KNOCK OUT 11.28 後楽園ホール(レポ):小笠原瑛作&安本晴翔、相手の追い上げ耐え判定勝ち。花岡竜、老沼隆斗を左ボディで1R KO。渡部太基、復帰戦は劇的勝利
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KNOCK OUT 2021 vol.6
2021年11月28日(日) 後楽園ホール
レポート:井原芳徳 (写真は追って掲載します)
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無しキックルール
第7試合 メインイベント KNOCK OUT-RED スーパーバンタム級タイトルマッチ 3分5R
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)王者、WPMF世界同級王者、ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)
×壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム/元ルンピニージャパン・バンタム級王者)
判定3-0 (少48-47/北尻49-47/山根49-47)
※小笠原が初防衛
小笠原は3月大会でKING強介にKO勝ちし、KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座を獲得。7月大会では急遽出場の横野洋にKO勝ちしている。以前から俳優業も並行しており、夏に1カ月、映画撮影のためカザフスタンにいた。
壱は小笠原と昨年9月に対戦し、1R TKO負けしている。だが開始まもなくの小笠原の崩しで壱がマットに頭を打ったダメージがフィニッシュのきっかけとなったため、パンチ・キック・肘・膝の攻防はほとんど無いまま終わっていた。壱は3月大会で古村光に判定勝ちし、8月大会で森岡悠樹に判定勝ちすると、「KNOCK OUTに上がっている選手はだいたい下したので(王座戦が)組まれれば挑戦したい」と話していた。
1R、両者サウスポーに構え、蹴り主体の攻防。小笠原のほうがフェイントが細かく、ややロー、ミドルの蹴り数が多いが、終盤になると壱も蹴り数を上げる。まだ差は乏しく、記者採点はイーブン。
2R、小笠原は左ローを序盤から積極的にヒット。蹴り数を上げて来た。中盤には左右のミドル、左前蹴りも当てる。終盤、壱も右ミドルを立て続けにお返し。小笠原がやや優位だ。記者採点は小笠原。
3R、序盤から両者組む展開に突入するが、小笠原が崩しを決める。その後もロー、パンチ、組んでの膝も当て、差を示すように。中盤、壱は右ミドルを連打し前に出て来るが、小笠原は左ボディストレート、左ロー、左ストレートと、上下散らしての3連打でダウンを奪う。記者採点は10-8で小笠原。
4R、挽回を狙う壱は序盤から前に出て、随所で左フック、左肘を当てるように。その積極策が功を奏することに。小笠原は攻撃が減ってしまい、左目の下を腫らし印象が悪い。記者採点は壱。
5Rも壱は前に出て、左肘を当てるが、小笠原は組み付いての膝、崩し、ステップワークで壱の反撃を封じ試合終了。記者採点はイーブン。合計49-47で小笠原。ジャッジも1~2点差で小笠原を支持し、小笠原が判定勝ちで王座防衛を果たしたが、壱の成長と粘りも光る一戦だった。
マイクを持った小笠原は「壱選手、1年かけて僕に挑戦してくれて、思ったよりも強くなっていて、手こずってしまいました。壱選手、またやりましょう。コロナ禍で人と人のつながりがブツブツしている世の中ですけど、皆さんが会場に来てくれて力になっています。こんな世の中だからこそ、人と人とのつながりを身近に感じながら生きていけたらなと思います。そして僕はこのREBELSから続くKNOCK OUTにお世話になって、ここまで大きくなりました。僕はこのKNOCK OUTを世界の舞台に通用する所まで(押し上げ世界でこのKNOCK OUTを開催したいと本気で思っています。皆さんの力が必要です。これからも僕たちKNOCK OUTの選手を応援してくれたらと思います」とアピールした。
第6試合 セミファイナル BLACK 58kg契約 3分3R(延長1R)
○安本晴翔(橋本道場/KNOCK OUT-RED・WPMF世界・WBCムエタイ日本フェザー級王者)
×角田泰盛[かくだ たいせい](CRAZY WOLF/元CMA KAISERスーパーフェザー級王者)※角☆チョンボン 改め
判定3-0 (秋谷29-26/北尻29-25/山根29-27)
安本は7月のKNOCK OUTではBigbangフェザー級王者の竹内賢一に左ハイでKO勝ちし、9月のNJKFでは松本龍斗を肘で切りTKO勝ちし現在11連勝中。対する角田はKNOCK OUT初参戦。地元関西の大会を主戦場とし、新日本キックにも2度上がっている。
1R、安本がサウスポーに構え、序盤から左右のハイ、左ストレートをヒット。中盤、角田は距離を詰めパンチを連打するが、安本はブロックし、パンチをお返しする。終盤、安本が左ストレートで角田をひるませ、その後もラッシュで追い詰めるが、角田は首を振って「効いていない」と言わんばかりにアピールし、右のインローをお返し。最後はボディへのパンチ連打で終える。安本が優位だが、角田も危険なムードを残す。
2R、安本は左ミドルを連打して先手を取るが、角田も右インローを返すと、安本の内腿は赤くなる。安本はオーソドックスにスイッチする場面も。角田は対応し、左ボディ、左インローを返すが、終盤、安本が右ボディ一発で角田の動きを止めると、右のテンカオでダウンを奪う。安本はさらにボディ狙いの右バックスピンキックの2連打でダウンを重ねる。安本はバックスピンキックを当てるが、角田は時間いっぱいまで耐える。
だが3R、流れが変わることに。序盤から角田が左右のローを当てると、安本はスイッチを繰り返し後退。両足とも真っ赤に。角田は接近戦になればパンチも連打し、安本を追い詰める。角田はパンチ、ローで攻め続けるが、安本はギリギリ耐え終了。スコア上は大差で安本の勝利だが、角田も強さを示す試合で、勝ち名乗りを受けた安本のほうが消耗が激しい様子だった。
マイクを持った安本は「相手選手、本当に気持ちが強くて、強かったです。本当に苦戦しました。上に行くとか言っているんですけれど、こんなんじゃまだまだダメです。もっともっと強くなるので次を見てください。次はKOします」と反省しつつアピールした。
第5試合 RED 51kg契約 3分3R(延長1R)
○花岡 竜(橋本道場/KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者、INNOVATIONフライ級王者)
×老沼隆斗(STRUGGLE/元REBELS-REDスーパーフライ級王者)
1R 2’24” KO (左ボディフック)
花岡は9月大会での1DAYトーナメントを制して初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者に。老沼は今年2月に王座を失い、6月の再起戦で勝利したが、10月のRIZINでは奥脇竜哉に判定負けした。
1R、序盤から花岡が左の前蹴り、パンチのフェイントからの左ミドルを当てて先手。老沼も右ミドルを返すが、花岡も右ミドルをお返しする。中盤、花岡は組んで肘も出し、組み際に左膝もヒット。すると終盤、花岡が左の前蹴りで老沼を下がらせてから、左ボディフックを当てると、老沼がダウンする。老沼はうずくまったまま立ち上がれず、花岡のKO勝ちとなった。
マイクを持った花岡は「前回、BLACKルールでパンチの練習をしていたので、パンチでKOできて良かったです。こんなところで終わらないで、まだまだ上を目指して頑張ります」とアピールした。11月30日で18歳になる花岡。竜哉が倒せなかった老沼を1Rで粉砕したことで、来年の「上」への飛躍がより期待できるようになった。
第4試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
×松山 翔(菅原道場/MA日本スーパーウェルター級4位)
判定3-0 (少28-26/北尻29-26/山根29-26)
渡部は藤原ジム出身で06年に全日本キックでデビューし現在33歳のベテラン。現体制のKNOCK OUTの前身・REBELS参戦当時の11年、WPMF日本ウェルター級王座を獲得し、16年にはKrushウェルター級王座を獲得した。18年に那須川天心のいるTEAM TEPPENに移籍。RISEを主戦場とし、19年7月のRIZINでHidekiに判定負けして以来2年4カ月ぶりの試合となる。
対する松山はキック8戦4勝(1KO)3敗1分とキャリアは浅いが36歳と渡部よりも年上。6月のKNOCK OUT新宿大会ではYUYAに判定勝ちし、10月3日の菅原道場主催興行では中泉翔に判定勝ちしている。
1R、渡部がサウスポーに構え、序盤から圧をかけ、左インローを随所でヒット。左フック、左ミドルも織り交ぜ、主導権を握る。中盤、渡部が左インローを効かせると、松山が前に詰めて来るが、渡部は落ち着いてさばきつつ、左ストレートの2連打でダウンを奪う。終盤にも右ストレートで松山をフラつかせる。
2R、松山が序盤から前に出て、パンチを振るとクリンチになる場面が目立つように。すると合間合間で松山のパンチが当たり出し、連打の後に松山が崩して渡部が倒れたりバランスを崩す場面が増える。終盤、松山が左ストレートで渡部をのけぞらせ、ダウン寸前の場面を作り、試合をわからなくする。
3R、今度は開始すぐから渡部が左インロー、ミドルを連打して先手を取る。長くは続かず、松山が前に出てパンチを当てるようになるが、渡部も耐えて接近戦でのパンチの打ち合いでお返し。両者とも消耗戦に突入する。すると残り20秒を切り、渡部が左ハイを当てると、松山はフラつき、10秒を切って再び左ハイを当ててダウンを奪う。松山はポーズを取るが再開後すぐに試合終了。渡部がらしさを発揮するファイトで復帰戦を白星で飾った。
マイクを持った渡部は「やっと勝つことができました」と話すと涙を流し、「TEPPN GYMの那須川会長をはじめチームの皆さんありがとうございます。2016年に怪我をして、勝てなくなって、もう勝てないのかなって悩んで、続けていいのか。でもこんな俺にも応援団、スポンサーがいて、リングに立つことができました」と感謝の言葉を述べた。続けて「まだまだいい試合もできないですし、下手くそなんですけど、もう少しだけキックボクシングをやりたいです。この子、5歳なんですけど、息子の前で勝つことができて、やっとお父さんになれた気がします。子供のためになんとか勝つことができたんで、ラスト、自分のためにもう少し戦いたいです。もう少しだけお付き合いください」と話すと、場内は拍手に包まれた。
第3試合 RED ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×潘 隆成(クロスポイント吉祥寺/元WPMF日本スーパーライト級王者)
○古村匡平[きょうへい](FURUMURA-GYM/大和ムエタイ・スーパーライト級王者)
判定0-3 (少28-30/秋谷27-29/センチャイ28-29)
潘は2月大会で重森陽太に延長判定負けして以来の試合。この試合での怪我の療養を経て、8月の新宿大会で古村兄弟の兄・匡平と戦う予定だったが、潘が新型コロナウイルスの影響で欠場し、試合が中止に。今回仕切り直しでこのカードが組まれた。匡平は5月の後楽園大会で麻火佑太郎に判定勝ちしたが、6月のシュートボクシングでは笠原弘希に判定負けしている。
1R、潘が左の前蹴りとジャブで距離を作って、匡平に入らせず、自分の右ロー、左ミドルを随所で当てる。終盤に右ストレートでのけぞらせ、主導権は握っている。だが、まだはっきりした差は示せていないため、ジャッジの評価は分かれる。
2R、匡平は右フック、左ボディ、組んでの膝を当てる場面が増える。潘も右ローのヒットを増やすが、手数では追い越されたか。ジャッジは2者が匡平につけた模様だ。
3R、潘は右ローの蹴り数を増やすが、匡平も右ローを返しつつ、前に出て随所で左右のフックをお返し。すると中盤、匡平が右ローを当てて下に意識を向けさせてから、左フックを当ててダウンを奪う。潘は脳のダメージは小さい様子で、挽回しようと必死に前に出るが、匡平は組んでの崩しで応戦し、終盤にもパンチでフラつかせて反撃を封じ判定勝ちした。
第2試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×炎出丸(クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKスーパーバンタム級王者)
○鈴木貫太(ONE’S GOAL)
判定0-2 (少28-30/センチャイ29-29/秋谷29-30)
第1試合 RED スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○小磯哲史(TESSAI GYM/元J-NETWORKライト級王者、元蹴拳スーパーフェザー級王者)
×庄司啓馬(TEAM TEPPEN)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※1R右フックで庄司に1ダウン