パンクラス 9.12 USEN STUDIO COAST:HEARTSの中田大貴、リングスのRyoとのフェザー級新鋭対決制す。ロッキー川村“2”、MMA復帰戦はKO勝ち。マッハ道場・葛西和希&稲垣組・木下憂朔が上位勢撃破
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PANCRASE 323
2021年9月12日(日) 東京・新木場 USEN STUDIO COAST
レポート&写真:井原芳徳
本戦
第9試合 メインイベント 66.65kg契約 5分3R
○中田大貴[ひろたか](和術慧舟會HEARTS/フェザー級3位)
×Ryo(RINGS/フェザー級4位、元THE OUTSIDER 75-70kg王者)
判定3-0 (山崎29-28/太田29-28/大藪29-28)
※Ryoは公式計量でフェザー級(65.8kg)+1ポンド(0.45kg)=66.25kgを400gオーバー(66.65kg)。中田が試合を承諾したため66.65kgのキャッチウェイトで試合を実施
中田は着衣総合武道の空道をベースとしMMA 3勝1敗。Ryoは元THE OUTSIDER 75-70kg王者でパンクラスでプロデビュー後は3戦全勝。5月大会で中田は元フェザー級王者の田村一聖とのパンチ合戦を制し1R TKO勝ちし、Ryoは透暉鷹(ときたか)を相手に劣勢が続くも終了間際にギロチンで絞め落とし大逆転勝利している。
この結果、中田はランキング圏外から3位に、Ryoは14位から4位にまで急浮上。同じ大会で王者・ISAOが中島太一との5Rのハイレベルな攻防を制して3度目の防衛に成功したが、次期挑戦者を占う上でも大事な一戦となる。
前日計量では上記の通りRyoが体重をオーバーした。UFC等で採用の米国MMA統一ルールに準じているパンクラスでは、選手に減点のペナルティは無く、試合時も「キャッチウェイト」とアナウンスされただけで、Ryoの体重オーバーについて言及は無かった。
1R、サウスポーのRyoが左フックを当てて中田をダウンさせ、パウンドラッシュの後、オンブになって裸絞めを狙い、一気にフィニッシュに近づく。中田は脱出し押し込むが、左目の下をカットして出血しドクターチェックを受ける。再開後、中田は右ミドルを強打するが、Ryoはタックルで倒し、トップをキープする。Ryoは立たれても押し込み続け主導権を維持する。
2R、中田が右ミドル、右ストレートを当て続け、Ryoを追い詰める。Ryoはタックルで倒すが、中田は脱出すると、再び右ミドルとパンチでRyoを追い詰める。1Rのダメージのある中田、減量苦のRyo、双方スタミナロスが激しい。終盤、Ryoが倒して上になるが、攻めきれず、最後は立って終わる。中田がポイントを取り返すラウンドに。
ポイント五分となり迎えた3R、中田が変わらず右ミドルを当てるが、Ryoがサウスポーからの左のインローを返し続けると、中田がバランスを崩す。Ryoはタックルで金網に押し込んでから倒して上に。だが疲れもあり、その先に持ち込めず、中田は立つと、前に出続け、右ミドル、右ストレートを随所で当て再び攻勢に。下がり続けたRyoも最後は左ストレートを返すが、手数の差は縮まらないまま終了。3Rも中田がポイントを取り、消耗戦を制した。
中田は「UFC、世界最強を目指しています。今のレベルだとバカと思われると思いますけど、絶対たどり着けると信じています」と、海外生活で培った英語も絡めてアピールした。
第8試合 コーメイン ミドル級 5分3R
○ロッキー川村2(パンクラスイズム横浜/元ミドル級&ライトヘビー級王者)※ロッキー川村 改め
×荒井勇二(GUTSMAN/2位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
1R 3’03” KO (右膝蹴り)
川村は17年11月のミドル級王座防衛戦で新村優貴にTKO負けして以来4年ぶりのパンクラス出場。近年はプロレスラーとしての活動が中心で、格闘技の試合では巌流島やKNOCK OUTに出場していた。昨年12月、キッズレスリングクラスで教え子だった内藤由良から対戦を求められ、川村も承諾。6月に40歳となったばかりだが、映画のロッキーさながらにMMAに復帰し、リングネームにも「2」の文字を入れる。内藤はその試合で荒井を右フック一撃でKOし、わずか17秒で勝利している。
1R、川村がパンチを狙ってプレッシャーをかけ続け、中盤、左ミドルを放つと、荒井は組んでくるが、川村は突き放す。すると川村は再びプレッシャーをかけてから右ストレートをクリーンヒットし荒井をダウンさせる。荒井は苦し紛れに組んでくるが、川村は切って顔面に右膝を当て、荒井が頭をマットに突っ伏して倒れたところでレフェリーがストップした。勝利者インタビューでも川村はロッキーキャラを貫き、何を聞かれても「エイドリアーン」と叫び続けてケージを後にした。
第7試合 ライト級 5分3R
×林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/3位)
○葛西和希(マッハ道場/7位)
判定0-3 (太田28-29/山崎28-29/出口27-30)
林は昨年9月大会でのライト級暫定王者決定戦で雑賀 ヤン坊 達也に1R KO負けして以来の試合。葛西は今年2月のRoad To ONEで修斗の世界ランカー・長田拓也を3R膝蹴りでKO。怪我の療養を経てパンクラスに戻って来た。
1R、打撃戦主体で、林が右ボディフック、右ストレート、葛西が右ミドル、首相撲からの右肘打ち、左ジャブをヒット。お互い印象に残る攻撃を出すラウンドで、ジャッジ2名が林、1名が葛西を支持と、採点も割れる。
2R、序盤に林がワンツースリーでの左フックを当て、葛西をダウンさせる。だが葛西はすぐ持ち直して上になると、右肘を連打して林の左まぶたを切り裂く。その後もコントロールを続け、裸絞め、肩固めで追い詰め、ポイントを奪う。
3R、お互い疲れが目立つも、葛西が積極的に攻め、パンチ、組んでの膝、テイクダウンでやや優位。林も上からのパウンドで少しチャンスを作るが、長くは続かず終了。2Rと3Rを取った葛西が判定勝ちし、王座挑戦に一歩近づいた。
勝利者インタビューで葛西は「格闘技で成り上がりたいのにこんな試合で申し訳ないです。練習したことを試合で出せるよう精進したいです」と謙虚に語った。
第6試合 ウェルター級 5分3R
×高木健太(ファイティスジムMSC/3位、元HEATウェルター級王者)※リバーサルジム川口REDIPSから所属変更
○木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/4位)
1R 1’39” ニンジャチョーク
高木は19年6月のウェルター級暫定王者決定戦で手塚裕之に敗れて以降、パンクラスではアレキサンダー・ラカスと菊入正行にも敗れパンクラス3連敗中。木下はアマチュア5戦・プロ3戦で無敗の20歳。7月の大阪大会で6位の中村勇太に1R TKO勝ちし、4位にランクインしSTUDIO COASTの本戦に初登場し、きっちりインパクトを残す。
1R、木下がサウスポーに構え、序盤から左フックを的確に当て、左フックで高木をダウンさせると、パウンドラッシュからニンジャチョークを極めてタップを奪った。
木下は「次、10月に暫定王座戦(=菊入正行 vs. 村山暁洋)、あると思うんで、勝ったほうと次やらせてください」とアピールした。
第5試合 フェザー級 5分3R
○亀井晨佑[しんすけ](パラエストラ八王子/ネオブラッドトーナメント2018同級優勝)
×三宅輝砂[きさ](ZOOMER/11位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
判定2-1 (出口28-29/大藪29-28/荒牧29-28)
亀井は学業と仕事に専念していたが、2年ぶりに格闘技に復帰。三宅は5月に1DAYトーナメント形式で行われたネオブラを2試合ともフィニッシュして優勝した21歳。
1R、亀井がスイッチを繰り返しつつ、左右のミドルを当てやや優位。だが三宅が胴タックルから倒すと、ギロチンを狙い、バックも奪い、寝技で追い込む。スタンドに戻ってからも三宅が右のカーフキックを効かせる。ジャッジは割れ、2者が亀井、1者が三宅を支持する。
2Rは終始スタンドの攻防。亀井が右ストレート、左ジャブ主体で、三宅が左フック主体で、接戦が続くが、ややヒット数が上回る亀井をジャッジ3者とも支持する。
3R、亀井がテイクダウンを奪い、上から右肘を当てる。三宅は返して上になり、フロントチョークで逆転に近づくが、最後は亀井が外して上で押さえて終了。亀井が2Rまでのポイント差を守り判定勝ちした。
第4試合 フェザー級 5分3R
○岩本達彦(BLOWS/10位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
×遠藤来生[らいき](Power of Dream Sapporo/12位)
2R 2’47” アナコンダチョーク
1R、長身の岩本が左ジャブ、組んでの膝を的確にヒット。終盤には右ストレートで遠藤をスリップさせる。最後、遠藤がタックルで倒し、金網際で上からパウンドを少し当てるが、岩本の打撃の印象の残るラウンドに。
2Rも岩本がアゴへの右膝蹴り、右ストレートを効かせ、最後は右ストレートでダウンさせると、ダメージの溜まった遠藤にアナコンダチョークを極めタップを奪った。
第3試合 バンタム級 5分3R
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We)
×平田丈二(総合格闘技闇愚羅)
判定3-0 (30-27/29-28/29-28)
1R、両者サウスポーに構え、お互いパンチとローを出すが、慎重な状態が続く。終盤、TSUNEがタックルで倒すと、コントロールを続け攻勢を印象付ける。
2Rもスタンドでローの打ち合いが続くが、またもTSUNEがタックルで倒すと、今度はすぐにバックをキープし、最後は立たれてもコントロールを続ける。
3R、後のない平田は圧力を強め、左フックを効かせ、TSUNEのタックルを切ってから、バックを奪い裸絞めを狙って反撃する。だが最後はTSUNEが反撃し、最少失点に止め判定勝ちした。
第2試合 フライ級 5分3R
○聡-S[タイガー]DATE(Team DATE/10位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
×桐山康平(パンクラス大阪稲垣組)
2R 1’19” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
聡-Sは19年からネオブラッドトーナメントに出場し、1年目は一回戦敗退。2年目は準優勝だったが、今年は6月大会の1DAYトーナメントで2連続TKO勝ちして初優勝し、フライ級ランキング入りも果たした。対する桐山は7月の大阪大会で杉原光世に55秒でTKO勝ちし、同門の木下と共にに本戦に初進出した。
1R、お互い慎重だが、桐山が時折右ミドルを当て、やや優位。しかし終盤、聡-Sがボディの左サイドキックを当てた直後、顔面狙いのサイドキックを放つとクリーンヒットし、不意を突かれた桐山はダウン。最後、桐山が上になるが、悪印象を払しょくできない。
すると2R、聡-Sが今度はボディに左サイドキックを当てて吹き飛ばすと、ダメージの溜まった桐山にパウンドを連打しフィニッシュ。聡-Sは「3連続KOできました。そろそろタイトルマッチをやりたいです」とアピールした。
第1試合 ミドル級 5分3R
○内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム/1位)
×渡部拓馬(reriable)
1R 1’11” 腕ひしぎ十字固め
内藤は昨年9月にプロデビューし2連続1R一本・KO勝ち。12月大会で荒井勇二を右フックでわずか17秒でKOすると、キッズレスリング時代の先生だった川村亮に対戦を要求していた。先述の通り川村も今大会で4年ぶりにパンクラスに登場している。内藤が当初対戦予定だった大和が欠場し、大会2週間を切ってから渡部の代役出場が発表された。
試合は内藤の完勝に。1R、数十秒で内藤が片足タックルで倒すと、ハーフから肩固めを狙ってマウントを奪い、腕十字を極めタップを奪った。
内藤は「渡部選手が2週間前に2階級も下なのに試合を受けてくれて勇気のあることだと思いました。渡部選手に拍手をお願いします。この後、ロッキー川村2、変な名前ですけど、試合見て準備したいです。師匠・川村亮を倒して世界に羽ばたきます」とアピールした。
ポストリミナリー
第7試合 第27回ネオブラッドトーナメント バンタム級決勝 5分3R
○風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)
×川北晏生(TRIBE TOKYO MMA)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※風間が優勝
第6試合 ミドル級 5分3R
×廣野雄大(パンクラスイズム横浜)
○佐藤龍汰朗(エクストリーム柔術アカデミー)
2R 2’41″ 裸絞め
第5試合 フェザー級 5分3R
○渡辺謙明(パラエストラ東京)
×中野剛貴(KRAZY BEE)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第4試合 フェザー級 5分3R
○高木 凌(パラエストラ八王子)
×漆間將生[うるしま しょうい](KRAZY BEE)
1R 2’25” KO (左フック)
第3試合 第27回ネオブラッドトーナメント ストロー級準決勝(2) 5分3R
○大塚智貴(CAVE)
×朝日向大貴(BRAVE GYM)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第2試合 第27回ネオブラッドトーナメント バンタム級準決勝(1) 5分3R
○風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)
×田嶋 椋(OOTA DOJO)
1R 0’55” ヒールフック
第1試合 第27回ネオブラッドトーナメント バンタム級準決勝(2) 5分3R
○川北晏生(TRIBE TOKYO MMA)
×小川準也(CAVE)
3R 3’20” 裸絞め