パンクラス 2.4 新木場スタジオコースト:初の新会場メインは名勝負に。仙三、若松佑弥との死闘制しフライ級王座初防衛「UFC、オファーください」
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PANCRASE 293
2018年2月4日(日) 新木場スタジオコースト
今年のディファ有明閉鎖を前に、新ホーム会場に移転したパンクラス。メインイベントのフライ級タイトルマッチは、新たなスタートにふさわしい死闘となり、22歳の挑戦者・若松佑弥が4R終盤、35歳の王者・仙三を追い詰めたが、仙三が5Rに膝蹴りからのラッシュで逆転TKO勝ちした。ライト級では1位のアキラがベラトール経験者のブラジル人を3Rに追い詰め判定勝ちした。
レポート&写真:井原芳徳
新会場の新木場スタジオコースト。途中入退場可能で、入口付近にはキッチンカーも。会場北の舞台側はディファ有明に似た広さだが、段差が無い。南側は高い所から見下ろすことができ、寝技のあるMMA向きだ。
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第13試合 メインイベント パンクラス・フライ級タイトルマッチ 5分5R
○仙三(FREEDOM@OZ/王者/56.7kg)
×若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A/1位、2016年ネオブラッドトーナメント同級優勝&MVP/56.6kg)
5R 2’18” TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)
※仙三が初防衛
仙三は35歳。元プロボクサーで、04年に東日本新人王を獲得。MMAに転向後、しばらくは勝ち負けを繰り返したが、15年頃から頭角を現し、昨年8月大会でマモルに判定勝ちしパンクラス・フライ級王座を獲得した。
対する若松はパンクラス8戦全勝の22歳の新鋭。16年のネオブラッドトーナメント同級優勝&MVPを獲得すると、以降も10月の翔兵戦まで4勝(3KO)の快進撃を続け、1年足らずで圏外から1位まで駆け上がった。
仙三はパンクラス11戦でKO・一本勝ちは2戦だけ。若松は8試合のうち7試合がKO決着。同じストライカータイプだがフィニッシュ力には差がある。若松は初の5R戦。短期戦なら若松、長期戦にもつれ込めば仙三の優位が予想されていた。
1R、仙三が距離を取って回りつつ、踏み込んで左右のパンチを狙う展開が続く。若松は前に出続けるが、なかなか捕まえられず、終盤には仙三が左フックを当て、若松に片膝をマットにつかせる場面も。ジャッジ3者とも仙三を支持する。
2Rに入ると、仙三の動きが少し落ち、若松のパンチが少しずつ当たるように。だが仙三も右ロー、左ストレート等をお返し。接戦のため、ジャッジ2名は若松、1名は仙三を支持と評価が割れる。
3Rもスタンドの打撃戦で、仙三が左ジャブ、左ボディ、左右のフックが終盤にかけて多数当たるように。若松もパンチを返し、両者鼻血を出し、苦しそうな表情を浮かべるが、仙三が気迫を出して積極的に攻め、このラウンドもポイントを取る。
4R、仙三も少し疲れが見えるが、ステップワークも駆使してうまく休み、終盤に近付くと、仙三がパンチと右の膝をうまく当てるように。だが右と左で膝を連打したタイミングで、若松の右フックが炸裂し、仙三はダウン。その後も若松がラッシュで追い詰め、ポイントを取り返す。場内は大歓声に包まれる。
だが5Rに入ると、仙三が首相撲の展開で膝を当てると、若松は苦しそうな表情を浮かべ、ガードが下がって少し止まる場面も。すると仙三は前に出て、金網に詰め、パンチ、膝、肘のヒットを少しずつ増やし猛反撃。仙三がパンチと膝を連打すると、若松がくの字でうずくまるようになり、レフェリーがストップ。仙三が見事逆転勝ちで死闘を制した。
仙三は「体調を崩したり、ずっと一緒に暮らしていたおばあちゃんが1週間前に亡くなったりして、勝てるかどうか不安でしたが、いつも応援してくれるみんながいるから…、すみません」と話して涙を流し、「応援してくれる皆さんのおかげで頑張れました。ばあちゃんに見せたくて。勝ったぞ」と叫ぶ。そして「最強の挑戦者に勝ったんで、UFCに行きたいです。トップのUFCのファイターに負けないぐらいの気持ちという武器があるんで勝てます。UFC、オファーください。日本で一番強いストライカーは仙三です」とアピールした。
第12試合 セミファイナル ライト級 5分3R
○アキラ(フリー/1位/70.35kg)
×ヒカルド・チルロニ [Ricardo Tirloni](ブラジル/アストラ・ファイトチーム/70.5kg)
判定3-0 (大藪29-28/福田29-28/荒牧29-28)
アキラは10月大会でGONO(郷野聡寛)と対戦し、再三テイクダウンを奪い判定勝ちして以来の試合。チルロニはバンタム級2位のハファエル・シウバと同じチーム所属で、MMA戦績20勝(8KO/7一本)6敗の34歳。11年から13年にベラトールに上がり、ウィル・ブルックスに敗れ、リッチ・クレメンティに勝利している。シャードッグのデータを見ると、14年からは中南米やスペインの大会に上がり7勝1敗、5連勝と好成績を残している。
1R、1階級上にも見えるほど大きいチルロニが、サウスポーのアキラの右ミドルを当てるが、数発目でアキラは蹴り足をつかんで倒す。チルロニはすぐ足を登らせるが、アキラはセコンドのマモルのアドバイスを聞いて対応し、金網際まで持って行く。だが膠着したためブレイク。スタンドに戻ると、アキラは左のフック、ボディを当てるが、チルロニが右ミドル、ロー、テンカオを随所で上手く当て、ヒット数では上回る。ジャッジは序盤のアキラのテイクダウンも評価し、アキラに3票が入る。
2Rもアキラのパンチ、チルロニの蹴りの構図で、スリリングな展開が続く。チルロニはパンチも増やし、ヒット数では上だ。ジャッジ3名ともチルロニを支持する。
3Rも同じような構図ながら、両者の打撃のヒットの比重は近づく。アキラは度々押し込んでテイクダウンを狙うが、チルロニはかわす。それでもしつこく前に出て、随所で右のパンチも当てていると、残り1分半、右のオーバーハンドフックがクリーンヒットし、チルロニはダウン。アキラは上からパウンドで追い打ちをかける。チルロニは左まぶたから出血。スタンドに戻るが、アキラがパンチを当て終了。結局、3Rのダウンが決め手となり、アキラの判定勝ちとなった。アキラは「強い外人倒したんで、次、いいマッチメイク期待しています」とアピールした。
第11試合 女子ストロー級 5分3R
○三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A/52.6kg)
×ソ・イェダム [Seo Yedam](韓国/パラエストラ・チョンジュ/TFC/52.4kg)
判定2-1 (高本28-29/大藪28-29/荒牧28-29)
初参戦のイェダムは12月大会で東陽子を下したキム・ミョンボ同様、韓国のTFCが派遣する25歳で、MMA戦績2勝1敗。三浦は減量に苦しみ、前日計量直前には髪を切って、なんとか計量をクリアした。
1R、三浦はこれまで同様に、得意の首投げから袈裟固めのパターンに持ち込み、足で腕をはさんでアームバーを仕掛けようとするが、イェダムは残り1分半で脱出すると、素早く動いてバックマウントを奪い、チョークを狙い続けて追い込む。意外にもジャッジ2者は三浦を支持する。
2Rもイェダムが倒して袈裟固めになり、ヘッドロック、アームロックを狙い続ける。だが1R同様に少しずつイェダムが体をズラしてバックを狙うように。バックマウントとならず、三浦がかろうじて袈裟の状態を守り、ポイントを取る。
3R、イェダムは右ローを効かせ、左右のストレートも当て挽回。三浦もパンチを振るうが空振りが続き、前に出て組もうとするが、イェダムにかわされ続ける。終盤はようやく金網に押し込み、首投げで倒したところで終了のブザーが鳴る。イェダムの攻勢を覆す印象を残せたかは評価が分かれそうだ。
結局、高本ジャッジのみイェダムの1Rと3Rの攻勢を評価したが、残り2者は三浦を支持し、三浦の判定勝ちとなった。
第10試合 フライ級 5分3R
×小川 徹(TRIBE TOKYO M.M.A/6位/56.95kg)
○翔兵(升水組/7位/57.15kg)
判定0-3 (高本27-30/大藪28-29/荒牧27-30)
1R、スタンドの攻防が終始続き、サウスポーの小川とオーソドックスの翔兵のパンチが時折交錯する。小川が左右のフック、翔兵がローキックで印象を残すが、どちらも慎重で手数は少ない。判定は難しいが、ジャッジ3者とも翔兵にポイントをつける。
2R、小川はパンチの手数を上げるが、前に詰めて来たタイミングで翔兵が右フックを当ててダウンさせる。小川はすぐ立ちダメージは小さそう。翔兵はタイミングよく左ローを当て続けていたが、小川も左ボディ、左ストレートを随所で当て、手数では上。とはいえダウンの悪印象はぬぐえず、このラウンドも翔兵がポイントを取る。
3R、小川が積極的に左ストレート、左ハイ、左ミドル等を放つが、翔兵をぐらつかせるほどの攻撃は出せず。翔兵のほうが少し手数は劣るが、終盤にはテイクダウンを奪って好印象を残す。3Rはジャッジ1名が小川がつけただけで、翔兵が2Rまでの点差を守って判定勝ちした。
第9試合 ウェルター級 5分3R
×手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC/4位/77.3kg)
○グライコ・フランサ [Glaico França](ブラジル/アストラ・ファイトチーム/77.2kg)
判定1-2 (松宮28-29/福田29-28/高本28-29)
第8試合 女子フライ級 5分3R
○端 貴代(和術慧舟會AKZA/元DEEP JEWELSバンタム級王者/56.8kg)
×バーバラ・アシオリー [Barbara Acioly](ブラジル/アドイスファイト/57.05kg)
2R 3’20” チョークスリーパー
第7試合 フェザー級 5分3R
―コンバ王子(マッハ道場/65.85kg)
―イズマエル・ボンフィン [Ismael Bonfim](ブラジル/セラードMMA/69.0kg)
中止 (ボンフィンが2.75kgオーバーでルールにより中止)
第6試合 ウェルター級 3分3R
○GONO [郷野聡寛](GRABAKA/71.1kg)
×脇本恭平(T-REX柔術アカデミー/77.1kg)
判定2-1 (福田29-28/大藪28-29/高本29-28)
第5試合 ライト級 3分3R
―網潤太郎(和術慧舟會AKZA/69.7kg)
―丸山数馬(TEAM LTDR/体調不良で欠場)
中止
第4試合 ライト級 3分3R
×小林 裕(U-FILE CAMP/70.55kg)
○菊入正行(NEVER QUIT/70.55kg)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第3試合 ストロー級 3分3R
×リトル(GUTSMAN/2017年ネオブラッドトーナメント同級優勝/52.35kg)
○高島俊哉(U-FILE CAMP/52.3kg)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第2試合 バンタム級 3分3R
×合島大樹(GUTSMAN/61.65kg)
○河村泰博(和術慧舟會AKZA/61.55kg)
2R 2’25” 三角絞め
第1試合 バンタム級 3分3R
×神田T800周一(T-BLOOD/61.25kg)
○林 大陽(CAVE/61.35kg)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
[プレリミナリーファイト]
第5試合 ライト級 3分3R
×上田厚志(総合格闘術骨法烏合會 矢野卓見道場/69.7kg)
○深谷 誠(和術慧舟會HEARTS/70.5kg)
判定1-2 (29-28/28-29/28-29)
第4試合 フェザー級 3分3R
×齋藤拓矢(ALLIANCE/64.9kg)
○渡辺謙明(パラエストラ東京/65.55kg)
判定1-2 (27-28/28-27/27-28)
第3試合 フェザー級 3分3R
×手塚勇太(和神会/65.55kg)
○DARANI DATE(Team DATE/65.95kg)
判定0-3 (28-29/27-30/28-29)
第2試合 バンタム級 3分3R
○萩原一貴(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス/61.0kg)
×坂本瑞氣(総合格闘技 宇留野道場/61.35kg)
1R 1’14” アームロック
第1試合 フライ級 3分3R
○中村龍之(ロータス世田谷/57.05kg)
×立花恵介(スーパータイガージム田中塾/56.0kg)
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)