修斗 1.15 後楽園ホール(レポ):山本琢也、山本健斗デリカットを2Rで粉砕しフェザー級王座奪取宣言。AACC渡辺彩華、元王者の黒部三奈をKO。エフェヴィガ雄志&CHAN-龍、衝撃の1R KO勝ちで新人王に
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2023 開幕戦
2023年1月15日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
修斗初参戦勢が活躍の2023年開幕戦。山本琢也、山本健斗デリカットを2Rで粉砕しフェザー級王座奪取宣言
プロ修斗の本場所シリーズともいえる後楽園ホール大会のメインイベントでは、タイトルマッチが組まれることが通例だが、2023年の開幕戦となる今大会は、上位ランカーと他団体の王座獲得経験者の試合となった。そのほかの試合は、例年暮れに行われてきた新人王トーナメントの決勝が主体で、どちらかといえば2022年度の締めくくり的なニュアンスの強い大会となる。とはいえ初参戦や東京初進出の選手が多数おり、23年の修斗を展望するうえで見逃せない大会となった。
第9試合 メインイベント フェザー級 5分3R
×山本健斗デリカット(コブラ会/世界2位、環太平洋2位)
○山本琢也(パラエストラ千葉/元GRACHANライト級・フェザー級王者)
2R 0’27” KO (左フック→グラウンドパンチ)
山本琢也もプロ修斗初参戦の選手の一人だが、原点はアマチュア修斗だった。パラエストラ千葉ネットワークの多くの選手同様、アマ修斗で経験を積み、13年の全日本選手権のウェルター級で優勝するが、翌14年、修斗でのプロデビュー戦を欠場し、同年末にGRACHANでデビューした。その後もGRACHANを主戦場にし、長岡弘樹、岸本泰昭、鍵山雄介といったベテランを下し、2階級を制覇する。21年10月にRIZINに参戦し、白川陸斗の右フックからのサッカーボールキックでKO負けして以降、試合から遠ざかったが、昨年夏にGRACHAN王座を返上し、古巣とも言える修斗から再スタートする。
山本健斗デリカットは琢也と同じ28歳で、ほぼ修斗一筋で戦ってきた選手。16年ライト級新人王で、工藤諒司とは1勝1敗。21年は高橋孝徳、浜松ヤマトに連勝したが、昨年は河名マスト、飯田健夫に連敗している。
1R、琢也が序盤からパンチを振るって前に出て、組み付いては抱え上げて倒し、押さえ込んだり金網に押し込む展開を繰り返す。健斗は動きに精彩を欠き防戦一方で、倒され際に金網をつかんでしまう場面もある。終盤、琢也は右フックを効かせ、パンチラッシュでダウンを繰り返し奪い、最後はパウンドの連打でレフェリーストップ寸前まで追い詰める。記者採点は10-8で琢也。ジャッジ3者も同じ採点だ。
2R、健斗が逆転を狙い、左テンカオを当てるなど、勢いよく攻めて来たが、琢也は左フックをヒットする。健斗は後方にダウンし、琢也がパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
完勝の琢也は「前回の敗戦から久しぶりの試合で、いろんな人に感謝しています。一番は家族のおかげです。家族を上げていいですか?(妻の)お腹に赤ちゃんがいて、赤ちゃんにも勝利をプレゼントできました。2位の選手を倒したんで、次はベルトをプレゼントしたいんで、考えてください。これからも山本家族をよろしくお願いします」とアピールした。
AACCのプロ3戦目・渡辺彩華、元王者の黒部三奈をKO
第6試合 女子スーパーアトム級(50kg) 5分3R
×黒部三奈(マスタージャパン東京/世界2位・元王者、元DEEP JEWELSアトム級王者)
○渡辺彩華(AACC)
2R 2’29” KO (レフェリーストップ:右アッパー→グラウンドパンチ)
渡辺は柔道ベースの25歳。昨年10月のパンクラスで、プロ2戦目ながら藤野恵実の相手に抜てきされるも、パンチを浴び続け判定負け。今回の修斗初戦でもベテランと戦うことになる。黒部は現在45歳。過去、渡辺と同じAACCの先輩・浜崎朱加に敗れ、修斗で大島沙緒里と杉本恵に勝利している。21年11月にSARAMIに敗れ女子スーパーアトム級王座から陥落したが、昨年は宝珠山桃花に判定勝ち、パク・ソヨンに一本勝ちと2勝している。
1R、渡辺がハイキックや右ストレートを織り交ぜつつ、右のカーフキックを随所でヒットする。終盤には黒部はカーフのダメージが溜まりスリップするようになる。記者採点は渡辺。
2R、黒部はカーフを嫌ってか?距離を潰そうと前に出続けるが、渡辺はケージの中を回って突き放し続け、随所で右のカーフを当てる。黒部をじわじわ追い詰め、中盤、黒部の勢いが落ちて来ると、渡辺が右アッパーをクリーンヒット。黒部はうつぶせでダウンし、渡辺が追い打ちのパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。試合後のマイクで渡辺は修斗女子スーパーアトム級王座奪取を宣言した。
ルイス・グスタボと同門のネイトがKO勝ち
第8試合 セミファイナル 63kg契約 5分3R
×加藤ケンジ(K.O.SHOOTO GYM/バンタム級世界9位、環太平洋10位)
○ロイベ・デ・オリベイラ・ネイト[Loibe de Oliveira Neto](ブラジル/エヴォルサオ・タイ)
2R 4’37” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ネイトはRIZINで活躍するルイス・グスタボと同門の30歳で今回が初来日。MMA戦績8戦5勝(2一本/2KO)3敗。グスタボや加藤同様にストライカータイプだ。セコンドとしてグスタボも帯同する。
加藤は20年8月のRIZINで山本アーセンを1R右フックでKO。昨年はRIZINで倉本一真に敗れ、修斗ではダイキ・ライトイヤーを1R左フックでKOしたが、9月大会では後藤丈治にカーフキックを効かされ2R KO負けと、勝ち負けを繰り返す。12月の大阪大会の試合は、相手の奇天烈の負傷欠場で流れ、早速代わりの試合が用意されたが、加藤には過酷な相手だった。
1R、ネイトが圧力をかけ、組んでの膝、右ストレート等を度々ヒットし、加藤を苦しめる。加藤も耐え、サウスポーからの左ボディやインローを随所で返す。ネイトは攻撃の振りが大きく、次第に勢いが落ちて来るものの、終盤にもパンチと膝をまとめて加藤を追い詰める。記者採点はネイト。
2Rもネイトが前に出て攻め続け、パンチやハイキックを当てて、加藤にダメージを与える。ネイトは動きが荒く、なかなか仕留めきれなかったものの、終盤、右ボディを強打すると、加藤の動きが止まる。ネイトはラッシュから倒すと、鉄槌を連打し、加藤が防戦一方となったところでレフェリーがストップした。
齋藤奨司、バンタム級ランカーの野尻定由を1R KO
第7試合 バンタム級 5分3R
×野尻定由(赤崎道場A-SPIRIT/世界8位、環太平洋7位)
○齋藤奨司(FIGHT FARM)
1R 4’23” KO (右ストレート)
野尻は1年前の後楽園大会で中村倫也にわずか25秒でKO負けして以来1年ぶりの後楽園での試合。その後は1勝1敗1分で、12月3日の山口大会で神田T800周一に判定負けしてから2カ月連続での試合となる。
齋藤はアマチュアボクシング、RISEでのキック3戦を経て修斗でプロMMAデビューした選手。昨年4月のPOUND STORMでは風間敏臣に飛び膝蹴りで逆転KO勝ちした。11月の修斗新人王トーナメント準決勝では新井拓巳と引き分け、優勢判定で新井が決勝に進んだが、齋藤にはランカーの野尻戦という、一足先に上に進むチャンスが舞い込んできた。
1R、齋藤がリーチ差を活かし、左ジャブ、右ストレートを的に当て続ける。野尻は鼻と口から出血する。野尻はタックルを仕掛けるが、齋藤は切り続け、パウンドを当てる場面も。すると終盤、野尻が組もうと突っ込んで来たところで、齋藤が右ストレートをクリーンヒット。野尻がうつぶせにダウンし、齋藤がパウンドの追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした。
エフェヴィガ雄志&CHAN-龍、衝撃の1R KO勝ちで新人王に
第4試合 2022年度新人王決定トーナメント ウェルター級 決勝戦 5分2R(延長1R)
×クアト驎[りん](パラエストラ小岩)
○エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA)
1R 1’20” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
エフェヴィガは父が西アフリカのトーゴ出身、母が日本人の23歳。空道をベースとし、修斗でMMAデビュー予定だったが、相手が決まらずにいた。その間、LDH主催大会で岡澤弘太を1R KOし、グンター・カルンダにも判定勝ちと、既に修斗参戦経験のある選手たちを下している。新人王決定トーナメントのウェルター級は2選手のみ参加で、エフェヴィガは修斗初戦が決勝となる。
試合はエフェヴィガがレベルの違いをまざまざと見せつける。1R、サウスポーから前足で右ローを当て続け、左フックを当てて組みつくと、膝蹴りを強打してから、右手でクリンチしたまま左フックを当てる。ダウンしたクアトに、エフェヴィガがパウンドを当て続けレフェリーがストップした。
エフェヴィガは「ずっとウェルター級で減量が無いので、次から一個落としてライト級でやりたいです。もし修斗でやるならライト級の人を全部倒すつもりでやります」と宣言した。
第3試合 2022年度新人王決定トーナメント フェザー級 決勝戦 5分2R(延長1R)
×椿 飛鳥(トライデントジム)
○CHAN-龍(MMA Zジム)
1R 1’52” TKO (レフェリーストップ:スラムによる左腕の負傷)
CHAN-龍は徳島のMMA Zジムに所属し、デビュー以来5戦全勝、4連続一本・KO勝ちの20歳。これまで西日本の大会に上がり続け、東京の大会には初登場となる。椿はこれまで工藤諒司、西川大和、岩本健汰といった実力者に敗れているが、昨年は岡田達磨、工藤圭一郎に判定勝ちで2連勝中だ。
1R、CHAN-龍が開始すぐから椿を金網に押し込み、脇を差して崩したり、抱えて倒す展開を繰り返す。椿はその都度立っていたが、中盤、CHAN-龍が高く抱え上げて椿を力強くマットに叩きつける。椿はマットに手をついた際に左肩を痛め、衝撃でもダメージを負ったようで動けなくなりレフェリーがストップ。CHAN-龍のTKO勝ちとなった。
第5試合 2022年度新人王決定トーナメント フライ級 決勝戦 5分2R(延長1R)
×須藤晃大(EXFIFHT)
○片山将宏(TRIBE TOKYO MMA)
判定0-3 (片岡18-20/豊永18-20/長瀬18-20)
2022年度新人王決定トーナメントはコロナ禍の影響で大会が減ったことから、約1年半かけてようやく決勝を迎えた。ウェルター級のように2選手だけの階級もあったが、フライ級は11人参加の最激戦区だった。
須藤はLDH主催の大会・EXFIGHTで試合経験を積んでから、EXFIGHT所属となり、修斗で昨年3試合経験し、1敗のあとは2連勝している。片山は21年6月のデビューから4連勝中だ。
1R、須藤が序盤から組んで倒すとすぐさまバックマウントを奪いコントロールを続ける。中盤、片山が脱出すると、ハーフで押さえて、終盤にはバックを奪い返すことに成功する。最後は裸絞めを仕掛けて追い詰める。記者採点は片山。
2R、またも須藤が開始すぐからタックルで倒し、バックを奪いかけるが、片山は防御し、すぐに上を奪い返す。中盤以降も片山がトップキープし時折鉄槌を当てる。終盤、須藤が脱出して上を奪い返し、バックを取りに行くが、すぐに片山は体をひねって上になり、パウンドを連打して終える。記者採点は片山。合計18-20で片山。ジャッジ3者も片山を支持し、片山が判定勝ちで新人王となった。
片山は「引退した先輩の清水清隆さんの代わりにフライ級のランキングをかき回します」とアピールした。
第2試合 2022年度新人王決定トーナメント ライト級 決勝戦 5分2R(延長1R)
○安海[あずみ]健人(ALMA FIGHT GYM BASE)
×深見弦汰(赤崎道場A-SPIRIT)
判定3-0 (豊永20-18/田澤20-18/福田20-17)
安海は昨年6月の札幌大会で磯部鉄心をバックハンドブローで粉砕し決勝進出。深見は昨年5月、スモーキーをフルコンタクト空手仕込みの打撃でKOしている。
1R、安海がサウスポーの深見の前足に何発も左右のローを当て続け主導権を握る。深見もパンチを返すが手数が少ない。最後は安海が首を抱えて崩し、袈裟固めで押さえて終える。記者採点は安海。
2R、深見の左フック、ストレートの強打が増えるが、攻撃数では差が大きく、安海が度々ロー、右フックを当て続け終わる。記者採点は迷ったが安海。合計20-18で安海。ジャッジ3者も安海を支持し、安海が判定勝ちで新人王となった。
2022年度新人王決定トーナメント バンタム級 決勝戦 5分2R(延長1R)
―新井拓巳(ストライプル新百合ヶ丘)
―南風原吉良斗[はえばら きらと](Theパラエストラ沖縄)
中止 (南風原が負傷欠場。新井が優勝)
第1試合 女子49kg契約 5分2R
○渡邊富紀恵(修斗GYM神戸/大道塾/2022年度女子ストロー級新人王)
×天天さくら(BATTLE)
1R 3’35” TKO (レフェリーストップ:パンチによる口内の負傷)
1R、渡邊が右フックを当てると、天天は口から出血し、中盤には右フックをもらってダウンする。渡邊が押し込み続け膠着ブレイクとなった後、ドクターチェックが入り、ストップがかかり、渡邊の勝利となった。なお、試合後には、渡邊の新人王の表彰が行われた。
オープニングファイト 68kg契約 5分2R
×ヨシ イノウエ(パラエストラTB)
○磯部鉄心(パラエストラ松戸)
2R 4’57” 横三角絞め
1R、2Rとも、イノウエがグラウンドで三角絞めや裸絞めを狙い、主導権を維持し続けたが、2R終了間際、磯部が横三角絞めを極めると、イノウエは意識を失い、磯部が見事逆転勝利した。