳になるベテラン。ムエタイの2大王座の一つ、ラジャダムナンのタイトルを獲得し、ゼロ年代には石井宏樹、小林聡といった日本のライト級トップ選手に勝利している。長年クロスポイントのトレーナーを務め、今は大阪のライオンジムのトレーナーをしている。
1R、静かな立ち上がりから左ジャブまたは右ストレートをリードにして探っていく直樹。ジャルンチャイは速いパンチには反応が遅れ気味で流石にブランクを感じさせる。ジャルンチャイがキャッチから崩しての左フックなどで流れを変えようとするが、直樹は落ち着いて捌くと再三にわたり右カーフキックをヒット。ジャルンチャイはカット出来ずに被弾してしまい早くも足が流れ始める。記者採点は10-9で直樹。
2R、左ジャブ、右カーフで削っていく直樹に対し、ジャルンチャイはがっちりと顔面のガードを固めて前進して左フック、ミドルを狙っていく。ジャルンチャイのブロッキングに直樹はショートアッパーも混ぜて打開を計りながら鳩尾に強烈な左ボディをヒット。後退したジャルンチャイをパンチで追撃しつつも深追いはせず、右カーフを当ててバランスを崩していく。記者採点はこのラウンドも10-9で直樹。
3R、開始から前に出てきたジャルンチャイを直樹も迎え撃ち、相打ち気味の左フックをクリーンヒットしてダウンを奪う。何とか立ち上がったもののダメージは深く、すぐに直樹がコーナーに詰めてパンチをまとめると防戦一方になりレフェリーが試合をストップした。
今年最後のメインイベントをKOで締めた直樹は「今年一年RISEを応援してくれた皆さんありがとうございました。今年最初の大会でメインイベントをさせていただいて、こうしてラストもメインイベントをやらせてもらって本当に伊藤(隆・RISE)代表ありがとうございます。来年はコロナの状況次第でどうなるか分からないですけど、外国人がちょっとずつ入ってこれるようになるみたいなので、来年は対世界で戦っていきたいと思います」とマイクアピール。11月のRISE WORLD SERIESに参戦したGLORYフェザー級(65kg)王者・ペットパノムルンを筆頭に、コロナ禍が明けた後に待望のRISE参戦が見込まれる海外勢との対戦を希望した。
秀樹、白鳥大珠に再戦要求し白鳥も「来年やりましょう」
第8試合 セミファイナル 63.3kg契約 3分3R(延長1R)
○秀樹(新宿レフティージム/RISEライト級(63kg)1位、K-1 REVOLUTION FINAL -65kg級世界王者)
×ウザ強ヨシヤ(FIGHT CLUB 428/J-NETWORK 2017年ライト級新人王)
2R 1’33” KO(右バックハンドブロー)
秀樹は1月に直樹のライト級王座に挑戦し判定負けし、5月の畠山隼人戦で判定勝ちして以来の試合。対するウザ強はかつてREBELSを主戦場とし、18年の大晦日のRIZINでは白鳥大珠に敗れている。大学卒業後、フジテレビに入社し、アシスタントディレクターとして多忙な日々を送っていたが、少し落ち着き、3年ぶりにリングに戻る。
1R、ステップワークを使いながら飛び込んでのスーパーマンパンチ、バックブローなど奇襲をかけるウザ強の攻撃をガードしながら、秀樹は左ミドルとローで足を止めにかかる。ラウンド終盤に入るとプレッシャーがかかり始め左ヒザ蹴りをヒット。さらに左ミドルも当てて攻勢を強める。
2Rもサークリングしながら飛び込んでの一発で幻惑しようとするウザ強だが、左ミドルが効いてきたかロープ際に詰まり始める。際どいインローにローブローをアピールするもレフェリーに否定され、ロープ際に詰められたところで再び強烈な左ヒザをもらいダウン。立ちあがったウザ強だが、秀樹は左ハイをかわしてサイドに逃げようとしたウザ強に続けざまに放った右バックブローをクリーンヒット。前のめりに倒れたウザ強は立ち上がることが出来ず、秀樹が鮮やかな一撃で会心のKO勝ちを収めた。
秀樹は新宿レフティージムで苦楽を共にした盟友・工藤政英(RISEフェザー級王者)が引退を表明したこともあって「今年の1月に直樹選手とのタイトルマッチで負けて、4度目のタイトル挑戦に向けて今は決意を決めて挑戦しようと思ってます」とRISE王座に対する想いを滲ませ「そろそろ白鳥君、逃げないで俺とやろうぜ」と白鳥に挑戦状を叩きつけた。
白鳥とは19年2月にライト級王座を争うも、秀樹は左のスネが割れてドクターストップがかかり、不完全決着に終わっていた。この結果により白鳥はRISE WORLD SERIES 61kgトーナメント出場権を獲得し優勝。今年6月にはRIZINのトーナメントで皇治らを破り優勝した。だが9月の横浜大会では直樹に延長戦の末に判定負けしていた。
秀樹のマイクの直後、白鳥もTwitterに「秀樹選手 来年やりましょう」と書き込み、再戦を快諾。RISEの伊藤代表も「白鳥も止まっている状況なので、前へ進むには決着をつけたほうがいい。来年早々に白黒をつけたい。秀樹はあばらを痛めたみたいで、白鳥も怪我をしてそろそろ練習を再開するので、双方が万全な状態で組みたい」とマッチメイクに意欲を示している。
工藤政英がファンに引退報告
なお、秀樹戦前には工藤がリングに上がり、引退について改めてファンに報告した。
◆工藤「まずこのような場所を与えていただき、伊藤代表、RISE関係者の皆様、本当にありがとうございます。突然の引退になってしまったですけど、鼻の骨が粉々に砕け散ってしまった状態でくっついてしまって修復が不可能ということで、来週肋軟骨から鼻に移植手術することになりました。美容整形手術の応用でやるので、来週はピノキオみたいな鼻で戻ってくるのでぜひ皆さん楽しみにしていただけたらと思います。
皆さん本当に今まで応援していただきありがとうございました。皆さんの応援やサポートがなければ僕は絶対にチャンピオンになれていませんでした。この後は同い年で一生のライバルである秀樹の試合がありますし、最後のメインイベントも直樹選手の試合があるので手短にすませたいところではあるのですが、この場をお借りしてどうしてもお礼の言葉を言いたい方が居ます。
浜川会長いらっしゃいますかね? (セコンドに付いている)秀樹が試合前なんでこの距離でお礼が言えたらと思います。10年前に新宿レフティージムに入会して、キックボクシングだけでなくプライベートでも色々とご指導いただき本当にありがとうございました! 僕にとっては本当に父のような存在で尊敬しております。今まで本当にありがとうございました。直接言うのも恥ずかしいので、この場をお借りして言わせていただきました。皆さん本当にありがとうございました!
ちなみに引退後は群馬の方で農家をやるんで、野菜やお米のご購入をご希望の方はぜひぜひ僕のSNSによろしくお願いします!」
初参戦RYOTARO、緑川創撃破
第7試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
×緑川 創(RIKIX/RISEミドル級3位、元WKBA世界スーパーウェルター王者)
○RYOTARO(大原道場/ACCELミドル級王者)
判定0-3(28-30/28-30/27-30)
緑川は6月の後楽園大会で宮城寛克に判定勝ち後、NO KICK NO LIFEで憂也と引き分け、ジャパンキックでモトヤスックに判定勝ちし、9月のBOMで柿沼慶にKO勝ちし、半年ぶりにRISEに戻る。対するRYOTAROは京都出身の24歳。戦績11戦10勝1敗(7KO)でRISE初参戦。ここ1年では高木覚清、剛王、西田浩樹に勝利している。
1R、立ち上がりはRYOTAROが左右のスイングフックに右ミドル、ハイと単発ながらパワフルな攻撃で先手を取っていく。緑川はしっかりとブロッキングしながらじりじりと圧力をかけ、左ジャブから右フック、右ローへとつなげ削りにかかる。記者採点は10-10のイーブン。
2R、リーチを活かしたレベルスイングの左フックや前蹴りで距離を掴みかけたかに見えたRYOTAROだが、緑川は右ボディストレートから左フックにつなげるコンビネーションで潜り込んでインファイトに持ち込む。接近戦では緑川が一枚上手かと思いきや、RYOTAROはショートレンジの攻防でも落ち着いて緑川のパンチを外しながらカウンターの右ストレートを決めてダウンを奪う。立ち上がった緑川をRYOTAROはコーナーに詰めてラッシュをかけるも緑川はガードを固めて耐えて何とかゴングまで凌ぐ。記者採点は8-10。
3R、後がない緑川は前に出るがRYOTAROがまたも右ストレートを決めて緑川の口からマウスピースがこぼれる。RYOTAROのセコンドからは「打ち合うな!」と指示が飛び、RYOTAROも自ら打ち合いに持ち込むことはしないが、一度打ち合いになると緑川の強打を上手く外しつつカウンターを決める目の良さが際立つ。最後は緑川が逆転KOを狙って乱打戦に持ち込むも、右フックを当てて逆にふらつかせたところでタイムアップ。判定は0-3、完勝と言える試合内容でRYOTAROがRISE初参戦にして実績で大きく上回る緑川を下す番狂わせを起こした。
erika♡、AKARI下し寺山日葵の王座挑戦へ
第6試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
○erika♡(SHINE沖縄/ミネルヴァ・アトム級王者)
×AKARI(TARGET/RISE女子ミニフライ級1位)
4R 判定3-0(10-9/10-9/10-9)
3R 判定0-0(29-29/29-29/29-29)
erika♡は昨年10月、QoQ 47.6kgトーナメント一回戦で寺山日葵と延長戦の末に判定負け。以降はKNOCK OUT、ミネルヴァ等に上がり、MARI、百花、祥子JSK、Ayaka相手に4連勝している。
対するAKARIも今年5月に寺山のRISEミニフライ級王座に挑戦し判定負けしているが、9月のYAYAウィラサクレック戦では2R TKO勝ちしている。erika♡もAKARIで9戦8勝1敗で1敗は寺山相手で共通する。
1R、序盤はローの蹴り合いからスタートするが、徐々にerika♡の左ストレートがヒットし始める。AKARIはパンチの対応に少し危うさを感じるが、先手で右ミドル、erika♡の打ち終わりには右インローを蹴って応戦する。記者採点は10-10のイーブン。
2RもAKARIは打ち終わりを狙って徹底して右インローを蹴り続けerika♡がバランスを崩し始めるが、erika♡も前蹴りや左ミドルを駆使してボディを攻めて反撃。共にビッグヒットはなく一進一退の攻防が続く。記者採点はこのラウンドもイーブン。
3R、erika♡が左ストレートで入っていくが、そこから互いに組む展開が多くなりバッティングでAKARIが顔をしかめてドクターチェックが入る。共に疲れやダメージによる消耗があるのか、このラウンドも決定的な場面は作れずに試合終了のゴング。記者採点は10-10、トータルスコア30-30でドロー。判定はジャッジ3者共に29-29でドローにつけて延長戦に突入する。
延長R、erika♡が細かいパンチで手数を増やして前進すると、疲弊した様子のAKARIは横を向いて組み付いてしまう。erika♡は組みの展開からヒザ蹴りあるいは組み伏せてさらにAKARIを削っていき、優勢を保ったまま延長戦を終えて判定勝ちを収めた。
大会後のインタビューでerika♡は、来年4月2日のRISE ELDORADO代々木競技場第一体育館大会での寺山の王座挑戦を希望。RISEの伊藤代表は「それでいいと思います。日葵は今年手術をするので復帰の目途を見て組みたいです」「大箱ではタイトルマッチは無いです。やるなら後楽園ですね」とコメントしている。
元はまっこ対決は後輩・竜哉が勝利
第5試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
○竜哉・エイワスポーツジム[奥脇竜哉](エイワスポーツジム/ラジャダムナン&WPMFムエタイ世界ミニフライ級王者)
×酒井柚樹(TEAM TEPPEN)
判定3-0(29-28/29-28/30-29)
両者共、はまっこムエタイジム出身。先輩の酒井はここ3年、6試合は勝ち星から遠ざかり、9月の横浜大会ではKING TSUBASAとドロー。竜哉はラジャダムナン王者となり、7月のRISE初戦では数島大陸と引き分けに終わったが、以降は3連勝で、10月のRIZIN横浜大会では老沼隆斗に判定勝ちしている。
1R、竜哉は右カーフキック、左ミドル、右ハイと蹴りを上下左右に散らして先手を取っていく。酒井は蹴り終わりを狙ってパンチで詰めていくがクリーンヒットはなく、竜哉が左フックや右ストレートを返してパンチでも応戦し始める。記者採点は10-9で竜哉。
2R、竜哉が上へのフェイントからボディへのテンカオをヒット。更に左ミドル、右ローを度々決めてペースを握り始める。酒井がパンチで入ってきても上手く回って蹴りを当て、時にはクリンチワークも駆使して連打を許さない。記者採点はこのラウンドも10-9で竜哉。
3R、酒井が強引に距離を詰めて打ち合い行き、竜哉は左フックを被せつつ距離を取りなおして左ミドルを蹴る。組み付きの注意が竜哉に与えられ、終盤になると元同門の気迫に感じるものがあったのか竜哉も足を止めて打ち合いに応じる。両者被弾しながらも激しくパンチが交錯する展開で一歩も引かず。記者採点は9-10で酒井、トータルスコアは29-28で竜哉。判定は29-28、29-28、30-29の僅差で竜哉が競り勝った。
第4試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○KENTA(HAYATO GYM/RISEライト級5位)
×大石健作(TEAM TEPPEN)
判定3-0(29-28/29-28/30-29)
大石は2月と4月の山畑雄摩との連戦は引き分けと判定負けに終わったが、10月大会で瑠夏をKOしインパクトを残した。KENTAは5月にベテランの麻原将平相手に延長判定負けしたものの、9月のDEEP☆KICKでは山畑に判定勝ちしている。
1R、立ち上がりは大石が強烈な左ミドルや左ストレートでKENTAを脅かす。開始直後こそ後手に回ったKENTAだが、まともにはもらわずしっかりと右ミドルをリターンして応戦。KENTAの右インローが続けざまにローブローになり、少し殺伐とした雰囲気になりかける。
2Rも序盤は大石が強打で押していくが、打ち終わりにKENTAが右ミドルを当てていくと大石の手数が少なくなる。さらにKENTAが終了間際に右ストレートをヒットさせ、大石がバランスを崩す。
3Rに入るとKENTAが右ミドルで前進しながらインサイドの右ストレートを何度もヒット。パンチをもらうと互いに頭を突き出して挑発するなどしてヒートアップして激しい打ち合いに突入。大石も時折左フックなどを当て返すも、KENTAが激しい連打の中でも的確に右ストレートで打ち抜いて大石はフラフラの状態に。大石も最後までダウンせずに踏みとどまったものの、3Rに猛攻を見せたKENTAが3-0の判定で激闘を制した。
第3試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○小野幹晃(IGGY HAND GYM)
×奥平将太(FIGHT CLUB 428/Team Bull/RISEスーパーフェザー級9位)
判定3-0(29-28/29-28/29-28)
第2試合 女子フェザー級(57.5kg) 3分3R
○浅井春香(Kick Box/ミネルヴァ・スーパーバンタム級王者、元J-GIRLSフェザー級王者)
×村上悠佳(TEAM TEPPEN)
判定2-0(29-28/29-29/29-28)
第1試合 ライト級(63kg) 3分3R
○樋口知春(極真会館/極真会館全日本ウェイト制空手道選手権2018中量級優勝)
×細野登弘(新潟誠道館)
1R 1’58” KO(左膝蹴り)