RIZIN LANDMARK 10.2 東京(全試合レポ):朝倉未来、萩原京平をグラウンドで圧倒し判定勝ち。鈴木博昭・今成正和・渡部修斗は1Rで快勝
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+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.1
2021年10月2日(土)非公開(東京都内)
レポート:井原芳徳 写真:(C) RIIZN FF
RIZINは「コロナの時代に生き抜くための新しい戦いのステージ(榊原信行CEO)」として、観客を数十人しか入れず有料配信に特化した新シリーズ「RIZIN LANDMARK(ランドマーク)」をスタートし、U-NEXTで有料独占配信した。vol.1の会場は東京都内ということ以外、発表は無し。リングと観客の周囲は白い幕で囲われ、どこで行われているのかわからない。試合数も4試合と通常シリーズの3分の1程度だ。(ちなみにマスコミも会場規模の都合で、現地での取材はできなかった。)
イベントは19時スタート予定だったが、U-NEXTへの視聴申込が直前に殺到した影響で、多くのユーザーがアクセス不能となり、19時40分から榊原CEOがリングに上がって配信トラブルの謝罪をするという、第1回から波乱の幕開けとなった。1時間遅れの20時スタートとなり、冒頭に恒例の大会紹介映像が流れた後は、入場セレモニーは無かった。中継陣による番組紹介と、メインイベントの2選手へのインタビューを挟み、第1試合に突入した。
朝倉未来、グラウンド勝負で萩原京平を圧倒。斎藤&コイケへのリベンジ戦を熱望
第4試合 メインイベント MMA 68kg契約 5分3R
○朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級・60-65kg級王者)
×萩原京平(SMOKER GYM)
判定3-0 (柴田=朝倉/松宮=朝倉/大藪=朝倉)
未来は昨年11月の大阪大会でのRIZINフェザー級初代王座決定戦で斎藤裕に判定負け。大晦日に弥益ドミネーター聡志に1R KO勝ち。6月の東京ドーム大会ではクレベル・コイケに2R三角絞めで一本負けすると、引退を示唆したが、翌日には現役続行の意向を示し、打倒・斎藤&コイケを目標に掲げている。
萩原はいわゆる地下格闘技大会や、大阪のプロMMA大会・GLADIATOR等で経験を積み、昨年8月からRIZINに参戦。2戦目では芦田崇宏に一本負けしたものの、それ以外の3試合では白川陸斗、内村洋次郎、平本蓮にKO勝ちしている。試合は昨年大晦日の平本戦以来10カ月ぶりだ。
8月のカード発表会見で未来は「思いっきり(寝技で)漬けて、前にMMA素人(=平本)をイジめていた感じで、俺が逆にやってやろうかなって」と話していたが、まさにその通りの展開となる。
1R、未来はサウスポーに構え、開始すぐに左のカーフキックをヒット。萩原も右のカーフキックを返す。お互いスタンドでフェイントをかけてから1分過ぎ、未来が左手を上げ、右手で相手の足を抱えるタックル一発でテイクダウンに成功する。未来は上から押さえ、パスガードに成功するが、その隙を突いて萩原は脱出し、踏みつけを放ってから、ロープ際で押さえる。だが未来は背中をつけず、脱出して両足タックルを仕掛け、テイクダウンを狙う。3分過ぎ、未来が抱え上げて再びテイクダウンに成功する。コーナー付近で未来がサイドポジションで押さえ、萩原が立とうとしても上からコントロールを続ける。ここまで未来優位だ。
2Rも未来が1R同様の片足タックルで倒して上に。中央付近でハーフガードで押さえる。萩原が立ち上がるが、未来はがぶって押さえ、頭に膝を当て、萩原のバックを取る。未来がコーナー付近で背後からコントロールし、時折パウンドを当て、裸絞めも狙う。萩原は防戦一方だが、未来も追い詰めきれずラウンドを終える。ここまで未来優位だ。
3R、未来が左ハイを当ててから、またも1Rと2R同様の片足タックルで倒して上になる。萩原は立つが、未来はロープ際で組みつくと、左膝蹴りをボディに効かせてから、再びテイクダウンに成功。上から押さえて左手で鉄槌を連打する。攻め続けている未来も呼吸が荒くなってきたが、サイドをキープし、細かくパウンドと肘をヒット。萩原は左まぶたから出血し、防戦一方のまま終了する。記者採点は未来。ジャッジ3者も同様で、ダメージを与え大部分の主導権を維持した未来の判定勝ちとなった。
マイクを持った未来は「再起戦ということで、結構なプレッシャーがありましたけど、勝つことができて良かったです。萩原君は久々に日本の格闘技に華のある選手が出て来たと思って、今日やってみて、メンタルも強く、打撃も良かったです。『やり返す』と言っていたんで今後楽しみです。僕は斎藤選手とクレベル選手にやり返すため、キツい練習をして毎日過ごしてきました。年末とかでもいいですけど、対戦を受けてくれるとうれしいです」とコメントした。
中継席で見ていたフェザー級王者・斎藤は「勝利おめでとうございます。強くなったところを見れたので、対戦機運が高まればよろしくお願いします。僕はとりあえず、10月24日の(RIZIN.31の)試合を控えているんで、勝ってから考えます」と回答した。
未来は最近の練習での成長の手応えについて「試したかったんで、相手の弱い所(=寝技)で戦うというところで。体力とパワーは確実についていると思います。強くなりましたよね?」と話し、一定の手応えを得た様子だった。(※選手のインタビューでのコメントは以下の記事に掲載)
PPV視聴数はU-NEXT最高記録。斎藤の10月24日の防衛戦は未来以外で調整
大会後の総括でRIZINの榊原CEOは配信トラブルを謝罪すると共に「視聴できなかった方への払い戻しはU-NEXTさんとこれから調整します」「(通常のナンバーシリーズの)RIZIN LIVEなんかでは事前購入で500円安くしているんですけど、分散して購入していただけるような方法を考えるのが大事かと思います」「ポジティブに見ればアクセスが集中したということで、サザンオールスターズやB’zの記録を大きく超したことはうれしく思います」「U-NEXTさんのPPVの過去最高の数字を記録しましたが、海外のメイウェザーやローガン・ポールやタイソンのPPVのような100万件という数字になると、圧倒的なインフラの整備が必要です。そのパートナーがU-NEXTさんであればいいなと今も思っていますが、明日早速U-NEXTのトップの皆さんとも協議をし、今回の大失敗を糧にどうケアしていけばいいか相談できればと思います」と話した。最終的に1時間遅れでスタートしたが、トラブルの影響で購入をあきらめた・回避した人達も多くいたと考えられ、配信特化型の格闘技イベントの問題点と可能性の両方が顕著に表れた大会となった。(追記:サザンの昨年6月のライブ配信はU-NEXT以外にもABEMAやGyao!等計8メディアで、B’zの昨年10月のライブ配信は9メディアで5週連続配信されたため、配信の負荷は分散されたと考えられる)
なお、まだ未定である10月24日の斎藤の防衛戦の相手について、榊原氏は「未来は足首を痛めたので病院に行くと言っていました。10.24に志願しても、そこでは無いのかなと思います。未来がベストコンディションで、斎藤が24日にきちっと防衛した先に2人の戦う流れがあればいいと思います。24日は素晴らしい候補の選手が何人かいますので、そこから選びたいです」とコメント。2日前の会見で榊原氏は朝倉と萩原の勝者以外にDEEPフェザー級王者の牛久絢太郎の名前を候補に挙げていたため、牛久が最有力候補に。斎藤が24日に勝てば未来との再戦は大晦日となりそうだ。
鈴木博昭、MMAデビュー戦は1R TKO勝ち
第3試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM/ボンサイ柔術/元シュートボクシング世界スーパーライト級(65kg)王者)
×奥田啓介(フリー)
1R 1’42” TKO (レフェリーストップ:左膝蹴り→グラウンドパンチ)
シュートボクシング(SB)の元世界王者・鈴木博昭が、プロレスラー兼MMA選手の奥田啓介を相手にMMAデビューした。
鈴木はSBのエースとして活躍後、18年からはONE Championshipに上がり3戦2勝1敗。鈴木が愛知県豊橋市で運営するBELLWOODジムに、静岡のボンサイ柔術勢が打撃の出稽古に訪れることから、6月のRIZIN東京ドーム大会の前にはクレベル・コイケに肘打ちを伝授。セコンドにもつき、朝倉未来戦での勝利をアシストし、名参謀ぶりを発揮した。以前からMMAに関心があり、ボンサイ勢らとも寝技の練習を重ね、36歳にしてMMAに挑戦する。
鈴木は本来フェザー級相当の体格で、実質1階級上での戦い。1R、体格で勝る奥田がプレッシャーをかけ、タックルを仕掛けてコーナーに押し込んでテイクダウンを狙う。鈴木は倒れず耐えると、奥田は離れる。鈴木はサウスポーから左ハイをヒット。奥田が再びタックルを仕掛けると、鈴木はかわして逆に奥田をコーナーに詰める。鈴木は左右のパンチを振る。奥田がパンチを嫌った組もうとして頭を下げると、顔面に左膝蹴りをヒット。ダウンした奥田にパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
今成正和、オモプラッタ→リバーサル→アームロックで寒天を1R葬
第2試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○今成正和(今成柔術/元DEEPバンタム級&フェザー級王者、元Cage Rage世界フェザー級王者)
×春日井“寒天”たけし(志村道場/HEAT MMAバンタム級王者・元ストロー級王者、パンクラス・バンタム級2位)
1R 2’50” アームロック
大会冒頭2試合はバンタム級戦。急きょ出場の内藤頌貴以外は6月のバンタム級日本GP一回戦で敗退した選手たちで、GP後のバンタム級戦線を占う上でも注目の試合となる。
1R、今成は春日井のパンチのタイミングで自分から寝転がり、春日井はガードの中に入り寝技勝負に付き合う。春日井は胸を張って足を登らせず、上からパウンドを狙うが、今成はブロックする。だが今成は隙を突いて足を登らせると、三角絞めを狙いつつ、両足で春日井の右腕を挟んでオモプラッタを仕掛ける。そのままリバーサルに成功すると、上になって押さえつつ、アームロックを極めてタップを奪った。
今成は「珍しくスッキリ勝っちゃってちょっとうれしいです。またリングの上で会いたいですね」と笑顔で話した。なお、試合後のインタビューで春日井は、この試合での引退を表明している。
渡部修斗、緊急出場の内藤頌貴に快勝
第1試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○渡部修斗(ストライプル新百合ヶ丘/元Fighting NEXUSバンタム級王者)
×内藤頌貴[のぶたか](パラエストラ松戸/修斗フライ級世界6位)
1R 1’33” ダースチョーク
内藤のび太の弟・頌貴は、緊急出場のためフライ級から階級を1つ上げての試合で、リング上で渡部と並ぶと体格差がはっきりしている。
1R、開始早々か渡部が片足タックルで倒し、がぶりの状態からダースチョークを極める。内藤はしばらくもがくが、渡部がそのまま極め続け、内藤の腕がダランとしたところでレフェリーがストップした。
渡部は「これがマジカルチョークです。内藤選手、急きょ受けてくれてありがとうございました。セコンドについている(青野)ひかると一緒にRIZINに出たいです。むしろひかるだけが出て俺がセコンドでもいいです。怪我無いので、大晦日、出たいです。レスリング出身なのでオリンピックレスラーとやりたいです」と話し、ガールフレンドでDEEP JEWELSの王座戦線で活躍中の青野を売り込むと共に、MMAはまだ1勝1敗の太田忍との試合を希望した。