RISE 10.15 大田区総合体育館(レポ):YA-MAN、白鳥大珠に判定負けも怒涛の反撃で場内沸かせる。大﨑一貴、風音に判定勝ちし53kg王座防衛。志朗、大﨑孔稀との延長戦制す
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Cygames presents RISE WORLD SERIES 2022
2022年10月15日(土) 東京・大田区総合体育館
レポート&写真:井原芳徳
YA-MAN、白鳥大珠にダウン奪われ敗れるも怒涛の猛攻で場内沸かせる
第10試合 セミファイナル スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISEライト級(63kg)1位・元王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝、RIZIN KICK -61kgトーナメント2021優勝)
×YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEライト級(63kg)10位)
判定3-0 (豊永29-28/小川29-28/北尻29-27)
白鳥は4月のRISE代々木大会で秀樹に延長判定勝ち。6月のTHE MATCHでは元K-1&Krushライト級王者・ゴンナパー・ウィラサクレックに1R右フックでKOされた。YA-MANは昨年からRISEで始まったオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチで素質を開花させ、通常のボクシンググローブをつけた試合でも中村寛に判定勝ち。大晦日のRIZINでは皇治に判定勝ちし知名度を上げた。THE MATCHではK-1代表の芦澤竜誠との会見での乱闘から注目度を高め、試合は1R KO勝ちと、白鳥とは対照的な結果を残した。
8月21日のRISE大阪大会のリング上での挨拶で、YA-MANは「イケメンをボコボコにする」と白鳥を挑発し、白鳥も「逆に俺が殴ってイケメンにしてやろうか」と受けて立つ姿勢を示し、試合が組まれた。今回はOFGではなく通常のボクシンググローブ。RISE内の実力での格では白鳥が上だが、YA-MANが波乱を起こすか注目が集まる一戦となる。また、両者とも体が大きくなったことから、1階級上のスーパーライト級(65kg)での戦いとなった。
1R、サウスポーの白鳥に対し、YA-MANはオーソドックスで構えてひたすら前に出る。お互いカーフを蹴り合い、時折パンチも交錯し、場内は沸きあがる。終盤、YA-MANが右ボディを連打しやや好印象を作るが、まだはっきりした差はつかない。記者採点はイーブン。
2R、序盤からバッティングがあり、YA-MANが右まぶたを少し切り、ドクターチェックが入るが再開する。しかしYA-MANは少し視界が悪くなったか?前に出るものの、白鳥が距離を取りつつ左ミドルを腕の上に連打してから、左ハイを放ち、膝を顔面に当ててダウンを奪う。その後も白鳥が前に出て追い詰めるが、YA-MANは右ボディ等のパンチを当て、次第に圧をかけ返し追い上げる。ラウンド終了のゴングが鳴りコーナーに戻る際、YA-MANは己を鼓舞するように雄たけびをあげる。記者採点は10-8で白鳥。
3R、YA-MANは挽回を狙い前に出続け、随所で右フック、右ボディをヒット。白鳥はブロックして耐えつつ、笑顔を見せながら打ち合いに応じて当て返し、場内は沸きあがる。最後までYA-MANは必死にパンチを振るうが、白鳥は耐え続け終了する。記者採点は9-10でYA-MAN。合計29-28で白鳥。ジャッジ3者も白鳥を支持したが、YA-MANの巻き上げも光る好勝負となった。
マイクを持った白鳥は「YA-MAN、気持ち強すぎでしょ。2Rダウン取った時、終わったと思ったら立ってきた。この男、強いよ。YA-MAN、最高にカッコ良すぎでしょ。今日、僕を知った人も僕のこと好きになってください。人気急上昇のYA-MANとRISEを一緒に盛り上げたいです。ようやく勝って再スタートできたんで、12月25日、クリスマス、両国大会出させてください」とアピールし、YA-MANを称えた。
YA-MANは「白鳥選手、イケメンで強くて金持ってて、どうやって勝てばいいんですか?教えてください。でも自分の見せたいものは見せれたと思うんで。1Rで多分左のあばらも折れて、2Rに鼻も折られ、イケメンボコボコにするはずが、不細工が余計不細工になっちゃったよ」と話して笑いを取りつつ「今回、児童施設の子たちとシングルマザーで頑張っている方を200名を招待しました。金を稼ぐのがモチベーションだったのが、THE MATCHで勝って低くなったんですけど、今は人のために生きたいと思うようになりました。今回招待した人たちでも、活躍できる舞台が一人一人絶対あるんで、あきらめず頑張ってください」と呼びかけ、場内は拍手で包まれた。
YA-MANはあばら骨が折れ肺に刺さり息苦しくなった模様で、退場後は外傷性気胸の恐れがあることから病院に搬送された。試合直後、水が飲めず吐き出したのもその影響だった可能性がある。試合が終わってから約4時間後の夜11時頃には、セコンドについた宮城大樹トレーナーが「YA-MANは元気です」とツイートし、YA-MANもTwitterに「俺はこの負けを糧にして、もっと練習してもっと上を目指す。応援ありがとうございました」等と記した。診断の結果、軽傷と判明しすぐに退院。一夜明け会見に登場すると「あばらの軟骨が損傷したのと、鼻が折れたぐらいでした。大丈夫ていうか、明日にでも試合できる感じですね」と笑顔で話していた。
大﨑一貴、スキル差発揮し風音に判定勝ちしスーパーフライ級王座初防衛
第11試合 メインイベント RISEスーパーフライ級(53kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長1R)
○大﨑一貴(OISHI GYM/王者、元WMC日本&ルンピニー日本フライ級王者)
×風音(TEAM TEPPEN/1位、RISE DoA -53kgトーナメント2021優勝)
判定2-0 (長瀬50-49/北尻48-48/豊永49-48)
※大崎が初防衛
大﨑兄弟の兄・一貴は20年2月のRISE初戦で風音から2Rに右フックで2ダウンを奪い判定勝ち。続けて政所仁を下すと、同年9月に田丸辰を下しスーパーフライ級王者となった。その後も川上叶、一航、石井一成、田渕神太に判定勝ちし、今年8月の大阪大会ではサンチャイをKOし、RISE 8戦全勝の快進撃を続ける。だが昨年のDoA -53kgトーナメントは、一回戦で石井に勝ったものの、準決勝の志朗戦の前に右足首を骨折したため途中リタイアしていた。
そのDoAトーナメントではダークホースだった風音が決勝で志朗を下して優勝。今年4月の那須川天心のRISEラストマッチの相手を務め、6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会では昨年のK-1日本最強決定トーナメント優勝者の黒田斗真に延長判定勝ちし、知名度でも実績でも一貴を凌駕する存在となっていた。今回の試合が決まった際、一貴も「テーマは『エースの座の奪還』です。THE MATCHに風音選手が選ばれたことで、一般の人にはRISE 53kgのエースは風音選手と思われているので、きっちり勝って、53kgは大﨑だぞと証明したいです」とコメントしていた。
1R、一貴が低めに構えながらプレッシャーをかけ、風音が回る構図で、お互い右ロー、カーフキックを当てる。終盤お互いパンチが増え、風音が圧をかけ返す場面もあるが、一貴はすぐに圧をかけ返す。5Rあるため、まだお互いやや慎重か。記者採点はイーブン。
2Rも似たような構図で、一貴が圧をかけ続け、右のカーフを当てていると、風音は少しスイッチを繰り返す場面も。その後も風音は大崩れをしないが、カーフのダメージで足の踏ん張りが弱くなったか?パンチを返してもやや軽い感が否めない。一貴は左インロー、左ジャブも随所で当て、やや優位で終える。記者採点は一貴。
3R、風音はカーフをもらわないように距離を詰め、パンチや膝を返し、手数では巻き返す。だが一貴は執拗に右のカーフを当てつつ、ボディへのフック、バックスピンキックも当てて、主導権を譲らない。記者採点はイーブン。
4R、風音は序盤こそカウンターの右フックで一貴をフラつかせ挽回するも、一貴は下がりながら左フックを当て返して立て直し、中盤は顔面への左右のフック、左ボディを随所で強打し挽回する。右カーフも絡め、攻撃の的確さで印象付ける。記者採点は一貴。
5R、風音は声を上げながら必死にパンチ、膝を出すが、軽い当たりが多い。逆に一貴は手数では劣るものの、随所で左ボディフック、ボディへの右バックスピンキックを強打し、顔面への右フックも当て、的確さでは変わらず上回り続け終える。記者採点はイーブンだが一貴でもいいぐらいだ。合計50-48で一貴。ジャッジの採点は50-49で一貴、48-48でイーブン、49-48で一貴。一貴の的確さと風音の手数の評価でバラついた模様だが、2者が一貴を支持し、一貴が判定勝ちで初防衛を果たした。
一貴は「THE MATCHに風音選手が出て、僕が出られなくて、自分の責任もありましたが、タイトルマッチが決まって、直前まで不安でプレッシャーが大きくて、くじけそうになった時もあったんですけど、練習を付き合ってくれる人たちとかがいて、何より風音選手にベルトを渡すのが嫌で、その気持ちだけでここまで来れました。これで国内53kg最強になったと思うんで、次は世界のベルトに挑戦させてください。孔稀、僕はこのベルトを持ち続けるから、ここまで上がってきてください」とアピール。弟の孔稀は記念撮影で号泣していた。
志朗、大﨑孔稀との延長戦制す。12.25参戦熱望
第6試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISEバンタム級1位、RISE -55kgトーナメント2020優勝、RISE -53kgトーナメント2021準優勝、ISKAムエタイ世界バンタム級王者)
×大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEフェザー級(57.5kg)10位、BOMバンタム級王者、元J-NETWORK&WMC日本スーパーフライ級王者)
4R 判定3-0 (和田10-9/長瀬10-9/北尻10-9)
3R 判定0-0 (和田29-29/長瀬29-29/北尻29-29)
志朗と大﨑兄弟の弟・孔稀は、昨年9月のRISE DoA -53kgトーナメント準決勝で戦う予定だったが、孔稀が計量で2.95kgオーバーし失格となっていた。そのトーナメントで志朗は決勝に進むも風音に延長判定負け。今年4月のRISEでは江幡塁を2R右ハイでKOしたが、6月のTHE MATCHではK-1の玖村将史に右フックでダウンを奪われ判定負けしている。
孔稀は志朗戦の減量失敗後、階級を上げての試合で3連勝中。7月のRISE後楽園大会では56kg契約でJyoseiに1R KO勝ちし「今後、55kgのバンタム級でやるんで、ランカー一人ずつ踏み台にして、絶対王者の鈴木(真彦)選手のベルトを奪い取ります」とマイクアピールしていた。
経験豊富な両者の戦いはハイレベルな技術戦に。1R、ロー等蹴り主体の攻防が続き、中盤から志朗の右ボディ、右フックのヒットが少し目立つが、孔稀もパンチ、ローを返し、まだはっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、志朗は執拗に右ローを当てるが、孔稀は崩れず、左右のミドル、右前蹴り、蹴り足をすくっての崩し等で応戦。なかなかどちらも譲らない。記者採点はイーブン。
3R、志朗は変わらず右ローを当てると、少し孔稀は崩れる。だが孔稀はすぐ持ち直し、インローを返しつつ、ボディにミドル、膝、パンチを返し、一歩も譲らない。顔面にもパンチを度々当てるが、志朗はガードしているため効力は不十分な様子だ。終盤、ようやく志朗の顔面狙いのパンチが目立つようになり少し優位になるが、はっきりした差はつかない。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは3者とも29-29で延長へ。
延長R、さすがの孔稀もダメージが蓄積していたか?序盤から孔稀は2度マウスピースを吐き出し、豊永レフェリーは遅延行為と判断し注意を出す。孔稀も左ミドルを当てる場面があるがその先が続かず、志朗がボディへの左右のパンチの連打、右フックを随所で当てて手数で上回り、やや優位で終える。記者採点は志朗。ジャッジ3者も志朗を支持し、志朗の判定勝ちとなった。
4Rの攻防を制した志朗はマイクを持つと「危なっかしい試合になりましたが、スタイルが変わったのは分かったと思います」と話し「12月(25日)、RISEの大きい大会にぜひ出たいです」とアピールした。
チャンヒョン、中村寛の猛攻耐え2R TKO勝ち
第9試合 62.5kg契約 3分3R(延長1R)
○イ・チャンヒョン[チャンヒョン・リー](韓国/RAON/RISEスーパーフェザー級(60kg)王者)
×中村 寛(BK GYM/RISEライト級(63kg)3位、元DEEP☆KICK -60kg王者)
2R 1’39” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打でダウン後)
中村は昨年7月に大雅に判定勝ちし、11月にはYA-MANに判定負け。今年4月のRISE代々木大会では北井智大を1R KOした。6月のTHE MATCHではK-1代表のレオナ・ペタスと接戦を繰り広げ、判定2-0で勝利した。
チャンヒョンは19年のRISE WORLD SERIES -61kgトーナメントでは1回戦で裕樹に勝利したが、準決勝で梅野源治に敗れた。同年12月にBOMでタイの強豪・スアキムとムエタイルールで対戦し、肘をもらっての負傷でTKO負け。コロナ禍の影響で試合から遠ざかっていたが、今年7月、約2年半ぶりに試合し、一馬を4R KOし、RISEスーパーフェザー級王座初防衛を果たしている。今回は約1階級分体重を上げての戦いとなる。
1R、開始すぐからサウスポーの中村が左ストレート、ハイ、膝を立て続けに当て先手を取る。チャンヒョンは前に出るが、右のローがローブローとなり一時中断する。再開後、チャンヒョンは負けじと前に出て来るが、中村が随所で左ストレート、ハイ、右ジャブを当て、主導権を維持する。記者採点は中村。
2R、チャンヒョンは執拗に前に出て、中村は回るが攻撃が減る。するとチャンヒョンが右ストレートをクリーンヒット。中村がひるんで下がると、チャンヒョンが追いかけ、カウンターの左フックでフラつかせ、左右のパンチをまとめダウンを奪う。中村は立ち上がるが茫然とした表情で意識は戻っていない様子。ファイティングポーズを和田レフェリーに促されても背中を向けたままで、レフェリーはストップ。チャンヒョンのTKO勝ちとなった。
逆転勝ちのチャンヒョンは「1R、ローブローをしたことは本当に申し訳ないです」と謙虚に謝罪しつつ「12月25日、もっと強い姿で皆さんにお会いしたいです」とアピールした。
直樹、ボディ攻めで見せ場作るもチャド・コリンズが左フックでKO勝ち
第8試合 64kg契約 3分3R(延長1R)
×直樹(BRING IT ON パラエストラAKK/RISEライト級(63kg)王者)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/ストライクフォース/WMCインターナショナル・WKA豪州・WBCムエタイクイーンズランド州・スーパーライト級王者)
2R 2’42” KO (左フック)
直樹は20年10月のRISE DoAトーナメントの準決勝では白鳥大珠相手に番狂わせのTKO勝ちをし、決勝では原口健飛に1R KO負け。その後、秀樹相手にRISE王座を防衛し、白鳥との再戦でも延長判定勝ちするなど3連勝した。4月の代々木大会では1階級上のRISE王者・山田洸誓にKO負けし、8月のGLORYドイツ大会では初の海外遠征を経験し、デニス・ウォーシックにダウンを奪われ判定負けし、現在2連敗中だ
コリンズはタイでセクサン、パコーン、サックモンコンといったスター選手を下し、日本でもコロナ禍以前には海人・不可思に完勝。8月のRISE大阪大会で久々に来日すると、スーパーライト級(65kg)でRISEウェルター級(67.5kg)王者の中野椋太に1R右ストレートでKO勝ちし、圧倒的な強さを見せつけた。
1R、コリンズが圧力をかけ続け、右ロー、右アッパー、左フック等をヒット。一発一発の重みでは上回る。だが直樹も回りつつ、頭を近づけてのボディブローの連打や、右のカーフキックを随所でお返しする。記者採点はイーブン。
2R、直樹は右ボディ、右の三日月蹴りを効かせ、コリンズは少し苦しそうな表情を見せ、場内は沸きあがる。だがコリンズは左ミドル等を返してじわじわ直樹を削ると、終盤、左フックをクリーンヒットして直樹をひるませ、追い打ちの左ストレートでダウンを奪う。直樹は立ち上がるがダメージが大きく、コリンズが左フックでフラつかせたところで、長瀬レフェリーがストップ。直樹の健闘が光るも、コリンズのKO勝ちとなった。
第7試合 女子アトム級(46kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○宮﨑小雪(TRY HARD GYM/RISE QUEENアトム級王者)
×ペットルークオン・サーリージム[Petloolaon Sarigym](タイ/サーリージム/タイ国イサーン地方女子45kg級王者、パタヤ・テーパシットスタジアム女子47kg級王者)
判定3-0 (和田30-29/秋谷30-29/長瀬30-28)
宮﨑姉妹の姉・小雪は、5月の後楽園大会での小林愛理奈との3度目の対戦を制し王座初防衛に成功して以来の試合。現在6連勝中で今回は初の国際戦に。対するペットルークオンは17歳で、タイの地方タイトルを4本獲得している。
1R、小雪はサウスポーで構え、開始すぐから左インローを度々当て、ミドルやストレートも時折絡め主導権を維持する。ペットルークオンは時折右ミドルを返すが、小雪の蹴り数は下がらない。記者採点は小雪。
2Rも小雪は左インローを当てつつ、顔面への右ジャブ、左ストレートも増やして主導権を維持する。記者採点は小雪。3Rはペットルークオンも声を上げながらパンチ、膝を返し、やや巻き返したが、変わらず小雪も随所でパンチ、膝を当て、逆転は許さず終了。記者採点はイーブン。合計30-28で小雪。ジャッジ3者も小雪を支持し小雪の判定勝ちとなったが、山場が乏しく、濃い男子のカード揃いの中では影の薄い試合となってしまった。
安本晴翔、山川賢誠を64秒KO「もっと強い相手お願いします」
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×山川賢誠(Kickboxing Academy Sapporo/RISEフェザー級6位)
○安本晴翔(橋本道場/WPMF世界・WBCムエタイ日本フェザー級王者、元KNOCK OUT-REDフェザー級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
1R 1’04” KO (右ハイキック)
安本はジュニア時代から24タイトル奪取など活躍し、プロデビュー後も28戦25勝(14KO)1敗2分の快進撃を続け、肘有りルールでのタイトルを5本獲得。7月の後楽園大会で5年ぶりにRISEに上がると、メールダード・サヤディを1R右フックでマットに沈めた。しかしその際に肘も当たっていたことからノーコンテストに裁定が変更となっていた。連勝は14で止まったが15試合負けなしだ。
対する山川は25戦15勝(8KO)8敗2分の29歳。フェザー級戦線では28日の後楽園大会でベルトを争った門口佳佑と梅井泰成に敗れており、最近では今年2月の後楽園大会で復帰戦の森本“狂犬”義久を2R KOしている。
試合は安本がレベルの違いを見せつけることに。1R、サウスポーの山川に対し、開始すぐから右ストレートを立て続けに当ててひるませる。ダウン気味にフラつかせると、下がる山川に対し、右ハイをクリーンヒット。ダウンした山川は立ち上がろうとしたがフラつき、レフェリーがストップした。
マイクを持った安本は「この間はすみませんでした。これからフェザー級、荒らしていくんで、もっと強い相手お願いします」とアピールした。
大雅、奥平将太に苦戦。延長判定勝ち
第4試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○大雅(TRY HARD GYM/元K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王者、元Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)※チームドラゴンから所属変更
×奥平将太(FIGHT CLUB 428/Team Bull/RISEスーパーフェザー級7位)
4R 判定3-0 (北尻10-9/小川10-9/豊永10-9)
3R 判定1-1 (北尻28-30/小川30-29/豊永30-30)
大雅は昨年11月の大阪大会で梅野源治に判定勝ちして以来約1年ぶりのRISE登場。その後はRIZINで3月に髙橋亮と引き分け、7月の沖縄大会では新田宗一朗に判定勝ちしている。1年前にチームドラゴンに移籍していたが、今回からTRY HARDに戻る。奥平はBigbangのアマチュア6階級を制覇した実績があり、プロデビュー後は6戦4勝(2KO)2敗で現在20歳。7月の後楽園大会では藤井重綺に延長判定勝ちし、蓮敗を2で止めている。
1R、大雅がサウスポーでプレッシャーをかけ、パンチを狙うが、奥平はオーソドックスで距離を取って回り続ける。お互い攻撃が少ないが、終盤には大雅のパンチのうち終わりに奥平の膝が当たるように。記者採点はイーブン。
2R、大雅が左ボディフック、奥平が右のミドル、三日月をクリーンヒットする場面もあるが、まだヒットは伸びず均衡も崩れない。記者採点はイーブン。だが大雅は動きが重く、奥平にパンチを読まれている感はぬぐえない。
3R、それでも大雅は執拗に前に出続け、奥平も左ジャブをもらう場面が目立つように。だが中盤過ぎから奥平も右膝のヒットを増やし、均衡状態は崩れないまま終わる。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジはパンチと蹴りの評価でくっきり割れ、三者三様で延長へ。
延長R、開始すぐから奥平が右ハイ、膝を当てて先手を取る。だが中盤、大雅が左フックを効かせてから、左のパンチで度々奥平をひるませ、ダウン寸前まで追い込み終了。記者採点は大雅。ジャッジ3者も大雅を支持し、大雅が判定勝ちしたが、上位戦線への復帰に向けてのアピールとしてはやや厳しい内容となってしまった。
翼、花岡竜に負傷判定勝ちの波乱
第3試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
×花岡 竜(橋本道場/RISEスーパーフライ級2位、元KNOCK OUT-BLACK同級王者、元INNOVATIONフライ級王者)
○翼(TARGET/RISEスーパーフライ級12位、元ジャパンキック・バンタム級王者)
2R 負傷判定0-3 (秋谷19-20/豊永19-20/小川19-20)
花岡は19戦17勝(7KO)1敗1分の18歳。今年1月のNO KICK NO LIFEで石井一成に勝利し、6月のRISE初戦では滉大に接戦の末に判定勝ち。8月の後楽園では昨年のRISE DoA -53kgトーナメントベスト4の政所仁に3R TKO勝ちした。その後のマイクでは「次、10月にチャンピオンの大﨑一貴選手と1位の風音選手がタイトルマッチをやると思うんですけど、勝った方とタイトルマッチ、どうですか?」とアピールしていた。
翼は今年からジャパンキックを離れTARGETに移籍し、RISEで3戦2勝(2KO)1敗。京介には敗れたが、7月の3戦目では溜田蒼馬を2R KOした。
1R、サウスポーの翼に、花岡がプレッシャーをかけ、左右のパンチと膝を当て早速先手を取る。だがバッティングがあり、翼は右まぶたを切りドクターチェックが入る。だがチェック前から入っていた翼の左ストレートのヒットが、再開後には増え、度々花岡はのけぞるようになり印象を悪くする。記者採点は翼。
2Rも翼が前に出て距離を潰しつつ、左ストレートを随所で当てる。しかし花岡もミドルの蹴り数を上げ、はっきり差をつけさせない。中盤、再び翼にドクターチェックが入るが再開する。再開後も激しい打ち合いが続くが、翼の出血が続き、3度目のドクターチェックが入るとドクターがストップした。
偶発的なバッティングによる出血とみなされ、ここまでの内容で採点が行われる。記者採点は2Rはイーブンで合計19-20で翼。ジャッジ3者も同じ採点で翼を支持し、翼が番狂わせの判定勝ちを果たしたが、負傷判定のため再戦は必至だろう。
第2試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○小川 翔(OISHI GYM/RISEライト級5位、HOOST CUP日本スーパーライト級(63kg)王者、元WBCムエタイ日本統一&REBELS-MUAYTHAIライト級王者)
×KENTA(HAYATO GYM/RISEライト級8位)
判定3-0 (豊永30-29/秋谷30-29/小川30-29)
1R、距離を取りミドル、ロー、カーフの蹴り合いが続く。小川の蹴り数が次第に増えるが、まだKENTAも崩れない。2Rも小川の蹴り数が上だが、KENTAは耐えている。3Rも小川が執拗にローを当てつつ、顔面とボディにもパンチをつなげて、攻撃数で大きな差をつけ判定勝ちした。
那須川天心の弟・龍心、第1試合で判定勝ち
第1試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
○那須川龍心[りゅうじん](TEAM TEPPEN)
×吉田亮汰朗(BKジム)
判定3-0 (30-26/30-26/30-26)
那須川天心の弟・龍心は今年春に高校生になり、4月のRISE代々木大会では笠原直希に判定勝ちしたが、6月のTHE MATCHではK-1代表の大久保琉唯に判定負け。8月のRISE後楽園では平山龍馬に3R TKO勝ちし、今回が4戦目だ。対する吉田は7月のDEEP☆KICKで53kg契約で山川敏弘と対戦し2R TKO負けしている。
龍心のセコンドには天心がつく。ボクシングに転向すれば他競技のセコンドができなくなるため、この光景も残りわずかかもしれない。1R、サウスポーの吉田に対し、オーソドックスの龍心がプレッシャーをかけ続け、右ストレート、右ミドルを度々当て主導権を握る。2Rも同様で、終盤には右テンカオも効かせ追い詰める。吉田はクリンチが多いとして、2Rと3Rにイエローカード各1枚をもらい減点1に。3Rも龍心がパンチと蹴りを再三当てて圧倒し判定勝ちした。
オープニングファイト2 スーパーフライ級(53kg) 3分3R
×星 拓海(IDEAL GYM)
○伊藤琉之助(EX ARES)
判定1-2 (28-29/29-28/28-29)
オープニングファイト1 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○指田 烈(TEAM TEPPEN)
×永松進之介(FJ KICK ASS)
判定3-0 (29-26/30-26/30-26)
※2R・3R右フックで永松に各1ダウン