RIZIN 10.24 横浜 ぴあアリーナMM(全試合レポ):混沌のフェザー級戦線。牛久絢太郎、斎藤裕を膝で切り裂き王者に。金原正徳・中村大介・白川陸斗も勝利。大島沙緒里、浅倉カンナに判定勝ち
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RIZIN.31
2021年10月24日(日) 神奈川・ぴあアリーナMM
レポート&写真:井原芳徳
混沌のフェザー級戦線。初参戦のDEEP王者・牛久絢太郎、斎藤裕を膝蹴りで切り裂き王者に。
第11試合 メインイベント MMA RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ 5分3R
×斎藤 裕(パラエストラ小岩/王者、元修斗フェザー級世界王者/65.95kg)※初防衛戦
○牛久絢太郎(K-Clann/挑戦者、DEEPフェザー級王者/65.7kg)
2R 4’26” TKO (ドクターストップ:左膝蹴りによる右まぶたのカット)
※牛久が王者に
斎藤は修斗の世界王者として昨年8月からRIZINに上がり、2戦目となる11月の大阪大会で朝倉未来に判定勝ちしRIZIN王者に。今年6月の東京ドーム大会ではヴガール・ケラモフに判定勝ちした。同じ大会で未来を三角絞めで下したクレベル・コイケとの初防衛戦が計画されたが、コイケが足の怪我と体重調整を理由に辞退し、9月の交渉過程で斎藤戦を志願した牛久との防衛戦に落ち着いた。
牛久はRIZIN初参戦の26歳。小学1年から柔道、高校2年からMMAを始め、パンクラスで13年にプロ昇格トーナメントを制し、14年に新人王戦にあたるネオブラッド・トーナメントで優勝。16年のフェザー級暫定王座戦で田村一聖に敗れ、次の試合でも松嶋こよみに敗れたが、その後もランキング戦線で活躍した。19年からDEEPに上がり2連勝後、昨年9月、弥益ドミネーター聡志に判定勝ちしDEEPフェザー級ベルトを奪取。今年2月のノンタイトル戦では中村大介にKO負けしたものの、6月のベルトを懸けての再戦では接戦の末に判定勝ちした。
未来は10月2日のRIZIN LANDMARKの萩原京平戦の前、斎藤を「華が無い」と批判したが、斎藤は4日の会見で「華があるないはその人の考えですけど、朝倉選手よりはいい試合をしたいです」と話し、寝技で萩原京平を仕留めきれなかった未来を皮肉る回答をしており、結果だけでなく内容でもアピールしたい。対する牛久は「僕の格闘家人生全てをかけてぶち壊しに行きます」と話し、斎藤と未来の再戦への流れを壊す決意を示している。
1R、齋藤がオーソドックス、牛久がサウスポーに構え、齋藤が右フック、右ボディ等、牛久が左フック、左ミドル等をヒット。斎藤が押し込んだり組んだりするが、牛久は対処する。中盤、斎藤が首相撲から膝蹴りを放ったタイミングで、牛久が左フックを当てると、斎藤はそのまま引き込むように下になる。斎藤はダメージは小さく、すぐに返して上になって終える。ここまではまだ甲乙つけ難い内容だ。
2R、序盤に牛久の蹴りがローブローとなり中断。再開後、齋藤が右ボディ、右ミドルを的確に当て、やや優位に。斎藤が押し込むが膠着ブレイク。だがその直後、突如試合が動く。牛久が1Rにも時折見せていた左の飛び膝をヒット。斎藤が組み付いて押し込むと、斎藤は右まぶたから出血しており、膠着ブレイクの後、ドクターチェックが入る。止血も行われたが、傷は深かった模様で、ドクターはストップし、牛久のTKO勝ちとなった。
牛久は「K-Clann所属、DEEPから来ました牛久絢太郎です。試合を組んでくれたRIZIN関係者の皆さま、何より斎藤選手、ありがとうございます。思い切って挑戦し、『無理だ』という周りの声が多かったんですけど、自分を信じ続ければいいことがあると思いました。どんな下馬評も自分を信じていれば覆すことができるんで、同じように悩んでいる人の力になれたらうれしく思います。RIZINフェザー級、これからどんどん盛り上げていくんで、皆さん応援お願いします」とアピールした。
大会後のインタビューで、牛久は試合で少し左足を痛めたことを明かし、今後考えられる未来との対戦、齋藤との再戦について「周りと話してから考えたいです」と話すに留めた。傷を6~7針縫ったという斎藤は「まだ続けたかったです。もう一度牛久選手と戦って、止まった時間を動かしたいです」と話した。
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王座移動のフェザー級戦線、金原正徳・中村大介・白川陸斗も勝利
第8試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA/元SRCフェザー級王者)
×芦田崇宏(BRAVE/元DEEPフェザー級王者)
2R 1’18” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
メインの斎藤×牛久と同じフェザー級では、金原正徳 vs. 芦田崇宏、中村大介 vs. 新居すぐる、白川陸斗 vs. 山本琢也の3試合が組まれた。
金原は03年にプロMMAデビューし、09年大晦日に山本“KID”徳郁に判定勝ちしたこともある38歳のベテラン。昨年2月のRIZIN浜松大会でRIZINに初参戦し、ビクター・ヘンリーに2R TKO負けした後、引退を表明していたが、2年8カ月を経て復帰する。階級はバンタム級からフェザー級に戻す。9月30日の会見で金原は「斎藤選手のベルトを取りに帰って来ました」と復帰理由を話しており、ユーチューバーとしてブレイクした未来が、DREAM・SRC世代の復活の求心力となっているのも近年の興味深い流れだ。
芦田はDEEPの元王者。19年12月にRIZINの協力で開催されたベラトール日本大会では平本蓮とキックルールで対戦しKO負けしたが、昨年9月のRIZINでのRIZIN初戦では萩原京平を寝技で圧倒し1Rアームロックで一本勝ちしている。だが萩原らが脚光を浴びる状況に、芦田は「色々思うことはある」と話しており、1年2カ月ぶりの試合は存在感を示す絶好の機会だったが、金原が上回る結果に。
1R、芦田がサウスポーに構え、左フックを随所でヒット。金原は組み付いて押し込んで倒すが、芦田はリバーサルに成功して上になる。だが膠着しブレイクがかかると、芦田がパンチを当てるが、金原も首相撲からの左膝蹴りをボディにヒット。ひるんだ芦田を潰して上になると、肩固めを極めるが時間切れに。
2Rも金原が右の膝蹴りを随所でクリーンヒット。芦田の意識はボディに向いたか?すると金原の右ストレートもクリーンヒットし、芦田がダウンする。金原は上からパウンドをまとめレフェリーストップした。金原はコーナーに登って喜びを表すと、中継席の萩原京平に対して中指を立てた。
金原は「ただいま!試合までの1年、格闘技が好きだと思いました。所英男さんのおかげでもう一度戦う覚悟を取り戻しました。面と向かうとスケベな話しかしないので、この場を借りてお礼を言います。(ロータス世田谷の)八隅(孝平)会長、試合終わったばかり矢地(祐介)君、練習に付き合って感謝しています」等と話し。最後は「ただで戻ってきたわけじゃありません。会見でも言った通り、これからフェザー級の上の奴ら、ゴチャゴチャにします」とアピールした。
第6試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
×新居[にい]すぐる(ポテンシャル)※コンバ王子 改め
1R 2’16” 腕ひしぎ十字固め
中村も新居もRIZIN初参戦。中村はPRIDE武士道、HERO’S、DREAMにも上がっていた41歳のベテラン。19年11月のQUINTET秋田大会でのグラップリングマッチでは、後にRIZIN王者になる斎藤裕に膝十字で一本勝ちしている。昨年、4年ぶりにMMAに復帰し、DEEPで長倉立尚、牛久絢太郎に連続KO勝ち。今年7月、牛久の持つDEEEフェザー級王座に挑戦し判定負けしたが、得意の腕十字で牛久を追い詰め、接戦を演じた。
新居は「コンバ王子」のリングネームでTHE OUTSIDER、パンクラスに上がっていた選手。最近では19年11月のパンクラスで田中半蔵に判定負けしており、約2年ぶりの試合が初のRIZINとなった。
試合は中村が格の違いを示す内容に、1R、中村がガードを下げつつ、序盤から右フックを的確にヒット。新居は大振りのパンチの空振りが続くと、それでもヒットさせ、中村は下がる。だが右フックで詰めてきた新居に、中村はロープを背負いつつ右フックを返してひるませる。すると中村が組み付き、腕をつかんで飛びつくと、新居は抱えて振り落とそうとするが、中村はグラウンドになっても離さない。最後は中村が新居のクラッチを切って腕十字を極めてタップを奪った。
中村は「プロレスリングNOAH杉浦軍の中村大介です。大きい舞台に久しぶりに出させてもらいありがとうございます。新居選手、ありがとございます。ただ、これ、ブリーフじゃなくショートタイツです。この格好でプロレスやってます。最後に言わせてください。中村大介41歳、ここからまだまだ全盛期です」とアピール。場内は拍手の音で包まれた。
第5試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○白川陸斗(トライフォース赤坂)
×山本琢也(パラエストラ千葉/GRACHANフェザー級&ライト級王者)
1R 3’48” KO (右サッカーボールキック)
白川はTHE OUTSIDERで経験を積んだ後、15年にDEEPでプロMMAデビューし上位戦線で活躍。20年8月にRIZINに初登場すると、萩原京平にTKO負けしたが、11月の大阪大会で朴光哲に3R TKO勝ちした。今年6月の大阪大会では青井人に判定勝ちし2連勝中だ。
山本は昨年12月のGRACHANフェザー級王者決定戦で鍵山雄介で2R TKO勝ち。ライト級との2階級制覇を果たすと、RIZIN参戦を熱望していた。
1R、序盤のパンチの打ち合いで、山本が右フックを立て続けに当て先手を取る。だが白川は耐えると、右フックを返し、さらに左ボディを当て続ける。ずると山本は口が開いてパンチのスピードが遅くなり大振りになり、早くも失速する。白川が左フックを的確に当てて追い詰める。最後は左右のフックで山本をダウンさせてから、右のサッカーボールキックを当てて大の字で倒したところでレフェリーがストップした。
白川は「RIZINで3連勝で、少しは成長できたと思います。年末、斎藤チャンプをあそこまで苦しめたケラモフとやらせてください。強い奴とやって挑戦し続けたいです」とアピールした。
DEEP 2冠王・大島沙緒里、RIZIN初参戦で浅倉カンナに判定勝ち
第10試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
×浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント2017優勝/48.85kg)
○大島沙緒里(AACC/DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者、DEEP女子ミクロ級(44kg)王者/47.95kg)
判定1-2 (松宮=大島/片岡=浅倉/大藪=大島)
浅倉は3月の名古屋大会で女子スーパーアトム級王者・浜崎朱加に挑戦し判定負けして以来の試合。大島はRIZIN初参戦。14年柔道全日本ジュニア体重別女子44kg級優勝の実績があり、柔道現役引退後、浜崎と同じAACCに加入。昨年1月の修斗でのMMAデビュー時から頭角を現す。9月にDEEP女子ミクロ級(44kg)王座を獲得。3月から6月に渡って行われたDEEP JEWELSアトム級GP(王者決定トーナメント)では富松恵美、パク・シウ、青野ひかるに勝利し優勝しており、MMA経験豊富な浅倉といえど油断できない相手だった。
1R、大島が右ストレートを当て、組み付いて倒すと、袈裟固めで押さえ、両足で浅倉の腕を挟むアームロックを狙いつつ、パウンドを連打する。浅倉はシザースやブリッジを繰り返して脱出を試みる。なんとか脱出したが、すぐに大島はサイドで押さえ、今度は腕十字を狙って追い詰める。最後は浅倉が上からパウンドを落として終える。ここまでは大島優勢だ。
2R、大島はすぐ組み付き、足を掛けてあっさりとテイクダウンに成功。コーナー付近で上になり、下になっても足関節を狙う。浅倉が立てば蹴り上げも狙う。だが随所で浅倉もパウンドをヒットし、完全に大島のペースにはさせない。ここまででジャッジするなら大島優位だ。
3R、大島は序盤から引き込むようにしてギロチンを狙う。浅倉は対処してサイドで押さえ、ハーフをキープしてパウンドを時折当て、印象を残す。大島も関節技を狙ったり、蹴り上げを出すが、浅倉に封じられるラウンドに。
記者採点は大島。だが浅倉のトップキープとパウンドが評価される可能性もある。案の定、ジャッジは割れたが、2者がサブミッションでチャンスを作った大島を支持し、大島の勝利となった。
大島は「自分自身も自分を信用していなくて、信じられないです。双子の子はスタンドで見ていると思います。これからも勝ち続け、世の中のお母さんを勇気づけられるよう頑張ります」とアピールした。
スダリオ剛、1R豪快KO勝ち
第9試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○スダリオ剛(PUREBRED/115.6kg)
×SAINT(米国/Y&K MMA ACADEMY/106.35kg)
1R 1’51” KO (左フック)
スダリオは6月大会でシビサイ頌真に3R裸絞めで敗れMMA 4戦目で初黒星を喫して以来の試合。SAINTは在日米軍に在籍し、MMAデビュー戦の6月からDEEPに上がり9月の試合と合わせ2連勝している。
1R、スタンドのパンチの攻防で、スダリオが的確に右フック、左ジャブをヒット。SAINTもパンチを振るい時折当てるが大振りになりがちだ。SAINTが右ミドルを当てだすと、スダリオは右フックを合わせる。そしてじわじわコーナーに詰めると、左フック一発でマットに沈めた。
アキラ、古巣の師匠・五味隆典との大晦日決戦熱望
第7試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×阿部大治(HMC/DEEPウェルター級暫定王者、元パンクラス同級王者、元J-NETWORKライトヘビー級王者)
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&MOSH/パンクラス・ライト級6位)
2R 4’34” ノースサウスチョーク
阿部もアキラもRIZIN初参戦。阿部は柔道をベースとし、14年にキックボクシングのJ-NETWORKで、17年にはパンクラスでにウェルター級王者に。その後UFCとONEに上がるも負けが込み、昨年8月からDEEPで日本マットに復帰。佐藤洋一郎、悠太に連勝後、今年2月にレッツ豪太に勝利しDEEPウェルター級暫定王者になると、ライト級と並行して戦うことを表明していた。現在は五味隆典のラスカルジムで練習する。
アキラはラスカルジム出身で、修斗でプロデビューし9戦した後、13年からパンクラスを主戦場とし、長年ランキング戦線で活躍。最近では5月のパンクラスで元修斗世界ライト級王者の松本光史に3R TKO勝ちしている。
1R、阿部がオーソドックス、アキラがサウスポーに構え、パンチを打ち合うと、阿部は左眉尻あたりをカットしドクターチェックが入る。再開後、アキラが組み付いて押し込んでテイクダウンに成功する。アキラはハーフで押さえる。スタンドに戻ると、アキラが左ボディストレートを放った直後、阿部が右ストレートを当ててダウンを奪う。最後はスタンドの打撃戦が続く。ここまではダウン分で阿部が優勢か。
2R、序盤からアキラが胴タックルからテイクダウン。ハーフで押さえ続けると、3分過ぎに足を抜いてマウントを奪取。もがく阿部の動きに合わせてサイドに移行して押さえると、最後は上四方に移動しつつ、ノースサウスチョークを極めてタップを奪った。
アキラは「この大舞台、KO、ダメ、失神じゃなきゃ。年末、師匠の五味さん良かったらどうでしょうか?」と、五味の有名なマイクアピールをたどたどしくも引用しつつ、五味へ対戦を要求した。
フライ級は伊藤裕樹&伊藤盛一郎が逆転勝ち。盛一郎は来年GP開催アピール
第3試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×中村優作(TEAM FAUST/元WSOF-GCフライ級王者)※フリーから所属変更
○伊藤裕樹(ネックスイチムエ/元THE OUTSIDER 50-55kg級王者)
1R 4’52” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
中村は昨年8月の横浜大会でZSTフライ級王者の竿本樹生に1R左フックでTKO負けして以来の試合。今年6月の大阪大会で北方大地との試合が組まれていたが、北方が計量クリア後に体調不良でドクターストップがかかり試合が消滅していた。
伊藤は3月の名古屋大会でRIZINに初参戦し杉山廣平に1R TKO勝ち。9月23日のDEEPでフライ級暫定王者・藤田大和に挑戦し、判定3-2の僅差で敗れたばかりで、1カ月間隔での試合となる。
1R、サウスポーの伊藤に対し、中村が左ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。その後も伊藤の立ち際にサッカーボールキックを当てる等、打撃で優位に試合を運ぶ。だが伊藤も右フックを随所で当て、中村にダメージを与えると、グラウンドでギロチンを狙ったり、サッカーボールキックを当てる等して挽回。最後は左フックで中村をダウンさせると、グラウンドでパウンドを連打。中村が亀の状態で動かなくなったところでレフェリーがストップした。
伊藤は「最初の右ストレートでダウンみたいになったんですけど、スベっちゃって、相手が中村選手だけに」と話し、試合前の映像でも紹介された中村の持ちネタを奪って観客を笑わせつつ、「内容が良くないんで、強くなって帰ってきます。大晦日も試合できますので、いつでもお願いします」とアピールした。
第2試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/元ZSTフライ級王者)
×橋本薫汰[くんた](K-PLACE/Fighting NEXUSフライ級王者)
2R 4’07” 裸絞め
伊藤は昨年8月の横浜大会で神龍誠と攻守のめまぐるしく入れ替わる好勝負を繰り広げるも、2Rにギロチンチョークで一本負け。昨年11月のZSTでのRIZINルール戦では浜本“キャット”雄大に1R TKO勝ちしている。
橋本は22歳。7月のFighting NEXUSでタイガー石井に判定勝ちし、Fighting NEXUSフライ級王者となったばかりだ。
1R、橋本が序盤から右ストレートを的確に当て、伊藤をひるませる。伊藤も右ストレートを返し、橋本も少しひるむが、距離を詰め、右ストレート、右膝蹴りを効かせてダウンさせると、パウンドラッシュで追い詰める。伊藤は鼻血を出して苦しそう。だが橋本がバックを奪い、裸絞めを極めきれずにいると、最後は伊藤が脱出。回復した伊藤がパンチラッシュで挽回し、飛びついてギロチンを仕掛けるが時間切れに。
2R、開始すぐこそ橋本が右ストレートを当てて伊藤をひるませたが、橋本は体力をかなり消耗しており、その先につなげられず。逆に伊藤が橋本のボディにパンチを効かせてから、顔面にもパンチを当てて組み倒すと、バックを奪い裸絞めを極めてタップアウト。伊藤が逆転勝ちした。
伊藤は「こんな試合じゃ堂々と言えないですけど、フライ級、盛り上がっているので、来年トーナメントどうですかね?」とアピールした。
地元横浜・エイワスポーツジムの吉成名高&奥脇竜哉が肘有りキックマッチで完勝
第4試合 キックルール(肘有り/つかんでからの攻撃は1回) 53.5kg契約(バンタム級相当) 3分3R
○吉成名高(エイワスポーツジム/BOMフライ級王者、元WBC・IBF・WMCムエタイ世界ミニフライ級王者、元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者)
×石川直樹(team Lit/元新日本&ジャパンキック・フライ級王者、元スックワンキントーン・スーパーフライ級王者)
1R 2’30” TKO (3ダウン:左ストレート)
ムエタイの2大タイトル・ルンピニー&ラジャダムナンを獲得した名高は、昨年8月のぴあアリーナ大会でRIZINに初参戦し、以降はRIZINで3試合ともKO勝ち。その3試合も肘有りで、肘打ちでKOまたはフィニッシュにつなげている。最近は9月26日のBOMに出場し、佐藤仁志に1R KO勝ちしている。
石川は26歳の2013年にキックプロデビューした遅咲きファイターで、現在35歳。16年に新日本キック、19年にスック・ワンキントーン、ジャパンキックのタイトルを獲得。9月から治政館を離れフリーとなったが、9月25日のKNOCK OUTではタイ人のユット・ZEROに判定負けしている。
試合は名高が下馬評通り圧倒する内容に。1R、名高がサウスポーからの右の前蹴りを当てて先手を取ると、左ストレートと左肘の連打でダウンを奪う。崩しや右ローも絡めて圧倒し、さらに左ストレートでダウンを重ねると、最後は左ストレートを胸元に当てて3ダウン目を奪いKO勝ちした。
名高は「年末のRIZINを盛り上げたいです。階級を上げたんですけど、53.5kgの強い人たちにも圧倒的な試合をできたらいいなと思っています」とアピールした。
第1試合 キックルール(肘有り/つかんでからの攻撃は1回) 51kg契約(フライ級相当) 3分3R
○奥脇竜哉[りゅうや](エイワスポーツジム/ラジャダムナン・WPMF世界・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者)
×老沼隆斗(STRUGGLE/元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
判定2-0 (片岡30-28/松宮29-29/豊永30-29)
両者RIZIN初参戦。竜哉は同門の名高同様にジュニア時代からタイで多数の試合を経験し、19歳になった19年9月にラジャダムナン王座を獲得した。名高同様、コロナ禍の影響でタイで試合ができなくなり、日本での戦いを続けており、肘無しのRISEにも上がっている。最近は9月26日のBOMでTOMOに判定勝ちしている。
老沼は9月にRIZINに初参戦し勝利した、ぱんちゃん璃奈と同じくSTRUGGLEに所属し、KNOCK OUTを主戦場とする23歳。子供の頃から空手を習い、キックデビュー後は18年にREBELSのタイトルを獲得。昨年9月の上段後ろ回し蹴りでの一撃KO勝ちで、KNOCK OUTの年間ベストKO賞を獲得している。今年2月の防衛戦で白幡裕星に敗れ、最近では6月のNKBで海老原竜二に勝利している。これまで接点の無いBOMのトップ勢との一戦が実現するのもRIZINならではだろう。
1R、両者蹴り主体の攻防。老沼も右ローを時折当てるが、竜哉は右ミドルを皮切りに、終盤には右ハイのヒットを増やし好印象を残す。記者採点は竜哉。
2Rも竜哉が左右のミドル、右ハイを自在に当て、接近戦では右肘もヒット。老沼はパンチも蹴りも空振りが多い。記者採点は竜哉。
3R、竜哉は右ミドル、左ボディ、左肘、右ストレート等を度々ヒット。老沼は最後だけ右ハイを当てるが、ほとんど攻めさせてもらえず終了。記者採点は竜哉。合計30-27で竜哉。ジャッジは1者が意外にもイーブンとしたが、竜哉がラジャダムナン王者のスキルの高さを見せつけ完勝した。
RIZIN 10.24 横浜 ぴあアリーナMM:榊原信行CEO総括「フェザー級は全てがシャッフルされた」「クレベルから正式にアプローチはない」。武尊×天心の報道には「冷静になって欲しい」