RISE 4.21 後楽園ホール(レポ):中村寛、直樹との一進一退の死闘制しライト級王者に「母ちゃん、生んでくれてありがとう」。大﨑一貴、4R KO勝ちでISKA世界王座獲得。平岡琴、OFGマッチ2戦目で初勝利
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
大阪梅田中津 キックボクシング ジョウジム
キックボクシングで楽しく運動!燃焼!ストレス発散!初心者でも経験者でもしっかり指導。見学・体験大歓迎!
RISE 167
2023年4月21日(金)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
中村寛、直樹との一進一退の死闘制しライト級王者に「母ちゃん、生んでくれてありがとう」
第9試合 メインイベント RISEライト級(63kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×直樹(BRING IT ONパラエストラAKK/王者、元スック・ワンキントーン・スーパーライト級王者)※初防衛戦
○中村 寛[かん](BK GYM/2位、元DEEP☆KICK -60kg王者)
判定0-2 (豊永48-49/北尻48-48/大沢48-49)
※中村が王者に
直樹は21年1月の第7代ライト級王座決定戦で秀樹に判定勝ちし王者になる。同年9月の白鳥大珠との再戦で白鳥を返り討ちにし、年末のジャルンチャイ戦でもKO勝ちした。だが昨年は4月の1階級上の王者・山田洸誓にKO負けすると、8月のGLORYドイツ大会ではデニス・ウォーシックに判定負けし、10月のRISE大田大会ではチャド・コリンズに2R KO負け。過酷な戦いで3連敗を喫しているが、同階級の対日本人相手では力の差を示したいところ。
中村は昨年4月、北井智大をKOし、6月のTHE MATCHではK-1代表のレオナ・ペタスに判定勝ち。10月のチャンヒョン戦ではKO負けを喫したものの、12月の後楽園大会では伊藤澄哉をKOした。その試合後のマイクでは「1年以上、直樹が逃げてるんで、次、タイトルマッチお願いします」とアピール。バックステージでも「あの選手自体気に食わないんで倒したいです」「ベルト懸けへんで世界に挑戦させてもらって負けてるでしょ。滅茶苦茶です」と直樹を批判していた。対戦決定後の公開練習で直樹も「RISEという日本一の団体のチャンピオンになる品格じゃないし、一度でも計量オーバーしている人間はチャンピオンになるべきではない」と中村を批判した。
試合はお互いの心技体の総力戦に。1R、オーソドックスの直樹に対し、サウスポーの中村はガードを下げて距離を取り、細かくフェイントを絡めながら、左のインローを随所で当てる。お互い慎重な状態が続き、終盤には直樹も右のハイ、ミドル、ローのヒットを増やして終える。記者採点はイーブン。豊永氏と大沢氏はイーブン、北尻氏は中村を支持する。
2R、直樹も右ローを当てるが、中村が右の前足でのアウトローも絡め、左のインローも随所で強打すると、直樹は顔をしかめるように。だが直樹は崩れずなんとか耐える。記者採点は中村。ジャッジは三者三様で、豊永氏はイーブン、北尻氏は直樹、大沢氏は中村につける。
3R、直樹は中村にローを打たせないように距離を詰めると、終盤にはパンチの連打をまとめやや優位に。中村は攻撃が返せない。記者採点は直樹。ジャッジ3名とも直樹につける。
4R、中村は序盤に左ハイを当てるが、その後、組んで膝を連打してしまい秋谷レフェリーから注意を受ける、中盤から接近しての打ち合いが増え一進一退の攻防になり盛り上がる。その中で中村がパンチだけでなくボディへの左膝蹴りも絡めやや巧く戦っている。記者採点は中村。ジャッジは豊永氏は中村、北尻氏と大沢氏はイーブンとする。
5R、中村は左膝、左フックを強打し、直樹を追い詰める。直樹もパンチの打ち合いで返し一進一退に。どちらも激しく消耗しているが力を振り絞って巻き返す一歩も譲らない展開となり、場内は大歓声に包まれる。だが最後は中村が左フックと膝でやや押し気味で終える。記者採点は中村。合計47-49で中村。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者が48-49で中村を支持し、中村の判定勝ちとなった。
ベルトを肩にかけマイクを持った中村は「1RでKOしてカッコつけたったんですけど、ホンマに尊敬している人で、直樹選手の応援に来てくれたファンの皆様、直樹選手に大きな拍手をお願いします。チャンピオン受け継いだんで、チャンピオンありがとうございました」と直樹を称えた。そして「蹴りで崩した理由は、僕は足が外に向いて産まれた障害者やったんですけど、母親が必死こいてリハビリして、健常者と同じになれました。ABEMAで見ている母ちゃん、生んでくれてありがとうございました」と明かし、「やりたいことを毎日やり続けたらチャンピオンなれると証明しました。こっから日本中の全員の期待背負ってもっと強くなります」とアピールした。
◆バックステージでの中村の談話
技術うんぬんじゃなく根性で取ったんで。これまで我流でやったんで、これを機にもっと強くなる環境を作りたいです。負けたら死のうと思ってて。世界取ってとかトップになってとか、口やったら何でも言えるんで、本気で命を懸けるマインドを作っていました。どんな泥仕合でもいいから勝とうと。負けたらホテルで死のうと思っていました。4R目は押し切って、でもあと1Rあるんか、と思ったけど、お前死んでもいいんか、と自分に言い聞かせて、前に出ました。ほんと気持ちだけですね。延長なったら負けてました。
(足の障害は初めて公言した?)言う機会が無かっただけです。応援してくれた障害者施設の子供たちの気持ちも背負ってここまでやってきました。入れ墨入れて親不孝者って感じでしたけど、勝てて良かったです。
大﨑一貴、4R KO勝ちでISKA世界王座獲得
第8試合 セミファイナル ISKAオリエンタルルール世界フライ級(53.5kg)王者決定戦 3分5R
○大﨑一貴(OISHI GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)王者、元WMC日本&LPNJフライ級王者)
×ニコラス・リヴァース[Nicolas Rivas](フランス/ファイトセンターワン/RING OUT -54kg級王者)
4R 0’28” KO (左後ろ上段廻し蹴り)
※肘無し、つかんでからの攻撃の連打も可能
ISKAのタイトルマッチは90年代の佐竹雅昭、ゼロ年代の魔裟斗・小比類巻貴之、近年の那須川天心の試合でも知られるが、最近では3月26日のRISE ELDORADOの原口健飛の試合、武尊のフランスでの6月24日(現地時間)の試合と続き、増加傾向にある。
大﨑兄弟の兄・一貴は20年9月に田丸辰を下しスーパーフライ級王者に。その後も川上叶、一航、石井一成、田渕神太、サンチャイを下し、昨年10月の大田大会では風音を返り討ちにし初防衛。1月の後楽園大会ではムァンコーンを2R KO、3月のRISE ELDORADOではハビエル・セシーリオを1R KOし、17連勝(RISE 11連勝)とし、マイクを持つと「ダメージが全然無いんで(RISEの)伊藤代表、すぐにでも世界戦お願いします」とアピールしていた。RISEでは7月2日のエディオンアリーナ大阪大会から優勝賞金1000万円の世界54kgトーナメントを開催するため、今回はその前哨戦的な位置づけにもなる。
王座を争うリヴァースは初来日。キック17戦13勝(1KO)4敗の25歳。昨年6月にはRING OUT-54kg級のタイトルを獲得している。
1R、開始すぐからリヴァースは前に詰めて組んでパンチと膝を連打する。だが一貴はしっかりブロックして耐えると、中盤から左ボディを度々ヒットし、右ローを絡める。リヴァースは時折顔をしかめる。記者採点は一貴。ジャッジは秋谷氏と豊永氏は一貴につけるが、北尻氏はリヴァースを支持する。
2R、リヴァースも接近戦で左ボディを度々強打し手数を上げる、一貴は左ボディを当てつつ、右ローも絡める。一貴の的確さが上回るが、リヴァースが手数ではやや上回る。記者採点はリヴァース。ジャッジ3者とも一貴を支持する。
3R、リヴァースは雄たけびを上げながら左ボディ、右ローを度々当てる。右膝蹴りがローブローとなり一時中断する。再開後、激しい打ち合いが続き、リヴァースもタフさを印象付けるが、一貴は左ボディを当てつつ、首相撲からの膝も増やし、やや有効打で上回る。記者採点は一貴。
すると4R、フィニッシュは突然訪れる。一貴が左の後ろ上段廻し蹴りをクリーンヒット。リヴァースはダウンすると立ち上がれず、一貴のKO勝ちとなった。
マイクを持った一貴は「本当は早く倒すつもりだったんですけど、世界のベルトは簡単ではないと思い知らされました。ニコラス選手強くて、ずっと僕の目を見ていたのが印象的でした。最後、狙っていた技とはちょっと違うんですけど、練習していた技でKOできて、僕の格闘家人生でも大きいベルトになると思います。キックボクシングを始めて絶対世界チャンピオンになると決めてやってきたので本当にうれしいです。サポートしてくれた人の応援が力になっています。みんなで力を合わせてやっているんで、OISHI GYMに世界のベルトを持って来れてうれしいです。次、54kgトーナメントもありますし、RISEの世界のベルトも取って、本当の意味で世界一になれるようこれからも頑張りますので応援お願いします」と話した。
第7試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○KENTA(HAYATO GYM/RISEライト級(62.5kg)7位、DEEP☆KICK -63kg王者)
×山畑雄摩(心将塾/RISEスーパーライト級5位、元DEEP☆KICK -63kg王者)
判定3-0 (豊永30-29/秋谷30-29/佐藤30-29)
KENTAは3月26日のRISE ELDORADOに急きょ出場し、68kgまで体重を上げて安彦考真と対戦し判定勝ちし、1か月間隔で出場する。山畑は昨年12月のホーストカップ名古屋大会で健太に判定負けして以来の試合。KENTAとは21年9月のDEEP☆KICKで対戦しKENTAが判定勝ちしている。
1R、KENTAはオーソドックスで前に出るが、サウスポーの山畑はステップやジャブや前蹴り等で入らせず、随所で左右のパンチを当てる。山畑が上手く戦っているが、まだお互いヒットは少ない。2RもKENTAが前に出続けるが、なかなか捕まえきれず。だが山畑も攻撃が乏しい。記者採点はここまでイーブン。
3R、KENTAが前に出続け、パンチや右ミドルを増やす。ヒットは少ないが積極性を印象付ける。山畑も終盤はようやく前に出るようになり、お互いパンチの手数を上げるが有効打は乏しいまま終わる。記者採点はKENTAで合計30-29でKENTA。ジャッジは3者とも積極性で勝ったKENTAを支持し、KENATAの判定勝ちとなった。
平岡琴、OFGマッチ2戦目で初勝利
第6試合 オープンフィンガーグローブマッチ 女子46kg契約 3分3R
○平岡 琴(TRY HARD GYM/RISE QUEENアトム級(46kg)2位)
×菊地美乃里(GONG-GYM坂戸)
判定3-0 (和田30-28/秋谷30-28/大沢30-28)
平岡は昨年12月のRISE女子初のオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチで小林愛理奈と対戦し、3Rにダウンを奪われ判定負けし、今回がOFGマッチ2回目。菊地はOFGマッチは初。平岡同様に空手がベースで21年9月にキックボクシングでプロデビューし7戦2勝4敗1分。昨年12月のGLEAT MMA旗揚げ戦でのキックルールの試合でプロレスラーの福田茉耶に判定勝ちしている。
1R、菊地は小柄ながら距離を詰め序盤から右フックを当てるが、平岡は右のミドルやカーフを当てつつ、右のバックハンドやフックを返し、若干ながら優位に進める。記者採点はイーブン。
すると2R、平岡が右フック、アッパー、ロー等のヒットをじわじわ増やし、中盤にはこれらと膝や左ボディも絡めたラッシュで菊地を追い詰める。記者採点は平岡。
3R、平岡が連打をまとめる場面は乏しいものの、手数で上回り続ける。記者採点は平岡。合計30-28で平岡。ジャッジ3者も同じ採点で、平岡が判定勝ちした。
第5試合 スーパーフェザー級(60kg)3分3R(延長1R)
×小野幹晃[まさき](IGGY HANDS GYM/RISEスーパーフェザー級4位)
○澤谷大樹(HAWK GYM/RISEフェザー級4位、DEEP☆KICK -60kg王者、CKC 2022 -57.5kgトーナメント優勝)
4R 判定0-3 (大沢9-10/北尻9-10/和田9-10)
3R 判定0-0 (大沢29-29/北尻29-29/和田29-29)
1R、小野はオーソドックス、澤谷はサウスポー。両者手数が少ないが、終盤に澤谷の左フックをもらった小野は鼻血を出す。2Rもなかなかお互い手数が伸びず。3R、どちらも攻撃を増やすが、有効打が乏しいまま終了する。記者採点は30-30。ジャッジ3者ともポイントを両者に振り29-29で延長へ。
延長R、クリンチが多く、お互い攻めあぐねるが、中盤過ぎ、澤谷が小野をコーナーに詰め、ボディへ左膝を強打して苦しめる場面を作り、若干ながら好印象を残し、ジャッジ3者から支持され判定勝ちした。記者採点はイーブン。
第4試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
△戸井田大輝(戸井田ジム/RISEフェザー級11位、MA日本スーパーバンタム王者)
△濱田祐生(フリー/DEEP☆KICK −57.5kg 3位)
4R 判定1-1 (大沢9-10/豊永10-10/北尻10-9)
3R 判定1-0 (大沢29-28/豊永29-29/北尻28-28)
濱田が前日公式計量700gオーバーし、ルールでは当日再計量となるが、RISEからの発表によると、戸井田陣営より「引き続き減量を行って体調不良により試合が不成立となるより、現時点のまま再計量を行わず何としてでも試合を成立したいとの強い要望がありました」といい、当日計量を行わず、減点1+グローブハンデ(戸井田6オンス、濱田8オンス)のペナルティで試合が実施された。戸井田陣営の求めた計量の早期切り上げは、国内外の他のプロモーションでは一般的なため、RISEで採用している当日再計量のルール自体の見直しも今後は必要だろう。
戸井田のセコンドには木村“フィリップ”ミノル、良星、濱田のセコンドにはTEAM TEPPENの那須川弘幸会長、白鳥大珠らがつく。
1R、戸井田が終盤に圧を強め左右のフックのヒットを増やすが、濱田も回って距離を取りつつ右膝、右ストレートを返し、はっきりした差はつけさせない。
2R、戸井田が変わらず前に出てパンチを当てるがが、濱田は右膝、右ハイを返し、ほぼ五分を維持する。
3Rもなかなか均衡が崩れなかったが、濱田がしつこく右膝を当て続け、最後は右ハイも絡め戸井田を追い詰めて終了する。濱田の減点分も合わせ、ジャッジは1者が戸井田を支持したが、2者はイーブンとし延長へ。
延長R、戸井田は変わらず前に出て、濱田は回り続けるが、お互い攻撃が少ない。最後、戸井田のパンチがやや目立つ形で終了。意外にもジャッジ2者がポイントを両者に振ったが、1者は順当にイーブンとしドローとなった。
第3試合 61.5kg契約 3分3R
×藤橋 光(フリー)
○小出龍哉(TEAM TEPPEN/新空手K-2 GRAND PRIX 2018中量級準優勝)
判定0-3 (豊永29-30/北尻28-30/佐藤28-30)
第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×叶和[とわ](チームドラゴン/JAPAN CUP 2022 -60kgトーナメント優勝)
○簗 丈一(TEAM Aimhigh/KNOCK OUTアマチュア アダルト60kgトーナメント優勝)
1R 2’26” KO (パンチ連打)
第1試合 オープンフィンガーグローブマッチ 53kg契約 3分3R
×鳩[あつむ](TSK Japan/WMCインターコンチネンタル・バンタム級王者、元WMC日本・Bigbang同級王者、元ムエタイオープン・スーパーバンタム級王者、元蹴拳スーパーフライ級王者)
○Novo(TARGET SHIBUYA)
1R 2’43” KO (右ストレート)
オープニングファイト RISEチャレンジマッチ 女子フライ級(52kg) 3分2R
○宮原華音[かのん](TARGET SHIBUYA/FIRST ORDER AGENT)
×金子久美子(NEXT LEVEL渋谷)
1R 0’39” KO (右ストレート)