UFC 7.12 アブダビ:プロハースカ、UFC初戦はランカーに逆転KO勝ち。ピョートル・ヤン、アルド粉砕しバンタム級王者に。ボルカノフスキーとウスマンが防衛
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UFC 251: Usman vs. Masvidal
2020年7月12日(日)アラブ首長国連邦・アブダビ・ヤス島(UFCファイトアイランド)ザ・フラッシュ・フォーラム
レポート&写真:井原芳徳
第13試合 メインイベント UFCウェルター級タイトルマッチ 5分5R
○カマル・ウスマン
×ホルヘ・マスヴィダル
判定3-0 (50-45/50-45/49-46)
※ウスマンが2度目の防衛
UFCは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、通常の大会が開催できないことから、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあるヤス島で、UFC 251を皮切りに、15日、18日、25日のUFCファイトナイト3大会を合わせて4大会を無観客で開催する(いずれも現地時間)。アブダビ政府の文化観光局も全面協力し、UFCはヤス島を「UFCファイトアイランド」と銘打ち、関係者以外の入島をシャットダウンし、感染予防を行う。アブダビでの開催発表後、ビーチにオクタゴンを置いたイメージ画像が公開されたが、実際の試合場は屋内で、雰囲気は最近のラスベガスのUFC APEXでの大会と差は無い。
今回のUFC 251は、毎年7月にUFCが開催している半年に1回のビッグイベントに該当し、3階級のチャンピオンシップが目玉となる。
メインイベントではウェルター級王者のウスマンが、1位のギルバート・バーンズを相手に2度目の防衛戦を行う予定だった。しかしバーンズが新型コロナウイルスの陽性反応が出たため欠場。大会1週間前に3位のマスヴィダルが新たな挑戦者に決まったと発表された。マスヴィダルは昨年11月のネイト・ディアス戦で3R TKO勝ちして以来の試合。その試合ではUFCのデイナ・ホワイト代表がアウトロー対決を煽るため「BMF(Baddest Mother Fucker)」というベルトを用意したことでも話題を呼んだが、今回はマスヴィダルが正規のベルトに挑む形となった。
1R、マスヴィダルはサウスポーに構え、開始すぐから左ミドルを連打するが、ウスマンはタックルを仕掛け、20秒ほどで早くも上になる。下になったマスヴィダルはパウンドを打たせず、動いて1分半ほどで立ち上がる。中盤にもウスマンが組み付き、金網に押し込むが、1分ほど耐えて突き放す。ウスマンが圧力をかけ続け、マスヴィダルはかわしているが、やや消極的で、随所で右のパンチをもらい印象が悪い。
2Rもウスマンが金網に押し込む時間が続き、細かく右のボディブローを当て、マスヴィダルを消耗させようとする。
3Rもウスマンが押し込む展開。3分過ぎ、ウスマンがタックルでテイクダウンに成功し、金網に押し付ける。マスヴィダルはいったん立ったが、すぐウスマンは倒し、オクタゴン中央でトップキープする。
4Rもウスマンが押し込んで主導権を握り、時折倒して上になる。マスヴィダルは緊急出場のせいもあってか、なかなか劣勢から抜け出せない。
5R、ウスマンが1分過ぎに倒し、金網際でトップをキープする。中盤からはサイドを取り、バックも狙い、がぶりの状態で押さえる。終盤、スタンドに戻るが、マスヴィダルの反撃を封じ終了。大差をつけウスマンが判定勝ちし、2度目の防衛を果たした。
第12試合 セミメインイベント UFCフェザー級タイトルマッチ 5分5R
○アレックス・ボルカノフスキー
×マックス・ホロウェイ
判定2-1 (48-47/47-48/48-47)
※ボルカノフスキーが初防衛
ボルカノフスキーが昨年12月に下した前王者・ホロウェイを相手にリターンマッチを行った。ホロウェイは前回の試合で連勝が14でストップしている。
1R、長身のホロウェイがケージ中央から左ジャブと右ミドルを放って圧力をかける。ボルカノフスキーは右フックを当てる場面もあるが、すぐホロウェイが圧をかけ返し、主導権を譲らず。終了間際にはホロウェイが右ハイを当て、ボルカノフスキーを一瞬ダウンさせ、好印象を残して終える。2Rもホロウェイペースで、このラウンドも終盤に右アッパーでダウンを奪う。
3R、ボルカノフスキーは中盤にタックルを仕掛けて打開を図るが、ホロウェイは難なく切って突き放す。ボルカノフスキーのパンチも当たり出し、差は縮まる。ホロウェイのヒット数がまだ上回っているが、ジャッジは割れそうだ。
4Rもスタンド勝負が続き、3分過ぎにボルカノフスキーが組み付いて倒すが、ホロウェイはすぐ立つ。だがホロウェイは手数が落ち、ボルカノフスキーは必死にパンチを振るい、ようやくヒット数でも上回るように。
お互い大きなダメージは無いまま迎えた5Rも、差の少ないスタンド勝負が続く。3分過ぎにボルカノフスキーが組み付いて倒すが、ホロウェイはこれもすぐ立つ。だがその後もボルカノフスキーが組みを果敢に狙い、最後は倒して上になって終える。
判定は割れたが、結局、3R以降に追い上げたボルカノフスキーが2票を獲得し、返り討ちと初防衛に成功した。ボルカノフスキーはこれで17連勝で、UFC 8連勝となった。
第11試合 UFCバンタム級王座決定戦 5分5R
○ピョートル・ヤン(3位)
×ジョゼ・アルド(6位)
5R 3’24” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※ヤンが王者に
ヘンリー・セフードが引退に伴い王座返上したバンタム級では、UFC 6戦全勝のヤンと、元フェザー級絶対王者・アルドの間で、新王座が争われた。
1R、近距離でお互い見合い、1分過ぎ、ヤンの右ストレートがヒット。アルドの右ローでヤンがスリップするが、すぐ立つ。3分過ぎ、一瞬ヤンがサウスポーに変えるが、すぐ戻す。
両者慎重で静かな攻防が続いたが、終盤、アルドが左ミドル、右ローを当てて攻撃を増すと、ヤンが右ストレートを返してひるませる。アルドはタックルで打開を図るが、ヤンは潰して上になり、腰を上げて強力なパウンドを当て続ける。ボディへのパウンドも効き目を発揮し、アルドは顔をしかめる。アルドは耐えるが、あと30秒あれば危ない状態だった。
2R、ヤンはサウスポーにしばらく固定し、左ミドルを当てるが、アルドが右インローを当てると、オーソドックスに戻す。アルドが右ローを当て続けると、ヤンは足が流れるようになり、またもサウスポーに。アルドは右ミドル、インロー、ボディストレートを随所で当て、終盤には右ハイも絡め、じわじわ優勢に。アルドが得意の右ローをきっかけに流れを変える。
ポイントイーブンで迎えた3Rも、ヤンはサウスポーから始めるが、アルドが序盤から右ミドルを当て先手。中盤にアルドが左右のボディフックを立て続けに当てると、ヤンが下がり、焦りの表情を浮かべるように。ヤンはパンチの空振りが続いたが、終盤、バックハンドブロー、右フックが当たり出し挽回する。支配した時間が長いのはアルドだが、流れはヤンになっており、評価が割れそうなラウンドだ。
4Rもスタンド勝負となり、熾烈な消耗戦・神経戦になるが、中盤から試合が少しずつ動く。ヤンが右フックを少しずつ当てると、アルドは鼻血を出し、口が開き、次第にバックステップが目立つように。ヤンは金網に詰め、左右のアッパーを連打し、終盤には倒して上からパウンドを落とし追い詰める。
5R、開始すぐからヤンがサウスポーからのストレートを当ててアルドをひるませて、序盤から上になると、金網際でハーフガードで押さえながらパウンドを連打する。ヤンはマウントとバックマウントの中間の状態で鉄槌を連打する。アルドは防戦一方ながら、動きは切らさなかったが、亀になって1分以上パウンドを浴び続けていると、レフェリーがストップした。
悲願のUFCベルトを獲得し大喜びしたヤンは「厳しい試合になるとは予想していました。足をローキックでやられ、構えを変えないといけなくなりました。最初はプレッシャーをかけ、疲れさせ、3R以降に勝負をかける作戦でした。子供が生まれたことも大きなモチベーションでした」とコメントした。
第10試合 女子ストロー級 5分3R
×ジェシカ・アンドラージ(1位、元王者)
○ローズ・ナマユナス(2位、元王者)
判定1-2 (28-29/29-28/28-29)
両者は昨年5月のタイトルマッチで対戦し、当時の王者・ナマユナスに、アンドラージが2R、スラムでKO勝ち。ナマユナスはそれ以来の試合。アンドラージは続く8月の初防衛戦でジャン・ウェイリーにKO負けし、王座陥落して以来の試合となる。
1Rはスタンドのボクシングの勝負が続く。ナマユナスが右ストレート、膝蹴りのヒット数でやや上回る。
2Rもナマユナスが右ロー、左ジャブを駆使し、ヒット数で上回り主導権。アンドラージは前に出てパンチを振るうが、空振りが多い。終盤、左フック、左ボディのヒットを増やして挽回するが、やや遅かったか。
3R中盤、アンドラージが右フックを当ててから、首投げで倒して上になりチャンスをつかむ。しかしナマユナスは三角絞めを狙いつつ、すぐスタンドに戻す。ナマユナスは鼻血を出し、左まぶたを腫らしているものの、動きは崩れない。アンドラージは残り1分、勝負をかけて圧を強めパンチの手数を上げる。アンドラージはタックルでテイクダウンを奪い、ナマユナスはすぐ立ち、お互い一歩も引かないまま終了する。
接戦となり、ジャッジは割れたが、1Rを確実に取ったナマユナスが2票取り勝利し、なんとかリベンジに成功した。なお、この一戦が「ファイト・オブ・ザ・ナイト」賞を獲得し、5万ドルのボーナスを両選手がUFCから受け取る。
第9試合 女子フライ級 5分3R
○アマンダ・ヒバス
×ペイジ・ヴァンザント
1R 2’21” 腕ひしぎ十字固め
第8試合 ライトヘビー級 5分3R
×ヴォルカン・オーズデミア
○イリー・プロハースカ
2R 0’49” KO (右フック)
RIZINライトヘビー級王者・イリー・プロハースカが、昨年大晦日のRIZINのC.B.ダラウェイ戦を最後にRIZIN王座を返上し、10連勝・8連続KO(チェコの試合含む)でUFCに初参戦。UFCライトヘビー級7位のオーズデミアとの初戦で、さっそく真価が問われた。
1R、圧力をかけるオーズデミアに対し、プロハースカが低めに構えつつスイッチを繰り返す。お互いパンチを放つが、オーズデミアの左ジャブ、右ローの的確性が上回る。プロハースカは変則的な動きで誤魔化す場面もあるが、オーズデミアの右ストレート、左フックをもらい、少し苦しそうな表情を浮かべ、ふらつく場面も。終了間際にオーズデミアはタックルを仕掛けてから押し込み、残り時間を流す。記者採点はオーズデミア。
UFC公式サイトでライブ配信中 https://t.co/SKEN3Tty2e#InAbuDhabi @VisitAbuDhabi pic.twitter.com/66l98FfiWQ
— UFC Japan (@ufc_jp) July 12, 2020
だが2R、流れは一転する。プロハースカがスイッチを繰り返した後、サウスポーに固定し、左インローを当ててから、左ハイをオーズデミアの首筋にヒット。少しひるんだオーズデミアを見逃さず、プロハースカがパンチを振り回して前に出ると、金網に詰めてからの左ジャブと右フックの連打で見事KO。1Rはヒヤリとさせる場面もあったが、プロハースカがUFC初戦でランカーを見事粉砕し、上位進出への期待を高めた。
勝利者インタビューでプロハースカは「パンチをたくさんもらってしまい、反省点もあるが、またすぐにUFCで試合をして、タイトルを狙いたい」と、少し苦笑しながらも清々しい表情でコメントした。
なお、プロハースカは今大会の出場者の2名に与えられる「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」賞を獲得し、5万ドルのボーナスをUFCから受け取ることになっている。
第7試合 ウェルター級 5分3R
×エリゼウ・ドス・サントス
○ムスリム・サリコフ
判定1-2 (30-27/28-29/29-28)
第6試合 フェザー級 5分3R
○マクワン・アミルカーニ
×ダニー・ヘンリー
1R 3’15” アナコンダチョーク
第5試合 ライト級 5分3R
○レオナルド・サントス
×ロマン・ボガトフ
判定3-0 (29-26/29-26/29-26)
第4試合 ヘビー級 5分3R
○マルチン・ティブラ
×アレクサンドル・ロマノフ
判定3-0 (30-27/30-27/30-26)
第3試合 フライ級 5分3R
○ハウリアン・パイバ(129lbs/58.51kg)
×ジャルガス・ジュマグロフ(126lbs/57.15kg)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※パイバが計量3ポンドオーバー
第2試合 女子バンタム級 5分3R
○カロル・ロサ(136lbs/61.69kg)
×バネッサ・メロ(141lbs/63.96kg)
判定3-0 (30-26/30-26/30-27)
※メロが計量5ポンドオーバー
第1試合 バンタム級 5分3R
×マーティン・デイ
○デイビー・グラント
3R 2’38” KO