KNOCK OUT 7.18 後楽園ホール:鈴木千裕、43秒で宮越慶二郎を粉砕、MMAとの“二刀流”宣言。松倉信太郎&重森陽太も王座獲得。ぱんちゃん璃奈、sasoriに判定勝ち
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KNOCK OUT 2021 vol.3
2021年7月18日(日) 後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真:久保与志
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無しキックルール
鈴木千裕、キック転向2年で初の戴冠「今後MMAでも戦って突っ走ってやる」
第8試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)
×宮越慶二郎(拳粋会宮越道場/元WBCムエタイ・インターナショナル・同日本・NJKFライト級王者)
1R 0’43” TKO (パンチ連打)
※鈴木が王者に
初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメントは4選手が参加し、3月大会で準決勝が行われ、新型コロナウイルス緊急事態宣言の影響で、5月から2カ月延びて決勝が実現する。
鈴木はキック10戦9勝(7KO)1敗。ここまでノーブレーキの突進ファイトで対戦相手をなぎ倒してきたが、百戦錬磨の宮越にもその戦法を貫き成功させる。
1R、宮越はいつも通り細かく左右にステップし、右のカーフキックを当てるが、鈴木はお構いなしといった様子で、右フックを振りながら一気に前に出て宮越をコーナーまで追い詰め、右と左フックを連続で当てて、わずか9秒で最初のダウンを奪う。宮越はダメージが大きく、鈴木はそのままラッシュを続け、コーナーに詰めてのパンチの連打で再びダウンを奪取。宮越は立ち上がるが表情が虚ろで、少白竜レフェリーがストップし、鈴木のKO勝ちとなった。
鈴木は一回戦の久保政哉戦は1分25秒、決勝は43秒。足しても2分8秒の連続短時間決着で初のベルトを巻いた。なお、昨年9月からの連勝・連続KO勝ちは5に伸び、4試合連続1R KO勝ちとなった。
鈴木は「まず一言目、ぶっちぎってやったぜ。ここからはマジな話。本日、無事KNOCK OUTのチャンピオンになりました。KNOCK OUTのベルトを取ったので、今後、MMAの方でも戦って、突っ走ってやろうかと思っています。今後の僕の進化を応援してください」とアピールした。
鈴木は元々、MMAでプロデビューし、18年のパンクラスの新人王トーナメントにあたるネオブラッド・トーナメントで優勝し、順調なスタートを切った。しかし同年末の試合の計量で大幅にオーバーし試合が中止に。それをきっかけにクロスポイントの山口元気代表からの薦めもあり、翌年から階級を上げてキックに転向した。約2年・11戦目でキック大会・KNOCK OUTの頂点に立ち、一つの成果を獲得したことで、MMA復帰をようやく宣言したという流れだ。ただし本人の「MMAの方でも戦って」の言葉通り、2競技を並行する模様。野球界では大谷翔平の打者と投手の“二刀流”が話題だが、果たして鈴木の二刀流は成功するのか?
松倉信太郎、4ダウン奪い新設スーパーミドル級(75kg)王座奪取
第7試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級(75kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
○松倉信太郎(TRY HARD GYM/WPMF世界スーパーミドル級王者)
×田村 聖(拳心館/NKBミドル級1位・元王者、NKB PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント’19~’20優勝)
判定3-0 (少29-24/北尻30-23/山根30-23)
※松倉が王者に
松倉の提案で行われた新設のスーパーミドル級王座決定トーナメント。松倉と田村は3月大会の準決勝でピンチを乗り越えての逆転KO勝ちで共通している。判定のスコアは大差だが、田村の踏ん張りも光る、準決勝同様にスリリングな試合に。
1R、お互い右のカーフキックを蹴り合う展開からスタート。中盤以降にはお互い足が流れる場面も。すると終盤残り30秒、田村が一気に詰めてパンチの連打で松倉を下がらせる。だが松倉はブロックして耐えてから、カウンターで右フックを当ててダウンを奪う。記者採点は10-8で松倉。
2R、またも田村がパンチの打ち合いを仕掛けるが、松倉は右のフックを的確に返し、右のカーフでスリップさせた後、左フックでまたもダウンを奪う。松倉は右の三日月蹴り、ミドル、ロー等を当て続けるが、終了間際に田村がサウスポーからの左フックを当て、ラッシュで反撃する。だがその際、松倉は左まぶたから大量に出血する。カットはバッティングの可能性もあったが、審判団は膝蹴りの有効打によるカットと判断する。記者採点は10-8で松倉だが、カットも考慮し、9-8としたジャッジもいた。
3R、開始すぐに松倉にドクターチェックが入るが、血は止まっており再開する。田村はパンチを連続で振るいながら前に出るが、当たりは軽く、松倉の右ストレートの連打でまたもダウンする。松倉はまぶたから再び出血するが、パンチの打ち合いで左フックを当て、またもダウンを奪取。それでも田村は打ち合い、最後はパンチを連続で当てるが、松倉は逃げ切り終了。記者採点は10-7で松倉。合計30-23で松倉。松倉が累計4度のダウンを奪い、大差をつけ判定勝ちした。
自ら提案のトーナメントをきっちり制した松倉は「階級を上げてから2つ目のタイトルで、確実に日本で(この階級で)一番強いと証明できていると思うんで、これから俺がKNOCK OUTを引っ張っていくんで」とアピールした。
重森陽太、スアレックとの技術戦制し肘有りREDルール王座獲得
第6試合 KNOCK OUT-REDライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分5R
×スアレック・ルークカムイ(タイ/STURGIS新宿ジム/王者、元同61.5kg王者、元REBELS-REDライト級暫定王者・元同スーパーライト級王者、元ラジャダムナン認定フェザー級7位)※初防衛戦
○重森陽太(伊原道場稲城支部/挑戦者、WKBA世界ライト級王者)
判定0-3 (少48-49/北尻47-49/和田47-49)
※重森が王者に
スアレックは2月のシュートボクシングで笠原弘希にKO負けして以来の試合。ベルトを守り名誉挽回したい。挑戦者の重森陽太には昨年9月のRED王座決定トーナメント決勝で3R判定勝ちしたが、5R制&無傷ならどうなるか?
1R、お互い慎重で、重森が左ミドルを当てるものの、蹴り数はまだ少ない。記者採点はイーブン。
2R、スアレックは随所で右フックをヒットするが、終盤、重森が右ミドル、ローを強打し挽回する。スアレックは重森の蹴り足をつかんで振り回す場面も目立つ。記者採点はイーブンだが、重森につく可能性はある。
3R、お互い慎重ではあるが、スアレックは回りながらも、右ミドル、ローを的確にヒットし続け、やや優位に。終了間際、ミドルの応酬で最後の重森が右ミドルを当てて終え、最後は良い印象で終える。記者採点はイーブンだが、支配時間が長いスアレックにつく可能性はある、
4Rも序盤のミドルの応酬で、重森が最後に左ミドルをヒットする。中盤、やや重森が蹴り数多く攻める。終盤、スアレックが重森の蹴り足をすくうと、重森はバック肘を当てるが、スアレックも右フックをヒットする。重森がやや優位だが、記者採点はイーブン。なかなかはっきり優劣がつかない感がある。
5R、重森は細かくミドル、ローをヒット。スアレックは崩しを度々決めるが、攻撃のヒットは少ない。重森は変わらず蹴りを当て続け、やや優位なまま追える。記者採点は重森。ジャッジ3者とも各ラウンド比較的点差を割り振った感がありつつ、1~2点差で重森を支持し、重森が判定勝ちでベルトを奪取した。ベルトを巻かれた重森は少し涙目になっていた。
重森は「日本人はもう(肘打ちや組みつきの)ルール規制しなくても、強いタイ人に通用する技術を持っています。それを私が証明して行きます。BLACKルールも盛り上がっていますけど、REDルールも一緒に楽しんでください」とアピールした。
安本晴翔、Bigbang王者圧倒し10連勝
第5試合 REDフェザー級(57.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○安本晴翔(橋本道場/KNOCK OUT-REDフェザー級王者)
×竹内賢一(Ten Clover Gym/Bigbangフェザー級王者)
3R 0’30” TKO (左ハイキック)
9連勝中のREDフェザー級王者・安本晴翔は、3月にBigbangフェザー級王座を獲得した竹内賢一と第5試合で対戦。緊急事態宣言の影響で2カ月延びての激突となる。
1R、サウスポーで構える竹内に、序盤から安本が右ミドル、ハイをヒット。竹内がスイッチすれば、すぐ安本もスイッチし、左ミドル、ローを当てる。竹内はスイッチを続けるが、安本はその都度逆の構えにして蹴りを当て続ける。竹内は最後、右ロー、右フックを当てるが、それまでのヒット数の差の悪印象を埋めるほどにはならない。記者採点は安本。
2Rも安本がミドルを当て続けるが、竹内は耐え、随所で蹴りを返し、決定打をもらわない。とはいえ蹴り数差は大きい。記者採点は安本。
すると3R、安本が開始すぐに右ハイを当てると、これが効き目を発揮。コーナーに詰めてパンチの連打をまとめ、さらに左ハイを当てると、竹内がダウンする。竹内は立とうとするが、力が入らず、安本のKO勝ちとなった。安本はこれで10連勝の大台に乗った。
ぱんちゃん璃奈、「滅茶苦茶怖かった」sasoriとのシーソーゲーム制す
第4試合 BLACK女子48.4kg契約 3分3R(延長1R)
○ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE/KNOCK OUT-BLACK 女子アトム級(46kg)王者)
×sasori(テツジム/PRIMA GOLD/ミネルヴァ・ライトフライ級(48.99kg)王者)
判定2-0 (山根29-29/センチャイ29-28/和田29-28)
ぱんちゃんは5月の後楽園でのMIREYとの再戦で1R右ストレート一撃KO勝ち。10戦10勝(2KO)とした。今回は希望通り階級上の王者との戦い。女神や平岡琴を圧倒し、寺山日葵も苦しめたsasoriの突進ファイトに、「今回は勝つことが第一」と話すぱんちゃんがどう対応する?
sasoriは食パンのオブジェを肩にかついで入場し、セコンドの藤田飛竜会長がパンを食べるというパフォーマンスで、打倒“ぱん”ちゃんをアピールする。
1R、sasoriはサウスポーに構えて圧力をかけるが、ぱんちゃんはステップでかわしつつ、積極的に右ミドル、右ストレートを当て続ける。終了間際には連打をまとめ好印象を残す。記者採点はぱんちゃん。ジャッジも2者がぱんちゃんを支持する。
2R、ぱんちゃんは序盤、パンチの連打から右ミドル、右ハイにつなげ、早速sasoriをひるませ先手を取る。sasoriはこれまでの試合同様、笑顔を浮かべながら前に出続けると、中盤に左ストレートをクリーンヒット。そこからパンチの連打をまとめ好印象を残す。終盤にもぱんちゃんの右ミドルにsasoriが左ストレートを合わせ、最後は左ミドルも当てて終える。記者採点はsasori。
3R、sasoriは前に出て左ストレート、左ボディを当て、ぱんちゃんも右のボディへの右の前蹴り、首相撲からの膝を返し応戦する。すると中盤、ぱんちゃんは右のハイを2連続でヒット。sasoriは後退する。以降、sasoriは右ボディ、ぱんちゃんは右前蹴り、膝蹴りを当て、激しく打ち合い終了する。記者採点は中盤にチャンスを作ったぱんちゃん。合計29-28でぱんちゃん。ジャッジ1者はイーブンだったが、2者はぱんちゃんにつけ、ぱんちゃんの判定勝ちとなった。
ぱんちゃんは「滅茶苦茶怖かったです。まだまだ弱いので、ギリギリでしたけど、勝てたので自分に100点をあげたいです。敵がいなくなっているんですけど、現役チャンピオン一人ずつぶっ倒していくので、これからのストーリーに期待してください」とアピールした。
小笠原瑛作、バズーカ巧樹、中島弘貴は豪快KO勝ち
第3試合 RED 57kg契約 3分3R(延長1R)
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)王者、ISKA K-1ルール世界バンタム級王者、WPMF世界スーパーバンタム級王者)
×横野 洋(キックボクシングジム3K/元DEEP☆KICK 57.5kg王者)
2R 1’18” KO (左ローキック)
3月の後楽園のメインイベンター・小笠原瑛作は今回第3試合。対する横野洋は1月の新宿で瑛作の先輩の炎出丸を肘で切りTKO勝ち。4月の新宿では森岡悠樹に判定負け。今回は大田拓真の欠場による緊急代役出場だった。
1R、両者サウスポーに構え、前に出る横野に対し、瑛作が左の前蹴り、ロー、右ミドル等を度々ヒットし主導権を握る。横野は攻撃が出せない。記者採点は瑛作。
すると2R、30秒過ぎに瑛作が左ローをクリーンヒットすると、一発で横野はダウンする。瑛作が左ローで再びダウンを奪ったところでレフェリーがKOを宣告。瑛作の完勝だった。
瑛作は「横野選手、1週間前のオファーを受けてくれてありがとうございます。僕はKNOCK OUTのビッグマッチを開催して下さいとずっと頼んでいます。大きい会場でKNOCK OUTをやりたいです。皆さんの力を貸して下さい」とアピールした。
第2試合 BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
○バズーカ巧樹(菅原道場/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者、MA日本スーパーライト級王者)
×康弘(ゴリラジム/九州プロキックボクシング(KPKB)スーパーライト級王者、大和KICK 65kg級王者)
3R 1’37” KO (右バックスピンキック)
バズーカは5月大会のメインイベントで大谷翔司に圧勝リベンジし、後楽園大会に連続出場。昨年11月大会で鈴木千裕に1R KO負けするも2月に九州のKPKB王座を獲得した康弘を迎え撃つ。
1R、ベタ足でプレッシャーをかける康弘に対し、バズーカは右ロー、掛け蹴り、バックスピンキック等を当て続け、中盤、左ジャブを当ててからの右ストレートでダウンを奪う。
終盤、バズーカが飛びつき、康弘はそのまま前方にバズーカを押し倒して上になる。すると下からバズーカが突き放し、少しエキサイトした様子を見せる。センチャイ・レフェリーは康弘に対し、倒れた後に攻撃をしたとして減点1を宣告したが、中継映像を見ても、どういう攻撃をしていたかは今一つよくわからなかった。記者採点は10-7でバズーカ。
2R、序盤に康弘の右ストレートが連続でヒットする。康弘は圧力をかけ続けるが、中盤からバズーカが左ミドル、膝を当て挽回する。終盤はバズーカが左の掛け蹴り、ハイ、左フック等を当て続ける。記者採点はバズーカ。
3R、変わらずバズーカが手数多く攻め続けると、顔面のガードを固めて前に出てくる康弘のレバーに対し、バズーカが右のバックスピンキックをクリーンヒット。ダウンした康弘はうずくまったまま立ち上がれず、バズーカのKO勝ちとなった。
第1試合 BLACKスーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○中島弘貴(LARA TOKYO/元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)※バンゲリングベイ・スピリットから所属変更
×サッシス[Saksith](カンボジア/元クメールボクシング・インターナショナル王者)
1R 2’08” TKO (パンチ連打)
K-1・Krushで長年活躍した中島は1年半ぶりの試合。対するサッシスはムエタイ的な戦いをするカンボジア人選手。同じ70kgの階級のKNOCK OUT-BLACK王座は海人が保持しており、2年前のリベンジにつなぐためにも中島は負けられない。
1R、サッシスの左ミドルに合わせ、中島は右フックをヒットする。中盤、サッシスが右フックを当て、中島が少しバランスを崩すが、詰めて来たサッシスに、中島も右フックを当て返すと、サッシスはひるむ。中島はこのチャンスを逃さず、コーナーに詰めてパンチを連打。サッシスが棒立ちになり、和田レフェリーがダウンを宣告した直後、すぐさまストップし、中島のKO勝ちとなった。
中島は「1年以内にチャンピオンの海人選手とやりたいですね。気合入った試合して行くんで、よろしくお願いします」とアピールした。