RIZIN 6.13 東京ドーム:朝倉未来、クレベルに一本負けし「引退も含め考えます」。朝倉海、渡部修斗を1R粉砕。サトシ・ソウザがライト級王者に。那須川天心、vs3人は「いい経験になった」
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Yogibo presents RIZIN.28
2021年6月13日(日) 東京ドーム
レポート&試合写真:井原芳徳
RIZINとしては初、MMA界でも2003年11月のPRIDE以来約18年ぶりとなる東京ドーム大会。RIZINでは元々3月に東京ドーム大会を準備していたが、新型コロナウイルス緊急事態宣言の影響で、4月、5月と延び、結局6月13日にようやく開催された。チケットも東京都の要請により5月末日で販売が打ち切られ、本来なら4万人近く入る会場に、1万人弱の9731人(主催者発表)だけ収容しての開催となった。
大会の模様はフジテレビ系列で同日夜20時から放送され、放送前半の20時台には、セミファイナルの「那須川天心 vs. 3人 スペシャルマッチ」、メインイベントの朝倉未来 vs. クレベル・コイケが生放送された。
なお、RIZIN MMAルールでの頭部・顔面への肘打ちは、これまで両選手の合意がないと許されなかったが、今回から全ての試合で有効となる。バンタム級トーナメント一回戦4試合のみ、通常の緑ではなく、冠スポンサーのYogiboのロゴの入った赤のグローブが採用される。
朝倉未来×クレベル・コイケ
第10試合 MMAルール フェザー級(66kg) 5分3R
×朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級・60-65kg級王者)
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元KSW&REBEL FCフェザー級王者)
2R 1’51” 三角絞め
朝倉兄弟の兄・未来は昨年11月の大阪大会でのRIZINフェザー級初代王座決定戦で斎藤裕に判定負け。それから1か月半の間隔で大晦日の埼玉大会に出場し、弥益ドミネーター聡志に1R KO勝ちしている。
コイケはソウザ兄弟と同門でブラジリアン柔術をベースとし、MMAではポーランドのKSW、シンガポールのREBEL FCでベルトを獲得。昨年大晦日のRIZIN初戦ではカイル・アグオンを右フックでダウンさせてからのギロチンで仕留め、3月の名古屋大会では摩嶋一整を2R下からの三角絞めで仕留めた。33戦27勝(2KO/23一本)5敗1分という脅威のフィニッシュ率を誇る。
未来は今大会出場にあたり、RIZINから相手として3人が提案されたが、「結局いつか戦わないといけないんで、ここで俺が潰す」と、一番強いコイケを選んだ。強豪グラップラーの岩本健汰と春から練習を重ね、YouTubeでの魔裟斗氏との対談企画でのアドバイスをきっかけに、筋力トレーニングやミット打ちも導入。5月27日の公開練習で、理想の展開について「判定勝ちですね。テイクダウンを一度も取らせずに、打撃で優勢に進める」と話していた。
1R、未来がサウスポーに構えてプレッシャーをかけ、パンチが交錯すると、コイケは飛びついて引き込み、下から三角絞めを狙う。だが未来は防御すると、すぐスタンドに戻し、右フックを当ててひるませ、コイケを苦しめる。中盤、コイケはまたも飛びついて引き込むが、これも未来はスタンドに戻し、左ボディ等を当ててコイケを削る。だがコイケも時折右ロー、右ハイ、右フックを返す。
2Rも未来がプレッシャーをかけるが、パンチを連打したところで、コイケが組み付いてコーナーに押し込む。すると右の肘を連打し、少し未来をひるませると、またも飛びついて引き込む。コーナー際の狭いスペースながら、コイケは下から足を登らせると、三角絞めをガッチリと極める。未来はタップせず、動きが止まって少し経ってから、和田レフェリーがストップすると、未来は意識を失ってマットに倒れた。しばらくして意識を回復するが、肘をもらった右まぶたを大きく腫らしており、呆然とした様子だった。
◆未来
悔しいですけど、やって良かったですね。歴史的な東京ドームの大会のメインで戦えたことは今後の宝になると思います。最後の三角はコーナーポストに押し付けたので、あそこから入って来ないと思いましたけど、入って来ましたね。体が柔らかくて、あんまり覚えていないですけど、ちょっと油断しました。組み力はそんな無いので安心しちゃうんですよね。打撃は目が良くて、気持ちも強いし、勝ってる意味を理解しました。
今後は引退を含め考えます。格闘技やって10年ぐらい経って、THE OUTSIDERからこんな大舞台に立てたんですけど、自分の幻想が打ち砕かれ、ここまでだったんだなと落胆しています。トップを目指せないんだったら、やる意味がないと思ったりしますし、日本の格闘技を盛り上げる役目があるとしたら続けるかもしれないですけど、周りの声を聞いて判断します。
(14日夜追記:未来は敗戦翌日のInstagramに「沢山の人が応援してくれているということを改めて実感しました 少し休んで、また頑張ろうかな 朝倉未来は最強でないといけない」と記し、現役続行の意向を示している)
那須川天心 vs. 3人 スペシャルマッチ
第9試合 那須川天心 vs. 3人 スペシャルマッチ スタンディングバウト特別ルール非公式戦 3分3R
那須川天心(TARGET/Cygames/RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント優勝、RISE世界フェザー級(57.15kg)王者、ISKAフリースタイル世界フェザー級(57kg)王者、ISKAオリエンタル世界バンタム級(55kg)王者)
vs.
1R:大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)3位、BOMバンタム級(53.5kg)王者、WMC日本&J-NETWORKスーパーフライ級王者)
2R:HIROYA(TRY HARD GYM/元Krushスーパー・ライト級(65kg)王者、K-1甲子園2008優勝)
3R:所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
勝敗無し
※ルールはボクシングに準じる。バックハンドブロー、スーパーマンパンチ可。シューズ着用は任意。ワセリン塗布。3ノックダウン制。那須川がKOされればその時点で終了。判定無し。那須川と大﨑は62kg契約・8オンスグローブ、HIROYAは75kg契約(当日リカバリー5kg以内)10オンスグローブ、所は63.5kg契約
RIZINはK-1、RISE等との共催で、6月13日に東京ドームで天心と武尊の大一番を実現させる準備していた。だが武尊が3月のK-1でのレオナ・ペタス戦で右拳を痛め、6月13日に回復が間に合わないことから先送りに。そこでRIZINでは6月13日ドーム大会での天心のワンマッチのオファーを各方面に出したが、体重やスケジュールなどの条件が合わず、相手選びが難航した。
そこで天心の発案で今回行われることになったのが、天心の来年からのボクシング転向を見据えての、ボクシングに準じたルールによる3選手との各1Rの変則マッチ。6月2日から6日まで相手を公募し、8日夜に相手発表という、急ピッチでの実現となった。
約500名の応募者の中から選ばれたのは、RISE等各団体のトップ戦線で活躍する21歳・30戦24勝(16KO)5敗1無効試合の新鋭・大﨑。残り2選手はRIZIN側からのオファーで天心を肌を交えることになった。HIROYAは昨年大晦日のRIZINでのシバター戦に続いての企画マッチでの起用に。1Rは大﨑と、2RはHIROYAと、3Rは当日発表の所と対戦した。前日計量での体重は62kg契約の天心は61.85kg、大﨑は60.35kg。75kg契約のHIROYAは74.3kgだった。所は63.5kg契約だった。
1Rは天心より小柄な大﨑との戦い。天心はサウスポーに構え、大﨑はオーソドックスに構えての攻防。大﨑は右フック、天心は右ジャブ、左ストレート、左ボディを随所で当てる。ほぼ五分だが、大﨑は十分に渡り合う展開に。終了間際、天心が左アッパーでのけぞらせなければ、ジャッジの採点が大﨑についても不思議ではないだろう。3選手で一番健闘したのは大﨑だった。
2Rは天心より大柄なHIROYAとの戦い。天心がスピードを活かし、左ボディ、左右のボディ連打を的確に当て続ける展開。時折HIROYAの右フックも当たるが、天心はブロック。終了間際、天心が右アッパーを効かせてから、左ボディを当ててダウンを奪う。
3Rは天心より大柄でHIROYAよりは小さい所との戦い。所はHERO’Sでのブレイクのきっかけを作ったバックハンドブローを随所で放つが、空振りが続く。天心が左ストレートを的確に当て続け、終盤には右フックで所をひるませ、優位で終える。
天心は3選手に感謝の言葉を述べ「年末、RIZINでは最後の試合になります。それにふさわしい試合をしたいです」「僕はボクシングで世界チャンピオンを取ろうと思っています。皆さん那須川天心に夢を託してください。絶対にやり遂げます」等とアピールした。
◆天心
毎ラウンド相手が元気で、疲労感があります。パンチはほぼほぼもらわず、今後に活きるいい経験になったと思います。1R目は硬くなってしまって、2Rからだんだんほぐれたと思います。
(大﨑について)最初の方に名乗りを挙げてくれたことが、昔の僕に似ている感覚がありましたね。彼も21歳で、枠からハミ出るチャレンジをしてくれたんで、今後僕が(キック界から)いなくなっても、そういう選手がいるのがうれしいという会話を(リング上で)しました。思ったより上手かったです。大﨑選手は(兄の一貴と共に)兄弟揃ってずっと勝っていて、それだけの実力はあるなと思いました。
(変則的な試合で、何を見せたいと思った?)本音言うと、ちゃんとした試合がしたかったですけど、どちらかというとテレビ向けで、インパクトのあることしないと視聴率が取れないのがわかっているんで。もともとやるかもしれない試合が流れて、調整が合わないのを繰り返して、最大限できることをやったかなっていう。こういう形でやるのも冒険的でいいのかなと思いましたね。…もうやりたくはないですね(苦笑)。
RIZINライト級初代王座決定戦
第8試合 RIZINライト級(71kg)初代王座決定戦 MMAルール(肘有り) 5分3R
×トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン/オリオン・ファイト・クラブ)
○ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
1R 1’12” 三角絞め
※ソウザが王者に
ムサエフはロシアの大会で活躍後、18年大晦日からRIZINに上がり、大尊伸光、ダロン・クルックシャンクを連破。19年10月からのRIZINライト級GPでは、ダミアン・ブラウン、ジョニー・ケースの元UFC勢を1Rで粉砕すると、決勝ではパトリッキー・“ピットブル”・フレイレに判定勝ちし優勝を果たした。その後、UFCからもオファーがあったが、RIZINに残留。昨年はアゼルバイジャンの兵役のため戦列を離れ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で来日できずにいた。
サトシは19年からRIZINに上がり北岡悟と廣田瑞人に連続TKO勝ち。同年10月のRIZINライト級GP一回戦でジョニー・ケースに1R TKO負けしたものの、昨年8月の横浜大会2DAYS初日では矢地祐介に1R TKO勝ちし、今年3月の名古屋大会では、徳留一樹を三角絞めでわずか104秒で仕留めた。矢地に勝った時点でムサエフとの王座決定戦は内定していたが、ムサエフの来日が可能になり、ようやく実現。ムサエフは来日後、政府のコロナ対策に従い、2週間の隔離生活を経てリングに上がる。試合前の国歌斉唱で、サトシはブラジル国歌ではなく、君が代が歌手のMay J.さんにより独唱される。
試合は短時間決着に。1R、開始すぐからサトシがタックルを仕掛け、ムサエフは切る。サトシは再び組み付くと、これも切られそうになるが、ムサエフの背中に乗る。ムサエフは振り落とそうとし、そのままサトシは落ちながらも引き込んで下になる。もちろん柔術家のサトシにとっては願ったりかなったりの展開で、サトシは足を登らせると三角絞めを極め、タップを奪った。
サトシは日の丸を掲げて大喜びし、ベルトを巻きマイクを持つと日本語で「日本、約束できたよ。RIZINのベルト、戻ったよ」とアピールし、場内は大きな拍手に包まれた。
RIZIN日本バンタム級トーナメント一回戦
バンタム級日本GPはRIZINバンタム級王者・堀口恭司への挑戦権を争う16人参加のトーナメント。6.13 東京ドームと6.27 丸善インテックアリーナ大阪の2大会で一回戦4試合ずつ、9月の首都圏の大会で準々決勝4試合、大晦日大会で準決勝と決勝を行う(準々決勝以降の組み合わせは未定)。賞金総額2000万円で内訳は優勝1000万円、準優勝500万円、ベストバウト賞やベストKO賞等の各賞100万円×5。
第7試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦 61kg契約 5分3R
○朝倉 海(トライフォース赤坂/元RIZINバンタム級王者、元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)
×渡部修斗(ストライプル新百合ヶ丘/元Fighting NEXUSバンタム級王者)
1R 3’22” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
3月に組み合わせ決定抽選会が行われ、海の初戦の相手は渡部に決まった。朝倉兄弟の弟・海は昨年大晦日の堀口との再戦&初防衛戦で、堀口のカーフキックでダメージを負い1R TKO負け。当初、バンタム級日本GPの出場オファーに難色を示していたが、3月21日のRIZIN名古屋大会ではリング上での榊原信行RIZIN CEOの参戦要請を受諾していた。
渡部は修斗初代ライト級王者・渡部優一の息子。Fighting NEXUS、DEEPでの戦いを経て、昨年8月の横浜大会2DAYS初日でRIZINに初参戦し、井上直樹に裸絞めで一本負け。その後、NEXUSのベルトを返上し臨んだ3月21日の名古屋大会では、修斗バンタム級世界2位の田丸匠を裸絞めで下し、RIZIN初白星をあげ、2戦目で元RIZIN王者・海との戦う権利を得た。
リングアナウンサーはタレントの中川翔子さんが務める。中川さんは海のファンで、フジテレビの生中継では中継席にも座った。
1R、渡部はしつこく片足タックルを繰り返すが、海は切り続ける。海は背後の横側から押さえ込みつつ、膝を渡部の頭に連打するが、当たりは浅い。スタンドに戻り、渡部は片足タックルを切られ、ロープに押し込まれると、飛びついてギロチンチョークを仕掛ける。そのまま引き込んでも仕掛けた状態が続くが、極まりは浅く、上になった海は落ち着いて引き抜く。
そして海は上体を上げてスペースを作ると、右のパウンドをヒット。的確で重みのある当たりは数発で効き目を発揮。渡部がひるんだ隙を逃さず、海が右のパウンドを連打し、動きが止まったところでレフェリーがストップした。
完勝の海は「東京ドーム、最高過ぎて気合入りました。去年の大晦日、たくさんの人の期待を裏切ったんですけど 強くなって戻って来ました このトーナメント、絶対優勝するって約束するので、応援お願いします。今日最後の兄貴の応援、皆さんお願いします」とアピールした。
だが、兄の未来はクレベル・コイケの三角絞めで敗れた。大会後のインタビューで海は「悔しいですね。兄貴の努力していた姿を近くて見ていたので。今まで以上に格闘技に向き合う姿を見てて、絶対勝って欲しい思いでいたので、悔しかったです」と話し、未来が引退を示唆した件について本人と話したか聞かれると「そこは話していないですけど、僕の思いとしては、まだやって欲しいなって気持ちがありますね」と答えた。
第6試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦 61kg契約 5分3R
×石渡伸太郎(CAVE/元パンクラス・バンタム級王者)
○井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
1R 1’58” TKO (レフェリーストップ:右サッカーボールキック)
石渡はパンクラスのバンタム級王者に長年君臨し5度防衛。2017年のRIZINバンタム級トーナメントでは大塚隆史らを破り決勝に進んだが、過去に1度敗れている堀口恭司に返り討ちにあい準優勝に終わった。怪我の療養を経て19年7月のRIZINでの復帰戦で佐々木憂流迦にノースサウスチョークで一本勝ち。19年の大晦日のRIZINでのバンタム級王座挑戦者決定戦では扇久保博正に判定2-1で惜敗し、怪我の影響で試合はそれ以来となる。
井上はDEEP、UFCを経て昨年2月の浜松大会でRIZINに初参戦し、トレント・ガーダムに判定勝ち、8月の横浜大会2DAYS初日の渡部修斗戦で一本勝ち、大晦日の元谷友貴戦では1R 裸絞めで一本勝ちし、快進撃を続けている。今回のトーナメントの本命・海の対抗馬との呼び声が高い。
1R、石渡がサウスポー、井上がオーソドックスに構え、井上の右ストレートのカウンターで、石渡が右フックを合わせて井上をひるませる。下がった井上に対し、石渡が右ストレートで追撃するが、井上が踏ん張って右ストレートを返すと、今度は石渡がひるみ後退する。井上が前に出て左ストレートも当てると、石渡はダウンする。井上は右のサッカーボールキックで追撃し、パウンドを当てたところで、石渡のコーナーからストップの意思表示のバトンが投げ入れられると共に、レフェリーもストップした。
試合後の井上はマイクアピールが下手とこれまで言われ続けたせいもあってか、スケッチブックに事前に書いてきた言葉をラウンドガールに読ませるという異例のパフォーマンスを展開。「1R得意のチョークで一本を取れて良かったです。このまま勝ち続け優勝します」等といった内容で、場内を和やかなムードにした。
第5試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦 61kg契約 5分3R
○扇久保博正(パラエストラ松戸/元修斗フライ級&バンタム級世界王者)
×春日井“寒天”たけし(志村道場/HEAT MMAバンタム級王者・元ストロー級王者、パンクラス・バンタム級2位)
判定3-0 (大藪=扇久保/片岡=扇久保/豊永=扇久保)
扇久保は修斗の2階級制覇王者。14年、VTJフライ級トーナメント1回戦で春日井に判定勝ちし、そのトーナメントでは優勝した。この実績が評価され、16年のUFCのリアリティ番組TUFのトーナメントに参加したが、準優勝に終わり、UFC出場を逃した。18年7月にRIZINに初参戦し、過去に修斗のタイトルマッチで敗れた相手である堀口恭司と再戦し判定負け。19年7月には元谷友貴に判定2-1で勝利し、19年の大晦日のRIZINでのバンタム級王座挑戦者決定戦では石渡伸太郎に判定2-1で勝利し、昨年8月の横浜大会2DAYS2日目での朝倉海との王座決定戦では1R TKO負けに終わった。11月の大阪大会では瀧澤謙太に判定勝ち。今年1月にはRIZINに専念するため修斗世界フライ級王座を返上した。
春日井はRIIZN初参戦の32歳。パンクラスを主戦場とし、所属の志村道場の主催するHEATでは2階級を制覇している。パンクラスでは6戦4勝1敗1無効試合で、唯一の黒星は19年10月のアラン“ヒロ”ヤマニハ戦での判定負けのものだ。
1R、スタンドの攻防が続き、扇久保が圧をかけ、積極的に右フック、左右のローを放つ。クリーンヒットは乏しいがやや優位を印象付ける。終盤、春日井も右ストレートを連続で当て、大差はつけさせない。
2R、スタンドの攻防がしばらく続いたが、中盤、扇久保が両脇を差して、抱えて倒して上になり、トップキープする。ハーフで押さえ続け、最後はがぶりの状態で膝を連打し、攻勢を印象付ける。ここまで記者採点は扇久保。
3R、春日井が組んで来るが、扇久保が抱え上げてテイクダウンを奪い、またもトップキープする。一旦春日井が脱出するが、すぐ扇久保が片足タックルから倒して上に。もがく春日井を押さえ続けて終了する。
記者採点は扇久保。ジャッジ3者も扇久保を支持し、扇久保が下馬評通り初戦を制した。
第4試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント一回戦 61kg契約 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×岡田 遼(パラエストラ千葉/修斗バンタム級世界王者)
判定3-0 (大藪=元谷/和田=元谷/松宮=元谷)
元谷はRIZIN旗揚げ当時からのレギュラーメンバー。17年4月に堀口恭司に、19年7月に扇久保博正に判定負けしたが、いずれも競り合う好勝負を繰り広げた。昨年、3月にDEEPで大塚隆史、8月の横浜大会2DAYS2日目で魚井フルスイング、11月のDEEPで米山千隼相手に3連勝と好調だったが、大晦日のRIZINでは井上直樹の裸絞めで1R一本負けを喫した。
RIZIN初参戦の岡田はアマチュア時代から一貫して修斗で戦って来た選手で、扇久保の後輩にあたる。19年1月、祖根寿麻に1R KO勝ちし修斗環太平洋バンタム級王座を獲得。1度の防衛後、昨年5月、倉本一真とのバンタム級暫定王座決定戦で2R KO勝ち。佐藤将光の返上で正規王者になると、3月20日の修斗での初防衛戦では大塚隆史に5R判定勝ちした。試合後には残り約1年での引退を表明し、組み合わせ抽選会では「最後に修斗の外に修斗の強さを証明しようと思い、出場を決めました」と話していた。
1R、スタンドの展開が続き、元谷が右フック、左右の膝蹴り主体で積極的に攻める。当たりは浅いが攻勢を印象付けるには十分だ。逆に岡田が前に出れば、元谷はうまくステップでかわし、押し込まれてもテイクダウンを許さない。
2Rも基本的に同じ構図で、元谷が積極的に右フック、膝を当てる。中盤から岡田も雄叫びをあげながらパンチ、蹴りを積極的に出すようになり、手数では巻き返す。とはいえお互いクリーンヒットにつながらず、場内は静かな状態が続く。途中、元谷がロープをつかんだため警告が出される。
3R、前に出る岡田を元谷はステップとジャブでかわしつつ、自分の左右のフックを的確に当て続ける。終盤、岡田が組み倒して上をキープするが、その先に持ち込めず終了する。記者採点は打撃のヒットで差をつけた元谷。ジャッジ3者も元谷を支持し、元谷が初戦を突破した。
斎藤裕ノンタイトル戦。シビサイ×スダリオのヘビー級戦。ベイノア、MMAデビュー戦
第3試合 MMAルール フェザー級(66kg)(ノンタイトル戦) 5分3R
○斎藤 裕(パラエストラ小岩/RIZINフェザー級王者、元修斗フェザー級(65.8kg)世界王者)
×ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン/オリオン・ファイト・クラブ)
判定2-1 (大藪=斎藤/松宮=ケラモフ/豊永=斎藤)
斎藤は16年に修斗世界フェザー級王座を獲得。宇野薫、リオン武に、髙谷裕之らベテラン勢に勝利し、昨年8月の横浜大会2DAYS2日目でRIZINに初参戦し、摩嶋一整に2R TKO勝ち。11月の大阪大会では朝倉未来とのスリリングな打撃戦の末に判定勝ちし、RIZINフェザー級初代王者となった。RIZINに専念するため、今年3月一杯で修斗の王座を返上している。
ケラモフはトフィック・ムサエフと同門でMMA戦績18戦15勝(6KO/6一本)3敗の29歳。昨年2月の静岡大会でRIZINに初登場し、カイル・アグオンを右の打撃とパウンドで序盤に追い詰め判定勝ちして以来の試合だ。
1R、斎藤の右ローをすくい、ケラモフが倒して上になる。斎藤は脱出して立つが、今度はケラモフが首投げで倒した際、ロープの外を出てリングの下に落ちる。斎藤はダメージ自体は無いものの、右まぶたが切れており、ドクターチェックが入る。落下前にパンチが交錯した際のバッティングで切れたようだ。再開後、ロープ際で両者組み、斎藤が投げを狙うが、ケラモフはロープをつかんで防御する。逆にケラモフがテイクダウンに成功するが、下になった斎藤は「目に指を入れている」と指摘する場面も。ケラモフのラフファイトが目立つラウンドに。
2R、ケラモフはロープつかみ、ショーツつかみの反則でイエローカードが出される。中盤、ケラモフが両足タックルで倒して上になるが、斎藤は両足を効かせて脱出する。パンチが交錯すると、ケラモフがスリップし、斎藤はすぐサッカーボールキックを当てる。そのまま上になり、最後は背後に回り、パウンドも織り交ぜ攻勢を印象付ける。ここまでの内容で判定するなら打撃で印象を残した斎藤だろう。ケラモフは反則が悪印象だ。
3R、斎藤のパンチに合わせ、またもケラモフがタックルでテイクダウンを繰り返す。斎藤はその先に攻めさせず、その都度立つ。中盤、斎藤の右まぶたから再び出血しドクターチェックが入るが再開する。その後も斎藤は倒されるがその先を許さず、スタンドに戻り終了する。記者採点は斎藤。ジャッジは割れたが、斎藤が2者に支持され判定勝ちした。
第2試合 MMAルール 120kg契約(ヘビー級相当) 5分3R
○シビサイ頌真(パラエストラ東京/111.4kg)
×スダリオ剛(フリー/118.65kg)
3R 1’38” 裸絞め
シビサイは18年7月のRIZIN初戦ではボルドプレフ・ウヌルジャガに敗れたが、19年10月のキム・チャンヒ戦、同年12月のセルゲイ・シュメトフ戦では一本勝ちしている。
元十両・貴ノ富士改めスダリオ剛は、大相撲を引退後、エンセン井上氏の元でMMAを習い、昨年9月の埼玉大会でMMAデビューし、ディラン・ジェイムス、ミノワマン、宮本和志相手に3連続1R KO勝ち。だが3月の名古屋での宮本戦では、レフェリーストップ後の攻撃でペナルティを科されていた。
1R、シビサイが終始圧力をかけ、右ローを時折当てつづ、右ストレート、左フックを随所で当て攻勢。スダリオも時折パンチを当てるがヒットが少ない。だがシビサイも3分を過ぎると早くも口が開き疲れが見え始める。
2Rはお見合いが続き、中盤にレフェリーが両者に消極的だとして注意するが、その後もお見合いが続く。
すると3R、シビサイが序盤からタックルでテイクダウンに成功すると、立とうと動いたスダリオのバックに回り、ガッチリ捕獲し、裸絞めを極めてタップを奪い勝利いした。
第1試合 MMAルール 73kg契約 5分3R
○弥益ドミネーター聡志(team SOS/元DEEPフェザー級(65.8kg)王者)
דブラックパンサー”ベイノア(極真会館/RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級王者、極真会館2018全日本ウェイト制軽量級優勝)
判定2-1 (大藪=弥益/豊永=ベイノア/片岡=弥益)
弥益はDEEPで王者となるなど活躍後、大晦日にRIZINに初参戦し、朝倉未来にKO負けして以来となるRIZIN登場。
ベイノアは米国出身で1歳の時から日本に住む。フルコンタクト空手の極真会館の全日本ウェイト制大会で優勝する傍ら、キックボクシングも並行し、2本の王座を獲得。RISEの主力として活躍し、最近では宮城寛克、憂也に連勝。以前からRIZIN参戦を熱望していた。漫才コンビ「けとるべる」の一員としてM-1やR-1にも出場している。
1R、組んで倒そうとする弥益を突き放し、ベイノアが右ストレート、ミドル、ローを何発も当て続ける。猪木アリ状態になってもベイノアは付き合わずスタンドに戻し、中盤には右フックでダウンさせる場面も。
2R、弥益は序盤からテイクダウンに成功し、トップをキープする。ベイノアは中盤に脱出するが、倒される際に再三ロープをつかんだため、イエローカードが提示される。再三の注意にも関わらず、5回以上はつかんでいたため、レッドカードでもいいぐらいだろう。その後の展開でも、ベイノアはロープをつかんだため、ようやくレッドカードがインターバル後に出される。
3Rも弥益が序盤からテイクダウンを奪い、トップをキープする。だが中盤、ベイノアが脱出すると、タックルでしがみつく弥益に、鉄槌を連打して追い詰める。最後、弥益はアームロックで逆転を狙うが、ベイノアは体を動かして防御しながら鉄槌を当て続け終了する。
記者採点は弥益。有効打では当然ベイノアが上だが、ロープつかみのレッドカードの重みを考慮した。ジャッジは割れ、2者が弥益を支持し、弥益の勝利となった。