パンクラス 9.9 新木場スタジオコースト:中島太一、田村一聖とのラスト30秒制し涙のマイク。三浦彩佳&林大陽、ブラジル勢に快勝。ネオブラMVPは亀井晨佑
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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skyticket presents PANCRASE 299
2018年9月9日(日) 東京・新木場スタジオコースト
レポート&写真:井原芳徳
第9試合 メインイベント フェザー級 5分3R
×田村一聖(KRAZY BEE/2位・元王者)
○中島太一(パラエストラ東京/2012年ネオブラッドトーナメントバンタム級優勝)
判定0-3 (高本28-29/大藪28-29/荒牧28-29)
中島は2012年、パンクラスの新人王トーナメントにあたる「ネオブラッドトーナメント」のバンタム級で優勝すると、13年2月には現在の修斗バンタム級世界王者・佐藤将光に判定勝ち。14年3月の横浜文化体育館大会ではマルシオ・セザールを後ろ回し蹴り一撃でKOし、大きなインパクトを残した。だがその後は北田俊亮、ビクター・ヘンリーといった実力者に連敗。15年11月のダン・イゲ戦で判定勝ちしたのを最後にパンクラスを離れ、最近5試合はロシアのACBで5戦2勝(1KO/1一本)3敗の経験を積んだ。
8月の公開練習で中島はACBでの戦いを「人間的にも成長できた」と振り返る。ACBで2連敗し、次戦が組まれる見通しが立たない時、他の海外の大会の出場を模索していると、パンクラスからオファーがあった。最初は迷ったが、周囲から「今はそんな選んでる立場じゃないだろ」という助言があり、参戦を決意したという。
対する田村は修斗の08年の新人王で、UFC、韓国ROAD FCを経て、15年8月に中島と入れ違うようなタイミングでパンクラスに初参戦。3戦目で牛久絢太郎に勝利しフェザー級暫定王者となる。アンディ・メインの王座はく奪で正式な王者に格上げとなったが、昨年3月の初防衛戦でナザレノ・マレガリエに一本負けし王座陥落。しかしその後は鈴木琢仁、堀江圭功と、期待の新鋭を圧倒し健在ぶりを示している。
1R、田村がガードを低くし、前後に細かくステップしつつ、右フック、右ローを着実に当て続け主導権。後輩の堀口恭司が空手を学んだ栃木の一期倶楽部への出稽古を長年続けており、その成果を印象付ける。中島はローをもらって少しぐらつくと、タックルでごまかそうとするが、田村は耐えて押し込む。残り1分、中島が両脇を差して倒し、サイドポジションをキープするが、その先の印象に残る攻めが乏しい。記者採点もジャッジも10-9で田村。
2R、中島が先に押し込むが、田村は押し返し膠着ブレイク。打撃の間合いが続き、再び中島が押し込み、膠着ブレイク。最後も中島が押し込んで終わる。中島はボディへの右膝を時折り当てており、田村は疲れが見えて来た。記者採点もジャッジも9-10で中島につけ、合計で五分となる。
3R、パンチの打ち合いの後、田村が押し込むが膠着ブレイク。打撃ではお互いなかなか有効打は出せず、田村がタックルを仕掛けたが、中島が切って押し込み続ける。残り1分、田村が押し返し、どちらにポイントが転ぶかわからない状態となるが、残り30秒、中島が足を掛けてテイクダウンに成功。その後は押さえ込み続け、パウンドも落とし、そのまま試合を終える。
結局、最後のテイクダウンが決め手となり、中島は判定勝ちが告げられると大喜び。勝利者賞のプレートをマットに叩きつけるほど興奮する。その後はマットに倒れて涙を流し、マイクを持つと「喋れないよ」と第一声。だがその後は5分近くマイクを持ち続け「ロシアで2連敗して後が無いと思っていました」と喜びの理由を語り、「AbemaTVやTOKYO MXで試合を見ていて、僕のこと知らない人多いと思うけど、ちゃんと覚えて下さい」とアピールした。最後は「ユーチューブはじめましたけど、登録者数17人しかいないんで」と話し、観客を笑わせた。
- 中島太一
第8試合 セミファイナル 女子ストロー級 5分3R
○三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A/1位)
×クリス・マクファー[Cris Macfer Ferreira Macedo](ブラジル/チーム・マクファー)
1R 3’20” アームロック
三浦は2月大会でソ・イェダムに判定勝ちして以来の試合。対するマクファーは1993年5月10日生まれの25歳。MMA戦績3勝(2一本)1敗1分。
1R、三浦が序盤から組み付いて押し込み投げを狙うが、マクファーは膝蹴りを三浦の顔面に2連打し、少し三浦をひるませる。だが再び三浦は再び押し込んでから得意の首投げで倒すと、袈裟固めで押さえ、両足でマクファーの腕を挟んで極めタップを奪った。
マイクを持った三浦は「7か月ぶりの試合でしっかり勝てました。でもこれまで減量苦とかで周りに迷惑をかけてしまいました。弱い自分に勝つために、嫌いなことをいっぱいやってきました。打撃はまだまだですが、しっかり一本で勝てまして良かったです。先月ここでメインをやった(藤野)恵実さんにもセコンドついてもらい心強かったです。まだまだなのでもっと練習して強くなって戻って来ます」と、涙を流しながら宣言した。
第7試合 バンタム級 5分3R
○林 大陽(CAVE/8位)
×ジョアン・サルダーニャ[Joao Pedro Villa Saldanha](ブラジル/セラードMMA/ブラジルFGC王者)
3R 0’22” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
林は13年からパンクラスに上がり、負けが込んでいたが、昨年7月から4連勝と好調で、5月大会では清水俊一に判定勝ち。ランキング入りし、初のブラジル人との試合が組まれた。サルダーニャは22歳。15年にMMAデビューし7戦全勝(5一本)で、4試合はアナコンダチョークにより一本勝ちだ。
1R、サルダーニャは右ミドルと右フックの連打を繰り返し、タックルを仕掛け、再三倒し、立たれても押し込み続ける。劣勢の続いた林だが、セコンドの石渡伸太郎のアドバイスも聞きながら持ちこたえると、足を掛けて倒して上に。金網に詰めて腰を上げてパウンドを連打し、立ってもパンチで追い詰め、最後はギロチンも仕掛ける。
2R、体力回復したサルダーニャは、林を倒すとすぐバックマウントへ。裸絞めを狙うが、林は体をひねって脱出して上に。後半はパウンドと肘で攻め続ける。
3R、ダメージが溜まり、サルダーニャは気持ちが切れかかっている様子。林は序盤からパンチラッシュを仕掛けてダウンさせると、パウンドラッシュでフィニッシュした。
林は「崖登りの男、林太陽です。4連勝と言ってもポッと出で、周りのサポートのおかげで勝てました。崖の上はベルトなので、いつでも行けるよう準備します」とアピールした。
なお、林と三浦には、パンクラスから「国際戦WINボーナス」として各15万円ずつが支給される。
第6試合 ライト級 3分3R
○小林 裕(U-FILE CAMP/2016年ネオブラッドトーナメント同級優勝)
×高橋 弘(パンクラスイズム横浜)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
1R、最初のパンチの打ち合いで小林が左ストレートを当て、高橋は膝をつく。その後は小林が高橋を金網に押し込み続ける。最後は小林が倒し、高橋がギロチンを仕掛けるが、極まりは浅い。
2Rも序盤に小林が左ストレートを当ててダウンさせ、そこから押し込む。高橋も肘を返してからタックルを仕掛け挽回するが、序盤のピンチの印象を覆す攻撃にはつながらない。
3R、高橋の右ミドルをつかんで小林が押し込むが、離れると、高橋がテイクダウンを奪い、右フックも当てダウンさせ好印象を残す。だがフィニッシュにはつなげられず、1ポイントを取り返すだけに終わり判定負けした。
第5試合 フェザー級 3分3R
×木村一成(パンクラスイズム横浜)
○冨田翔市(パラエストラ東大阪)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
冨田は故郷の三重で格闘技を始め、昨年7月からパラエストラ東大阪に移籍し、以降は関西でのパンクラスとDEEPで3連勝し、プロ5戦全勝で東京の大会に初登場する。
1R、冨田が序盤から金網に押し込み、テイクダウンを狙い続ける。残り1分に木村が脱出して押し返すが、最後は冨田が押し返して終える。2Rも冨田が押し込みを繰り返しつつ、離れれば左ローを当て続ける(両者サウスポー)。終盤にはテイクダウンに成功。3Rも押し込み続けテイクダウンも奪い冨田が優勢を維持し判定勝ちした。
第4試合 ウェルター級 3分3R
○丸山数馬(TEAM LTDR)
×脇本恭平(T-Rex Jiu-Jitsu Academy)
3R 1’41” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
脇本が度々押し込む状況が続き、バックドロップで見せ場を作るが、丸山が的確にパンチを当てていると、脇本は鼻血を出す。3R、丸山が度々右ストレートを当て、脇本は耐え続けたが、最後は連打をもらってフラつきながら真っすぐ下がったところで和田レフェリーがストップした。
第3試合 2018年第24回ネオブラッドトーナメント フェザー級決勝 3分3R
○亀井晨佑[しんすけ](パラエストラ八王子)
×DARANI DATE(Team DATE)
1R 1’10” KO (右フック)
DARANIはサウスポーで重心とガードを低く構え、距離を取りながらサイドキックを多用する。亀井の足狙いでサイドキックを当てるが、亀井は詰めて右フックをヒット。DARANIはバックハンドブローにつなげるが、再び亀井の右フックが炸裂し、DARANIは大の字になって倒れ、亀井のKO勝ちとなった。亀井はネオブラMVPを獲得している。
第2試合 2018年第24回ネオブラッドトーナメント バンタム級決勝 3分3R
×野村優眞(NEVER QUIT)
○大橋悠一(P’s LAB 大泉)
判定0-3 (大藪28-29/高本28-29/和田27-30)
1R、大橋が首相撲からの顔面への膝蹴りや、腕を巻いての投げといった技を使いこなすが、勢い余って下になって押さえ込まれ続ける。2R、野村がテイクダウンを奪い、パウンドを時折り当てるが、大橋は下から三角絞めを狙い続け、評価の難しいラウンドに。3R、野村がテイクダウンを奪うと、度々下にはなるが、裸絞めやギロチンでチャンスを作る。記者採点は1Rと3Rは野村、2Rは大橋とし、29-28で野村。ジャッジは3者とも大橋を支持し、大橋の優勝となったが、野村も今後が期待できる戦いぶりだった。
第1試合 2018年第24回ネオブラッドトーナメント フライ級決勝 3分3R
○鈴木千裕(P’s LAB 吉祥寺)
×杉山廣平(SPLASH)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
鈴木千裕はREBELSとKHAOSで活躍している鈴木宙樹の弟。1R、杉山のタックルを切ってテイクダウンを奪い、スタンドに戻っても打ち合いでパンチを当て優勢。首相撲の膝も使いこなす。2Rも打撃で追い詰めてから倒し、アームバーを仕掛ける。3Rも右ストレートで杉山をダウンさせ攻勢。杉山も下からの腕十字やバック狙いの動きで最後まで粘ったが逆転ならず。鈴木の判定勝ちで優勝となった。
大会のメインイベント終了後にはネオブラ優勝者の表彰式が行われた。7月大会で既にストロー級で優勝を果たしていた野田遼介 (ALLIANCE/下写真右3人目)も出席した。MVPはフェザー級の亀井晨佑が獲得している。ネオブラ優勝者の次戦の相手はランカーとなることが恒例で、彼らのここからの活躍に注目だ。
【プレリミナリーファイト】
第6試合 ライト級 3分3R
×上田厚志(総合格闘術骨法烏合會 矢野卓見道場)
○金田一孝介(K-PLACE)
2R 0’18” TKO (レフェリーストップ:左フック)
第5試合 フェザー級 3分3R
○鬼山斑猫(KRAZY BEE)
×立成洋太(FIGHT FARM)
2R 2’00” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第4試合 フェザー級 3分3R
○加藤泰貴(ロデオスタイル)
×松井幸太(東京イエローマンズ キュート)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
第3試合 バンタム級 3分3R
○高城光弘(リバーサルジム横浜グランドスラム)
×飯島重樹(ALLIANCE)
3R 2’23” TKO
第2試合 バンタム級 3分3R
○田代悠生(パラエストラ千葉)
×聖王DATE(Team DATE)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第1試合 バンタム級 3分3R
○工藤修久(禅道会 小金井道場)
×高杉遼介(新潟イエローマンズ)
1R 1’19” 裸絞め