RISE 7.19 後楽園ホール:緑川創、RISE初戦でベイノアとの死闘制す。工藤政英、髙橋亮とドロー。寺山日葵、sasoriに辛勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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RISE 140
2020年7月19日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3月1日の福岡大会以降、RISEの大会は中止が続き、7月12日の無観客大会「RISE on ABEMA」から再開した。それから1週間後の今回の後楽園ホール大会から観客を入れるが、会場側の要請に従い、通常の約3分の1の約500人の収容人数で行われた(下写真の通り、紙の貼ってある席には座ることができない)。RISE on ABEMA同様、選手の免疫力低下を抑えるため、通常より契約体重が重く設定され、当日計量に。全8試合の後半4試合はRISE現王者が揃い踏みし、他団体・他競技を主戦場としてきた王座獲得経験者を迎え撃つ、RISE on ABEMAと似た構図なった。
第8試合 メインイベント 60.5kg契約 3分3R(延長1R)
△工藤政英(新宿レフティージム/RISEフェザー級(57.5kg)王者)
△髙橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者、元NKBバンタム級王者)
4R 判定1-1 (和田10-10/豊永10-9/長瀬9-10)
3R 判定1-0 (豊永30-29/和田29-29/長瀬29-29)
中止となった4月29日の後楽園大会からスライドした一戦。工藤は昨年7月の大阪大会以来のRISE登場。続く9月のONE Championshiopではタイの強豪パンパヤックに判定負けしている。髙橋三兄弟に次男・亮はRISE初参戦。KNOCK OUTでは小笠原瑛作と両国大会で2年連続で対戦し初戦は引分け、再戦では判定負け。宮元啓介、瀧澤博人、国崇に勝った実績がある。
1R、亮はサウスポーに構え、工藤はオーソドックスに構え、お互いミドル主体の蹴りの応酬。やや亮のヒットが多いが大差は無い。
2Rも蹴りの攻防が続いたが、中盤、工藤が左フックと右ボディの連打を決めると、終盤には左右のボディブローのヒットを増やす。亮は少し顔をゆがめたが、すぐ持ち直して蹴りを返し、大差はつけさせない。
3R、亮は左の奥ロー、ミドルなど蹴り主体を続けるが、中盤からはパンチの比重を上げる。工藤も途中までパンチ主体ながらも蹴りを織り交ぜていたが、終盤はパンチの打ち合いに。工藤の左ボディの大きな炸裂音で場内はどよめくが、亮も打ち合いで返し続け終了する。記者採点は30-30。ジャッジは1者のみ工藤につけたが、2者はイーブンで延長へ。
延長R、亮が左奥ロー、ミドルを当てていると、工藤は少し疲れが目立つように。だが中盤、工藤も左ボディフックを返すと、亮も疲れが見え出し消耗戦に。お互い攻め続けるが決定打は出せないまま終了。RISEは延長Rもマスト判定ではない。記者採点はマストなら亮だがイーブンとした。ジャッジは三者三様でドローという結果となった。
第7試合 セミファイナル 72kg契約 3分3R(延長1R)
דブラックパンサー”ベイノア(極真会館/RISEウェルター級(67.5kg)王者)
○緑川 創(RIKIX/WKBA世界スーパーウェルター王者、元新日本ウェルター級王者)※Monster Gunsから所属変更
判定0-3 (小川27-29/和田27-29/豊永26-29)
ベイノアは2月にHidekiに判定勝ちしRISE王座防衛に成功。6月14日の横浜・ぴあアリーナMMでのRISE WORLD SERIESに出場予定だったが、大会が中止に。今回は1階級上の強豪・緑川創との試合が組まれた。緑川も3月20日のRISE後楽園大会でサモ・ペティ戦を予定していたが、大会が中止となっていた。緑川は4月17日の無観客大会「Road to ONE:2nd」で西川大和に判定勝ちして以来。今回がRIKIX加入後初の試合となる。
1R、ベイノアは蹴り、緑川はパンチ主体の攻防で、五分の状態が続いたが、終了間際、緑川の右フックが2連続で炸裂し、ベイノアはダウンする。
だが2R、ベイノアは序盤、右ハイで緑川をひるませ、一瞬片膝をつく。すぐ立ったため秋谷レフェリーはダウンと認めなかったが、ベイノアはパンチラッシュで追い詰める。ところがベイノアがパンチの連打で隙ができたところで、緑川は右ストレートを当て、再びダウンを奪い、点差を広げる。通常なら10-8だが、ジャッジ2者はベイノアの攻めも評価し10-9とつける。
3R、ベイノアは逆転を狙って必死に前に出て、上段回転蹴りを多用し、パンチも必死で振るい続ける。緑川は押され気味ながら、パンチの打ち合いで返し続け、ベイノアに反撃の一打を許さず終了する。3Rはベイノアが取ったが、緑川が逃げ切る形で判定勝ちした。
今大会ベストバウトといえる死闘を制した緑川は「(練習仲間の)松倉(信太郎)とイ・ソンヒョンの試合を見たとき、イ・ソンヒョンと殴り合いたいと思いました。いつか組んでもらえたらと思います」と話し、RISEミドル級王者のソンヒョンの王座挑戦を希望した。
◆緑川「ダウンを取る寸前にパンチのコンビネーションを練習していて、入るなと思って、狙い通りでしたけど、その後が詰め切れませんでした。ベイノアのハイキックはガードの上だったんですけど、膝ついてしまってアレ?って感じで(苦笑)。意識はちゃんとしていたので大丈夫でした。無観客じゃなくてお客さんがいることで、楽しいなと思いましたね。
(打倒ソンヒョンについて)今日の試合じゃ勝てないと身に染みて、課題は見つかりました。でもこのルールは自分に合っていると思います。首相撲の無い打ち合いのルールなら(ソンヒョンは)70kgでアジアで一番強いと思うので、殴り合いたいと思いました。ムエタイのベルトはあきらめきれないので、最終的に(RISEとムエタイと)両方ベルトを取れたらカッコいいかなと思います」
第6試合 女子50kg契約 3分3R(延長1R)
○寺山日葵(TEAM TEPPEN/RISE QUEENミニフライ級(49kg)王者、J-GIRLSミニフライ級王者)
×sasori(テツジム/ミネルヴァ・ライトフライ級王者)
4R 判定3-0 (豊永10-9/秋谷10-9/小川10-9)
3R 判定1-0 (豊永29-28/秋谷29-29/小川29-29)
寺山は2月のRISE GIRLS POWERでKOKOZに判定勝ちして以来の試合。sasoriは2月のシュートボクシングで女神をパンチで苦しめ延長判定勝ちした注目株。リングネームは70年代の梶芽衣子主演映画「女囚さそり」が由来で、今回も梶の「恨み節」で入場する。
1R、sasoriはサウスポーで圧をかけ、寺山は回って距離を取る。お互い慎重だったが、中盤から次第に寺山が左の前蹴り、右ミドルのヒットを増やし、ややペースをつかむ。
2R、寺山は序盤から左の前蹴り、右ミドル、右テンカオを度々当てて攻勢。sasoriは顔をしかめるが、それでもしぶとく前に出続け、パンチを振るう。
すると3R、sasoriは前に出続ける、左ストレートのヒットを増やす。寺山は頭が後ろにのけぞる場面が目立ち始め、蹴りも減って印象が悪い。記者採点は2R寺山、3Rがsasoriで29-29。ジャッジ2者も同様で延長へ。
延長R、寺山はパンチをもらう前に右の前蹴り、テンカオを立て続けヒットし先手を取る。右ストレートと交互に散らし、sasoriにダメージを与える。sasoriもひるまず前に出続け、左ストレートを時折返すが、3Rほどは出せず終了。寺山が最後は王者としての威厳を保ち判定勝ちした。
寺山は「王者らしい対決ができずすみません。sasori選手強かったです。もっともっと強くなるので、ついてきてもらえるとうれしいです」とアピールした。
◆寺山「本戦の後、延長に行くと思いましたけど、正直帰りたいと思いました。でもベルトが無くなったら何もないので、サポートしてくれる人達の顔が頭に浮かんで、行くしかないと思いました。終始セコンドの言う通りできなかったです。MISAKI選手と3度やっているので対応できると思っていましたけど、sasori選手はそれ以上で、ロッタン選手のような気迫で、想像以上でした。先週の天心のあっという間の試合を見せられ、私はこの試合か…と絶望しましたね。(終始涙声でコメント)」
第5試合 女子47.3kg契約 3分3R(延長1R)
○紅絹(NEXT LEVEL渋谷/RISE QUEENアトム級(46kg)王者)
×山本ユノカ(Kick Box/元WBA女子世界ライトミニマム級王者、元OPBF女子東洋太平洋フライ級王者)
判定3-0 (小川30-29/和田30-28/秋谷30-27)
紅絹は2月のRISE GIRLS POWERでの王座防衛戦で平岡琴に判定勝ちして以来の試合。山本ユノカは元プロボクサーで、昨年11月のジャパンキック新宿大会でキックデビューし鍵山奈穂に判定勝ちし、続く1月の試合ではIMARIと引き分けている。
1R、長身の山本が距離を取って回り、紅絹がサウスポーで圧力をかけ続け、お互いヒットの乏しい状態だったが、中盤過ぎから紅絹のパンチと左インローが当たり出す。
2R、紅絹が左インローのヒットを増やし、パンチも絡め、山本のパンチも軽々とかわし、優位を印象付ける。
3Rも紅絹が左インローを当てつつ、ボディへの膝とミドルも増やし、明確に差をつける。記者採点は2Rと3Rに紅絹につけ30-28で紅絹。ジャッジはバラついたが、順当に3者とも紅絹を支持し、紅絹が判定勝ちした。
マイクを渡された紅絹は「王者として恥ずかしい試合になってしまいました。ユノカ選手、ジャブが凄く重かったです」と謙虚にコメントした。
第4試合 55kg契約 3分3R(延長1R)
×政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級(53kg)1位、J-NETWORKフライ級王者)
○大﨑一貴(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)3位、WMC日本&LPNJフライ級王者)
4R 判定0-2 (大澤9-10/長瀬10-10/秋谷9-10)
3R 判定0-1 (大澤28-29/長瀬29-29/秋谷29-29)
4月大会で「RISEスーパーフライ級(53kg)次期挑戦者決定戦」として組まれていた。スライドし通常のワンマッチとなったが「王者・田丸辰への挑戦者査定マッチ」と大会パンフレットには記されている。
政所は昨年11月、大﨑の弟・孔稀からダウンを奪って判定勝ちし、続く2月の試合も京介にKO勝ち。大﨑一貴は2月にRISEに初参戦し、風音に判定勝ちしている。
1R、一貴が右ロー、左右のボディを当てつつ、顔面へのフック、アッパーにもつなげ、やや優位。政所も随所でパンチを返し、まだ大差はつけさせない。
2R、政所はバックハンドブロー、バックスピンキック、飛び膝といった奇襲で打開を図るが、一貴は崩れず、終盤、左ボディを効かせてからの左フックでひるませ、攻勢を印象付ける。
3Rは政所もパンチのヒットを増やし、若干優位だが、一貴もパンチを返している。記者採点は2Rのみ一貴につけ29-30で一貴。ジャッジは1者のみ一貴を支持し、2者はドローで延長へ。
延長R、序盤から一貴が右ローを連打すると、政所はこれまでのダメージの蓄積もあってか、ふらついてしまう。だが中盤以降、必死に前に詰めてパンチと左の飛び膝のヒットを増やして巻き返す。記者採点はイーブン。ジャッジは2者は一貴を支持し、一貴の延長判定勝ちとなった。
一貴は「ギリギリだったんですけど、1位の政所選手に勝ったので、チャンピオンの田丸選手と試合がしたいです」とアピールした。
第3試合 56.5kg契約 3分3R(延長1R)
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者、RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント準優勝)
×清志(新興ムエタイジム/NJKFバンタム級2位、WMC日本バンタム級3位)
1R 0’26” KO (右ストレート)
志朗はRISE ASIA SERIES 2020 -55kgトーナメント一回戦で良星と戦うことが決まっていたが、こちらも4.12 大阪、6.14 横浜とスライドが続き、延期となっている。今回はRISE初参戦の清志と対戦。開始間もなく、清志が右ローを放った直後、志朗が右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪うと、ダメージが大きく、豊永レフェリーがストップした。
第2試合 女子53kg契約 3分3R
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/WPMF世界&ムエタイオープン女子フライ級王者)
×MARI(ナックルズGYM/元ミネルヴァ・ピン級王者)
判定3-0 (長瀬30-28/和田30-28/豊永30-27)
1R、MARIのアウトボクシングを攻めにくそうにしていた小林だったが、2Rに入ると右ロー、右フックのヒットを増やし、やや優位に。3Rは序盤と終盤に右ハイをクリーンヒットして印象を残し判定勝ちした。
第1試合 66kg契約 3分3R(延長1R)
×稲石竜弥(TEAM OJ/元Bigbang&元MA日本ライト級王者)
○KENTA(HAYATO GYM/RISEライト級8位)
判定0-2 (小川29-30/大澤29-29/豊永28-29)
KENTAは3試合連続KO勝ち中の28歳。1Rは稲石の変則的な右ミドル、フックに手を焼くが、2Rから右ロー、ミドルを効かせ、右フックを度々当て挽回する。3Rは両者とも右フックを当て、一進一退の展開だったが、若干ヒット数で上回ったKENTAがジャッジ2者から支持され判定勝ちした。