RISE 3.26 有明アリーナ(レポ/前半):K-1との対抗戦第2章後半戦はRISE勢が3戦全勝。白鳥大珠、佐々木大蔵に判定勝ち。南原健太、愛鷹亮を1R KO。門口佳佑、新美貴士を手数で圧倒
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2023年3月26日(日)東京・有明アリーナ
レポート&写真:井原芳徳 (※大会後半戦は別記事でお伝えします)
K-1との対抗戦第2章後半戦はRISE勢が3戦全勝。白鳥大珠、佐々木大蔵に判定勝ち
第7試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISEライト級(63kg)1位・元王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝、RIZIN KICK -61kgトーナメント2021優勝)
×佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・ライト級(65kg)&ライト級(62.5kg)王者)
判定3-0 (北尻30-28/秋谷30-28/長瀬30-28)
昨年6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会以来となるK-1とRISEの対抗戦が、3月のK-1、RISEのビッグイベントで3試合ずつ行われた。2週間前の12日のK-1代々木第一競技場大会でのK’FESTAでは、RISE側の安本晴翔が勝利したものの、K-1側の玖村将史と寧仁太[アニンタ]・アリが白星を奪い、RISEは1勝2敗と負け越しており、RISE側としては後半戦のホームで挽回を目指す構図となる。
RISE側の大将に選ばれた白鳥は、THE MATCHではK-1のゴンナパー・ウィラサクレックにKO負けしている。2月の対抗戦発表会見では「K-1に対して借りを返すというか、白鳥大珠はこんなもんじゃないぞというのをK-1に見せつけたいです」と話していた。佐々木は、昨年9月のK-1で大和哲也のK-1王座に挑戦し判定負けして以来の試合となる。その前は10連勝していた佐々木に対し、白鳥が別格の強さを示すことに。
1R、白鳥がサウスポーで構え、右のジャブを突いてプレッシャーをかけつつ、左ローをヒット。中盤からは左ハイにつなげると、佐々木はガードしているが少しひるむ。その後も白鳥が主導権を維持し、左ロー、ハイ、右フック等を度々当てる。佐々木も右ミドルを返すが押され続け、攻撃が少ない。記者採点は白鳥。
2R、佐々木が右ミドル、ローのヒットを1Rよりも増やすが、白鳥が左ミドル、ハイ、右フックを返し続け、手数では上の状態を維持する。記者採点は白鳥やや優位だがイーブン。
3R、後の無い佐々木は前に出てくると、パンチの打ち合いに。ここでもプロボクサー経験もある白鳥が上回り、少しずつダメージを与え、右フックで倒す場面も。プッシング気味だったため豊永レフェリーはスリップと判断するが、白鳥の攻勢を印象づける場面となる。終盤の打ち合いで被弾する場面もあったが、白鳥が的確に当て続けて主導権を維持し終了する。記者採点は白鳥。合計30-28で白鳥。ジャッジ3者も同じ採点で、白鳥が判定勝ちすると共に、この日のK-1との対抗戦を3戦3勝で締めくくった。12日のK-1と合わせればRISE勢の6戦4勝2敗の勝ち越しとなった。
マイクを持った白鳥は「RISEの年1回のビッグイベントに参戦して下さった佐々木大蔵選手、ありがとうございました。対抗戦は自分が最後で、前の2人が勝ってプレッシャーもあったんですけど、無事勝てて良かったです。こうやって対抗戦ができるのも、武尊選手、天心選手という偉大な二人が戦ってくれて残してくれたからです。これからビッグマッチの熱を作れるかは僕らに託されています。僕ら選手は頑張るんでこれからも応援お願いします」とアピールした。
南原健太、愛鷹亮を1R KO。愛鷹は引退を示唆
第6試合 90kg契約 3分3R(延長1R)
○南原健太(極真会館/RISEヘビー級3位、極真会館・真正会共催全日本体重別2022男子軽重量級(90kg)優勝)
×愛鷹 亮(力道場静岡/元Bigbangヘビー級王者)
1R 2’57” KO (左膝蹴り)
南原は昨年12月のRISEとSBの合同大会でSBの坂本優起に3R TKO勝ちし2連勝中。愛鷹は昨年4月のK-1で加藤久輝にKO負けし、ここ3年間で5連敗中だ。
試合は南原が圧倒する内容に。1R、南原が序盤から右のローを的確に当てて主導権を握り、愛鷹をコーナーに下がらせると、右の後ろ上段廻し蹴りを当ててダウンを奪う。その後も南原は右ローを当て続け、愛鷹を追い詰める。終盤のパンチの打ち合いで少し被弾してしまうが、最後は右のヴァレリーキック(足の裏を当てる変則ロー)を連打してから、顔面狙いの左膝蹴りをクリーンヒット。愛鷹を見事1Rで粉砕した。今回の対抗戦6試合で唯一のKO勝ちとなった。
なお、大会後のインタビューで愛鷹は「まだ(試合内容を)思い出せなくて。KO負けしたことは理解しています」「K-1ファンの皆さんに申し訳ないです」と話し、質疑応答を一通り終えた後「10年間、格闘技できて最高に幸せでした」と涙を浮かべながら話して席を後にし、引退を示唆した。そして試合翌日のツイートでは「次の試合で引退します」と記している。
門口佳佑、新美貴士を手数で圧倒
第5試合 フェザー級(57.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○門口佳佑(EX ARES/RISEフェザー級王者)
×新美貴士(名古屋JKファクトリー/元Krushフェザー級王者)
判定3-0 (豊永30-29/長瀬30-28/北尻30-28)
門口は昨年8月に梅井泰成に判定勝ちしRISEフェザー級王者に。12月のRISEとSBの合同大会では、SBルールで山田彪太朗に判定勝ちしている。対する新美は昨年5月に玖村修平に敗れてKrushフェザー級王座を失い、8月のK-1福岡大会のフェザー級世界最強決定トーナメント一回戦でワン・ジュングァンに敗れたが、12月のK-1大阪大会では國枝悠太に判定勝ちしている。
1R、両者サウスポーで構え、門口が序盤から新美のボディに左右のフックを度々当てて主導権を握る。門口は顔面へのパンチ、前蹴り、ローにもつなげる。新美は攻撃を少ししか返せず、口が開きしんどそうだ。
2R、新美が組んで膝を当てる場面もあるが、門口が変わらず前に出てボディへのフック、ミドルを度々ヒット。顔面パンチも絡め、最後まで動きを切らさず圧倒する。
3Rもその流れは変わらず、門口がひたすら前に出てパンチと膝を出し続け主導権を維持。最後はややパワーダウンし荒くなったが、攻め続けて新美の反撃を封じる。記者採点は3Rとも門口で合計30-27で門口。ジャッジ3者は1~2点差で門口を支持し、門口が新美の得意なスタイルで完勝した。ジャッジの採点は30-28はありうるが、30-29は門口の手数への評価が厳しすぎるように感じた。
K-1との対抗戦全体について、RISEの伊藤隆代表は大会後の総括で「前回のK-1に参戦したのと、今回はうちに(K-1勢が)参戦してくれたのとで、導火線の火が切られたのかなと思います。まだ素晴らしい勢いで走っていないと思うんですけど、選手達のモチベーションはかなり上がったと思いますし、女子も盛り上がっていくと思うので、今後はK-1さんと話し合って今後の展開を決めていきたいです」「慣れないルールで参戦してくれたK-1の選手に感謝したいです」とコメントした。
一方、対抗戦をK-1陣営の青コーナー付近で観戦していたK-1の中村拓己プロデューサーは大会直後のツイートで「対抗戦の結果に向き合い、今からまた歩き出します。先のことは分かりませんが、このままじゃ終われないですね」と記した。今回の対抗戦の実施が決まったのは年明けで、6試合は3月12日のK’FESTAの大半のカードの発表後に発表され、K-1側は余った選手から選ばざるをえない状況だった。今後、しっかり時間を設けてメンバーを揃え、RISEルールへの適応も進めば、K-1側が巻き返す可能性は十分あるだろう。
大雅、減量失敗による体調不良で試合中止に
第4試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
―一馬(MONSTAR GYM/RISE 1位・元暫定王者)
―大雅(TRY HARD GYM/RISE 7位、元K-1同級王者、元Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)
中止 (大雅の計量後の体調不良)
大雅の計量後の体調不良を理由に、この一戦の中止が発表されたのは大会開始直前の13時ごろだった。大会終了後の記者会見でRISEの伊藤代表は大雅の体調不良について「計量が終わった時点で体調の不良ということですぐに病院に行きました。(計量の)前日の時点で3kgオーバーで水抜きでも全く落ちなくなり、水を抜くサプリメントを飲んだら非常に落ちてしまい、完全に脱水症状ですよね。内蔵に問題があったようで、リングドクターが危険だと判断してドクターストップになりました」と説明している。一馬については「彼が一番の被害者なので、早いタイミングで試合を組みたいです」と話した。
なお、大雅の所属先のTRY HARD GYMはホームページで欠場の経緯を説明し、大雅が「計量前日、強い嘔吐をした際肺に強い圧力がかかり2箇所破けた」ことで「破けてしまった箇所から空気が漏れ出して胸部の中央にある左右の肺に挟まれた部位(縦隔)に漏れた空気がたまる状態」となり「縦隔気腫(じゅうかくきしゅ)」と診断され、欠場の直接の原因となったことを報告している。
モトヤスック、RISE初戦で憂也に延長判定勝ち
第3試合 ミドル級(70kg) 3分5R(延長1R)
×憂也(魁塾/RISEミドル級6位、元DEEP☆KICK -65kg王者)
○モトヤスック(治政館/WMOインターナショナル・スーパーウェルター級王者、元ジャパンキック・ウェルター級王者)
4R 判定0-3 (小川9-10/長瀬9-10/和田9-10)
3R 判定1-1 (長瀬29-30/和田29-28/小川30-30)
憂也は21年11月にねぎ魔神に勝利し、昨年は3月に洋輔YAMATO、5月にJ、8月に匡志YAMATO、12月にT-98をKOし5連勝と勢いに乗る。
モトヤスックはRISE初参戦。21戦15勝(9KO)5敗1分の21歳。所属団体のジャパンキックボクシング協会のメインイベンターとして活躍し、21年8月に緑川創に判定負け、昨年5月には北野克樹に判定負けしているが、7月には小原俊之に勝利し、以降はタイ人選手に3連勝中だ。タイ人風のリングネームが示すようにこれまで肘有り・首相撲制限無しの通常のキックルール・ムエタイルールで戦ってきた選手で、RISEのようなルールは初挑戦となる。
1R、憂也が終始圧力をかけ、右ロー、左ジャブを当て続け、右フック、左ハイも絡め主導権。モトヤスックも少しパンチを返すが守勢が続く。記者採点は憂也。
2R、モトヤスックも前に出て右ミドルを当てるようになるが、中盤以降は憂也が圧をかけて手数多く攻める構図に逆戻りする。終盤のパンチの打ち合いでは憂也の右ストレートで少しモトヤスックがひるむ場面も。記者採点は憂也。
3R、モトヤスックが右ミドルを当てつつ、右ストレートも効かせ、ようやく好印象を残す場面もあったが、トータルでは憂也が左ミドル、右ボディ、右フック等の手数で上回った状態を維持し終える。記者採点はイーブン。合計30-28で憂也。ジャッジは三者三様となり延長へ。長瀬・小川ジャッジは憂也の手数はあまり評価しなかったようだ。近年のRISEはムエタイのように、手数よりも技術的な的確さを評価する傾向が少しずつ強まっている感があったが、今大会はよりその傾向が濃くなっていた。
延長R、モトヤスックのパンチをもらうと、憂也はマウスピースを吐き出ししんどそうだ。それでも憂也は中盤にパンチを返し手数を上げるが、モトヤスックは左ボディ、左フックの連打で憂也を少しひるませる。終了間際にもモトヤスックが左フックでひるませ終了する。記者採点はモトヤスック。ジャッジ3者もモトヤスックにつけ、モトヤスックの勝利となった。
第2試合 68kg契約 3分3R(延長1R)
○KENTA(HAYATO GYM/RISEライト級(63kg)7位、DEEP☆KICK -63kg王者)
×安彦考真(Executive Fight 武士道)
判定3-0 (和田30-28/秋谷30-28/小川30-27)
KENTAは昨年7月、木村“ケルベロス”颯太に判定勝ちし、連勝を4に伸ばしたが、10月の大田大会では小川翔に判定負け。12月のDEEP☆KICKでは足利也真登に判定勝ちしDEEP☆KICK -63kg王座を防衛している。
安彦は元サッカーJ3リーグで2年間13試合に出場したことがある。昨年2月のRISEでプロキックボクサーデビューし、元プロ野球選手の相内誠にKO勝ち。6月のRISEでは49歳でプロデビュー戦のYO UEDAにKO勝ちした。10月にはスイスで試合をし引き分けている。プロ4戦目は実質2階級下のKENTAとの試合に。RISEのプレスリリースでは「KENTAがプロの洗礼を浴びせるのか?」と見所紹介されていた。
1R、KENTAが回り続ける安彦に圧をかけ、右ローを随所でヒットし主導権。安彦は攻撃が少なく、時折詰めてパンチを出すが振りが大きい。2Rも基本的に同様の構図で、KENTAが右のロー、フックを随所で当て主導権を維持する。3RもKENTAが前に出てパンチと顔面とボディに当て続け、サンドバッグ状態にして完勝した。
山口裕人、OFGマッチで豪快KO勝ち
第1試合 オープンフィンガーグローブマッチ スーパーライト級(65kg) 3分3R
○山口裕人(道化倶楽部/WPMF世界スーパーライト級暫定王者、元WBCムエタイ日本&INNOVATION同級王者、元DEEP☆KICK -63kg&-65kg王者)
×タリソン・フェレイラ(ブラジル/チャンピオンズ・ファクトリー)
2R 2’32” KO (右バックハンドブロー)
山口兄弟の兄・裕人は昨年8月の大阪大会でのオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチでタップロンに3R KO負けして以来の試合で、今回もOFG戦で危険な相手を迎える。フェレイラは過去にRISEでスアキムにKO負けしたが2度ダウンを奪って追い詰め、大雅、森本“狂犬”義久に勝利している。
1Rから激しいダウンの応酬に。フェレイラが左フック、左ハイを的確に当て続け、左フックでダウンを先取するが、山口が右フックで2つダウンを奪い返し、フェレイラがその後左フックでダウンを奪い返す。
2R、フェレイラが右フックでダウンを奪うと、パンチと膝で攻め続ける。だが終盤、フェレイラが右のバックハンドブローを空振りすると、山口がお返しとばかり右のバックハンドを出すと、これがクリーンヒット。フェレイラがはダウンして動けず、山口の逆転KO勝ちとなった。
RISEの伊藤代表は大会後の総括で「山口裕人、65kgでオープンフィンガー、タイトルマッチをビッグマッチ(=RISE WORLD SERIES)で組みたいと思っています。タリソンにも今後チャンスを与えたいです」と話している。
オープニングファイト2 バンタム級(55kg) 3分3R
×京介(TOP DIAMOND/RISEスーパーフライ級(53kg)7位)
○彪司[ひゅうが](TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級(53kg)10位、Stand Up King of Rookie 2021 -53kg級優勝)
判定0-2 (29-30/29-30/29-30)
オープニングファイト1 女子56kg契約 3分3R
○モンタナ・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
×きたりこ(FASCINATE FIGHT TEAM)
判定2-0 (29-29/29-28/29-28)
(※大会後半戦は別記事でお伝えします)