RIZIN 6.27 丸善インテックアリーナ大阪:白鳥大珠、無効試合から復活の皇治を圧倒しキックトーナメント優勝。バンタム級日本GP一回戦を金太郎、大塚隆史、瀧澤謙太、ヤマニハが突破
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Yogibo presents RIZIN.29
2021年6月27日(日) 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
レポート:井原芳徳 大会写真:(C)RIZIN FF
BODYMAKER presents RIZIN Kick One Night Tournament
5月30日に開催予定だったが、新型コロナウイルス緊急事態宣言の影響で、約1か月延期して開催されるRIZIN大阪大会。「RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦」4試合と、「RIZIN Kick One Night Tournament」の2本柱となっている。
大阪大会は元々、地元大阪の人気者・皇治がメインイベンターとなる予定だったが、皇治が「RIZINに来て負け続けているのにメインをやるのは示しがつかん。実力でメインを奪いたいから、MMAと同じようにトーナメントをして欲しい」と提案し、キックルール・61kg契約・4選手参加の1DAYトーナメントが行われることに。打倒・皇治に燃える選手たちが名乗りを上げ、抽選の結果、一回戦は皇治 vs. 梅野源治、白鳥大珠 vs. 髙橋亮の組合せとなった。各選手の来歴詳細に関しては4月の組み合わせ抽選会の記事参照。
ルールは肘無し、つかんでからの攻撃は1回のみ有効。本戦R毎に採点を行い、合計が同点の場合は試合全体をマスト評価する。一回戦勝者が負傷などで決勝戦に進出できない場合は、リザーバーは設けずに決勝戦は行わない。トーナメントの優勝賞金は500万円。優勝者には記念のベルトも授与される。
皇治のバッティングで梅野源治が続行不能、無効試合に
第4試合 キックトーナメント一回戦 61kg契約 3分3R
―皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
―梅野源治(PHOENIX/RISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント準優勝、BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界&WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者)
1R 0’43” ノーコンテスト
皇治は昨年K-1を離れ、RIZINで昨年9月の那須川天心戦、大晦日の五味隆典戦と2連敗。最近はムエタイの名門・ウィラサクレック・フェアテックスジムで練習を重ね「体幹が強くなった。ハングリー精神を取り戻した」とのことだ。
梅野はタイのムエタイの2大会場の一つ・ラジャダムナンスタジアムの元王者。19年のRISE WORLD SERIES -61kgトーナメントの決勝まで進んだが、白鳥にKO負けした。最近はムエタイとRISEで連勝中。久保賢司トレーナーの元で、肘無し・首相撲制限ありのルールへの対応を強化しているが、その成果を発揮する前に試合が終わることに。
1R、開始すぐから皇治が前に出てパンチを振るうが、梅野は回って距離を取り、左ジャブ、左ミドルを返す。だが皇治が頭から突っ込むと、梅野の鼻に直撃し、さらに左フックも2発が梅野の右まぶたに当たる。すると梅野がバッティングとダメージを訴え、ドクターチェックが入る。梅野は鼻のチェックを受けているが、右目の視界が定まらない様子。結局、ドクターストップがかかり、試合時間1分足らずでノーコンテストとなってしまった。なお、この時点で負傷状況やトーナメントの扱いのアナウンスはされなかった。
白鳥大珠、1R KO勝ちで決勝へ
第5試合 キックトーナメント 一回戦 61kg契約 3分3R
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント優勝、元RISEライト級(63kg)王者)
×髙橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者)
1R 1’38” KO (2ダウン:パンチ連打)
白鳥は19年10月と同年大晦日のRIZINでの大雅との2連戦でいずれも勝利したが、以降はRISEで1勝2敗。昨年10月のRISEのDOA -63kgトーナメントでは一回戦で直樹にTKO負けし、今年2月のRISEでは原口健飛に判定負けしたが、今回のトーナメントの優勝候補と目される。
髙橋は兄・一眞、弟・聖人との髙橋三兄弟の次男で25歳。最近では昨年7月のRISEでRISEフェザー級王者の工藤政英と引き分け。今年2月のNKBではWBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級王者・山浦俊一を4R左ハイでKOした。
試合は体格差が如実に反映される内容に。1R、両者サウスポーに構え、体格で勝る白鳥が圧力をかけ、左のカーフキックを当てると、一発で亮の足が流れて崩れ後退する。接近戦で亮が右フックを当てるが、白鳥はひるまず圧をかけ続けると、コーナーに詰めての左フックでダウンを奪う。最後はコーナーに詰めての左右のストレートの連打で棒立ちになったところで、レフェリーがストップ。トーナメント規約の2ノックダウン制により、白鳥のほぼ無傷でのKO勝ちとなった。
榊原CEO「想定以外のことが起きました」「選手たちの熱い思いで白鳥対皇治で決勝を行うことになりました」
上記2試合の段階で、決勝の扱いは発表されていなかったが、この3試合後の第8試合の終わった後、北森リングアナウンサーから「主催者で協議の結果、試合のできる皇治選手が決勝に進むことが決定しました」と発表された。規定では「一回戦勝者が負傷などで決勝戦に進出できない場合は、リザーバーは設けずに決勝戦は行わない」とあるが、無効試合のため、扱いがどうなるか注目されていた。
RIZINの榊原信行CEOはリングに上がり「色んなケースを想定してルールを協議してきましたが、想定以外のことが起きました。さきほど皇治選手、梅野選手、白鳥選手、髙橋選手、全員と話し合いました。梅野選手は眼窩底骨折、鼻骨骨折、軽度の脳震盪です。このままやりたい思いも本人にはありますが、とてもできない状態です(※編集部注:この発表前に梅野は病院に搬送された。診断の結果、鼻骨は骨折していたが、眼窩底は骨折していなかったと梅野は試合翌日にツイートしている。)。白鳥選手は2試合やるつもりで来ています。『皇治選手が上がって来れるなら、勝ってベルトを巻いて賞金をもらって東京に帰る』と話しています。髙橋選手にも理解してもらい、『そういう形で成立するなら、トーナメントのルール上決まっていないことですけど、認めます』とのことでした。皇治選手はノーコンテストのまま決勝に上がることもだし、偶発的で仕方ないとはいえ(バッティングについて)落ち込んでいましたけど、やる、と。『白鳥選手と決勝、遠慮せずノックアトさせてもらえたら』、ということで、選手たちの熱い思いで白鳥対皇治で決勝を行うことになりました」と説明。場内は少しどよめきつつも拍手が起こった。
白鳥大珠も皇治のバッティングに苦しむも完勝「RIZIN、RISE、そしてK-1、そして格闘技界最高!」
第13試合 メインイベント キックトーナメント決勝戦 61kg契約 3分3R
×皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント優勝、元RISEライト級(63kg)王者)
判定0-3 (豊永27-30/片岡27-30/和田27-30)
※白鳥が優勝
1R、一回戦同様に皇治がパンチを振るって前に出るが、またも頭から突っ込み、軽く白鳥に当たり一時中断する。再開後、サウスポーの白鳥はオーソドックスの皇治をかわしつつ、左前蹴り、左ストレートをヒット。前のめりで来る皇治のアゴを、左膝蹴りで突き上げてひるませると、右ストレートでダウンを奪う。その後も皇治は前に出るが、白鳥はパンチ、左前蹴り、左インローを的確にヒット。終了間際、皇治の右のインローが今度はローブローになり一時中断する。再開後の残り時間はわずかで終える。記者採点は8-10で白鳥。皇治は反則も続き印象が悪い。
2R、皇治は変わらず前に出るが、白鳥はかわし左ボディを強打し、左ハイも当て、左インローで崩しも決める。中盤、皇治が右オーバーハンドフックを一発当てるが、白鳥はすぐ左の顔面前蹴りを返す。皇治は詰めて左ボディをヒットするが、白鳥は距離を取り左インローを返し、主導権を渡さない。記者採点は10-9で白鳥。
3R、皇治が挽回を狙い、左ボディ、右ストレートを序盤から当てるが 白鳥も左右のストレートの連打をまとめ、流れを変えさせない。それでも皇治は必死に前に出てパンチを当てるが、白鳥が返す展開が続く。3分半過ぎ、接近戦でまたも皇治がバッティングをしてしまい、さらに顔をそむけた白鳥の後頭部に皇治の右フックが当たったため、一時中断し、ドクターチェックが入る。白鳥は右まぶたが少しふさがっているが、2分程に回復時間を経て試合は続行する。皇治にバッティングの反則で長瀬レフェリーから警告が入る。再開後、皇治は前に出続けるが、白鳥はパンチと蹴りを着実に当てて終える。記者採点は10-10。合計27-30で白鳥。ジャッジ3者も同様で、白鳥の判定勝ち、優勝となった。
終わってみれば白鳥が順当に優勝。ベルトを巻きマイクを持った白鳥は「決勝に行くまでに色んなことがありましたけど、一人のプロとして、RIZINのメインを無駄にしたくなくて、盛り上げたい一心で決勝をやることにしました。皇治選手にプロとして言いたいことがあります。僕ももらって腫れたので、バッティング気を付けてください。そこを見直して、また実力で上がって来てください。メインが締らない試合ですみません。キックでメインをやれることがなかなか無いので、RIZINの関係者の皆さん、ありがとうございました」と話すと、最後は「今、格闘技界、どんどん盛り上がっていて、RIZIN、RISE、そしてK-1、そして格闘技界最高!」と、旧友の武尊の決めゼリフのオマージュで波乱の大会を締めくくった。
◆白鳥「一回戦、決勝、どっちも何もさせず圧倒させたかったんですけど、最後は圧倒できず悔しいですね。髙橋君は男でしたね。RIZINという舞台だからパンチで勝負してやろうってのもあったみたいで、リスペクトしていますね。僕は連敗していたので、髙橋戦に集中していました。決勝は何十回もバッティングをもらいました。でも中に入らせたのは自分の弱さです。
(試合中、皇治の反則にイラついた?)それはなかったです。今までで一番反則をもらいましたけど、色んなタイプの選手がいるので、いい経験にはなりました。ただ、一回戦の梅野戦がああいう形になった時には滅茶苦茶イラついて、ふざけんなよ、これで決勝無くなるのかよ?って思いましたね。でも試合の時には集中しました。
(一回戦で皇治×梅野がノーコンテストになったことで、一回戦で勝った白鳥選手が優勝というケースは考えなかった?)そんなつもりは無いです。去年、皇治選手がRIZINに来た時、最初に(対戦)アピールしたので、決着をつけないとここに出た意味も無いので。一回戦勝っただけでベルトだと価値が無いですね。
(皇治に対する思いは試合前から変わった?)変わらないですよ。ただ、このまま引退しないでくださいねって感じです。ここからの皇治選手がどうやって上がっていくのかは個人的に気になりますね。これで辞めるのは簡単だし、らしくないですよね。
(自身の今後について)このベルトを取って最強とは思っていないんで。RISEでは2連敗しているので、RISEで強さを見せ、RIZINにも戻って来たいです。前回負けた原口(健飛)選手にやり返したいです。
(ベルトのデザインについて)子供の頃を思い出しました。仮面ライダーのベルトみたいだとみんな思っていたし、僕も思っていたので、優勝したら変身ポーズをしようと前日の夜に研究しました(笑)」
◆皇治「梅野選手、申し訳ありませんでした。梅野選手もたくさんの人達の協力でここまで上がって来たのに、こういう形にしてしまい反省しています。
(決勝戦をやることになった時の心境は?)お客さんがたくさん来てくれているので、悲劇のヒロインぶって試合しないのは違うと思ったので、最後までリングに上がろうと思って戦いました。
(バッティングが多かったことについて)自分の技術不足です。
(梅野ともう一度戦いたい?)戦いたいというより、今は会ってしっかり謝りたいです。
(3月からの猛特訓では足りなかった?)自分の実力の無さで、自分の限界も認めるのも必要かと思っています。
(これで引退するのでは?という声もあるが)強い選手もたくさんいますし、若い選手たちに盛り上げてもらったらと思っていますし、この歳までできたのもみんなのおかげと感謝しています。」
RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦。金太郎、大塚隆史、瀧澤謙太、アラン“ヒロ”ヤマニハが勝利
MMAルールでのバンタム級(61kg契約)日本GPは16選手が参加。6月13日のRIZIN.28東京ドーム大会で一回戦のうち4試合が既に行われ、朝倉海、井上直樹、扇久保博正、元谷友貴が順当に勝利した。大阪では残り4試合、金太郎 vs. 伊藤空也、大塚隆史 vs. 獅庵、瀧澤謙太 vs. 今成正和、倉本一真 vs. アラン“ヒロ”ヤマニハが行われる。
各選手の来歴詳細に関しては3月の組み合わせ抽選会の記事参照。東京で勝ち残った4選手が強力なため、大阪の選手たちには強さを見せつけて、秋の準々決勝に向けての期待をより一層高めてもらいたいところだ。
第12試合 バンタム級トーナメント一回戦 5分3R
○金太郎(パンクラス大阪稲垣組)
×伊藤空也(BRAVE/GRACHANバンタム級王者)
判定3-0 (和田=金太郎/松宮=金太郎/片岡=金太郎)
地元大阪の金太郎はパンクラスでのタイトルマッチ経験者。これまでヤマニハ、瀧澤に敗れている。対する伊藤は昨年獅庵に勝利してGRACHAN王者となりRIZIN初参戦する。
1R、金太郎がサウスポー、伊藤がオーソドックに構え、金太郎がボディから顔面につなぐパンチ、左テンカオをヒット。パンチの打ち合いになると、伊藤が右フックを当てるが、金太郎は左フックを返す。序盤の激しい攻防を経て、中盤はお互い慎重に。パンチが交錯するが、終盤、金太郎が胴タックルを仕掛け、抱え上げて倒してサイドで押さえ、時折パウンドを当てる。RIZIN MMAルールの判定は試合全体で評価するトータルマスト方式。ここまで金太郎のゲームだ。
2R、金太郎は左テンカオ、左フックを当て、打ち合いから距離を詰めて組み付き、サバ折りで倒してハーフで押さえる。スタンドに戻り、今度は伊藤が組み付くが、金太郎はアームロックを狙いながら押し返し、ブレイクがかかる。金太郎は随所でフックを強振。伊藤はギリギリでかわしたりアゴを引いたりしてクリーンヒットは免れるが、印象は悪い。ここまで変わらず金太郎が優勢だ。
3R、金太郎は左ボディ、テンカオ、三日月蹴りをヒット。中盤以降、挽回を狙う伊藤は前に出るが、金太郎はステップでかわし、パンチを当てさせない。終盤、伊藤が右のインローで金太郎をスリップさせ、そこからタックルで倒そうとするが、ロープの外に出してしまいブレイクがかかりチャンスを逃す。終盤、伊藤がパンチを連打しながらタックルを仕掛けるが、金太郎が潰す。最後、伊藤が抱えて倒すが、金太郎はギロチンを狙って終了する。記者採点は打撃でも組みでも差を見せつけた金太郎。ジャッジも3者同様で、金太郎が判定勝ちした。
第11試合 バンタム級トーナメント一回戦 5分3R
○大塚隆史(T-GRIP TOKYO/RIZINバンタム級GP’17ベスト4、修斗バンタム級世界4位、元DEEPバンタム級&フェザー級王者、元WSOF GCバンタム級王者)
×獅庵(パラエストラ大阪)
判定3-0 (片岡=大塚/松宮=大塚/和田=大塚)
地元大阪の獅庵は3月にRIZINに初参戦し祖根寿麻をわずか27秒でKO。大塚は17年のRIZINバンタム級GPでベスト4入りしたが、最近では元谷、岡田遼に敗れている。
1R、スタンドで見合う状態が続くが、獅庵のパンチを大塚はかわし続け、中盤の2度目のタックルでテイクダウンに成功する。大塚は背後からしがみつき、じっくり獅庵を動かし、パウンドを当て、足を絡めてバックマウントで捕獲する。大塚は獅庵にパウンドを連打して追い詰めるが、後頭部に連打してしまい、福田レフェリーが注意し、攻撃が寸断される。ブレイクで再開すると、最後、獅庵が左フックを当て、少し大塚がひるむが、すぐゴングが鳴る。ここまでは大塚優位だ。
2R、中盤に大塚がまたもタックルで倒してバックを取り、パウンドを当てる。裸絞めを狙うが、獅庵はそのタイミングで体をひねって脱出する。終盤、獅庵が左ボディをヒット。だが最後、獅庵がバックハンドブローを空振りすると、大塚がタックルで倒し、がぶりから膝を頭に当て好印象で終える。ここまで変わらず大塚の試合だ。
3R、1分足らずで大塚がタックルでテイクダウンに成功し、バックマウントを奪う。その後も獅庵が立つ度に大塚がテイクダウンを繰り返し、バック等からコントロールしてパウンドを当て主導権を維持する。記者採点もジャッジも大塚。大塚が持前のタックルとグラウンドコントロールスキルを存分に発揮し、下馬評通り完勝した。
マイクを持った大塚は「いい試合じゃなかったけど、次につなげます。獅庵選手、ありがとうございました。僕は東京の人で、大阪に初めて来て、大阪のファンの皆さんの応援とか、ブーイングするときはするし、熱いところが好きです」と話した。
第10試合 バンタム級トーナメント一回戦 5分3R
○瀧澤謙太(フリー)
×今成正和(今成柔術/元DEEPバンタム級&フェザー級王者、元Cage Rage世界フェザー級王者)
判定3-0 (松宮=瀧澤/長瀬=瀧澤/豊永=瀧澤)
瀧澤は昨年9月からRIZINに上がり、金太郎には勝ったが扇久保と佐々木憂流迦に敗れた。今成はGP出場メンバー最年長の45歳。近年はONEに上がりRIZIN初登場だ。
試合は当然、瀧澤の打撃、今成の関節技の勝負に。1R、今成が開始すぐから前に出て来るが、組みを警戒している瀧澤は回って距離を取り続ける。1分過ぎ、瀧澤が右ストレートを当てると、今成はスリップし、座ったまま瀧澤に近寄ろうとするが、瀧澤は距離を取り、スタンドに戻る。追い掛けっこが続き、どちらも攻撃できずにいると、4分経過のタイミングで和田レフェリーが両者に注意する。終了間際、瀧澤が左右のストレートを当てると、今成は下がるが、足をつかみ、危険なムードを残して終える。記者採点はここまでは瀧澤。
2Rも今成が前に出て、瀧澤が回る構図で、膠着状態が続く。瀧澤の打撃の後、今成がタックルを仕掛けるが、瀧澤が切り続ける構図。だが終了間際、瀧澤が左右のフックを当てると、今成がスリップし、上から滝技がパウンドを連打し、好印象で終える。記者採点はここまで瀧澤。
だが3R、瀧澤のステップのスピードが少し落ちて来ると、今成は足元への回転しながらタックルを仕掛ける“イマナリロール”で捕獲に成功。今成は足関を仕掛け、ヒールホールドが極まりかけるが、瀧澤は脱出する。瀧澤はロープを数度つかみそうになるが、手を乗せたり、腕を超えさせただけにも見え、どの程度マイナス評価すべきか判断が難しいところだ。中盤、今成が追い掛けるスピードを上げるが、瀧澤は逃げ続ける。終盤、今成がノーガードになると、瀧澤は右ストレートをヒット。今成は倒れるが、足関狙いのフェイクの可能性もある。最後もスタンドで今成が追い掛け続け、左右のフックを当て返し終える。
記者採点は瀧澤。だが3Rの瀧澤の反則スレスレの足関エスケープを考慮すれば、今成も評価できる接戦だった。ジャッジ3者も瀧澤を支持し、瀧澤の勝利に。マイクを持った瀧澤は、ブーイングが飛ぶ中、「今成選手に勝つ方法がこれしか見当たらなくて。2回戦、バチバチで試合します」とアピールした。
第9試合 バンタム級トーナメント一回戦 5分3R
×倉本一真(修斗GYM東京/修斗バンタム級世界6位)
○アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ブルテリア・ボンサイ/パンクラス・バンタム級1位)
判定0-3 (豊永=ヤマニハ/松宮=ヤマニハ/片岡=ヤマニハ)
倉本は昨年5月の修斗で岡田に敗れたが、昨年大晦日のRIZIN初戦では中原太陽に1R TKO勝ち。岡田は今回のGP初戦で敗退している。ヤマニハは同門のクレベル・コイケの推薦でRIZIN初登場。パンクラスを主戦場とし、近年は金太郎に敗れ、春日井“寒天”たけしに判定勝ちしている。
1R、倉本はタックルなどでテイクダウンを狙うが、ヤマニハは防御を続ける。中盤、ヤマニハの右ローに合わせ、倉本が右フックを合わせ、ヤマニハはひるむ。だがヤマニハは右フックを立て続けにお返し。さらにロープをつかみながらの反則を犯しながらだが、左ハイも当て、倉本をひるませる。倉本はタックルから打開を図るが、力が入りきらず。倉本の投げをヤマニハは潰し、バックマウントを奪い、裸絞め狙い、三角絞めを仕掛けるが、倉本は振り落とす。ここまでは反則はありつつもヤマニハ優位だ。
2R、倉本が序盤から右のカーフキックをヒット。中盤、倉本が胴タックルを仕掛けると、ヤマニハは飛びついてギロチンを仕掛ける。倉本が叩きつけ、上になった後もヤマニハはギロチンを解かないが、倉本は引き抜き、猪木アリ状態にして和田レフェリーのブレイクを誘う。倉本が右のバックハンドブローを繰り返すと、肘が命中し、ヤマニハは右目尻をカットし、ドクターチェックが入る。傷は浅く、再開後、最後にヤマニハは右のパンチを連打し印象を残す。ここまでの内容での記者採点はヤマニハ。
3R、倉本は右フック、バックハンドを振るうが、空振りが続く。ヤマニハは左フック、右のカーフキック、左ハイを着実に当てる。中盤、ヤマニハの右ミドルを倉本がつかんで倒す。ヤマニハの下からの攻めを警戒しつつ、立った状態から右のパウンドを落とす。終盤、ヤマニハは立って脱出し、倉本は最後も倒して上になり、ロープをつかむ反則を犯しながら踏みつけを連打し、最後はこの影響で動きの止まったヤマニハにパウンドをまとめて終える。記者採点はヤマニハ。ジャッジ3者もヤマニハを順当に支持し、ヤマニハの勝利となった。
この4試合の結果により、新たに開催発表された「RIZIN.30」9月19日(日) さいたまスーパーアリーナ大会でのトーナメント準々決勝のメンバーは、朝倉海、井上直樹、扇久保博正、元谷友貴、金太郎、大塚隆史、瀧澤謙太、アラン“ヒロ”ヤマニハとなった。組合せは未定だ。
矢地祐介、連敗2でストップ「心強いトレーナーのおかげで、やってきたことができました」
第8試合 MMA 71kg契約(ライト級) 5分3R
○矢地祐介(フリー/元修斗環太平洋&PXCフェザー級王座)※KRAZY BEEから所属変更
×川名TENCHO雄生(北海しゃぶしゃぶ/Y&K MMA ACADEMY/修斗ライト級世界王者)※川名雄生 改め。Y&K MMA ACADEMYから所属表記変更
判定3-0 (豊永=矢地/松宮=矢地/和田=矢地)
矢地は昨年8月のホベルト・サトシ・ソウザ戦、9月の大原樹里戦と2連敗中。ここ3年、6試合で勝利は1試合のみと苦戦している。矢地も他の多くの選手同様にKRAZY BEEを去年離れ、青木真也や北岡悟らも練習するロータス世田谷での練習の比重を上げた。セコンドにはロータスの八隅孝平代表がつく。
対する川名は昨年7月に修斗世界王者となり、9月のRIZIN1初戦ではDEEP同級王者の武田光司に判定1-2で敗れている。しゃぶしゃぶ屋の店長の川名は、今回からリングネームにTENCHOの文字を入れて戦う。
1R、矢地はサウスポー、川名がオーソドックスに構え、川名が右フックを振りながらタックルを仕掛け、コーナーに押し込むが、膠着ブレイクがかかる。中盤、またも川名が同じように組みに行き、コーナーに押し込むが、矢地は耐え、またもブレイク。終了間際にも川名が左フックを当て、そこから押し込んで終える。ここまででジャッジするなら川名か。
だが2R、序盤から組もうと近づいた川名に対し、矢地の左ハイが炸裂。川名はダウンし、矢地が組み付いて押し込むが、川名は倒れず耐えて押し返す。膠着ブレイクがかかると、ハイのダメージも相まってか、川名は口が開いて疲れが溜まっている様子。矢地が左テンカオを放つと、川名は組み付き押し込むが、これも矢地が耐えてブレイクがかかる。ここまでのジャッジは矢地だろう。
3R、矢地は疲れとダメージの溜まった川名に対し、逆にタックルを仕掛け返してテイクダウンを奪う。川名はすぐ立ちスタンドに戻す。中盤、後の無い川名はパンチを振るうが、力が入りきらず。川名はしつこく押し込んでグラウンドに持ち込もうとするが、矢地は耐えて終了する。ゴングが鳴ると、矢地は笑顔で手を上げ勝ち誇った。記者採点もジャッジ3者も矢地で、矢地の判定勝ちとなった。
矢地は「久々のマイクです。川名選手、僕の憧れの修斗のチャンピオンにしっかり競り勝てて、これからの光が見えたと思います。環境が変わって一発目の試合で、心強いトレーナーのおかげで、やってきたことができました。大阪なのに渋い試合でしたが、これからもひたむきに勝利に向かって一歩一歩やりますんで、応援お願いします。ライト級、これで1ランク上がったと思うので、ライト級のの国内チャンピオンと、皆さんが求める人と試合がしたいです」とアピールした。
白川陸斗、逆転の判定勝ち。中村優作、試合中止もマイクで場内和ませる
第7試合 MMA 66kg契約(フェザー級) 5分3R
○白川陸斗(トライフォース赤坂)※志道場から所属変更
×青井 人(BLOWS/修斗フェザー級世界10位)
判定3-0 (長瀬=白川/松宮=白川/和田=白川)
白川は昨年11月に続き大阪大会に連続出場。前回は朴光哲に3R TKO勝ちし、RIZIN初勝利を果たした。葵は昨年8月に朴に判定勝ちして以来の試合だ。
1R、スタンドでお互いパンチを狙う攻防が続く。青井が白川の蹴り足をすくってから右フックを当てる場面も。中盤から青井が右ロー、右前蹴りの比重を上げる。白川は左ストレートをお返し。終盤には青井が左インローを増やす。ここまでヒット数では青井が少し上で好印象だが、まだ差は乏しい。
2Rも青井はしつこつ左右のローを白川の前足に集中する。白川は少し足が流れ、ローを嫌って圧を強めると、左ボディを当てるが、青井はすぐ距離を作り直し、ローをコツコツ当てる。白川はしぶとく前に出続けるが、なかなかパンチがクリーンヒットできない。ここまでで採点するなら青井だろう。
だが3R、挽回を狙う白川は序盤から距離を詰めて、青井にローを打たせず、左ボディを連打し効かせる。青井はタックルで逃れようとするが、白川は突き放す。白川は中盤、右ストレートで青井をひるませる。以降は白川が左右のフックをまとめる場面が目立つように。記者採点は白川。白川が最終Rの仕掛けが功を奏し、判定3-0で勝利した。
第6試合 MMA 57kg契約(フライ級相当) 5分3R
―中村優作(フリー/元WSOF-GCフライ級王者)※チーム・アルファメール・ジャパンから所属変更
―北方大地(パンクラス大阪稲垣組/パンクラス・ストロー級王者)
中止 (北方の体調不良)
中村は昨年8月10日の横浜大会でZSTフライ級王者の竿本樹生に1R左フックでTKO負けして以来の試合。北方も昨年11月の大阪大会で竿本と対戦し、接戦の末に判定負けしている。
両者とも地元の大阪での再起戦。揃って前日の公式計量をクリアしたが、北方が体調不良によりドクターストップで試合が中止になったと当日午前11時に発表された。
第5試合終了後、紹介VTRが流れ、中村も日本拳法の道着を着て花道からリングイン。マイクを持った中村は「北方選手もこの日のために来たかったと思うんですよ、北方だけに…。これはスベってないですよね?」と恒例のダジャレマイクで場内を和ませ、「僕、元気なんですけど(皇治×梅野の準決勝が無効試合となったキックトーナメントの)決勝どうなってます?出ましょか?冗談冗談。RIZINさん、近々試合組んでください。復活してます。まだまだ頑張るんで応援お願いします」とアピールした。
キックルールワンマッチ。吉成名高「那須川選手卒業後のRIZINキックは自分が先頭で引っ張ります」
第3試合 キックルール(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 52kg契約(スーパーフライ級相当) 3分3R
○吉成名高(エイワスポーツジム/元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者、BOMフライ級王者)
×誓[ちかい](ZERO/元NJKFフライ級王者)
1R 5’00” TKO (ドクターストップ:左肘打ちによる鼻の負傷)
吉成は本場タイのムエタイで2大王座を獲得し、昨年8月と大晦日のRIZINに参戦。いずれも左肘でダウンを奪う等して1Rで勝利している。試合後のマイクアピールではキック引退を控えた那須川天心との試合を希望した。今回も過去2試合同様、肘有りルールで戦う。
対する誓も吉成と同じ20歳でRIZIN初参戦。昨年11月に所属団体のNJKFでフライ級王者になった。今回のRIZINと同じ日のNJKF後楽園大会で防衛戦を予定していたが、バンタム級に階級を上げるため返上していた。
1R、吉成がサウスポーからの左フック、左ミドルを序盤から的確にヒットする。近づけば組まずに相手を両手で押さえてからの左の膝を2連打するように。終盤には崩しも多用し、右手で押さえながら左肘を鼻に連打し追い詰める。記者採点は吉成。すると2R開始前、誓の腫れた鼻のドクターチェックが入りストップがかかった。
マイクを持った吉成は「大阪で初めての試合だったので、インパクトのある勝ち方がしたかったのでうれしいです。今までのRIZINのキックボクシングは那須川選手が引っ張ってきましたが、卒業されてしまうので、これから自分が先頭で引っ張ります」とアピールした。
第2試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 56kg契約(スーパーバンタム級相当) 3分3R
○植山征紀(龍生塾ファントム道場/シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)王者)
×泉 丈成(誠至会/NJKFスーパーバンタム級2位)
2R 0’55” KO (3ダウン:右アッパー)
1R、序盤から植山が右ストレートを当て、泉を倒すが、レフェリーはスリップと判断する。終盤、植山が左ボディを効かせてから、泉の右フックのカウンターで右ストレートをクリーンヒットしてダウンを奪う。記者採点は10-8で植山。
2R、泉は序盤から打ち合いで活路を見出そうとするが、植山はよく見て、カウンターの左フックでまたダウンを奪う。植山は軽く当てた左フックでこのラウンドの2ダウン目を奪取。泉は立ち上がるも力が入りきっていないが、レフェリーは続行。すると植山が右アッパーで3ダウン目を奪い、自らの手で試合を終わらせた。
第1試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 63kg契約(スーパーライト級相当) 3分3R
△山畑雄摩(心将塾/DEEP☆KICK -63kg王者)
△髙橋聖人(真門ジム/NKBライト級2位、元NKBフェザー級王者)
判定0-1 (松宮29-30/片岡29-29/和田29-29)
トーナメントに出た髙橋亮の弟・聖人(きよと)も今大会に出場した。1R、山畑がサウスポー、聖人がオーソドックスで、お互い蹴り主体で攻めるが、均衡状態は崩れない。記者採点はイーブン。
2R、山畑がパンチの比重を上げると、中盤に右ジャブを振ってからの左ストレートがクリーンヒットし、聖人がひるむ。終盤にも山畑が蹴り足をすくってからの左ボディ、左スーパーマンパンチを当て好印象を作る。記者採点は山畑。
3R、ミドル主体の攻防が続き、お互い一歩も譲らない展開。終盤、聖人が蹴り数を上げると、左ボディも強打して好印象を残す。記者採点は聖人。合計29-29でドロー。意外にもジャッジ1者は山畑に1点もつけなかったが、2者は順当に29-29としドローとなった。
RIZIN 榊原信行CEO「白鳥以下4名のプロフェッショナリズムで決勝が成立した」「9.19さいたまに向け、浜崎、サトシ、斎藤裕、朝倉未来の試合の調整に入る」