RISE 7.18 エディオンアリーナ大阪:DoA -53kgトーナメント 9月の準決勝は大﨑一貴×志朗、風音×政所仁に。中村寛、大雅から左ハイでダウン奪い判定勝ち
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2021年7月18日(日) エディオンアリーナ大阪(府立体育会館)第一競技場
レポート:井原芳徳 試合写真:(C)RISEクリエーション
RISE DEAD OR ALIVE -53kgトーナメント
国内の精鋭8選手参加による「RISE DEAD OR ALIVE -53kgトーナメント」の一回戦が今大会で行われた。優勝賞金は500万円、準優勝賞金は100万円。5月の組み合わせ決定抽選会の結果、一回戦は(1) 大﨑一貴 vs. 石井一成、(2) 滉大 vs. 志朗、(3) 江幡睦 vs. 風音、(4) 政所仁 vs. 田丸辰の組合せに。(1) vs. (2)、(3) vs. (4)による準決勝と決勝は9月23日の横浜・ぴあアリーナMM大会で実施される。
RISE王者・大﨑一貴、宿敵・石井一成下し初戦突破
第13試合 メインイベント 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○大﨑一貴(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級王者、元WMC日本&ルンピニー日本フライ級王者)
×石井一成(ウォー・ワンチャイプロモーション/WPMF世界&BOMスーパーフライ級王者、元WPMF世界・IBF世界・KNOCK OUTフライ級王者)
判定3-0 (長瀬29-28/豊永29-28/大澤29-27)
大﨑兄弟の兄・一貴とRISE初参戦の石井は4度目の対戦。最初2試合は引き分けだったが、18年12月のKNOCK OUT両国大会のフライ級王座決定戦での3度目の対戦では石井が判定勝ちした。現在の一貴は24歳、石井は22歳のため、前回戦った時より両者大幅に成長している。一貴は前回の石井戦以降、出場メンバーのうち滉大、風音、政所、田丸の4選手を下している。RISEスーパーフライ級王者で、出場8選手で唯一人のRISE現王者で、負けられない立場だ。前回は5Rの肘有り・組んでの攻撃制限無し、今回は3Rの肘無し・組んでの攻撃は1回のルールのため、石井にとってはやや分が悪い。だが最近のNO KICK NO LIFEでの岩浪悠弥戦、麗也戦では圧巻の強さを見せており、今の一貴をもってしても危険な相手だった。
1R、一貴が圧力をかけ、序盤からロープ際に詰め、左フックをヒット。得意の構図に持ち込むと、2発目の左フックで石井がひるむ。中盤、石井もコンビネーションで右ロー、左ミドルをお返し。終盤には石井も前に出てパンチを当てるが、一貴が左フックと右ストレートの連打を決め、好印象を残す。石井は鼻血も出す。記者採点は一貴。
2R、石井は序盤から左ボディを連続で当てて好印象。だが一貴も左ボディを返す。パンチ主体の攻防となり、一貴が顔面、ボディに打ち分ければ、石井も右アッパー、左右のボディを返し、右飛び膝も出す。しかし終了間際、大﨑がロープに詰め、石井のパンチの連打をブロックすると、打ち終わりに左フックを当ててダウンを奪う。記者採点は10-8で一貴。
3R、石井は積極的にパンチを振るい、ボディへの連打、左の二段式の飛び膝を返すが、一貴はひるまず、右フックをヒットする。中盤、パンチの打ち合いの激しさが増すが、石井が連打しても、一貴は耐え連打をお返しし、一歩も引かない。終盤、後の無い石井は焦って連続で膝蹴りを出してしまう。それでも石井は必死にパンチを振るい、ようやく右フックを当てて追い詰めるが、大﨑は耐えて終える。記者採点は石井。合計29-27で一貴。ジャッジ3者も一貴を支持し、一貴が初戦を突破した。
一貴は「僕はこれまで石井選手に1敗2分けで、前回はKNOCK OUTの決勝で負けて、悔しい思いをして、やっと借りを返すことができました。石井選手、対戦していただきありがとうございます。またやりましょう。最後はパンチが効いて覚えていないんですけど、ダウンが取れて良かったです。9月は準決勝、決勝があるんですけど、みんな強い選手ばっかりだったんで、しっかり練習して、僕が優勝するんで楽しみにして下さい」とアピールした。
志朗、テクニシャン滉大をローで崩しパンチでダウン奪い撃破
第12試合 セミファイナル 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
×滉大(及川道場/HOOST CUP日本スーパーフライ級王者)
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISE DoA 2020 -55kgトーナメント優勝、ISKAムエタイ世界バンタム級王者)
4R 判定0-3 (小川8-10/長瀬8-10/豊永8-10)
3R 判定0-1 (小川30-30/長瀬29-30/豊永30-30)
志朗と滉大の一戦は東西のテクニシャン対決という印象。滉大はRISE初参戦だが、西日本のホーストカップ、DEEP☆KICKで活躍し、大﨑一貴には敗れたが弟の孔稀には勝利し、政所にも勝ち、実績は十分だ。組み合わせ抽選会で志朗が「評価が高い選手で純粋に戦いたいと思った」という理由で対戦指名したのもうなずける実力者だ。
志朗は対・那須川天心では2連敗したものの、キャリア無敗の天心を手こずらせた度合でいえばロッタンに次ぐだろう。昨年11月の大阪大会でのDoA -55kgトーナメントでは植山征紀と鈴木真彦を下して優勝しており、軽量級のトップクラスという評価は揺るがない。
1R、滉大が圧力をかけ、お互い蹴りを打ち合う。志朗はロープを背負いながらも、随所で右ローを強打し、終盤には前に出てバックハンドブローを放って詰め、左ジャブも立て続けに当てる。若干志朗が優位になるが、まだ大差はない。記者採点はイーブン。53kgの階級に落とした志朗は55kgでの動きと差はない。
2R、志朗は左ジャブを当てつつ、執拗に右ローをヒット。滉大は少しステップがぎこちなくなり、中盤からは志朗が中央に構えるように。流れが変わる。終盤、滉大は右フックをヒットするが、志朗は流れを作らせず、右ローを当て続ける。記者採点は志朗。だが滉大は重いパンチの被弾が少なく大崩れしていないので、イーブンの可能性はある。
3Rも志朗は中央で構え執拗に右ローをヒット。後の無い滉大も中盤から前に出て、前蹴り、左テンカオ等を放つが、志朗も右ミドル、左フック等を返し、主導権を握らせない。記者採点はイーブン。合計29-30で志朗。ジャッジは1者のみ志朗を支持し、延長へ。
延長R、滉大は前に出て来るが、左足の踏ん張りがきかないため詰め切れず、志朗は的確に右ロー、左ジャブを当てる。すると中盤、志朗が左ジャブのフェイントからの右ストレートを滉大のこめかみに当てダウンを奪う。滉大はローのダメージの蓄積も影響し、倒れやすくなっていた模様だ。最後、滉大は詰めるが、志朗はかわして終了。志朗がしっかり差をつけ判定勝ちし、準決勝に進んだ。敗れた滉大は涙を流したが、志朗相手にここまで渡り合えたことは高く評価されるべきだろう。
志朗は「本当は53kgでも強い志朗を見せたかったですけど、滉大選手、強かったです。今回の動きは合格点には及びませんが、出るからには55kgに続いて53kgも制覇したいと思います。9月、横浜で応援、お願いします」とアピールした。
無冠の風音、有力候補・江幡睦を下し「見たかボケ」
第11試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
×江幡 睦(伊原道場/WKBA世界バンタム級王者)
○風音(TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級4位)
4R 判定1-2 (秋谷10-9/豊永9-10/小川9-10)
3R 判定0-1 (秋谷29-29/豊永29-30/小川30-30)
双子の江幡兄弟の兄・睦がRISE初登場。新日本キックで打倒ムエタイ路線を貫いてきたが、昨年9月のRIZINで対外戦・対日本人戦を解禁し、RISE常連の良星に判定勝ち。こちらのブロックの有力候補だ。
対する風音は5月のDoA予選が、孔稀の新型コロナウイルス感染により中止となり、戦わずして出場権を獲得した。まだ無冠ながら、麗也、松谷桐、HIROYUKIといったタイトル獲得経験者を撃破しており、本人もDoAの「ダークホース」と自認。所属のTEPPENが練った作戦に沿い、今回も王者狩りに成功する。
1R、睦は随所で左右のミドル、ローを強打。接近戦で風音もパンチを当てるが、睦も左右のストレートを返す。終盤、睦は左ボディも当てる。印象的なヒットは睦が上だが、風音もひるまず返し続けている。記者採点はイーブン。
2R、睦が右ローを強打するが、風音も詰めて右ストレートをお返し。やや睦に流れが傾きかけても、風音はしっかり右のパンチを返す。記者採点はイーブン。まだ大差はないものの、風音は手応えを感じたか?ラウンドが終わると、笑顔を浮かべ、雄たけびをあげる。
3R、接近戦が続き、睦は左右のロー、右ストレート、風音は右ミドル、右ストレートをヒット。終盤、睦は左ミドルを連打し、右ローも当てるが、風音も右フックを返し、差をつけさせない。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは1者だけ風音を支持し、延長へ。
延長R、睦は序盤から積極的にパンチを当て先手。中盤から睦は左右のミドルも強打するが、風音も右フックを合わせる。それでも睦はミドルに固執するが、風音は右フックを合わせ続けて好印象を残す。記者採点は風音。ジャッジは蹴りとパンチの評価で割れたが、2者が風音を支持し、風音の判定勝ち。無冠の風音がこのブロックの有力者の睦を下す波乱を起こした。
風音は「会長、証明しましたよ。死んでも取りたかったんで、信じてくれた皆さんありがとう。みんなの力が無ければ勝てなかった。色んな人に、この場にいるのおかしい言われたけど、見たかボケ。これを言いたかったんです。口悪くてすみません。次、2か月後、横浜で準決勝、決勝あるんですけど、ホンマに一番強いのは友人やからとか抜きにして(政所)仁やと思っています。仁と凄い作品を作り上げる予定なんで、横浜で応援してください。まだまだこんなところでは止まりません」とアピールした。
政所仁、田丸辰にリベンジ。盟友・風音との準決勝へ
第10試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級2位、WBKF世界スーパーフライ級王者)
×田丸 辰(TRY HARD GYM/RISEスーパーフライ級1位・元王者)
判定3-0 (大澤30-28/秋谷30-27/小川30-27)
政所と田丸は19年5月に対戦し、RISEスーパーフライ級王者だった田丸が5R判定勝ちで政所を退け初防衛している。政所は他にも石井、滉大、一貴には敗れているが、孔稀には勝利。このトーナメントを勝ち上がり、過去の悔しさを晴らしたい。
田丸は昨年9月に一貴に判定負けし王座陥落して以来の試合。出場メンバーでは最年少の19歳だ。2年前の王座獲得時からポスト天心として期待されていた選手の一人で、「このトーナメントで優勝して僕が天心戦へ名乗りを上げないといけない」と話していた。石井も同様の発言をしており、来年春でキックボクサーを引退する天心の最後の相手候補争いは、DoA -53kgの裏テーマといえる。
1R、オーソドックスの政所が圧をかけ、サウスポーの田丸が回って距離を取り、お互い蹴りを当てる。中盤、政所の右ストレート、左ショートフックが当たり始めるが、まだ田丸も大崩れはしていない。記者採点はイーブンだが、政所ペースか。
2Rも政所が序盤にワンツーからの右ストレートを当て、田丸をスリップさせる。政所は前に出続け、右ミドル、ハイを随所でヒット。田丸も時折左テンカオを合わせるが、政所の圧力は落ちない。記者採点は政所。
3R、劣勢の田丸は前に出てタックルで倒してしまい、レフェリーから警告を受ける。ミドルの応酬となるが、政所が前に詰め、右ストレートを立て続けに当て、田丸をひるませる。すると終盤、政所が右ストレートでついにダウンを奪取。これで点差を広げ、政所が判定勝ちし、リベンジと準決勝進出を果たした。
政所は「今のチャンピオンの大﨑(一貴)選手よりも圧倒的に田丸選手を倒したと思います。圧倒的な強さでこのトーナメントを優勝します。YouTube始めたんで登録してください」とアピールした。
リザーブマッチは大﨑孔稀が完勝
第6試合 リザーブマッチ 3分3R(延長1R)
○大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級3位、BOMバンタム級王者、元WMC日本&J-NETWORKスーパーフライ級王者)
×金子 梓(新宿レフティージム/RISEスーパーフライ級9位)
判定3-0 (長瀬30-29/豊永30-29/宮本30-28)
リザーブマッチには、6月のRIZIN東京ドーム大会での天心の1対3ボクシング形式マッチの相手となった孔稀も登場。コロナ感染で5月の予選を欠場したが、本戦のメンバーと遜色のない実力を見せつける。
1R、序盤から孔稀が右ミドルを強打し続け主導権。金子は孔稀のカーフキックを警戒してか?サウスポーに構え続けるが、孔稀の右ミドル、右ストレートをもらい続けてしまう。記者採点は孔稀。
2R、孔稀が右テンカオの連打から左飛び膝につなげ、序盤から好印象。ボディも絡めてのフックのコンビネーションも決める。金子は耐え、パンチを振るうが、孔稀はかわしたりブロックしたりしてまともに当てさせない。記者採点は孔稀。
3R、さすがに孔稀の勢いは落ち、金子が前に出てパンチを返すようになったものの、孔稀もミドル、パンチを返し、手数で逆転を許さず終了する。記者採点イーブン。合計30-28で孔稀。ジャッジ3者も1~2点差で孔稀を支持し、孔稀の判定勝ちとなった。
那須川天心「負けた選手も価値を落とす試合じゃ無かった」
これで9月23日の横浜・ぴあアリーナMM大会での準決勝の組み合わせは、大﨑一貴×志朗、風音×政所仁になった。ABEMAでの生中継の解説を務めた那須川天心は「負けた選手も価値を落とす試合じゃ無かった。またRISEに上がって、トーナメントで残った選手にリベンジする気持ちで頑張ってほしい」と総括した。初戦で散った石井一成、滉大、江幡睦、田丸辰、さらにリザーブマッチで勝った大﨑孔稀の5人も加えれば、どの組み合わせでも強力なカードとなるため、9月のリザーブマッチのカードや、気は早いがトーナメント後の展開も楽しみだ。
メインイベント終了後、勝ち上がった4選手がリングに上がり、ファイナルに向けての意気込みを改めて語った。
◆政所「下馬評が向こうにあったんで、滅茶苦茶うれしいです。本番は9月なんで、風音と盛り上げて勝って、僕が優勝します」
◆風音「さっきは気持ちが高ぶって言えなかったんですけど、江幡選手がいたからこんなに濃い練習ができて、こんなに強くなれたので、江幡選手、ありがとうございました。ここにいるメンツも、負けちゃった人達も、みんな僕より強かったです。みんなぐらい強かったらこんなに(練習を)やらなかったと思うし、皆さんのおかげで強くなっています。準決勝は隣の(友人の)仁とやるんですけど、これまでずっと当たりそうで当たらなかったので、ここで当たる運命やったんかなと思います。僕らにしか作れないものを横浜で見せます。そしてこのトーナメント、僕が取るんで応援お願いします」
◆志朗「まずは大﨑選手、おめでとうございます。大﨑選手との試合は一回流れたんですけど、戦う運命なんだなと思いました(※5月大会で試合が組まれていたが、コロナに感染した孔稀の兄の一貴は濃厚接触者とみなされ欠場していた)。53kgのRISEチャンピオンに勝って そして55kgに続いて優勝します」
◆一貴「志朗選手とは5月にやる予定が、試合することできず申し訳ありませんでした。間違いなく今までやった選手で志朗選手が一番強いんで、決勝のことは考えず、志朗選手に勝つことだけを考えてこれからの期間準備します」
鈴木真彦はテーパリットとの殴り合い制す。中村寛、大雅から左ハイでダウン奪い判定勝ち
第9試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級(55kg)王者)
×テーパリット・ジョウジム(タイ/ジョウジム/プロボクシング元WBA世界スーパーフライ級王者)
判定3-0 (長瀬29-28/秋谷30-28/大澤30-28)
1R、圧を掛ける鈴木のパンチがやや目立つが、中盤にテーパリットが右ローを強打すると、左右のフックのヒットを増やして鈴木を追い詰める。鈴木も打ち合いでパンチを当てて追い上げるが、テーパリットも耐えてパンチを返す。記者採点はイーブンだが、テーパリットについている可能性はある。
2R、両者打ち合いでパンチをヒット。中盤には鈴木がコーナーに詰めパンチを振るうが、テーパリットは頭を振ってかわし続け、場内をどよめかせる。テーパリットのパンチのヒットは減ったものの、鈴木にも決定打を許さない。記者採点はイーブンだが、手数差でジャッジは鈴木につけたか。
3R、序盤の打ち合いの流れで、鈴木は左フックをクリーンヒット。テーパリットを詰めてパンチを連打するが、これもテーパリットがクリンチとスウェーでうまく耐え、自分のパンチも返す。鈴木は膝やローも絡めて手数を多く攻めるが、テーパリットは耐え続け、随所で右を返し、最後までスリリングな攻防を続け終了する。記者採点は鈴木。合計30-29で鈴木。ジャッジ3者も鈴木を支持し、鈴木が判定勝ちしたが、RISE初参戦のテーパリットもアグレッシブさとタフさで好印象を残す試合だった。
第8試合 62kg契約 3分3R
×大雅(チームドラゴン/元K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王者)※TRY HARD GYMから所属変更
○中村 寛(BKジム/元DEEP☆KICK -60kg王者)
判定0-2 (長瀬28-28/28-29/大澤28-29)
大雅は3月のRIZIN名古屋大会で基山幹太に判定勝ちして以来の試合。今回からチームドラゴンに移籍して戦う。中村は昨年11月のRISE大阪大会で修斗のランカーの魚井フルスイングに1R KO勝ちしているが、3月のRISEでのSEIDO戦の計量前に重度の脱水症状で救急搬送され不戦敗となっており、今回は地元大阪でスーパーフェザー級(60kg)より2kg重い契約体重での再起戦となる。
カード発表会見での舌戦でも話題を呼んだ両者、試合も言葉通りの熱い内容に。1R、両者サウスポーに構え、中村が前に出て、大雅は回って距離を取る。中村は序盤からフックを強振し、左のカーフキックもヒットする。大雅も左のカーフを返し、突っ込んで来る中村に対し左の飛び膝を度々お返しする。中盤、少し中村の勢いが落ちたように見えたが、ジャンプして飛び込んで詰めてから、左ハイをクリーンヒットしダウンを奪う。中村は左右のフックで攻め続け攻勢。最後、ゴングの後に出した左フックが当たり、大雅は腰が落ち、セコンドの前田憲作氏に運ばれコーナーに戻る。記者採点は8-10で中村
2R、中村は序盤こそ積極的に攻めていたが、大雅も攻撃を返していると、中盤あたりから中村の手数が落ち、大雅が左飛び膝蹴りを当てると、中村は右まぶたをカットしドクターチェックを受ける。再開はしたものの、早く仕留めたい状況になった中村は左ミドル、カーフ、フックのヒットを増やし挽回を狙う。記者採点はイーブン。ヒット数は中村だが、まぶたのカットを考慮した。
3R、大雅がじわじわ左ロー、右ボディ、左右のフックのヒットを増やす。だが中村がこれまで同様、左のカーフを当て続けていると、大雅は踏ん張りがより弱まってしまう。それでお大雅は必死にパンチを当てるが、中村は耐え、パンチを返し続け、最後も左ハイを当てて終了する。記者採点は手数で大雅。合計28-29で中村。ジャッジも2者が順当に中村を支持し、中村が勝利した。
中村は「SEIDO選手、前回、プロとしてやったらあかんことして 減量失敗してすみませんでした。このコロナ禍、大雅選手のファンも煽って、僕のファンもSNS通じて色んな意見も言ってくれて、大雅選手のファンも一緒に戦ってくれてありがとう。減量失敗したのでどこまで煽っていいんか迷いました。でも勝った以上、キックのトップファイターの仲間入りができたと思います。(試合前から)拳を痛めていたんで、次の試合から爆発したいです」とアピールした。
第7試合 スペシャルエキシビションマッチ 3分1R
―山口裕人(山口道場/WPMF世界スーパーライト級暫定王者、元WBCムエタイ日本統一同級王者)
―山口侑馬(山口道場/元INNOVATIONライト級王者、元DEEP☆KICK -60kg王者)
勝敗無し
山口兄弟の兄・裕人は桜井力(COMRADE GYM)とのオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチを予定していたが、桜井が試合前日朝の減量中に脱水症状となり病院へ搬送され試合が中止になり、山口の弟・侑馬とのエキシビションマッチが急きょ用意された。両者とも3分間、激しいパンチの打ち合いを展開。試合が無くなった裕人が、うっ憤を晴らそうとばかりに度々佑馬を連打で追い詰め、仕上がりの良さを印象付けた。
マイクを持った裕人は「こいつ、前の試合で左手骨折して、1か月半グローブつけて練習していないんですけど、昨日受けてくれて感謝です」と弟を称え、場内は拍手に包まれた。さらに裕人は「9月横浜、11月大阪、どっちも出たいですね。もちろん、どっちもOFGで」とアピールした。
第5試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×京谷祐希(山口道場/RISEバンタム級5位)
○川上 叶(龍生塾/シュートボクシング日本バンタム級(52.5kg)王者)
判定0-3 (豊永29-30/小川29-30/宮本29-30)
1R、両者サウスポーに構え、京谷は序盤から時折前に出てパンチを連打し、左のカーフキックを絡める。川上はパンチをある程度ブロックできているが、自分の攻撃が少ない。記者採点は京谷。
2R、京谷は同様の攻めでやや優位だが、終盤、川上の左右のフックが当たり出し、最後は右フックを強打して好印象を残す。記者採点は川上。
3R、川上が圧力をかけ続け、随所で右ストレート、左ジャブをヒット。京谷もパンチを返すが、コーナーに詰められる時間が長く、やや印象が悪い。記者採点はイーブンだが川上でも不思議ではない。合計29-29でイーブン。ジャッジは3者とも2Rのみ川上に振った模様で、川上の判定勝ちとなった。
第4試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×門口佳佑(EX ARES/RISE 2位)
○魁斗(立志會館/シュートボクシング日本2位、RKS王者)
判定1-2 (小川29-30/秋谷30-29/篠原29-30)
1R、サウスポーの門口に対し、長身でオーソドックスの魁斗が圧を掛け続ける。終盤にお互い攻撃が出始めるが、まだ差は乏しい。
2R、魁斗は右ストレート、右ミドル、門口は左ミドルをヒット。門口の蹴り数がやや多いが、まだ魁斗もやられっぱなしの状態にはならない。記者採点はここまでイーブン。
3Rもなかなか均衡が崩れなかったが、お互い攻撃を増やすと、やや門口の右フックのヒットが目立つ。記者採点はイーブンだが、門口が取っている可能性もある。合計30-30でイーブン。ジャッジは割れ、2者が魁斗を支持し、魁斗の勝利となった。
第3試合 58kg契約 3分3R(延長1R)
○平野凌我(MTS/RISEフェザー級8位)
×YU-YA(魁塾/元RKS&double clutchライト級王者)
1R 2’45” KO (右フック)
1R開始すぐ、平野が首相撲からの膝蹴りを連打しレフェリーから注意を受ける。その後、左右のミドル、三日月蹴りを立て続けにヒットする。YU-YAも左右のフックを随所で当て、平野をふらつかせる。終盤はパンチの打ち合いに。だが三日月をボディを効かされていたYU-YAのガードが甘くなっていたところで、YU-YAの右フックに合わせて、平野が右フックをクリーンヒット。これ一発で見事マットに沈めKO勝ちした。YU-YAは担架で運ばれた。
第2試合 女子48.5kg契約 3分3R(延長1R)
○田渕涼香(拳聖塾/RISE QUEENフライ級1位)
×花田麻衣(GROUND CORE)
判定3-0 (長瀬30-29/篠原30-29/大澤29-28)
1R、田渕が前蹴り、ミドル、ローのヒットをじわじわ増やし、ローは右ロー、左インローの両方を着実に当てる。記者採点は手数を評価し田渕だが、ドローでも不思議ではない。
2R、田渕は右足を痛めたか?ややステップがぎこちなくなり、踏ん張りが弱くなり、花田に押し倒される場面が数度ある。攻撃も減るが、花田も有効打を返すほどにはならない。記者採点イーブン。
すると3R、田渕は疲れが目立ち始め、中盤、花田が左右のストレート、ボディ打ちをまとめ、田渕を下がらせ優位に。田渕はクリンチが増える。田渕は胴廻し回転蹴りを2度出すが、距離は遠く動きも遅い。記者採点は花田。合計29-29でイーブン。ジャッジは3者とも田渕を支持し、田渕の判定勝ちとなったが、苦戦のせいか笑顔は無かった。
第1試合 女子アトム級(46kg) 3分3R(延長1R)
○小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE QUEENアトム級1位)
×百花(魁塾/元ミネルヴァ・アトム級王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-26)
1R、中盤から小林が左右のボディ打ちも絡めながら顔面にもパンチを当て、やや優位に。終盤には右の顔面狙いの前蹴りも連続でヒット。右フックでも少しひるませる。空振りも多いがお構いなしで振り続ける。記者採点は小林。
2Rも小林がパンチ主体で攻める。百花も右ミドルを当て少し挽回したが、終了間際に小林が左右のフックの連打でダウンを奪う。
3Rも小林が積極的にパンチを振るい続け攻勢。百花も右フックを当てるが、最後まで小林の勢いが落ちないまま終了。パワフルさを増した小林が完勝した。
なお、RISEでは今回から、50kg以下の試合ではグローブがこれまでの6オンスよりも小さい4オンスとなっており、衝撃がより相手に伝わりやすくなった感がある。
オープニングファイト第3試合 バンタム級(55kg) 3分3R
○力哉(BK GYM/DEEP☆KICK -55kg 1位)
×勇馬(山口道場/DEEP☆KICK -55kg 3位)
判定3−0(28-27/28-27/28-27)
オープニングファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×麻太郎(健心塾/DEEP☆KICK -57.5kg 1位)
○村上真基(ROYAL KINGS/DEEP☆KICK -57.5kg 5位)
判定0-3(28-30/28-30/28-29)
オープニングファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×藤井海人(EX ARES)
○長谷川英翔(誠剛館)
判定0-3(28-29/28-30/28-29)