RISE 7.29 後楽園ホール(レポ):チャンヒョン、ピンチ乗り越え一馬を4R KO。安本晴翔、5年ぶりRISEは1R KOも無効試合に。大﨑孔稀も1R KO、鈴木真彦に宣戦布告
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
RISE 160
2022年7月29日(金)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
チャンヒョン、ダウンのピンチ乗り越え一馬を4R KO
第11試合 メインイベント RISEスーパーフェザー級(60kg)王座統一戦 3分5R(無制限延長R)
○イ・チャンヒョン[チャンヒョン・リー](韓国/RAON GYM/王者)
×一馬(MONSTAR GYM/暫定王者)
4R 2’54” KO (3ダウン:パンチ連打)
※チャンヒョンが王座統一、初防衛
チャンヒョンは17年に野辺広大を破りRISEスーパーフェザー級王座を獲得。19年のRISE WORLD SERIES -61kgトーナメントでは1回戦で裕樹に勝利したが、準決勝で宿敵・梅野源治に敗れた。同年12月にBOMでスアキムとムエタイルールで対戦し、肘をもらってまぶたを負傷しTKO負けして以来、約2年半ぶりに来日する。
対する一馬は昨年10月、暫定王座決定戦で石月祐作に勝利。2月大会ではテーパリットに勝利し、連続KO勝ちを5に伸ばし、今回待望の王座統一戦を迎える。
1R、チャンヒョンが圧力をかけ、パンチ、ローを当てるが、一馬は回りつつ、ボディに左右のフックをヒット。右ミドルも当て、じわじわ攻撃を増やすと、右フックでひるませて下がらせてから、チャンヒョンの左ジャブにかぶせる形で右フックを当てダウンを奪う。その後もパンチで時折ひるませ、優位を維持する。記者採点は8-10で一馬。
2R、チャンヒョンは持ち直し、圧をかけ続け、左ボディ等を強打するが、一馬もパンチを返す。チャンヒョンは執拗に右ローを当てる。一馬はカウンターで右フックを当てるが、チャンヒョンの圧力は落ちない。記者採点はややチャンヒョン優位だがまだイーブン。
3R、接近戦が増え、チャンヒョンは左の奥ローを度々当てる。一馬はひるまず、左ボディ、左フックを返すが、チャンヒョンの勢いを止められない。記者採点はチャンヒョン。
すると4R、チャンヒョンは開始すぐから手数を上げ、パンチ、左奥ローを度々当て、一馬を苦しめる。中盤過ぎ、ついに一馬は耐えられなくなり、チャンヒョンが左奥ローを当ててからのパンチ連打でダウンヲ奪う。その後もローを絡めつつ、ロープに詰めてのパンチ連打で2ダウンを重ね、逆転KO勝ちした。
バックステージでのインタビューでチャンヒョンは「久しぶりの試合で最初は戸惑い、始めてダウンしました。でもいい経験だったので、もっと強い選手になります。一馬選手は私が思ったより徹底して準備していました。1Rだったので、セコンドの指示を聞きながら、持ち直そうとしました。一馬選手は疲れてきましたが、私は疲れていませんでした。今後は誰が相手でもいい姿を見せたいです」とコメントした。
敗れた一馬は第一声で「いやあ、3Rなら勝てました」と話して苦笑しつつ「1Rでダウンを取って勝てると思ったんですけど、チャンヒョンの巧さですね。ガードして倒せなかったです。あの右は狙っていたんですよ。チャンヒョンはジャブを突いたらガードが下がる癖があって、右フックを合わせたのは作戦通りでした。でもパンチをテンプルに効かされてダメでした。足に力が入らなかったですけど、脳のダメージのほうが大きかったです。悔しいけど次に向けて、また正規の王者を奪いに行きたいです」と話した。
小林愛三、GLORYで敗れてからの再起戦は判定勝ち
第10試合 セミファイナル 女子フライ級(52kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/RISE QUEENフライ級王者)
×イ・ドギョン[Lee Dokyeong](韓国/チーム・サイコ・ピットブルス/MKF Queens Cupトーナメント優勝、KTKフェザー級王者)
判定3-0 (小川30-26/北尻30-26/豊永30-26)
小林は20年12月にRISE QUEENフライ級暫定王者となり、昨年4月に田渕涼香に判定勝ちし正規王者に。9月の寺山日葵との王者対決では判定2-0で惜敗。今年3月のGLORYベルギー大会ではGLORY女子スーパーバンタム級王者のティファニー・ヴァン・スーストに挑戦したが、計4度のダウンを奪われ5R KO負けした。
ドギョンは空手をベースとし、18年4月のKNOCK OUTで小林と対戦し、小林が判定勝ちしている。
今回も大方の予想通り小林の圧勝に。1R、小林が圧力をかけ、左ジャブ、前蹴り、ローを何発も当てつつ、左ボディフック、右ボディストレートも絡め、ドギョンを圧倒する。2Rも小林が度々パンチをまとめるなど優位を維持するが、ダウンは奪えない。3R、小林はボディにパンチ、膝をあて続け、終盤、ドギョンが膝をもらって少しうずくまったところで秋谷レフェリーがダウンを宣告する。その後もパンチと膝で圧倒し、大差をつけ判定勝ちした。
小林は「ここから世界まで登っていく愛三を応援してもらえるとうれしいです。RISE女子の強さを証明したいです。説得力のある試合を続けたいです。セコンドについた壽美(ことみ)選手にはK-1で駆け上がって世界に行ってもらって、私がRISEで世界に行って、ゆくゆくはトップで戦いたいです」とアピールした。
安本晴翔、5年ぶりRISEは1R KOするも無効試合に
第9試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R
―安本晴翔(橋本道場/WPMF世界・WBCムエタイ日本フェザー級王者、元KNOCK OUT-REDフェザー級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
―メールダード・サヤディ(イラン/TEAM OTA/ICF)
1R 2’44” ノーコンテスト
安本はジュニア時代から24タイトル奪取など活躍し、プロデビュー後も28戦25勝(14KO)1敗2分の快進撃を続け、昨年は4戦全勝、現在14連勝中だ。最近では5月28日のNO KICK NO LIFEで2階級上のライト級で試合を行い、森井洋介に3R KO勝ちしている。6月19日、那須川天心 vs. 武尊の行われたTHE MATCH 2022 東京ドームのリング上にて、約5年ぶりとなるRISE参戦が発表され、安本本人も挨拶をしたが、天心キック引退後のRISEの主力候補としての期待が透けて見えるタイミングでの発表と起用だった。なお、KNOCK OUT王座については今大会前日に返上されたことがKNOCK OUTから発表されている。
対するサヤディも、アマチュア大会が主体のイランで多くのアマ王座を獲得。20年4月のRISE ASIA SERIES 55kgトーナメント一回戦で志朗と対戦予定だったが、コロナ禍突入でトーナメントが中止となり、約2年を経てようやく来日を果たす。
1R、お互いオーソドックスで構え、安本がスイッチすれば、サヤディもスイッチし、距離を取って探り合いつつ、蹴り主体の攻防が続く。サヤディも右インロー、ミドルを当て、右ストレートで安本がのけぞり、場内がどよめく。だが終盤、安本がサウスポーで構え、オーソドックスのサヤディに左ミドル、ハイを立て続けに強打すると、これで流れをつかむ。安本は右フックをクリーンヒット。ダウンしたサヤディは座り込んで、茫然とした表情のまま立ち上がれず、安本のKO勝ちとなった。
なお、右フックが当たった際、その流れで右肘も当たっていた。大会後の総括でRISEの伊藤隆代表は「審議して判断したいです」とコメントし、興行終了後の審判団の審議の結果、ノーコンテスト(無効試合)に裁定が変更となった。審判団はビデオ検証の結果、前腕部分が当たっていたと判断したが、前腕を当てる攻撃はRISEでは反則となる。
以下はRISEの小川実・競技統括本部長の名義で出された裁定変更に関する声明文。
「なお、当試合結果は、1ラウンド2分44秒安本選手のKO勝ちとなりましたが、興行終了後の審判団のミーティングにおきまして、右拳のパンチでは無く、前腕が当たったのではないかとの意見があり、ビデオ検証いたしました。
ビデオ検証の結果、有効打である右のパンチからの流れで前腕部分が当たってのダウンが確認出来ました。このダウンが、パンチのダメージによるものか、前腕部によるダメージによるものかの否かが判断、認識が難しくまた、故意による悪質性は認められませんでしたので、RISEオフィシャルルール第29条【合議による問題処理】の規定により、安本選手のKO勝ちを取消し、ノーコンテストとします。」
安本はマイクを持つと「はじめまして。RISEフェザー級盛り上がってないと思うんで、僕が盛り上げていくんで、僕を注目してもらえるとうれしいです」とアピールした。バックステージでは「8月にフェザー級のタイトルマッチがあるらしいんで、その勝った選手とやりたいですね。デカい大会で」とコメントした。8月28日の後楽園大会ではフェザー級王者・梅井泰成に、3位の門口佳佑が挑戦する。
第8試合 ヘビー級 3分3R(延長1R)
○カリュ・ギブレイン[Callyu Gibrainn](ブラジル/ブラジリアン・タイ/GLADIATOR MMAヘビー級王者)※カルリ・ギブレインから表記変更
×MAX吉田(BLUE DOG GYM)
判定3-0 (秋谷30-26/長瀬30-26/小川30-26)
ギブレインは4月のRISE代々木大会で極真会館の南原健太を1R KOし、今回RISEに2度目の登場。MAX吉田はRISE初参戦のプロレスラー。1R、ギブレインが圧力をかけ続け、度々右ストレート、左フックをガードの隙間から当てる。だが吉田は耐え、時折前蹴りを当て、猛攻を食い止める。
2R、ギブレインが右のカーフキックを効かせ、カーフを当ててダウンを奪う。その後も圧をかけ続けるが、慎重になりダウンを重ねられない。3Rもギブレインが前に出て時折パンチを当てるが、カウンターを警戒してかなかなか連打をまとめられず終了。ギブレインは期待されたKOはできなかったが大差をつけ判定勝ちした。
大﨑孔稀も1R KO「鈴木真彦選手のベルトを取る」
第7試合 56kg契約 3分3R(延長1R)
○大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEフェザー級(57.5kg)10位、BOMバンタム級王者、元J-NETWORK&WMC日本スーパーフライ級王者)
×Jyosei(誠至会/NJKFスーパーバンタム級2位)
1R 1’35” KO (3ダウン:右ストレート)
大﨑兄弟の弟・孔稀は、3月大会で龍翔に判定勝ちして以来のRISE登場。5月のNO KICK NO LIFEでは加藤有吾と肘有りルールで対戦し、5Rに肘で切り裂きTKO勝ちした。Jyoseiは16年11月に孔稀に1R KO負けし、ここ1年では元山祐希と田渕神太に勝利しているが、6年前との差はより開いていたか、今回も孔稀が圧勝する。
1R、孔稀が開始すぐから圧力をかけ、Jyoseiの右ローをすくってからの右ローでスリップさせる。その後も圧をかけ続け、Jyoseiをロープに詰め、右フックでダウンを奪う。Jyoseiは立ち上がるがフラついており、その後も孔稀が前蹴りや飛び膝を絡めつつ、左フック、右ストレートでダウンを重ねKO勝ちした。
圧勝の孔稀は「この結果は通過点で、当たり前だと思っています。今後、55kgのバンタム級でやるんで、ランカー一人ずつ踏み台にして、絶対王者の鈴木(真彦)選手のベルトを奪い取るんで、過程に注目してほしいです。怪我無いんで、8月21日の大阪大会、出ます。関係者の皆さんお願いします」とアピールした。
第6試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○KENTA(HAYATO GYM/RISE 8位、DEEP☆KICK -63kg王者)
×木村“ケルベロス”颯太(心将塾/RISE 11位、DEEP☆KICK -65kg王者)
判定2-0 (秋谷29-29/長瀬30-29/小川30-29)
KENTAは左ミドル。木村は左右のローで、お互い蹴り主体の攻防が続き、均衡が崩れない。すると3R、木村のローが効き目を発揮し、KENTAの動きが止まると、木村がパンチと膝を連打し攻勢に。だが危機感を持ったKENTAも打ち合いに応じると、膝をボディに効かせてKENTをロープに詰めると、度々右フックを当ててダウン寸前に追い詰め終了。3Rに攻め込んだKENTAが判定勝ち、ランキング上位を維持した。
第5試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×藤井重綺(Team +1/RISE 6位)
○奥平将太(FIGHT CLUB 428/Team Bull/RISE 8位)
4R 判定0-3 (豊永9-10/北尻9-10/和田9-10)
3R 判定0-1 (豊永30-30/北尻28-29/和田29-29)
両者慎重なファイトが続いたが、延長R中盤に奥平が左フックで藤井を少しひるませ、僅差ではあるが印象を残し判定勝ちした。
第4試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
○翼(TARGET/RISE 11位、元ジャパンキック・バンタム級王者)
×溜田蒼馬(CRAZY WOLF)
2R 0’31” KO (パンチ連打)
翼がサウスポー、溜田がオーソドックスで構え、1Rはほぼ差の無い状態だったが、2R開始すぐから翼が左フックを効かせ、コーナーに詰めてのパンチラッシュでダウンを奪うと、溜田は立ち上がれず、翼のKO勝ちとなった。
第3試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
×酒井柚樹(TEAM TEPPEN)
○松本天志(HAWK GYM)
判定0-3 (29-30/28-30/28-30)
サウスポーの18歳・松本が2Rから左の三日月、膝蹴りを効かせ、バックスピンやハイも織り交ぜ、蹴りで圧倒。3Rはやや手数が落ちるも、主導権を維持し判定勝ちした。
第2試合 62.5kg契約 3分3R
×森下祐樹(SUNNY GYM)
○田中佑樹(HAWK GYM/King of Rookie 2021 -63kg級優勝)
1R 1’03” KO (右ストレート)
開始すぐから18歳の田中がパンチラッシュを仕掛け、打ち合いで被弾しても前に出続け、右ストレート一撃でKO。プロデビュー以来の連勝を4に伸ばした。HAWK GYMの18歳・松本と田中がそろって完勝した。
第1試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R
○星 拓海(IDEAL GYM)
×小野祥平(TARGET SHIBUYA/JAPAN CUP 2022 -55kg優勝)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)