UFC 11.2 ニューヨーク:ホルヘ・マスヴィダル、ネイト・ディアスに圧勝も不完全決着で再戦濃厚に
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UFC 244: Masvidal vs. Diaz
2019年11月2日(土/現地時間)米国ニューヨーク州ニューヨーク:マディソン・スクエア・ガーデン
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント ウェルター級 5分5R
○ホルヘ・マスヴィダル(3位)
×ネイト・ディアス(7位)
3R 終了時 TKO (ドクターストップ:左肘打ちによる右まぶたのカット)
マスヴィダルは17年にダミアン・マイア、スティーブン・トンプソンに2連敗後、16カ月のブランクを経て、今年3月に復帰しダレン・ティル、ベン・アスクレンをKO。7月のマスヴィダル戦では開始すぐの飛び膝蹴りでUFC史上最短の5秒KO勝ちを記録し、一気にブレイクした。早速次に組まれたのはディアス兄弟の弟・ネイトとの一戦。ネイトは16年8月にコナー・マクレガーに判定負けした後、3年のブランクを経て8月にアンソニー・ペティスに判定勝ちし、健在ぶりを示した。
この試合はUFCのチャンピオンシップでは無いが、ナンバーシリーズ、なおかつ娯楽の殿堂・MSG大会のメインに選ばれ、両者の人気を反映する形に。揃ってストリートファイト上がりで、UFCのデイナ・ホワイト代表もアウトロー対決をより強調するため、ネイトの口にしたフレーズを元に「BMF(Baddest Mother Fucker)」のベルトを用意した。人気プロレスラーで俳優のドウェイン・ジョンソン (ザ・ロック)がベルトを持って登場すると、場内は大歓声に包まれる。なお、この日は米国のドナルド・トランプ大統領も試合を観戦した。

NEW YORK, NEW YORK – NOVEMBER 02: (R-L) Jorge Masvidal punches Nate Diaz in their welterweight bout for the BMF title during the UFC 244 event at Madison Square Garden on November 02, 2019 in New York City. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、マスヴィダルが開始すぐ、アスクレン戦のような飛び膝のモーションを見せると、場内は沸く。マスヴィダルが押し込み、右手でクリンチしながら右膝を当てると、すぐさま左肘を当てて効かせる。ネイトは早くも右目尻を切られ出血する。マスヴィダルは右フック、右ハイを当てて倒し、パウンドラッシュで追い詰める。辛うじて耐えたネイトの下からのサブミッションを警戒してか、マスヴィダルはガードの中に入らず、立った状態からパウンドを狙い続ける。
#BMF #UFC244 pic.twitter.com/AjSXnsTlMI
— UFC Japan (@ufc_jp) November 3, 2019
スタンドに戻ると、マスヴィダルがサウスポーのネイトに右ミドルを当てる。ネイトも右フックを当てるが、マスヴィダルは組み付いて笑顔を浮かべると、場内はどよめく。終盤もマスヴィダルが右ミドルからパンチを連打する等、打撃での優位を維持する。記者採点はマスヴィダル。
Diaz tags Masvidal and then Masvidal blows a kiss to the crowd. Unreal! #UFC244 pic.twitter.com/mKp0b5lLJd
— UFC (@ufc) November 3, 2019
2R、ネイトは前に出てパンチを振るうが、マスヴィダルは右ミドルを効かせ、左ジャブからの右フックでひるませ、すぐ主導権を引き寄せる。再び右ミドルを当てると、ネイトは尻餅をつく。マスヴィダルは立たせ、サウスポーに切り替え、関節蹴りを当てる。金網際での差し合いと離れての打撃戦が繰り返される中、マスヴィダルがオーソドックスから着実にパンチやミドルを当て、ネイトを追い詰める。押し込まれたマスヴィダルはアームロックを狙うが、マスヴィダルは抱え上げて倒し、背後からしがみつく。ネイトは足関を狙うが、マスヴィダルは対処し、上から右肘を連打し、試合を支配し続ける。記者採点はマスヴィダル。
Masvidal drops Diaz again! #UFC244 pic.twitter.com/ecsLhbXpdU
— UFC (@ufc) November 3, 2019
3Rもマスヴィダルが右フック、右ミドル、右肘、左ボディをヒットし、ネイトを苦しめる。ネイトの右まぶたからの出血が止まらず、右目に入る血を度々ぬぐっている。終盤はマスヴィダルが押し込み、ネイトは潜り込んで足関で逆転を狙うが、そのまま背後に倒れる。マスヴィダルがトップをキープし、終盤にパウンドと肘を当てて終える。記者採点はマスヴィダル。
約束通り@TheRock から #BMF ベルトの授与#UFC244 pic.twitter.com/J2PxsbTH2T
— UFC Japan (@ufc_jp) November 3, 2019
インターバル後、ドクターがネイトの右まぶたの傷をチェックし、ストップがかかると、場内はもっと試合が見たかった観客からのブーイングが飛んだ。プロモーターがアウトロー対決を煽りつつも、最後はニューヨーク州アスレチックコミッションが管轄する競技運営陣がクールに歯止めをかける点は、極めて米国的である。

NEW YORK, NEW YORK – NOVEMBER 02: (R-L) Jorge Masvidal and Nate Diaz interact after the doctor’s stoppage in their welterweight bout for the BMF title during the UFC 244 event at Madison Square Garden on November 02, 2019 in New York City. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images)

NEW YORK, NEW YORK – NOVEMBER 02: Jorge Masvidal celebrates his victory over Nate Diaz (doctor’s stoppage) in their welterweight bout for the BMF title during the UFC 244 event at Madison Square Garden on November 02, 2019 in New York City. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images)
BMFベルトを巻いたマスヴィダルは「こんな形で終わるのはごめんだ。ネイトは『バックステージで続きをやろう』と言った。またやるよ。俺にブーイングしないくれ」と話し、ネイトも「くそったれだ。まだやりたかった。4Rから反撃するつもりだったのでストップには納得いかない。またホルヘとやりたい。すぐやりたい」とコメント。マスヴィダルが圧倒したとはいえ、不完全な決着な上、両者とも再戦に前向きなため、来年にも再戦が濃厚なムードだった。再戦となれば盛り上がるはずで、競技運営陣のクールな判断は、ひょっとするとプロモーターにはありがたかったかもしれない。
第11試合 セミメインイベント ミドル級 5分3R
×ケルヴィン・ガステラム(4位)
○ダレン・ティル(ウェルター級10位)
判定1-2 (30-27/28-29/27-30)
第10試合 ウェルター級 5分3R
○スティーブン・トンプソン(9位)
×ビセンテ・ルーケ(14位)
判定3-0 (30-26/30-26/29-27)
第9試合 ヘビー級 5分3R
○デリック・ルイス(5位)
×ブラゴイ・イワノフ(8位)
判定3-0 (30-27/28-29/29-28)
第8試合 ライト級 5分3R
○ケビン・リー(10位)
×グレゴール・ガレスピー(11位)
1R 2’47” KO
第7試合 ライトヘビー級 5分3R
○コーリー・アンダーソン(7位)
×ジョニー・ウォーカー(11位)
1R 2’07” TKO
第6試合 フェザー級 5分3R
○シェーン・ブルゴス
×マクワン・アミルカーニ
3R 4’32” TKO
第5試合 ミドル級 5分3R
×ブラッド・タバレス(13位)
○エドメン・シャバージアン
1R 2’27” KO
第4試合 ヘビー級 5分3R
×アンドレイ・アルロフスキー
○ジャルジーニョ・ホーゼンストライク
1R 0’29” KO
第3試合 女子フライ級 5分3R
○ケイトリン・チョケイジアン(1位)
×ジェニファー・マイア(5位)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※マイアは1.2kgオーバー
第2試合 ウェルター級 5分3R
○ライマン・グッド
×チャンス・レンカンター
3R 2’03” TKO
第1試合 フェザー級 5分3R
×フリオ・アルセ
○ハキーム・ダオドゥ
判定1-2 (29-28/28-29/28-29)