RISE 7.12 ABEMA生中継:「格闘技が帰って来ました」那須川天心、新鋭・笠原友希をわずか90秒で粉砕。白鳥大珠、小川翔に辛勝
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Cygames presents RISE on ABEMA
2020年7月12日(日)会場非公開(無観客開催。ABEMAで生中継)
レポート:井原芳徳 写真:(C) RISE
2月23日の後楽園ホール大会以来約5カ月ぶりにRISEの大会が開催された。2月大会以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月20日と4月29日と6月26日の後楽園でのナンバーシリーズが中止に。ビッグイベントの「RISE WORLD SERIES(RWS)」も4月12日の大阪大会、6月14日の横浜大会が中止となっていた。
今大会はどちらのシリーズとも別枠で、「RISE on ABEMA」と銘打ち、RISEを去年からネット生配信しているABEMAが全面協力。赤コーナーにはRISE現王者の那須川天心、白鳥大珠、鈴木真彦、原口健飛、田丸辰らRISEを主戦場とする選手が並び、他団体を主戦場とする日本在住選手(ABEMA中継では「反乱軍」と括られた)を迎え撃つ7カードが並んだ。
コロナ感染予防のため無観客で開催され、出場選手はPCR検査、審判団は抗体検査を実施し、全員が陰性と確認されている。会場は非公開で、場内には入場用の舞台セットや客席も設置され、観客を模した形で赤と青のペンライトが客席で光っている。場内のビジョンには会議アプリのZoomを駆使し、何百人ものファンの顔が映し出されている。オープニングではラッパーのANARCHYさんがパフォーマンスを繰り広げ、多数のタレントの中継ゲストも試合を盛り上げた。
第7試合 メインイベント 58kg契約 3分3R(延長1R)
○那須川天心(TARGET/Cygames/RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント優勝、RISE世界フェザー級(57.15kg)王者、ISKAフリースタイル世界フェザー級(57kg)王者、ISKAオリエンタル世界バンタム級(55kg)王者)
×笠原友希(シーザージム/シュートボクシング日本フェザー級(57.5kg)1位)
1R 1’30” KO (右フック)
天心は昨年大晦日のRIZINで江幡塁に1R KO勝ちして以来の試合。RISE出場は昨年9月のRWS幕張大会で志朗に判定勝ちし、-58kgトーナメントで優勝して以来となる。4月12日のRWSのアンドレイ・メゼンツェフ戦が今年初ファイトの予定だったが、コロナの影響で中止に。6月14日の横浜での裕樹戦も秋に延期に。今回の天心の相手は公募の結果、100人以上の応募者から笠原が選ばれた。
笠原は兄・弘希と共にシュートボクシング(SB)の次世代の主力として期待される19歳。最近は昨年6月の小笠原瑛作戦等で5連勝中で、16戦15勝(7KO)1敗の好戦績を残している。天心は「相手には申し訳ないですけど、格の違いをしっかり見せる試合をして、次につなげていきたい」とコメントしていたが、その通りの試合を繰り広げる。
1R、両者いつも通りサウスポーに構え、笠原が右の前蹴りを出すが、天心は足をすくって崩しながら、右フックを当ててひるませる。笠原が右フックを出すと、天心は左フックをかぶせるようにしてダウンを奪う。笠原はすぐ立つが、今度は左フックに右フックをかぶせ、2ダウン目を奪う。笠原は起死回生を狙いバックスピンキックを天心の腹に当てるが、天心はひるまず前進し、左ミドルを当てると、最後はロープに詰めてから、笠原の苦し紛れ気味の右フックに、素早く右フックを合わせて、3ダウン目を奪ってKO勝ちした。
わずか90秒で3ダウンを奪って完勝の天心は「みなさんに、ただいま。格闘技が帰って来ました」と第一声。続けて「試合もそうですけど、今回こうやって笠原選手が挑んでくれてうれしかったです。格闘技はまだまだ盛り上がると思いました。こうやって下克上をやろうと挑んでくれた笠原選手、彼は本当の格闘家だなと思いました。ありがとうございました」と、笠原を称えた。
無観客での試合については「お客さんがいて格闘技だと思っていたけど、試合になるとお客さんのことを考えなかったんで。また新たな格闘技ができたと思います。試合自体が楽しみで、試合ができたのが良かったです」とコメント。
試合前に「格の違い見せる」と話していた件については「今回のテーマは“違う世界”を見せることでした。笠原選手はずっと勝ってて、強いと言われていた選手なので。若いんで、だからこそ“違う世界”を見せてあげたかったです」と説明した。
カウンターのパンチについては「最近、右フックの練習をずっとしていて、フックで倒したいなって。ずっとストレートだったんで」「左フックではこれまで倒していたんですけど、年末のRIZINで初めて右フックで倒したんで、ずっと練習していました」と明かした。
最後に天心は「コロナ期間でも毎日、何ができるか考えて生きて来たので、その差がしっかり見せられたと思います。今日から格闘技が新たにスタートするので注目してください。それとYouTubeを始めました。チャンネル登録よろしくお願いします」とアピールした。
第6試合 セミファイナル 65kg契約 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント優勝、元RISEライト級(63kg)王者)
×小川 翔(OISHI GYM/WBCムエタイ日本統一ライト級王者、元REBELS-RED同級王者、ホーストカップ日本&蹴拳ムエタイ・スーパーライト級王者)
4R 判定3-0 (和田10-9/小川10-9/豊永10-9)
3R 判定1-0 (和田30-29/小川30-30/豊永29-29)
白鳥は昨年のRWS -61kgトーナメントでヘクター・サンチアゴ、セクサン、梅野源治を下し優勝。10月と12月のRIZINでは大雅に連勝した。今年4月からはRWS -63kgトーナメントに出場予定だったが、秋に延期となっている。
小川は名古屋の名門・OISHI GYMに所属し、2011年度のK-1甲子園優勝者。RISE参戦は15年3月の郷州力(郷州征宜)戦で判定負けして以来5年ぶり2度目。その後の小川はホーストカップ、WBCムエタイ等でタイトルを獲り、昨年11月のINNOVATION岡山ジム主催65kgトーナメントで準優勝。今年2月のKNOCK OUTのBLACKルール(肘無し)64kg級王座決定トーナメントでは、優勝者の西岡蓮太と一回戦で延長判定1-2の大接戦を繰り広げている、国内屈指の実力者だ。
1R、サウスポーの白鳥に対し、小川が中央からじわじわ圧をかける。両者共に慎重で、終盤にお互い蹴り数を上げるが、まだ差は乏しい。
2R、次第にお互いミドル、ストレートの数を増やすようになるが、両者ともある程度ブロックやスウェーをして対処している。終盤、白鳥が左ボディ、右ローを増やすが、まだ小川も崩れない。
3R、白鳥はボディと顔面のパンチ連打、左ミドルを積極的に当てるが、小川は崩れず。小川も随所で右ミドルを返し、はっきり差をつけさせない。終盤、白鳥は左ハイを連打するが、小川はブロックしている。記者採点は3Rともイーブンで30-30。和田良覚ジャッジのみ白鳥を支持したが、他の2人はイーブンで延長に突入する。
延長R、小川は圧を強め、右ミドル、右インローを当てる。白鳥もワンツーからミドルのコンビを決めるが、小川はブロックしている。終盤、白鳥が左ボディをヒット。小川も白鳥を詰めてパンチを多く振るうが、ヒット自体は少ない。RISEの延長Rはマスト判定ではないため、差が乏しかったことから、記者採点はイーブン。ジャッジ3者とも白鳥を支持し、白鳥の勝利となった。
勝利者インタビューで白鳥は「ちょっとつまんなかったな。しょっぱかったね。(小川に)KO負けが無いというから俺が倒してやろうと思ったけど、体頑丈でした。正直、嫌な相手と組まれたなと思ったけど、勝てて良かったです」と話した。続けて「もっと盛り上げたいんで、来月出られるならRIZINに出たいです。そこからWORLD SERIESにつなげたいです。YouTube始めたんですけど、全然伸びないんで、登録お願いします」とアピールを続けた。
第5試合 70kg契約 3分3R
×中村 寛(BK GYM/元DEEP☆KICK -60kg級王者)
○宮城寛克(赤雲會/元TENKAICHIウェルター級&ミドル級王者)
判定1-2 (豊永29-30/小川30-29/秋谷29-30)
中村は昨年6月のRIZIN神戸大会で一刀に左ハイでKO勝ちし、一気に知名度を上げた。だが続く7月のRISE大阪大会でのRyuki戦では、試合前に拳を負傷した影響もあって本領を発揮できず判定負けし、デビュー以来の連勝が8で止まった。3月のRWS大阪大会と6月の横浜大会ではタリソン・ゴメス・フェレイラが組まれていたため、溜まった無念を晴らすべく大暴れすることだろう。
宮城は沖縄のTENKAICHIのウェルター級とミドル級の2冠王の28歳。昨年9月のRISE幕張大会でRISEに初参戦し、オープニングファイトで高木覚清と引き分けている。試合は2月のNKB後楽園大会でゼットンに3R TKO勝ちして以来となる。
1R、体格で勝る宮城は、ムエタイ式にガードを上げつつ圧力をかけて右ミドル、ローを放ち、中村はサウスポーに構えて細かい出入りをしながら右ジャブ、左フックを振るう。お互い積極的だが、ヒット自体は少ない。
2Rも同様の展開が続くが、原口は投げを放ってしまい、レフェリーからイエローカードを出される。宮城がやや積極的にミドルやボディ狙いの前蹴りを出すようになると、中村は早くも疲れが見え始め、攻撃が減ってしまう。
3Rも宮城がミドル、前蹴りといった蹴り数で上回る。中村は息が荒く、終盤にはクリンチの後に倒される場面が目立つように。記者採点は3Rに宮城につけ30-29で宮城。小川実ジャッジのみ意外にも中村につけたが、他の2者は順当に宮城につけ、宮城の判定勝ちとなった。
第4試合 58kg契約 3分3R(延長1R)
○鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級(55kg)王者)
×ウィサンレック・MEIBUKAI(タイ/MEIBUKAI/元ルンピニー認定フライ級&バンタム級王者、元ラジャダムナン認定バンタム級王者)
3R 0’47” KO (右アッパー)
鈴木は1月に良星に4R TKO勝ちし、RISE王座の初防衛に成功。優勝者には那須川天心との対戦権が与えられる「RWS 55kgアジアトーナメント」にもエントリーしているが、コロナの影響で秋以降に延期となっている。今回の相手、ウィサンレックは17年8月のKNOCK OUTで那須川天心に3R 2’45″でTKO負けしている38歳のベテラン選手で、鈴木は「那須川選手は(飛び膝蹴りでの顔面の)カットで勝っているので、それよりも早く倒しきりたいです」とコメントしていたが、その通りの試合を繰り広げる。
1R、右ローの応酬から始まり、中盤には鈴木が右ストレート、左ボディを当てるように。体格で劣るウィサンレックは押され気味で、距離を取ってロープを背負うようになるが、鈴木は上下に散らしながら上手くパンチを当てる。
2R、鈴木は左ボディ、右ストレート、右アッパー、右ローを着実にヒット。終盤にはコーナーに詰め、パンチをまとめ、ウィサンレックをダウン寸前まで追い詰める。
3R、鈴木は序盤から右ローをカーフキックも絡めて連打し、ウィサンレックの足を止めると、右ストレートを2連続で当ててダウンを奪取。ダメージの溜まっているウィサンレックに、右アッパーを当て、2ダウン目を奪ったところで、長瀬レフェリーがストップ。天心よりも約2分早い時間で、しっかりKOした。
鈴木は「ムエタイとルールが違いますけど、ウィサンレック選手は対戦してくれたことに感謝したいです」と話し、対天心についてアナウンサーから振られると「日本人で倒せるのは僕しかいないと思っているんで」とアピールした。
第3試合 67kg契約 3分3R(延長1R)
○原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISEライト級(63kg)王者)
×ヴィトー・トファネリ(ブラジル/ブラジリアンタイ・闘英館)
判定3-0 (秋谷30-28/大沢30-28/長瀬30-27)
原口は1月の秀樹戦で1R 右フックでKO勝ちし、RISE王座を獲得すると共に、RWS -63kgトーナメント出場権を獲得。一回戦で強豪・チャド・コリンズと戦う予定で、試合は延びているものの、コリンズのフィジカル対策で筋力トレーニングを重点的に行って来た。トファネリは愛知のHEATやホーストカップを主戦場にしている選手だ。
1R、トファネリが圧力をかけ、原口はサウスポーで距離を取りつつ、左の三日月蹴りを的確に当て続ける。終盤には右ミドル、左ストレートも絡めるように。トファネリはほとんど攻撃を返せない。
2R、原口はオーソドックスに切り替えるが、トファネリが左ストレートを当てると、原口はサウスポーに戻す。トファネリは1Rよりも圧を強め、原口は蹴りの数が少し減るが、主導権はトファネリに与えない。
3R、トファネリは胴廻し回転蹴りやバックハンドブローで打開を図るが、うまく当てられない。原口はスイッチを繰り返しつつ、トファネリのガードの上からでもパンチ、ミドルを叩き込む。打たれ強いトファネリをなかなかひるませることはできないものの、手数差は印象付ける。記者採点は1Rと3Rに原口につけ、30-28で原口。ジャッジ3者も原口を支持し、原口の判定勝ちとなった。
勝ったものの原口は苦い表情で、勝利者インタビューでは「滅茶苦茶あかんかったですね。硬くなり過ぎました。ヴィトー選手、一番硬かったですね。三日月は入っていたんですけど、振り切れなかったです」と話した。
第2試合 55kg契約 3分3R(延長1R)
○田丸 辰(TRY HARD GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)王者)※平井道場から所属変更
×MASAKING(岡山ジム/J-NETWORKスーパーバンタム級1位、2018年INNOVATIONフライ級新人王)
判定3-0 (長瀬30-28/和田30-28/大沢30-28)
田丸が163cm、MASAKINGが175cmで、身長差は12cm。1R、田丸はなかなか入りにくそうだ。終盤にバックハンドブローを放つが、距離がまだ遠い。
2R、蹴り主体の攻防が1R同様に続く。サウスポーの田丸は左のインロー、ミドル、ハイを当て続け、MASAKINGは右ミドルを返す。終盤、田丸の蹴り数が増し、若干優勢に。
3Rも田丸が左インローを当て続け、中盤に少しMASAKINGの足が止まると、田丸が詰めて左ストレートを当てる。終盤には左フックで少しひるませ、MASAKINGが背中を見せる場面が目立つように。記者採点は3Rに田丸につけ30-29で田丸。ジャッジは3者とも2Rにも田丸につけた模様で、田丸が判定勝ちした。
第1試合 68kg契約 3分3R
○山口裕人(山口道場/WPMF世界スーパーライト級暫定王者、元WBCムエタイ日本統一同級王者)
×松本芳道(KICK-DIET吉野町/元新日本キックライト級王者)
1R 1’20” KO (左フック)
1R、序盤からのパンチの打ち合いで、山口が右オーバーハンドフックを効かせると、松本が後退。山口がコーナーに詰めてのパンチラッシュで、左フックをクリーンヒットしマットに沈めた。