ONE Championship 4.15 シンガポール:上久保周哉、今回も“永久寝技地獄”引きずり込みONE 5連勝。中原由貴、無念の反則勝ち。クリスチャン・リー、アルバレスに勝ったナシューヒンを73秒で粉砕
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ONE Championship「ONE ON TNT II」
2021年4月8日(木)収録 15日(木)放送 シンガポール・インドア・スタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C) ONE Championship 中継:ABEMA格闘チャンネル
上久保周哉、今回も“永久寝技地獄”引きずり込みONE 5連勝
第1試合 MMA バンタム級 5分3R
×ミチェル・チャマール[Mitchell Chamale](米国)
○上久保周哉(TRI.H studio/頂柔術)
2R 2’13” 裸絞め
ONE Championshipが米国の大手ケーブルテレビ「TNT」を通じて4月の毎週水曜夜(現地時間)に4回に渡り放送する「ONE on TNT」シリーズの2週目。(デメトリアス・ジョンソン、エディ・アルバレスらの出場した1週目の記事はこちら)
今回、日本からは中原由貴と上久保周哉が出場した。“永久寝技地獄”の愛称でも知られる上久保は18年からONEに上がり4戦全勝。19年11月にブルーノ・プッチを得意の寝技で圧倒し判定勝ちして以来、1年5カ月ぶりの試合となる。今回はトロイ・ウォーゼンと戦う予定だったが、ウォーゼンは来週放送回での強豪・ジョン・リネカーの相手に変更。新たに相手に決まったミチェル・チャマールはONE初参戦の36歳のグアテマラ系の米国人で、柔術をベースとし、MMA戦績は7勝2敗。5年ぶりのMMAの試合だという。
1R、開始すぐから上久保はダッシュして金網に詰めて押し込み、30秒ほどでテイクダウンに成功する。上久保は金網際で押さえて早くも主導権を握る。そしてじわじわとバックに移動し、チャマールが立ってもしつこく組み付いて再び倒して上になる。上久保はサイドから押さえ続け、時折右膝をチャマールの頭に当てる。
2R、上久保は同様にすぐ詰め、右フックを当ててから組み付き、1分過ぎにテイクダウンに成功し、すぐバックマウントを取る。両足でガッチリ捕獲すると、裸絞めを極めてタップを奪い、チャマールに何もさせず完勝した。
試合後の上久保の談話がONE Championshipから届いている。
◆上久保
ひとまず試合をすることが出来て良かったなと思いました。試合をせずに帰国する可能性も十分にありましたから。無観客であったり、入場曲が自分のものでなかったり、ましてや対戦相手が直前で変更されたのもあってリハーサルだった感が無くもないです。今までと違って試合をした実感は無いです。
(この試合でどんな自分を見せられた?)ケージの中に入って相手と対峙するまで何があるかわからないという事は身を持って学びました。そして、どんな相手だとしても気を抜く事はなく、丁寧に正しく基本的な事をやり続ける事の大切さを学びました。今回は実は新しい組技のスタイルを試したので、過去の試合と見比べて欲しいなと思っています。
(チャマールと戦った感想)直前に(対戦相手の変更を)知らされてその後に調べたのですが、試合映像はほぼ無く、ムエタイ経験があることと、柔術黒帯ということはわかりました。1Rで仕掛けられたバギーチョークは絞まりこそしませんでしたが、動くことができず試合が膠着してしまいました。彼のやりたい技をやらせてしまった事は反省点です。
(次は誰と戦いたい?)今回は勝って当たり前の相手に勝っただけなので、これといったアピールにはならなかったなと思っています。欲を言うならランキングに入っているような選手、1位のジョン・リネカーやユサップ・サーデュラエフ、リネカーとやる予定だったスティーブン・ローマン(元Brave CFバンタム級王者)は興味があります。
中原由貴、反撃途中で無念の反則勝ち
第3試合 MMA フェザー級 5分3R
×シネチャツガ・ゼルトセトセグ[Shinechagtga Zoltsetseg](モンゴル)
○中原由貴(マッハ道場/元パンクラス・フェザー級1位)
2R 4’54” 反則失格
中原は2月26日のONEで1年10月ぶりの試合に臨み、ルスラン・エミベック・ウフールに右フックで90秒TKO勝ち。今度はそれから2カ月弱という短いスパンでの試合となる。
対するシネチャツガ・ゼルトセトセグ(モンゴル)はONEの登竜門大会・ウォリアーシリーズで18年から4勝1敗の好戦績を残し、今年1月にONE本戦デビュー。マー・ジャウェン(中国)を右フック一撃でわずか55秒でKOした。ONEは期待のハードパンチャー対決として組んだものと思われる。
1R、両者サウスポーに構え、中原は片足タックルを仕掛け、一発でテイクダウンに成功して、ハーフガードで押さえる。中原はパウンド、肘、膝をヒット。中盤、ゼルトセトセグはスタンドに戻し、スイッチを繰り返しつつ、随所で右のストレートを随所で当てる。終盤、中原は片足タックルを仕掛けるが、今度はゼルトセトセグが切る。最後、ゼルトセトセグは左右のフックを立て続けに当てると、中原はフラついてラウンドを終え、印象を悪くする。
2R、中原は距離を取り、左ミドルをヒット。ゼルトセトセグは息が荒くなってきた。中原は序盤から組み付いてテイクダウンに成功。バックを狙うが、ゼルトセトセグは立って離れる。中原は再びタックルを仕掛け、金網に押し込んでからテイクダウンに成功する。
中原はハーフからマウントに移動し、パウンドを当てつつ、バックマウントとマウントを行き来しながら裸絞めも狙う。ONEはトータルマスト判定でありつつ、ジャッジは打撃を重視する傾向が強いため、1Rの中原の打撃のダメージを考慮すれば、ここで中原はサブミッションに行かず、しっかりパウンドや肘でダメージを与えるのを優先したほうが良かったかもしれない。
すると残り30秒を切り、中原が足関節技を狙うと、体をひねって逃げようとしたゼルトセトセグの右足が、蹴る形で中原の顔に当たる反則となり、中原のダメージが大きく一時中断する。その後の中原の様子はカメラに映されなかったが、続行は難しかった様子で、レフェリーはゼルトセトセグの反則負けを宣告。中原は勝ちの流れだったが、すっきりしない勝ち方となってしまった。
試合後の中原の談話がONE Championshipから届いている。
◆中原
なんか、複雑な気持ちです。ルールが違えば負けていた。ただ、ルールが違えば、レッグロックのトライもやり方を変えていたので、そこは深く考える必要がないのかも知れませんが。
(この試合で出せたこと、出せなかったことは?)出せていない事も多かったけれど、試せた事も多かったです。組技に関しては不細工ではありましたが、本番の緊張感の中で試運転できてよかったと思っています。
(ゼルトセトセグと戦った感想)思いっきりの良い選手でした。ハンドスピードとパンチの重さがすごく、プレッシャーを感じました。そのプレッシャーで、思ったようにいかない事もいくつかありました。
(リマッチを望みますか?)正直すぐに再戦といわれてもピンとこないですね。負けている展開での出来事だとは思っていないし、確かに歯切れは悪いけれど、ここで足踏みはしたくないです。それに、この試合で色々とわかった事やつかめた物がある。それを持ってランカーに挑みたいのが率直な意見です。再戦はお互いが上に登ってからでもいいかなって感じです。ノーコンテストになっていたり、負けている状況であったなら(=パンチでダウンさせられて、反則攻撃を食らっていたなら)、やらなければならないというか、やりたいと思っていたと思います。
(試合後にゼルトセトセグとの会話はありましたか?)ホテルでPCR検査を受ける時に、会話をしました。反則に対してコーチ、相手から謝罪を受け、その他に関しては、お互いここからだな的な会話でした。お互いにカタコトなんで、深い話はできてないです(笑)。
青木に勝ったクリスチャン・リー、アルバレスに勝ったナシューヒンを73秒で粉砕しライト級王座防衛
第5試合 メインイベント ONE MMAライト級タイトルマッチ 5分5R
○クリスチャン・リー(シンガポール/米国/王者)
×ティモフィ・ナシューヒン(ロシア/3位)
1R 1’13” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※リーが2度目の防衛
ONE MMA女子アトム級王者・アンジェラ・リーの姉・クリスチャンは、19年5月に青木真也を下してライト級王座を奪取。昨年10月にユーリ・ラピクスに1R TKO勝ちして初防衛し、今回が2度目の防衛戦だ。対するナシューヒンは14年からONEに上がり、19年3月の両国国技館大会ではONE初参戦の元UFC王者・エディ・アルバレスをKO。最近では昨年11月にピーター・バウシュトに判定勝ちしている。
1R開始すぐ、ナシューヒンの左フックに合わせ、クリスチャンがタックルを仕掛けるが、ナシューヒンは切る。ナシューヒンはプレッシャーをかけるが、クリスチャンは回って距離を取り続ける。するとナシューヒンは右フックを振るうが、クリスチャンはかわすとカウンターで左フックをアゴにクリーンヒット。ナシューヒンはダウンし、クリスチャンが上から右のパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップ。クリスチャンが見事な短時間TKO勝ちで防衛を果たし、米国のMMAファンに向け最高の形でアピールした。
第4試合 コーメインイベント ムエタイ 女子アトム級 3分3R
○ジャネット・トッド(米国/2位、キック同級王者)
×アン・リン・ホグスタッド(ノルウェー/3位、キック同級4位)
3R 1’36” TKO (レフェリーストップ:左ミドルキックでダウン後)
第2試合 MMA フライ級 5分3R
×キム・キュサン(韓国)
○ワン・シュオ(中国)
3R 1’51” KO (右肘打ち)