ONE Championship 4.8 シンガポール:アドリアーノ・モラエス、デメトリアス・ジョンソンに2R KO勝ちし王座防衛。エディ・アルバレス、反則負け。ロッタン完勝。ケール、アラゾフに判定勝ち
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ONE Championship「ONE on TNT I」
2021年4月8日(木)シンガポール・インドアスタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C)ONE Championship
メインカード
第5試合 メインイベント ONE MMA フライ級タイトルマッチ 5分5R
○アドリアーノ・モラエス(ブラジル/王者)
×デメトリアス・ジョンソン(米国/1位、ONEフライ級GP’19優勝、元UFCフライ級王者)
2R 2’24” KO (グラウンドでの顔面膝蹴り→パンチ)
※モラエスが初防衛
ONE Championshipが米国の大手ケーブルテレビ「TNT」を通じて4月の毎週水曜夜(現地時間)に4回に渡り放送する「ONE on TNT」シリーズ。米国の中継が主眼のため、日本では通常のONEとは朝夜が逆の時間帯での放送となる。
第1週の今回はONEと契約中の元UFC王者2人、DJことデメトリアス・ジョンソンとエディ・アルバレスが揃い踏みする。DJは堀口恭司ら相手にUFCフライ級王座を11度防衛。12度目の防衛戦で敗れた試合を最後にUFCを離れると、19年からONEに参戦。ONEフライ級GPで若松佑弥、和田竜光、ダニー・キンガドを破って優勝を果たした。その決勝以来1年半ぶりの今回の試合では、ONE同級王者のアドリアーノ・モラエスに挑戦する。
モラエスは堀口と同じフロリダのアメリカン・トップチームに所属する柔術黒帯。13年からONEに上がりONEでは9勝3敗で、14年にONEフライ級王者に。1度の防衛の後、カイラット・アクメトフに敗れ王座から陥落するが、16年に暫定王者になると、17年の王座統一戦でアクメトフに判定勝ちし王座奪還。再び1度の防衛の後、今度はジェヘ・ユスターキオに敗れ王座陥落するが、19年1月のラバーマッチでユスターキオにリベンジし3度目の戴冠を果たした。ONEフライ級を象徴する選手の一人で、DJのいわば“米国復帰戦”、ONEの米国進出において申し分のない相手といえよう。
1R、DJが中央で構え度々スイッチして素早く動き、モラエスが距離を取り広いケージで大きく動く構図。お互い攻めが少なく、中盤、レフェリーが「アクション」とコールすると、DJが組み付き、モラエスが押し込むが、すぐ離れる。DJが左ミドルを蹴ると、モラエスは蹴り足をつかんでグラウンドに引き込み、アキレス腱固めを狙う。DJが防御すると、モラエスは固執せず外し、上になって押さえ、時折パウンドを当てて好印象を作る。DJは長期戦と試合全体で採点するONEルールを意識してか、無理して立とうとしないようにも見える。
2R、DJは変わらずプレッシャーをかけ、モラエスが回り続ける。お互い攻撃は少ないが、中盤、突如試合が動く。詰めて来るDJに対し、モラエスが右の飛び蹴りを放つと、DJはかわし、蹴り足をすくう。モラエスは一回転して足を引き抜き、DJは左右のフックを振って詰めるが、モラエスが右アッパーをDJのアゴにヒットする。DJが尻餅をついてダウンすると、モラエスは金網際で上になり、頭を上げたDJの顔面に、左の膝を当てる。DJが倒れ、モラエスがパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。モラエスが一瞬の隙を突き、UFCでは無効でONEでは有効なグラウンド膝蹴りも駆使し、フライ級世界最強と言われ続けたDJを、全米中継の大一番で見事粉砕した。
第4試合 コーメインイベント(セミファイナル) MMA ライト級 5分3R
―エディ・アルバレス(米国/元UFC&ベラトール・ライト級王者)
―ユーリ・ラピクス(モルドバ/2位)
無効試合
※当初の裁定は1R 1’03” アルバレスの反則失格負けだったが、26日に無効試合に裁定変更と発表された。(関連記事)
日本でもお馴染みのアルバレスもDJ同様に19年からONEに上がるが、ライト級GP一回戦でティモフィ・ナシューヒンにまさかの1R KO負け。ナシューヒンの負傷で準決勝に復活し、エドゥアルド・フォラヤンに1R裸絞めで快勝したが、決勝を前に負傷し欠場した。ONE移籍後、今一つピリッとしないが、1年8カ月ぶりの今回の試合で、健在ぶりを示したいところ。
対するユーリ・ラピクスはONE MMAライト級2位。昨年10月にONEライト級王者のクリスチャン・リーに挑戦したが1R TKO負けした。来週の「ONE on TNT II」でリーが3位のナシューヒンと防衛戦を行うため、アルバレスが今回勝てば王座挑戦に大きく近づくだろう。とはいえラピクスは15戦で黒星はリー戦のみで、ONEでの2勝はいずれも裸絞めでの一本勝ち。寝技になればストライカータイプのアルバレスにとって危険な相手だ。
1R、長身のラピクスに対し、アルバレスが序盤からタックルを仕掛けて倒し、寝技勝負に挑む。アルバレスは金網際でハーフで押さえると、右のパウンドを連打する。アルバレスば反則となる耳から後ろへの攻撃をしているため、レフェリーは注意し、ラピクスも左手で耳のあたりを押さえて防御し注意を呼びかけるが、アルバレスは変わらず後頭部に右のパウンドを当て続ける。するとラピクスは倒れ、アルバレスが顔面に右のパウンドを連打したところでレフェリーがストップ。アルバレスの反則負けとなり、全米中継は波乱のスタートとなった。
第6試合 ムエタイ 61.5kg契約 3分3R
○ロッタン・ジットムアンノン(タイ/ONEムエタイ・フライ級王者)
×ダニエル・ウィリアムス(オーストラリア)
判定3-0
第5試合のDJの試合がメインイベントだが、その後に行われたのがロッタンの試合。オープンフィンガーグローブでのムエタイは米国の格闘技ファンにどう映るか気になるところだ。ウィリアムスは15年のK-1 55kg初代王座決定トーナメントで瀧谷渉太に判定負けした選手で、ムエタイがベースだ。
1R、まだお互い慎重だが、ロッタンが随所で右フック、左ミドル、右ローを的確に当て、やや優位に試合を運ぶ。だがウィリアムスもパンチを当て、ロッタンは少し左まぶたを腫らす。
2R、ロッタンは左ボディを効かせつつ、左フックも当てると、左フックの連打でダウンを奪う。ロッタンは組めば右肘もヒット。左の前蹴りでウィリアムスを吹き飛ばす。ウィリアムスは左眉尻も切られ防戦一方だ。
3R、ウィリアムスは飛びついての右肘を放ち、右のパンチをヒットし、逆転を狙う。積極的にパンチを振るうが、ロッタンはクリンチでうまく封じ、左ミドル、右のパンチを返す。中盤、ウィリアムスのドクターチェックが入り再開。ウィリアムスは攻めの流れが寸断された感があり、ロッタンはパンチ、肘の手数を上げ、反撃を封じ終了。ロッタンが盤石の強さを見せ判定勝ちした。
リードカード
第3試合 MMA ウェルター級 5分3R
×タイラー・マグワイア(米国)
○レイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)
判定0-3
第2試合 キックボクシング フェザー級 3分3R
×チンギス・アラゾフ(ベラルーシ/元K-1 WORLD GPスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
○エンリコ・ケール (ドイツ/ K-1 WOLD MAX 世界トーナメント’13優勝)
判定0-3
ONEで実現した元K-1王者対決。両者は16年に対戦し、アラゾフが5R KO勝ちしている。1か月前のカード発表時点では4月21日の放送予定だったが、他のカードの中止により、8日の生放送枠に入った。
1R、サウスポーのケールが圧をかけ、序盤から積極的にパンチを当て、左インローも絡める。アラゾフは時折スイッチしつつ、左の前蹴り、ボディ、膝を当てつつ、右ストレート、ミドル、ローも散らす。終盤、ケールの左ストレートでアラゾフがのけぞり、少し印象を悪くする。ポイントはケールか。だがケールは左まぶたを腫らしている。
2Rもケールが前に詰め、パンチを積極的にヒット。アラゾフは大崩れはしないが、パンチをもらってバランスを崩す場面が時折ある。アラゾフは左の前蹴りや右ミドルを当てるが、ケールの圧力は落ちない。
3Rもケールが前に出続け、終盤の打ち合いではケールの右フックでアラゾフがのけぞる。その後も左右のストレートを連打し、しっかり攻勢を印象付ける。
記者採点は合計27-30でケール。ジャッジは2者が順当にケールを支持し、ケールの判定勝ちとなった。1者はアラゾフのムエタイ的な2Rまでの攻めを評価したものかと思われるが、これはキックルールの試合のため、ケールの勝利が妥当だろう。
第1試合 MMA ヘビー級 3分3R
×パトリック・シミッド(スイス)
○オマール・ケイン[Reug Reug](セネガル)
1R 1’48” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)