修斗 5.21 ニューピアホール(レポ):新女子大会COLORS旗揚げ。AACCの「ニュースター」渡辺彩華、SARAMIを2R KOし第3代女子スーパーアトム級王者に
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
サステイン主催「プロフェッショナル修斗公式戦 COLORS(カラーズ)Produce by SHOOTO」
2023年5月21日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
女子修斗新シリーズ「COLORS」スタート。藤井惠CSO「自分の色に自信を持ち、胸を張って闘って」
プロ修斗の女子大会の新シリーズ「COLORS(カラーズ)」がスタートした。修斗は04~06年に女子大会シリーズ「G-SHOOTO」を開催しており、近年の2階級王座新設による活性化を経て、17年ぶりに女子大会を復活させる。
COLORSのCSO(Chief Strategy Officer/最高戦略責任者)には04年から13年の女子MMA黎明期に世界のトップ選手として活躍した藤井惠氏が就任した。大会のパンフレットによると、COLORSという名前には「1人1人個性が違うように闘い方も十人十色。自分の色に自信を持ち、胸を張って闘っていただきたい。そしてこの場所から光を放ちながら世界に羽ばたいてもらいたい」という藤井氏の思いが込められているという。
3月の後楽園大会でCOLORSの旗揚げが発表された際、藤井氏は「修斗ではSARAMI選手(=女子世界スーパーアトム級)や澤田千優選手(=女子アトム級王者)を筆頭に、熱い女子の戦いが繰り広げられています。東京だけでなく、大阪のBORDER、広島(中国九州地方)の闘裸男、香川(四国地方)のFORCE、北海道、沖縄等と全国の色んなところで女子の試合が組まれています。選手たちの熱い思いをここに集め、全国の女子の修斗を盛り上げたいです」と、地方から世界につながるCOLORSのビジョンを語った。プロだけでなくアマチュアでも修斗は日ごろ各地で女子の試合を実施しており、そういった育成システム、ネットワーク、そして藤井氏が長年培った各方面での信頼関係が、COLORSで活きることになるだろう。
「ニュースター」AACCの渡辺彩華、SARAMIを2R KOし第3代女子スーパーアトム級王者に
第7試合 メインイベント 修斗女子世界スーパーアトム級(50kg)チャンピオンシップ 5分5R
×SARAMI(パンクラスイズム横浜/王者)※初防衛戦
○渡辺彩華(AACC/2位)
2R 2’36” KO (レフェリーストップ:左ハイキック→グラウンドパンチ)
※渡辺が王者に
SARAMIは女子MMA大会・DEEP JEWELSの王座戦線で活躍後、ONEのトライアウト参戦を経て、20年から修斗に上がり、21年11月に黒部三奈に判定勝ちし第2代修斗女子世界スーパーアトム級王者に。昨年4月のRIZIN初戦では浅倉カンナに判定負けしたが、11月の名古屋大会ではラーラ・フォントーラに判定勝ちした。今回が初防衛戦だ。
渡辺は藤井氏、浜崎朱加、澤田ら数多くの女子強豪選手を輩出したAACC所属の新鋭。20年のプロデビュー後、ブランクが続いたが、昨年10月のパンクラスで復帰し藤野恵実に判定負け。今年1月の修斗では素質を開花させ、元王者の黒部を右のカーフキックで追い詰めてから、2R右アッパーでKO。プロ3戦2勝1敗だが黒部戦で大きなインパクトを残し、早くも王座挑戦につなげた。
3月に対戦が発表された際、渡辺は「ニュースターの誕生が切実に求められている」と話したが、SARAMIは「ニュースターとかベテランとかどうでもいい。5分5R、30分かけて倒しにいく」と回答していた。
1R、SARAMIが右フックや右の三日月蹴りを当てる場面もあるが、渡辺がスイッチを織り交ぜつつ、右のカーフキックを的確に当て続けてやや好印象。終了間際には左のミドル、膝蹴りも当てる。記者採点は僅差だが渡辺。
2R、SARAMIは渡辺にカーフを打たせない距離をつかみ、左右のストレートを立て続けにヒットする。少し流れをつかみかけたかに見えたが、渡辺もパンチを随所で返すと、パンチのフェイントから、左ハイキックをクリーンヒットする。
不意を打たれたSARAMIはダウンする。SARAMIはすぐ立って組み付くが、渡辺は突き放すと、サウスポーにスイッチしてから、またも左ハイをヒット。SARAMIがまたもダウンし、渡辺がパウンドをまとめたところで、福田レフェリーがストップした。
渡辺はプロ4戦目でベルトを巻くことに成功。マイクを持つと「AACCに移籍してずっと厳しい相手だったんですけど、ジムのみんなのおかげでここまで来れました。もっと強い選手に挑んでいくんでこれからも応援お願いします」とアピールした。
女子アトム級戦線は台湾のジェニー・ファンと1位の中村未来が勝利
第6試合 女子アトム級 5分3R
×古賀愛蘭(BURST)
○ジェニー・ファン[Zenny Huang](台湾/AACC)
3R 2’05” 裸絞め
1月にAACCの澤田千優が初代王者となった女子アトム級で2試合が組まれた。1R、ファンがプレッシャーをかけて右フックをヒットするが、古賀は組み付いて追撃を逃れる。離れると、またもファンが右フックを振るうが、古賀はタックルを合わせ、テイクダウンを奪う。一旦ファンに立たれても古賀はすぐ倒し、ハーフで押さえる。スタンドになっても古賀が押し込みつ続け、離れれば右のパンチをヒット。最後も古賀がタックルで倒して終える。
2R、ファンが腰投げで倒すが、押さえることはできず、すぐ古賀が立って押し込むと、タックルで倒して上になる。古賀がバックを取り、ハーフで押さえ、トップに戻ってもパウンドを落とし主導権を維持する。
3R、ファンが前に出て来るが、古賀は左フックで迎撃し、タックルで倒し上になる。ファンはスタンドに戻し、組んで飛びつきギロチンを仕掛けるが、古賀は頭を引き抜く。だがファンはそこから足で古賀の腕を捕まえオモプラッタを仕掛けると、そのまま裸絞めにつなげてタップアウト。ファンが見事なサブミッションで逆転勝ちを果たした。
第5試合 女子アトム級 5分3R
○中村未来(マルスジム/世界1位)
×川西茉夕(BURST)
判定3-0 (豊永30-27/福田30-27/田澤29-28)
中村は3連勝中。川西はデビューから2連続1R一本勝ち中。1R、序盤から川西が右フックで中村をひるませ、押し込んでから倒し先手を取る。だが中村はスタンドに戻し、サウスポーからの左フックを当て、組みになっても左膝を随所で強打し挽回する。記者採点は中村。
2R、中村がプレッシャーをかけ、川西の前足にローを当て続けると、川西は足を引きずるように。中村は川西の組みを警戒して、ヒット&アウェーで顔面への左右のパンチ、バックハンドブロー、右ロー等をコツコツ当て、川西を追い詰める。記者採点は中村。
3R、川西がタックルを仕掛け、背後に回ってグラウンドに引きずり込み、バックマウントを狙うが、中村は脱出する。この展開が繰り返され、中村は押し込んで膝を返す。終盤、川西はテイクダウンをほとんど取れなくなり終了する。記者採点は川西。合計29-28で中村。ジャッジ3者も中村を支持し、中村が判定勝ちで4連勝とした。
マイクを持った中村は「去年初代のベルトを取れず悔しい思いをしました。今年一戦目で強敵でプレッシャーがありましたけど、勝ててホッとしています。タイトルを目指しまたコツコツ頑張っていきます」とアピールした。
第4試合 グラップリング 女子53kg契約 8分1R
△前澤 智(リバーサルジム東京スタンドアウト/元DEEP JEWELSアトム級王者)
△杉内由紀(ポゴナ・クラブジムさいたま)
時間切れ
杉内が引き込みを繰り返し、下から前澤の片腕をつかむ。前澤は足関を狙うが、杉内は対処する。前澤はハーフで上から密着する状態が続く。終盤、前澤がギロチンのプレッシャーをかけつつ、パスガードしてマウントを奪う。最後、杉内が足関で逆転を狙うが、前澤も足を取り返し終了。規定により、時間切れドローとなったが、前澤優位の試合内容だった。
初代修斗女子ストロー級王座を争うリーグ開幕。最後の1枠は藤野恵実。宝珠山桃花&杉本恵、デビュー戦勢に完勝
初代修斗女子ストロー級王座を争う5選手参加のリーグ戦が今大会から開幕した。これまで4選手が発表済だったが、新たに42歳のベテラン・藤野恵実(トライフォース赤坂/パンクラス女子ストロー級3位・元王者)の参戦が発表された。藤井CSOの紹介で登場した藤野は「パンクラスから喧嘩売りにきました。若い芽は全部ぶっ潰すつもりです。誰にも超えられない壁になって優勝します」と宣言した。藤野は7月23日の後楽園大会でリーグ初戦を予定している。なお、藤井氏と藤野は2010年末のSRCとDREAMの対抗戦が行われた戦極 Soul of Fightで対戦し、藤井氏が判定勝ちしている。
第3試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2023 女子ストロー級 5分2R
○杉本 恵(AACC/女子スーパーアトム級世界1位/勝ち点0→2)
×吉成はるか(シューティング宇留野道場/勝ち点0)
判定3-0 (福田20-18/片岡20-18/田澤20-17)
1R、プロデビュー戦の吉成に対し、キャリアで勝る杉本が前に出て、パンチを連打してから押し込み続け、テイクダウンを狙い主導権を維持する。終盤、膠着し豊永レフェリーがブレイクをかけるが、同じように杉本がパンチ連打してから押し込み優位を維持する。記者採点は杉本。
2R、杉本は開始すぐタックルで倒すことに成功し、ケージ中央で上になって押さえる。中盤、吉成が立ちかけたタイミングで杉本がマウント、バックマウントと移行し、裸絞めを狙って吉成を追い詰める。終盤、吉成も向き直して上になるが、最後は杉本が上を取り返してパウンドを落とし終了する。記者採点は杉本。合計20-18で杉本。ジャッジ3者も杉本を支持し杉本が判定勝ちでリーグ戦の勝ち点2を獲得した。
だがデビュー戦ながらも猛者ぞろいのリーグ戦に放り込まれた吉成も、随所での防御技術は身についており、リーグ戦の4試合を通じて成長していく気配を感じた。
第2試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2023 女子ストロー級 5分2R
○宝珠山[ほうしゅやま]桃花(赤崎道場A-SPIRIT/勝ち点0→4)
×エンゼル☆志穂(GSB多治見/勝ち点0)
1R 4’39” 裸絞め
1R、金網際の差し合いの後、プロデビュー戦のエンゼルがタックルを仕掛け倒しかけるが、宝珠山が脇を差しながら潰して倒し、ハーフバックで捕獲する。終盤、バックマウントを奪うと、裸絞めを極めてタップを奪い、1R勝利のビッグポイントの4を獲得した。
女子ベテラン対決は渡辺久江が打撃で攻め込むもドロー
第1試合 女子アトム級 5分2R
△渡辺久江(ZERO/世界3位、元DEEP女子ライト級(48kg)王者)※久遠 改め
△玉田育子(AACC)
判定1-0 (福田20-18/出合19-19/豊永19-19)
玉田はかつてのG-SHOOTOの常連の一人。渡辺はG-SHOOTOのライバル団体だったスマックガールの主力として活躍していた選手だ。1R、渡辺が前蹴りを放つと、玉田が組み付いて押し込み、倒して鉄槌を落とす。だが渡辺は脱出すると、首相撲で捕まえて右膝をボディに強打する。さらに玉田のタックルを潰し、鉄槌を落とし反撃する。記者採点は渡辺。
2R、玉田はタックルで渡辺を金網に押し込んでテイクダウンを狙い続ける。渡辺は倒されないが防戦一方になってしまう。だがこのラウンドも渡辺が首相撲で膝を効かせ、上になりパウンドをヒット。離れれば左ミドルや膝も当て、打撃で印象を作る。記者採点は渡辺。合計20-18で渡辺。ジャッジは1者が順当に渡辺を支持したが、2者が玉田にもポイントを振りドローとなった。
オープニングファイト グラップリング 女子49kg契約 5分1R
△井上愛羅(ストライプル茨城)
△NOEL(AACC)
時間切れ
井上が開始すぐから引き込んで三角絞めを狙うが、NOELは防御し、足関で挽回を狙う。これも防御され、井上が下から三角を狙い続けたが、時間切れでドローとなった。判定するなら井上につきそうな内容だった。