RISEフェザー級王者・工藤政英が引退表明「初防衛戦でやりたかった試合ができたので心残りは無い」
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RISEフェザー級(57.5kg)王者の工藤政英(新宿レフティージム)が引退を表明した。「鼻縁骨湾曲症(びえんこつわんきょくしょう)」と呼ばれる症状で来週手術することになり、一度手術すると再手術が不可能で、激しくコンタクトするキックボクシングができなくなることが引退の理由だという。
工藤は1991年5月24日生まれの30歳で群馬出身。13年2月17日の蹴拳での藤井拓也戦でプロデビュー。キャリア初期はREBELSを主戦場とし、15年5月に大出剛生に勝利し第2代REBELS 55kg級王者に。同年8月、那須川天心が優勝したBLADEの55kgトーナメントの一回戦で内藤大樹にKO負けした。翌16年4月に宮崎就斗に勝利しREBELSの王座を初防衛。以降はRISEが主戦場となり、18年の第3代RISEフェザー級王座決定トーナメントでは篠塚辰樹と森本“狂犬”義久を下して優勝した(上写真)。18~19年にはONE Championshipにも並行参戦し、ペッダム、パンパヤックといったタイの強豪に敗れたものの、RISEでは19年のタリック・トッツ戦以降5勝1分と好成績を残し、今年7月には竹内将生に1R KO勝ちしRISEフェザー級王座の初防衛を果たしていた(下写真)。戦績37戦22勝(14KO)11敗4分。
12月11日の東京での記者会見で工藤は「鼻の骨が粉々になって、粘膜が覆っていて、2年前から鼻呼吸ができない状態で、2年前から医者に『引退したほうがいい』と言われていました。初防衛戦をしてこそチャンピオンという思いが強かったので(7月に)初防衛をしてから引退しようと決意しました」「来週、脇腹の骨を鼻に移植する手術をします」「鼻の手術をするとマススパーリングでも折れやすくなってしまい、もう1回折れたら手術ができないそうなので、格闘技から離れます」と引退の経緯を述べ、今後については「地元の群馬に戻って農業をやりたいです」と話した。鼻が悪化した直接のきっかけは「わからない」そうだが「(15年に)眼窩底(がんかてい)骨折をやった時にレントゲンを撮った時から鼻が大きく曲がっていました。内弟子時代に浜川憲一会長に殴られたり、明日試合する(後輩の)秀樹に練習で殴られたりといった積み重ねしかないと思います」と分析した。
記憶に残る1戦を聞かれると、工藤は「森本選手との2試合ですね。(17年5月の)1回目は4R(ドロー)、(18年6月の)2回目は6Rで(判定勝ちし)、延長で殴り合いをしていて辛かったんですけど人生で一番楽しい時間でした」と振り返った。RISEクリエーションの伊藤隆代表も「森本との2戦、王座決定戦での延長6Rまでの死闘が印象に残っています」と話し「その後はONEにも行き、RISEのトッツ戦や竹内戦も印象に残っています。器用ではないですが、昭和の匂いのする根性と気迫で勝っている印象がありました。苦しい中、どうしても防衛戦をしたいということで、逆転で防衛し、今後の人生につながる経験ができたと思います。激戦を続けてくれてお疲れ様と言いたいです」とこれまでの労をねぎらった。
心残りはないか?という質問に、工藤は「チャンピオンなってからやりたい試合ができていなかったんですけど、初防衛戦でやりたかった試合ができてたので心残りは無いです」と答え、新フェザー級王者への期待を聞かれると「僕ができなかった部分を補ってほしいですね。イケメンの選手に巻いて欲しいです。なおかつ熱い試合をする選手に巻いてもらえたら」と笑顔でコメントした。最後はファンや浜川会長に感謝の言葉を述べ「群馬に帰ってからも一ファンとしてRISEを応援したいです」と話した。明日12日の後楽園ホール大会で工藤はリングに上がりファンにも直接報告する予定。引退セレモニーについては今後調整され、来年となる模様だ。