パンクラス 7.1 新木場スタジオコースト:佐藤天&久米鷹介、元UFC選手の底力を前に散る。若松佑弥、マモルKOしONE参戦熱望
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2018年7月1日(日)東京・新木場スタジオコースト
レポート&写真:井原芳徳
【メインカード】
第8試合 メインイベント パンクラス・ウェルター級第12代王者決定戦 5分5R
×佐藤 天 (TRIBE TOKYO M.M.A/1位)
○グライコ・フランサ(ブラジル/アストラ・ファイトチーム/3位)
4R 1’15” 裸絞め
※フランサが王者に
昨年7月のウェルター級タイトルマッチで阿部大治が新王者となったが、その後UFCと契約し、引き続きUFCに専念するため王座を返上した。佐藤天(たかし)はMMA戦績14戦13勝(8KO/2一本)1敗の28歳。13年にデビューし、14年にパンクラスのネオブラッドトーナメントで優勝したが、15年12月の試合の後、約1年半怪我のため休養する。昨年4月のアントン・ラッドマン戦で復帰し判定勝ち。8月の高木健太とのリベンジマッチ、12月の元パンクラス王者の村山暁洋戦、今年3月のGRANDSLAMでの元ZST王者の濱岸正幸戦と、4戦連続で1R TKO勝ち中と絶好調。今回に備え、シンガポールのイヴォルブで2週間、フロリダのハードノックス365でも1か月練習した。(佐藤とイヴォルブでの練習で交流ができた那須川天心が、王座戦の前に両者に花束を贈呈した。)
対するフランサはMMA 23戦18勝(9KO/7一本)5敗の27歳。UFCで15~16年に3戦し、ブラジル人にギロチンで一本勝ちした後は米国人に2連続で判定負けし、契約を切られたが、17年はパンクラスとも提携するブラジルのアスペラFCで4連続KO/一本勝ち。2月大会で初来日し、当時4位の手塚裕之に判定勝ちし、現在5連勝中だ。UFC参戦を熱望する佐藤にとって、力量をアピールするには絶好の相手だったが、UFC復帰を熱望するフランサが執念を示すことに。
1R、佐藤はサウスポーに構え、胸を張るような体勢を保ちつつ、右ジャブ、左ボディ、左フックを随所で当て、やや優勢。だが中盤から少しずつフランサも重みのある右ミドル、右ストレートを返すように。終盤はフランサが佐藤を金網に押し込むが、膝がローブローとなり注意を受ける。記者採点もジャッジも10-9でヒット数の多い佐藤だが、中盤から流れは変わってきている。
2R、フランサが右のインローをヒットすると、佐藤は前に出るが、フランサが左手を前に出して突き放そうとしたところで、指が佐藤の右目に入ってしまう。いったんブレイクとなり、故意ではないため注意は無く、少し休んだ後に試合は再開するが、佐藤は右目のまばたきが多く、まだダメージがある様子。フランサはお構いなしにタックルを仕掛け、再三押し込みて倒し、佐藤を追い込む。佐藤も投げを放ち打開を狙うが、フランサは対処して押し込み続ける。佐藤は疲れも溜まって来た様子だ。残り1分を切り、佐藤には右目のドクターチェックが入る。再開後、両者パンチをヒットし、最後に佐藤が左フックを当てるがフランサは耐えきる。記者採点もジャッジも9-10でフランサ。
3R、佐藤は序盤から左ジャブ、右肘を当てると、フランサは後退。佐藤は金網に詰めてのパンチラッシュでフランサをストップ寸前まで追い詰める。佐藤は倒して背後からパウンドを当てるが、フランサは鼻血を出しながらも耐え、中盤に佐藤のラッシュの勢いが落ちると脱出する。フランサは一気に動いてバックを奪って、裸絞めを仕掛けて佐藤を追い込む。佐藤は間一髪で耐えるが、その後もフランサが押し込んで倒す展開を繰り返し、フラフラの佐藤を追い詰める。記者採点は10-9で佐藤だが、またも流れはフランサだ。今回は約10日前に来日し調整したことで、スタミナも十分な様子だ。
すると4R、フランサは序盤から前に詰めると、佐藤はほとんど抵抗できずに倒されてしまう。フランサは体に染み込んだ柔術の動きで素早くバックを取ると、裸絞めを極め、佐藤はタップアウト。フランサが見事大逆転勝ちでベルトを巻いた。
フランサは最近亡くなったという友人のファイター、アラン・ドス・サントスに勝利を捧げると話し、日本語で「私は日本で戦うことを光栄に思っています。ありがとうございます。押忍」と続け、パンクラスにも感謝の言葉を述べ、「モルセゴ(=同門でバンタム級暫定王者のハファエル・シウバ)とパンクラスを盛り上げたい」「UFCのマッチメイカーのショーン・シェルビーさん、UFCで戦いたいです」とアピールを繰り広げた。
第7試合 セミファイナル ライト級(ノンタイトル戦) 5分3R
×久米鷹介(ALIVE/パンクラス王者)
○アントン・クイバネン [Anton Kuivanen](フィンランド/GBジム/フィンランドCage王者)
2R 4’56” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
久米は昨年12月に徳留一樹に1R KO勝ちし、王座初防衛を果たして以来の試合。クイバネンは1984年5月1日生まれの33歳。身長175cm。06年にMMAデビューし、11年にフィンランドのCageという大会のライト級王座を獲得し、1度防衛した後、12~13年にUFCで1勝2敗。その後もCageに戻り、13年9月の3度目の防衛戦で敗れたが、15年9月にその時敗れた相手にリベンジし王座奪還している。昨年2月にはCageで山田哲也に判定勝ち。今年2月の試合でも勝利し、通算戦績35戦25勝(6KO/8一本)10敗。初来日の試合で今の勢いを示すことに。
1R、久米は開始すぐからパンチを振って時折ヒットさせ、圧力をかけ続け、1分半過ぎには押し込んで倒すが、クイバネンはリバースし、立ってからも押し込む。離れての打撃戦の後、終盤にはクイバネンがタックルを仕掛けて倒すが、久米はすぐ立つ。記者採点は中盤以降挽回したクイバネン。ジャッジは3名ともヒット数の多い久米を支持する。
2Rはクイバネンが圧力をかける時間が増え、久米が押し込んでも跳ね返し、抱え上げてテイクダウンを奪う。久米は1分ほどで金網を背にして立ち上がるが、クイバネンはすぐ押し込み、またもテイクダウン。これも久米は立ち上がるがクイバネンに押され続ける。
終盤に離れると、久米は回って距離を取るが、足取りが重く、少し疲れが見えて来た。左足首にサポーターをつけており、元々痛めていた可能性もある。すると終盤に久米は挽回を狙ったか?右フックを放つが、前方にバランスを崩し、背中を向ける形となってしまい、クイバネンの左フックを浴びてダウン。クイバネンが立った久米にパンチを当て続け、棒立ちになったところで梅木レフェリーがストップした。
クイバネンは大喜びして金網によじ登り、「小さい頃からパンクラスのバス・ルッテンの試合を見て憧れていました。初めて日本に来て、全力を尽くし結果勝てました。ありがとうございます」とアピールした。
第6試合 フライ級 5分3R
○若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A/1位)
×マモル(シューティングジム横浜/2位・元王者、元修斗世界フェザー級(-60kg)&バンタム級(-56kg)王者)
2R 0’39” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
若松は1995年2月9日生まれの23歳。41歳のマモルがデビューした時は4歳だった。若松はパンクラスで2015年にプロデビューし、16年のネオブラッドトーナメントで優勝しMVPも獲得。昨年は上嶋佑紀、古間木崇宏、翔兵をいずれも2R以内に粉砕。10戦9勝1敗で迎えた今年2月のスタジオコースト大会で仙三のベルトに挑戦したが、死闘の末に5RにTKO負けした。
マモルは昨年8月の仙三との初防衛戦で判定負けして以来の試合。今年4月大会で復帰予定だったが、対戦相手の春日井健士の練習中の負傷で試合が中止となり、7月大会へのスライドした。
1R、マモルが前進して詰めようとするが、若松は距離を取って回り続け、左ジャブ、右ストレートを着実に当てて主導権。マモルは若松のスピードに対応しきれない。中盤には若松が胴タックルでテイクダウンも奪う。スタンドに戻り、マモルも途中まで左ミドルを少し当てていたが、終盤は若松の左ジャブをもろにもらって、苦しそうな表情を浮かべるように。ジャッジも記者も若松につける。
2R、若松は早くも勝負に出る。開始間もなく、ワンツーでの右フックを当て、マモルはダウン。若松は立ったマモルにパンチラッシュで何発も当て続け、マモルが防戦一方になったところでレフェリーがストップした。
若松は「マモル選手は強い選手で、僕は前回負けて、気持ち落ちていたのですが、勝てて良かったです。今、ONE(Championship)が人気なんで、そっち出たいです」とアピール。観客から「その前にベルトだろ」というヤジが飛ぶと、「ベルトも取りたいですけど」と口にしたが、既に日本でも多数の選手を獲得し急成長中のONEへの思いの方が強い様子だった。
会場には来年の初の日本大会の準備のために来日しているONEのチャトリ・シットヨートンCEOが観戦に訪れており、大会後の取材で若松について「すぐチャンピオン、スターになれます」と絶賛。若松にも会い、今後のオファーを約束した。
第5試合 バンタム級 5分3R
×TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We/2位)
○瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト/4位)
2R 2’03” TKO (レフェリーストップ:右フック)
TSUNEは3月大会で福島秀和に判定勝ちし2連勝中。瀧澤も同大会でハルク大城にTKO勝ちしている。
1R、TSUNEはサウスポー、瀧澤はオーソドックスに構え、スタンドでの打撃戦。大差は無い状況が続くが、終盤に瀧澤がカウンターの左フックを当ててTSUNEをぐらつかせ好印象を残す。記者採点もジャッジも9-10で瀧澤。2Rも瀧澤が圧力をかける状況が続き、TSUNEは左ストレートを当てるが、瀧澤はひるまず前に出て、右ストレートをクリーンヒット。TSUNEはダウンし、瀧澤がパウンドで追撃したところでレフェリーがストップした。瀧澤はマイクを持つと「2位をKOしたんで、タイトルマッチお願いします」とアピールした。
なお、第5試合の後、田村彰敏氏が登場。田村氏は昨年2月5日のディファ有明大会の中原由貴戦でKO負けした後、急性硬膜下血腫となり救急搬送され、開頭手術をし、引退を余儀なくされ、現在もリハビリを続けている。パンクラスでは田村氏からの進言を受け、選手の安全性に配慮し、セコンドのタオル投入を認め、ドクターが試合中いつでもドクターチェックの申し入れを可能にする等のルール改定を行った(関連記事)。
田村は「命と引き換えに選手生命を絶たれました。選手生活に悔いはありません。ですが格闘技はスポーツです。僕と同じように命の危険にさらされる選手を二度と出したくない思いがあります。パンクラスはアメリカの興行並みにドクターを増やすことは困難です。日本では総合格闘技の保険制度も整っていません。なのにアメリカのユニファイドルールをそのまま取り入れるのはどうなのか?と思い、安全面を重んじたルール改正のアイデアをパンクラスに提出しました。提案を前向きに受け取ってくれたパンクラスに感謝しています。総合格闘技の発展を心より願っています」とアピール。パンクラスの酒井正和代表は「パンクラスはスポーツMMAとして、安全、公平をポリシーとしてやっていきたいです」と答え、田村氏と握手した。
第4試合 フライ級 5分3R
○小川 徹(TRIBE TOKYO M.M.A/5位)
×タテキ・マツダ(フリー)※チーム・シットヨートン・ボストンから所属変更
1R 2’50” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
小川は2015年ネオブラッドトーナメント・スーパーフライ級優勝者で、以降のパンクラスでの成績は4勝2敗。空手ベースの打撃が持ち味で、昨年10月大会では山本篤のタックルに左膝蹴りを合わせてKO勝ちしインパクトを残した。だが2月大会で翔兵に判定負けしている。
対するマツダは米国在住のUFC経験者。昨年3月に仙三に判定負けして以来の試合。仙三戦では2R目に打ち合いで仙三を苦しめる場面を作った。昨年10月大会で翔兵と戦う予定だったが、左肩の脱臼で欠場。手術、ジム独立を経て再来日した。
1R、小川はサウスポーに構え、プレッシャーをかけるが、マツダが右のインローを小川の左スネのテーピングの位置に当てると、小川は少しバランスを崩す。それでも小川は持ちこたえると、マツダが右フックを空振りした直後に左フックをクリーンヒット。ダウンしたマツダに、小川がパウンドを当て続けレフェリーストップ勝ちした。
第3試合 女子フライ級 5分3R
×ライカ(RIGHT THING ACADEMY/元ボクシングOPBF東洋太平洋女子ライト級王者)
○クセニヤ・グーセヴァ [Kseniia Guseva](ロシア/MATTI TEAM)
判定1-2 (島村28-29/高本29-28/梅木28-29)
女子プロボクシングのパイオニア・ライカは、14年からMMAに転向し、16年7月のパンクラスで中井りんと対戦し、終始圧倒され3Rにグラウンドでの肘打ちの連打でTKO負けした。だが以降はMMA 6連勝で、MMA戦績13戦8勝4敗1無効試合と勝ち越しに。昨年10月のTTFのソ・ジヨン戦は裸絞めを極め、MMA 11戦目にして初の一本勝ちを果たし、3月25日のGRANDSLAMでもジョン・スルギに判定勝ち。現在42歳ながら、闘志も向上心も衰え知らずだ。今回の相手グーセヴァは1994年1月20日生まれの24歳。身長164cm。MMA戦績4戦3勝(3KO)1分。
1R、グーセヴァがサウスポーからの左ミドル、ハイを当て主導権を握り、組んできたライカを倒し袈裟固めとなる。だがライカは脱出すると、素早くバックを奪い、裸絞めを狙いパウンドも当てて挽回する。記者採点は10-9でライカ。
2Rはスタンドの攻防が続き、ライカは右ボディを当てつつ、左フックにつなげる場面もあったが、グーセヴァが右ジャブ、左ミドル等を多く当て、上手く戦っている印象。終盤、ライカは組んでくるが、グーセヴァは対処し倒れず。記者採点は9-10でグーセヴァ。
3Rもグーセヴァが左ミドル、膝、右ジャブ、左ストレートを当て続け優勢。中盤にはグーセヴァが倒すが、ライカは跳ね返して上になる。だがトップキープが精いっぱいで、パウンドは落とせず、残り1分でスタンドへ。グーセヴァが蹴りとパンチを当て続け、ライカもパンチを返すが手数は劣り、押し込むが倒せず終了する。記者採点は9-10でグーセヴァ。ジャッジのうち2者も同じ採点で、ライカは惜しくも敗れ、連勝が6で止まった。
第2試合 女子バンタム級 3分3R
○東 陽子(和術慧舟會AKZA)※MMA KING GYM KOBEから所属変更
×直DATE(team DATE)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第1試合 フェザー級 3分3R
○滝田J太郎(和術慧舟會東京道場)
×木村一成(パンクラスイズム横浜)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
【プレリミナリーファイト】
第6試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・ストロー級決勝 3分3R
×御代川敏志 (パラエストラ八王子)
○野田遼介 (ALLIANCE)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第5試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・フライ級準決勝 3分3R
○鈴木千裕 (P’s LAB吉祥寺)
×猿飛流 (リバーサルジム川口REDIPS)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第4試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・フライ級準決勝 3分3R
×赤崎清志朗 (香取道場)
○杉山廣平(SPLASH)
1R 2’21” 裸絞め
第3試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・バンタム級準決勝 3分3R
×平岡将英 (KRAZY BEE)
○野村優眞 (NEVER QUIT)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第2試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・バンタム級準決勝 3分3R
○大橋悠一 (P’s LAB大泉)
×小川隼也(フリー)
1R 0’30” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第1試合 2018年 第24回ネオブラッドトーナメント・フェザー級準決勝 3分3R
×齋籐拓矢 (ALLIANCE)
○DARANI DATE (Team DATE)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)