RIZIN 7.31 さいたまスーパーアリーナ(レポ):女子スーパーアトム級GP開幕戦 伊澤星花・浜崎朱加・RENAが初戦突破。パク・シウ、浅倉カンナを圧倒
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湘南美容クリニック presents RIZIN.37
2022年7月31日(日) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
女子スーパーアトム級GP開幕。伊澤星花、浜崎朱加、パク・シウ、RENAが初戦突破
第14試合 MMA RIZIN WORLD GP 2022 スーパーアトム級(女子49kg)トーナメント1回戦 5分3R
○伊澤星花(フリー/RIZIN女子スーパーアトム級王者、DEEP JEWELSストロー級(52.2kg)王者)
×ラーラ・フォントーラ[Laura Fontoura](ブラジル/コンストリクター・チーム/PAWCストロー級王者、COFフライ級王者)
1R 3’47” フロントチョーク
女子スーパーアトム級GP(トーナメント)が今大会から開幕し、日本から同級王者の伊澤星花、前王者の浜崎朱加、17年トーナメント優勝者の浅倉カンナ、RIZIN女子部門のパイオニア・RENAの4人が出場し、それぞれ海外勢相手に一回戦を行った。準決勝の組み合わせは未定で、9月25日のさいたま大会で実施し、決勝は大晦日大会を予定している。賞金は優勝700万円、準優勝300万円の合計1千万円で、ほかにもKO賞などの副賞も用意される予定だ。
伊澤は中学時代にレスリング全国中学生選手権で優勝し、高校時代に柔道でインターハイ3位に入賞。2年前にMMAを始め、プロ3戦目でDEEP JEWELSストロー級王座を獲得。昨年10月のDEEPではパク・シウに判定勝ち。大晦日のRIZIN初戦で浜崎に2R TKO勝ちし、4月の再戦でも浜崎に判定勝ちし、浜崎からRIZIN女子スーパーアトム級王座を奪った。6月末にはDEEPバンタム級暫定王者・COROとの結婚を発表した。一回戦の相手・フォントーラは21歳。柔術をベースとし、MMA 7戦全勝、うち5試合が腕十字による一本勝ちによるものだ。
1R、開始すぐに伊澤がタックルを仕掛けるが、フォントーラは切ってロープに押し込んでから引き込んで下になり、足を登らせる。フォントーラは少しずつ三角絞めの形を作り、下から鉄槌も当てる。フォントーラの典型的な柔術の攻めに、伊澤は防戦一方だ。
しかし伊澤は外すと、すぐに下からギロチンチョークを仕掛ける。そのままリバースに成功すると、上になったまま首を絞め続け、再び下になったところで最後はフォントーラからタップを奪った。
マイクを持った伊澤は涙声で「チャンピオンになってから、練習キツかったですけど、ファンいっぱいで、いい勝ち方できてうれしいです。セコンドの横田(一則)さん、弟の風我、COROさんのおかげです。風我もDEEPフライ級トーナメントが決まっています。これがCOROさんとのYouTubeのQRコードです。アメブロもやっています。優勝してチャンピオンになります」とアピールした。
第13試合 MMA RIZIN WORLD GP 2022 スーパーアトム級(女子49kg)トーナメント1回戦 5分3R
○浜崎朱加(AACC/元RIZIN女子スーパーアトム級王者、元INVICTA世界アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者/48.85kg)
×ジェシカ・アギラー(メキシコ/パウンド4パウンド&ブラジリアン・ウォリアーズ/元WSOF女子ストロー級)
判定3-0 (豊島=浜崎/柴田=浜崎/松宮=浜崎)
浜崎は昨年3月の名古屋大会で浅倉カンナに判定勝ちし王座初防衛し、9月に藤野恵実に判定勝ち。だが大晦日大会で伊澤に2R TKO負けし、4月のベルトを懸けての再戦でも判定負けした。
対する現在40歳のベテラン・アギラーは12年と13年、浜崎の師匠の一人・藤井惠に2度勝利している。その後はWSOF(現PFL)でタイトルを獲得し、15~19年にUFCに上がったが、クラウディア・ガデーリャ、コートニー・ケイシー、ジャン・ウェイリー、マリナ・ロドリゲスに敗れ1勝4敗と苦戦した。試合は20年11月にXFCでダニエル・テイラーに敗れて以来約2年ぶりとなる。
試合は浜崎が今も一線で戦う選手としての強さを示す内容に。1R、浜崎が開始間もなくの両足へのタックルでテイクダウンに成功し、コーナー際でハーフガードで押さえる。アギラーはスタンドに戻すが、終盤、浜崎の左の三日月蹴りがクリーンヒットすると、アギラーは顔をしかめ動きが止まり、浜崎はコーナーに詰めてパンチを連打する。最後は浜崎が上から押さえて終える。
2Rも序盤から浜崎がタックルで倒し、上になるが、その先に持ち込めず、猪木アリ状態からスタンドに戻る。浜崎はまだも左三日月を放つが、アギラーは察知して距離を詰める。その後はアギラーが圧をかけ続け、時折右ストレートを当てて挽回する。浜崎は攻撃が返せず、タックルも切られるように。
3R、しばらく見合ったが、浜崎が再び圧をかけ続けると、タックルで倒しハーフで押さえる。じっくり動いて中盤にはマウントを奪う。最後は胸の上に乗り動けなくし、パウンドを何発も当てて追い詰めて終了。浜崎がしっかり差を見せつけ判定勝ちした。
マイクを渡された浜崎は涙を流し「連敗が続き、その中でジェシカ選手でプレッシャーを感じましたが勝ててホッとしています。仲間たちに感謝を伝えたいです。9月、準決勝で勝って決勝に進みたいです」と話した。
第10試合 MMA RIZIN WORLD GP 2022 スーパーアトム級(女子49kg)トーナメント1回戦 5分3R
×浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント2017優勝)
○パク・シウ(韓国/KRAZY BEE)
判定0-3 (柴田=パク/松宮=パク/豊島=パク)
浅倉は昨年3月に王者・浜崎朱加に挑戦し判定負けし、10月のDEEP 2階級王者・大島沙緒里戦でも判定負けし2連敗を喫したが、今年4月の修斗王者SARAMI戦では判定勝ちしている。
シウはDEEP JEWELSを主戦場とし、一昨年末から日本に定住し、山本美憂のいるKRAZY BEEに移籍。富松恵美、青野ひかるに勝利し、大島沙緒里とは1勝1敗。昨年10月には伊澤星花に判定負けしたが、大晦日のRIZIN初戦ではRENAと接戦を繰り広げ判定勝ちしている。
1R、浅倉がサウスポー、シウがオーソドックスで構え、シウは右ローを時折当てると、右ストレートで浅倉をひるませる。浅倉のタックルもシウは切り続けるが、終盤に浅倉もパンチを少し当て印象を作る。
2R、浅倉は再三組み付き押し込みテイクダウンを狙うが、シウは防御を続け立ち続ける。シウはタックルを潰して浅倉の頭と体に膝を当て、上から鉄槌を当て、好印象を残す。終盤には足を掛けて倒す場面も。
3R、シウは浅倉をコーナーに押し込んで肘を当て、離れれば右ストレートを当て、倒しては腕十字を狙い、自在に攻めて浅倉を圧倒する。浅倉は度々タックルを仕掛けるが力が入らず簡単に切られ続け、次第に弱気な表情に。シウは長時間浅倉をコーナーにつめ、パンチと蹴りを何発も当ててダウン寸前まで追い込む。レフェリーは止めてもいいぐらいのダメージだったが、最後はシウが右ハイで浅倉をダウンさせて終了する。シウは文句なしの判定勝ちで準決勝に駒を進めた。
シウは日本語で「パク・シウはこれからです。これから強くなるので応援お願いします」とアピールした。
第9試合 MMA RIZIN WORLD GP 2022 スーパーアトム級(女子49kg)トーナメント1回戦 5分3R
○RENA(シーザージム/シュートボクシング女子世界フライ級(51kg)王者)
×アナスタシア・スヴェッキスカ[Anastasia Svetkivska](ウクライナ/サブハンター/パンチャーファイトクラブ)
判定3-0 (柴田=RENA/豊島=RENA/松宮=RENA)
RENAは昨年11月の沖縄大会で山本美憂に2R TKO勝ちしたが、大晦日大会ではパク・シウと接戦の末に判定負けしている。対するスヴェッキスカはアマチュアMMAのIMMAFの19年世界選手権優勝者。プロでは2戦2勝の24歳。
1R、スタンドの攻防で、両者パンチ、右ローを当てる。中盤、スヴェッキスカが組んできたが、RENAは突き放すと、左のストレートを連続で当ててダウンさせ、スヴェッキスカの立ち際には右ハイもヒット。パウンドで追い詰める。スヴェッキスカは耐え、最後はスタンドに戻る。
2R、RENAがプレッシャーをかけ続けるが、スヴェッキスカはステップで回り続け、RENAになかなかヒットを許さない。RENAが中盤に右ストレートでひるませたが、その先が続かない。3Rも同様で、RENAが前に出続け、時折当てるが、捕まえきれず終了。終始優勢だったRENAが判定勝ちした。
ロシアに侵略されているウクライナから来たスヴェッキスカは、試合後はウクライナの国旗を掲げ、勝ち名乗りを受けたRENAも旗を持ち一緒にアピールした。マイクを持ったRENAは「優勝するには実力が足りないです。もっと頑張ります。アナスタシア選手、ウクライナから大変な中、来てくださりありがとうございました。滅茶苦茶強かったです」とスヴェッキスカを称えた。
これで9月25日のさいたま大会の準決勝のメンバーは、伊澤、浜崎、シウ、RENAに決定。組み合わせは未定だったが、浜崎とRENAはAACCの練習仲間で、伊澤と浜崎はここ1年弱で2度戦ったため、伊澤×RENA、浜崎×シウしか考えられない状態となる。RIZINの榊原信行CEOも大会後の総括で「チームAACCのこととか、ここまでの対戦の状況も含めて普通に考えて、伊澤×RENA、浜崎×パク・シウでいきたい」とコメントしている。
神龍誠、所英男の関節技に手を焼くも判定勝ち
第12試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
○神龍 誠(神龍ワールドジム/DEEPフライ級王者)
判定0-3 (松宮=神龍/柴田=神龍/豊島=神龍)
所は20年大晦日のRIZINで、MMAデビュー戦の太田忍に2R腕十字で一本勝ちして以来のMMA。5月のRIZIN LANDMARKにはグラップリングタッグマッチに出場した。今回は階級を下げての試合となる。現在44歳。
対する神龍は7月5日に22歳になった。20年8月の横浜大会で伊藤盛一郎と激闘の末に2Rギロチンチョークで一本勝ちして以来2年ぶりのRIZIN出場。その後、故郷の宮城でのジムのオープンの影響もあり、2試合しかしていないが、今年5月のDEEPでのフライ級王座統一戦で暫定王者の藤田大和に3Rニンジャチョークで一本勝ちしDEEP王座統一を果たすと「UFCのオファー、お待ちしています」「世界に行けないならRIZINしかないですね。DEEPのチャンピオンとしてDEEP最強を示したいです」と話していた。
1R、序盤から神龍がタックルで倒すが、すぐに所は足を取りに行く。だが神龍は防御し、所の腕を取り反撃する。関節の取り合いから、神龍がハーフで押さえる展開に移行する。神龍は肘を当てるが、所は執拗に足関節技を狙い続け、神龍に思うように攻めさせない。
2R、開始すぐから神龍が左フックを当て、すぐ組み付いて倒し上になる。神龍は時折パウンドを当てるがダメージを与えるほどにはならない。所は変わらず執拗に足関を狙い、膝十字を極めそうになるが神龍は防御する。
3R、所が左のテンカオを放った際に後ろにスリップするが、神龍が押さえに行ったため、またも所にとって戦いやすい寝技の展開に。神龍はハーフで押さえるが、所はガードの中に入れると腕十字を狙い、神龍は防御する。その後は神龍がバックを取りかけるなどコントロールを続け、パウンドも絡め、所にチャンスを与えず終了する。
記者採点は神龍。テイクダウン、グラウンドでの打撃が上だったと評価した。ジャッジ3者も神龍で神龍の判定勝ちとなったが、所の関節技の極まり具合がもう少し深ければ所に票が入っていても不思議ではないぐらいの接戦で、伸び盛りの神龍相手に所がよく健闘したと言っていい内容だった。
武田光司、ケースを撃破
第11試合 MMA 72kg契約 5分3R
×ジョニー・ケース(米国/MMAラボ)
○武田光司(BRAVE/元DEEPライト級王者)
判定0-3 (豊島=武田/柴田=武田/豊永=武田)
ケースと武田は4月のRIZIN.35に出場し、ケースはホベルト・サトシ・ソウザのライト級(71kg)王座に挑戦し1R一本負けし、武田は初来日のスパイク・カーライルに2R一本負けし、今回が揃って再起戦となる。両者ともレスリングをバックボーンに持つ点で共通する。
1R、ケースがオーソドックス、武田がサウスポーで構え、ケースが圧力をかけて右ストレート、右ハイを積極的に放つ。武田は防御できており、右ストレートを時折返すが手数が少ない。
2R、武田が動きを細かくして圧力をかけ返すと、右フックを当ててから組み付き、ギロチンを狙うが、ケースは突き放す。しかしその後も武田がパンチを当て優位に。ケースが消耗すると、武田は背後からしがみつき、得意のジャーマンスープレックスを決め、ケースの立ち際にはサッカーボールキックも当てる。終盤には組み倒してパウンドを当て追い詰める。
3R、武田はしつこく背後から組み付き投げを狙いながらコントロールする。終盤、ロープ際で引っ掛かりそうな場面が多いせいか、松宮レフェリーはいったん止めて中央に二人を移動させると、すぐ武田はジャーマンを決める。最後も不完全ながら投げ倒し終了する。ジャッジ3者とも順当に武田を支持し、武田の判定勝ちに。勝ち名乗りを受けた武田は涙を流し大喜びした。
武田は「勝ったぞ。やってみないとわからないですよね。下馬評で負けると言われ、全部出して勝ちました。入場前、DEEPの佐伯(繁)代表に肩を叩かれ『死ぬなよ』と言われましたが生きてます」と話して笑いを取ると「阿部大治さんと(米国の)ユナイテッドMMAで練習し、少しでもスキルを上げられのかなと思います。まだ強くなります」とアピールした。
第8試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○スダリオ剛(PUREBRED)
×関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)
1R 0’53” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
スダリオは昨年10月のRIZIN横浜大会でSAINTに1R KO勝ちして以来の試合。関根は4月のRIZIN TRIGGERで、スダリオの双子の弟・貴賢神(たかけんしん)のMMAデビュー戦の相手を務め2R TKO勝ちしている。
1R、スダリオがスイッチも織り交ぜながら圧力をかけ、関根をコーナーに詰め続けると、サウスポーの構えから左フックを関根にヒット。関根をダウンさせると、パウンドで追い打ちをかけたところで、すぐさま片岡レフェリーがストップした。左フックは反則部位である後頭部に当たったようにも見えたが、有効打とみなされた。スダリオは「次は日本人じゃなく外国人とお願いします」とアピールした
元谷友貴、総合力の差見せ太田忍に完勝
第7試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×太田 忍(パラエストラ柏/16年リオ五輪レスリング・グレコローマン59kg級銀メダリスト)
判定3-0 (豊永=元谷/松宮=元谷/片岡=元谷)
元谷は昨年9月のバンタム級日本GP 2回戦で瀧澤謙太に1R TKO負けし、大晦日のGPリザーブファイトでは金太郎に判定勝ち。4月の武蔵野大会ではアラン“ヒロ”ヤマニハに判定勝ちし2連勝中だ。
太田はレスリングで五輪銀メダル獲得の活躍をした後、20年大晦日のRIZINでのMMAデビュー戦では所英男に一本負けしたが、以降は昨年9月に久保優太、大晦日に祖根寿麻相手に連勝している。5月のRIZIN LANDMARKではグラップリングタッグマッチに出場した。
1R、太田が序盤から組み倒し、その後も押し込む展開を繰り返すが、離れれば元谷が膝、パンチを当てる。タックルに合わせて当てる場面も。最後、太田は上で押さえるが、その先には持ち込めない。
2Rも太田は猪突猛進にタックルを繰り返すが、元谷は切ったり離れたりすると、蹴りを顔面に度々当て、太田を苦しめる。
3R、太田はテイクダウン奪うが、元谷が脱出しハーフで押さえ続け、パウンドを当て印象を作る。スタンドに戻り、終盤に太田が右フックを一発強打したが、それ以外は元谷がパンチ、膝を的確に当て続け、最後はコーナーに詰め連打し終了。タックル一辺倒の太田相手に打撃で好印象を残し、総合力の差を見せた元谷が判定勝ちした。
第6試合 MMA 68kg契約 5分3R
×関 鉄矢(SONIC SQUAD/ZSTフェザー級王者)
○中原由貴[よしき](マッハ道場/元GLADIATORフェザー級王者)
判定0-3 (片岡=中原/松宮=中原/豊永=中原)
中原は29歳でRIZIN初登場。12年にデビューし14年にGLADIATOR王座を獲得。15年から上がったパンクラスで7連勝しフェザー級1位にまで上がり、19年2月からONEに参戦。強豪グラップラーのゲイリー・トノンにこそ一本負けしたものの、それ以外の3試合ではいずれも白星をあげている。試合は昨年4月のONEのシネチャツガ・ゼルトセトセグ戦で相手の反則失格で勝利して以来となる。
当初の対戦相手・佐々木憂流迦が新型コロナウイルス感染により欠場し、関が大会1週間を切ってからのオファーで緊急出場した。関は20年8月のRIZIN初戦で神田コウヤにTKO勝ちし、2戦目の昨年3月の試合では堀江圭功にTKO負けした。DEEPでの試合を経て、今年5月のRIZIN LANDMARKでは原口央と対戦し、接戦の末に判定勝ちしている。
1R、中原がサウスポー、関がオーソドックスで構え、スタンドの打撃戦が続くが、お互いまだ有効打は乏しい。2Rもお互いカウンター狙いで慎重な攻防が続くが、その中で中原がプレッシャーをかけ続け、左ストレート、ボディを的確に当てる。関は鼻血を出し少し苦しそうだ。
3R、中原は序盤から手数を上げ、ボディ、顔面に左のパンチを度々当て関を追い詰める。中盤以降は手数が落ちるが、終了間際に右フックを当ててひるませ、主導権を維持し判定勝ちした。
第5試合 MMA 80kg契約 5分3R
×マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術)
○阿部大治(フリー/DEEPウェルター級王者、元パンクラス同級王者、元J-NETWORKライトヘビー級(79.38kg)王者)
2R 3’02” KO (右フック→右サッカーボールキック)
マルコスはホベルト・サトシ・ソウザの兄で37歳。20年2月の静岡大会でファルコ・ネトに1R TKO勝ちして以来2年半ぶりの試合となる。阿部は3月の大阪大会でストラッサー起一とウェルター級(77kg)で対戦し判定勝ち。今回はマルコスに合わせミドル級寄りの試合となる。
1R、マルコスは序盤から組み付き、中盤に倒してバックを取ると、裸絞めを狙うが、阿部は間一髪で脱出する。マルコスは詰めた練習ができていないか?早くもバテているが、最後はジャーマン気味に豪快に抱え上げて倒して終える
2Rも執拗にマルコスは組みに行くが、力が入らず、阿部に切られるように。すると中盤、阿部が左ジャブからのカウンターの右フックをクリーンヒットし、マルコスをダウンさせると、右サッカーボールキックも当ててとどめを刺しKO勝ちした。
阿部は「真夏に、判定ダメだよKOじゃなきゃ、ですよね」と、トレーナーの五味隆典の決めセリフを借りつつ、「この階級も先頭立って引っ張っていくんで応援お願いします」とアピールした。マルコスは試合後のインタビューでMMA引退を表明している。
第4試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○ウガール・ケラモフ(アゼルバイジャン/オリオン・ファイトクラブ)
×山本空良[そら](パワーオブドリーム/Fighting NEXUS&PFCフェザー級王者)
判定3-0 (片岡=ケラモフ/豊島=ケラモフ/豊永=ケラモフ)
山本は7月2日の沖縄大会でカイル・アグオンに判定勝ちし、4連勝・RIZIN 3連勝中だ。白川陸斗の欠場により、沖縄大会から5日後、同じ月のさいたま大会でのケラモフ戦が発表された。ケラモフは昨年6月の東京ドーム大会で当時フェザー級王者の斎藤裕に判定負けし、4月の武蔵野大会では中島太一に1R 三角絞めで一本勝ちしている。
1R開始すぐ、山本の左前蹴りをケラモフがつかんで倒して上になる。山本は下から腕十字を仕掛け、ケラモフは防御しスタンドに戻す。ケラモフは左フックをヒット。山本は右ミドルを出すが、これもケラモフがつかんで倒し上に。またも山本は下から執拗に腕を取ろうとするが、ケラモフは防御を続ける。
2R、スタンドの攻防が続き、ケラモフが時折パンチを当てつつ、タックルから抱えてテイクダウンしまたも上になる。山本はまたも腕を取りに行くが、これもケラモフが防御する。
3R、ケラモフがスタンドで圧をかけ続け、中盤にまたも倒して上に。山本は下から腕、足を取りに行くが、ケラモフが防御を続け終了。山本の寝技を封じ、テイクダウンと打撃で印象を作ったケラモフが順当に判定勝ちした。
ポスト天心?龍聖・笠原弘希が完勝
第3試合 キック(肘無し・つかんでからの膝は1回) 58kg契約(フェザー級相当) 3分3R
○龍聖(TRY HARD GYM/KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者)
×魁志[かいし](Vigor Kickboxing Gym/NJKFフェザー級6位)
3R 1’23” TKO (レフェリーストップ:左テンカオでダウン後)
龍聖はHIROYA率いるTRY HARD GYMに所属する10戦10勝7KOの21歳で、KNOCK OUTでのベルト獲得、メインイベンターとしての活躍を経て、待望のRIZIN初登場。同じくRIZIN初登場の魁志は大阪在住の24歳で、戦績6戦5勝1敗。
1R、龍聖が圧力をかけ、右ストレート、左ボディ等を多く当て、飛び膝のフェイントを絡めての右ストレートも当てる。だが魁志も随所で右ストレート、左ミドルを返し、手数では劣るもものある程度渡り合って見せる。
だが2R、龍聖が左ミドル、左ボディを効かせると、魁志は後退。龍聖がボディに攻撃を集中しつつ、右の飛び膝を顔面に当ててダウンを奪う。その後もボディに攻撃を効かせ圧倒する。
そして3R、龍聖が魁志に左ボディを効かせてうずくまらせてから、左テンカオをクリーンヒット。ダウンした魁志を見た長瀬レフェリーがすぐさまストップした。
マイクを持った龍聖は「RIZINにキックいらないと言っている馬鹿MMAファンの皆さんに認めてもらいたかったですけど、KO絶対してやろうという気持ちが強すぎてしょっぱい試合になりました。まだまだですけど、RIZINのキックを引っ張っていけるようになります」と毒舌を絡めつつアピールした。
第2試合 キック(肘無し・つかんでからの膝は1回) 63kg契約 3分3R
○笠原弘希(シーザージム/シュートボクシング日本ライト級(62.5kg)王者、元同スーパーフェザー級・フェザー級王者)
×石月祐作(KAGAYAKI/RISEスーパーフェザー級(60kg)2位)
判定3-0 (片岡29-28/柴田30-27/豊永30-26)
笠原弘希は3月のRIZIN大阪大会、6月のTHE MATCHでも勝利した笠原友希の兄で22歳。小学4年でシーザージムに入門し、15歳でのプロデビュー後はSBルールでMOMOTARO、内藤大樹、重森陽太にも勝ったことがある。4月には西岡蓮太を左ボティフックでKOしSB史上初の3階級制覇を達成。6月のSBではバズーカ巧樹を肘で切り裂きTKO勝ちした。
石月は26歳でキックを始め現在31歳。新潟在住でRISEを主戦場とし、昨年は竹内皇貴、櫻井健に勝利したが、10月のRISEスーパーフェザー級暫定王者決定戦では一馬に5R KO負けし、今年4月のRISE代々木大会の常陸飛雄馬戦では1R KO負けしている。今回は2週間を切っての試合発表ということもあってか、上の階級での試合となる。
1R、両者頭を近づけてのパンチ主体の攻防。石月もボディと顔面に当てていたが、笠原が終盤、左右のフックの連打でダウンを奪う。その後も連打でダウン寸前まで追い詰める。
2R、お互いミドル、膝を絡めるようになるが、基本パンチ主体は変わらず。手数は笠原が上だが、石月も鼻血を出しつつ、中盤にコーナーに詰めて連打をまとめる等、ある程度渡り合う。このラウンドはイーブンか。
3Rもパンチの打ち合いが続き、石月の連打を笠原がノーガードで受け、場内がどよめく一幕も。RIZINという大舞台で、笠原はいつもよりもお客さんを楽しませることを意識している感がある。終盤は笠原が膝も絡めつつ、ボディに攻撃を集め、左ハイ等も当て手数で差をつけ終了し判定勝ちした。3Rはジャッジ1名が石月につけた模様だ。
第1試合 MMA特別ルール 62kg契約 3分3R
○YUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
×覇留樹[はるき](宴UNIVERSE)※須藤武尊 改め
2R 0’43” 裸絞め
YUSHIは昨年大晦日大会で三浦孝太のMMAデビュー戦の相手を務め、攻め込まれ続け1R TKO負け。5月のLANDMARKではZENKIに2R KO勝ちしている。覇留樹もYUSHI同様、いわゆる地下格闘技大会出身でプロデビュー戦。
1R終盤、サウスポーの覇留樹が左ローを当てた際、YUSHIが右フックで押し倒し、すぐにバックを取り、パウンドを連打する。覇留樹は寝技に対応できない。2Rも同様に序盤からYUSHIが倒すと、バックから裸絞めを極めて一本勝ちした。