RIZIN 10.1 名古屋 ドルフィンズアリーナ(レポ):緊急初参戦の佐藤将光、バンタム級上位狙う太田忍のタックルしのぎ判定勝ち。アラン“ヒロ”ヤマニハ、所英男との寝技合戦制し判定勝ち
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2023年10月1日(日)ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)RIZIN FF
中継 ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE、スカパー
初参戦の佐藤将光、バンタム級上位狙う太田忍のタックルしのぎ僅差の判定勝ち
第12試合 MMA 63kg契約 5分3R
×太田 忍(パラエストラ柏/16年リオ五輪レスリング・グレコローマン59kg級銀メダリスト)
○佐藤将光[しょうこう](坂口道場一族/FightBase都立大/元修斗バンタム級世界王者)
判定1-2 (松宮=佐藤/豊島=太田/橋本=佐藤)
レスリングのトップ選手・太田は20年大晦日のRIZINでのMMAデビュー戦で所英男に一本負け。21年9月に久保優太、大晦日に祖根寿麻相手に連勝後、昨年7月に元谷友貴に判定負けした。4月の代々木大会での倉本一真との元レスリング対決では、開始27秒で右フックで倉本をKO。7月30日の超RIZIN.2ではRIZINバンタム級日本GPベスト4の瀧澤謙太に1R TKO勝ちしている。今回、同じくRIZINバンタム級日本GPベスト4の井上直樹との試合が組まれたが、井上の欠場により、佐藤に相手が変わった。
佐藤は36歳のベテラン。09年から14年にパンクラスで経験を積み、11年前には韓国でキム・スーチョルとも対戦しTKO負け。15年に修斗に主戦場を移してから頭角を現し、17年に石橋佳大に勝利し修斗バンタム級世界王者となる。19年からONEに参戦し、同年10月の両国大会ではパンクラス同級王者のハファエル・シウバにTKO勝ちした。非RIZINの日本のバンタム級では最強とも言われていたが、その後はONE側の事情により試合頻度が年1程度に下がる。今年1月にキム・ジェウォンに判定勝ちしたのを最後にONEを離れ、RIZINを新たな戦場に選んだ。11月のアゼルバイジャン大会か大晦日大会での初戦が計画されていたが、井上の欠場により、緊急オファーを受けて参戦した。
試合はMMA経験豊富な佐藤が、太田のレスリングに対応し勝利をつかみ取ることに。1R、佐藤がプレッシャーをかけ、左フックを振うと、太田がタックルを仕掛け、ジャーマンスープレックスで投げるが、そのまま押さえられず、立った佐藤を金網に押し込む。佐藤は押し込まれながらも、太田の足にカカトで細かく蹴りを入れる。中盤、離れると、またも太田がタックルで押し込むが、佐藤は突き放す。終盤、佐藤がパンチと膝を放つが、太田は押し込む展開が繰り返される。残り30秒、佐藤は安全な時間帯と判断し、引き込みながらネルソンを仕掛ける。太田は防御して外し、パウンドを連打して終える。ここまで太田ペースだが、佐藤はハファエル戦でも1Rは押し込まれ続けた後、打撃を効かせて勝ったため、まだ想定内といった様子だ。
2R、またも太田がタックルから押し込み、中盤には片足タックルで倒すが、すぐ佐藤は立って脱出する。佐藤は追いかけて左右のパンチをヒット。太田はまたもタックル倒すが、これも佐藤がすぐ立つ。
終盤、太田がタックルで倒し、中央付近で寝かせるが、佐藤はこれもすぐ立つ。太田は押し込み、離れ際にパンチをヒット。だが佐藤は追いかけ、太田のボディに左膝を当てると、太田は両手を広げ効いていないとアピールする。最後は佐藤がパンチと膝を当てて終える。主導権は変わらず太田だが、佐藤も打撃を当てているため、まだわからない状態だ。
3R、変わらず太田がタックルから押し込むが、佐藤は対処を続ける。これまで同様、太田が倒す場面もあるが、すぐ佐藤は立つ展開が繰り返される。佐藤は随所でパンチ、左膝蹴りを当て、太田を削るが、太田もしつこく押し込み続ける。
終盤、佐藤は離れると、左ジャブを連打し、左ハイも当てて効かせる。太田は少し苦しそうだが、タックルを仕掛けると、佐藤は逆らわずにギロチンで迎撃する。太田は腰を上げて防御し、最後は外すと、太田が上からパウンドを連打して終える。記者採点は佐藤(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ20-0=合計20-30)。打撃とサブミッションの積極性(アグレッシブネス)で佐藤が上回ったと判断した。接戦のためやはりジャッジは割れたが、2者が記者採点と同じポイント配分で佐藤を支持し、佐藤が判定勝ちした。(太田を支持したジャッジは、ダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ20-0=合計20-00だった。)
惜しくも敗れた太田は涙を流して悔しがると、佐藤は太田に歩み寄って励ました。マイクを持った佐藤は「太田選手、凄く強かった。試合を受けてくれてありがとうと言われましたけど、彼も受けてくれてありがとう。心もタフでした」と太田を称えた。続けて「RIZINファンの皆さん初めまして。ニワカかニワカじゃないかのちょうどセンターライン、佐藤将光です。そんなに言われたからメインじゃなくなったんですけど、しっかりメイン張れる人間になれるよう頑張ります」と、自虐ネタも絡めて継続参戦に意欲を示した。
さらに「格闘技人生、晩年というか最終章を迎えているんですけど、今、格闘技やっていて幸せです。大学の就活の時、周りの反対を振り切って格闘技をやると決めてから、素晴らしい舞台に来れて幸せです。決断する場面は人生でたくさんありますが、最後決めるのは自分です。自分でみんな判断して、人生決めてもらえたらうれしいです。ちょっと長くなったんですけど、これからもお願いします」とアピールした。
大会後の総括でRIZINの榊原信行CEOは「佐藤選手は実績通り老かいな、いぶし銀な戦いぶりを見せると共に、RIZINのバンタム級に無かったキャラで、実力含め新しい魅力になる期待を持たせてくれる試合でした。太田選手とは試合後話しましたが、あのスタイルだとRIZINのジャッジのクライテリア(=基準)だと勝てないと本人も自覚していました。あそこ(=テイクダウン)からフィニッシュに向かうアクションが、RIZINで勝利をおさめていくには必要なポイントです。上位を狙えるポテンシャルがあるので引き続き頑張って欲しいです」と評価した。今後の佐藤の起用については「大晦日に上位勢の対戦とか、ファンが見たい相手と組んでいきたいです。(フアン・)アーチュレッタと朝倉海がやった先のチャレンジャーに絡んで来れるポテンシャルは十分にあると思います」と話した。(※佐藤の試合後の談話は別記事に掲載しました)
アラン“ヒロ”ヤマニハ、所英男との寝技合戦制し判定勝ち
第13試合 メインイベント MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
○アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ブルテリア・ボンサイ)
判定0-3 (豊島=ヤマニハ/松宮=ヤマニハ/橋本=ヤマニハ)
所は昨年7月の埼玉大会でフライ級に階級を下げ、DEEP同級王者の神龍誠と対戦し判定負け。大晦日大会では元UFCフライ級1位のジョン・ドッドソンに1R TKO負けした。今回故郷の岐阜に近い愛知での再起戦ではバンタム級に戻して戦う。現在46歳。1週間前のRIZIN埼玉大会のメインイベントで金原正徳がクレベル・コイケに勝利後、金原はセコンドについた所にエールを送り、所も「金原さんに続きます」と宣言していた。
愛知在住の日系ブラジル人・ヤマニハは37歳。21年のバンタム級日本GPでは2回戦で朝倉海に判定負け。昨年は3月に手塚基伸に2R裸絞めで一本勝ちし、4月に元谷友貴に判定負けし、11月の名古屋大会でNEXUS王者の河村泰博に判定勝ちし、約1年ぶりの試合となる。井上直樹の欠場で急きょ所×ヤマニハがメインイベントに格上げとなり、2週連続で元ZST勢とボンサイ勢が当たる構図となる。
試合はヤマニハが寝技勝負で所を上回ることに。1R、所が左フックを振ると、ヤマニハはタックルを仕掛けて倒して押さえるが、所はブリッジで返して上になる。所は自軍近くの金網際で押さえ、金原と勝村周一朗のアドバイスを聞く。所は一旦立ち、踏みつけを放ち、すぐ体をひねって足を取りに行くが、ヤマニハは体を起こしてバックを取ることに成功する。ヤマニハは足4の字ロックで捕獲し続け、腕十字狙いのプレッシャーもかけながら、中央付近でバックを維持する。最後、脱出した所が足をつかむが、ヤマニハは防御して終える。ここまでヤマニハ優勢だ。
2R、ヤマニハは序盤から左ストレート、ミドルのラッシュで所を下がらせてから、倒してバックを狙うが、所は耐える。ヤマニハは立ち、猪木アリ状態となると、豊永レフェリーはブレイクする。ヤマニハがパンチを連打すると、所はタックルで防御しつつ、倒してトップを取る。だがその先の攻めにはなかなか持ち込めない。ヤマニハは下から足を効かせ、アームロックや腕十字を狙う。終盤、スタンドに戻ると、今度はヤマニハが上を取り返し、ハーフガードの状態から右肘とパウンドを落とし続けて終える。ヤマニハが優位を維持する。
3R、ヤマニハは組み付くと、すぐに背後に回って引き込んで、あっさりとバックマウントを奪うことに成功する。中盤、所は体をひねり上になる。とはいえこれまで同様、ヤマニハは下から防御し、所に攻めさせない。終盤も同様だが、ヤマニハは背中をつけ続けているため、やや印象が悪くなる。所は強引にパウンドを当て、ハーフから肩固めを狙う。最後、所は足関を狙うが、ヤマニハはツイスターを狙いつつ、バックを狙って終了する。所が巻き返したラウンドだが、2Rまでの悪印象をぬぐう程にはならない。記者採点はヤマニハ(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20=合計0-50)。ジャッジ3者もヤマニハを支持し、ヤマニハが判定勝ちした。
マイクを持ったヤマニハは「所選手の試合が好きでした。初心者のころから尊敬していました。今見ている子供達も夢を信じ続けてください。ここにいる皆さんに感謝します」とポルトガル語でアピールし、最後は日本語で「誰でも戦いします」とアピールした。
スダリオ剛、緊急出場のイム・ドンファンを3R KO
第11試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED/117.85kg)
×イム・ドンファン[Lim Dong Hwan](韓国/チーム・ストロングウルフ/104.2kg)
3R 2’10” TKO (レフェリーストップ:右アッパー)
スダリオはの昨年大晦日、後にUFCに上がるジュニア・タファに1R TKO負け。4月にはUFC帰りのロッキー・マルティネスに判定勝ちした。9月24日のRIZIN.44さいたまスーパーアリーナ大会でトッド・ダフィー(米国)との試合が組まれていたが、ダフィーがパスポートのトラブルで来日できず、1週間後の名古屋大会で代わりの試合が用意された。
ドンファンは1995年8月31日生まれの28歳。13年サンボアジア選手権で銅メダルを獲得し、17年にMMAデビューし11戦5勝(1KO/1一本)6敗。韓国のRoad FCを主戦場とし、19~22年に4連敗していたが、最近2試合では勝利している。適正階級はミドル級で、2階級上の通常体重で試合に臨んだ。
試合は体格で勝るスダリオが打撃戦で勝利をつかむことに。1R、スダリオがサウスポーで構え、ドンファンがパンチで突進すると、スダリオが左ジャブを当てる。すると小柄なドンファンはひるみ、スダリオは組み付いて金網際で押さえる。すぐスタンドに戻り、お互い見合う中で、ドンファンは右ミドルを当てる。終盤、見合う状態が続き、どちらも蹴りを出すが、慎重なまま終わる。
2R、序盤は見合い、中盤になってスダリオが右フックを立て続けに振るうが、ドンファンはかわす。見合う状態に戻り、終盤も変わらない。その中でスダリオが右ローを随所で当てていると、ゴング後はドンファンが足を引きずり気味に自軍に戻る。わずかにスダリオが優位になる。
3R、足にダメージの溜まったドンファンからタックルを仕掛けて打開を図るが、体の大きいスダリオは突き放す。スダリオはコツコツとローを当て、ドンファンの足へのダメージを増やすと、中盤、オーソドックスに切り替えてから右フックをヒット。ドンファンが後退すると、スダリオは金網に詰めて右アッパーを当ててダウンを奪い、パウンドで追撃したところでレフェリーがストップした。
マイクを持ったスダリオは「急きょ参戦を決めてくれたイム・ドンファンさん、ありがとうございました。適正体重でRIZINで見たいです」と称え「社長、今回来なかった奴(=ダフィー)なんですけど、年末にベルト懸けてやらせてもらいたいです。そうすれば多分逃げないと思うんで、よろしくお願いします」とアピールした。
伊藤裕樹、トップノイの蹴りに苦戦も判定勝ち
第10試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○伊藤裕樹(ネックス)
×トップノイ・キウラム(タイ/バンタオムエタイ&MMA)
判定2-1 (豊島=伊藤/橋本=トップノイ/松宮=伊藤)
伊藤は2月のDEEPフライ級GP準決勝で本田良介相手に判定負け。5月のRIZINで山本アーセンの復帰戦の相手となり判定負けしたが、7月の超RIZIN.2では朝倉未来チャレンジ出身のヒロヤに判定勝ちした。
トップノイは31歳。ムエタイがベースで、ラジャダムナンでスーパーバンタム級(55.33kg)1位になったことがある。16年からMMA主体となり、18年からRIZINに上がり、オニボウズに1R KO勝ちし、朝倉海と中村優作に敗れた。昨年6月のROAD TO UFCフライ級トーナメント1回戦で堀内佑馬を破り、10月の準決勝でパク・ヒョンソンに敗れた。今年5月のROAD TO UFCではニャムジャルガル・トゥメンデムベレエルに判定負けし、約4年ぶりにRIZINに登場する。
試合は両者慎重となり接戦に。1R、両者サウスポーで構え、慎重に見合う状態が続く。中盤、お互いタックルを仕掛けるが、テイクダウンにはつながらない。終盤、伊藤が右フックを当てれば、トップノイも右ミドル、左ローをお返しする。トップノイが左ミドルを放てば、伊藤は蹴り足をつかみながら左フックを当てる。まだ均衡状態だ。
2R、序盤はパンチが交錯する場面もあるが、トップノイが左ミドルを随所で強打すると、伊藤は入りにくそうになり、お見合い状態に戻る。終盤、トップノイは距離を取り、伊藤のパンチをかわし、随所で左右のミドルを当てる。ここまでわずかながらトップノイが優位か。
3R、トップノイが随所でミドルを当てる。右インローがローブローとなり、2分ほど中断する。再開後、伊藤がタックルを繰り返すが、トップノイは切り続ける。終盤も同様で、トップノイはミドルを当て続けると、パンチを振う伊藤をタックルで倒す場面も作る。最後は伊藤が左フックを当てるが、すぐ終了する。記者採点はトップノイ(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ0-20=合計0-20)。接戦のためジャッジ3者ともダメージ0-0、アグレッシブネス0-0で共通し、ジェネラルシップだけ割れ、2者が伊藤を支持し、伊藤が判定勝ちしたが、トップノイのムエタイスキルに手を焼く内容だった。
梅野源治、Krushの斎藤祐斗に苦戦も判定勝ち
第9試合 キック(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 61.5kg契約(ライト級相当) 3分3R
○梅野源治(PHOENIX/BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級王者、元M-1フェザー級王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
×斎藤祐斗(JK TRIBE)
判定2-0 (佐藤29-29/豊島30-29/長瀬30-29)
梅野は昨年3月のRIZIN大阪大会で皇治戦で判定負けの採点が発表された際に「やばいだろ」と不満を露わにし、多くのRIZINファンから揶揄されたが、その話題性を逆手に取って人気を高め、今やRIZINのレギュラー選手に。昨年10月の福岡大会では念願の肘有りルールで試合が組まれたが、トレント・ガーダムに1R開始すぐに左ローでTKO勝ちし、肘は出せずにいた。大晦日の平本蓮のボクシングエキシビションマッチの相手を務め最後はKOされ、今年6月の札幌大会では肘有りルールで対戦も、梅野の肘打ちのタイミングで鈴木宙樹が飛び膝蹴りを当て、梅野は宙樹にKOされてしまった。今回はケージの中での肘有りルールでの戦いとなる。
斎藤はRIZIN初参戦。今大会の地元愛知在住の31歳で、戦績18戦11勝(8KO)7敗。Krushを主戦場とし、勝ち負けを繰り返す状況で、まだベルトに縁が無いものの、6月のKrushでは王座挑戦経験のある山本直樹と対戦し、激しい打ち合いの末に判定勝ちしている。60kgのスーパー・フェザー級の選手のため、少し体重を増やしての試合となる。
試合はキャリアで勝る梅野が斎藤に手を焼く展開に。1R、梅野が左ミドルを当てれば、斎藤はパンチを振いつつ、左三日月蹴りをお返し。斎藤は梅野の蹴りをつかんで左ミドルを当て返す場面も。梅野も蹴りをつかんで倒し返す。梅野が随所で右のカーフを当てると、斎藤はスイッチするように。梅野は首相撲で崩して倒す。記者採点はイーブン。
2R、梅野は崩しを繰り返しペースを握ろうとする。RIZINの採点上は崩しは評価されないが、カーフを効かされている斎藤は、立つだけでも足に力を使わないといけない。梅野は組み際に右肘を当て、離れれば右カーフを当て、斎藤をスリップさせる。梅野は左ミドルも強打し、繰り返し崩しで倒す。だが終盤、斎藤は左ミドルを空振りさせてから、回転肘を当て、最後は投げ返し、巻き返して終える。記者採点は僅差だが梅野。
3R、斎藤はノーガードで挑発し、梅野の蹴り足をつかんで崩しを繰り返すように。梅野も崩しを繰り返し応戦し、膝を連打する。それでも斎藤は左ミドルを返し、足をつかんで倒し返す。終盤、斎藤は左ボディを当てて崩しを決める。梅野も疲れており、崩される場面が目立つように。最後、斎藤がバックスピンキックで梅野を吹き飛ばし、やや好印象で終える。記者採点は僅差だが斎藤。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者が同じだったが、2者は30-29で梅野を支持し、梅野が辛くも判定勝ちした。
試合中止の皇治「大晦日、根性見せます」
第8試合終了後、休憩前の時間に、皇治がケージに登場した。今大会は井上直樹の欠場等により集客面でピンチに陥り、RIZINの榊原CEOが1週間前の埼玉大会で、皇治に電話して朝倉海戦を提案し、皇治は「いいとも」と回答したが、結局交渉が決裂していた。皇治は「うちの“いいともおじさん”が詐欺して申し訳無いです。というのは冗談で、リングで戦えなくてごめんなさい。ただね、1週間前にMMAで(朝倉)海君はえぐいって、死ぬって」と話し、「MMAを本気でやっています。大晦日、根性見せます。あ、大晦日やったら海君に勝てるで。冗談はさておき(いつか)実力でやれたら面白いんやないですか。必死で(海と戦える位置まで)上がります」とアピールした。
朝倉海、アーチュレッタとの王座戦を希望し榊原CEOも承諾
休憩後には朝倉海がケージに登場した。海は「皇治選手も無茶ぶりなオファーを最後まで受けようとしてくれて感謝しています。大晦日、完璧に仕上げるので、榊原さん、タイトルマッチお願いします」と話した。榊原氏は「7月にアーチュレッタとタイトルマッチをやる予定だったので、大晦日、なんとか、ベラトールの了承も得て、アーチュレッタを海の前に連れてきます」と、王者・フアン・アーチュレッタとのバンタム級タイトルマッチを組むことを約束した。これを聞いた海は「今年こそ大晦日、過去の自分を越えて絶対に勝ちます」と話した。
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「大晦日完璧に仕上げるのでタイトルマッチお願いします」榊原会長
「ベラトールと最終調整します」果たして、アーチュレッタ vs 朝倉海のバンタム級タイトルマッチは実現するのか…!?#アベマでRIZIN
— ABEMA格闘 (@Abema_Fight) October 1, 2023
中村優作、ヒロヤに苦戦も右ストレートでダウン奪い判定勝ち
第8試合 MMA 58kg契約(フライ級相当) 5分3R
○中村優作(TEAM FAUST/元WSOF-GCフライ級王者)
×ヒロヤ(トライフォース赤坂)
判定2-1 (豊永=中村/豊島=ヒロヤ/松宮=中村)
中村は19年末から神龍誠、竿本樹生、伊藤裕樹相手に3連敗を喫した後、昨年11月に征矢貴に判定勝ちし連敗脱出した。だが4月の地元大阪大会ではメイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)にわずか23秒でTKO負けした。
朝倉未来の弟子・ヒロヤは7月の超RIZIN.2でRIZINに初参戦し、伊藤に判定負けしたが、最後までアグレッシブに攻め観客を沸かせ、RIZINでの再チャレンジが用意された。
試合は中村が得意のパンチで勝利を引き寄せることに。1R、日本拳法出身の中村が低めのガードから右ストレートを放つが、ヒロヤがタックルで倒して上になる。中村は下から腕を伸ばそうとるすが、ヒロヤは対処してトップキープする。終盤、ようやく中村が立つが、ヒロヤは押し込み、すぐに倒してハーフで押さえ、パウンドを当てる。最後は立った中村を押し込み、肩パンチを連打して終える。ここまでヒロヤ優勢だ。
2R、ヒロヤがプレッシャーをかけ続け、中盤には右ストレートを当て、中村を倒す。中村は少し疲れているが、すぐ立ってヒロヤを金網に押し込んで倒す。ヒロヤは下からギロチンを仕掛けるが、中村は対処し外す。中村は立ち際にニンジャチョークを仕掛け返すが、これはヒロヤが対処する。終盤、ヒロヤはタックルで倒し、金網際で押さえ続けて終える。変わらずヒロヤ優勢だ。
3R、中村がプレッシャーをかけるヒロヤに対し、低いガードからの右ストレートを当ててダウンを奪う。中村はパウンドで追撃するが、ヒロヤは耐えて脱出する。ヒロヤは押し込んでから倒して上になりパウンドを当てて挽回する。終盤、バテている中村に対し、ヒロヤはジャーマンスープレックスで投げ飛ばし、金網に押し込んで終える。
記者採点は中村(ダメージ50-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20=合計50-50。マスト判定で中村)。ジャッジは割れ、2者が中村を支持し、中村が判定勝ちした。ジャッジの採点は松宮智生氏がD(ダメージ)50-0 A(アグレッシブネス)0-0 G(ジェネラルシップ)0-20で中村、豊永稔氏がD0-0 A30-0 G0-20で中村、豊島孝尚氏がD0-0 A0-0 G0-20でヒロヤを支持しており、やはり3R序盤に中村が奪ったダウンが評価の分かれ目となったようだ。
マイクを持った中村は「判定は割れたんですけど、ヒロヤ、めっちゃ強いですわ。このままもっと成長してRIZINを引っ張ってください」と、負ければ引退すると話していたヒロヤを称えた。最後は「そろそろRIZINガチャ入れてもらえないですか?たぶん全国で3人ぐらい需要あると思うんですよ」と話して観客を笑わせた。
イゴール・タナベ、RIZIN 2連続1R一本勝ち
第7試合 MMA ミドル級(84kg) 5分3R
○イゴール・タナベ(ブラジル/セラヴィー)
×ANIMAL☆KOJI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)※TEAM ANIMALから所属変更
1R 3’50” 三角絞め
日系ブラジル人のタナベは7歳からブラジリアン柔術を始め、21年と22年にはJBJJF主催全日本大会で階級別と無差別級の両方で優勝。昨年10月のHEATでMMAデビューし清水洸志に1R三角絞めで勝利し、12月のINOKI BOM-BA-YE×巌流島ではメルヴィン・マヌーフに1Rヒールフックで勝利。7月の超RIZIN.2では元DEEP&パンクラス・ウェルター級王者の阿部大治と対戦し、1R終盤にヒールフックを極め一本勝ちし、MMA 3戦全勝としている。
ANIMALはRIZIN初参戦の32歳。東海学生柔道大会準優勝の実績があり、15年にMMAデビューし、DEEPフューチャーキングトーナメント2017ミドル級優勝。中国のクンルンファイトやONEのトライアウトに上がっていたが、20年からはK-1 GROUPに参戦し、今年4月まで7戦行い3勝4敗の結果を残した。K-1を離脱し、約3年半ぶりのMMAとなる。
試合はタナベが柔術でANIMALを圧倒することに。1R、タナベがバックスピンキックを絡めながらプレッシャーをかけ、右ストレートを振ってからタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。タナベはハーフで押さえ、体を起こして右のパウンド、肘を当てる。中盤過ぎ、タナベは足を抜いてマウントポジションを奪う。タナベはパウンドを連打し、腕十字を狙うと、ANIMALは返して上になるが、タナベは下になることを計算に入れていた様子で、すぐに三角絞めを極めてタップを奪った。
タナベは2人の子供を抱きながらマイクを持ち「この2人と奥さんのためならどこにでも行けます。どんどん強い相手を当ててください」とアピールした。
女子有望株対決。DEEP JEWELSの万智、修斗王者・渡辺彩華をテイクダウンで攻略し判定勝ち
第6試合 MMA 女子52.5kg契約(ストロー級相当) 5分3R
×渡辺彩華(AACC/修斗女子スーパーアトム級(50kg)世界王者)
○万智(67ジム)
判定1-2 (松宮=渡辺/内田=万智/豊永=万智)
修斗COLORSとDEEP JEWELSの女子有望株対決がRIZINのケージで実現する。渡辺は浜崎朱加擁するAACCの26歳。柔道をベースとし、20年のMMAプロデビュー後、ブランクが続いたが、昨年10月のパンクラスで復帰し藤野恵実に判定負けした。だが今年1月の修斗では元王者の黒部三奈を右のカーフキックで追い詰めてから、2R右アッパーでKO。5月のCOLORSではSARAMIを2R、左ハイキックからのパウンドで仕留め、4戦目で王座を獲得した。
万智は20歳。柔道をベースとし、中学時代に見たRIZINをきっかけにMMA選手になることを決意し、高校3年生の時からMMAを始める。DEEP JEWELSのアマチュアで経験を積み、昨年11月のDEEP JEWELSでのプロデビューから3連勝。2戦目では大島沙緒里に勝った実績もあるHIMEに1R裸絞めで一本勝ちすると、今年5月には韓国のキム・ユジョンに1Rアームロックで一本勝ちしている。セコンドには梅田恒介氏、弥益ドミネーター聡志、藤野がつく。
試合は中継の解説を務めた金原正徳も「日本の女子格闘技界の未来は明るい」と称える、ハイレベルな攻防に。1R、サウスポーの万智に対し、渡辺が右ミドルを当てていると、万智はタックルを仕掛けて押し込む。万智は脇を差してテイクダウンを狙うが渡辺は耐えて防御を続ける。終盤、膠着が続くと、福田レフェリーがブレイクをかける。打撃戦でお互いパンチを当てるが差は乏しく、最後も万智が押し込んで終える。インターバル中、渡辺がケージをつかんでいたとして注意1が出される。
2R、スタンドの打撃戦が続き、中盤、渡辺が右ミドルを放つと、万智は蹴り足をつかんで倒し、立たれてもコントロールし、振り回しながらバックマウントを取ることに成功する。だが渡辺はその先を許さず、スタンドに戻す。終盤、またも渡辺の右ミドルを万智がつかんで倒し、上から踏みつけやパウンドを狙う。最後、万智がトップキープし、パウンドを随所で当て、最後はサイドを取って終える。最後に万智が差をつけるラウンドに。
3R、万智は時折タックルを仕掛けるが、渡辺は切り続ける。だが渡辺もパンチを返せない。中盤、万智が左ハイを当てれば、渡辺も右ストレートをお返し。終盤、万智が押し込むと、渡辺は小手投げを狙うが、万智は対処して金網際で上になって押さえることに成功する。最後、スタンドに戻り、万智が左ハイ、渡辺が膝を当て、どちらも譲らず終了する。記者採点は長時間押し込み、2R終盤にチャンスを作った万智(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20=合計0-50)。ジャッジは割れたが、2者が万智を支持し、万智が判定勝ちした。
マイクを持った万智は「中学2年生の頃からRIZINで戦うことが夢でした。今日は選手として立ててうれしいです。52kg(=ストロー級)には世界に強い人がいっぱいいるので、RIZINでベルトを作って欲しいです。渡辺選手強かったです。勝ててうれいしです」と話すと、最後は「やったー」と叫んだ。
大会後の総括で榊原CEOはストロー級戦線について「日本の選手が中心になって回してくれれば、外国勢はごまんといるので、面白い階級になるかな。49kg(=スーパーアトム級)の選手も階級を上げてチャレンジし、熱が作れる期待感があります」とコメントした。
荒東“怪獣キラー”英貴、貴賢神との一進一退の攻防制しRIZIN初戦白星
第5試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
×貴賢神[たかけんしん](フリー/116.85kg)
○荒東“怪獣キラー”英貴(パラエストラ大阪/GRACHAN無差別級王者/119.8kg)
2R 4’56” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
貴賢神はスダリオ剛の双子の弟で26歳。元力士で21年7月に大麻の使用が判明し、日本相撲協会から懲戒解雇された。昨年4月のTRIGGERでMMAデビューし、関根“シュレック”秀樹に2Rに寝技で攻め込まれパウンドを浴びTKO負け。11月の名古屋大会での2戦目ではカルリ・ギブレインに1R TKO負けした。それから約1年、タイでの練習生活を経て、MMAにどれだけアジャストできているかが見ものだ。セコンドには髙阪剛氏、良太郎がつく。
荒東はMMA 9戦9勝の35歳。柔道をベースとし、タイ在住中の19年に同地でMMAデビュー。コロナ禍突入後は帰国し、21年からGRACHANに上がり続け、昨年8月から今年2月の初代GRACHAN無差別級王座決定トーナメントでは岡本純一朗、桜井隆多、ハシモト・ブランドンに勝利してベルトを巻き、RIZIN参戦を熱望していた。
試合は一進一退の展開に。1R、貴賢神が左ジャブ、ミドルを的確に当て続け、右ロー、左右のボディも絡め優位に進め、タイでの練習の成果を発揮する。終盤、ようやく荒東が前に出て左右のフックを当てるようになり、右のカーフキックで足を払うような形で倒し挽回する。荒東は前に出て左ボディを連打。貴賢神は苦しむが、ステップで距離を取って休んでから、右ストレートを当てると、荒東はひるむ。貴賢神はパンチを当てつつ押し倒し、金網際で上から肘と膝を連打する。だが当たりが浅くなってしまい、仕留めきれずに終わってしまう。
2R、荒東は序盤から前に出て、左ミドルを連打し、詰めてパンチも当てる。貴賢神は1R最後のラッシュで攻め疲れ、防御した荒東のほうがまだ元気な様子だ。貴賢神は半分背中を向けたり、集中力も低下している様子だ。荒東は前に出て、パンチを当てるが、時間が経つと同じように疲れていき、攻撃が減ってしまう。それでも荒東は前に出てコツコツパンチを当てていると、終盤、左ボディが効き目を発揮し、最後は金網に詰めてパンチを連打し、貴賢神が気持ちが折れて半分背中を向けてうずくまったところでレフェリーがストップした。
マイクを持った荒東は「貴賢神選手、強なってたよ。何か色々言ってたけど、俺が本物じゃい」とアピールした。
元UFCフライ級ランカーのボントリン、適正階級で村元友太郎を圧倒
第4試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×村元友太郎(ALIVE)
○ホジェリオ・ボントリン(ブラジル/ジレ・ヒベイロ・チーム/元UFCフライ級7位)
判定0-3 (内田=ボントリン/松宮=ボントリン/豊島=ボントリン)
村元は昨年7月のRIZIN沖縄大会でBJにTKO勝ち。9月からのDEEPフライ級GPでは1回戦で風雅に勝利したが、2回戦では宇田悠斗にTKO負け。今年5月のDEEPでビョン・ジェウンに判定勝ちしている。
元UFCフライ級ランカーのボントリンは昨年大晦日にRIZINに初参戦したが、バンタム級で元谷友貴と対戦し2R KO負けしている。今回はフライ級に戻して戦う。
試合はボントリンが適正階級で真価を発揮する内容に。1R、スタンドの攻防が続く中で、ボントリンが圧をかけると、中盤、左フックを連打し、タックルで倒して、金網際で上になる。ボントリンはパウンド、サッカーボールキックを連打し、立とうとタックルを仕掛けた村元をギロチンで捕まえる。これは村元が対処し、立ち際に膝を当てるが、ボントリンは蹴り足をつかんでコントロールし、右膝を当てる。ボントリンは首相撲からの膝蹴りを度々当て、タックルでコントロールする。ここまでボントリン優勢だ。
2R、ボントリンがパンチ、首相撲からの膝を当て、村元を追い詰める。村元は左まぶたを切られ出血する。終盤、ボントリンが左フックの連打で村元にさらにダメージを与え、倒して押さえてから、立ち際にサッカーボールキックも当てる。
3R、ボントリンは慎重だがプレッシャーをかけ続け、中盤には押し込み、主導権を維持する。終盤、ボントリンはバックコントロールし、オンブになると、グラウンドに引き込んでバックマウントをキープする。最後、村元が立って前に出るが、ボントリンがタックルで対処し終える。ボントリンが文句なしの判定勝ちを果たした。
コレスニック、適正階級フェザー級で高木凌を打撃・組み共に圧倒
第3試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○ビクター[ビクトル]・コレスニック(ロシア/タイガームエタイ/Kuznya/セルビアンBC&ロシア・オープンFCフェザー級王者)
×高木 凌(パラエストラ八王子/パンクラス・フェザー級1位)
判定3-0 (豊島=コレスニック/松宮=コレスニック/内田=コレスニック)
コレスニックは27歳。サンボをベースとし13年にMMAデビューし31戦24勝6敗1分。ロシアやセルビアの大会で5連勝後、5月にRIZINに初参戦し、2Rに岸本篤史をカーフキックで倒しTKO勝ちしている。前回は1階級上のライト級だった。
高木は24歳。高校卒業後にMMAを始め、21年にパンクラスでMMAプロデビューし、7戦ともパンクラスで戦い6勝1敗。昨年12月の5戦目で新居すぐるにアームロックを極められ一本負けしプロ初黒星を喫したが、今年は3月に遠藤来生を、7月に中田大貴を、いずれもスタンドの打撃でKOし、現在パンクラス・フェザー級1位まで浮上している。同階級の鈴木千裕の練習パートナーでもある。
試合はコレスニックが圧倒する内容に。1R、コレスニックがプレッシャーをかけ、右ミドル、ロー、バックスピンキックを随所で当て主導権を握る。終盤には右カーフ、ローをまとめる。高木はほとんど攻められない。
2R、コレスニックが詰めて来たところで、高木が右フックを合わせると、少しコレスニックはひるむ。コレスニックはタックルで押し込んで難を逃れる。離れると、コレスニックが変わらずプレッシャーをかけ、パンチ、ローを当て、度々押し込んで主導権を維持する。
3Rもコレスニックペースで試合が進む。高木が押し込むが、コレスニックは首を抱え、押し返して背後からしがみつきコントロールする。一旦離れるが、終盤、コレスニックが執拗に金網際で組み付き、レスリングで高木を追い詰め、最後はギロチンを狙って終了。コレスニックが文句なしの判定勝ちを果たした。
井上雄策、5年ぶり復帰戦は秒殺KO勝ち
第2試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)
○井上雄策(リバーサルジム川口REDIPS)
1R 1’11” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打→グラウンドパンチ)
渡慶次はRIZINで大原樹理に敗れた後、昨年2月にハリー・スタローンにTKO勝ちしたが、昨年7月の沖縄大会では岸本篤史にTKO負けし今回がRIZIN 4戦目。
井上は元パンクラス・ライト級2位の34歳。18年7月に江藤公洋に敗れて以降、YouTubeチャンネル『マッスルグリル』で人気を博し、登録者数は43万人を超えた。6月のKROSS×OVERでの所英男とのエキシビションマッチで久々に格闘家としての姿を見せ、今回5年ぶりの公式戦となる。
試合は井上が切れのある打撃で完勝することに。1R、渡慶次がサウスポー、井上がオーソドックスで構え、見合う状態が続く中で、1分過ぎ、長身の井上が右のインロー、ミドル、ワンツーでの右ストレートを立て続けに当てる。渡慶次を金網際に下がらせると、井上は右の飛び膝を放って飛び降りた際に右ストレートをヒット。ひるんだ渡慶次に井上は左右のストレートを当ててダウンさせ、さらにパウンドを当てたところでレフェリーがストップした。
マイクを持った井上は、関係者に丁寧に感謝の言葉を述べ、トラブルで入場が長引いたことを釈明すると「また試合すぐ呼んでください。出ろと言われれば出ます。アゼルバイジャン以外だったら出ます。“ヤバいじゃん”って。最後に皆さんに言いたいことがあります。負ける勇気をもって勝ちに行け」と、ジョークを絡めつつ、榊原CEOの著書も口に出し、人気ユーチューバーらしい饒舌なアピールを繰り広げた。
後藤丈治、2戦連続ツイスターで一本
第1試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA/修斗バンタム級世界10位)
×日比野“エビ中”純也(ISHITSUNA MMA)
2R 2’00” ツイスター
後藤はMMA 22戦15勝6敗1分の27歳。北海道大学経済学部在学時からパンクラスを主戦場にし頭角を現し、卒業後は上京し長南亮代表のTRIBEに移籍。修斗の上位戦線で活躍し、魚井フルスイング、ダイキ・ライトイヤー、加藤ケンジといったRIZIN出場経験者にも勝利している。6月の札幌大会でRIZINに初参戦すると、トレント・ガーダムを2Rツイスターで仕留めた。元々打撃が得意だったが、TRIBEでは青木真也とも練習し、寝技の技術向上が著しい。
日比野はMMA 8戦6勝2敗の24歳。20年のMMAプロデビューから6戦DEEPで戦い、原虎徹、ヒロヤに敗れたが、内山拓真に勝利。昨年11月の地元愛知のRIZINのオープニングファイトで吉田陸に2R TKO勝ち。今年7月のDEEPでは鹿志村仁之助に判定勝ちし4連勝中だ。
試合は後藤の完勝に。1R、開始すぐから後藤がタックルを仕掛けると、すぐに背後に回り込み、倒して足4の字ロックで捕獲してバックマウントを奪う。後藤はパウンドを当て、パームトゥパームで首を絞めたり、アームロックを狙ったりしながら攻め続ける。
2R、日比野が逆にテイクダウンを狙うが、後藤は難なく対処し、背後から日比野を金網に押し込む。中盤にはまたも後藤がテイクダウンを奪いバックを取る。後藤は日比野の足4の字ロックで捕獲するが、股の下にも足先を絡めている。日比野は体をひねって上になろうとしたが、後藤は対応し、日比野の首に腕を絡めて、両足にも力を入れてねじってツイスターを極めタップを奪った。
マイクを持った後藤は「まだまだもっとできるんで、次、上位陣、誰かやってください。以上」とシンプルにアピールした。2戦連続ツイスターでの勝利のため、アピール効果は十分だろう。ツイスターは「グラウンド・コブラツイスト」とも呼ばれる。第1試合前に榊原CEOがケージに登場し、今日はアントニオ猪木氏の命日だと話しており、その直後に猪木氏がプロレスラー時代に得意としたグラウンドコブラで勝った点も、アピール効果となったのではないだろうか。
オープニングファイト第3試合 MMA 68kg契約 5分3R
×銀・グラップリングシュートボクサーズジム(GSB大須MACS)
○太田将吾(NEX-SPORTS)
1R 1’50” 腕ひしぎ十字固め
オープニングファイト第2試合 キックボクシング(肘無し・ワンキャッチワンアタック) 57kg契約 3分3R
○竹野元稀(風吹ジム/SB日本スーパーバンタム級(55kg)3位、WBKF世界バンタム級王者)
×内藤凌太(Bell Wood Fight Team/SB日本フェザー級(57.5kg)4位、元DEEP☆KICK -55kg王者)
判定3-0 (橋本30-29/豊島30-28/佐藤30-29)
オープニングファイト第1試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○切嶋龍輝(マーシャルアーツクラブ中津川)
×MASANARI(キック塾)
判定3-0 (橋本=切嶋/豊島=切嶋/松宮=切嶋)