REBELS 2.28 後楽園ホール:海人、日菜太との新旧70kg対決制す。白幡裕星、老沼隆斗にリベンジし王座奪取。皇治×山口元気エキシでREBELS“封印”
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REBELS ~The FINAL~
2021年2月28日(日) 後楽園ホール
レポート&写真:久保与志 見どころ紹介:井原芳徳
見どころ紹介
2010年1月23日にディファ有明で旗揚げしたREBELSは今大会をもって“封印”され、同じDef Fellow(デフフェロー)の運営するKNOCK OUTブランドへ3月13日の後楽園大会から“統合”される。(12月の統合発表会見記事はこちら)
長年REBELSの主力として活躍してきた日菜太は、シュートボクシングのエース・海人を挑戦者に迎え、REBELS-BLACKスーパーウェルター級王座の防衛戦を行う。日菜太は昨年9月のKNOCK OUTで田村聖を三日月蹴りで1R KOし3連勝中。海人は元々は65kgで活躍したが、海外の同階級の強豪にパワー負けしたことから、上の体重での試合経験を積むうち、70kg近辺での試合が続くように。昨年のコロナ禍以降、8月のRIZINでルクク・ダリ、10月のRISEで緑川創、11月のシュートボクシングで喜多村誠を下しており、これまでの実績が評価され、REBELS初参戦ながら王座挑戦が認められた。1月の会見で日菜太は「若くて強い日本人とやるのは望んでいたこと」、海人は「勝って70kgの新しい時代を作る」とコメント。REBELS最後の大会にふさわしい新旧70kg対決となる。
REBELS-REDスーパーフライ級王者の老沼隆斗は白幡裕星を相手に防衛戦。両者は昨年2月のノンタイトル戦で対戦し、老沼が延長判定勝ち。白幡はプロデビュー以来の無敗が8で途絶えた。両者その後コンスタントに試合をこなしており、成長ぶりが見もの。
他にもライト級近辺では潘隆成×重森陽太のテクニシャン対決、良太郎×橋本悟の激闘派対決が組まれている。さらに大会最後にはREBELSの創始者の山口元気氏が、K-1でブレイク前にREBELSに3度参戦した皇治とエキシビションマッチを行うことも決定。こちらも目が離せない。
(皇治の出場発表会見記事はこちら)
(山口氏がREBELS 11年を振り返るインタビュー記事はこちら)
試合記事
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無しキックルール
第7試合 無法島presents ダブルメインイベント2 REBELS-BLACKスーパーウェルター級(70kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×日菜太(クロスポイント吉祥寺/王者、元RISEミドル級(70kg)王者)
○海人(TEAM F.O.D/挑戦者、シュートボクシング日本スーパーライト級(65kg)王者、S-cup 2018 65kgトーナメント優勝)
判定0-2 (少28-30/山根29-29/センチャイ28-29)
※海人が新王者に
1R、いきなり右ミドルで先制攻撃をかけた海人が、前蹴り、ロー、ヒザ蹴りと多彩な蹴り技でしかけていく。後手に回った日菜太は得意の左の蹴りが出せず、少し距離設定に苦しんでいるか。日菜太はパンチから蹴りにつなげる攻撃に切り替え、これに海人もカウンターの左フック、鋭いテンカオで迎え撃つ。記者採点は9-10で海人。
2R、日菜太は体勢を低くしてワンツー、プッシュからの奥足ローで削りにかかる。蹴りのイメージが強い日菜太のパンチ主体の攻撃にも、海人は全く動じない。左右のローを飛ばしながら、接近戦になるとカウンターの左フック、そしてエグいヒザ蹴りを何度もボディに突き刺す。日菜太はヒザをもらっても圧力を弱めることなく、徹底してパンチから奥足ローにつなげていく。記者採点は10-10のイーブン。
3R、変わらず前に出てプレッシャーをかけ続ける日菜太に、海人の右ヒザが顔面を捉える。この一発で歯を折られ口から出血した日菜太だが、持ち直すと前に出続けて左ストレート、バックブローで逆転を狙う。フレーム差もあり押し込まれる展開が増えてきた海人だが、それでも日菜太に明確なクリーンヒットは許さず、要所でカウンターの左フックやヒザ蹴りを決めて大きな流れも作らせずにタイムアップ。記者採点は9-10、トータルスコア28-30で海人。
判定は1者が29-29でドローにつけるも、残り2名は28-30、28-29で海人を支持して新王者に就いた。判定が読み上げられると笑顔で会話を交わしていた両者。海人は「僕がしっかり勝たせてもらったんで世界に行きます。僕に任せてください」と宣言すると、日菜太も「お前なら行ける」と太鼓判を押してくれたと明かし、ベルトと共に“対世界”へのバトンも受け継いだ。
第6試合 創世のタイガpresents ダブルメインイベント1 REBELS-REDスーパーフライ級(52kg)タイトルマッチ 3分5R
×老沼隆斗(STRUGGLE/王者)
○白幡裕星(橋本道場/挑戦者、ムエタイオープン王者)
判定0-3 (47-50/48-50/48-50)
※白幡が王者に
1R、互いにハイ、ミドルと高い蹴りを放ちながら出方を窺う様子見の展開から、白幡は時折距離を詰めて左ストレートも狙っていく。老沼ある程度間合いを取って右の蹴りを中心に攻撃を組み立て、ラウンド終盤に強い右ミドルを連続でヒットさせる。記者採点は10-10のイーブン。
2R、白幡が前に出始め、左ミドル、ヒザでボディを攻めつつ、そこからつなげる左ストレートも顔面と腹に打ち分けていく。老沼は右ミドル、インローを蹴って前進を止めようとするが、白幡の圧力は止まず終盤には老沼をロープに詰めて左ストレートをかすめる。記者採点は9-10で白幡。
3R、パンチとヒザで詰めては組み、そこから徹底して組み倒していく白幡。老沼は首相撲ではヒザを返し、右ミドルの数を増やして接近を阻もうとするが、白幡は蹴りをキャッチしても執拗に倒して何度もマットに叩きつける。記者採点は10-10のイーブン。
4R、接近戦から老沼が首相撲をしかけるが、白幡はヒザを返しつつ最後は自分が組み伏せて攻防を終わらせる。老沼はミドルを蹴る距離を中々作らせてもらえず、白幡のボディストレートが効き始めたか後退してロープに詰まる展開が増える。記者採点は9-10、ここまでのトータルスコアは38-40で白幡。
5R、苦しい展開に追い込まれた老沼は右ロー、ミドルを蹴って攻勢をかけようとするが、白幡は蹴り足キャッチ、或いは自ら距離を詰めて組み徹底して組み倒す。ここまで老沼の右ミドルにはひたすらキャッチで対応していた白幡だが、ラウンド中盤にカウンターの左ストレートを合わせて顔面を跳ね上げる。後退する老沼を白幡が追撃する展開で試合終了のゴング。記者採点は9-10、トータルスコアは47-50で白幡。
判定は47-50、48-50、48-50のクリーンシート。1年前の対戦では延長判定の末に敗れた白幡が完封で雪辱を果たし、リベンジ達成と共にベルトを腰に巻いた。
第5試合 セミファイナル REDルール ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×潘 隆成(クロスポイント吉祥寺/元WPMF日本スーパーライト級王者)
○重森陽太(伊原道場稲城支部/WKBA世界ライト級王者)
4R 判定0-3 (9-10/9-10/9-10)
3R 判定1-1 (28-30/29-28/29-29)
1R、開始すぐに重森が鋭い前蹴りで鮮やかに潘を転倒させるが、潘は動じることなく右ローを中心に攻撃を組み立てていく。互いに蹴りに対する反応が速く、カットも巧みなためクリーンヒットを許さない。それでも両者は蹴りから打開を図っていくが、右ミドルの精度では重森が一枚上手か。記者採点は10-10のイーブン。
2R、潘は蹴り合いに終始するよりもシンプルにジャブからローにつなぐ攻撃で削りにかける。重森は左右のミドルをリターンするが、潘のキャッチやカットに阻まれ、次第に足が止まる場面が増えてくると、潘は右ストレートも狙っていく。記者採点はこのラウンドも10-10のイーブン。
3R、パンチからローのヒットを重ねる潘は、アッパーなども織り交ぜて距離を詰めて右ローが深く入り始める。ローの被弾は増えた重森だが、要所で蹴りは返し、互いに完全に崩しきるには至らずタイムアップ。記者採点は10-9、トータルスコア30-29で潘としたが、明確にどちらかが取った言えるラウンドはなかったように感じる。
判定は3者3様の1-1(28-30、29-28、29-29)で延長戦に突入。延長Rに入ると、重森は採点傾向を汲み取ったか自らプレッシャーをかけて右ミドルをヒットさせていく。潘がパンチ、ローで応戦しても打ち終わりに必ずミドルをリターンし、ラウンド終盤には潘をロープに詰めてパンチで攻め、右ストレートを当てたところで試合終了。記者採点は9-10、判定も3者共に重森を支持し、延長Rは地力の差を見せて競り勝った。
第4試合 REDルール スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
×津崎善郎(LAILAPS 東京北星ジム)
○リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原道場アルゼンチン支部/新日本ウェルター級王者)
判定0-3 (29-30/28-30/28-30)
1Rからパワフルかつテンポの良いパンチと蹴りのコンビネーションで攻勢をかけるブラボだが、津崎は被弾しつつもガードを固めてカウンターの機会を狙う。津崎は右ローを散らしながら、スウェーでの対処が危ういブラボの顔面を右フックがかすめるがビッグヒットには至らず。次第にブラボの攻めに押され手数が減り、3Rには右ローを痛打されて足も止まり、ブラボはロープに詰めると強烈なボディショットも交えて津崎を追い詰め、終始攻め続けたブラボが判定で勝利した。
第3試合 REDルール 64kg契約 3分3R(延長1R)
○良太郎(池袋BLUE DOG GYM/REBELS-REDライト級王者)
×橋本 悟(橋本道場/INNOVATION&ムエタイオープン・スーパーライト級王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-26)
1R、良太郎が左右のミドルでプレッシャーをかけながら隙を伺う静かな立ち上がりで幕を開けるが、ラウンドも終盤に差しかかったところで橋本が左右のフックで良太郎を大きくグラつかせ一気にヒートアップ。良太郎は組みで凌ぐことなくパンチで応戦し、激しい打ち合いから良太郎が右フックをねじ込んでダウンを奪い劣勢を覆す。2Rに入ると一旦ペースは落ち着き、良太郎は左ミドルで距離を制しつつ、橋本の入り際に右ヒジを合わせて眉間を切り裂く。カットをアピールする良太郎にパンチで襲いかかる橋本。良太郎は蹴りに加えて左ボディを深くヒットさせるなどパンチも散らして腹を効かせる。
3R、KOでの逆転しか勝利の可能性がほぼなくなった橋本は左右のフックを振るって良太郎をコーナーに詰める。しかし良太郎は巧みに身体を入れ替えると、逆にコーナーを背負わせて痛烈な右ヒザ、ヒジを橋本の顔面とボディに打ち分ける。苛烈な攻撃を浴びる橋本だが、右フックを与え返し反撃。最後はまたも壮絶な打ち合いに突入し、両者一歩も引くことなく試合終了のゴング。判定は1Rにダウンを奪った良太郎が大差の判定で勝利したが、互いの意地と気迫が存分に見えた熱戦に会場からは2人に大きな拍手が送られた。
第2試合 BLACKルール ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×紀州のマルちゃん(武勇会/INNOVATIONライト級4位)
○麻火佑太郎(PHOENIX)
1R 1’18” KO (3ダウン:右フック)
第1試合 BLACKルール 55.5kg契約 3分3R(延長1R)
○鈴木貫太(ONE’S GOAL)
×大川一貴(青春塾)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
スペシャルエキシビションマッチ 2分2R
―山口元気(山木ジム/元MA日本フライ級&フェザー級王者)
―皇治(TEAM ONE/ISKA世界ライト級王者)
勝敗無し
皇治のセコンドとして入場したウィラサクレック・ウォンパサー会長が飛び入りでレフェリーを務めるなど和やかな雰囲気で始まった試合だったが、皇治は遠慮なしに山口代表の腕にエキシビションとしてはかなりきつめの右ミドルを浴びせていく。山口代表も得意の左ミドルを返してミドルキックの応酬となり、山口代表がダウンを喫しても認めないウィラサクレック劇場を挟みつつ試合が進む。
2Rに入ると、疲労困憊の山口代表にウィラサクレック会長が会場に「元気コール」を促し、ボディを突き出す皇治に懸命に左ミドルを連打して試合終了した。
マイクを握った皇治は「山口代表ありがとうございます。自分はいつもふざけてばっかりですけど、地方でいっこも飯も食えない状態でファイトマネーもクソ安く、地方でイキってるクソガキを当時REBELSで使ってくださって。いい結果は出せなかったですけど使ってくださったおかげで東京に名前が広まり、ここでリングアナウンサーしてる宮ちゃん(宮田充プロデューサー)がK-1で拾ってもらい名前を売らしてもらえるようになりました」と山口代表、そしてKrush・K-1で縁のあった宮田プロデューサーに感謝の念を伝え、「今年は仕返しというか自分の階級で証明するために、いまウィラサクレック会長に鍛えていただいてます。今年はしっかり男を見せるので、みなさん応援してもらえたら嬉しいです」とRIZINでの巻き返しを誓った。
最後に山口代表が「今日はREBELS最後の興行に最後まで来ていただいて、このコロナ過の中ありがとうございます。本当にファンの皆様がいないと成り立たない職業なので、ずっと10年間応援してくれている皆様ありがとうございます。今まで僕一人では考えられなかったようなことを宮田さんがどんどん考えてくれて、『REBELS ~The FINAL~』ですけど次のKNOCK OUTから楽しみなイベントになっていくんじゃないかと期待しています。この10年間蓄えてきたものが、今年一気に開花すると思ってます。なので寂しい気持ちはないです。REBELSというものが一丸となって、宮田さんの引っ張る新しいKNOCK OUTとなって、ファンの皆様が楽しんでいけるように僕も頑張っていきたいと思います」と挨拶。惜別の10カウントゴングと共にREBELSの歴史に一旦幕を閉じた。
UMA(K&K BOXING CLUB)引退セレモニー
元REBELS-BLACK 65kg級&67kg級王者、ルンピニー日本ウェルター級王者のUMAの引退セレモニーが行われた。UMAがこれまでのキャリアを振り返った引退記念インタビュー記事はこちら。
◆UMA「本日はコロナ過の中、REBELSを開催、そして引退式を作ってくださり、宮田プロデューサー、山口会長、REBELS関係者の方々、そして会場に来てくださったREBELSファンの皆様、本当にありがとうございました。最後は怪我をして引退することになってしまったんですけども、最高の現役生活だったと思います。ここに至るまでたくさんのサポートがありました。お父さん、お母さん、UMA後援会のスポンサーさんやK&Kボクシングクラブの方々、クロスポイントの会員さんや練習仲間に本当に感謝しています。
最初はご縁があって北海道からREBELSに参戦させてもらっていましたが、継続して呼んでもらったおかげで知名度も上げてもらい、他団体に出ている時もREBELSファンの皆さんにいつも応援に来ていただいたり、いつの間にかREBELSにホームを作っていただけました。そのおかげでどこに行っても自分は一人じゃないと思えて、どこで戦っても負ける気が全然しなかったです。暖かいREBELSのファンの皆様、本当に大好きです!そして最後にこうして引退式を開いてもらえて、本当にキックボクシングをやってて良かったと思えました。これからもキックボクシングのREBELS・KNOCK OUTを応援してください」