GLORY 3.19 ベルギー(レポ):小林愛三、王者スーストに4度ダウン奪われ5R TKO負け「RISE QUEENとして強くなって帰ってきます」
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GLORY 80: WRZOSEK VS. HARI 2
2022年3月19日(土/現地時間)ベルギー・ハッセルト:Trixxoアリーナ
レポート:井原芳徳
GLORY女子スーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ
○ティファニー・ヴァン・スースト[Tiffany Van Soest](米国/王者)
×小林愛三[まなぞう](NEXT LEVEL渋谷/挑戦者RISE QUEENフライ級(52kg)王者)
5R 2’56” TKO (左バックスピンキック)
※スーストが防衛
GLORYは米国が拠点のキックボクシング大会。昨年11月のRISE大阪大会ではGLORYフェザー級王者のペットパノムルンがRISEの主力・原口健飛に判定勝ちしている。1月5日にRISEはGLORYとの提携を発表。GLORYも公式サイトで、RISEとオランダのEnfusionとも提携して「GLORY Rivals」という新シリーズを始めることを発表しており、小林の今回の遠征もその一環だ。
小林は26歳。15年にプロデビュー。KNOCK OUTでは伊藤紗弥、イリアーナ・ヴァレンティーノに勝利。19年にはWPMF世界女子フライ級王座を獲得。20年からRISEを主戦場とし、12月にRISE QUEENフライ級暫定王者となり、昨年4月に田渕涼香に判定勝ちし正規王者に。9月のRISE QUEENミニフライ級(49kg)王者・寺山日葵との王者対決では接戦の末、判定2-0で惜敗。その試合の49.5kg契約が「ベスト体重に近い」と試合発表時に話していたため、55kgのスーパーバンタム級での戦いは過酷となりそうだ。
王者・スーストは32歳。身長は163cmで小林よりも5cm高い。戦績27戦22勝(6KO)4敗1分、うちGLORYでは10戦8勝(1KO)2敗。16年からGLORYに上がり、2戦目でGLORY女子スーパーバンタム級初代王者に。その後ベルトを失い、19年3月、過去1度敗れているアニッサ・メクセンに判定2-1で惜敗するが、19年11月の3度目の対戦では判定勝ちし、メクセンからベルトを奪取。昨年1月の初防衛戦では判定勝ちし、小林戦が2度目の防衛戦だ。
なお、GLORYのルールはRISE同様肘無し。つかんでからの攻撃は連続で認められるが、ブレイクは早い。ジャッジは5人でマストシステムで採点する。
小林のセコンドの紅絹は小林のコール時、RISEのベルトを高く掲げアピールする。1R、小林は圧力をかけ、スーストは回って距離を取る構図からスタート。スーストは時折スイッチしつつ、小林のパンチをかわし、左右のミドル、前蹴り、右ローを着実に叩き込む。スーストの得意のスタイルだ。小林も右フック、右のカーフを時折当てるが、当たりは総じて浅い。記者採点もジャッジ5者もスースト。
2R、開始早々からスーストは左ハイを浅くではあるがヒット。その後も左ジャブ、左ボディ、右ローを立て続けに当てる。膝蹴りの空振りのあとの左フックや、コンビネーションも巧い。小林もワンツーからの右ローにつなげる場面もあるが、その先につながらず、最後はスーストに組んでの膝、左ミドルをまとめられてしまう。記者採点はスースト。1Rよりも差が明確に。記者採点もジャッジ5者もスースト。両者並んで少しだけ小林が小さく、言われなければ本来の階級の違いがわからない程度の体格差だが、体格差以前にスキル差が大幅にある印象だ。
3R、小林は叫びながら前に出るが、スーストは下がりつつ、組んで膝を当てて勢いを止め、左右のミドル、右フック等を正確に当てる。中盤には顔面へのパンチの連打の後、左のテンカオをボディに突き刺しダウンを奪う。記者採点もジャッジ5者も10-8でスースト。
4R、変わらず小林は前に出るものの、スーストが着実に攻撃を当て続け、首相撲からの膝蹴りで消耗させた後、前に出て来た小林に右のロングフックをクリーンヒットしダウンを奪い、さらに点差を広げる。その後もスーストはパンチ、ミドル、膝を着実に当て続け小林に攻め入る隙を与えない。記者採点もジャッジ5者も10-8でスースト。
5Rもスーストが左ハイ、ミドル、右前蹴り、左ジャブ、右フックを自在に当て続け、ミット打ちのような状態に。終盤、首相撲からの左膝をボディに当てダウンを奪う。スーストは左ハイも当ててひるませ、残り17秒、左のバックスピンキックを小林のボディにクリーンヒットしてダウンを奪う。累計4度目のダウンを喫した小林は立ち上がるが、口が開いて背中を丸めた状態で、ダメージが大きく、レフェリーがストップ。小林の完敗に終わった。
UNDISPUTED! @TiffanyTimeBomb dominates her way to another Super Bantamweight title defense.#GLORY80 | https://t.co/5k5ikTEQoL pic.twitter.com/cLsjkLS34H
— GLORY Kickboxing (@GLORY_WS) March 19, 2022
試合後、スーストはRISEとの提携への感謝の意を表現した、自作の絵画を小林にプレゼントした。小林は「悔しいけれど凄く強いチャンピオンです。でも私はRISE QUEENとして強くなって帰ってきます。それまでチャンピオンでいてください。この絵、凄くカッコいいんで家に飾って毎日見ます。でも悔しいんで、また戦うために強くなります。応援ありがとうございます。GLORY大好きです」と涙声でアピールした。