DEEP 5.3 後楽園ホール(レポ):元谷友貴、ピンチ乗り越え平松翔に2R一本勝ち「次またRIZINどうですか?」。JTTの新鋭・倉本大悟、北岡悟に1R TKO勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム中野
本場のムエタイ、教えます。初心者、ダイエット目的の方も大歓迎!まずは見学・体験を!
宗明建設Presents DEEP 119 IMPACT
2024年5月3日(金/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
元谷友貴、TKO負けのピンチ乗り越え平松翔に2R一本勝ち「次またRIZINどうですか?」
第8試合 メインイベント 64kg契約 5分3R
○元谷友貴(アメリカン・トップチーム/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×平松 翔(THE BLACKBELT JAPAN)
2R 1’44” 裸絞め
DEEPバンタム級では昨年9月、韓国のBLACK COMBAT推薦のユ・スヨンが石司晃一に1R TKO勝ちし王者となった。だがスヨンが今年5月からのRoad To UFC出場が決まり、規定の10ヶ月以内の防衛戦の目途が立たなくなったことから、王座を返上した。それにより今大会では、元谷と福田龍彌による王座決定戦が組まれ、高い注目を浴びていたが、大会約1週間前、福田の負傷欠場と、元谷が平松と64kg契約・5分3Rのワンマッチを行うことが発表された。平松は5月26日のニューピアホール大会で石司との試合が組まれていたが、3週間前の元谷戦にスライドした形だ。
元谷は34歳。14~16年にDEEPフライ級王座に君臨した後、バンタム級に階級を上げ、18年10月に釜谷真に勝利しバンタム級王座を獲得。だが19年3月の初防衛戦でビクター・ヘンリーに判定2-3で惜敗しベルトを失った。その後はRIZINを主戦場とし、一時は太田忍、ホジェリオ・ボントリンら相手に5連勝したが、昨年5月に朝倉海にKO負け。その後、フロリダの名門・ATTに加入し、11月のDEEPでの再起戦では元DEEPバンタム級暫定王者のCOROに2R TKO勝ちしたが、大晦日のRIZINでは朝倉海推薦の元UFCファイターのヴィンス・モラレスに判定負けした。
平松は9戦5勝4敗の29歳。アマ時代はTHE OUTSIDERに10戦近く出場し、修斗とDEEPのアマの試合を経て、19年のプロデビュー後はDEEPのみに上がり続けて来た。昨年4月の大阪大会では谷岡祐樹を1R右フックでKO。7月の後楽園では雅駿介に寝技で攻め込まれ判定負け。今年3月の後楽園では魚井フルスイングに2Rギロチンで一本勝ちした。
平松は元谷戦に変更直後「代打で来週金曜日、日本人バンタム級トップの元谷選手と決まりました。失うものなんてない。ぶん殴って俺が勝ちます」とXに投稿した。元谷も自身のYoutubeで「平松選手は凄くKO力があって、パンチでもキレがあって、相手がスコンと倒れちゃう感じの打撃なんで、凄い危ない選手だなと。前回は魚井フルスイングに一本勝ちして、今、勢いがある選手だと思っているんで、次期挑戦者の位置にいるのかなと思っています」と、直前のカード変更にも前向きに語り、平松を高く評価していた。
なお、大会中には福田が左腕を吊った状態でケージに登場し「なるべく早く戻って来ます」「帰ってきた時には暖かく見守ってください」等と話した。
1R、「失うものなんてない」と話していた平松が、開始すぐから一気に前に出て、右ストレート、ロー、左前蹴り等を当てて先手を取る。平松は時折ガードを下げて挑発しながら前に出続け、パンチを当てる。元谷もパンチを返すが後手に回る状態が続く。
すると終盤、平松が左フックでダウンを奪う。すぐ立った元谷に対して、平松がパンチラッシュを仕掛け、金網際で元谷をまた倒し、上からパウンドを連打して元谷を追い詰める。場内は沸きあがり、元谷は大ピンチに陥るが、すぐに立ち上がる。
引き続き元谷は金網を背負うが、パンチの打ち合いの中で当て返し、平松を下がらせることに成功する。打ち合いの展開で元谷は自らパンチを振った勢いで倒れるが、すぐ立つ。残り1分、平松も攻め疲れ、口が開き、両手を広げ挑発したタイミングで、元谷は両足タックルを仕掛けて平松を倒し、パウンドを当てて挽回する。記者採点は平松。
2R、こうなると流れは元谷。元谷は序盤からパンチの連打で前に出てから、タックルを仕掛けて、両脇を差して押し込み、外掛けてテイクダウンを奪う。元谷は素早くバックを奪うと、裸絞めを極めてタップを奪った。
ピンチを乗り越え逆転勝ちした元谷は「DEEPのメイン、自分じゃないと盛り上がらないでしょ」と、少し苦笑しながらも話し、「次またRIZINどうですか?よろしくお願いします。超RIZINか秋ぐらいに出たいです。7月、熱いんで」とアピールした。
バックステージで元谷は「一発もらってヒヤヒヤしたと思いますけど、盛り上がったと思います」「ダウンもめっちゃ効いたわけじゃなくて、相手が疲れているなと冷静に見て回復できました」「相手が途中でペースが落ちているのがわかりました」と、ピンチでも落ち着いていたことを明かし、平松について「いい選手でした。一発あるし、追い込まれたんで、強くなると思います」と評した。退場時には福田と話し、「タイミング合えば試合しましょうと話をしました」とのこと。今後については「一個一個勝ってって、ベルトに近付けたらと思います」と話した。
水野竜也、ANIMAL☆KOJIに判定勝ち
第7試合 セミファイナル メガトン級(体重無差別) 5分3R
○水野竜也(フリー/元DEEPミドル級王者)
×ANIMAL☆KOJI(HIGH ROLLER ENTERTAINMENT)
判定3-0 (柴田29-28/橋本30-27/石川30-27)
水野は42歳。かつてDREAMでミルコ・クロコップやセルゲイ・ハリトーノフといった世界の強豪と戦った経験がある。18年には奥野泰舗に勝利しDEEPミドル級王座を獲得し、21年にジョン・バチスタ・ヨシムラに敗れ王座陥落。その後は階級を上げ、昨年7月、メガトン級暫定王者の酒井リョウに挑戦し1R TKO負けしたが、11月大会では米国人のSAINTを2R左飛び膝蹴りでKOしている。
ANIMALは32歳。東海学生柔道大会準優勝の実績があり、15年にMMAデビューし、DEEPフューチャーキングトーナメント2017ミドル級で優勝。クンルンファイト、ONEのトライアウトでの試合を経験した後、20年から約3年半、K-1 GROUPを主戦場とし、RUIや愛鷹亮に勝利し、7戦3勝4敗の戦績を残した。昨年10月のRIZIN名古屋大会でMMAに復帰したが、イゴール・タナベに1R三角絞めで一本負けしている。DEEPには18年10月に渡辺悠太に判定負けして以来5年半ぶりの出場となる。
1R、開始すぐから水野がタックルでテイクダウンを奪い、バックを狙うが、ANIMALは落として金網際でハーフで押さえる。水野はその先の攻めを許さず、スタンドに戻る。水野がサウスポーからの左膝やローを当てる場面もあるが、ANIMALが右のインローを的確に当て続け、少し水野の足が流れる。記者採点は僅差だがANIMAL。
2R、スタンドの打撃戦が続き、ANIMALが右インローを当てるものの、その先になかなかつなげられない。終盤、水野がタックルで倒し、時折上からパウンドを当て優位に。最後、水野が立ってサッカーボールキックを当てるが、金網をつかむ反則があり、ラウンド終了後にレフェリーから注意を受ける。記者採点は水野。
3R、水野が序盤からタックルで倒して上になる。中盤、水野がマウントを奪い、腕十字を狙うと失敗するが、立ち際に左膝蹴りを当てる。両者疲れが溜まっており、終盤、水野はタックルを仕掛けるが、ANIMALは潰して上になり、パウンドを当て返して挽回する。だがANIMALはその先の攻めが乏しいまま終わる。水野は立ち際に金網をつかむ場面もあり終了後に注意を受ける。記者採点は僅差だが水野。合計29-28で水野。ジャッジ3者も水野を支持し、水野が判定勝ちした。
マイクを持った水野は「次につながるタイトルマッチを意識して硬くなってしまいました アニマル選手強かったです。自分、43になります。水野そろそろ引退だろと言われますが、それは昔の常識です。自分まだまだ頑張ります」と話した。
JTTの新鋭・倉本大悟、北岡悟に1R TKO勝ち
第6試合 ライト級 5分3R
×北岡 悟(パンクラスイズム横浜/元DEEP&戦極ライト級王者)
○倉本大悟(JAPAN TOP TEAM)
1R 4’55” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
北岡は44歳。昨年2月に高野優樹に3Rノースサウスチョークで一本勝ちし、9試合ぶり・4年ぶりに勝利すると、5月大会では大山釼呑助に3Rギロチンチョークで一本勝ち、7月のNARIAGARIでのDEEP公式戦では大木良太に判定2-1で勝利。連勝を3に伸ばしたが、11月大会では泉武志と接戦の末に判定1-2で惜敗している。
倉本は29歳。北岡と同じ奈良出身。朝倉兄弟と同じJAPAN TOP TEAMに在籍し、22年9月にMMAプロデビューし、DEEPに上がり続け6戦5勝(2KO)1敗。昨年9月に涌井忍を、12月に井上竜旗を、スタンドの打撃で1Rで仕留めた。3月9日の後楽園大会では元修斗世界ライト級王者の川名雄生を打撃主体で攻略し判定勝ちし、比較的短いスパンで北岡戦が組まれた。
1R、北岡が執拗にタックルを繰り返すが、倉本は倒されてもすぐ立ったり切り続けて、サッカーボールキックや膝蹴りを当てる。すると終盤、倉本がスタンドの展開で右膝をボディに当て続けていると、北岡は苦しそうな様子を見せるようになる。
そして終了間際、倉本が右のテンカオをクリーンヒットすると、北岡は腹を押さえながらダウンし、倉本が金網際で押さえてパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
マイクを持った倉本は「30歳までにRIZIN出るのが目標なんで、今年はRIZINでも活躍したいです」とアピールした。
村元友太郎、6連勝のKENTA退ける「石川の人たちに元気を与えられるような試合をやっていく」
第5試合 フライ級 5分3R
○村元友太郎(ALIVE)
×KENTA(K-Clann)
判定2-1 (豊永30-27/石川28-29/橋本30-27)
村元は昨年9月からのDEEPフライ級GPでは1回戦で風我に勝利したが、2回戦では宇田悠斗にTKO負け。昨年5月のDEEPでビョン・ジェウンに判定勝ちし、10月のRIZIN名古屋大会では元UFCフライ級ランカーのホジェリオ・ボントリンと戦う機会を得たが判定負けに終わった。
KENTAは33歳。柔道で全日本選手権ベスト16の実績があり、22年3月にMMAプロデビュー。昨年、松岡疾人、杉山廣平、安谷屋智弘に判定勝ちし、現在6連勝中の新鋭だ。
試合は高いレベルでの戦いを続けてきた村元が差を示す内容に。1R、村元が距離を取りつつ、時折パンチや前蹴りを当て、ヒット数では上回るが、カウンター狙いとなり、お互い攻撃が少ない。終盤、村元のパンチに合わせ、KENTAがタックルで倒して、金網際で上になるが、押さえてからの攻めができない。最後、KENTAが右のパウンドを落とそうとしたが、村元が下から腕十字を狙って終える。記者採点は僅差だが村元。
2R、村元がテイクダウンを奪い、上で押さえ、KENTAの脱出を狙う動きに合わせて素早くバックを奪う。村元は裸絞めを仕掛けるが、KENTAかマット上を3回転で転がって振りほどいて脱出し、観客を驚かせる。だが終盤、村元はまたもタックルで倒して上になる。膠着すると残り30秒でブレイクがかかるが、劣勢のKENTAは打撃戦ではなくタックルでのテイクダウンを選び、残り時間が少なく、追撃できずに終わる。記者採点は村元。
3R、KENTAがスタンドで右フックを当て、中盤にはタックルで倒し上になるが、村元が下から密着を続けて追撃を封じる。終盤、膠着ブレイクがかかり、スタンドでのお見合いが続くと、レフェリーは一旦ブレイクし、両者に消極的だとして注意する。再開後、KENTAがタックルを仕掛けるが、村元が切って上になり、最後はパウンドを当て、差を広げて終える。記者採点は村元。合計30-27で村元。ジャッジは1者が意外にも28-29でKENTAを支持したが、2者は順当に村元を支持し、村元が判定勝ちでKENTAの連勝を6で止めた。
マイクを持った村元は「6連勝の選手に勝ったんで、佐伯さん、タイトルマッチお願いします。RIZINもいつでも準備できています。1月1日に地元石川で地震があって、かなり苦しい思いをしている知り合いがいます。その人たちに元気を与えられるような試合をやっていきます」とアピールした。
関原翔、2年ぶりMMAで判定勝ち
第4試合 フライ級 5分2R
○関原 翔(K-PLACE)
×マサト・ナカムラ(レンジャージム)
判定3-0 (長瀬○19-19/石川20-18/橋本20-18)
関原は21年11月のRIZIN沖縄大会でTARKERに、22年2月のDEEPで越智晴雄に判定勝ちし6連勝していたが、同年5月に伊藤裕樹に判定負けして以降、グラップリングの試合を重ね。今回2年ぶりにMMAに復帰する。
ナカムラは19年からDEEPに参戦。昨年は高柳京之介、安永吏成、亀田一鶴相手に3連勝していたが、12月のカザフスタンでの試合では地元の選手に1R TKO負けし、3月3日のインドネシアでの試合でもオーストラリアの選手に判定負けしている。
1R、序盤からナカムラが右フックで関原をひるませるが、グラウンドの展開になると、関原が腕十字を狙い、バックを取り裸絞めを狙う等やや優位に。インターバル時には関原の腫れた左頬のドクターチェックが入るが続行する。ジャッジは割れ、1者が関原にパンチでダメージを与えたナカムラにつける。
2R、関原がグラウンドでバックを奪う等、コントロールを続ける。最後は関原が裸絞めを仕掛けるが極まらず終了する。ジャッジは3者とも関原を支持し、関原が判定勝ちした。
マイクを持った関原は「2年前に後楽園ホールで伊藤選手と戦って、生死をさまよう怪我を負いました。復帰できるかわからなかったですけど、コツコツできることをやって、ここに戻って来ることができました。僕は才能がある選手じゃないですけど、コツコツやれば、歩けなくなったところから復帰できることをみんなに伝えられたらと思います。これからトップ戦線食い込めるよう頑張りますので応援お願いします」とアピールした。
第3試合 バンタム級 5分2R
○日比野“エビ中”純也(ISHITSUNA MMA)
×木下尚祐(リバーサルジム横浜グランドスラム)
1R 0’27” 裸絞め
日比野×木下は3月9日の後楽園大会で組まれていたが、日比野がインフルエンザに感染したため今大会に延期された。1R、開始すぐに日比野が右ストレートを当ててダウンを奪うと、すぐにバックに回り込み、裸絞めを極めてタップを奪った。マイクを持った日比野は「前回RIZINで負けたのでやり返したいですし、DEEPのベルトも狙います」とアピールした。
第2試合 バンタム級 5分2R
○窪田泰斗(FourRhombus)
×橋本優大(CAVE)
1R 1’50” アームロック
1R、橋本がタックルを仕掛けるが、窪田は金網を背にしながらアームロックを仕掛ける。そのまま倒すと、窪田はアームロックを執拗に極め続け、最後はガッチリ極まった状態が続いたところで、レフェリーがストップした。
第1試合 アマチュアSルール 70kg契約 3分2R
×信原 空(JAPAN TOP TEAM)
○小沼魁成(THE BLACKBELT JAPAN)
判定0-3
レスリング歴12年の21歳・小沼(こぬま)が、執拗にタックルからコントロールを続け、ジャーマンも2度決め、パウンドを随所で当て“勾配ニキ”こと信原を圧倒し判定勝ちした。まだ極めは無さそうだが、素質の高さを見せつけており、デビュー後の躍進が期待できる。