NO KICK NO LIFE 1.9(昼)ニューピアホール(レポ):18歳の花岡竜、石井一成を圧倒し判定勝ち。宮元啓介、引退戦は加藤有吾に判定負け
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NO KICK NO LIFE 第1部
2022年1月9日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
※NO KICK NO LIFEのルールは肘有り・つかんでからの攻撃は1回のキックルール。
第4試合 セミファイナル 52.5kg契約 3分5R
×石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/BOM&WPMF世界スーパーフライ級王者、WPMF世界&IBFムエタイ世界フライ級王者、元KNOCK OUT&True4U同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
○花岡 竜(橋本道場/KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者、INNOVATIONフライ級王者)
判定0-3 (大成47-49/秋谷47-50/能見47-50)
小野寺力RIKIX代表プロデュースのキック大会「NO KICK NO LIFE」は昨年7月以来約半年ぶりの開催で、東京・浜松町のニューピアホールでは初開催だ。大会は2部制で、昼のセミには石井一成が登場し、新鋭・花岡と対戦した。
石井は20年10月、4年ぶりに開催されたNO KICK NO LIFEのメインイベントで花岡の先輩・岩浪悠弥に2R 左肘打ちでTKO勝ち。昨年2月大会でもメインを務め麗也に判定勝ち。7月のRISEのDoA -53kgトーナメント一回戦で大﨑一貴に判定負けしたが、11月のBOMではムエタイルールで小嶋・ノーナクシンに判定勝ちした。
花岡はこれまで石井が出たNO KICK NO LIFEに出場し、HIROYUKIと引き分け、吉成士門とは5R判定0-2の接戦で敗れている。だが9月のKNOCK OUTでは4選手による1DAYトーナメントを制し、肘無しルールの初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者に。11月28日のKNOCK OUTでは、老沼隆斗を1R 左ボディ一撃でKO。11月で18歳になったばかりで、試合ごとに成長している最中で、2022年は早速、強豪の石井との試合機会が巡って来た。小野寺氏がKNOCK OUTプロデューサー時代にKNOCK OUTの王者になったのが石井。立場上、小野寺氏は前面に押し出していないが、新旧KNOCK OUT王者対決がNO KICKで実現するのも裏テーマといえよう。
試合は大方の予想を覆し、花岡が石井を圧倒することに。1R、石井が圧をかけ、時折右のローを当て、パンチで詰める中で、花岡は距離を取りつつ、ローを散らしながらの右ストレートや、前蹴りもヒット。終盤には花岡は崩しを決める。まだ差は小さいが、花岡が十分渡り合えているどころか若干優位な感がある。記者採点はイーブン。
すると2R、花岡は右ローからの右ストレート、フェイントからの左ミドル、左フックのヒットを増やし、じわじわ優勢に。石井の左ハイをスウェーし、右のカーフキックを連打する場面も。すると終盤、左ボディを効かせてからの左フックをきっかけに、顔をしかめた石井をロープに詰めてパンチラッシュでさらに追い詰める。記者採点は花岡。
3R、中盤に石井が右肘を強打する場面もあるが、全般には花岡が手数で上回る展開。左右のボディ、ローを的確に当て続け主導権を維持する。記者採点はイーブン。花岡についても不思議ではない。
4R、カーフを効かされた石井は、サウスポーにスイッチするように。花岡はそれでも圧をかけ続け、随所でパンチの連打をまとめ石井を追い詰める。石井も打ち合いで左フックを返すが、花岡は下がらず。花岡の右のテンカオの後、踏ん張りの効かなくなった石井がスリップする場面も。記者採点は花岡。
5R、花岡は下段、中段のバックスピンキックを立て続けに当てイケイケムード。石井は前に出るが、攻撃を返せず、終盤には花岡がボディと顔面へのパンチの連打で印象を作る。記者採点は花岡。合計47-50で花岡。ジャッジ3者とも順当に花岡を支持し、花岡が知名度で勝る石井に完勝した。
花岡は「練習でやってきたことが1R目からできて、KOできなかったですけど、2~3ポイント差で圧勝できて良かったです。去年は(吉成士門戦の)負けから始まって、今回も逃げたくなるぐらい怖かったんですけど、師範がミットを持ってくれて、結果で恩返しできて良かったです。倒せる選手になっていきたいんで、応援お願いします」と、涙声でアピールした。
大会後のインタビューで花岡は「足とお腹から削って勢いを止めるのが作戦でした。石井選手にはトップの圧はあったんですけど、自分のペースと距離をつかんでからは途中から気にならなくなりました。2R目にパンチで石井選手が落ちてから焦っていたんで、判定でも何でも行けると思いました。勝てると思っていなかったですし、目も死んでなくて、一発あるぞって顔をしていたので、KOを狙いに行くほどにはならなかったです」とコメント。今後については「肘無しだったら他にも強い選手がいるので、もっと倒したいです。RISEの(53kg)トーナメントに出ていた人は片っ端からやりたいです。肘有りはオファーをいただければ誰でもって感じで、今回僕との試合を受けてくれた石井選手のように、僕も逃げる気はないです」と話した。
第5試合 メインイベント 宮元啓介引退試合 55.5kg契約 3分5R
×宮元啓介(橋本道場/INNOVATIONフェザー級王者、元WPMF世界・WBCムエタイインターナショナル&日本・INNOVATION・MA日本スーパーバンタム級王者)
○加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者、岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント2021優勝)
判定0-2 (大成48-50/北尻48-48/能見48-49)
昼の部のメインでは宮元が引退試合。昨年2月大会で判定勝ちした相手である加藤と再戦した。
宮元は小学生時代から空手を習い、10年1月のMAキックでの大野貴志戦でプロデビュー。上記の通りスーパーバンタム級で多くのタイトルを獲得し、16年3月のNO KICK NO LIFEでは那須川天心と対戦しKO負けしている。いずれも敗れているが、志朗、内藤大樹、江幡塁、小笠原瑛作とも対戦を経験し、国内軽量級のトップ戦線で欠かせない選手だった。近年もコンスタントに試合を重ね、小笠原裕典、栗秋祥梧らに勝利。最近では9月のINNOVATIONで馬渡亮太に判定負けしている。12月で29歳となり、実力の下がらないうちに辞めたいと考え、引退を決意した。対する加藤は最近では9月のBOMでダイナマイト柿崎にKO勝ちしている。
試合前には江幡塁が宮元に花束を贈呈する。1R、お互い慎重な立ち上がりだが、宮元は得意の右ハイや上段後ろ廻し蹴りをヒット。加藤も終盤、パンチのヒットを増やし巻き返す。記者採点はイーブン。
2R、加藤は左ボディを絡めつつ、顔面へのパンチ、右肘を随所で当てる。だが宮元はある程度ブロックし、終盤に右のローを当てていると、加藤の足が少し流れるように。記者採点はイーブン。
3R、加藤も右のローを増やすと、宮元の足が流れ出し、お互いローで削り合う展開に。宮元は左のミドル、三日月、肘も当て、加藤はパンチも当て、お互い一歩も譲らない。記者採点はイーブン。
4R、加藤が序盤から圧をかけ続け、左ボディを効かせると、顔面とボディのパンチ連打で宮元を追い詰める。宮元は耐え、顔面とボディへのパンチ、肘を返し、激戦となるが、加藤が手数多く終える。記者採点は加藤。
5R、さすがに加藤は疲れが見え始め、手数では上回るが力が入りきらず。宮元もなかなか攻撃が返せなかったが、中盤過ぎ、残りの力を振り絞るように左ミドルのヒットを増やし、逆転を狙うが時間切れに。記者採点はイーブン。合計49-50で加藤。ジャッジは2者が加藤を支持し、加藤の判定勝ちとなり、宮元は有終の美を飾ることができなかった。
引退セレモニーで宮元は「最後負けてはしまったんですけど、こんなに応援団が来てくれてうれしいです。14年間育ててくれた橋本師範、ありがとうございます。僕を見てくれた先輩や後輩に感謝の気持ちでいっぱいです。この試合に集中していたので後先のことは考えていないんですが、キックから離れるつもりはないです。今まで応援してくれてありがとうございます」と話した。 大会後のインタビューで宮元は「負けて悔しいというか、出し切ってスッキリです。最後だから楽しもうと思いました。やりきったってのがデカいです」と話した。通算戦績は58戦35勝(11KO)16敗7分。
勝った加藤は「去年戦った時はトーナメントの後で、作戦が立てられなかったんですけど、今年は作戦を立てて戦えました。今年は肘無しにも挑戦したいです。RISEでもタイミングが合えばやりたいです」と話した。
第3試合 特別ルール(つかんでからの攻撃制限無し) 53kg契約 3分5R
×藤原あらし(バンゲリングベイ・スピリット/元WPMF世界スーパーバンタム級王者、元全日本・WBCムエタイ日本・ルンピニー日本バンタム級王者)
○HIROYUKI(RIKIX/元新日本バンタム級&フライ級王者)
3R 2’23” TKO (タオル投入:右飛び膝蹴り)
藤原は12月22日で43歳に。02年1月4日の全日本キック後楽園ホール大会でプロデビューしたため、今回の試合は20年の節目の試合となる。近年は野良犬祭り、KROSS×OVERを主戦場としている。HIROYUKIは7月のNO KICKで鳩をKOし、9月のBOMでも稔之晟に判定勝ちし、国内のバンタム級王者に連勝している。
試合はHIROYUKIが今の第一線の実力をまざまざを見せつける内容に。1R、藤原がサウスポー、HIROYUKIがオーソドックスに構え、お互い蹴り主体の攻防。蹴り数はほぼ互角だが、HIROYUKIの右ミドルの重さが目立つ。すると終了間際、HIROYUKIが左フックでダウンを奪う。
2R、藤原は持ち直し、随所で左ミドル、ローを当てるが、HIROYUKIは右ストレートを効かせたり、右ストレートを空振りさせてから右ハイもヒット。終盤には膝のヒットも増やし優位を印象付ける。
3R、藤原の左奥ローが少し効き目を発揮したが、HIROYUKIは右フックを効かせてじわじわ追い詰めると、右ハイで動きを止めてから、右の飛び膝をクリーンヒット。真後ろに倒れた藤原は立ち上がれず、セコンドがタオルを投入し、HIROYUKIのTKO勝ちとなった。
第2試合 51kg契約 3分3R
×石井寿来[じゅらい](ウォーワンチャイプロモーション/WMC日本フライ級王者)
○平松 弥[わたる](岡山ジム/INNOVATIONフライ級9位)
判定0-2 (北尻29-29/ノップ28-29/秋谷28-29)
石井一成の甥・寿来がNO KICKに初参戦。7月のNO KICKで義由亜JSKと引き分けた平松弥と対戦した。
1R、石井がサウスポー、平松がオーソドックスに構え、石井が前に出るが、平松は左に回り続け、右ミドルを随所で的確に当てる。2Rになると石井も蹴りのヒットを増やすが、平松も蹴りを返し続ける。3R、中盤に石井がパンチの連打で平松を下がらせるが、平松も蹴りを終盤にまとめて巻き返す。ジャッジは2者が平松を支持した。
第1試合 50kg契約 3分3R
×天馬(ウィラサクレック・フェアテックス西川口/WMC日本ライトフライ級王者)
○杉山 空(HEAT)
判定1-2 (能見29-30/北尻29-28/ノップ29-30)
天馬は7戦5勝2敗で6月のBOMでWMC日本王座を獲得。杉山はアマチュア戦績100戦を超える16歳。天馬はサウスポー、杉山はオーソドックスで構え、蹴りの後、組み際にパンチを当て、クリンチになる展開が繰り返される。両者ともムエタイがベースのため、ワンキャッチ・ワンアタックルールに不慣れな様子。大差はなく、ジャッジは割れたが、天馬にパンチで鼻血を出させた杉山の判定勝ちとなった。
NO KICK NO LIFE 1.9(夜)ニューピアホール(レポ):森井洋介、健太に判定勝ち。緑川創、プライチュンポンに判定勝ち