RIZIN TRIGGER 11.28 神戸ワールド(全試合レポ):萩原京平、昇侍を2R KOし大晦日のドミネーター戦希望。堀江圭功、完勝も怪我で大晦日に暗雲。木下憂朔、暴走反則負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
RIZIN TRIGGER 1st
2021年11月28日(日) 兵庫・神戸ワールド記念ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)RIZIN FF
ケージファイトの新シリーズ「RIZIN TRIGGER」スタート。萩原京平、昇侍をKOし大晦日のドミネーター戦熱望
第14試合 メインイベント MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ/元パンクラス・ライト級王者)
○萩原京平(SMOKER GYM)
2R 1’19” TKO (レフェリーストップ:右ストレート→右サッカーボールキック)
「RIZIN TRIGGER」は選手発掘・育成・再生、および地方活性をテーマに掲げるRIZINの新シリーズ。triggerという英単語には引き金、きっかけ、作動させるといった意味がある。試合場は四角いリングではなく8角形のケージを採用する点でもこれまでのRIZINとは異なる。また、開会式、休憩前までの試合の紹介VTRも無く、休憩明けの紹介Vも短いもので、ナンバーシリーズクオリティの紹介Vはメインイベントのみと、全体的に演出が簡素化されている。
10月2日に初開催された生配信主体の新シリーズ「RIZIN LANDMARK」のメインイベントで朝倉未来に判定負けした萩原が、地元大阪の隣の兵庫での今大会のメインイベントに登場。新シリーズ両方の一発目のメインイベンターとなる。
対する38歳のベテラン・昇侍は昨年9月のRIZINでRIZINに初参戦し、朝倉海に1R KO負け。今年2月のDEEPで元谷友貴に1R裸絞めで一本負けしたが、9月のRIZINではキック大会・KNOCK OUTの王者・鈴木千裕を開始わずか20秒でKOし、大きなインパクトを残した。
昇侍は海戦をきっかけに海との仲が深まり、朝倉兄弟と練習も共にするようになり、海のYouTubeチャンネルでも「どこでも昇侍」と呼ばれファンを増やした。萩原も昇侍も朝倉兄弟絡みで人気を高めた点、派手なKO劇を過去見せた点で共通し、新シリーズ・TRIGGERを認知させる“きっかけ”に適したマッチメイクとなった。
1R、体格で勝る萩原は開始すぐからプレッシャーをかけ、昇侍が出てくれば右のカーフキックをヒットする。だが昇侍は、前回の萩原戦の未来のようなニータップ式のタックル一発でテイクダウンに成功する。だが萩原は立ち上がると、離れ際に左肘をヒットする。萩原は右のカーフを当て、昇侍はスリップするが、再びタックルを仕掛け、金網際でオンブになり、裸絞めを狙う。昇侍は無理だと判断すれば固執せず、倒してハーフで押さえる。サイド、バックと動き、再び立ち上がってオンブになろうとするが、失敗すると、萩原は離れ際に左肘をまたもヒット。最後は萩原がパンチラッシュで右フックを度々当てるが、昇侍も右フックを返し、スリリングな展開でラウンドを終える。ここまで萩原優位だが、萩原は試合前から腫らしていた左まぶたから少し出血している。
2R、萩原が右の飛び膝を放つと、昇侍は足をつかんでから組み付き、金網に押し込む。だが萩原はまたも離れ際に左肘をヒット。離れると萩原は左フックを当てるが、昇侍も左ボディ、右のボディ狙いの前蹴りをお返し。萩原は少しひるむ。
すると昇侍が前に詰めてきたが、萩原は持ち直すと、右のストレートをヒット。ひるんだ昇侍を下がらせ、パンチの連打からの右ストレートを当ててダウンを奪うと、最後は金網を背にして倒れた昇侍の顔面に、左手で金網をつかみながらではあるが、右のサッカーボールをクリーンヒット。すぐレフェリーが間に入りストップした。
マイクを持った萩原は「試合の5日前、ありがたいことに、ものもらいをもらい、これがあったから勝てたんかなと思います。大きな怪我無く終わったし、年末、暇しているんで、オファー待ってます。堀江選手とやりたかったんですけど、堀江選手は(怪我で)出てくることは無いと思うんで、前から言ってたドミネーター選手、大晦日、会社休みでしょ?暇してるんなら試合しましょうよ。僕は何日前でもオファー受けます」とアピールし、弥益ドミネーター聡志との対戦を希望した。その理由について萩原は大会後のインタビューで「元々、朝倉戦が決まる以前はドミネーター選手とやりたかったんで、振り出しに戻って積み重ねる意味で指名させてもらいました」と説明した。
堀江圭功、RIZINフェザー級3連勝も右拳負傷で大晦日に黄信号
第13試合 MMA 68kg契約 5分3R
○堀江圭功(ALLIANCE/元パンクラス・フェザー級1位)
×中田大貴[ひろたか](和術慧舟會HEARTS/パンクラス・フェザー級1位)
判定3-0 (松宮=堀江/大藪=堀江/柴田=堀江)
堀江は昨年9月、パンクラス・フェザー級王座次期挑戦者決定戦で中島太一に敗れると、今年からRIZINに参戦。3月の名古屋大会でZST王者の関鉄矢に右ストレートでTKO勝ちし、9月の埼玉大会では佐々木憂流迦に判定勝ちし、混戦のフェザー級戦線で2連勝している。
中田はRIZIN初参戦の25歳。着衣総合武道の空道をベースとし、19年のアマチュアパンクラス全日本選手権で優勝後、昨年7月にパンクラスでプロデビューし5戦4勝1敗。今年4月には元パンクラス王者の田村一聖に1R TKO勝ちすると、9月にはRyoに判定勝ちし、1位にまで浮上した。中田が大会2週間を切っての出場発表ということもあり、通常のRIZINフェザー級の66kgよりも2kg重い68kg契約で争われる。
1R、堀江が右のカーフキックを当て、詰めて来た中田に右フックをヒット。左ボディ、左ジャブ、サウスポーに切り替えての左ミドルも強打し先手を取る。その後も堀江が打撃を当て続け主導権。中田は鼻血を出しつつも耐え、笑顔を浮かべ前に出る場面も。堀江が左フックを空振りした後に中田が左フックを当て、危険なムードを漂わせる。終盤、堀江は圧を強め、左右のフックを立て続けにヒットするが、中田は耐え、右のカーフを返す。ここまで堀江が優位だ。
2R、堀江が変わらず的確にパンチを当てるが、中田は前に出続ける。中盤、堀江は片足タックルでテイクダウンを奪い、ケージ中央でハーフで押さえる。堀江は時折、鉄槌や肘を当て、主導権を維持する。
3Rも中田が前に出てくるが、最初から堀江が胴タックルでテイクダウンに成功し、再びケージ中央でトップをキープしパウンドを落とす。中田は長時間キープさせずスタンドに戻すが、またも堀江が片足タックルで倒し、今度は金網際でハーフで押さえる。その後も中田が立ち、堀江が倒す展開の繰り返し。最後は中田が立ち上がり際にオンブになるが、その先につなげられず終了。タフな中田を仕留めきれずも、堀江が経験差を見せつけ、判定3-0で完勝した。
フェザー級3連勝の堀江はマイクを渡されたが「みなさん、ありがとうございます。以上です」とだけ話し退場した。大会後のインタビューには右腕を三角巾で吊った状態で登場し「1R序盤に右拳が折れて、KOができなかったですけど、MMAで勝てて良かったです。思った以上に相手がタフでした」「拳(の負傷)は前回の試合からでした」「練習でも(右のパンチを)当てないように我慢していたんですけど、試合になると耐えきれなかったですね」と話し、元々万全では無かったことを明かした。
ウェルター級戦線はベテランのストラッサー起一が快勝。新鋭・木下憂朔は強さ見せるも反則負け
第12試合 MMA ウェルター級(77kg) 5分3R
○ストラッサー起一(総合格闘技道場コブラ会/元HEATウェルター級王者)
×川中孝浩(BRAVE/GRACHANウェルター級1位)
1R 4’10” 肩固め
ストラッサーは大阪出身。これまでRIZINで北岡悟、住村竜市朗に勝利したが、19年に2試合したベラトールではいずれも敗れており、今回2年ぶりの試合。RIZINの発表したコメントでは「以前RIZINに出場し2連勝を重ねましたが、僕のレベルに見合う対戦相手が当時見つからないと言う事で少しの間RIZINから離れていました」「世界レベルで戦って来た実力で国内選手との圧倒的なレベルの差を見せつけたい」と話していた。
川中はRIZIN初参戦の31歳。11年にDEEPでデビューし、DEEPとGRACHANに並行参戦。今年8月のGRACHANではレッツ豪太に1R TKO勝ちしている。
1R、川中が序盤から内股で倒すが、ストラッサーはすぐ立つと押し込み、テイクダウンを奪い、ハーフで肩固めを狙いながらマウントへ。再び肩固めを狙うが、川中はブリッジで脱出する。川中は立ち上がってサッカーボールキックを放つが、ストラッサーは防御し、立ち上がって金網に押し込む。膠着ブレイク後、川中がパンチを振り回して突っ込んで来るが、ストラッサーの右フックで川中はひるむ。ストラッサーはさらに右ストレートをヒット。金網際で倒れた川中に、起一がパウンドを当てつつ上になり、肩固めを極めてタップを奪った。
ストラッサーは「ウェルター級、前の試合の木下選手、(階級を)上げて来るかもしれない阿部(大治)選手、マルキーニョス(=マルコス・ヨシオ・ソウザ)選手、そしてファン一番見たがっている(中村)K太郎選手がいるんで、榊原さん、僕の戦う場を与えてください」とアピールした。
第11試合 MMA ウェルター級(77kg) 5分3R
○住村竜市朗(TEAM ONE/DEEPウェルター級王者)
×木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/パンクラス・ウェルター級1位)
2R 2’34” 失格 (金網をつかんだ反則状態での打撃攻撃)
住村は兵庫県淡路島出身の35歳。RIZINではストラッサー起一、ジョン・タックに敗れたが、昨年11月の大阪大会ではレッツ豪太に判定勝ちした。今年6月のDEEPの米田奈央戦は住村による偶発的なローブローで負傷判定決着に終わったため、10月23日の大会で再戦すると、苦戦の末に判定2-1で勝利している。約1カ月の短い間隔での凱旋マッチで、どれだけ動きを上げられるか気になるところだ。今回の木下戦にあたり「チャンピオンの俺が高い壁になって、まだまだ青いケツを引っ叩いてやろうと思います」とコメントを発表していた。
木下は大阪出身の21歳でRIZIN初参戦。6歳から空手を習い、15歳からMMAを始め、アマパンクラス等の経験を経て昨年4月にプロデビューし、4試合とも1Rフィニッシュで勝利している。9月のパンクラスでは高木健太から左フックでダウンを奪ってからのギロチンで仕留めた。金太郎や前田吉朗に続き、新世代の木下が稲垣組の強さを見せつけることに。
1R、木下がサウスポーに構え、オーソドックスの住村にプレッシャーをかけ、左ミドルを当ててから詰めて右フックも当てる。その後、左ハイを放った際にスリップすると、住村が組んで来るが、木下は突き放す。中盤、住村の左ローがローブローとなり一時中断する。3分程休み再開。木下は右ローを着実に当てつつ、左ミドルもヒット。住村も右ストレートを当てる。やや木下の手数が上で若干優位だが、まだ大差はない。
2R、開始すぐに木下の左テンカオが炸裂すると、住村はスリップ。木下は上になるが、すぐスタンドに戻すと、立ち際にも左膝を当てる。だが住村は押し込むと、抱えてテイクダウンに成功。木下が立ち上がれば、住村はオンブになり裸絞めを狙う。しかし木下は防御し脱出すると、左ボディフックを効かせてから、左フックで下がらせると、金網に詰め右ストレートを2連続でヒット。ダウンした住村に対し、木下が金網をつかみながら、何度も顔面を踏みつけたところで和田レフェリーがストップした。
木下は「この階級、僕みたいな若手がいなかったんで、盛り上がることが無かったと思うんですけど、これから僕が引っ張ります。本気で世界行きたいんで、僕の試合、絶対見てください。ハズレないんで。暇なんで大晦日行きたいです」と笑顔でアピールした。
なお、この後の2試合が終わった後、RIZINの福田正人審判部長がケージに入り、住村×木下のインスタントリプレーを行った結果、木下の最後の金網をつかんでの踏みつけを「重大で危険な行為」と判断し、木下の失格負けに裁定を変更したと発表した。
勝者となった住村だが、バックステージでのインタビューでは「負けは負けですね。ルールはあるんでしょうけど、あっこまでコテンパンにやられたら、何も言い訳できないですね」とコメント。今後については「歳も歳ですし、色々考えないといけないのかなとも思います」と話し、引退も選択肢にあることを示唆した。
一方の木下は「おっしゃーと思い過ぎて、つかんじゃったっすね。RIZINは踏みつけとサッカーボールキックがアリなんで、踏みつけて終わらせたろうと思い過ぎたっすね」と苦笑しながら話した。内容自体に関しては「DEEPの正規王者相手に実力を出せたのは大きい」と評価。今後については「パンクラスのベルトに向けてやっていけたらと思いますし、またRIZINに呼んでいただけたら、次はロープつかまんと倒したいと思います」と話した。
魚井フルスイング、豪打炸裂
第10試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×獅庵(パラエストラ大阪/GRACHANバンタム級3位)
○魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)
1R 4’53” TKO (レフェリーストップ:左サッカーボールキック)
獅庵は徳島出身。パンクラスの元ランカーで、19年からGRACHANに主戦場を移し、昨年9月、伊藤空也とのバンタム級王座決定戦で敗れる。今年3月のRIZIN初戦で祖根寿麻を27秒KO。バンタム級日本GPに抜擢されたが、6月の大阪大会での一回戦で大塚隆史に判定負けしている。
魚井は兵庫出身。19年6月のRIZIN神戸大会でRIZINに初出場し、カナ・ハヤットに勝利。昨年8月の横浜大会では元谷友貴に一本負けした。今年3月には修斗で後藤丈治に敗れ5連敗中。故郷での一戦から再浮上のきっかけをつかめみたい。
1R、獅庵がオーソドックスで構えてプレッシャーをかけ、魚井がサウスポーに構え左に回る構図。お互い慎重だったが、中盤、魚井のフルスイングの左フックが炸裂し、獅庵が少しひるむ。見合う状態に戻り、なかなかお互い攻撃が出なかったが、残り30秒、一気に試合が動く。魚井が左フックを当てると、獅庵は腰が落ちる。魚井のセコンドの大沢ケンジ氏から「効いているから行け」との声が飛ぶ。それでも前に出て来た獅庵に対し、魚井が再び左フックを当てると、獅庵はダウン。魚井がダメ押しの左サッカーボールキックを当てたところでレフェリーがストップした。敗れた獅庵はストレッチャーで運ばれた。
竿本樹生、苦戦も13連勝
第9試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○竿本樹生(BRAVE/ZSTフライ級王者)
×松場貴志(パラエストラ加古川/GRACHAN&GRANDフライ級王者)
判定2-1 (和田=松場/松宮=竿本/大藪=竿本)
竿本は和歌山出身の25歳。18年にZSTフライ級王者となり、昨年8月のRIZIN初戦では中村優作を左オーバーハンドフックでKO。昨年11月の2戦目ではパンクラス王者の北方大地に判定勝ちし12連勝中。試合はそれ以来1年ぶりだ。
松場は愛知出身の30歳でRIZIN初参戦。高校時代はレスリングを習い、13年にパンクラスでMMAデビュー。以降はGRACHANを主戦場とし、GRACHANとGRANDの王座を獲得した。仕事の都合で兵庫に転勤し、ALIVEからパラエストラ加古川へ移籍し、今年2月のDEEPでの約1年ぶりの試合では安谷屋智弘に僅差の判定負けを喫している。
1R、両者サウスポーに構え、慎重にパンチを狙う状況が続く。竿本は右ボディ、右フック、松場は右ジャブ、左アッパーを随所でヒットするが、お互いなかなか均衡を崩せない。最後、松場が片足タックルで倒しかけるが、竿本は切る。松場は鼻血を出しているが大きなダメージでは無い様子だ。
2Rも竿本は右ボディ、左フック、松場は左右のフックをヒットするが、なかなか均衡は崩れず。終盤、松場が左ハイ、竿本が左ストレートを当て、やや動きかけるが、均衡状態でラウンドが終わる。
3Rも均衡状態が続き、中盤、松場がタックルを仕掛けるが、竿本は耐えて金網に押し込む。離れると、竿本が右フックを連打。中盤過ぎには左フックも当てる。松場は左ハイを放つが、疲れて来た影響か、力が入りきらず。終盤、竿本が積極的に攻め、右フックで松場を少しひるませると、追い掛けて左フックも当て、やや優位で終える。記者採点は3Rに差をつけた竿本。接戦のためジャッジは割れたが、2者が竿本を支持し、竿本が判定勝ちした。竿本は勝ったものの苦戦のため喜びは無かった。
鈴木千裕、冷静ファイトでRIZIN初勝利
第8試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者)
×山本空良[そら](パワーオブドリーム/Fighting NEXUS&PFCフェザー級王者)
判定3-0 (大藪=鈴木/松宮=鈴木/柴田=鈴木)
鈴木は18年、パンクラス・ネオブラッド・トーナメントで優勝。だが続く試合で計量失敗し、翌19年からキックに転向し、11戦10勝(8KO)1敗、4試合連続1R KO勝ちと好成績を残す。7月のKNOCK OUTで初のタイトルを獲得すると、MMAとの“二刀流”で活動することを表明。9月のRIZINでのMMA復帰戦では、昇侍相手に開始すぐから打ち合いを仕掛けたが、わずか20秒でTKO負けしている。
山本は北海道出身の21歳でRIZIN初参戦。99年のUFC-Jミドル級トーナメント優勝者・山本喧一の次男。修斗世界ライト級王者の西川大和とは幼馴染で今も練習仲間だ。父が北海道で主催するPFCや、ZSTで経験を積み、Fighting NEXUS初代フェザー級王者決定トーナメントの今年4月の決勝で須貝秋彦を1R右ハイでKOしベルトを巻いた。試合後には「自分の目標は会長(=父)の背中を追うことなので、会長の代わりにUFCのタイトルを取ります。その前にRIZINのフェザー級のタイトルを取りたいです」と発言。最近では10月のRoad to ONEで野尻定由に判定勝ちしている。
鈴木も山本も、16年と17年の年末に行われたRIZINアマチュアトーナメントの優勝者である点で共通する。RIZINの撒いた種が約5年の時を経て芽吹いたと言えそうな好勝負となる。
1R、スタンドの展開が続き、鈴木は中央で構えつつも、前回のように前に出過ぎず慎重な出だしで、ジャブを振りつつ、的確に左右のローを当て続ける。中盤過ぎ、山本が組みに来ると、鈴木は耐え、金網に押し込む。だが終盤、山本は足を掛けて崩すと、すぐに鈴木のバックを取ることに成功。山本が裸絞めを極めかけるが、鈴木は体をひねってギリギリで防御する。
2R、山本が組みを狙って前に出るが、鈴木は右ストレートを効かせ、金網際での打ち合いでも左フックを当て、山本をダウンさせる。スタンドに戻り、鈴木がプレッシャーをかけ、左右のローを的確にヒット。ここでも鈴木は勝負を急がない。終了間際、セコンドの塩田歩・パラエストラ八王子代表の「行っていいよ」の声に合わせ、鈴木は圧力を強め、右フックでひるませる。そのまま倒すと、最後は山本が腕十字を狙うが終了のゴングが鳴る。山本は劣勢だが、組みの展開になればまだまだ勝機があると思わせる終わり方だ。
3R、鈴木は慎重に圧を掛ける。山本が組んで来れば、離れ際に右肘を当て、離れれば右ボディストレート、右カーフを当てる。終盤、後の無い山本が前に詰めるが、鈴木は右ストレート、右ミドルを的確にヒットし終了。山本の反撃を封じ、鈴木が判定勝ちした。
鈴木は寝技で粗は見えるも、打撃の破壊力と試合運びのクレバーさを印象付ける試合に。敗れた山本も寝技の切れ味を印象付けた。両者とも発展途上ながら、TRIGGERのコンセプトの選手発掘・育成に沿ったファイトを見せてくれた。
鈴木は「僕をこれから応援する人も、ニワカじゃね?ってのは無いんで、ぜひ応援してください。クロスポイントは沖縄大会で渡慶次先輩が負け、その前に僕が負け、どっちかが勝たないといけなかったんですけど、僕が勝って流れを変えました。次は渡慶次選手勝ってください。そして前回負けてむっちゃ悔しかったです。この後、昇侍さん、メインですけど、昇侍さん、負けんじゃねえぞ」とアピール。最後はマイク無しで四方に「ありがとございました」と叫び、鈴木らしく内容盛沢山のアピールとなった。
グラント・ボグダノフ、ダイキ・ライトイヤー、政所仁らが快勝
第7試合 MMA 73kg契約 5分3R
×奥田啓介(DRAGON GATE)
○グラント・ボグダノフ[Grant Bogdanove](米国/ALMA FIGHT GYM LIFE)※KUSSANO TEAMから所属変更
1R 1’07” 裸絞め
奥田は12年レスリング世界大学選手権9位の結果を残し、大学卒業後にプロレスラーとなり、15年にはINOKI BOM-BA-YEでMMAデビュー。その後もFighting NEXUS等でMMAとプロレスを並行する。10月のRIZIN LANDMARKで鈴木博昭のMMA初戦の相手を務めるも1R TKO負けした。
ボグダノフはRIZIN初参戦。父親が米国人、母親が日本人の27歳。6歳から柔道を、中学から高校はレスリングを習い、大学では柔道を再開しつつ柔術も経験。英語の教師になるため日本に渡ると、柔術やノーギグラップリングの全日本大会で好戦績を残し、QUINTETでは小見川道大のチームにも参加した。6月のDEEPでMMAデビュー戦し、田中一矢に1R裸絞めで圧勝。その勝利で師匠のレアンドロ・クサノより黒帯を授かった。今回がMMA 2戦目で、今後、ボンサイ柔術勢のような寝技旋風をRIZINに巻き起こす可能性が十分ある選手だ。
1R、奥田は開始すぐから距離を詰め、左フックを当ててから組み付き、ボクダノフを押し込む。だがボクダノフは足を掛けて倒し、すぐさまマウントに。ボクダノフは鼻血を出しつつも、バックを簡単に取ると、裸絞めを極めタップを奪った。
マイクを持ったボクダノフは「大晦日、黒帯 vs. 黒帯、柔術最強決定戦、サトシ、レッツゴー」と話し、RIZINライト級王者で柔術界の先輩であるホベルト・サトシ・ソウザとの対戦を希望した。
第6試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×釜谷 真(SWAG GYM KYOTO)
○ダイキ・ライトイヤー(修斗ジム神戸)
2R 2’49” KO (左膝蹴り)
両者ともRIZIN初参戦。釜谷は京都出身の38歳で約15年・40戦以上のキャリアのあるベテラン。DEEPを主戦場に、北田俊亮、大塚隆史、元谷友貴、昇侍ら上位勢に敗れ、ベルト奪取ならなかったが、19年には白川陸斗にギロチンで一本勝ちしている。最近では9月にGLADIATOR大阪大会で竹本啓哉に敗れている。
ダイキは地元兵庫出身の33歳。13年のデビューから現在まで修斗を主戦場とし9勝8敗3分。16年のVTJでは佐藤将光にTKO負け、昨年12月の修斗では田丸匠に一本負けした。最近では3月に高岡宏気に判定勝ちしている。
1R、序盤から釜谷が片足タックルでテイクダウンに成功し、ハーフでで押さえる。だが中盤、ダイキは下から足を効かせてリバースに成功し、すぐスタンドに戻す。終盤に釜谷が左ジャブ、ダイキが右テンカオを当てるが、両者なかなか攻撃が出せない状態が続く。
2R、釜谷の軽く当てた左フックでダイキがスリップするが、すぐにダイキは持ち直しスタンドに戻す。お見合いが続き、中盤にダイキが詰めるが、釜谷が出した左手の指がダイキの右目に入り、一時中断する。ダイキにとっては痛い状況だったが、ここから試合が一気に動くことに。再開後、釜谷が右ローを当てた後、ダイキが左ジャブ、右ストレートを放ちながら前に出る。釜谷は真っ直ぐ金網際まで下がると、足元へのタックルで迎撃しようとしたが、ダイキが左のテンカオをクリーンヒット。釜谷は腰から崩れ落ち、ダイキが鉄槌で追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした。
マイクを持ったダイキは「RIZINファンの皆さん、修斗のファイター、いいでしょ?まだまだ修斗がメインのステージになると思いますけど、また機会があればお願いします」と、修斗愛をアピールした。敗れた釜谷は試合後、引退を表明している。
第5試合 キック(肘無し・つかんでの攻撃は1回) 53kg契約(バンタム級相当) 3分3R
○政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級(53kg)1位、WBKF世界スーパーフライ級王者、元J-NETWORKフライ級王者)
×平松 侑[ゆう](岡山ジム/INNOVATIONバンタム級王者)
2R 1’08” TKO (レフェリーストップ:右フック)
政所はRIZINで17年10月に石井一成に、昨年11月に佐藤執斗に判定勝ち。今年7月から9月に行われたRISEの53kgトーナメントでは一回戦で田丸辰を破り、準決勝では優勝者の風音に敗れた。
平松は19歳でRIZIN初参戦。7歳から極真空手を始めジュニア時代は107戦76勝31敗し6冠を獲得。プロデビュー後は5勝7敗3分と苦戦しているが、1月には地元岡山で白幡裕星に判定勝ちしINNOVATIONバンタム級王座を獲得している。
1R、長身の平松がサウスポーで構えてプレッシャーをかけていたが、中盤から政所がプレッシャーをかけ返し、右インロー、ボディ、ストレート等を多くヒット。終盤は金網際に詰め、左ボディ、右テンカオ等も当てる。
2R序盤、政所が右ハイを放つと、平松はブロックしたが、続けて政所は右の顔面狙いの前蹴りをクリーンヒット。ガードできなかった平松はダウン。政所は勝負所と判断したか?立ち上がった平松にパンチを連打し、打ち合いの展開で右フックをクリーンヒットし、2ダウン目を奪ったところでレフェリーがストップした。
政所は「今日でRIZIN 3試合目ですけど、全部勝って、今日はKO勝ちなので、大晦日に出させてもらいたいです」とアピールした。
第4試合 キック(肘無し・つかんでの攻撃は1回) 61kg契約(ライト級相当) 3分3R
×市村大斗(多田ジム/元西日本統一スーパーバンタム級王者)
○テーパリット・ジョウジム(タイ/ジョウジム/プロボクシング元WBA世界スーパーフライ級王者)
2R 2’54” TKO (レフェリーストップ:右フック)
両者ともRIZIN初参戦。市村は大阪出身の23歳。小学4年生から空手を学び、ジュニアキックで40戦以上を経験。プロデビューした15年にはINNOVATIONバンタム級新人王を獲得。18年に西日本統一スーパーバンタム級王者になった。
テーパリットは33歳。ムエタイでの約200戦のキャリアを経てプロボクシングに転向し、11年にWBA世界スーパーフライ級王者になると、亀田大毅や名城信男に勝利。16年に引退後、日本に渡り、19年にはABEMA「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」で天心とも戦った。最近はRISEにも参戦。9月に天心と戦った鈴木真彦とも7月に対戦し、激しい打ち合いで観客を沸かせた。
1R、テーパリットが右ボディ、左フック、右ローを強打し、右ハイも絡める。市村も右ローを随所で返し、終盤には金網に詰めて右のストレートを当てる。ヒット数でテーパリットが上回るラウンドに。
2Rもテーパリットが右ストレート、右ボディ、ローを等で手数多く攻めると、終盤に右ボディを効かせてから、市村の左ミドルに合わせて右のオーバーハンドフックをクリーンヒットしダウンを奪う。市村は座ったまま立ち上がれず、レフェリーがストップ。テーパリットのTKO勝ちとなった。
第3試合 キック(肘無し・つかんでの攻撃は1回) 女子46kg契約(アトム級相当) 3分3R
○百花(魁塾/RISE QUEENアトム級(46kg)3位、ミネルヴァ・アトム級(46.26kg)4位・元王者)
×未來[みく](Blaze/ミネルヴァ・ピン級(45.36kg)9位)
判定3-0 (和田30-27/豊永30-27/片岡30-28)
大阪出身の百花は政所仁のいとこで、RISEを主戦場とし、9月大会のRIZIN初戦で、ぱんちゃん璃奈に判定負けしている。香川出身の未來は3勝2敗の27歳でRIZIN初参戦。
1R、お互いパンチ主体の攻めで、百花が右フックを随所で強打。未來は鼻血を出す。未來も右フック、ローを返すが、手数で劣る。
2R、途中まで百花の手数が上回るが、中盤以降勢いが落ちると、未來の右ストレート、右前蹴りも当たり出す。それでも終盤、百花は左右のフックで未來をスリップさせて持ち直す。
3R、未來も右ハイを当てたり、前に出る場面が目立つようになるものの、百花は接近戦で細かくパンチを当て、運動量では上。記者採点は1Rと3Rに百花につけ30-28で百花。ジャッジ3者も百花を支持し、百花の判定勝ちとなった。
第2試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○加藤ケンジ(K.O.SHOOTO GYM/3POUND)
×藤原克也(SMOKER GYM)
2R 1’21” TKO (レフェリーストップ:鼻の負傷)
加藤はDEEP、修斗を経て、昨年2月の浜松大会でRIZINに初参戦し金太郎に一本負けしたが、8月大会では山本アーセンにKO勝ちした。最近2試合は修斗に戻り、1月に藤井伸樹に判定負けしたが、5月には元ZSTフライ級暫定王者の坂巻魁斗にTKO勝ちしている。今回の試合決定にあたり「是非自分に1試合目から、この大会の引き金(trigger)を引かせてください。会場爆発させます」とコメントしている。
藤原は大阪出身の29歳でRIZIN初参戦。10歳から空手を習うが、SMOKER GYMで同門の萩原京平と同様、いわゆる地下格闘技の大会に出場。その後はアマ修斗、アマパンクラス、KROSS×OVERなどで経験を積み、プロではまだ1勝1敗。
1R、開始すぐ、加藤がサウスポーからの左フックでダウンを奪い、パウンドを連打。立った藤原を金網に詰めるが、打ち合いで藤原が左フックを当て加藤をダウンさせ、スリリングな展開に。だがダメージが大きいのは藤原のほう。中盤以降、加藤がプレッシャーをかけ続け、随所で左フック、左ジャブ等をヒット。藤原は鼻血が激しくなりドクターチェックが入る。再開後、終盤に加藤が足を掛けて倒すと、マウント、バックと動くが、藤原はスタンドに戻し、パンチを当てて終える。
2R、加藤がスイッチしつつ左フック、左ジャブをヒット。藤原は鼻血が止まらない。1分過ぎ、左フックを当てた後、レフェリーは藤原の鼻のダメージを危惧し、まだ藤原は立った状態だったが試合をストップし、加藤のTKO勝利となった。
第1試合 キック(肘無し・つかんでの攻撃は1回) 55kg契約(スーパーバンタム級相当) 3分3R
○森井 翼(テツジム)
×FUJIMON♡(亀岡キックボクシングジム/DEEP☆KICK 55kg級3位)
判定3-0 (大藪30-27/長瀬30-27/片岡30-27)
両者ともRIZIN初参戦。森井は大阪出身、21歳の国立大学生。14年と16年、新極真会のカラテドリームフェスティバル国際大会の中高生の学年別部門で優勝。キックに転向し、昨年11月、所属先のNKBでプロデビューし4戦3勝1分。FUJIMON♡は京都出身の29歳。J-NETWORK、DEEP☆KICKなどで30戦以上のキャリアがある。
1R、森井が序盤から積極的に攻め、左ミドル、右膝蹴り、右ハイ、左フック等を的確にヒットし主導権。FUJIMON♡はほとんど攻撃が返せない。
2R、森井が右膝、左ミドル等を的確に当て続ける。終盤には左右のストレートの連打で下がらせる。
3Rも森井が左ミドルを効かせ、右ハイ、左ストレートでFUJIMON♡をひるませ圧倒。3Rともポイントを取り判定勝ちした。
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