KNOCK OUT 4.14 カルッツかわさき:ラジャダムナン王者ヨードレックペット、森井洋介の鼻を左肘で粉砕しTKO勝ち。鈴木博昭&秀樹、スーパーライト級王座T準決勝進出
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KNOCK OUT SAKURA BURST
2018年4月14日(土) カルッツかわさき
レポート&写真:井原芳徳
第7試合 KING OF KNOCK OUTライト級(61.5kg)タイトルマッチ 3分5R
×森井洋介(ゴールデングローブ/王者、全日本スーパーフェザー級王者/61.5kg)※初防衛戦
○ヨードレックペット・オー・ピティサック [Yodlekphet Or.Pitisak](タイ/挑戦者、ラジャダムナン王者、元ルンピニー王者/61.3kg)
2R 2’15” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちによる鼻骨骨折)
※ヨードレックペットが王者に
森井は昨年4月の大田大会のKNOCK OUTライト級王座決定トーナメント一回戦で宮越慶二郎、10月の後楽園の準決勝で町田光、12月の両国の決勝で勝次にKO/TKO勝ちし王者に。昨年2月の村田裕俊戦で引き分けた以外はKNOCK OUTで7戦ともKO/TKO勝ちし、KNOCK OUTの看板選手となった。
初防衛戦の相手・ヨードレックペットは16年10月に梅野源治とのラジャダムナン認定ライト級タイトルマッチで判定負けし王座を失ったが、現在王座を取り返している。ルンピニーの王座も最近まで保持していたが、返上理由は防衛期限が過ぎたため。タイで権威のあるサイアムスポーツ社認定スポーツ大賞の2017年度ムエタイ部門MVPを受賞しており、今のムエタイの頂点の選手と言って間違いないだろう。
1R、ヨードレックペットはサウスポーに構え、時折左ミドル、インローを強打。森井は左ジャブを振りながら右ロー、右ストレート等を当てる。終盤にお互い手数が上がると、ヨードレックペットの左フックで少し森井がひるむが、森井も詰めてボディへの連打を返す。小川ジャッジがヨードレックペットを支持し、大成・岡林ジャッジはドロー。記者採点は10-10。
2R、森井もロー、ボディへのパンチを積極的に放つが、ヨードレックペットも左ロー、左ストレートのヒットを増やし、森井は時折体が流れたりバランスを崩すように。すると足を止めての打ち合いとなり、森井も返すが、ヨードレックペットが大振りの左肘を当てて攻め込んだところで、北尻レフェリーがドクターチェックを要請する。左のパンチのカウンターで肘をもらった森井の鼻は大きく曲がっており、ドクターは手で触れて確認する前にすぐストップ。ヨードレックペットの完勝に終わった。
ヨードレックペットは「森井のパンチが強かったです。また日本に来たいです」と話し、梅野との再戦について「問題ないです」と意欲を示し、KNOCK OUTが10月から開催するアジアトーナメントについても「出たいです」と話した。小野寺力プロデューサーは1年かけて作った王者の敗戦について「これも含めアジアトーナメントを盛り上げれば正解になる。ヨードレックペットの凄さは十二分に伝わった。悔しいですけどね」とコメント。今月中に中国に行くなどして、今後アジアトーナメント出場者をセレクションしていくという。
第6試合 KING OF KNOCK OUTスーパーライト級(64kg)初代王座決定トーナメント一回戦Bブロック 3分5R
×山口裕人(山口道場/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者/63.9kg)
○秀樹(新宿レフティージム/RISEライト級(-63kg)2位、K-1 ULTIMATE VICTOR REVOLUTION FINAL -65kgトーナメント’17優勝/64.0kg)
2R 1’53” TKO (3ダウン:左ストレート)
2月のKNOCK OUTで開幕したスーパーライト級初代王座決定トーナメントの一回戦残り2試合が行われた。
1R、山口兄弟の兄・裕人が圧力をかけ前に出るが、サウスポーの秀樹が回って距離を取り続け、随所で左ミドル、左ハイをヒット。終盤、足を止めてのパンチの打ち合いになると、裕人はガードが甘くなり、秀樹の左ストレートが当たり、裕人はダウンする。採点は8-10で秀樹。
2Rも秀樹が左ミドルを当てて主導権を握ると、山口もバックハンドブローを当てて流れを変えようとするが、秀樹がまたも左ストレートを当ててダウンを奪取。さらに左ストレートでダウンを奪い、山口は立ち上がっても足元がおぼつかないが、逆転を狙って前に出て左フックを当ててダウンを奪い返す。場内は沸きあがるが、ダメージの蓄積は大きく、裕人がバックハンドブローを空振りした後、秀樹が軽く左ストレートを当てるとまたも倒れ、秀樹のKO勝ちとなった。
秀樹は6.8後楽園ホール大会の準決勝でマサ佐藤(名護ムエタイスクール/英雄伝説アジア64kgトーナメント’16優勝、蹴拳ムエタイライト級王者)と対戦する。(下写真右は秀樹のセコンドについた妻で元WPMF日本女子フライ級王者のいつかさん)
第5試合 KING OF KNOCK OUTスーパーライト級(64kg)初代王座決定トーナメント一回戦Aブロック 3分5R
○鈴木博昭(ストライキングジムAres/シュートボクシング世界スーパーライト級(65kg)王者/64.0kg)
×大石駿介(OISHI GYM/ISKAムエタイ世界スーパーライト級王者/63.9kg)
4R 0’49” KO (左ハイキック)
愛知出身勢による準決勝。1R、鈴木がサウスポーから左ミドル、ローを積極的に放つ展開。大石も随所で右ロー、ミドルを返すが、やや後手だ。まだ大差は無く、ジャッジ3者ともイーブン。記者採点も10-10。
2Rも鈴木の蹴り数が多い展開が続くが、終盤、大石が首相撲に持ち込み、膝を連打し挽回。鈴木は首相撲に対応できない。記者採点は10-10。ジャッジは1名が鈴木を支持し、2名はドローだ。
3Rも大石の首相撲からの膝、突き放しての肘をもらう鈴木だが、突き放すと左ミドルを連打し、3度ほどコーナーに詰めてパンチのラッシュから飛び膝につなげる場面を作り好印象。ジャッジ3者とも鈴木を支持する。記者採点は10-9で鈴木。
4Rも大石が膝、肘を放っていると、鈴木は額を切られて出血するが、これで鈴木は危機感を持ったか?ワンツーで大石を下がらせると、不意打ちの左ハイをクリーンヒット。得意の一発を決めると、大石は立ち上がれず、和田レフェリーがストップ。鈴木はコーナーに登って大喜びした。
鈴木は6.8後楽園の準決勝で不可思(クロスポイント吉祥寺 REBELS/RISEライト級(63kg)王者)と対戦することに。「準決勝、不可思君、思いっきりやり合おうじゃねえの」とマイクアピールした。
第4試合 70kg契約(=スーパーウェルター級相当) 3分5R
△T-98(クロスポイント吉祥寺 REBELS/REBELS-MUAYTHAIスーパーウェルター級王者、元ラジャダムナン王者、ルンピニー10位/69.9kg)
△宮越宗一郎(拳粋会/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーウェルター級王者/69.9kg)
判定1-1 (岡林49-50/北尻49-48/小川49-49)
宮越兄弟の兄・宗一郎は昨年2月、30歳となる同年内での引退を表明。8月のKNOCK OUTでは新日本キックの元王者・緑川創に判定勝ちしたが、試合前から「勝てたらT-98選手とやりたい」「T-98選手に勝てればこの階級のムエタイ系の日本人の本当の一番になれる」と話し、T-98を現役最後のターゲットに定めていた。お互いの試合スケジュールの都合で、年を超えて対戦が実現した。
1R、T-98が中央側に立ち、右ローを主体に、左ロー、左ミドルも絡め、少し手数が上。だが宗一郎も右ロー主体で随所で返し続ける。ジャッジ3名ともイーブン。記者採点10-10。
2R、T-98が右ボディを放った直後、ロープを背負った宗一郎が左フックを当て、T-98はぐらつく。その後も左ジャブ、左右のストレート等のパンチを随所でヒット。T-98はしばらくして持ち直し、右ストレート、右ローを返すが、序盤の悪印象をぬぐえず、ジャッジ3者とも9-10で宗一郎を支持する。記者採点は9-10で宗一郎。
3RになるとT-98は完全に持ち直し、圧力をかけて右ローを随所で当てて攻勢に。宗一郎は少しバランスが悪くなる。宗一郎も右ローを返すが、全般に後手の内容だ。記者採点は10-9でT-98。ジャッジは1名のみT-98を支持する。
4RもT-98が右ローを主体にしつつ、左ミドル、左奥ロー、右ストレート等を当て続け攻勢。宗一郎も終盤になって右フック等を返すが苦しい展開だ。記者採点は10-9でT-98。
5R、T-98がこれまで同様に右ロー、右フック等で攻めるが、キャリア最後のラウンドになるかもしれない宗一郎も、残りの力を振り絞って右ロー等を返し、左ハイを当てて会場をどよめかせる。だが中盤以降はT-98が右ストレート、右ロー等の手数で上回り、宗一郎は攻撃が減る。記者採点は僅差だが10-10でT-98。合計は49-48でT-98。
ジャッジは1者が記者と同じ採点をしたが、残り2者はT-98の手数への評価は低くドロー。試合後はT-98の呼びかけてで両陣営揃っての記念撮影。おそらく最後の試合になる宗一郎への敬意をT-98が示した。
第3試合 65kg契約 3分5R
×水落洋祐(はまっこムエタイジム/元REBELS 65kg級王者/64.9kg)
○健太(E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者/64.8kg)
1R 2’23” KO (右ストレート)
2月のスーパーライト級王座決定トーナメント一回戦で不可思に惜敗した健太と、マサ佐藤に肘で切られ逆転TKO負けした水落洋祐が対戦。
1R、健太はジャブを振りながら右ローを積極的に当て、左インローも絡め先手。水落も右ローを返すようになり、右ミドルの相打ちもあり、少しずつ両者手数を上げる。中盤から健太は右のオーバーハンドフックを時折出すようになり、終盤、その技をクリーンヒット。水落の動きが一瞬止まると、右ハイでダウンを奪うことに成功する。水落は立ち上がるがダメージが大きく、健太が軽く右ストレートを当てて再びダウンすると、大成レフェリーがすぐさまストップ。快勝の健太はボディビルダーのポーズを四方に見せ、ファンを楽しませた。
第2試合 女子50kg契約(=フライ級相当)(肘無し) 3分3R
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/ムエタイオープン女子フライ級王者/49.8kg)
×イ・ドギョン(韓国/韓国MKF女子52kg級王者/49.9kg)
判定3-0 (和田30-28/大村30-27/北尻30-27)
小林は2月大会でキル・ビー(台湾)に判定勝ち。今回の相手のドギョンは韓国のイ・ソンヒョン、イ・チャンヒョンを輩出したMKFの王者で11戦7勝3敗1分。
1R、小林が序盤から左ジャブを振りつつ、右ローを何発もヒットし主導権。右ミドル、右ストレート等も当てて苦しめる。2Rも同様に小林が右ローを何発もヒットし優勢をキープ。3R、序盤は右ロー、中盤は右ミドル、終盤は右フックを連続で当ててドギョンを苦しめるが、局面局面での上下の攻撃の散らしがなく単調になってしまったことも影響して倒しきれなかった。
第1試合 55.3kg契約(=スーパーバンタム級相当) 3分3R
○鈴木真彦(山口道場/WBCムエタイ日本&ホーストカップ日本バンタム級王者、DEEP☆KICK 55kg王者/54.9kg)
×竹内将生(エイワスポーツジム/MA日本スーパーバンタム級王者/55.3kg)
2R 1’14” TKO (3ダウン:左フック)
鈴木は山口兄弟と同じ山口道場に所属する21歳。DEEP☆KICKで7戦全勝で55kg王座を獲得し、15年8月のBLADE FC JAPAN CUP -55kgの一回戦で那須川天心も1R KO負けしたものの、以降は高橋亮、知花デビット、宮崎就斗、林敬明、大田拓真、KING強介ら各団体の実力者相手に9連勝。その間にDEEP☆KICK王座を2度防衛し、INNOVATION、WBCムエタイ日本、ホーストカップの王座を獲得し、勢いに乗っている。竹内は現在22歳。バンタム級でもJ-NETWORKとWPMF日本王座を獲得し、大野貴志、高橋亮ら相手に、こちらも6連勝中と好調だが、鈴木がはっきり差をつける試合を展開する。
1R、鈴木が圧力をかけ、右ロー、右ボディを当てつつ、顔面のパンチにつなげ、若干手数で上回る。竹内も左ミドルを当てたり、肘を返し、崩しも決めるが、少し後手の印象だ。記者採点は10-10。ジャッジ3者も同じ。
2R、鈴木が右ボディストレートを当てた後、ロープまで詰めると、右ストレートを当ててダウンを奪取。竹内は立ち上がるが、顔をしかめダメージが大きい様子で、その後も右フックと左フックで立て続けに2度ダウンし、鈴木のKO勝ちとなった。