RIZIN 11.6 名古屋 ドルフィンズアリーナ(レポ):平本蓮、70kg契約戦で弥益ドミネーター聡志の組みを封じ判定勝ち。鈴木千裕、今成正和の足関しのぎ切り判定勝ち。元谷友貴、倉本一真退けバンタム級4連勝
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2022年11月6日(日) ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)RIZIN FF
※大会の模様はABEMA PPV ONLINE LIVEほかで全試合完全生中継
平本蓮、70kg契約戦で弥益ドミネーター聡志の組みを封じ判定勝ち
第11試合 MMA 70kg契約 5分3R
×弥益ドミネーター聡志(team SOS/元DEEPフェザー級王者/69.30kg)
○平本 蓮(ルーファスポーツ/K-1甲子園2014 -65kg優勝/69.85kg)
判定0-3 (豊島=平本/柴田=平本/片岡=平本)
スタジオマッチ形式のRIZIN LANDMARK、ケージ使用のRIZIN TRIGGER、昨年RIZINがスタートした2つのシリーズが、LANDMARK側に統合する形で今回からリニューアルした。9月25日のRIZIN.38さいたま大会で榊原信行RIZIN CEOは「RIZIN TRIGGERは廃止しLANDMARKと統合する形です。新しいLANDMARKはこれまでと違ってお客さんに会場で観戦してもらいます」と説明。試合場にはTRIGGER同様にケージが採用される。
メインイベントは弥益と平本の一戦。元DEEP王者の弥益は3月の大阪大会のメインイベントで萩原京平に1R腕ひしぎ三角固めで勝利して以来の試合で2連勝中。元K-1ファイターの平本は7月の沖縄大会で鈴木博昭に判定勝ちし、MMA 3戦目で初勝利をもぎ取って以来の試合となる。
元々この試合は66kgのフェザー級リミットで行われる予定だったが、平本が足を骨折し減量が厳しくなったことから、リミットの変更を希望し、弥益の承諾を得て、1階級上のライト級より1kg軽い70kg契約に変更となった。9月の試合発表時に平本は「格上を当ててくれとお願いして決まったんですけど、これだと勝って当たり前」とコメントしていたが、試合5日前に体重変更が発表された際には一転し「踏ん張ることが難しく、3週間ぐらい練習もままならず、過去一の強敵なので、こんなんじゃ戦えないと弱気になりました」と話していた。
契約体重変更を受け入れた弥益は自身のYouTubeで「仕事でも『この日までにこの仕事やっといて』と言って当日に『できてません』って言われるより、数日前に『すみません。間に合いません。ここまでしかできませんでした』と言ってもらった方が助かるじゃないですか。その意味ではワーストではなかった」と、年下の平本への若干の皮肉を込めつつ、サラリーマンらしい解釈で発言していた。
とはいえ体重が大幅に変われば両選手のパワーもスタミナも変化し、なおかつ平本が足の怪我を公表した状態での試合となる。興行的にはメインイベントの消滅は免れたものの、競技的にはどちらが勝っても但し書きが必要な、スッキリしない形となってしまった。
1R、サウスポーの平本に弥益が右のインカーフキックを当て、弥益が右ミドルで追撃すると、平本は右ストレートを当て、弥益をダウンさせる。だが弥益は平本の足をつかみヒールフックを極めかける。平本は上から肘を連打して脱出する。平本は仁王立ちで頭を下げ、弥益は寝転んだまま笑顔を浮かべ、場内を沸かせてからスタンド戻る。
Protect yourself at all times ‼️
But, never let them know your next move
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Hiramoto 'respectfully' implores Yamasu to stand up
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スタンドでの平本は、背筋を伸ばし、低めのガードですり足でプレッシャーをかけ続ける。試合後のインタビューでは、岩﨑達也・剛毅會空手宗師の元での練習の影響だったことを明かしている。その後も平本は弥益のタックルを切りつつ、パンチを当てて弥益をダウンさせ、グラウンドに付き合わないでスタンドに戻すファイトを貫徹する。
Striking a stance
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2Rも平本がプレッシャーをかけ、弥益は距離を取りタックルを繰り返すが、平本は潰して脱出し、スタンドに戻す展開を繰り返す。終盤、弥益は下になりながらも、またも足関を狙うが、これも平本は脱出する。最後はお見合い状態で終える。このラウンドは平本の有効打は減ったが、逆に弥益も1Rの劣勢を覆す糸口を見いだせずにいる。
3Rも平本はこれまで通り、弥益のタックルを切り、パンチを当てて倒し、グラウンドに付き合わないファイトを貫く。弥益はパンチをもらってダメージが溜まり、動きに力が入らないが、平本は最後まで消耗した様子を見せないまま終了する。だがもし本来の66kgまで落とす必要があったなら、平本のスタミナ、パンチの威力はどうなっていただろうか。平本は終了のゴング直後こそ手を上げたが、契約体重変更の件もあってか、座っている弥益にすぐに歩み寄って膝立ちで頭を下げた。記者採点は平本。ジャッジ3者も平本を支持し、平本の判定勝ちとなった。
マイクを持った平本は「今まで対戦相手でもない選手をたくさん侮辱したり、関係ない選手も巻き込んで、いつも悪態ばっかついているんですけど、この場をお借りしてお詫び、…するわけないでしょ、これからは平本蓮の時代です」と、尊敬するコナー・マクレガーを真似てアピールした。
Ren has some words to say…
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なお、試合後のインタビューで、平本は負傷箇所について「左足の人差し指の根元の骨が折れて踏ん張れず、3週間ぐらいレスリングの練習ができなかった」と明かした。大晦日大会については「試合中に同じ箇所が折れたので、ゆっくりしようと思います。頭痛じゃないです」と話し、フロイド・メイウェザーJr.とのエキシビションマッチのダメージを理由に大晦日欠場を表明している朝倉未来への皮肉を忘れなかった。
鈴木千裕、今成正和の足関しのぎ切り判定勝ち
第10試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×今成正和(今成柔術/元DEEPフェザー級&バンタム級王者、元Cage Rageフェザー級王者)
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者)
判定0-3 (豊島=鈴木/柴田=鈴木/片岡=鈴木)
46歳のベテラン・今成は昨年6月のバンタム級日本GP1回戦で瀧澤謙太に判定負け。昨年10月のLANDMARKで春日井“寒天”たけしに一本勝ちして以来の1年ぶりとなるRIZIN登場となる。8月のDEEPの試合からフェザー級に戻したが、芦田崇宏に押さえ込まれ判定負けしており、今回もフェザー級での試合となる。
今回、摩嶋一整(毛利道場)とのグラップラー対決が組まれ注目されたが、摩嶋が練習中に左肘関節内側側副靭帯を損傷しドクターストップがかかり、鈴木千裕への相手変更が大会5日目に発表された。
鈴木は18年にパンクラス・ネオブラッドトーナメントで優勝し、昨年7月にキックのKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者になると、MMA復帰とキックとの“二刀流”を宣言。昨年9月のRIZINでのMMA復帰戦では、昇侍にわずか20秒でTKO負けしたが、その後は昨年11月に山本空良に判定勝ち、今年3月に平本蓮に判定勝ちし、9月25日のさいたま大会では萩原京平に2R裸絞めで一本勝ちし、RIZIN 3連勝中だ。それから約1か月半の試合間隔となる上、短時間で今成の関節技対策がどの程度できるか気になるところ。また逆に、今成にとっても摩嶋から鈴木と、全く違うタイプの選手との戦いに変わることになる。
1R、今成が足関節技を狙ってスライディングを仕掛けるが、鈴木はかわす。猪木アリ状態になれば、離れたところから鈴木はローを当て、今成は蹴り上げを狙う。今成は金網際まで動いてから立ち、ノーガードで半身で構え誘うが、鈴木は距離を保って深入りしない。終盤になっても鈴木は今成に触れさせず、随所でローを当て続ける。終了間際には猪木アリ状態で、顔面とボディへの踏みつけを連打する。鈴木はMMAの練習先のパラエストラ八王子の塩田歩代表の指示通り、作戦を貫徹している様子だ。
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2Rも今成が金網を背負い続けるかマットに寝転ぶ状態を続け、鈴木が距離を取って右ローを当てる展開が続く。猪木アリ状態が続くと、残り1分、レフェリーがブレイクをかける。だが今成が背中を向けて片膝立ちになりかけた段階で、レフェリーはファイトとコールしてしまう。鈴木はチャンスと判断したか?右足で今成を踏みつけようとする。ところがこれが裏目となり、今成はついに右足をつかむことに成功し、ヒールフック、膝十字を狙う。鈴木はピンチに陥るが、必死にもがいて防御を続け、ギリギリで極めさせず終える。
3Rも今成が寝転んで回る「今成ロール」で足関を狙うが、鈴木は防御を続け、足にローを当て続ける。最後、寝転んだ今成にパウンドと踏みつけを当てたところで終了する。記者採点もジャッジも鈴木を支持し、鈴木の判定勝ちとなった。
鈴木は「いやあ、怖かった。やっぱ格闘技って面白え。ずっとこうやってお互い正々堂々、変な小細工しないで真正面から戦う試合がしたかったです。今成さん、僕の壁になってくれてありがとうございます。この経験を持ってチャンピオンに上がります。最後に、やっぱKOじゃないのにマイク持つって下がるね。大晦日、絶対KOすっから出場させてください」とアピールした。
元谷友貴、闘牛士のように倉本一真を攻略しバンタム級4連勝
第9試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×倉本一真(リバーサルジム新宿Me,We)
判定3-0 (橋本=元谷/豊島=元谷/柴田=元谷)
元谷は昨年9月のバンタム級日本GP 2回戦で瀧澤謙太に1R TKO負けし、大晦日のGPリザーブファイトでは金太郎に判定勝ち。4月のTRIGGERではアラン“ヒロ”ヤマニハに判定勝ちし、7月のRIZIN.37さいたま大会ではタックル一辺倒の太田忍を打撃で攻略し判定勝ちし3連勝中だ。
倉本は2月のTRIGGERで加藤ケンジに1R TKO勝ち。4月16日のTRIGGERで金太郎と戦う予定だったが、大会2日前に金太郎が急性腰痛で動けなくなり試合が中止に。そのため5月5日のLANDMARKで試合が用意されたが、試合前に膝を負傷し、魚井フルスイングに判定勝ちしたものの持ち味を発揮できずにいた。
試合はMMA経験が豊富な元谷が闘牛士のような動きで、倉本を翻弄する内容に。1R、倉本が開始すぐから前に出て、金網に詰めてタックルで倒す。元谷は下から腕十字、足関を狙いスタンドに戻す。倉本は再び詰めようとするが、元谷は金網を背にしつつ、右フック、右膝を当てる。さらに元谷が左ミドルを当てると、倉本はやや苦し紛れにタックルを仕掛けるが、元谷は潰してハーフで押さえる。倉本は脱出するが、元谷はがぶった状態から頭に膝を連打する。離れても倉本は執拗に前に出るが、元谷は右の三日月蹴りを連打し、左フック、右カーフ、左前蹴りも当てる。
2Rも元谷が右フック、右カーフを的確に当て、主導権を維持する。中盤、倉本が背後からしがみつき、得意のジャーマンスープレックスを決めるが、すぐに元谷は立つ。元谷は変わらず左ジャブ、膝等をヒット。倉本にじわじわダメージを与える。終盤、倉本は組んで反り投げを狙うが失敗し、元谷は潰して背後に回り、バックマウントを取ることに成功する。元谷はパウンドを連打し時間内に仕留めようとするが、バランスが悪くなってしまい、倉本は脱出し、押し込んで肘を当てて終える。ここまで元谷優勢だが、最後のラッシュで元谷は体力を使って疲れた様子だ。
3R、元谷は組んで左右の膝を随所でヒット。さらに片足タックルを仕掛けるが、疲れている影響で力が入りきらなかったか?倉本は切って背後にしがみつき、またもジャーマンで投げる。離れると倉本は変わらず前に出続けるが、倉本も疲れており、パンチを振る動きが荒い。その中で元谷は的確にパンチや膝をコツコツとヒットし続ける。残り1分のアナウンスを聞いた元谷は、左右のフックを連打し倉本を後退させる。最後、倉本が元谷を金網に詰め、パンチを振い続けるが、動きが単調で、元谷は頭を振ってかわし続けると、パンチの連打から右ストレートを当てて倉本をダウンさせ、右のサッカーボールキック、パウンドを当てて終える。記者採点もジャッジ3者も元谷を支持し元谷の判定勝ちとなった。
マイクを持った元谷は「本当はバチっと勝って、年末、朝倉(海)選手と言いたかったんですけど、判定でしょぼい試合をしちゃったんで、一歩ずつ上がっていきます」と謙虚にアピールした。
ミノワマンZ、1Rで敗れるも恒例のスタンディングリアルフィスト
第8試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
×ミノワマンZ(フリー/89.95kg)※ミノワマン 改め
○侍マーク・ハント[桑原清](Martial Arts Fighter team侍/117.65kg)
1R 2’24” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
今大会開催地の愛知の隣の岐阜出身の選手同士の一戦。46歳のベテラン、ミノワマンは今月「ミノワマンZ」にリングネームを改めての初戦。20年大晦日のRIZIN初戦でスダリオ剛にカーフキックを効かされTKO負けして以来のMMAの試合となる。「侍マーク・ハント」こと桑原は18年8月のRIIZNでロッキー・マルティネス1R KO負けして以来のMMAの試合。計量での体重は30kg近い開きがある。15kg以上の体重差がある場合、グラウンド状態での頭部への蹴りの有無を軽いほうの選手が選択できるが、ミノワマンZは認める。
1R、体格で勝る桑原が開始すぐから倒して上になるが、ミノワマンZは脱出する。ミノワマンZがパンチの連打を当てるが、体格で勝る桑原が左ジャブを一発当てるとミノワマンZはダウンする。桑原は上になり、トップポジションやバックマウントからパウンドを当て続け圧倒する。中盤にはマウントポジションでパウンドを当て続けていると、ミノワマンZの動きが止まったのをレフェリーがストップ。ミノワマンはすぐに立って不満を示したが、ストップは妥当な範囲だろう。
ミノワマンZは先に退場したが、桑原は「リングでやり残したことがあるでしょ」とミノワマンZを呼び戻す。ケージの中に戻ったミノワマンZは「俺は参ったしてねえぞ。レフェリーが勝手に止めたんだよ。今日はお前の勝ちだ。おめでとう。宇宙の皆様ありがとうございます。Zをみんなで作り上げていきましょう。侍マーク・ハントからアピールもらったように、せっかくなんでスタンディングリアルフィストやらせていただきたいと思います」と話し、恒例の拳を上げて「オイ!オイ!」と叫ぶパフォーマンスを観客と繰り広げ、最後は「また会おう」と話してケージを降りた。
ギブレイン、スダリオ剛の双子の弟・貴賢神を1R KO
第7試合 MMA 体重無差別 5分3R
○カルリ[カリュ]・ギブレイン(ブラジル/ブラジリアン・タイ/GLADIATORヘビー級王者、元HEAT同級王者/110.45kg)
×貴賢神[たかけんしん](フリー/119.75kg)
1R 4’35” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ギブレインは18年から日本で試合を重ね、19年に石井慧に一本負け。MMAと並行しつつ4月からRISEにも上がり、南原健太、MAX吉田に連勝。9月25日のRIZIN.38でRIZINに初参戦したが、シビサイ頌真の寝技に対応できず、わずか1分48秒、裸絞めで一本負けしている。今回は地元名古屋での試合だ。
貴賢神はスダリオ剛の双子の弟。昨年7月に大麻の使用が判明し、日本相撲協会から懲戒解雇された。4月のTRIGGERでMMAデビューし、関根“シュレック”秀樹に2Rに寝技で攻め込まれパウンドを浴びTKO負けしている。
なお、この試合は大会5日前、ヘビー級(120kg)から体重無差別への契約体重変更が発表された。しかし前日の発表体重はギブレインが110.45kg、貴賢神が120kgをわずかに下回る119.75kgだった。
1R、開始すぐからギブレインが前に出て、左右のフックを振う。貴賢神はステップで動きつつ、右のローを当てるが、ギブレインは前に出続け、時折パンチを当て貴賢神を苦しめる。終盤、ギブレインは右ボディも絡めて削るように。するとギブレインが右フックをヒット。貴賢神は苦し紛れにタックルで防御しようとするが、ギブレインは潰して上になり、上から右のパウンドと肘を当て続けたところでレフェリーがストップした。ギブレインは「大晦日に戦いたいです」とマイクアピールした。
SARAMI、バッティングで出血もフォントーラを最後追い詰めRIZIN初白星
第6試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
○SARAMI(パンクラスイズム横浜/修斗女子世界スーパーアトム級(50kg)王者)
×ラーラ・フォントーラ(ブラジル/コンストリクター・チーム/PAWCストロー級王者、COFフライ級王者
判定3-0 (豊島=SARAMI/吉田=SARAMI/柴田=SARAMI)
SARAMIは昨年11月の修斗女子世界スーパーアトム級王座戦では王者の黒部三奈に判定勝ち。4月のRIZIN.35でRIZINに初参戦したが、浅倉カンナのテイクダウンとグラウンドコントロールに手を焼き判定負けしている。
フォントーラは柔術をベースとし、MMA 7戦全勝、うち5試合が腕十字による一本勝ちというレコードを作り、7月のさいたま大会でのRIZIN女子スーパーアトム級GP一回戦でRIZINに初参戦。伊澤星花に1Rギロチンチョークで一本を取られたが、序盤は三角絞めで追い詰めファンを驚かせた。
1R、スタンドの打撃戦が続き、長身のフォントーラが左ジャブを放つ。SARAMIが右フックを放つと組み付くが、フォントーラは突き放す。だがこの際にバッティングとなり、SARAMIは右眉の上を出血しドクターチェックが入る。止血後再開すると、お互い距離を取り、慎重に打撃を狙う状態が続く。終盤、フォントーラが左ジャブや右膝、SARAMIが左フックや右ストレートを当てる場面もあるが、なかなかヒットが伸びず、膠着状態が続く。
2R、SARAMIが序盤から組んで押し込んだが、すぐフォントーラは突き放す。SARAMIがプレッシャーをかける打撃戦が続き、中盤、SARAMIは右フックを当てた後、ボディに左前蹴りを当てると、少しフォントーラは苦しそうな様子を見せる。終盤、SARAMIは右のカーフキックもヒットする。フォントーラも左ハイを当てて少しSARAMIをひるませるが、SARAMIがプレッシャーをかけ続け終える。
3R、SARAMIがプレッシャーをかけ続け、お互い打撃を出すが、なかなか強打にはつながらない終盤、SARAMIの右まぶたの出血が激しくなり、またも止血が入る。この間にSARAMIは作戦を変更したか?再開後、フォントーラの左フックに合わせて胴タックルを仕掛け、テイクダウンに成功。すぐにサイドに回り腕十字を狙うと、フォントーラは防御したが、SARAMIはサイドで押さえ続ける。SARAMIは膝と鉄槌を随所で当て、攻勢を印象づけて終える。記者採点は最後に差を見せたSARAMI。ジャッジ3者も同様で、SARAMIが勝利を告げられると涙を流して喜んだ。
マイクを持ったSARAMIは「4月、つままんない試合をして、今日もつまんない試合をして、やっと勝てました。こんな私ですけどこれからも応援していただけるとうれしいです」と話した。
中村優作、征矢貴との接戦制し連敗脱出
第5試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○中村優作(TEAM FAUST/元WSOF-GCフライ級王者)
×征矢 貴[そや たかき](パラエストラ松戸)
判定2-1 (豊島=征矢/内田=中村/片岡=中村)
中村は昨年10月の横浜大会で伊藤裕樹と対戦し、1R終盤に左フックを浴びダウンし、パウンドを浴びTKO負けして以来1年ぶりの試合。
征矢はクローン病の療養を経て4月のTRIGGERで2年半ぶりに復帰し、中務修良と対戦し、2Rに左フックからのパウンド、サッカーボールキックでTKO勝ちして以来の試合。
1R、征矢がプレッシャーをかけ、中村は回って距離を取る構図。中盤、征矢がタックルから押し込むが、倒せず離れ、征矢が圧をかける状態に戻る。お互い時折パンチと蹴りを出すが、手数は伸びず、まだクリーンヒットにはつながらない。終盤にも征矢が中村を押し込むが、離れると中村の左ジャブで征矢がスリップする。征矢はすぐ立つが、中村はタックルで倒す。これも征矢はすぐ立つが、最後に中村が好印象を残して終える形に。
2R、征矢がタックルを仕掛け、中村は耐え続けるが、1分過ぎにテイクダウンに成功する。中村はすぐ立つと、中盤には右ストレートを当て、少し征矢をひるませる。中盤、中村が左ジャブ、右ストレートのヒットを増やすが、終盤、征矢がタックルから倒して上で押さえる。これも中村は間もなく立つが、征矢は右のバックハンドブローを当てる。緊張状態が続く内容なこともあってか、お互いゴングが鳴った後は肩で息をしてしんどそうだ。ここまで中村の打撃の有効打がやや目立つ。
3Rも征矢が押し込み、執拗にテイクダウンを狙うが、中村は耐える。だが征矢は背後からしがみついて、金網を背にしつつグラウンドに引き込むと、バックマウントを取ることに成功する。しかし中村は征矢の腹の上に座る状態にまで動き、背後の征矢に右肘を連打し、攻める側に回る形に。最後は征矢が上になるが、その先に持ち込む時間が無く終了する。記者採点は打撃の有効打で印象を作った中村。征矢も組む時間が長かったせいもあり、ジャッジは割れたが、2者が中村を支持し、中村が判定勝ちした。
マイクを持った中村は「初めて3連敗になってからの試合で、やっと勝てました。来年、フライ級GPぜひやりましょう」と少し涙声で話した。
青井人、鈴木博昭の打撃に苦しみつつも判定勝ち
第4試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○青井 人(BLOWS)
×鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM/ボンサイ柔術/元シュートボクシング世界スーパーライト級(65kg)王者)
判定3-0 (豊島=青井/片岡=青井/吉田=青井)
青井は昨年6月のRIZIN.29で白川陸斗に判定負けして以来1年半ぶりのRIZIN登場。最近はDEEPに出場し、2月の木下尚祐戦では2R TKO勝ちしたが、5月の神田コウヤ戦では3R TKO負けしている。
シュートボクサーの鈴木は昨年10月にRIZINでMMAデビュー後2戦2勝。最近では7月の沖縄大会で平本蓮と打撃戦の末に判定1-2で惜敗している。今回は意外にもキャリア初の名古屋での試合。青井の組技への対応が勝敗の鍵となるだろう。
1R、青井がサウスポーの鈴木に対し、右インロー、右フック、左ジャブを当てる。だが鈴木はパンチの打合いで被弾しながらも右フックをヒット。コーナーに詰めて左フックも当てて追い詰めるが、青井は片足タックルからテイクダウに成功し、ハーフでガッチリと押さえる。中盤過ぎ、鈴木は金網を背に立ち上がる。終盤、青井は鈴木の蹴り足をつかんで倒そうとするが、鈴木は防御する。それでも青井は片足タックルから倒し、今度はサイドで押さえて終える。
2R、スタンドの攻防が続き、鈴木が左フックを当てる場面もあったが、中盤、青井が足払いを狙いつつ左脇を差して崩して上に。金網際でハーフで押さえる。サイドに移っても押さえ続け、終了間際にはマウントを取り、肘を落として攻勢を印象付ける。
3R、青井が序盤からタックルを仕掛け、抱え上げて倒し、金網際でサイドで押さえる。ハーフと行き来しつつ主導権を維持。鈴木は防戦一方に。それでも鈴木がもがいて下から膝を青井の鼻に当て、青井に大量の鼻血を出させたが、青井はしぶとく押さえ続ける。終盤、青井が立ち、猪木アリ状態になったところで、青井にドクターチェックが入る。試合は猪木アリ状態から再開。鈴木は立ち上がり、スタンドに戻るが、すぐに青井がタックルで倒して押さえる。鈴木は蹴り上げを当てる場面もあるが、青井が押さえ続け、最後はがぶった状態で終了する。
記者採点もジャッジも、グラウンドで長時間主導権を維持した青井を支持し、青井の判定勝ちとなったが、鈴木の打撃に苦しむ内容だったため、青井に笑顔は無かった。
ボンサイ柔術・ヤマニハ、NEXUS王者・河村泰博を寝技で圧倒し判定勝ち
第3試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ボンサイ柔術)
×河村泰博(和術慧舟會AKZA/Fighting NEXUSバンタム級王者)
判定3-0 (片岡=ヤマニハ/吉田=ヤマニハ/豊島=ヤマニハ)
ヤマニハは昨年のバンタム級日本GP一回戦で倉本一真に判定勝ちし、2回戦で朝倉海に判定負け。3月20日の大阪大会では手塚基伸に2R裸絞めで一本勝ちしたが、4月17日のRIZIN.35では元谷友貴に判定負けした。前回は1か月足らずの試合間隔だったため、今回はコンディションを整えやすいだろう。
河村はRIZIN初参戦の31歳。パンクラス、ZSTでの戦いを経て、昨年からNEXUSに上がり2戦目で福島啓太に勝利しバンタム級王者に。11月のVTJでは佐藤将光に1R TKO負け。8月のNEXUS王座初防衛戦では、4月のTRIGGERで渡部修斗に判定勝ちした須藤拓真と対戦し、2Rダースチョークで一本勝ちした。
1R、河村がタックルを仕掛け、今成ロールに近い形で足関を狙うが、ヤマニハは難なく潰すと、サイドを取って膝とパウンドを当て、バックとマウントを行き来し、コントロールを続け圧倒する。終盤、マウントから三角を狙うが、バランスが崩れ、河村が脱出する。すると河村が右ストレートを当て、ヤマニハをひるませる。ヤマニハはタックルを仕掛けて倒して押さえて、追撃を封じて終える。
2R、ヤマニハは序盤から片足タックルで倒す。河村は足を取りに行くが、ヤマニハは潰し、マウントを取って、またも三角を仕掛けるが、これも脱出を許す。ヤマニハはチャンスで2度ミスするが、またもグラウンドに戻すと、押さえ続けて主導権を握り続ける。最後はバックマウントをキープして終える。
3R、河村が左ボディを当てるが、すぐにヤマニハは組み付いて、またも倒して上になる。ヤマニハはまたもマウントから三角を狙うが、これも対処され、すぐにトップに戻る。するとまたもマウントを取ってから、今度は三角を狙いつつも腕十字を狙う。河村はヘッドシザースで応戦するが、ヤマニハは外し、続けて三角と腕十字を狙い続けて終了する。記者採点もジャッジ3者もヤマニハを支持し、ヤマニハの判定勝ちとなった。ヤマニハは同僚のホベルト・サトシ・ソウザやクレベル・コイケのような一本勝ちにこだわった様子だが、パウンド主体ならTKO勝ちできたような試合だった。
ヤン・ジヨン、昇侍に続き魚井を撃破。大晦日参戦希望
第2試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)
○ヤン・ジヨン(韓国/チェジュ・チーム・ザ・キング)
2R 4’13” KO (左ストレート)
魚井は3月のLANDMARKで伊藤空也に、5月のLANDMARKで倉本一真に判定負けし連敗中。
ジヨンはキック11勝1敗でWAKO韓国王座を獲得後MMAに転向し、Road FCの大会で4戦4勝。7月のRIZIN.36沖縄大会でRIZINに初参戦。対戦予定だった朝倉海の欠場により、昇侍と戦い3R裸絞めで一本勝ちした。前回はフェザー級だったが今回は本来のバンタム級での戦いとなる。
ケージサイドの席では海と昇侍が並んで試合を見守る。1R、両者サウスポーで構え、ジヨンがプレッシャーをかけ続け、中盤に左フックを振るってから押し込む。膠着ブレイクがかかると、魚井が右のオーバーハンドフックを当てジヨンをひるませる。終盤、ジヨンがタックルで倒して金網際で押さえ込むが、その先には持ち込めない。
2R、ジヨンがプレッシャーをかけ続けるが、魚井は右フックを振って上に意識させつつ、随所で左のカーフキックを当てる。とはいえ連打にはつながらず。ジヨンもなかなか手が出ず、膠着状態が続いたが、終盤、ジヨンが一瞬オーソドックスに切り替えながらプレッシャーを強め、魚井を金網際に詰めると、サウスポーに戻してから、ワンツーでの左ストレートを魚井のアゴにクリーンヒット。魚井はあおむけでダウンし、ジヨンが左の鉄槌を連打したところでレフェリーがストップした。マイクを持ったジヨンは「大晦日のRIZINにぜひ呼んでください」とアピールした。
MMA未勝利対決は久保優太がTKO勝ち
第1試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×奥田啓介(フリー)
○久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE/元K-1ウェルター級(67.5kg)王者)
1R 4’43” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
久保は昨年の大晦日のRIZINでシバターとMMAルールで対戦し、1R腕十字固めで一本負けして以来の試合(競技を運営する日本MMA審判機構(JMOC)のフェイスブックの試合結果では非公式戦扱い)。たが試合前、シバターが久保に「1ラウンド目は本気でやらずに軽く流して、2ラウンド目からお互い本気でやりましょ」と提案し、電話とLINEを使って試合展開について談合(=事前の打ち合わせ)を行っていたことが試合後に発覚した。両選手はじめ、関係者・マスコミ・ユーチューバー等の情報発信で新年早々混乱を呼んだことについて、RIZINの榊原信行CEOは「品性下劣な連中がYouTubeで情報を拡散したことで邪推を生んだ」と批判しつつ、両選手の処分については「ここから学び是正する部分はあるけど、彼らを処分する考えは全くないです」と話していた。
奥田は愛知の隣の三重県出身。12年レスリング世界大学選手権9位の結果を残し、大学卒業後にプロレスラーとなり、15年にはINOKI BOM-BA-YEでMMAデビュー。その後もFighting NEXUS、巌流島等で格闘技とプロレスを並行する。10月のRIZIN LANDMARKで元シュートボクシング世界王者・鈴木博昭のMMA初戦の相手を務めるも1R TKO負け。翌11月のTRIGGER神戸大会ではブラジリアン柔術黒帯のグラント・ボグダノフに1R裸絞めで一本負けしている。MMA戦績は0勝4敗で、久保とは未勝利同士の対決となる。
1R、サウスポーで構える久保がに対し、奥田がプレッシャーをかけ、右インローを当てつつ、タックルから金網に押し込む。中盤、奥田は反り投げを狙った様子だが、そのまま真後ろに倒れてしまい、久保は労せずしてマウントポジションを取ることに成功する。すると久保は右肘を度々ヒットする。奥田は脱出できず防戦一方に。何発も当て続け、久保がパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
相手の自爆に救われる形ながらも、MMA初勝利をあげた久保は「去年大晦日にああいう大炎上するような不祥事を起こし、進退を考えるつもりだったんですけど、実は陰でこそこそ練習し、BRAVEの宮田代表にはSNSに載せないで欲しいと言って、こういうチャンスが来たら発揮して(いくつもりでした)。K-1チャンピオンとしてRIZINに来たけど勝てなくて、人生ってこんなに大変なんだなって。支えてくれたみんなと(パートナーの)サラちゃんに感謝の言葉を伝えたいです」「これが本当の僕の再出発です。ここから頑張ります」とアピールした。
オープニングファイト第3試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○日比野“エビ中”純也(ISHITSUNA MMA)
×吉田 陸(スプラッシュ)
2R 3’00” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
オープニングファイトでは中京地区の選手同士の試合が並んだ。1R、日比野が序盤からテイクダウンに成功すると金網際で押さえ、立たれても押し込み、離れても間もなく倒して押さえ込み、主導権を維持する。最後、投げに失敗した日比野を吉田が踏みつけようとするが、クリーンヒットにはならない。
2Rも日比野がテイクダウンを繰り返し、グラウンド技術で差を見せつける。パウンドも連打しじわじわダメージを加え、最後は背後から押さえながらパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップした。
オープニングファイト第2試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○久保健太(グラップリングシュートボクサーズ多治見)
×秀義[ひでよし](翼鍛練所/OVEYL)
2R 2’52” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、久保が長時間秀義を金網に押し込むが、終盤にブレイクがかかると、秀義がサウスポーからの左ストレート、ハイ等を当てて好印象を残す。
2R、秀義が右のバック肘を当てて久保をひるませる。さらに右フックからのタックルでテイクダウンを奪う。だが久保はすぐ立つと、右ストレートを当てて秀義を金網に押し込んでから、膝蹴りを立て続けにボディにヒット。秀義は苦しそうで、久保が顔面に左膝を当てると、秀義は崩れ落ち、久保がパウンドと踏みつけをまとめたところでレフェリーがストップした。
オープニングファイト第1試合 キック(肘無し・組んでからの攻撃は1回) 53kg契約 3分3R
○佐藤執斗(グラップリングシュートボクサーズ名古屋/シュートボクシング日本バンタム級(52.5kg)王者)
×KAZUNORI(T-KIX GYM/DEEP☆KICK -53kg級1位)
1R 0’39” KO (左ハイキック)
1R、佐藤がプレッシャーをかけ、左の前蹴りとミドルを度々当て先手を取る。すると佐藤がサウスポーにスイッチしてから、左ハイをクリーンヒット。ダウンしたKAZUNORIは立ち上がれず、佐藤がわずか39秒でKO勝ちした。