RISE 8.21 エディオンアリーナ大阪(レポ):ペットパノムルン、原口健飛に6R判定勝ちし返り討ち。海人、サモ・ペティの反撃に苦しむも延長判定勝ち。チャド・コリンズ、中野椋太を1Rで粉砕
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Cygames presents RISE WORLD SERIES 2022 OSAKA
2022年8月21日(日) エディオンアリーナ大阪 第1競技場
レポート:井原芳徳 試合写真:久保与志
RISE、対K-1の後は本来の対世界路線へ
RISEの大箱シリーズ「RISE WORLD SERIES」、今回はRISEが提携する米国のキック大会・GLORY等海外勢との対抗戦が主軸となり、6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会でK-1の主力を下した原口健飛、海人ら4選手が海外勢を迎え撃った。
原口は4月までK-1スーパー・ライト級王者だった山崎秀晃をTHE MATCHで2R KOし、海人はK-1ウェルター級王者の野杁正明と延長に及ぶ接戦を繰り広げ判定勝ち。メインイベントでは那須川天心がK-1スーパー・フェザー級王者の武尊からダウンを奪い判定勝ちした。大会ラスト3試合でK-1勢が敗れたことで、K-1対RISEは6勝5敗でRISEの勝ち越し、K-1対非K-1は9勝7敗で非K-1勢の勝ち越しに終わった。
日本国内での下剋上を果たし、天心が去ったRISE勢が次に立ち向かうのは世界だ。最近では昨年11月のRISE大阪大会でGLORYフェザー級王者のペットパノムルンが原口に判定勝ちし、3月のGLORYベルギー大会ではGLORY女子スーパーバンタム級王者・ティファニー・ヴァン・スーストがRISE QUEENフライ級王者・小林愛三に5R TKO勝ち。RISEの主力・原口と小林はGLORY王者に圧倒されており、RISEは対K-1での勝利に浮かれていられない状況にあった。4月の代々木大会でも海外勢との対抗戦が計画されていたが、コロナ禍の影響で実現せず、8月の大阪では満を持して、対世界のカードが実現する。なお、GLORY 8月20日(現地時間)ドイツ大会には直樹も参戦した(直樹は地元ドイツのデニス・ウォーシックに判定負け)。10月15日のRISE大田区総合体育館大会も対世界のカードを予定し、WORLD SERIESが本来の姿を取り戻しつつある。
ペットパノムルン、原口健飛に6R判定勝ちし返り討ち
第17試合 メインイベント RISE世界スーパーライト級(65kg)初代王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
○ペットパノムルン・ギャットムーカオ(タイ/ギャットムーカオジム/GLORYフェザー級(65kg)王者)
×原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE -63kgトーナメント2020優勝、元RISEライト級(63kg)王者)
6R 判定3-0 (宮本10-9/長瀬10-9/和田10-9)
5R 判定1-1 (宮本49-50/長瀬49-48/和田49-49)
※ペットパノムルンが王者に
両者は昨年11月のRISE大阪大会で初対戦し、実績で勝るペットパノムルンがムエタイ仕込みのミドル、膝で原口を苦しめ判定勝ちした。再戦はRISE世界スーパーライト級(65kg)王座を懸けての戦いに。RISEコミッション認定の世界タイトル戦は、那須川天心とロッタン・ジットムアンノンによって争われた18年6月のフェザー級(57.15kg)王座決定戦以来2度目で、今回も日本人とタイ人の争いとなった。
1R、ペットパノムルンはサウスポーで構え、じわじわとプレッシャーをかける。原口は前回のようにサウスポーではなくオーソドックスで構えて距離を取る。中盤からペットパノムルンは少しずつ左ミドルを当てるようになるが、5R制のムエタイ流儀で、まだ積極的には攻めない。記者採点はイーブン。
2R、ペットパノムルンは左ミドルを当てつつ、組んでは潰して倒したり、右膝蹴りを当てるように。左ミドルも力強さが増し、ギアを少しずつ上げているのがわかる。左ミドルはボディと腕に打ち分け、最後は左フックを振りながら組み付いて倒す。原口は攻撃をほとんど当てさせてもらえない。記者採点はペットパノムルンだが、イーブンの可能性は無いとはいえない。
3R、原口は序盤に右ミドルを当てるが、その後はペットパノムルンが左ミドルを当て続け、組めば左膝を単発で度々当てる。初対戦と同じ、ペットパノムルンの左ミドル、クリンチ、膝、ブレイクのループから原口は抜け出せない。記者採点はペットパノムルン。さすがにジャッジも全員ペットパノムルンにつけると思ったが、1者がイーブンとしたようだ。ペットパノムルンが投げの繰り返しで小川実レフェリーから注意を受け続け、累積でイエローカードをもらっており、このことが印象を悪くした可能性はある。
4R、これまでよりも原口は前に出て来るようにはなるが、ペットパノムルンは変わらず前に出続け、左ミドル、組んでの膝で主導権を維持する。終了間際、ペットパノムルンの組み際に、原口が右の飛び膝蹴りを顔にヒットし、ペットパノムルンは笑顔を浮かべ、一転あわやという場面となるが、すぐにラウンドが終わる。記者採点は最後の一撃を評価して原口だが、それまで劣勢だったため、イーブンでも不思議ではない。
5R、組んできたペットパノムルンを原口が突き放し、コーナーに詰めパンチを振り回すが、ペットパノムルンはかわす。その後はペットパノムルンが圧をかけ続け、原口は攻撃を返せない。終盤、ペットパノムルンはあえて前に出ず、ムエタイでよくある“流し”モードに入り、最後は左ミドルを当てて原口をスリップさせて終える。記者採点はイーブン。合計49-48でペットパノムルン。ジャッジは三者三様となり、天心×ロッタン同様に延長へ。
延長R、原口は左右のフックを序盤から当てて先手を取る。だが中盤からペットパノムルンは左ミドルを連打し、組めば膝も当て挽回する。終盤には左ハイもヒット。ペットパノムルンは左ミドルを当て続け、原口のパンチをかわし、反撃を封じる。最後は原口が左ストレート一発を当てて終える。記者採点はペットパノムルン。RISEの延長Rはマスト判定ではないが、ジャッジもようやく順当に3者ともペットパノムルンを支持し、ペットパノムルンが判定勝ちした。このラウンドの内容でペットパノムルンにつけるなら、2Rと3Rもペットパノムルンについても良かったように思えた。
原口を返り討ちにしRISEのベルトを巻いたペットパノムルンは「コンニチワ」と日本語で話した後、タイ語で「応援ありがとうございます。とてもうれしいです。RISEにまた出場できてうれしいです。次はもっといい試合をします」と謙虚にコメントした。
敗れた原口はバックステージでのインタビューで裁定について「全く納得行っていない。審議してもらう。ルール説明でかけ逃げ禁止と聞いていたのにペッチに組まれて倒された。本戦で俺がパンチと膝を効かせていた。ペッチのミドルは全然痛くなかったから腕で受けたのに、それがポイントになるのなら勝てない。僕が勝ったかドローかと思った。首を絞められたとレフェリーに言ったのに無視された。梅野源治みたいって言われるけれど僕が完全に勝っていた」等と不満を述べた。
だがそれから数時間後、一転して原口はTwitterに「アドレナリンも出て、納得してない部分もあったので各メディアにあのような事を言ってしまいました。すみません。結果が全てだと思います。自分が強ければ良かった話です。少し考えてまた頑張ります」と反省の弁を記している。
海人、サモ・ペティの反撃に苦しむも延長判定勝ち
第16試合 セミファイナル ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○海人(TEAM F.O.D/RISEミドル級(70kg)1位、KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)王者、シュートボクシング日本スーパーウェルター級(70kg)1位、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者、S-cup 2018 65kgトーナメント優勝)
×サモ・ペティ(スロベニア/シムソンジム/FFC 70kg級&77kg級王者)
4R 判定3-0 (板坂10-9/和田10-9/小川10-9)
3R 判定1-0 (板坂30-29/和田29-29/小川29-29)
海人は20年にSBでピンペットに敗れたが、以降は緑川創、日菜太、モハン・ドラゴン、ベイノア、野杁ら相手に12連勝中。日本人立ち技中量級最強を示し、本格的に対世界の戦いに打って出る。ペティは14~15年に日菜太・城戸康裕ら当時のトップ勢に勝った実績がある、戦績45戦35勝8敗2分の30歳。
1R、海人は圧力をかけ、スピードのある右ロー、左ボディを的確にヒット。中盤に左の三日月蹴りを当てると、ペティは顔をしかめ、クリンチで難を逃れる。終盤も海人は圧をかけ続け主導権を維持する。記者採点は海人。
2R、序盤こそペティが左ハイを当てるが、海人が右のカーフキックを一発当てると、ペティはバランスを崩す。ペティがパンチを振ればかわし、自分の右フックをヒットする。だがペティもしぶとく前に出続け、時折左ボディ、右フックを返し、終盤は手数を上げて海人に攻めさせないようになる。海人は鼻血を出すように。記者採点はイーブン。
すると3R、ペティは序盤から前に詰め、左フックを当てて海人をのけぞらせて先手を取る。海人は防戦が続いたが、中盤、海人も左ボディ、左ストレートを返し挽回する。終盤、海人は左ミドルを当てるが、ペティも前に出て終える。記者採点は僅差だがペティ。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者が海人を支持したが、2者はイーブンとし延長へ。海人は野杁戦に続き延長戦となる。
延長R、海人は序盤から右のインローを連打。ペティはバランスが悪くなり、左ミドルを放った際にフラついたり、クリンチの後に倒れこむように。中盤、ペティも前に出てパンチを振うが、海人は時折被弾しつつも多くはかわす。終盤、海人は右ボディを効かせ、パンチが交錯した後にペティが組もうとすれば海人は潰す。だがペティも右フックをヒット。海人も疲れており防御が荒くなるが、最後はストレートを連打しペティを下がらせる場面を作ってから終える。記者採点は海人。ペティはバランスを崩す場面が多かったことが悪印象だった。ジャッジ3者も海人を支持し、海人の判定勝ちとなった。
タフなペティとの打合いを制した海人は「今日の試合で偉そうなことを言えないです。今、凄く反省しています。でも自分が目指すものは何一つ変わらないです。シュートボクシングを最強にして、RISEも最強ににして、日本の格闘家が世界一やと言ってもらえるように、この階級は自分が世界を取りに行きます。これからの僕にもっともっと期待してください」とアピールした。
チャド・コリンズ、中野椋太を1Rで粉砕
第15試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×中野椋太(誠至会/RISEウェルター級(67.5kg)王者、S1世界&WBCムエタイ日本統一同級王者、元NJKF同級王者)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/WMCインターナショナル・WKA豪州・WBCムエタイクイーンズランド州・スーパーライト級王者)
1R 2’43” KO (左ストレート)
中野は5月の後楽園大会でのRISEウェルター級王座決定戦で稲井良弥を2R KOし6連勝中。コリンズはタイでセクサン、パコーン、サックモンコンといったスター選手を下し、日本でも海人・不可思に完勝しており、近年も年数試合をコンスタントにこなしている。戦績68戦50勝16敗2分の27歳。
1R、中野が右ローを出すが、コリンズは足を上げてカットし、右ローをお返しする。コリンズは数発ロー当てただけだが早くも効き目を発揮。すると足が止まった中野に対し、コリンズは圧をかけロープに詰め、左ボディ、右アッパー、右ストレート等を立て続けにヒット。中野が下がると、追いかけて左右のストレートを連打し、最後は左ストレートでダウンを奪う。中野はなんとか立ち上がったがダメージが大きく、レフェリーがストップした。コリンズは「日本が好きです。また日本に来ます」とアピールした。
山田洸誓、オランダ人のヤン・カッファを3R KO
第14試合 スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○山田洸誓[こうせい](正道会館KCIEL/RISEスーパーライト級(65kg)王者)
×ヤン・カッファ[Jan Kaffa](オランダ/ARJトレーニンゲン)
3R 1’23” KO (右フック)
山田はTHE MATCHで1階級上の安保瑠輝也に判定負けして以来の試合。それ以前は実方拓海、北野克樹、直樹に3連勝していた。カッファは20戦18勝2敗(7KO)の25歳で初来日。コロナ禍突入の影響で中止となった20年のRISEの世界トーナメントでは、直樹と一回戦で戦う予定だった。
1R、序盤から山田が左の三日月蹴りを腹に当てると、カッファはローブローをアピールし、和田良覚レフェリーはカッファを休ませる。再開後、カッファの右のローがローブローとなり、これは完全に命中しており、試合が中断する。再開後、山田は左ミドル、右ストレートを的確に当て、カッファはクリンチで防御する。山田は左ミドルを的確に当ててカッファを削る。記者採点は山田。
2R、山田は右ローを当てつつ、右膝をカッファの太ももに当てるローも絡め、引き出しの多さを印象付ける。山田は右フック、左フック、左テンカオを連続でヒット。カッファはクリンチを繰り返すだけで攻撃が返せない。
3Rも山田の攻撃、カッファのクリンチの繰り返し。山田は手を焼いたが、中盤、カッファの前のめりの右フックのカウンターで、山田が右フックをクリーンヒット。ダウンしたカッファは立ち上がれず、山田のKO勝ちとなった。
THE MATCHから凱旋の鈴木真彦、SB王者・植山征紀にダウン奪われ延長の末に辛勝
第13試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級(55kg)王者、元WBCムエタイ日本&ホーストカップ日本同級王者)
×植山征紀(龍生塾ファントム道場/シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)王者)
4R 判定3-0 (篠原10-9/和田10-9/長瀬10-9)
3R 判定0-0 (篠原28-28/和田28-28/長瀬28-28)
鈴木はTHE MATCHでK-1王者の金子晃大に判定勝ちしRISEおよび地元大阪に凱旋する。昨年9月のRISE大阪大会で那須川天心に敗れて以降は4連勝中だ。植山は20年11月のRISE大阪大会での-55kgトーナメント準決勝で志朗に判定負け(鈴木は決勝で志朗に敗れた)。植山は昨年11月に続きRISE大阪大会連続出場で、前回は京谷祐希に3R負傷判定負けを喫している。その後はSBで竹野元稀、佐藤執斗相手に2連勝中だ。
1R、植山は序盤から右のカーフキックを当てると、鈴木は少しバランスを崩す。パンチの打ち合いで、植山の右ジャブが当たる。すぐさま鈴木は右フックを放つが、その際に前のめりでスリップし、レフェリーはダウンを宣告する。鈴木はダメージはあまり無い様子で、挽回しようと前に出て左フック、右ボディ等をお返しする。終盤、鈴木は右ストレートを当てるが、植山も左フックをすぐに返す。鈴木はパンチが大振りで、防御が荒くなってしまう。記者採点は9-10で植山。鈴木の巻き返し分で1ポイント戻した。
2Rも鈴木がパンチを当てるが、すぐに植山が返す展開が繰り返される。その中で鈴木は右のカーフとインローを返し、植山もバランスが悪くなる。手数では鈴木が巻き返す。記者採点はイーブンだが鈴木につく可能性もある。
3R開始すぐ、バッティングによる植山の頭部のカットでドクターチェックが入るが、すぐに再開する。鈴木は右ストレート、左フックを度々当て攻勢。左ボディ、右カーフも絡めて削る。中盤、鈴木はパンチのヒットを増やし倒しにかかる。植山も打合いで当て返すが、鈴木はパンチを出し続け、手数では上回って終える。記者採点は鈴木だが、イーブンの可能性もある。合計29-29でイーブン。ジャッジは3者とも28-28で延長へ。
延長R、パンチの打ち合いが続き、お互い一進一退の展開に。終盤になっても同様で、どちらも一歩も引かない打合いを繰り広げる。記者採点はイーブン。RISEの延長Rはマスト判定ではないものの、どちらかにポイントを振る傾向が強いせいか、ジャッジ3者とも手数でやや上回った鈴木を支持し、鈴木の判定勝ちとなった。とはいえ植山も光る一戦で、いずれ再戦は必要だろう。
鈴木は「植山選手、さすがシュートボクシングのチャンピオンやなと思いました。滅茶苦茶気持ちが入ってて、拍手をお願いします。今、RISEを引っ張っていく椅子が空いていると思うんですけど、それはメインイベントで健飛に世界王者を取ってもらって、僕も負けないようにRISE引っ張っていくんで、これから応援お願いします。私事ですけど、11月に息子が生まれるんですよ。これからも強いパパでいられるよう、皆さんの期待と子供を背負って前に向いていきます」とアピールした。
大﨑一貴KO勝ち。10.15 大田大会で風音との防衛戦が内定
第12試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
○大﨑一貴(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)王者、元WMC日本&ルンピニー日本フライ級王者)
×サンチャイ・TEPPEN GYM(タイ/TEPPEN GYM/元ラジャダムナン認定ミニフライ級王者)
3R 1’45” KO (パンチ連打)
大﨑兄弟の兄・一貴は3月の後楽園大会で田渕神太に判定勝ちして以来の試合。20年2月からRISEに上がり7戦全勝の快進撃を続けている。田渕戦直後には6月のTHE MATCHでの吉成名高戦を希望していた。
サンチャイはTEPPEN GYMのトレーナーで34歳。昨年、4月にBOMで石井一成にKO負けしたが、9月にKNOCK OUTで白幡裕星に判定勝ちし、11月のSBでは佐藤執斗に判定勝ちしている。20年12月のムエタイ大会・BOMでは一貴の弟・孔稀に判定2-1で敗れている。
1R、一貴がサンチャイにプレッシャーをかけるが、サンチャイも右ローを当て、時折飛び膝で前に出る。中盤、一貴は左ボディを当ててから右ストレートをヒット。終盤にはサンチャイをロープに詰め、左ボディを当ててから右のバックスピンも当て、最後に左ボディを連打してからのパンチラッシュでダウンを奪う。
2R、一貴は右のカーフを効かせ圧をかけるが、途中からサンチャイも前に出て、右膝、ミドル、ハイをお返し。それでも終盤に一貴は左フック、左ボディを効かせ追い詰める。このラウンドも一貴が取ったか。
3R、サンチャイは前に出る一貴に右ミドルを強打し続ける。一貴は左脇腹が真っ赤に腫れる。だが一貴は中盤、左ロー、ボディを効かせ、組まないで右膝をボディに当てると、すぐさま組んで右膝をさらに一発当て、離して右と左のフックを連打しダウンを奪う。頭から足まで滅多打ちにされたサンチャイはダメージが大きく、小川レフェリーがストップした。
なお、この試合前、RISE WORLD SERIES 10月15日 大田区総合体育館大会への、RISEスーパーフライ級1位・風音の出場が発表された。リング上で風音は「今からうちのトレーナーのポンさん(=サンチャイ)と試合するチャンピオンの防衛戦、やってやるんで。僕、今めちゃめちゃ強いんで。楽しみに待っててください」と話し、一貴×サンチャイを中継席から見守っていた。
その目の前でサンチャイをKOした一貴は「1Rから倒すと決めていたんですけど、ダウンを取ってから力が入っちゃって、サンチャイ選手が打たれ強くて、3Rまでかかったんですが、なんとかKOで勝てました。53kg、僕がチャンピオンなんで、僕が一番と見せたいんで、10月、風音選手、タイトルマッチやりましょう」と、風音との王座戦を受諾した。
風音もリングインすると「THE MATCHの時に選ばれなくてブツブツブツブツ言ってはりましたけど、念願の防衛戦、絶対にやります。さっきも言ったんですけど、俺、今、マジめっちゃ強いんで楽しみにしてください」と話し、一貴も「前回初めてやった時みたいに僕が倒して防衛するんで、覚悟してください」と言い返した。両者は20年2月に対戦し、一貴が2Rに右フックで2ダウンを奪い判定勝ちしている。
最後は運営スタッフが両選手を並べてツーショット撮影タイムを設けており、アナウンスこそ無かったが両者のタイトルマッチが決定と見てよさそうだ。すると風音同じく中継席にいた2位の政所仁もリングに上がり、「この2人に絶対絡みたいんで、次、決まったかもしれないですけど、この2人倒すんで、覚悟しとけよ」と、次期挑戦者に名乗りをあげた。
一貴×風音について、RISEの伊藤隆代表は大会後の総括で「これからジムと調整します。やる方向で進めたいです」とコメントしている。
タップロン、初のOFGマッチで山口裕人とのダウンの応酬制す
第11試合 オープンフィンガーグローブマッチ 66kg契約 3分3R
×山口裕人(道化倶楽部/WPMF世界スーパーライト級暫定王者、元WBCムエタイ日本&INNOVATION同級王者、元DEEP☆KICK -63kg&-65kg王者)
○タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/RISEスーパーライト級(65kg)5位、元WMC世界フェザー級王者)
3R 2’50” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
YA-MANのブレイクで浸透したRISE OFGマッチの常連、山口裕人・侑馬兄弟は2月のRISE FIGHT CLUBに続くOFGマッチでの揃い踏み。兄・裕人は稲石竜弥と東修平に連勝中で、OFGマッチは4戦目だ。
39歳のベテラン・タップロンは、昨年7月の大和ジム50周年記念大会で、現K-1王者の大和哲也に1R TKO勝ちしたが、以降は原口と鈴木千裕に連敗している。RISE OFGマッチではキャラクターや打合いが重視されがちだが、ONEのOFGムエタイでのタイ人は距離を取っての蹴りも駆使しており、タイ人のタップロンがどのような新風を吹き込むか。
1R、タップロンは左フックから右ミドルといったコンビネーションを駆使しつつ、裕人が前に出れば、下がりつつも右フックを当てダウンを奪う。それでも裕人は前に出るが、タップロンは距離を取りつつパンチと膝を的確にヒットしダメージを与える。
2R、タップロンが左ミドルを当てると、裕人も左ミドルをお返し。すると一旦下がったタップロンが右フックで前に出るが、裕人が右フックを合わせてダウンを奪い返す。裕人は変わらず前に出てパンチを当てるが、タップロンは単発の膝を返し、裕人を削る。
イーブンで迎えた3R、裕人が前に出るが、タップロンは防御を続け、中盤には前に出てパンチを連打し、右フックでダウンを奪う。タップロンが左フックを効かせても、裕人は笑顔で前に出るが、最後はタップロンが左右のストレートを連打し裕人を棒立ちにさせたところで、レフェリーがストップした。
第10試合 オープンフィンガーグローブマッチ 63kg契約 3分3R
○山口侑馬(道化倶楽部/元INNOVATIONライト級王者、元DEEP☆KICK -60kg王者)
×伊藤澄哉(戦ジム/RISEスーパーライト級(65kg)6位)
3R 1’40” 負傷判定2-0 (小川29-29/和田29-28/宮本29-28)
侑馬はOFGマッチでYA-MANと木村“ケルベロス”颯太相手に連敗し今回が3度目のOFGマッチ。現在5連敗中だ。伊藤は4月の代々木大会でのOFGマッチでYA-MANにKO負けし、OFGマッチは2度目だ。
1R、伊藤がじわじわプレッシャーをかけ、右のローをヒット。中盤にパンチの打ち合いになると、伊藤が右ストレートを先に当てるが、侑馬が左フックを当て返してダウンを奪う。だが終盤、伊藤が右のカーフキックを当てていると効き目を発揮し、侑馬はバランスを崩しスリップするように。ジャッジは小川氏のみ10-9とつける。
2R、伊藤が圧をかけ、コーナーに詰め右ストレートを当て、左膝も効かせる。だが右拳を痛めたか、右のパンチが減り、終盤には侑馬も左ストレートを返しひるませる。このラウンドは伊藤が取ったか。
3R、伊藤が手数多く攻め逆転を狙う。だが終盤、伊藤が前に出した左手の指先が侑馬の右目に入り、試合が中断し、ドクターストップがかかった。偶発的な反則とみなされ、ここまでの内容で判定が行われる。ジャッジは3人ともラウンドをイーブンとした模様。合計点でジャッジ2者が侑馬を支持し、侑馬の判定勝ちとなったが、最後まで戦いきれなかった侑馬は悔しそうな様子だった。
第9試合 オープンフィンガーグローブマッチ 70kg契約 3分3R
△蛇鬼将矢[じゃき・まさや](テツジム/NKBウェルター級王者)
△萩本将次(FUTAMI FIGHT CLUB/RKSミドル級王者)
判定1-1 (秋谷28-29/小川29-29/宮本29-28)
蛇鬼は昨年11月のRISE大阪大会で中野椋太に2R KO負け。今年3月のRIZIN大阪大会ではこうたに1R KO勝ちした。萩本はRISE初参戦で、地元大阪の大会を主戦場にしてきた。
1R、蛇鬼は開始すぐからパンチを連打し先手を取る。終盤、萩本が右ストレートを当てると、蛇鬼はマウスピースを少し遅れてから吐き出し、レフェリーにストップを求めるが、試合は続行する。
2R、蛇鬼が右のカーフキックを絡めるように。萩本も右ハイを返し、終盤はパンチの打合いに戻る。
3Rも激しくパンチで打ち合うが、お互い疲れの色が濃くなり、一発一発に力が入りきらない。手数では萩本が巻き返す。採点は三者三様で、延長は無いためドローとなった。
大森隆之介、京谷祐希をKOし鈴木真彦に対戦要求
第8試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○大森隆之介(EX ARES/RISE 4位)
×京谷祐希(山口道場/RISE 6位)
2R 1’39” KO (右膝蹴り)
大森は7戦6勝(4KO)1敗の22歳。4月に良星に勝利して以来の試合。京谷は過去に皇治、武尊、玖村修平に勝ったことがあり、3年のブランクを経て19年に復帰後はコンスタントに試合をこなし、2月の後楽園大会では拓也に2R KO勝ちした。
1R、京谷がサウスポーで構え、時折左フックを強振し、左ミドル、インローを当てる。大森は右まぶたをカットする。大森は圧力をかけ続けるが攻めにくそう。しかし終了間際に右フック、右ハイを当て挽回する。
2Rも大森が圧力をかけ続けると、中盤に京谷が右フックを振ったタイミングで右テンカオをみぞおちにクリーンヒット。ダウンした京谷はうずくまったまま立ち上がれず、大森のKO勝ちとなった。
勝った大森は「鈴木選手、やらせてください。今まで自分の実力を疑って、小手先だけでやってきましたけど、やっと届くんちゃうかなと思っています」とアピールし、京谷の後輩であるRISEバンタム級王者・鈴木真彦への挑戦を熱望した。
ミドル級戦線は憂也とT-98がKO勝ち。ベイノアとの三角関係の行方は?
第7試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○憂也(魁塾/RISE 3位、元DEEP☆KICK -65kg王者)
×匡志[まさし]YAMATO(大和ジム/WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者、元NJKF同級王者)
1R 1’54” KO (3ダウン:左フック)
憂也は昨年2月のRISEでベイノアに延長判定負けしたが、その後はねぎ魔神、洋輔YAMATO、J相手に3連勝中。匡志はRISE初参戦。これまで小原俊之、津崎善郎らに勝っているが、最近ではチューチャイ、リカルド・ブラボに連敗している。
1R、憂也が序盤から右カーフ、左フックを当ててひるませ先手を取る。だが匡志が右ストレートを当てると、憂也の腰が落ちる。しかし憂也は持ち直すと、ノーモーションの左フックでダウンを奪う。憂也は続けて右フックでダウンを奪うと、最後は匡志の左フックに左フックのカウンターを合わせ3ダウン目を奪いkO勝ちした。
憂也は「1個前の試合でT-98選手が何かほざいていたと思うんですけど、ベイノア選手の前に僕がいてると思うんで、僕とやりましょう。僕も今回で3連続KO勝ちで、他団体のチャンピオンを3人倒しているんで、僕が欲しいのはRISEのベルトだけです」とアピールした。
第6試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
×RYOTARO(大原道場/RISE 4位、ACCELミドル級王者)
○T-98[たくや](フリー/元ラジャダムナン・WBCムエタイ日本・INNOVATION・REBELS-MUAYTHAIスーパーウェルター級王者、元WPMF世界・ルンピニー日本ミドル級王者、元WBCムエタイ日本・WPMF日本・INNOVATIONウェルター級王者)
4R 0’09” KO (パンチ連打)
3R 判定0-0 (27-27/27-27/27-27)
RYOTAROは京都出身。昨年12月にRISEに初参戦し、緑川創からダウンを奪い判定勝ちし番狂わせを起こし、その後も小原俊之、ホドリゴ・ナカヤに連勝している。
T-98は現在37歳で13年ぶりのRISE参戦。16年にムエタイのラジャダムナン王者となりタイでも防衛した。20年12月のREBELSで松倉信太郎に敗れた後、昨年春にクロスポイントを離脱。今年5月のNO KICK NO LIFEでの復帰戦では緑川に5R判定負けしたが、RISEミドル級王座奪取を新たな目標に掲げモチベーションは高い。
1R、RYOTAROは圧をかけ、時折スイッチし変則的な動きからパンチを出す。決定打はなかなか出せなかったが、終盤、T-98が前に出てきたところで右ストレートを当ててダウンを奪う。RYOTAROはパンチ連打で2ダウン目を奪う。最後はRYOTAROがコーナーに詰めてパンチを連打し、T-98はブロックして耐え続ける。
2R、T-98はRYOTAROの序盤のラッシュをしのぐと、右ロー、組んでの左膝を当てつつ、右ストレートでひるませ挽回する。T-98は左ボディも絡めて削り、左フックにもつなげ、ベテランならではの引き出しの多さで流れを引き寄せる。終盤には右ストレートを度々当て、ダウン寸前まで追い詰める。
3R、T-98は圧をかけ、左ボディ、右ローで削り、詰めて右フックをヒット。終盤には左フックを立て続けに当ててひるませ、残り10秒に左フックでダウンを奪い、ポイントをイーブンにする。
すると延長R、開始すぐにT-98がパンチ連打でダウンを奪うと、RYOTAROのダメージが大きく、すぐさま秋谷レフェリーがストップした。
逆転KO勝ちのT-98は「RISEファンの皆さんお久しぶりです。ムエタイゴリラ・T-98です。RISEのチャンピオンなるために来ました。次は解説席に座っているベイノアあたりどうですか。押忍」と、ベイノアの決めセリフの「押忍」も引用してアピールした。
第5試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
○数島大陸[りく](及川道場)
×タネ♡ヨシキ(直心会/DEEP☆KICK −53kg 5位)
1R 1’17” KO (左フック)
数島は4月に開幕したRISE初代フライ級王座決定トーナメントの準決勝で塚本望夢とのダウンの応酬を制し判定勝ち。反対ブロックで延期の続く田丸辰×空龍の勝者を待つ状況だ。タネは地元大阪のDEEP☆KICKを主戦場とし、6月12日の大会ではKING剛の三日月蹴りをもらいTKO負けしている。
1R、数島がサウスポーで圧をかけ、左ミドル、インローを放ち、距離が詰まれば左ボディストレートもヒット。コーナーに詰め、タネのガードの後ろのこめかみのあたりに左フックを当ててダウンを奪う。タネはそのまま立ち上がれず、数島のKO勝ちとなった。
圧勝の数島は「フライ級のチャンピオンになるの俺しかないです。どっちが来ても構わないんで応援お願いします」とアピールし、最後は恒例の「キックボクサーは泣かないぜ」のコール&レスポンスを観客と共に繰り広げた。
第4試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○山畑雄摩(心将塾/RISE 6位、DEEP☆KICK -63kg王者)
×元氣[もとき](楠誠会館/元国際チャクリキ西日本ライト級王者、元RKSライト級王者)
判定3-0 (30-29/30-28/30-28)
山畑は昨年11月のRISE大阪大会では麻原将平に判定勝ち。今年3月のRIZIN大阪大会では小川翔に1R KO負けした。元氣も3月のRIZIN大阪で笠原友希に1R KO負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、山畑が圧をかける時間が長く、お互いローを当てるが、まだはっきりした攻撃が乏しい。2Rも山畑が前に出る時間が長い。やや山畑のストレートのヒットが目立つように。3R、元氣も前に出るが、圧をかけ続けるのは山畑で、山畑が接近戦で度々パンチを当て続けて優位を維持し判定勝ちした。
第3試合 90kg契約 3分3R
○カルロス・ブティオ[Carlos Budiao](ブラジル/ブラジリアン・タイ/FIGHT DRAGONヘビー級王者、KTK WORLDヘビー級王者)
×安ジェス[Ahnjess](フィリピン/LION GYM)
2R 1’59” KO (右三日月蹴り)
両者RISE初登場。ブティオはホーストカップで谷川聖哉に2度勝利している選手。安ジェスはラウェイをベースにしつつOFG着用・5分2R・判定ありとなるアンビータブルルールの試合で2試合判定勝ちしている選手。
1R、サウスポーの安ジェスに、ブディオが右ミドルを連打し、首相撲からの左膝も当て先手を取る、中盤には右インローを効かせ、終盤には右インローで2度ダウンを奪う。だが安ジェスも左ミドルをもらってスリップすると、和田レフェリーはダウンを宣告する。
2R、安ジェスもパンチを振うが、ブティオはかわすと、中盤に右のミドルの三日月蹴りに近い形でみぞおち付近にヒットし、安ジェスをダウンさせる。安ジェスは立とうするがうずくまったままで、ブディオのKO勝ちとなった。
第2試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)
×翔磨(多田ジム/DEEP☆KICK -55kg王者)
判定3-0 (29-28/30-28/30-28)
加藤は最近では翼、宮元啓介、壱・センチャイジムに勝利し、5月のNO KICK NO LIFEでは大﨑孔稀にTKO負けしたが、好勝負を繰り広げ、念願のRISE初参戦につなげた。翔磨は3月にDEEP☆KICK王者となったばかりの21歳。
1R、サウスポーの翔磨に加藤がプレッシャーをかけ続け、右インローを時折ヒット。翔磨も左ストレートを時折返す。まだお互い有効打は乏しい。
2R、加藤は変わらず前に出て、パンチを振う頻度を上げる。終盤にはコーナーに詰めて左右のボディフック、顔面へのフックを度々当て、はっきりした差を印象付ける。翔磨は苦しそうだ。
3Rも加藤がパンチを的確に当て続け優勢。翔磨も前に出るが攻撃を返せない。終盤、加藤がコーナーに翔磨を下がらせ、パンチや膝を度々当て終了。点差を広げ判定勝ちした。加藤は勝ったものの倒せなかったせいもあってか笑顔は無かった。
第1試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
○塚本望夢[もうむ](team Bonds/DEEP☆KICK -51kg王者)
×KING TSUBASA(ROYAL KINGS/DEEP☆KICK −51kg 2位)
判定3-0 (30-28/30-27/30-27)
第1試合は兵庫勢同士の対戦。7戦6勝1敗の高校2年生・塚本がセンスの差を見せつける。1R、塚本は回って距離を取りつつ、左ミドル、前蹴り、右ハイを当て、終盤には右ストレートも的確に当てる。2Rも同様に的確にパンチと蹴りを当て続ける。TSUBASAは前に出続けて、攻撃をもらってもひるみこそしないが、自分の攻撃を返せない。3Rも塚本が回りながらパンチを的確に当て続け、終盤には連打でひるませる場面も作り、点差を広げ判定勝ちした。