RIZIN 9.19 さいたまスーパーアリーナ(レポ):朝倉海、ヤマニハに苦戦も判定勝ち。バンタム級GPは海、井上直樹、扇久保博正、瀧澤謙太が大晦日進出
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Yogibo presents RIZIN.30
2021年9月19日(日) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
バンタム級トーナメント二回戦、朝倉海、右拳負傷しヤマニハに苦戦も判定勝ち
第10試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級(61kg)トーナメント2回戦 5分3R
○朝倉 海(トライフォース赤坂/元RIZINバンタム級王者、元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)
×アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ブルテリア・ボンサイ/パンクラス・バンタム級1位)
判定3-0 (片岡=朝倉/松宮=朝倉/大藪=朝倉)
6月13日の東京大会と6月27日の大阪大会で一回戦の行われたバンタム級日本トーナメントの2回戦4試合が行われた。大晦日大会で準決勝と決勝を予定。優勝者はRIZINバンタム級王者・堀口恭司への挑戦権を得られる。賞金総額2000万円で内訳は優勝1000万円、準優勝500万円、ベストバウト賞やベストKO賞等の各賞100万円が5本となっている。
6月の東京ドーム大会での一回戦で勝ち上がった4選手が赤コーナー、大阪大会で勝ち上がった4選手が青コーナーに立つ構図。“東京組”の扇久保が「東京組と大阪組のレベルが全然違うんで、大晦日は東京組の4人で潰し合いたい」と話した通り、実績も下馬評も上の東京組に対し、大阪組がどれだけ波乱を起こせるか注目が集まった。
朝倉兄弟の弟・海は昨年8月のバンタム級王座決定戦で扇久保に1R TKO勝ちし第3代王者になるが、昨年大晦日の堀口との再戦&初防衛戦で、堀口のカーフキックでダメージを負い1R TKO負け。6月のバンタム級トーナメント一回戦では渡部修斗のギロチンに対処すると、強烈な右のパウンドの連打で粉砕し、3分22秒でTKO勝ちした。
ヤマニハはブラジル出身でホベルト・サトシ・ソウザ、クレベル・コイケと同じボンサイ柔術所属の35歳。パンクラスを主戦場とし、今回のトーナメント出場者絡みでは、13年に石渡伸太郎に判定負け、16年に瀧澤謙太に2R TKO勝ち、18年10月に金太郎に3R TKO負け、19年10月に春日井“寒天”たけしに判定勝ちしている。6月の大阪でのRIZIN初戦がバンタム級トーナメント一回戦となり、倉本一真に判定勝ちした。
1R、開始すぐから海が圧力をかけて前に出て、右フック、右膝を効かせ、ヤマニハを追い詰める。だがコーナーを背負ったヤマニハは猛攻を耐える。海はガードが甘くなり、度々ヤマニハが左フックをヒット。海は中盤にテイクダウンを奪い、パウンドを落として仕留めにかかるが、ヤマニハは三角を狙い、海が外してスタンドに戻る。終盤、ヤマニハが左フック、右のカーフキックを当て、圧力をかけ返して終える。
2R、引き続きヤマニハが圧をかけていると、中盤にはテイクダウンに成功する。スタンドに戻り、海も左ボディ等を当てるが、1Rのように手数が出なくなり、時折ヤマニハが左フックをヒット。最後はヤマニハが組み付いて押し込んで、パンチも当てて優位を印象付ける。
3R、海が左ボディを当てるが、ヤマニハも左フックを当て、変わらずスリリングな展開を作り出す。中盤にはヤマニハがテイクダウンを狙うが、海はなんとか耐えて突き放す。最後、パンチの打ち合いで、海もKOを狙い続けるが、ヤマニハも左右のフックを当て、ギリギリまでわからない状態を作りつつ終了。記者採点は1Rにフィニッシュに近づいた海。ジャッジ3者も海を支持し、海の判定勝ちとなったが、1R終盤以降はヤマニハに反撃を許し、ファンの期待するファイトとはならなかった。
海は「メインなのに判定で微妙な試合をして申し訳ないです。絶対優勝するんで、大晦日までに強くなって戻ってきます」とアピールした。試合後のインタビューで、海は1R途中に右拳を痛めた影響で、右のパンチが打てなくなったことを明かした。準決勝の相手は「ファンの声が聞きたい」と話した。
第9試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級(61kg)トーナメント2回戦 5分3R
○井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
×金太郎(パンクラス大阪稲垣組)
判定3-0 (大藪=井上/松宮=井上/片岡=井上)
井上はDEEPで頭角を現すと、UFCに参戦。昨年2月の浜松大会からRIZINに参戦。トレント・ガーダム、渡部修斗、元谷友貴に完勝し、6月の東京でのバンタム級トーナメント一回戦ではベテランの石渡伸太郎をわずか1分58秒でKOし初戦を突破した。
金太郎は朝倉兄弟と同じくTHE OUTSIDER出身で、パンクラスでのタイトルマッチ経験者。バンタム級トーナメント出場メンバーとの過去の戦いではアラン“ヒロ”ヤマニハと瀧澤謙太に敗れている。6月の大阪でのGP一回戦ではGRACHANバンタム級王者・伊藤空也に判定勝ちしている。
1Rは終始スタンドの打撃戦。サウスポーの金太郎が圧をかけるが、井上はリーチ差を活かし距離を取り、右ミドル、左右のカーフ等を当て続ける。井上は一回戦の石渡戦で負傷した右拳が完治しておらず、蹴り主体のファイトに。金太郎も次第に右フック、左ボディ等を当てるようになるが、攻撃数の差は残ったままだ。
2Rも打撃戦が続くが、井上が金太郎の前足に左のカーフキックを当て続けていると、金太郎はひるむまでは行かないものの、少し足を引きずるように。金太郎も右フック、右ボディを当てるが、やはり手数差は大きく、攻めあぐねている感がある。
3R、劣勢の金太郎は圧力を強め、パンチの手数を上げて反撃。随所で左フックを当てていると、井上は少し鼻血を出すように。それでも井上は多くのパンチをステップとヘッドワークでかわし、左のカーフキックを随所でヒットするが、金太郎は最後までひるまず、前に出て終盤にも左フックを当てて好印象を残す。記者採点は井上。金太郎の追い上げも光ったが、井上のトータルの蹴り数とカーフで与えたダメージとディフェンス能力を評価した。ジャッジも3者とも井上を支持し、井上の判定勝ちとなった。
井上は「KOか一本か決められたら良かったですけど、勝てて良かったです。マイクパフォーマンスうまくできないんで、また次回よろしくお願いします」と、今回もたどたどしい口調でアピールした。
扇久保博正、大塚隆史とのベテラン対決制す
第8試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級(61kg)トーナメント2回戦 5分3R
○扇久保博正(パラエストラ松戸/元修斗フライ級&バンタム級世界王者)
×大塚隆史(T-GRIP TOKYO/RIZINバンタム級GP2017ベスト4、修斗バンタム級世界4位、元DEEPバンタム級&フェザー級王者、元WSOF GCバンタム級王者)
判定3-0 (大藪=扇久保/松宮=扇久保/片岡=扇久保)
扇久保は修斗の2階級制覇王者で14年のVTJフライ級トーナメントでも優勝。16年のUFCのリアリティ番組TUFのトーナメントでは準優勝。18年7月にRIZINに初参戦し、堀口恭司と再戦し判定負け。元谷友貴と石渡伸太郎に連勝したが、昨年8月の朝倉海との王座決定戦では1R TKO負けに終わった。11月の大阪では瀧澤謙太を、6月の東京でのバンタム級トーナメント一回戦では春日井“寒天”たけしを、いずれも判定で下した。
大塚はDEEPで2階級を制覇し、11年のDREAMバンタム級日本トーナメントにも上がったベテラン。8月には35歳になる。17年のRIZINバンタム級GPではアンソニー・バーチャック、カリッド・タハを破って、大晦日の準決勝に進み、石渡伸太郎に判定負けした。その後はDEEPを主戦場とし、昨年3月に元谷友貴に判定負け。11月の修斗で安藤達也を1Rカーフキックで沈めたが、今年3月の修斗では修斗世界王者の岡田遼に判定負けした。6月の大阪でのバンタム級トーナメント一回戦では、獅庵を寝技で圧倒し判定勝ちした。
1R、スタンドの打撃戦で、お互いパンチを当てるが、まだはっきりした決め手の無い状態。終盤、大塚が右のカーフキックを当てると、扇久保はスイッチする。
2R、パンチが交錯した後、扇久保が押し込むが、すぐブレイク。その後も打撃戦が続き、扇久保が右フック、左インロー、ミドル、ハイ、大塚が右のカーフキックを当てる、両者フェイントをかけ合いお見合いが長いものの、攻撃数では扇久保が少し上回る。
3R、扇久保も右のカーフを当てると、大塚の足が流れるが、大塚も右のカーフを当て返す。中盤、扇久保の指が大塚の目に入り一時中断する。再開後、扇久保の右フック、右ボディ等のパンチのヒットが増えて来て優位に。大塚はタックルを合わせて倒し、上になるが、その先の攻めに持ち込めず、扇久保は立って押し込む。終盤のパンチの打ち合いでも扇久保がヒットで上回り終了する。記者採点は扇久保。ジャッジ3者も扇久保を支持し、扇久保の判定勝ちとなった。
扇久保は「このトーナメント、僕が絶対優勝するんで、僕に全ベット(=賭けて)してください」とアピールした。
瀧澤謙太、格上の元谷友貴を粉砕し「俺がダークホースだ」
第7試合 RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級(61kg)トーナメント2回戦 5分3R
×元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
○瀧澤謙太(フリー)
1R 2’27” TKO (レフェリーストップ;スタンドパンチ連打)
元谷はDEEPの2階級制覇王者で、RIZIN旗揚げ当時からのレギュラーメンバー。17年4月に堀口恭司に、19年7月に扇久保博正に判定負けしたが好勝負を展開した。昨年は大塚隆史、魚井フルスイング、米山千隼相手に3連勝するも、大晦日のRIZINでは井上直樹の裸絞めで1R一本負け。6月の東京でのバンタム級トーナメント一回戦では、修斗世界王者の岡田遼に判定勝ちした。今回のトーナメントでは海、井上に続く優勝有力候補と見られている。
瀧澤は長年、パンクラスを主戦場とし、タイトル戦線で活躍。昨年9月の埼玉大会でRIZINに初参戦し金太郎に判定勝ちしたが、続く11月の大阪大会では扇久保博正に、大晦日大会では佐々木憂流迦に敗れた。6月の大阪でのバンタム級トーナメント一回戦では、今成正和の足関節技を封じ、パンチで苦しめ判定勝ちした。
1R、瀧澤が距離を取りながら長身を活かした左のハイ、ローをヒット。当たりはまだ軽く、元谷もある程度ブロックはしているが、瀧澤の打撃のスピードや軌道に十分反応できていない様子だ。瀧澤はパンチも散らしつつ右ローもヒット。元谷も距離を詰めて右ボディを当て返し、組もうとするが、瀧澤は突き放した直後に左フックをクリーンヒット。元谷がダウンする。
元谷はすぐ立つが、瀧澤はコーナーに詰めて左フックを再び当て、元谷の腰が落ちる。瀧澤の勢いに押され、元谷は背中を向けてロープの外に上半身が出る状態に。瀧澤はパンチを当て続け、元谷が意識が飛んだ様子になった後にレフェリーがストップした。元谷はすぐ手を振ったが、ストップは妥当だろう。
見事番狂わせを起こした瀧澤は「どうだオラ!俺がこのトーナメントのダークホースだ」とアピールした。
大晦日のバンタム級トーナメント準決勝~決勝は朝倉海、井上直樹、扇久保博正、瀧澤謙太の進出が決定した。準決勝の組み合わせおよび決定方法は未定。リザーブファイトも組まれ、二回戦で敗れた選手から選ぶと、RIZINの榊原信行CEOは大会後にコメントしている。有力候補の海と井上が揃って右拳を痛めていることが既に判明しており、選手のダメージの状況によってはメンバーが変わる可能性もあり、仮に出られたとしても3か月後の戦局にも大きく影響することだろう。
石渡伸太郎 引退セレモニー「一戦一戦、魂をこめて戦いました」
石渡伸太郎(CAVE/元パンクラス・バンタム級王者)は6月の東京大会でのバンタム級トーナメント一回戦で井上直樹に1R TKO負けした直後に引退を表明。今大会で石渡の引退セレモニーが行われた。石渡の経歴と引退発表記者会見の記事はこちら。
石渡は「プロで39戦戦って来ました。自分が強くなりたい思いで格闘技を一生懸命やって、応援してくれる人にどうやって恩返しできるか考えた時、僕は那須川天心選手や堀口恭司選手のようにアッと驚く動きはできなかったですが、その分、一戦一戦、魂をこめて戦いました。ですが体の限界で、引退の日が来ました 形は変わっても、このリング、格闘技を盛り上げられるよう頑張ります。幸せな格闘技生活でした。これからの仕事のために上手に話したかったですけど、思いが込み上げました。すみません。今まで応援してくれた方、支えてくださった方、ありがとうございました」と、途中から少し涙声になりながらも挨拶すると、場内は暖かい拍手に包まれた。最後はRIZINの高田延彦キャプテンが花束を贈呈した後、10カウントゴングが鳴らされた。
浜崎朱加、藤野恵実との打撃戦制す「“親方”と試合ができて良かった」
第6試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg)(ノンタイトル戦) 5分3R
○浜崎朱加(AACC/RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)王者、元INVICTA世界アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者)
×藤野恵実(トライフォース赤坂/パンクラス女子ストロー級(52.2kg)王者)※FIGHT FARMから所属変更
判定3-0 (浜崎=片岡/松宮=片岡/大藪=片岡)
浜崎は昨年大晦日の王座決定戦で山本美憂に1R洗濯ばさみで一本勝ちし王座に返り咲き。3月の名古屋大会のメインイベントでは、過去に一本勝ちした相手である浅倉カンナに判定勝ちして返り討ちを果たすと共に、王座の初防衛を果たした。
藤野は今のDEEP JEWELSの前身・スマックガールで04年にプロデビューした40歳のベテラン。10年末の戦極有明コロシアム大会では浜崎の師の一人である藤井惠に判定負け。12年12月のJEWELSでは浜崎に判定負けした。立ち技ルールにも挑戦し、RENA、ハム・ソヒ、魅津希に敗れている。16年8月のクンルンファイト東京大会では、後にアジア人初のUFC王者となるジャン・ウェイリーにTKO負けしている。
強豪の相手役で敗れることの多かった藤野だが、18年からパンクラスを主戦場にすると、海外勢相手に結果を残し、19年12月の女子ストロー級暫定王者決定戦でチャン・ヒョンジに一本勝ちしキャリア初のベルトを獲得。正規王者・ヴィヴィアニ・アロージョがUFC継続参戦でベルトを返上し、藤野が正規王者となっている。昨年からのコロナ禍の影響もありMMAの試合が組まれず、最近は組み技の試合に出場。MMAはヒョンジ戦以来1年9カ月ぶりとなる。
1R、浜崎がサウスポーに構え、プレッシャーをかけ続け、右ジャブ、左ボディフック、接近戦での右フックを的確に当て続ける。藤野はひるまないが、パンチをなかなか当てられない。
2R、藤野が圧をかけるようになるが、浜崎は女子選手にすれば広いリングの中で詰められることなく、左に回って自分の距離を作り続け、右ジャブ、右フック、左ストレート、右ローを当て続ける。終盤のパンチの打ち合いでは右フックで藤野をダウンさせる。藤野は左まぶたを腫らしている。
3R開始前、両選手に消極的な姿勢が見られたとして福田レフェリーから注意が出される。だが浜崎はパンチを当て続け、藤野は前に出ているため、両者とも問題無い印象だった。試合に入り、引き続き打撃戦の後、藤野が押し込むが、浜崎は対処し離れる。その後も浜崎が的確にパンチを当て続けるが、さすがに少し疲れが見え始める。藤野はひるまず前に出続け、終盤の打ち合いでは右フックのヒットを増やして終えるが、逆転ならず終了する。記者採点もジャッジ3者も浜崎で、浜崎の完勝で終わった。
練習仲間だった両者は試合後、度々抱き合い健闘を称え合った。マイクを持った浜崎は「親方と呼んでいる藤野さんとの試合が決まってから、複雑な気持ちもありましたが、親方と試合ができて良かったです」と少し涙声で話した。
矢地祐介、武田光司に勝利「年末、サトシ王者に挑戦したい」
第5試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×武田光司(BRAVE/DEEPライト級王者)
○矢地祐介(フリー/元修斗環太平洋&PXCフェザー級王座)
判定0-3 (松宮=矢地/大藪=矢地/豊永=矢地)
武田は19年4月のRIZIN初戦こそダミアン・ブラウンに判定負けしたものの、同年12月に大原樹里に判定勝ちしDEEP王座を防衛。昨年9月に修斗ライト級世界王者の川名TENCHO雄生に判定勝ち、3月の名古屋大会ではパンクラス同級王者の久米鷹介に判定勝ちし、現在4連勝中だ。
矢地は昨年8月からホベルト・サトシ・ソウザ、大原に連敗したが、練習拠点をロータス世田谷に移し、6月の大阪大会では川名に判定勝ちした。
1R、矢地はいきなり右飛び蹴りで奇襲を仕掛けヒットさせ先手を取る。武田は右まぶたを腫らすが、その後は持ち直し、右ストレートを当ててから、スープレックスで倒す。武田は上になるとアームロックを仕掛け、矢地を追い詰めるが、矢地は対処する。スタンドに戻り、両者サウスポーでパンチを狙う。
2R、武田が押し込み、時間をかけてテイクダウンに成功する場面もあるが、矢地は背中をつけずスタンドに戻す。中盤過ぎ、矢地の膝がローブローになり一時中断する。和田レフェリーはブレイクした状態で再開。矢地がパンチを当てるが、すぐに武田が押し込み元の形に。最後は矢地が足をかけて倒し、腕十字を極めるが、すぐに武田が防御し時間切れとなる。
3Rも武田が押し込む展開が繰り返され、その都度、和田レフェリーからブレイクがかかる。矢地は離れると雄たけびを上げながらパンチを出す。記者採点は矢地。武田のアグレッシブネス、ジェネラルシップも良かったが、ジャッジの優先順位ではダメージが最上位で、矢地が武田に与えたダメージが総合点で若干上回ると判断した。ジャッジ3者も矢地が武田に与えたダメージを評価し、矢地の判定勝ちとなった。
矢地は「場面場面で技術を出して勝ち切る。これがブランニュー・ヤッチくんです。国内3団体統一した武田選手にしっかりした形で勝利できてうれしいです。年末、サトシ王者に挑戦したいです。ベルト取ってみんなとお祭り騒ぎしたいです」とアピールした。
堀江圭功、佐々木憂流迦を打撃で苦しめ判定勝ち
第4試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイト・チーム/元修斗環太平洋バンタム級(60kg)王者)
○堀江圭功(ALLIANCE/パンクラス・フェザー級1位)
判定0-3 (和田=堀江/松宮=堀江/大藪=堀江)
佐々木は昨年大晦日大会で14カ月ぶりに復帰し、瀧澤謙太に判定勝ち。今年6月からのバンタム級トーナメントに出場してもおかしくない実績の持ち主だが、フェザー級に階級を上げるため出場を辞退していた。今回がフェザー級初戦だ。
堀江は3月の名古屋大会でRIZINに初参戦し、ZSTフェザー級王者の関鉄矢にカーフキックを効かせ、3RにTKO勝ちしている。
1R、佐々木が序盤から押し込み、オンブになろうとする場面もあるが、堀江は対処を続けテイクダウンを許さない。最後、離れると、堀江がサウスポーの佐々木に右ハイ、左ローを当てる。佐々木は背中と肩に長いテープを貼っているが、どこか痛めている可能性がある。
2R、序盤こそ佐々木が押し込むが、離れて打撃戦に戻る。お互い攻撃は少なかったが、中盤過ぎ、堀江が右ボディフックを効かせると、右ストレート、右ボディ、右ミドルのヒットを増やし優勢に。
3R、佐々木はタックルから押し込んでテイクダウンを狙うが、ここでも堀江が耐え、テイクダウンにつなげられずブレイクがかかる。堀江が変わらず右ミドル、右ストレートをヒット。終盤にも佐々木が押し込み、一瞬倒すが、すぐにスタンドに戻され、堀江が打撃を当てて終了する。記者採点は打撃を当て続けた堀江。ジャッジ3者も堀江を支持し、堀江の勝利となった。
太田忍、MMAデビューの久保優太に完勝
第3試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○太田 忍(パラエストラ柏/2016年リオデジャネイロ五輪レスリング・グレコローマン59kg級銀メダル)※フリーから所属変更
×久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE/元K-1 WORLD GPウェルター級(67.5kg)王者)※サラバニアファミリーから所属変更
判定3-0 (大藪=太田/片岡=太田/松宮=太田)
16年リオ五輪銀メダリストの太田は東京五輪出場を目指していたが、19年にその道が途絶え、昨年大晦日大会でMMAデビューし、所英男に2R腕十字で一本負けして以来の試合。今回が扇久保博正・浅倉カンナらと同じパラエストラ千葉ネットワークのパラエストラ柏に加入しての初戦となる。
久保はNJKF、Krush、GLORYでトップに立ち、17年9月にはK-1 WORLD GP初代ウェルター級王者に。以降はメルシック・バダザリアン、城戸康裕、ジョーダン・ピケオー相手に3度の防衛に成功した。昨年6月にはボクシング転向とK-1王座返上を表明。21年の東京五輪へのボクシングでの出場とプロボクシングの世界王座を目標に掲げたが、その後はMMAの練習にのめり込み、約1年半のブランクを経てK-1からRIZINに戦場を移す形となった。MMAの練習はBRAVEを拠点にしている。
1R、開始すぐに久保が左の前蹴りを太田の顔面に当てるが、すぐに太田はタックルで組み付いて倒し、上から固める。久保も下から蹴り上げる場面や、立とうとする場面もあるが、太田に押さえられ続ける。
2Rも太田が開始すぐにテイクダウンに成功。上から時折パウンドを当てる、肩固めも狙うが極めきれず、フィニッシュにつなげる技術はまだ足りない様子だ。
3R、久保が打撃を狙ってしばらく圧力をかけるが、またも太田がタックルで倒して上に。だが攻めきれず膠着ブレイク。しかしまたも太田がタックルで倒し元通りに。最後は太田がサイドで押さえ、ヘッドロック、鉄槌、膝で攻め続け終了。ほとんど久保になにもさせず、太田が完勝した。
太田は「今回は階級が上でしたが、僕の主戦場はバンタム級ですので、トーナメントがありますけど、そこに絡めるように頑張ります」とアピールした。
昇侍、鈴木千裕を20秒KO
第2試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ/元パンクラス・ライト級王者)※トイカツ道場から所属変更
×鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者、パンクラス・ネオブラッド・トーナメント2018フライ級優勝)
1R 0’20” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
昇侍は昨年9月のRIZINでRIZINに初参戦し、朝倉海に1R KO負けして以来となるRIZIN登場。今年2月のDEEPでは元谷友貴に1R裸絞めで一本負けしている。今回はバンタム級からフェザー級に階級を上げての試合となる。
鈴木は16年末のRIZINが開催したアマチュアトーナメントのフライ級で優勝し、17年にパンクラスでプロデビュー。18年にはパンクラスの新人王トーナメント「ネオブラッド・トーナメント」に出場し、決勝では後にRIZINにも出場する杉山廣平に判定勝ちし優勝した。だが続く試合で計量失敗し、翌19年からキックに転向。11戦10勝(8KO)1敗、4試合連続1R KO勝ちと好成績を残す。7月のKNOCK OUTで初のタイトルを獲得すると、MMAとの“二刀流”で活動することを表明していた。
1R、鈴木がプレッシャーをかけ、右フックを振るうが、昇侍はカウンターの右フックをヒット。それでも鈴木は前に出てパンチを振るい続け、昇侍をコーナーに詰めるが、パンチが交錯する中で、ガードの甘くなった鈴木に、昇侍が右と左のフックを連続でヒット。鈴木は前のめりでダウンし、昇侍がパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
階級が下で不利とも言われたがKO勝ちした昇侍は「実力以上に天運が傾いて勝てたと思います。何度挑戦しても勝てなかった大舞台のリングで、苦しいことを乗り越えて頑張ってきたから今日勝つことができました。年を取りましたが年を取るのはカッコ悪いことじゃないです。これからも『どこでも昇侍』で頑張ります」とアピールすると、場内が拍手に包まれた。
ぱんちゃん璃奈、RIZIN初戦は判定勝ち
第1試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 女子46.5kg契約 3分3R
○ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE/KNOCK OUT-BLACK女子アトム級(46kg)王者)
×百花(魁塾/RISE QUEENアトム級(46kg)3位、ミネルヴァ・アトム級(46.26kg)2位・元王者)
判定3-0 (片岡30-28/松宮30-28/和田30-29)
両選手ともRIZIN初参戦。ぱんちゃんはKNOCK OUTを主戦場とし、19年のプロデビューから11連勝中。7月のKNOCK OUTではsasoriに判定勝ちしている。
百花はRISEを主戦場とし、昨年行われたQUEEN of QUEENSトーナメントでは一回戦で大倉萌に勝利するも、準決勝で紅絹に判定負け。以降はerika♡、小林愛理奈に敗れている。
1R、長身のぱんちゃんが圧力をかけ続け、右ストレート、右ロー、右前蹴りを積極的にヒット。百花も右フック、右ローを時折返すが、手数では劣る。終盤のパンチの打ち合いでは場内から拍手も起こる。記者採点はぱんちゃん。
2Rもぱんちゃんが手数差をつける内容。右ストレート、左ジャブ、右ローを再三当てる。百花のセコンドからは「蹴れ」「お前から出せ」という声が飛び続けるが、蹴りは遠いため空振りとなり、攻撃も後手が続く。記者採点はぱんちゃん。
3R、百花も右の飛び込んでのフックや前蹴りを増やすが、ぱんちゃんの勢いは落ちず、右ストレート、左ジャブ、右ロー、左前蹴り等を当て続け、主導権を譲らず終了。記者採点はイーブン。合計30-28でぱんちゃん。ジャッジ3者もぱんちゃんを支持し。ぱんちゃんの判定勝ちとなった。
マイクを持ったぱんちゃんは「倒せず申し訳ないです。出直してきます。また必ずRIZINに戻ってきますので、華だけじゃなく実力のある選手として迎えてもらえるようにします」とアピールした。
大会開始前には、榊原CEOがリングに上がり、常時マスクの着用と、歓声の禁止を呼びかけ、「(マナーが守られない場合は)大晦日の大会もできなくなる」と警鐘を鳴らした。格闘技の多くの大会でリングアナウンサーによる呼びかけは行われるが、主催者のトップが自らリング上でアピールするのは異例であり、説得力を増すには適している印象だった。第1試合から比較的席が埋まっていて、トップの顔が認知されているRIZINではなおさら効果が大きいだろう。大会の入場者数の主催者発表は7580人だった。