NO KICK NO LIFE 2.24 渋谷O-EAST:石井一成、麗也と肘で斬り合う死闘制し判定勝ち。宮元啓介、好調の加藤有吾を撃破。緑川創、吉成士門、森井洋介も勝利
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NO KICK NO LIFE 新章-雲外蒼天-
2021年2月24日(水) 東京・渋谷TSUTAYA O-EAST
レポート&写真:井原芳徳
※NO KICK~の通常ルールは肘有り・つかんでからの攻撃は1回のキックルール。「特別ルール」は肘有り・つかみ制限無しの一般的なキックルール
第5試合 メインイベント 53kg契約 3分5R
○石井一成(ウォーワンチャイ・プロモーション/BOMスーパーフライ級王者、WPMF世界・IBFムエタイ世界フライ級王者、元KING OF KNOCK OUT同級王者)
×麗也(治政館ジム/元新日本フライ級王者、元ISKAインターコンチネンタル・フライ級王者)※BeWELLキックボクシングジムから所属変更
判定3-0 (大成49-48/能見49-48/北尻50-47)
昨年10月のNO KICK NO LIFE再始動大会に引き続き、石井一成がメインイベントに登場し、麗也と対戦する。
石井は前回、岩浪悠弥に2R肘打ちでTKO勝ち。格の違いを見せつけた。対する麗也は新日本キックの軽量級戦線で活躍。19年9月のRISEでの風音戦で敗れた後、引退していたが、約1年半で復帰する。
麗也は左膝をテープで固めており、状態が気がかりなところ。1R、石井がプレッシャーをかけ続け、右ローを当て続け、左ボディも中盤には強打。右ボディストレート、右ストレートも当て主導権。麗也も右肘を返す場面もあるが、石井のスピードに対応しきれていない感がある。記者採点は石井。
2Rも石井はテープで固めた麗也の左足に容赦なく右ローを叩き続ける。麗也は中盤過ぎ、自ら左足を叩く動作をして石井を挑発する。終盤、麗也は右ストレート、左ジャブ、左飛び膝等を返し、攻撃数で差を縮める。記者採点はイーブン。
3R、石井が右ローを当てつつ、距離も縮まり、パンチで打ち合う場面も増えてくる。麗也陣営からは肘の指示も出ていると、中盤、打ち合いで麗也が右肘をヒットし、石井は額から出血する。石井はレフェリーストップを警戒し、圧を強めてパンチの手数を上げて当て続けるが、麗也は耐える。記者採点は麗也。
4Rも序盤から石井が圧力をかけてパンチを放つ。中盤、ドクターチェックがようやく入るがすぐ再開。その後も石井が前に出てパンチを当て、優位に試合を運ぶ。石井の出血は止まった様子だ。記者採点は石井。
5R、麗也は打ち合いの展開で右肘を当てるが、石井も左肘を当て返すと、麗也も額から出血。両者出血する展開となり、それでもパンチで激しく打ち合う。中盤には両者ドクターチェックが入るも続行。石井がパンチ主体にしつつ、左インローでもバランスを崩させ、優位を維持し終える。記者採点は石井。合計49-47で石井。ジャッジ2者は1点差だが、3者とも石井を支持し、石井が死闘を制した。
額を8針縫って試合後の会見に登場した石井は「肘で切られたのが初めてで、生暖かくて血の匂いがして『ヤバい』と思って、行かないとって思いました」「相手も僕も100対100で出して面白かったです。最後は相手ともハグできて、不完全燃焼だったけどいい試合でした」と試合を振り返り、「今、53kgのメンツが揃っているのでかき回してやりたいです」「次は53kgで一番取りたいです。受ける側じゃなく追う側になりたいです」と話し、RISEが今年後半に開催を計画している53kgトーナメントをおそらく意識してコメントした。最後は「これからもNO KICK NO LIFEという大会名通り、全てを奪おうとするものは奪い返す気持ちで戦います」と話した。
NO KICKの小野寺力プロデューサーは「麗也選手はジャブや肘が素晴らしかったです。怪我や手術で苦しみましたけど、何度もやり直せばいいですし、また出てもらいたいです」と麗也を称え、「改めて肘って面白いなと思いましたね。肘がある合間でパンチを打ち合ったり。肘の魅力だと思います。僕はこれを突き詰めたいです」と、NO KICKの独自ルールへの手応えを感じた様子だった。
第4試合 セミファイナル 56kg契約 3分3R
○宮元啓介(橋本道場/元WPMF世界&WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者)
×加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者、岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント2021優勝)
判定2-0 (大成30-29/北尻29-29/ノップ29-28)
加藤は19戦16勝(7KO)3敗の21歳。10月のNO KICKではMASAKINGを1R KO。1月17日のINNOVATIONの「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」では一回戦で元山祐希を1Rで粉砕。決勝では壱・センチャイジムから1Rに2ダウン、2Rに1ダウンを奪って圧倒して判定勝ちし優勝した。現在9連勝中で、55kg近辺で今特に勢いのある選手の一人といえよう。
宮元は数多くのタイトルを獲得し、志朗、那須川天心、江幡塁、良星には敗れているものの、長年国内トップ戦線で活躍してきた選手の一人。最近では11月のREEBLSのRED 55.5kg級王座決定トーナメント準決勝で小笠原瑛作に判定負けしたが、2-0の接戦を繰り広げている。
1R、加藤がプレッシャーをかけ続け、左ボディ、右ストレートを随所でヒット。宮元は少しひるむ場面もあったが、終盤にかけて左ミドルを何発も当てて挽回し、加藤は右肘から少し出血する。記者採点はイーブンだが、加藤についても不思議ではない。
2R、加藤が左ボディを強打する場面もあったが、中盤から宮元が寸断なく右ロー、左ミドル、三日月蹴り等を当て続け、加藤はほとんど手が出なくなってしまう。記者採点は宮元。
3R、序盤こそ加藤が右ストレートを当てて好印象を残すが、以降は宮元が左ミドル、ハイ、右ロー、前蹴りなどを当て続け挽回。2Rほどではないが、加藤に反撃の機会を与えず、最後は加藤のパンチを少しもらうが逃げ切り終了。記者採点はイーブン。合計30-29で宮元。ジャッジも2者が宮元を支持し、判定勝ち。今回は新鋭の踏み台とさせなかった。
宮元は「三日月を当てると、ウッと言うのが聞こえた」と試合を振り返り、期待の新鋭との一戦で燃えたか?という質問に対して「若いのはまだ負けないぞって気持ちでした。28歳ですけど」と話して苦笑し「今は若い選手が多いので、歳的に(立場が)そうなのかなと思います」と付け加えた。
第3試合 71kg契約 3分3R
○緑川 創(RIKIX/RISEミドル級(70kg)1位、元WKBA世界スーパーウェルター級王者)
×高木覚清(岡山ジム/INNOVATIONスーパーウェルター級5位)
判定3-0 (ノップ30-28/北尻30-28/能見30-28)
緑川は12月のRISEで憂也に延長判定負けして以来の試合。対する高木は13戦8勝(2KO)4敗1分の19歳。最近では11月のBigbangで森田崇文に判定勝ちしている。1月17日のINNOVATION岡山大会では吉田英司とのINNOVATIONスーパーウェルター級王座決定戦予定していたが負傷欠場していた。
緑川はいつもの曲ではなく、旧KNOCK OUTのテーマ曲であるBRAHMANの「守破離」で入場。1R、長身の高木が圧力をかけるが、緑川は距離を取りつつ、左右のローを当て、左ボディと右フック等のコンビネーションも随所で決めて主導権を維持する。
2Rも緑川が圧力をかけ、右ロー、右ストレートを随所でヒットし攻勢。3Rも度々右フックを当て続けて攻勢。高木も打ち合うが返せず、緑川の完勝に終わった。
緑川は「今年はRISEでやり返したいので、肘は封印しました」とのこと。入場テーマを変えた理由について「小野寺さんの大会ですし、自分に気合を入れるため使わせてもらいました」といい、今後は未定と話している。
第2試合 特別ルール 51kg契約 3分5R
×花岡 竜(橋本道場/INNOVATIONフライ級王者)
○吉成士門(PKセンチャイジム/WMC日本フライ級王者)
判定0-2 (能見47-49/ノップ48-48/大成48-49)
花岡は前回10月のNO KICKでHIROYUKIと引き分けた高校2年生。吉成士門は吉成名高の弟で高校1年生で、高校生対決となる。アマ時代の対戦では年上の花岡が勝っている。
1R、花岡がプレッシャーをかけるが、長身の士門は伸びのある右ストレートをヒット。花岡は士門の右ミドルとつかんでからパンチを当てる。士門は終盤、首相撲で膝を連打してから崩しも決める。
2Rも花岡が圧をかけ、パンチを狙う。士門は右ミドルを返し、組んでの膝や崩しで応戦。お互い回転系の蹴りや、蹴り足をつかんでからのスピーディーな攻防でも見せ場を作る。記者採点はここまでイーブン。
3R、士門は首相撲で捕まえ膝を当てる場面が目立ち始める。花岡も終盤に左フック、左ボディを返すが、士門はひるまない。記者採点は士門。
4R、花岡はフェイントをより細かくし、パンチを当て、士門が組んでくれば突き放して右肘を連打。離れれば顔面狙いの左前蹴りをヒット。士門は組んで膝を当てられなくなる。記者採点は花岡。
5R、士門が組む頻度は上がるものの、膝の応酬で花岡も返し、差をつけさせない。花岡が崩しを見せる場面も。記者採点はイーブン。合計49-49でイーブン。ジャッジは元ラジャダムナン王者のノッパデーソーン氏のみ48-48のイーブンだったが、日本人の2者は士門を支持し、士門の判定勝ちとなった。
第1試合 62kg契約 3分3R
○森井洋介(野良犬道場/元KING OF KNOCK OUTライト級王者、元全日本&Bigbangスーパーフェザー級王者、元WBCムエタイ&WPMF日本フェザー級王者)
×永澤サムエル聖光(ビクトリージム/WBCムエタイ日本統一&ジャパンキック・ライト級王者)
判定2-0 (能見30-28/北尻29-29/ノップ30-29)
森井は昨年10月のNO KICKで元ルンピニー日本フェザー級王者の翔貴と対戦し、1Rに右ストレートでダウンを奪われたが、3Rに左ストレートで逆転KO勝ちしている。
永澤は31戦20勝(8KO)8敗3分の31歳。昨年9月、NJKFライト級王者の鈴木翔也とWBCムエタイ日本統一ライト級王座を争い、5Rに左フックでダウンを奪い判定勝ちし、ジャパンキックとの2冠を達成。昨年11月のジャパンキック後楽園大会ではシラー・Y’ZDに判定負けしている。
1R、ローの応酬の中で、永澤が左の奥ローを効かせるが、森井も左ボディを返しつつ、終盤には左フックで少しひるませる。
2Rも執拗に永澤は左ローを当てるが、森井は左ボディを主体にしつつ、バックスピンキック、バック肘、縦肘等も織り交ぜ、終盤には左フックを効かせ応戦する。
3R、森井はセコンドの小林聡氏の「行け、オラ」という声に押されるように手数を上げ、随所で左ボディ、右フックを強打する。永澤も左ロー、ミドルを返し、打ち合いでも引かず返し、場内を沸かせるが、やや押され気味だ。記者採点は3Rのみ森井につけ30-29で森井。ジャッジは2者が森井を支持し、森井の判定勝ちとなった。
大会後の総括で小野寺プロデューサーは「全試合判定でしたが見ごたえのある大会でした」「次回は5月あたりを考えています。前口太尊の面白い発表ができると思うので楽しみにしてください」と話した。