NO KICK NO LIFE 10.29 渋谷O-EAST:石井一成、岩浪悠弥を2R肘でKO。福田海斗、本場タイ仕込みの肘膝で馬渡亮太を圧倒
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NO KICK NO LIFE ~新章~ X DIAMOND FES
2020年10月29日(木)東京・渋谷TSUTAYA O-EAST
レポート&写真:井原芳徳
小野寺力・RIKIX代表のプロデュースするキックボクシング大会「NO KICK NO LIFE」が4年ぶりに再開した。「NO KICK~」は小野寺氏が現役選手時代に使っていたキャッチフレーズで、2005年10月29日の引退興行の大会名にも使われた。14年2月、小野寺氏のジム・RIKIXの10周年大会としてNO KICK~が大田区総合体育館で開催され、以降も同会場と渋谷TSUTAYA O-EASTで年1~2回ペースで開催された。16年6月のO-EAST大会が最後の大会となり、同年9月からブシロード主催のKNOCK OUTに衣替えした。小野寺氏は昨年4月、KNOCK OUTのプロデューサーを辞任。それから1年半を経て、NO KICK~ブランドの大会を復活させる。
大会の模様はダイヤモンドフェスという映像配信プラットフォームを通じて中継された。新型コロナウイルスの感染対策で、会場に入れる観客はわずかとし、今後も小野寺氏は配信主体での大会を目指す考えだ。
また、セミファイナルの福田海斗 vs. 馬渡亮太以外は、つかんだ後の攻撃は1回に制限される。小野寺氏は「簡単に言うとRISEルールに肘打ちを足したルールです。キックボクシングのマニアじゃない方にもわかりやすいルールを目指したい」と説明しており、実際の攻防がどうなるかも今大会の注目ポイントとなる。
第6試合 メインイベント 53kg契約(つかんでからの攻撃は1回) 3分5R
○石井一成(ウォーワンチャイ・プロモーション/WPMF世界&KING OF KNOCK OUTフライ級王者、BOMスーパーフライ級王者)
×岩浪悠弥(橋本道場/INNOVATIONバンタム級&スーパーバンタム王者、ルンピニー日本&ムエタイオープン・バンタム級王者、元WBCムエタイ日本統一フライ級王者)
2R 2’09” TKO (タオル投入:左肘打ちでダウン後)
石井は小野寺氏がプロデュースした時代のKNOCK OUTで王者になった選手の一人。6月のBOMではHIROYUKIから飛び膝でダウンを奪い判定勝ちした。
岩浪はミドルキック等の蹴り技を使いこなすテクニシャンタイプ。9月12日のNJKFではNJKFバンタム級王者の一航と対戦し引き分けている。
1R、圧力をかける石井に対し、岩浪は回ってかわしながら左の前蹴り、ミドル、ロー、ハイをヒット。石井はダメージ自体はほどんど無い様子だが、攻撃の数では劣ってしまう。
2Rも岩浪は執拗に左の蹴りを出し続けるが、石井は距離を詰め左ボディをクリーンヒット。岩浪は少し顔をしかめる。岩浪は石井の圧力をかわし、しばらく蹴りを当て続けていたが、終盤に差し掛かり、石井が圧を強め岩浪をコーナーに詰めると、左肘を連打しダウンを奪う。岩浪は立ち上がれず、セコンドの橋本敏彦師範がタオルを投入し、ノッパデッソーン・レフェリーがストップした。
石井は「NO KICK NO LIFEを背負う気持ちで戦いました。また出ると思うので見に来てください」とアピールした。
第5試合 セミファイナル 55kg契約 3分5R
○福田海斗 (ウォーワンチャイ・プロモーション/キング・ムエ/元True4Uバンタム級&スーパーフライ級王者、元WPMF世界フライ級王者、元プロムエタイ協会フライ級王者)
×馬渡亮太(治政館ジム/ジャパンキック・バンタム級王者、元タイ・チェンマイスタジアム同級王者)
判定3-0 (大成50-45/ノッパデッソーン50-44/納見49-44)
福田は長年タイを主戦場とし、ラジャダムナンスタジアムのランキング戦線で活躍している。コロナ禍の影響でタイで試合ができなくなったことから、10月4日に横浜で行われたBOMに出場し、ユットZEROに右肘打ちでTKO勝ち。2戦連続で日本での試合となる。しかも今回は珍しい日本人との試合だ。
馬渡は25戦18勝(11KO)5敗2分の20歳。福田同様にタイでの試合経験が豊富で、チェンマイスタジアムのタイトルを獲得したことがある。最近では8月のジャパンキックのメインイベントで、ラジャダムナンの元ランカーのダウサコン・モータッサナイと引き分けている。
1R、福田が圧力をかけ、右ローを随所でヒット。馬渡は攻撃が少ないが、終盤に右ミドルのヒットを増やす。まだ均衡状態だ。
2R、福田は序盤から首相撲で捕まえ、右足を高く上げ遠心力をつけつつ膝蹴りを連打し先手を取る。馬渡も左肘を振り回し、危険なムードを漂わせるが、福田はかわして右テンカオや右肘を的確に当てる。すると終盤、コーナーに押し込むと、右肘をクリーンヒットしてダウンを奪う。
3Rも福田が右肘、右膝を当てるが、馬渡も負けじと右肘で応戦すると、福田が左まぶたを切り出血する。すると福田は反撃を狙って勢いを増し、右ボディを当て、組んでの右膝を連打する。
4R、福田の勢いは増し、序盤から再三馬渡を首相撲で捕まえ、膝を何発もヒット。肘も絡め、本場のタイ人を彷彿とさせる動きで馬渡を圧倒する。
5Rも福田が膝を当て続け圧倒。馬渡は膝をもらうと顔をしかめ、消耗が激しくスリップする場面も。それでも右肘を振るって反撃を狙うが、福田は終盤、左の縦肘を当ててまたもダウンを奪取。点差を広げ、タイのトップクラスの技術を存分に見せつけ判定勝ちした。
第4試合 52.16kg契約(スーパーフライ級相当)(つかんでからの攻撃は1回) 3分3R
△HIROYUKI(RIKIX/元新日本バンタム級&フライ級王者)
△花岡 竜(橋本道場/INNOVATIONフライ級王者)
判定1-0 (大成30-29/ノッパデッソーン28-29/北尻29-29)
HIROYUKIは6月に石井に敗れたものの、続く8月のジャパンキックでは石川直樹に右のカーフキックを効かせて3R KO勝ち。花岡はジュニア時代から活躍した高校2年生で、8月には押川大也に判定勝ちし、プロ5戦でINNOVATIONフライ級王座を獲得した。
1R、お互い蹴り主体の攻防で、花岡が左前蹴り、HIROYUKIが右ローを多用する。花岡が積極的に攻撃を出すが、まだHIROYUKIは崩れない。
2Rも蹴り主体の攻防で、お互いバックスピンキックなどの回転系の蹴り技も織り交ぜる。だが終盤、HIROYUKIの右ストレートがクリーンヒットし、花岡の腰が落ちる。ダメージは引きずらなかったが、花岡は印象を悪くする。
3R、HIROYUKIの息がやや荒くなり、花岡はセコンドの指示に従い、左ミドルや左ボディを多用する。だがHIROYUKIは蹴り足をつかんで攻撃を寸断しつつ、終盤には回転系の蹴り技を多用して時間いっぱいまでしのぐ。
記者採点は2RのみHIROYUKIにつけ30-29でHIROYUKI。ジャッジは1者が同様だったが、2者は花岡の1Rと3Rの攻めも評価した模様で、ドローとなった。
第3試合 女子51kg契約(フライ級相当)(つかんでからの攻撃は1回、肘無し) 3分3R
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/WPMF女子世界フライ級王者)
×後藤まき(RIKIX)
判定3-0 (30-29/30-28/30-28)
小林は昨年からRISEに主戦場を移し、9月20日の初代RISE QUEENフライ級王座決定トーナメント準決勝でKOKOZを圧倒。陣内まどかとの決勝を待つ状況だが、約1か月間隔で、小野寺氏の指導する後藤と対戦した。
1R、小林がパンチを振りつつ、右ローを着実に当て続け主導権を握る。2R、後藤が圧力を強め、右フックを当てるが、小林は右ロー以外にも左ジャブ、右フックも随所で当て、ヒット数では上回る。
3R、小林はほとんど蹴りは打たず、最初から最後までパンチを振り回し続ける。空振りも多いが、時折右フックで後藤をのけぞらせて印象を残し、点差を広げ判定勝ちした。
第2試合 55.5kg契約(スーパーバンタム級相当)(つかんでからの攻撃は1回) 3分3R
○加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)
×MASAKING(岡山ジム/INNOVATIONーパーバンタム級8位)
1R 1’28” KO (左フック)
加藤も小野寺氏の弟子で6連勝と好調。MASAKINGは7月のRISE on ABEMAではRISEスーパーフライ級王者の田丸辰に判定負けしたが、175cmの長身を活かした戦い方で田丸を手こずらせた。
1R、お互いミドル、パンチを出すも、まだ慎重な立ち上がりだったが、MASAKINGが左を振ったタイミングで、加藤が左フックをクリーンヒットしダウンを奪取。MASAKINGは立ち上がれず、加藤のKO勝ちとなった。
第1試合 61.5kg契約(ライト級相当)(つかんでからの攻撃は1回) 3分3R
○森井洋介(野良犬道場/元KING OF KNOCK OUTライト級王者、元全日本スーパーフェザー級王者)
×翔貴(岡山ジム/INNOVATIONスーパーフェザー級8位、元ルンピニー日本フェザー級王者)
3R 0’43” KO (左ストレート)
森井は以前のKNOCK OUTのライト級王座決定トーナメントを制覇し王者になったが、その後は小野寺氏が用意した強豪相手に苦戦が続き、最近では昨年11月のINNOVATION岡山ジム主催興行で原口健飛にTKO負けしている。翔貴はその岡山ジム所属選手で、その大会の65kg賞金トーナメントの一回戦ではマサ佐藤にKO負け。大幅に上の階級での試合だったが、今回も実質1階級上の戦いとなる。
1R、お互い右ローの応酬が続くが、終盤に入り、翔貴の右ストレートが炸裂し、森井はダウンする。森井は持ち直し、右ローを返す。
2R、森井は執拗に右ローをヒット。中盤には左ボディも強打し巻き返す。終盤はパンチの打ち合いで、お互い被弾するが、翔貴は鼻血を出し少し苦しそうだ。
すると3R、森井が右ローを効かせた後、パンチの打ち合いの展開で、カウンターで左フックをクリーンヒットしダウンを奪う。翔貴はなんとか立ち上がるもダメージが大きく、森井が左ストレートを軽く当てて再びダウンしたところで、大成レフェリーがストップした。
勝利者インタビューで森井は「ここに戻って来れたのも、応援してくれる人達、居場所を作ってくれた(藤原ジム時代からの先輩の)小林(聡)さんのおかげです」と話し、涙を流した。