ホーストカップ 12.18 名古屋国際会議場(レポ+動画):小川翔、元ラジャ2階級王者に判定勝ち。小原俊之、ジャイロ楠、翔磨が王座獲得。16歳の松田龍聖、3.5京都で滉大の王座挑戦へ
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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アーネストホーストジムJAPAN主催「グループエスカラデーPRESENTS HOOST CUP KINGS NAGOYA 12」
2022年12月18日(日)愛知・名古屋国際会議場 イベントホール
記事提供:アーネストホーストジムJAPAN
※ルールは肘無し・つかんでからの攻撃は1回のキックボクシング
小川翔、元ラジャ2階級王者に判定勝ち
第13試合 62kg契約 3分3R(延長1R)
○小川 翔(OISHI GYM/HOOST CUP日本スーパーライト級(63kg)王者、RISEライト級(63kg)5位、元WBCムエタイ日本統一&REBELS-MUAYTHAIライト級王者)
×シリモンコン・PKセンチャイジム(タイ/TYTムエタイジム/元ラジャダムナン認定スーパーバンタム級&フェザー級王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
以前は頑丈さが一番の売りで、大一番で競り負けすることも多かった小川翔。しかしながら今年1年で大きく成長したようだ。この日もラジャで2階級を制覇したシリモンコン・PKセンチャイジムを相手に1Rから切れ味のあるフックとローを武器にプレッシャーをかけていく。小川のインローでシリモンコンの脚が泳ぐ場面も。セコンドの指示を忠実に守りながら動いている姿も好感がもてた。
2R、タイ人らしく左ミドルで試合を立て直そうとするシリモンコンだったが、小川は即座にローを返して試合の主導権を渡さない。見ている者にも、シリモンコンにはダメージがどんどん蓄積されていくことがわかった。そうした最中、小川はパワフルなパンチの連打でついにダウンを奪う。立ち上がってきたタイの古豪に小川はとどめはどかりにロープを詰め、連打の嵐。シリモンコンはクリンチで何とか凌ぐが、もう虫の息だ。
続く3R、小川はセコンドからの「翔、インロー効いた」という指示をそのまま攻撃 に活かすかのようにインローで追い込む。ロープ際で放つアッパーも効果的に映った。このラウンドも小川。結局、3-0の判定で小川は地元名古屋で2022年の最終戦を白星で飾るとともに、今年度を5戦4勝1分と負けなしで乗り切った。結婚して何かが変わったのか。それとも後輩の大﨑兄弟の活躍に刺激を受けているのか。2023年の小川翔に注目せざるをえない。
第12試合 LEGEND DNA FIGHT 85kg契約 3分3R(延長1R)
×サンティーノ・ヴェルビーク[Santino Verbeek](オランダ/ソクドージム/元WFL 80kg王者)
○ヴィニシウス・ディオニツィオ[Vinicius Dinizio](ブラジル/マレーガ・タイ/FIGHT DRAGON 80kg王者)
判定2-0 (29-29/29-28/30-29)
アーネスト・ホーストの指導を受けるサンティーノ・ベルウイークが4年ぶりにホーストカップに降臨。日本とブラジルを行き来しながら選手を育成するダニロ・ザノリニが母国ブラジルで開催するファイトドラゴンの85kg級王者・ヴィニシウス・ディオニツィオと激突した。
1R、攻勢に出たのはサンティーノの方だった。遠い間合いからプッシュして左ストレート。さらに右ボディフックを決め、ブラジリアンの身体を一瞬泳がせる。
しかし、2Rになると、ディオニシィオはワンツーやボディブローでサンティーノを攻略。試合の主導権を奪い返す。
続く3R、ディオニツィオは左右のボディフックでさらに追い打ちをかけ、サンティーノを窮地に追い込む。とどめは右ストレートでグラつかせた場面だったか。判定は2-0でディオニツィオ。弟子の勝利が確定すると、セコンドに就いていたダニロは大喜びだ。サンティーノのセコンドだったホーストも潔く敗北を認め、相手陣営に拍手を送っていた。見ていて気持ちのいい、スポーツマンシップに則った一戦だった。
第11試合 EXルール(肘有り・首相撲制限無し) 61kg契約 3分3R(延長1R)
×HIRO YAMATO(大和ジム/WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級王者)
○ワンチャルーム・スペチアーレジム(タイ/OISHI GYM/元タイ3ch・7ch王者)
3R 1’31” TKO (レフェリーストップ:右ローキック)
今年11月、対戦予定だった山浦俊一の体調不良により、不戦勝でWBCムエタイ統一スーパーフェザー級王座とS-1JAPANジュニアライト級王座を獲得。NJKF王座と合わせ、いきなり3冠王となったHIROYAMTOが打倒ムエタイに挑んだ。
ワンチャルーム・スペチアーレジムはタイではテレビマッチで人気の7チャンネルと3チャンネルで王者になっている実力派。案の定、1R開始早々、ムエタイ流の鮮やかなこかしでスリップダウンを奪うと、一気に試合のペースを握る。その直後に放った右ハイもスリップとは見なされたが、明らかに効いているようにみえた。それでもHIROは勝負を諦めない。蹴り足をとって突っ込んだり、右ストレートで必死にくらいつく。
そんなHIROに対して、ワンチャルームはヒジ打ちをクリーンヒットし、相手が背中を向けたスキに右ハイを決め先制のダウンを奪う。立ち上がると、HIROは左目尻をカットしていた。早くも大流血を喫した3冠王は「やるぞ、俺は」と大声で叫びながらドクターチェックを受ける。
試合が続行されると、HIROは気持ちで反撃を試みようとしたが、体勢を崩したところで顔面にサッカーボールキック気味のローで蹴り上げられたところでレフェリーは試合をストップした。3R1分31秒、ワンチャルームのTKO勝ちだ。しかしながら、観客の心に何かを残したHIROのガッツも光った一戦だった。
小原俊之、悲願のタイトル奪取
第10試合 HOOST CUP日本EXミドル級(70kg)タイトルマッチ(肘有り・首相撲制限無しルール) 3分5R
×チューチャイ・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/王者)
○小原俊之(キング・ムエ/挑戦者)
1R 2’48” TKO (ドクターストップ:肘打ちによる左目尻のカット)
※小原が王者に
昨年、チューチャイと小原俊之が初対決したときには延長戦の末、タイのベテランムエタイ戦士が2-1で粘る小原を振り切った。それだけに今回も「チューチャイ有利」という声が大きかったが、前日計量の時点で異変が起きた。なんとチューチャイは2.7kgもオーバーと減量に失敗。結局、試合は小原が勝ったときのみ王者として認定され、チューチャイが勝った場合には公式記録はノーコンテストになると発表された。さらに小原には2オンスのグローブハンデが与えられ、試合開始の時点でチューチャイには減点2が課せられた。
こうなると小原は初戴冠の絶好のチャンス。案の定、試合が始まると左ローを連打して、明らかに調整ミスのチューチャイのバランスを崩す。さらに小原はインパクトの強い左ローを放ち、試合の流れをたぐり寄せる。チャーチャイは左フックをヒットさせるが、組みにいくと小原がヒジ打ちで相手の左目尻をカット。ドクターチェックの末、試合続行不可能と見なされ、1R2分48分、小原のTKO勝ちとなった。
試合後、マイクを握った小原は「やっと獲れました。今まで4~5回タイトルマッチをやらせてもらったけど、全て負けていた」と打ち明けた。「地元なので、どうしても獲りたかった。年末は子どもとしっかり遊んで恩返ししたい」と話した。よきパパとして、新たなチャンピオンロードを歩めるか。
ジャイロ楠、48歳でベルト獲得
第9試合 HOOST CUP日本ヘビー級王座決定戦 3分5R(延長1R)
○ジャイロ楠(ブラジル/チーム・ジャイロ/元J-NETWORKヘビー級王者)
×マウンテンRYUGO(TenCloverGym/シュートボクシング日本ヘビー級2位、S-BATTLEヘビー級王者)
1R 1’50” TKO (3ダウン:右フック)
※ジャイロが王者に
内田雄大の王座返上によって実現したジャイロ楠とマウンテンRYOGOのヘビー級王座決定戦は110秒でケリがついた。両者は2018年3月に静岡キックで初対決。このときはジャイロが2度ダウンを奪った末にKO勝ちを収めている。今回はRYOGOも綿密なジャイロ対策を立ててきたと思われたが、去年からタイトルマッチを望んでいたジャイロの闘争本能の方が遥かに上回っていた。
まずはジャイロが連打からの左フックで先制のダウンを奪う。2度めのダウンをとったのも左フックだった。とどめは右フック。完膚なきまでに倒されたRYOGOの姿を見て、リングサイドの観客は「すごいぞ、これは」と驚きの声をあげた。
チャンピオンベルトを腰に巻こうとしたら、ジャイロのウエストが太すぎて無理だったのはご愛嬌。新チャンピオンは「このベルトを自分が巻くことをトーマスはずっと楽しみにしていた。今日も僕のそばにいてくれたと思う。このベルトはトーマスのおかげで獲れました」と、先日不慮の事故死を遂げた親友に熱いメッセージを送った。48歳になってもやる気満々のベテランは、ホーストカップの門番となるか。
翔磨、55kg 2冠に
第8試合 HOOST CUP日本バンタム級(55kg)王座決定戦 3分5R(延長1R)
×國本真義(MEIBUKAI/元WMCインターコンチネンタル・バンタム級王者)
○翔磨(多田ジム/DEEP☆KICK -55kg王者)
判定0-2 (47-49/48-48/47-49)
※翔磨が王者に
前王者の鈴木真彦の王座返上によって実現した王座決定戦。
1R、ポーカーフェースの翔磨に対して、國本はときおりニヤリと笑い余裕を見せる。そして下がりながら攻撃しようとする翔磨に対して、國本は「来いよ」と挑発する。
國本がやや優勢という流れの中で迎えた2R、國本が左フックを浴びせると翔磨のアゴが上がる。徐々にベテランの國本が試合の流れを握るのかという流れの中、翔磨は強烈な左をヒットさせ、試合の流れを引っくり返す先制のダウンを奪った。
あとがない國本は3Rになると、どんどん距離を詰めていく。翔磨も返していくが、國本と比べると如何せん手数が少ない。
続く4Rも試合は國本のペース。セコンドからの「ゴリゴリ行け」という指示通り、右ローを起点に翔磨を追い詰める。
しかしながら5Rになると、翔磨は復調しカウンターの右のヒザ蹴りを國本のボディに突き刺していく。さらに左ミドルで追撃をかけると、國本は効いた素振りを見せ後退してしまう。この攻防で勝負あり。判定は2-0で翔磨に凱歌があがった。
チャンピオンベルトを巻いた翔磨は「5Rはめっちゃしんどかった」と熱戦を振り返り「試合前はオヤジがダッシュに付き合ってくれた。ジムにいったら、いろいろな人がミットなどの追い込みに付き合ってくれた。自分だけで獲れたベルトではない」と感謝の言葉を述べた。DEEP☆KICKに続き、2本目のベルトを巻いた翔磨。今後は鈴木真彦の後を追うように、他団体のベルトも狙う。
第7試合 LEGEND DNA FIGHT 75kg契約 3分3R(延長1R)
×ハフィド・アブデル(オランダ/チーム・ピーター)
○イゴール・シウバ(ブラジル/ブラジリアンタイ)
1R 0’44” TKO (レフェリーストップ:右ハイキック)
ピーター・アーツの強力なプッシュでハフィド・アブデルがベルギーから来日。今夏、Krushで一足早く日本デビューを果たしたイゴール・シウバと激突した。試合開始早々、いきなり距離を詰めてきたイゴールに対して、ハフィドは冷静にワンツーを返していく。続けてローを放った刹那、イゴールの右ハイキックがクリーンヒット。失神しながら倒れ込んだハフィドの両足は硬直しながらピクピクと震えていた。戦慄のKOシーン。ブラジリアン、強し。今大会のベストKOともいえる一戦だった。
第6試合 スーパーライト級 3分3R(延長1R)
○健太(E.S.G/元WBCムエタイ日本ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
×山畑雄磨(心将塾/NJKFライト級4位、RISEライト級(63kg)6位、元DEEP☆KICK 63kg王者)
判定2-0 (30-29/30-28/29-29)
元WBCムエタイ日本王者でONEのリングにも上がった健太がホーストカップに久々に登場し、元DEEP☆KICK-63kg級王者の山畑雄摩と対戦した。
元王者同士の対戦らしく、1Rは探り合いからスタートしたが、健太がボディストレートで相手のスタミナを削っていく。
2Rになると試合は大きく動いた。手数を増やしてきた健太に対して、山畑はカウンターの右のヒザ蹴りを一閃。ラウンド終盤にはワンツーをヒットさせ、健太を一瞬グラつかせる。
続く3R、健太は圧力を強め、右ボディフックの連打で反撃する。そして2分半過ぎには右フックで山畑をグラつかせた。判定は2-0で健太。延長戦に突入してもおかしくないデットヒートを制した。
16歳の松田龍聖、3.5京都で滉大の王座挑戦へ
第5試合 53kg契約 3分3R
×タナデー・ウォーワンチャイ(タイ/キング・ムエ/元ルンピニー認定フライ級1位、元プロムエタイ協会同級1位)
○松田龍聖[りゅうき](大原道場)
2R 2’56” TKO (レフェリーストップ:右フック)
まだ16歳ながらデビュー以来6戦全勝の松田がタナデー・ウォーワンチャイと対戦した (※松田は試合翌日の19日で17歳になった)。タナデーは元ルンピニーフライ級1位の肩書を持つタイ人で、ムエタイスーパーファイト推薦の選手だ。今年4月には國本真義に勝利し、9月にはMASA BRAVERYにも勝利している。
アマチュア時代から活躍するスーパールーキーも、さすがに苦戦が予想された。しかしながらいざ試合開始のゴングが鳴っても、松田からはムエタイの強豪と対戦するというプレッシャーは微塵も感じられない。
1Rから左フックやローキックでどんどんプレスを強めていく。タナデーも右フックやローを返していくが、試合の主導権を握られている感は否めない。続く2R、松田は立て続けにこのタイ人からスリップダウンを奪う。その後はボディフックで追撃し、タナデーをロープ際まで追い込み痛烈な左を浴びせる。とどめの右フックをもらうと、タナデーは切り倒された大木のようにキャンパスに倒れ込んだ。
これで松田は7戦7勝と無敗レコードを更新した。試合後、リングインしたホーストカップの土居龍晴代表から「来年3月5日の京都大会で滉大選手が保持するHOOST CUPスーパーフライ級王座に挑戦しませんか?」と打診されると、龍聖は「もちろんやらせてください」と即答した。2023年は西の龍聖にも注目だ。
大会中には第4代HOOST CUP日本ライト級王者・平塚大士(チームドラゴン)の引退セレモニーも行われた。右写真左はチームドラゴンの前田憲作代表。
第4試合 LEGEND DNA FIGHT セミプロ 85kg契約 2分3R
○マルシアーノ・アーツ(オランダ/チーム・ピーター)
×藤井裕之介(士心館)
判定3-0 (30-29/30-29/30-29)
第3試合 63kg契約3分3R
×RYO(ハーデスワークアウトジム)
○櫻井祐斗(RICH)
3R 1’22” 反則
第2試合 68.5kg契約 3分3R
○悠YAMATO(大和ジム)
×吉田理玖(朋武館)
判定3-0 (29-28/29-28/30-27)
第1試合 58kg契約 3分3R
○吉村凌仁郎(フリー)
×橋本楓汰(BFS SEED)
判定3-0(30-29/30-29/30-29)
【オープニングファイト】
第7試合 EX特別ルール(肘無し・首相撲制限無し) 52kg契約 3分3R
×羽田翔太(キックスターズジャパン)
○西田光汰(西田ジム)
判定0-3 (28-30/27-30/28-29)
第6試合 61kg契約 3分3R
×中野龍一(朋武館)
○伊藤勇大(OISHI GYM)
判定0-3 (26-30/26-30/26-30)
第5試合 EX特別ルール(肘無し・首相撲制限無し) 60kg契約 3分3R
○豪(GRATINESS)
×龍聖(健心塾)
1R 1’07” TKO (3ダウン)
第4試合 53.5kg契約 3分3R
○山本藍斗(GET OVER)
×長船ライオン(心将塾)
判定3-0 (30-28/30-27/30-27)
第3試合 86kg契約 3分3R
×澁木勇紀(GRATINESS)
○阪本幸一(ロイヤルキングス)
1R 2’30” TKO (3ダウン)
第2試合 59kg契約 3分3R
○イマイ・ハルユキ(ブラジリアンタイ)
×YU斗(フリー)
判定2-1 (30-28/30-28/28-29)
第1試合 女子55kg契約 2分3R
○鈴木しおり(GRATINESS)
×Bow chan(MFC)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)